西加奈子のレビュー一覧
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ネタバレ私は生きている
かつて、自分も主人公のような気持ちを抱えていた。なぜ自分は生きているのか、なぜ、自分じゃなかったのか。どうして日本にいるのか、恵まれた環境にいるのか。本当にありがたくて、申し訳なくて、ほかの人生に思いを馳せた。世界の端を知って途上国に行きたいと思った。2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロ事件をきっかけに、国際関係へと進路を決めた。
でも、何より怠惰だった。まじめに勉強することを嫌った。目の前の娯楽におぼれた。その端々で、得た薄い情報で、胸を痛めた。そしてその程度の浅はかな知識と感情で胸を痛める自分を恥じた。
全てを知りたくて、でも知るための行動は起こせなくて、数少ない -
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主人公ののめり込む恋愛に
うんうん、そういう恋愛あるよね。って共感してたんだけど、後半、あまりの激情…というかサイコパス加減にちょっと笑ってしまった。
間島と夏目の会話文
夏目が間島に質問する場面が印象的だった。
理解したいと思えば思うほど露呈する間島の芸術性。それに夏目は恍惚するんだけど、好きだからこそ全く理解ができていないなと感じた。
最後の夏目が塚本さんに語る場面では
立場が逆転していて夏目の芸術性が際立ってたように思う。
夏目のサイコパス的な行動には戸惑ったけど、なんか読んでよかったなって思えたし、自分と似た部分を感じたからかな?手元に置いきたい、愛着が湧いた作品でした。 -
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ネタバレ面白かったが、かなり独特な作品。リズム感も独特だし、普通の価値観で読むとどこかズレてくる。常人には見えない何か。1Q84を思い出すような作品だった。
読みやすいのは読みやすい。けど、はじめに書いた通り、普通の価値観で読むとしんどいかもしれない。言葉で説明できない何かを登場人物全員にあって、特にツマは、動物と話せたりヨルと対話できたりと半分何でもあり。
だからこそ、とても大切で繊細な事を登場人物は息をするように実行している。あれほど自分に正直な人たちもいないのかもしれない。愛する人を愛して、自分の感情にとても正直。側から見たら子どもと同じかもしれない。じゃあツマも言っていたが、大人の定義とは -
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養子としてシリアから裕福で幸せな家庭に迎えられた主人公が、戦争等で悲惨な状況にある人を思い、自身が幸せであっていいのかと自身の辛いことを憂うのは傲慢なのかと苦しみながら生きていく物語。
自分自身でも、悲惨な状況にある人を思い、調べ、できることは何かと考え、募金をしてみたりするけど、一方で、おしゃれや美容やセールでテンションがあがったりして、日々楽しくすごしている。
日々を楽しむくらいなら、悲惨な状況にある人を考えもしない方がいいのか、考えて少しでも何かできないかと考えるのは偽善的なだけなのか。と考えることもあったので、
巻末の対談のなかで作者が、悲惨な状況にある人を思いながら、自分の幸せを願 -
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ときに克明に、ときに臨場感たっぷりに、ときにユーモラスに描かれる闘病記(という言葉を著者は使っていないけど)は、読んでいるだけで体が重たくなりそうな瞬間もあったけれど、辛いだけではなかった。著者自身の極めて個人的な体験を書いているはずなのに、読者に寄り添ってくれているような感覚になるのが不思議だった。愛がたっぷりと含まれているからだろうか。
【読んだ目的・理由】西加奈子さんのノンフィクション作品が気になったから
【入手経路】買った
【詳細評価】☆4.4
【一番好きな表現】おばさんになったからと言って、自分の喜びにリミットをつける必要はない。(本文から引用) -
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気軽に読み始めたつもりが、想像以上に重く、強い読後感のある長編だった。
先日、家族で話していたとき、夫が「物価の安い国に行きたい」と言った。私は「旅行はもともと好きじゃないし、今の生活を続けるほうがいい」と答えた。そのとき、自分が続けてきたこととは違う方向に向かう“自分の否定”が、いかに怖いかをあらためて感じた。
大人になるほど、自分の価値観や経験に固執しやすくなり、それを次の世代に無意識のうちに押し付けてしまう。外から見ればその構図はよく分かるのに、当事者としてそこにいると「これが一番いい」と信じ込んでしまう。
「声をあげる」「助けを求める」ことが当たり前にできる世の中になってほしい。そ -
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2015年に「サラバ!」で直木賞作家となった西加奈子さんですが、2021年にカナダ滞在中に乳がんと診断され両乳房切除等の治療を受けました。その時の経験が本著のベースになっていると思います、
8つの短編からなり、一般社会の価値観や世間体に縛られることなく、自分自身を肯定することを描いています。
今まで「自分の身体が愛おしい」とか「自分の身体で生きていく」とか考えたことがなかったように思います。何か当たり前すぎてそんなことに疑問を持ったことがないということかな。
この本を読んで、自分の体の一つひとつや、目に見えない臓器に対しての感謝や、もっと自分のことを好きになってもいいのでは?という気持 -
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舞台
著:西 加奈子
初めての海外に選んだのは、亡くなった職業作家の父の思いがこびりついているNY。主人公である29歳の葉太は忌み嫌う亡き父との何かを探し、惹かれるようにその地へ降り立った。
初日からトラブルに巻き込まれる葉太。それどころではないトラブルに巻き込まれ、窮地に追い込まれる中でこそ辿りつける心境もある。葉太の運命やいかに・・・。
太宰治氏の「人間失格」が大好きな著者。物心ついて頃から作家の父親の影響から自宅にある書籍と共に育っている。いさかいのあった父との関係性と自身の存在の葛藤の中で、日本ではなく、父の何かがあるNYで自分探しを行うことになる。
人間のだらしない分やかっこ -
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2025.11.29 ★4.0
↓↓↓内容↓↓↓
カナダでがんになった。
あなたに、これを読んでほしいと思った。
これは、たったひとりの「あなた」への物語ーー
祈りと決意に満ちた、西加奈子初のノンフィクション
『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から寛解までの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。