西加奈子のレビュー一覧
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ネタバレ原作・向田邦子さん、文・角田光代さん、絵・西加奈子さんという豪華な顔ぶれの絵本が出たと知ったときから手に取りたかった一冊。
ストーリーは知っていましたが、どんな絵になるのか、装丁になるのか興味しんしんでした。
西さんの絵が温かみがあってしみじみ佳いです。
厳しくて怖いお父さんが、小さなかぼちゃを取ってしまったらいつもは怒るお父さんが、小さくなった小さな妹をだきしめて、おおんおおんと泣くシーンは何度読んでも涙が出ます。
悲しみややりきれなさ、戦争に対する理不尽さも込められた泣き声なのではないでしょうか。
読後、表紙の可憐なたんぽぽにまた涙が誘われてしまいます。 -
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妖気ただよう特異な体験をした人にまつわる物語として、感動しました。
しかし、この本は、 第一回の物語賞としては、 選考ミス、選考委員の人選ミスだったのではなかったのではないでしょうか?
わたしは河合さんの文章に数多く触れてきた河合隼雄ファンです。 そんな中で、 河合さんは読後感の悪い本は嫌う、と思うようになりました。
物語性のある小説とは、一言で言うなら、意味のある偶然をどう脚色するかだと想います。
そして、読者に宗教性を浸透させていくのが河合さんが目指した文学だとおもいます。
この本、あまりに奇をてらうストーリーと表現が目立ちすぎませんか?僭越ですが、河合隼雄さんの奥様が読まれたら、これは違う?と感じるはずです。
「河合隼雄が選考委員じゃないから良いのでは?」
そうなんでしょうか?
選考委員は、著名な人だとは思いますが、この賞がポスト河合になっているようで、河合隼雄ファンとしては残念です。それに、ポスト河合の先陣をきっているのが、息子さんのチームです。息子さんはもう父とは違う未来を描いているのです。息子さんが頭脳明晰なのは、いろいろな活躍でわかります。ただ私は、息子さんが西洋近代科学の権化に見えてなりません。NHKで見た息子さんの顔を思い出すと、「この河合隼雄が脚色した日本の心理学は私が終わらせてやる!」の形相に見えます、まさに守口廃尊。
それに、息子さんは、河合さんが亡くなってから、急に河合隼雄を世間に語り始めたのも、妙に鼻につきます。
わたしとしては、ひとつの時代が終わったと了解するべきなんでしょうか。
仮にそうなら、私は2007年以前までは存在した河合隼雄の心理学をもう少し探求して、その真髄に近付きたいです。
「やられたー」と歓心する河合隼雄物語賞が読みたかった。
でも、2回目、3回目の物語賞も読んでみたいです。異次元を受け入れられないのは、私が歳をとりすぎているからかもしれないので・・。
(この本があまりに過激で、こうゆう感動は欲しくなかった。なので、私の感想も辛辣に、日頃のうっぷんをはらすような表現になりました。申し訳ありません。
でも、読み終わってすぐの魂が熱いうちの言語化なので、訂正はしません。)
後付け
河合隼雄さんは存命中に、この賞が設立されて、どんな本が選ばれるか、わかっていたはずです。
息子さんの影響力が増し、自分を踏み台にして、あの子なりの、このような啓蒙活動をしていくだろうと、予見していました。
そして、それはそれで、是非もなし、と思ったはずです。
それなら、この賞は、河合隼雄が河合俊雄に委任した 物語賞と考えればよかったんです。
わたしはそう考えて、自分のこころの腑に落としました。 -
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ネタバレ西加奈子「こうふく みどりの」の姉妹作。
2冊で1作品、ということだが、普通に【続編】と理解
した方が良いかも。だから、もしこの作品を読もう、と
いう人が居るのなら、先に「みどりの」を読んでからの
方がおもしろい、と最初に言っておくことにします。
「あかの」の主人公は二人で、それぞれのタイムライン
の物語が交互に進む、という構成。一人は2007年の段
階で調査会社に中間管理職として勤務する男で、典型的
な「事なかれ主義」を貫くサラリーマン。
もう一人は2039年の段階で「最強」とされるプロレス
ラー。残念ながら、その時代のプロレスはかなり衰退し
ている模様。
2007年のある日、妻の突然の「妊娠報告」に狼狽する
夫。妻とは長い間夜のコンタクトが無かったため、お腹
の子どもが自分の子ではない、ということは確定。妻を
問いただし、揶揄したいという願望はあるものの、事な
かれ主義が身体に染みついている男は何をどうしたら良
いか解らない。
一方2039年、ドサ回りをしながら少ない観客の前で最
強を証明し続ける48歳のプロレスラーは、新人選手の挑
戦を受ける。対戦相手はコレがデビュー戦。普通では考
えられないシチュエーションの試合で、王者は…という
内容。
「みどりの」に比べれば、束も薄く、苦手な大阪弁表記
も無いので読みやすいハズなのだが、こちらの方が読み
終えるのにかなりの時間を要した。本当なら嫌悪すべき
な調査会社課長に多大なる感情移入をして読んでしまい、
そのいたたまれなさに読書を数度中断したのが原因。
おそらく僕も「事なかれ主義」の権化であり、問題対処
の考え方が主人公とほぼ同一。共感するたびに情けなく
なる、という、やたら精神に突き刺さる作品であった。
この作品の根底には、「みどりの」よりも数倍色の濃い
『アントニオ猪木』が流れている。『俺が今まで、猪木
のような眼をすることがあったかと、四十を手前にして
思うのは大変に辛く、ただただ手遅れであった』という
一文が、この作品の全てを表現している、と言って過言
は無い。
…僕もだ。
50年近くアントニオ猪木を見続けて来たのに、猪木の
ような眼で何かに立ち向かったことが一度でもあったの
か?そう考えると、涙が出てくる。
僕より一回り若い女性は、きっと猪木と同じ眼をして小
説を書き、結果的に直木賞を受賞した。そう考えるとか
なり悔しいけど、悔しさ以上に西加奈子という稀有な才
能をリスペクトせざるを得ない。
【こうふく】連作、凄いインパクト。目が覚めました、
本当に。 -
Posted by ブクログ
久々のノンフィクション作品。西加奈子さん本人が体験した乳がん宣告から治療終了までの記録が描かれている。驚いたのは、カナダと日本の医療の違い。医療システムも医療スタッフの働き方も全然違う。そして、なぜかカナダ人の会話が関西弁で訳されているのが笑えた。全体を通して言える事は、西加奈子さんには本当に信頼できる友人が多いという事。色んな場面で多くの友人が家族のように当たり前にサポートしている。西加奈子さんの人柄の良さの表れだと感じた。後半、手術も放射線治療も終了して定期検診だけになった時の、100%素直に喜べない気持ちや死への恐怖について描かれているところは複雑な気持ちだった。それにしても、全てを包み隠さず読者に共有したいと本を出版した西さんの勇気は素晴らしいと思った。
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