西加奈子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
物語に流れるわちゃわちゃした賑やかな雰囲気も、個性的な登場人物たちも、子どもならではの感性もどれも好きでした。
「孤独」に憧れる小学3年生のこっこちゃん。
同級生のぽっさん。
家庭科部の部長に、精巧な刺繍をする姉・朋美。
姉たちが、こっこちゃんが可愛くて可愛くてたまらないのがよくわかる。
世の中のことを分からないなりに分かろうと考える、こっこちやんとぽっさんもいい。
小学生ならではの、今思うと「何で?」って思うしょーもないことに憧れたり、色々不思議に思う気持ちが想像できてしまう。
子どもがもつ豊かで奇抜な想像力や妙なあこがれが、楽しい!
あぁ、もう愛しいなぁ。
この頃の感性って独特で、尊 -
-
Posted by ブクログ
物凄く思春期というか、その年代がすごく詰まった小説。言葉や文章の表現がとても面白くて、話の内容よりもそっちに驚かされた印象。P7の「ハチミツみたいにとろりとした木陰」から掴まされて、今読み返してもよく分からないというか想像出来ない。でもその中でも自分が理解出来る文章を見つけると、自分にはない表現を貰えるのでとても面白かった。
飾らない素直な主人公さっちゃんは魅力的で、色々と気付いたり本音を言うシーンが好き。最初はちょっとよく分からない子だと思ったけど、読んでいくうちに徐々に気になる子になっていった。自分が10代の時に出会いたかった1冊。 -
Posted by ブクログ
生きていく上で数多に散りばめられた決断には、悩みがつきもので。最後に決めるのは自分自身と分かりつつも、うまく筋道を立てられないのが人間というもの。
過去が、家族が、プライドが、時間が、その思考を邪魔してくる。赴くままに委ねる勇気さえない。
不安で堪らない、こうあるべきという常識、踏み外せない道筋。いつまでもそこに佇んでいる自分。
正解なんてない人生の一コマを、どう進んでいくか、その答えはもちろん誰にも分からないし、邪魔なんてされたくない。
このモヤモヤから脱却するには、自分を納得させるしかない。その材料として、過去や家族やプライドや時間を思いっきり使えばいい。
世界でたったひとり取 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前半はまったり仲良い夫婦とその周りの人達。幸せだけど、お互いいつか相手がどこかへいってしまいそうで、怖い。
後半冬からムコさんに手紙が届き、昔の恋人からでその人を忘れようとムコさんは背中にカラフルな鳥の刺青を入れていた。
昔の恋人は結婚していて、障がいのある子が生まれた。死んだ。そのじょせいのこころをとりもどしたいとムコさんは夫に呼ばれた。背中を見せて、ツマを愛してますと言った。夫は君から逃げていたと泣いた。
墓に花をやるのはアレチさんだった。昔戦争で死んだ女の子のもの。
終盤、満月の光に覆われて音を立てて、これまでの台詞が繰り返されるのが読み手を誘う。
ツマ。あまり驚くことがあってはいけない -
Posted by ブクログ
ネタバレ百合は、常に他人の評価を軸に生きている。
他人の苛立ちや不快感を敏感に感じてしまう。
だから、学生時代から人から変に思われるような行動はとらないし、人から羨ましがられるような彼氏を作る。
しかし、そのせいで本当の「自分」がわからない。
百合がこんなにも他人の評価を気にする原因となったのは、「引きこもり」の姉の存在があった。
容姿も可愛く少女趣味で、いつも正しい姉はかつて人気者でみんなの憧れの的だったのだが、思春期になると相手にされなくなり、それでも「自分」を曲げなかったため社会に適合できなくなってしまったのだ。
ある日会社で小さなトラブルを起こしたことを気に病み、即座に仕事を辞め旅に出たが
表示されていない作品があります
セーフサーチが「中・強」になっているため、一部の作品が表示されていません。お探しの作品がない場合は、セーフサーチをOFFに変更してください。