西加奈子のレビュー一覧

  • サラバ! 中

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    第三章:サトラコヲモンサマ誕生日
    第四章:圷家の、あるいは今橋家の、完全なる崩壊

    圷歩、小学高学年〜26歳
    思春期のアユム君。日本でさらに個性的な人間関係に揉まれます。母や姉がパワーアップ、そしてサトラコヲモンサマの強烈なインパクト。

    家族とは‥を考えさせられます。時に逃れたく、でも根っこでは繋がっている。自分の中にも共通点があり、アユム君と一緒にちょっと苦しくなりました。

    「思い出」や「物語」に対するアユムの丁寧な心情描写、特に『自分にどうしようもなく寄り添ってくれる1行を見つけると‥』の部分が大好きです。

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    2025年09月20日
  • サラバ! 上

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    第一章:猟奇的な姉と、僕の幼少時代
    第二章:エジプト、カイロ、ザマレク

    圷歩、誕生〜小学4年。
    読みやすい文章にイランやエジプトでの生活が興味深いです。宗教との出会い、冷静・時に毒舌なアユム少年の観察力、そして女性陣の個性がかなり強烈。ヤコブとの濃密な時間と別れ‥。

    アユムの人格形成に関わる大切な少年時代でした

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    2025年09月20日
  • くもをさがす

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    ネタバレ

    まだ、治療中だった私は、「そんなん、ただ生きてるだけでええんちゃうん?」そう言ったが、

    「なんか、目標が欲しいねん。生きる目標が。」と、コニーは言った。

    「出来ひんかったことが、少しづつできるようになるのが嬉しいねん。」

    そしてもう一つ、彼女が始めたことがあった。書くことだ。

    「小説を書きたいと思ってるんやけど、今はどうしていいか分からんから、とにかく毎日何かを書くことを自分に課してるねん。」

    それは、すごくいいと思う、思わず私は言った。

    私自身、治療中もずっと書いていた。小説、エッセイ、日記。書くことで頭の中を整理出来ていたし、書くことで自分がこんなことを思っていたんだと、思いが

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    2025年09月22日
  • GOAT

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    芦沢央さん、冲方丁さんの短編が魅力的でした。他にも一穂ミチさんのインタビューや5人の作家達によるGOAT歌会など、この文芸誌でしか味わえない構成で沢山楽しませてもらいました。

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    2025年09月17日
  • きいろいゾウ

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    しらかば園での催しが終わるまでは、ほんわかと楽しめた。
    けれどその後はムコさんの勝手さに暗ーく嫌な感じが続いた。

    ツマを失うのが怖いくせに、何故ツマに辛い想いをさせるのか。

    ムコさんの想いや事情もあるけれど
    女として私はツマの方の気持ちにしか納得出来なかった。

    アレチさんの「わしは、セイカを、好いとる」はそんなムコさん関連の嫌な気持ちを変えてくれるぐらい良かった。

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    2025年09月16日
  • 私の身体を生きる

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    ラジオでも話題になっていて手に取る。著者たちの年齢がほぼ年下であるということに気づく。語ることのタブーがいろいろと無くなったけれど、文筆業である以上、読み手を引き付けるプロ意識が見え隠れしていて面白い。

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    2025年09月16日
  • サラバ! 中

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    歩にとって姉は疎ましく恥ずかしい存在のように書かれているけど、読み手からしたらそんなことはない。この子はいつも姉のことを心配している、優しい青年だと感じた。

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    2025年09月15日
  • 窓の魚(新潮文庫)

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    同じ時間を4人の視点から繰り返し語り、丁寧に詳らかにしていく作品。
    お互いがお互いに対して思っていること、その場の状況の理解が、こんなにもズレているものなのかと情けなくもなる。それでも一体であり続ける4人。ずっとこんな感じなんだろうな、きっと4人だけではなくて、人と生活を共にするというのは、こうした見えないズレが無数にあって、それでもなんとか形が維持されていくものなんだろうなと思う。

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    2025年09月15日
  • 白いしるし(新潮文庫)

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    表紙が愛猫の後ろ姿とそっくりだったのでお迎えしました。とにかくエネルギーに満ちた人たちが出てきて、『あぁ、なんかいいなぁ』と思いながらお昼ご飯を食べるのも忘れて休憩中に読み耽りました。

    愛とか恋とか難しいことはよくわからないけれど、好きな人との電話とか意味のない会話とか深夜に延々とおしゃべりするの楽しいよなぁと思ったし、胸がじゅわっと温まる一冊。

    いろんな形の恋愛があるけれど、どれも美しい。
    そんな小説で、
    恋が叶うとか、愛が伝わるとかは二の次、みたいな。

    やりたいことをやって、恋して、仕事して…たまに休んで…また走る。そんな当たり前の日常の風景が美しい文章になっていてすらすらと読めまし

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    2025年09月13日
  • 白いしるし(新潮文庫)

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    ネタバレ

    面白くて一気に読んでしまった!

    異質な恋愛模様がいくつか物語の中にあって普通の恋愛小説じゃないなと新鮮だった

    瀬田と猫のところはあれ?普通の恋愛だ。ん?違うな...え!マジで!?ってなった
    猫の表紙が可愛いと思って買ったけど読んでみるとなんだか表紙の猫が恐ろしく見えて...

    私は恋愛経験があんまりないから共感できないところもあったけどけど時間が経ってから読むとまた感じ方が変わるのかなと思った。

    読んでて余白のない怒涛の物語だなと思った。まさに全身全霊。私とは正反対でそこも新鮮だった

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    2025年09月12日
  • くもをさがす

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    カナダでの乳がんの闘病エッセイ。
    色んな本の引用が出てきて、辛い時でもふとした時でも本の一説が西加奈子さんの中に生きてる事がわかる。
    乳がんで胸を全摘した自分の体を本当に美しく思う彼女に、その光に憧れ、きっと私が何か病に伏した時、この本の事を思うのだろう

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    2025年09月11日
  • 夜が明ける(新潮文庫)

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    こういう小説だと思わず手に取ったのですが、まるで今のTV業界を予言していたかのような内容でした。
    ネット社会になる前の、誰も声を上げられなかったTV業界の闇が、ここまで生々しく描かれているとは。

    ページをめくりながら、ふと昔の知り合いを思い出しました。前職は芸能人のマネージャーをしていた男。彼が語っていた話が、この小説と重なるのです。
    小説ではAD、彼はマネージャー。立場は違えど、下っ端には人権がない世界。生き延びる道は「上に上がるか、辞めるか」しかない。理不尽を飲み込みながら、心も体もすり減らし戦い続けなければならない世界でした。

    そんな話を読むと、私は自分の「根性のなさ」を突きつけられ

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    2025年09月11日
  • さくら

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    ハンサムで人気者の長男、恐ろしいほど美人だがワイルドすぎる妹に挟まれた薫と両親の幸福な生活はあまりにも順調に過ぎていくが一つの事故が彼らの暮らしを奈落に落とし込む。
    それは誰の人生にも起こりうる事なのだが人はそこでうずくまってしまって前に進めなくなってしまうかもしれない。あるいは強く立ち上がって人生を取り戻すかもしれない。
    愛犬「サクラ」はそんな一家の運命、生活を静かに冷静に見守っている。
    著者が書きたかったことは主張したかった事は何なのだろう?
    私には彼ら長谷川一家の人生が人々の中に包括されているすべてが現れた物なのかもしれないと思うのだが答え合わせができない。




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    2025年09月11日
  • 私の身体を生きる

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    赤裸々に語られる身体についてのエッセイ。
    それぞれに身体の事情を抱えて生きているのだなあ。女性の場合は嫌な目に遭う機会も多くて。

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    2025年09月05日
  • サラバ! 下

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    なぜ、主人公の人生を追いかけないといけないのだろう。
    上巻の読み始めはそう思っていた。
    きっと、つまらないだろうと決めつけていた。

    下巻を読み始めた頃は先が気になってしまっていた。主人公が山あり谷ありの人生をどう乗り越えていくのか、気になった。

    人生は誰かのものではない。
    自分のものだ。
    良いことも悪いことも含めて、それがその人の軌跡なのだ。

    自分もまだまだ、これから。
    自分だけの信じるものを見つけて、芯のある人生を過ごしたいと思った。

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    2025年09月03日
  • GOAT

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    こんなに豪華な作家さん達が盛りだくさんで510円!
    紙の触り心地もとても良く。

    文芸誌を買うのは初めてでしたが、
    初読みの作家さん達も多く、新たな出会いにもなりました。

    『小説を、心の栄養に』 素敵なことばですね。

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    2025年09月02日
  • 白いしるし(新潮文庫)

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    男に溺れる女の話なんて、絶対に共感できないし自分の好むテーマからほど遠いのに、西加奈子さんの筆致で描かれた途端どうしてこんなに好ましく読めるんだろう。
    この人の書く本やっぱり好きだな。登場人物にも地の文にも力強さがみなぎってる。
    他の作品と比べても行動の描写じゃなくて内面の心理描写にページを割いていたから、作者の表現を十全に味わえてとても良かった。
    「清潔な、生きたいという欲望」という表現が好きだった。

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    2025年09月02日
  • サラバ! 中

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    主人公が両親と対峙する場面が印象的。奔放なお母さんと真面目なお父さんとそれぞれ一対一で向き合うことで主人公の本当の気持ちが湧き上がってくる。

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    2025年08月30日
  • サラバ! 上

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    ネタバレ

    言語が違うことで安直な考えに至りやすく本当の気持ちは分かり得ないと一線を引いてしまいがちだが、主人公とエジプト人の友達ヤコブが相互理解していくうちに愛言葉「サラバ」を誕生させ、主人公の生きる強さに繋がっていく。

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    2025年08月30日
  • 私の身体を生きる

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    女性たちによる性のエッセイ集と聞き、女性あるあるやフェミニズム的な問題提起を想像したが予想外だった。
    冒頭の西加奈子はフェミニズムへのお誘いに近いニュアンスを感じたが、続く村田沙耶香で一気に個人の話となる。
    その後も個人的なテーマを書く人が多く女性同士だけど違うのは当然、そもそも理解不能だったりする。
    でも不思議だなと思いながら読む理解不能の中に、少しだけ自分の面影があると仲間を発見したような安心がある。
    私だけの大切な話を自分も整理して書いてみたくなったり、男性バージョンも読んでみたくなった。

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    2025年08月27日