西加奈子のレビュー一覧

  • 白いしるし(新潮文庫)
    ”春には綺麗なピンク色をしていた桜の木が、街灯に淡く照らされている。青々とした葉しか残っていないのに、それは十分、春の名残を体にたたえていた。時折風が吹いたが、私の頬が怒ったように震えたのに、枝は揺れなかった。少しも。”

    強く綺麗な女性、”夏目”が恋愛に踠き、傷つきながら乗り越える(受け入れる)様...続きを読む
  • 円卓
    小学3年のこっこと家族、友達の物語。
    こっこをはじめ、恐ろしい程個性的な面々。読みながら肩を揺らして笑いました。
    でも、こっこが悩みながら成長していく後半は少しの切なさもあり。 
    登場人物が発する大阪弁のように、サクサク読めました。
  • サラバ! 上
    自分が少年の頃に、似たような感情を母や姉に持っていた記憶が思い返された。ヤコブに対する想いに関しても似たような経験があり、理解できる感情だと思う。そして何より今自分が異国の地で暮らしているので、その点での共感も多かった。続きを読むことが楽しみ。
  • うつくしい人
    ・感想

    社会の中で「自分が自分のままでいい」と思えない、人の顔色を伺いながら、人からどう見られるかを気にしながら生きている自分と主人公の苦しみが重なって、こちらまで苦しくなった。
    しかし、旅先で出会った不器用なままで生きる人との時間の中で、主人公が自分を取り戻して変化していく過程が素敵だった。
    ...続きを読む
  • さくら
    これはさくらが取り持ってくれた壊れた家族の再生のお話で面白かったです

    それにしても妹の行いは悪質で許されないと怒りに震えた。妹がお兄さんを殺した様なもので、やっていい事と悪い事の判断もできない妹は精神科に診察してもらった方が良いと思えました。多分なんかの精神疾患と思う。
    本当に妹がまともならば、み...続きを読む
  • きりこについて
    子供の時のことを思い出した。
    私も親に可愛い可愛いって言われて育ってきて自分は世界一可愛いって思ってたし、ピンクの派手なメガネも母に似合うって褒められてたから堂々とつけてた。母に別に毛の処理なんてする必要ないのよって言われて、してなかった。
    でも大人になるにつれて、あれ、なんか私って別に普通なんだな...続きを読む
  • 舞台
    あかん…!
    読みながら、自分のことかと思って共感性羞恥心が刺激されすぎた…
    初めてニューヨークを訪れた生粋の日本人なのにニューヨーカーを気取るところ、
    旅先で起きたトラブルを武勇伝をとして語るところ
    (しかも起きた直後にどう話そうかもう考えているところ)


  • きりこについて
    ぶすとか誰が決めるんや、自分のやりたいことを叶えてあげられるのは自分しかおらん。
    っていうのが刺さった部分。
  • サラバ! 中
    常にどこかに逃げ場を作りながら、キズを負うことなく生きる人もいる。いい子であり、いい人であり続けることを良しとする受動的な本能が、いつの間にか相手を傷つけ、やがて守っているはずの自分を追い詰める。
    家族だってそれぞれに心に何かを抱えながら家族としてのつながりを持って生きる。
    多くの出会いとサラバがあ...続きを読む
  • サラバ! 上
    常にどこかに逃げ場を作りながら、キズを負うことなく生きる人もいる。いい子であり、いい人であり続けることを良しとする受動的な本能が、いつの間にか相手を傷つけ、やがて守っているはずの自分を追い詰める。
    家族だってそれぞれに心に何かを抱えながら家族としてのつながりを持って生きる。
    多くの出会いとサラバがあ...続きを読む
  • 通天閣
    複数視点の物語としては最小の二人という設定。その人生が微妙に交錯するのかしないのか、というところに物語の肝があるのだが、個人的には夢の描写が、心模様を微妙に反映していて、上手いなあと思った。
  • ふる
    猫の名前が面白くて好き。カルメンを声出していつのまにうたってしまうところも可愛くて好き。ちょっと難しかったけどふわふわしていた気がする。何個か心に留まった言葉多かったな。会話を録音して聞き返すやつ私もやってるから何だか同じで嬉しくなった。
  • 窓の魚(新潮文庫)
    妖艶で幻想的でいて、静かに黒い不気味さも含む。
    彼らの欠陥とズレが、各々の視点を追うごとに明確になっていき、ゾクゾクする。
    いくつかの謎に思い巡らせ、雰囲気も相まって余韻がずっと続いています。
  • きいろいゾウ
    ・なぜか下記文章に惹かれたのでメモ。

    ・でも、ツマの場合は違う。泣くのを耐えたり、激くことで何かを自分の有利に持っていこうとしたりする感じがない。ただ、もう、泣いている。笑うのと一緒だ。鼻水を垂らして、よだれを垂らして、涙で頰をぐもゃぐちゃにしているッマを見ると、僕は、僕たちが何かとても正しい場所...続きを読む
  • しずく
    西加奈子
    短編集


    共通テーマは「女性2人」





    義理の母にオススメされて読んでみた本書。
    西加奈子先生の短編が6作品も収録されているなんて…贅沢である。

    6つの作品に女性が主人公ででてくるが、女性作家さんならではの
    女性の心情の描き方はアッパレである。

    私のオススメは、「木蓮」「シャワ...続きを読む
  • ふくわらい
    平和そうなタイトルと壮絶な内容のギャップが素晴らしい。どうすればこんな発想が出来るのか?西加奈子の頭を割って見てみたいと思わせる変態小説。
  • 字のないはがき
    ただ事実を述べているだけなのに、とても伝わる。
    絵も、ただ私の見ていたものを描いているようで、心を掴む。
    戦争ものはどうしても苦手な作品が多いけど、詳細に鮮明に描写しなくても伝わるものは多くある。
  • うつくしい人
    「辛い時に読む本」として特集されていたので手に取ってみた。

    周りの目を気にしながら生きてきた、自分を確立できずにいる主人公。そんな彼女が旅先の離島ホテルで変わった二人と出会い、交流を深めるうちに、心の重荷が解けていくという物語。
    序盤の主人公は見ていられないくらい自暴自棄だったのだが、ホテルでの出...続きを読む
  • サラバ! 中
    自分の学生時代を思い起こしながら読んでいました。周りに1人はいるんじゃないかという登場人物の描写に、つい読み入りました。
  • ふる
    「生きる」ということについて、考えさせれらる本。

    私も「今、この瞬間」を忘れたくないと何度も思ったことがある。それで実際に記録をしたりはしていないけれど、自分の人生を歩む中で、一瞬で過ぎ去る「今」が、今の私を作り出している。だから1秒でも無駄にしたくないし、「生きている実感をするために」その積み重...続きを読む