西加奈子のレビュー一覧

  • 窓の魚(新潮文庫)

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    真ん中に温泉宿で身元不明の死体が発見されるという事件があって、その周囲をなぞるように4人の男女の心理描写が錯綜する。ナツ、トウヤマ、ハルナ、アキオの順に話が展開する。\nその間に旅館の従業員や他の客などの証言で真ん中にあるはずの事件が浮き彫りになる。\n巧みなのはその表現、ページを捲る手が止まらない。女性の作家が得意とする心理描写を研磨し続けた先にある一つの到達点であるように感じた。\n西加奈子恐るべし!

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    2026年06月28日
  • 通天閣

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    ネタバレ

    大阪ぽさというか、この小説に出てくる人物はとても面白かった。普通に声を出して笑った。
    その中でも、バイトの新人の出産、マメに振られること、オタク風男の自殺未遂など、嬉しさ、悲しさ、むなしさなどの感情が揺さぶられた。最後のわずかな希望を残す感じもとても良かった。
    個人的に「疲れたら自転車降りて歩こうな。」という言葉を素敵だと思った。

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    2022年05月10日
  • 字のないはがき

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    「字のないはがき」、向田邦子さんのエッセイ「眠る盃:1979年」で既読ですが、本書は直木賞作家3人のコラボの絵本です。向田邦子(1929~1981)原作、角田光代(1967~)文、西加奈子(1977~)絵です。豪華です。戦時中、田舎に疎開した一番下のまだ字が書けなかった妹の和子さんへの家族5人の思い、特に厳格だったお父さんの優しさが胸を打ちます!

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    2020年02月08日
  • i

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    読み終えた後、作ってくれて有難うと言いたくなる小説。
    旅に出かけるよりも、世界を知ることができる小説。自分とは何かを問い続けるよりも、自分を知ることができる小説。

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    2026年06月25日
  • 通天閣

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    引き込まれました 予想と違った。工場で働く男と、ふられることを予想しながら底辺の水商売で働く女。実は昔、縁のあった二人それぞれの生活を追っていくのだが、通天閣の自殺騒ぎを通して、二人がニアミスする。
    この狂言の場面は一気に盛り上がり、涙を誘う。今まで行ったり来たり、停滞していたテンポが、急に速くなり、周囲をもまきこんでしまう。ここのシーンには、私も持っていかれました。よかったです。このギャップはさすが西加奈子さん。おもしろかったー。
    ここまで人生投げていても、前を向けるんだ、と信じられるお話。

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    2026年02月25日
  • 走れメロス 太宰治短編集

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    悪い王をゆるせなかったメロスは、はむかったため処刑されることになりました。しかし妹の結こん式のため、三日間だけ時間をもらいます。親友を身代りにし、メロスは走り出すというお話です。

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    2018年01月14日
  • こうふく みどりの

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    ネタバレ

    共感でも俯瞰でもない絶妙な距離感で見る中学生の初恋と失恋。
    (ちょっと風変わりだけど)ただの日常といえばそれだけなのに、狂おしいほど好きな場面が随所にあります。
    エビフライを尻尾まで食べるコジマケン。
    雨宿りしながら、タバコの箱を探す明日香。

    全編を通して、張り紙やパッケージの文言が勝手に目に入ってしまう演出でなされる、ごちゃっとした空気感も心地よい。
    いちばん好きな作家さんは西加奈子さんですが、西加奈子さんの本のなかでいちばん好きです。

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    2017年07月20日
  • 舞台

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    ニューヨークで待ちに待った瞬間を目前にバックを盗まれた葉太。その後の振る舞いに呆れるのだが言い訳が可笑しく親近感が湧いた。
    葉太を形成した過去と対峙しながらマンハッタンの街を彷徨い自分に辿り着く。文章の勢いに任せて追ったゴールの後はまるで夢だったような…

    読書中に今日が9月11日、ツインタワー崩壊から25年経った。葉太の想いに共感した

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    2026年09月12日
  • サラバ! 中

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    ネタバレ

    島崎和歌子さんが出てきませんが、やっぱ私はどんなに酷い目に遭った可能性があったとて共学の学校に行きたかったなあというか、せめてチャンスは欲しかった、実際生活してみて何も華やかな思い出が出来なかったとて、はなからチャンスを0にされることのしんどさはエグくて、それは今私は中学高校時代が暗黒期だという被害者面で考えてるけども、性別や国籍や家庭環境やらで何かしようとしたときにはなからチャンスを0にされてる人ってたくさんいて、そういう人たちにせめて1%だけでもチャンスを与える社会を作ることに私が加勢できたり、もしくは私の立場ならある人のチャンスを0から50くらいまでに上げられるのなら上げる行動をしないと

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    2026年09月10日
  • くもをさがす

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    ネタバレ

    西加奈子さんが癌と葛藤した時のエッセイ。
    改めて日本の医療のありがたさに気付かされた。
    西加奈子さんの葛藤がありつつも、前を向く姿勢に感化された。この本を読んだあと、なぜか私も走りたくなってジョギングを定着させている。

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    2026年09月10日
  • サラバ! 上

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    ネタバレ

    島崎和歌子さんが出てきませんが、『ここにいる皆は、いつか会えなくなる友達なのだ。』という一文は、私のパート先の人妻同僚達との関係性と同じなので、グサッときました。

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    2026年09月10日
  • サラバ! 下

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    ネタバレ

    島崎和歌子さんが出てきませんが、他人に優劣をつけて自分が『優』側だと思って生きてきた人が、ある時からその『優』の根拠となっていた属性を失い『劣』側になってしまった、と自分が感じてしまった、ときにそれでもどう生きるんだという、私自身の人生にも重なり身悶えしました。

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    2026年09月10日
  • 舞台

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    自意識過剰な青年のニューヨーク旅物語

    冒頭、アメリカンブレックファストをお店で食べながらの愚痴で始まる
    主人公の葉太は、旅先で浮かれること、はしゃぐことを恥だと思っている
    現地人のように馴染み、帰国したらカッコいいエピソードとして他人にひけらかしたい欲求を持っている
    そんな象徴として、セントラルパークの芝生で寝ころびながら、大好きな作家の新刊を読むことを目的としていた
    しかし、いざ実行してみると、泥棒に貴重品が入っているバッグを盗まれてしまう
    葉太は他人の目が気になるため、助けを求める事も、取り乱すこともできない
    手元にあるお金は12ドル
    キャリーケースの鍵もバッグの中に入っっていたため、必

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    2026年09月09日
  • くもをさがす

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    読むからよく書店とかで見てて気になっていた本。実際にこれを経験しているなんてすごいし、これだけ向き合って書くってすごいなあと思った。海外の方のゆるさに私も読んでいてすくわれて、思わず笑っちゃうこともあった!健康って何より大事なのと、今ある周りに感謝したいなあと思えた本でした。

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    2026年09月08日
  • あおい

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    ことばとことばの隙間から漂う空気感。
    20代後半のあの何とも言えない雰囲気。

    言葉でうまく表現できないけど、誰もが経験するであろう、自身の輪郭が一番曖昧になる様な、あの時の感覚に容易くトリップできる。
    それだけでいい小説。

    あと今の自分が、後先を考えたり、バランスを考えたりして、上手く立ち回る思考が定着しすぎて、もちろん全然悪い事じゃないんだけど、なーんか年取っちゃったなって思った。

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    2026年09月07日
  • 白いしるし(新潮文庫)

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    ネタバレ

    夏目のような女性を私は「知っている」と思った
    自分とは違う性質だけど、でもわからないこともないという距離にいる女性

    理性と本能で揺れて結局本能が強くてまじまにどんどん引き寄せられる夏目
    あーあ、なんて思いながらも
    最初の出会いが、彼の絵で、身体中で、それこそおそらく本能で、好きだと感じてしまったのだから
    描いた本人についても本能がまさってしまうのは自然なことだったのかもしれないと思ったり

    でも、ふと、夏目が好きだった「まじま」は、おそらく人間とか男性とかではなくて、おそらくまじまであって、まじまの生み出したあの白い絵そのものなのだろうなと思った
    だから彼女は絵に触れたいと思ったようにまじま

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    2026年09月06日
  • GOAT

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    僕は小説を読むようになってから、人を好きになったんですよ──。
     
     
    小説を読むのは好きで、これまでも何百と読んできましたが、この度初めて文芸誌を読みました。
    装丁もポップな雰囲気で、文芸誌を手に取るときのハードルも低く感じましたし、何より価格が510円(税込)というコスパの良さ。
    半月くらいかけてゆっくり楽しませてもらいました。
     
    個人的には、『小川哲 / 嘔吐』『冲方丁 / 週末の愛』『島本理生 / 愛することを知らない子は』が好きでした。
    他の『GOAT』も積読してるので、また少ししたら読んでみようっと。





    ジャンル、国境を越える豪華執筆陣の文芸誌

    紙を愛してや

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    2026年09月05日
  • サラバ! 上

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    前半はなかなか気持ちが入り込めなかったけど、中盤以降どんどん引き込まれていった。物語として昇華したいという思いの強さを感じる作品だった。

    基本家族の話なのだけど、出会っていく友人たちも含めて、それぞれのキャラが立っていて、またイランやエジプトなど、文化やそのギャップから際立つ世界観はカラフルでおもしろい。これを体感しながら生きてきながらも、内面で多くの葛藤を抱えている思いを、歩という主人公のストーリーとして凝縮している。

    信じるものをみつける、というのが中心にあるひとつのテーマになっている。このテーマはずっと自分の中にもあって、だからこそ歩の心の動きに共感しながら読めたのだと思う。ほんと、

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    2026年09月03日
  • i

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    ネタバレ

    主人公のアイは、感性が豊かで、とても繊細で、それ故に世界中の悲劇に強く胸を痛め、不条理で運が良い悪いという言葉でくくれそうな事柄も「どうして」「なぜ」と深く思案する性格。戦争が続くシリアから免れて''しまった''、恵まれて''しまった''、と酷く罪悪感を感じる様子が痛ましかった。adopt された 選ばれたのだ それはなぜ、世界中で多くの人々が亡くなっているのに、なぜ自分が…こういった疑問が、アイを蝕んでいた学生時代の描写は本当に辛かった。 高校に入ると、数学に出会い、没頭し、優秀な成績で卒業できた。数学はアイを救

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    2026年09月01日
  • きりこについて

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    幼き頃のきりこは高慢チキで傲慢な子に見え、好きくなかったのだが、、
    (子供なんてそんなもんなのかな… )
    この本には人間の現実がまざまざと、ありありと描かれている。
    容れ物も中身もね。
    自分以外に自分を上手に褒めてあげられる人はおらん。

    ルドルフとイッパイアッテナ、100万回生きた猫、の既視感は多少ある。

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    2026年08月31日