西加奈子のレビュー一覧

  • しずく

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    女ふたりが出てくる短編集。西加奈子の描く母娘はあったかくて泣けるので、最後に「シャワーキャップ」を持ってきてあるのも納得。表題作「しずく」とともに、胸がじわっとあたたかくなるような幸せな読後感がある。「影」は周囲からの見られ方と本当の自分自身とのギャップに悩む一番西加奈子らしい話だなって思った。ちょっと下品でその笑わせ方は反則だよって思うところもちょこちょこあるのだが、色んな意味でちぐはぐな女ふたりがたしかな友情やつながりを育んでいくさまはまぶしい。日々、思いのよらないところに人との出会いがあり、そこから学ぶことが多々ある。

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    2022年03月29日
  • サラバ 上・中・下巻 合本版

    Sho

    購入済み

    ひとつになる瞬間

    僕は「サラバ」を読んで、生きる希望を見出し、今この瞬間を生きようと、自分という存在を認め、愛し、一歩踏み出そうと思えました。

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    2022年03月13日
  • サムのこと 猿に会う

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    『猿に会う』野暮ったい3人娘の話がめちゃくちゃ気に入りました。10代の田舎娘のような子達だけど、全員20代半ばっていうのが、ゆるやかな闇が差し迫ってる感じで渋い。。社会の隅っこをお互い励まし合いながらささやかに生きているんだけど、美しい人や圧倒的な存在感を放つ人には、それだけで根拠なく影響を受けてしまう彼女たちのいじらしさや危うさがなんかわかるし良かった。

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    2021年10月26日
  • 字のないはがき

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    ネタバレ

    原作・向田邦子さん、文・角田光代さん、絵・西加奈子さんという豪華な顔ぶれの絵本が出たと知ったときから手に取りたかった一冊。
    ストーリーは知っていましたが、どんな絵になるのか、装丁になるのか興味しんしんでした。
    西さんの絵が温かみがあってしみじみ佳いです。

    厳しくて怖いお父さんが、小さなかぼちゃを取ってしまったらいつもは怒るお父さんが、小さくなった小さな妹をだきしめて、おおんおおんと泣くシーンは何度読んでも涙が出ます。
    悲しみややりきれなさ、戦争に対する理不尽さも込められた泣き声なのではないでしょうか。
    読後、表紙の可憐なたんぽぽにまた涙が誘われてしまいます。

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    2021年10月16日
  • サムのこと 猿に会う

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    いろいろな人間関係が描かれていて、面白かったです! 少しミステリーの要素もあるので、好きな方にはおすすめです!

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    2021年08月28日
  • 字のないはがき

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    ネタバレ

    戦争時代の向田さん家族の話。普段、家族の前では弱いところを見せないお父さんが妹の無事をとても心配されていて「おうおう」と泣かれた場面に、読んでいる私も涙が出ました。戦争が終わってからその葉書の事は思い出される事はなかったのですね。思い出したくない辛い日々だったのだと思います。戦争は嫌ですね。

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    2021年08月12日
  • こうふく みどりの

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    この痛みと悲しみとやるせなさをすべて肯定して、あたたかさを添えてくれるのは西さんの文章だなあと、救われながら思う。
    そこ抜けの優しさって、格好つけるところなんて微塵もなくて、ほんとはこういうことかもしれないと、強く思ったりした。

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    2021年06月18日
  • ふくわらい

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    妖気ただよう特異な体験をした人にまつわる物語として、感動しました。
    しかし、この本は、 第一回の物語賞としては、 選考ミス、選考委員の人選ミスだったのではなかったのではないでしょうか?
    わたしは河合さんの文章に数多く触れてきた河合隼雄ファンです。 そんな中で、 河合さんは読後感の悪い本は嫌う、と思うようになりました。

    物語性のある小説とは、一言で言うなら、意味のある偶然をどう脚色するかだと想います。
    そして、読者に宗教性を浸透させていくのが河合さんが目指した文学だとおもいます。

    この本、あまりに奇をてらうストーリーと表現が目立ちすぎませんか?僭越ですが、河合隼雄さんの奥様が読まれたら、これは違う?と感じるはずです。

    「河合隼雄が選考委員じゃないから良いのでは?」
    そうなんでしょうか?

    選考委員は、著名な人だとは思いますが、この賞がポスト河合になっているようで、河合隼雄ファンとしては残念です。それに、ポスト河合の先陣をきっているのが、息子さんのチームです。息子さんはもう父とは違う未来を描いているのです。息子さんが頭脳明晰なのは、いろいろな活躍でわかります。ただ私は、息子さんが西洋近代科学の権化に見えてなりません。NHKで見た息子さんの顔を思い出すと、「この河合隼雄が脚色した日本の心理学は私が終わらせてやる!」の形相に見えます、まさに守口廃尊。
    それに、息子さんは、河合さんが亡くなってから、急に河合隼雄を世間に語り始めたのも、妙に鼻につきます。

    わたしとしては、ひとつの時代が終わったと了解するべきなんでしょうか。

    仮にそうなら、私は2007年以前までは存在した河合隼雄の心理学をもう少し探求して、その真髄に近付きたいです。
    「やられたー」と歓心する河合隼雄物語賞が読みたかった。
    でも、2回目、3回目の物語賞も読んでみたいです。異次元を受け入れられないのは、私が歳をとりすぎているからかもしれないので・・。

    (この本があまりに過激で、こうゆう感動は欲しくなかった。なので、私の感想も辛辣に、日頃のうっぷんをはらすような表現になりました。申し訳ありません。
    でも、読み終わってすぐの魂が熱いうちの言語化なので、訂正はしません。)

    後付け
    河合隼雄さんは存命中に、この賞が設立されて、どんな本が選ばれるか、わかっていたはずです。
    息子さんの影響力が増し、自分を踏み台にして、あの子なりの、このような啓蒙活動をしていくだろうと、予見していました。
    そして、それはそれで、是非もなし、と思ったはずです。
    それなら、この賞は、河合隼雄が河合俊雄に委任した 物語賞と考えればよかったんです。
    わたしはそう考えて、自分のこころの腑に落としました。

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    2021年08月09日
  • サラバ! 中

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    話が一気に展開して上巻からは別の物語になったかのようですがやはりぐいぐい引き込まれました。さらに下巻はどのような展開を見せるか楽しみでなりません。

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    2026年01月24日
  • こうふく あかの

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    ネタバレ

    西加奈子「こうふく みどりの」の姉妹作。
    2冊で1作品、ということだが、普通に【続編】と理解
    した方が良いかも。だから、もしこの作品を読もう、と
    いう人が居るのなら、先に「みどりの」を読んでからの
    方がおもしろい、と最初に言っておくことにします。

    「あかの」の主人公は二人で、それぞれのタイムライン
    の物語が交互に進む、という構成。一人は2007年の段
    階で調査会社に中間管理職として勤務する男で、典型的
    な「事なかれ主義」を貫くサラリーマン。
    もう一人は2039年の段階で「最強」とされるプロレス
    ラー。残念ながら、その時代のプロレスはかなり衰退し
    ている模様。

    2007年のある日、妻の突然の「妊娠報告」に狼狽する
    夫。妻とは長い間夜のコンタクトが無かったため、お腹
    の子どもが自分の子ではない、ということは確定。妻を
    問いただし、揶揄したいという願望はあるものの、事な
    かれ主義が身体に染みついている男は何をどうしたら良
    いか解らない。
    一方2039年、ドサ回りをしながら少ない観客の前で最
    強を証明し続ける48歳のプロレスラーは、新人選手の挑
    戦を受ける。対戦相手はコレがデビュー戦。普通では考
    えられないシチュエーションの試合で、王者は…という
    内容。

    「みどりの」に比べれば、束も薄く、苦手な大阪弁表記
    も無いので読みやすいハズなのだが、こちらの方が読み
    終えるのにかなりの時間を要した。本当なら嫌悪すべき
    な調査会社課長に多大なる感情移入をして読んでしまい、
    そのいたたまれなさに読書を数度中断したのが原因。
    おそらく僕も「事なかれ主義」の権化であり、問題対処
    の考え方が主人公とほぼ同一。共感するたびに情けなく
    なる、という、やたら精神に突き刺さる作品であった。

    この作品の根底には、「みどりの」よりも数倍色の濃い
    『アントニオ猪木』が流れている。『俺が今まで、猪木
    のような眼をすることがあったかと、四十を手前にして
    思うのは大変に辛く、ただただ手遅れであった』という
    一文が、この作品の全てを表現している、と言って過言
    は無い。

    …僕もだ。
    50年近くアントニオ猪木を見続けて来たのに、猪木の
    ような眼で何かに立ち向かったことが一度でもあったの
    か?そう考えると、涙が出てくる。

    僕より一回り若い女性は、きっと猪木と同じ眼をして小
    説を書き、結果的に直木賞を受賞した。そう考えるとか
    なり悔しいけど、悔しさ以上に西加奈子という稀有な才
    能をリスペクトせざるを得ない。

    【こうふく】連作、凄いインパクト。目が覚めました、
    本当に。

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    2021年04月10日
  • 窓の魚(新潮文庫)

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    真ん中に温泉宿で身元不明の死体が発見されるという事件があって、その周囲をなぞるように4人の男女の心理描写が錯綜する。ナツ、トウヤマ、ハルナ、アキオの順に話が展開する。\nその間に旅館の従業員や他の客などの証言で真ん中にあるはずの事件が浮き彫りになる。\n巧みなのはその表現、ページを捲る手が止まらない。女性の作家が得意とする心理描写を研磨し続けた先にある一つの到達点であるように感じた。\n西加奈子恐るべし!

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    2026年06月28日
  • 通天閣

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    ネタバレ

    大阪ぽさというか、この小説に出てくる人物はとても面白かった。普通に声を出して笑った。
    その中でも、バイトの新人の出産、マメに振られること、オタク風男の自殺未遂など、嬉しさ、悲しさ、むなしさなどの感情が揺さぶられた。最後のわずかな希望を残す感じもとても良かった。
    個人的に「疲れたら自転車降りて歩こうな。」という言葉を素敵だと思った。

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    2022年05月10日
  • 字のないはがき

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    「字のないはがき」、向田邦子さんのエッセイ「眠る盃:1979年」で既読ですが、本書は直木賞作家3人のコラボの絵本です。向田邦子(1929~1981)原作、角田光代(1967~)文、西加奈子(1977~)絵です。豪華です。戦時中、田舎に疎開した一番下のまだ字が書けなかった妹の和子さんへの家族5人の思い、特に厳格だったお父さんの優しさが胸を打ちます!

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    2020年02月08日
  • i

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    読み終えた後、作ってくれて有難うと言いたくなる小説。
    旅に出かけるよりも、世界を知ることができる小説。自分とは何かを問い続けるよりも、自分を知ることができる小説。

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    2026年06月25日
  • 通天閣

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    引き込まれました 予想と違った。工場で働く男と、ふられることを予想しながら底辺の水商売で働く女。実は昔、縁のあった二人それぞれの生活を追っていくのだが、通天閣の自殺騒ぎを通して、二人がニアミスする。
    この狂言の場面は一気に盛り上がり、涙を誘う。今まで行ったり来たり、停滞していたテンポが、急に速くなり、周囲をもまきこんでしまう。ここのシーンには、私も持っていかれました。よかったです。このギャップはさすが西加奈子さん。おもしろかったー。
    ここまで人生投げていても、前を向けるんだ、と信じられるお話。

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    2026年02月25日
  • 走れメロス 太宰治短編集

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    悪い王をゆるせなかったメロスは、はむかったため処刑されることになりました。しかし妹の結こん式のため、三日間だけ時間をもらいます。親友を身代りにし、メロスは走り出すというお話です。

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    2018年01月14日
  • こうふく みどりの

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    ネタバレ

    共感でも俯瞰でもない絶妙な距離感で見る中学生の初恋と失恋。
    (ちょっと風変わりだけど)ただの日常といえばそれだけなのに、狂おしいほど好きな場面が随所にあります。
    エビフライを尻尾まで食べるコジマケン。
    雨宿りしながら、タバコの箱を探す明日香。

    全編を通して、張り紙やパッケージの文言が勝手に目に入ってしまう演出でなされる、ごちゃっとした空気感も心地よい。
    いちばん好きな作家さんは西加奈子さんですが、西加奈子さんの本のなかでいちばん好きです。

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    2017年07月20日
  • きずもの

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    人間を言葉で括る違和感についてを言葉で書くことに挑戦している感じ。

    頼子がいちばんフラットなんだろうか、でも変わってるとか空気読めない、みたいなのは社会学的には異端なんじゃなかろうか、そう思ってしまう私は遅れている日本の体質に染まりまくってしまっているのだろうか。

    とはいえどうあっても自分が感じることに嘘偽りはない、ということなのかな。
    「我思う、故に我あり(朧げな記憶)」を思い出した。

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    2026年10月11日
  • くもをさがす

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    久々のノンフィクション作品。西加奈子さん本人が体験した乳がん宣告から治療終了までの記録が描かれている。驚いたのは、カナダと日本の医療の違い。医療システムも医療スタッフの働き方も全然違う。そして、なぜかカナダ人の会話が関西弁で訳されているのが笑えた。全体を通して言える事は、西加奈子さんには本当に信頼できる友人が多いという事。色んな場面で多くの友人が家族のように当たり前にサポートしている。西加奈子さんの人柄の良さの表れだと感じた。後半、手術も放射線治療も終了して定期検診だけになった時の、100%素直に喜べない気持ちや死への恐怖について描かれているところは複雑な気持ちだった。それにしても、全てを包み隠さず読者に共有したいと本を出版した西さんの勇気は素晴らしいと思った。

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    2026年10月10日
  • きずもの

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    なかなか難しく、読みごたえがありまくった。主人公の一人である小説家、貢と全く同じ年である私は、何度も、首がもげそうなほどうなずいた。ふせんだらけになった。今のこのSNS社会を、これだけのボリュームで、解像度の高いエピソードてんこ盛りで、面白く、深く書ける作家が、他にいるだろうか。

    それで長い感想を今、書いたのだが、間違えて消してしまい、もう一度書く気をなくしてしまったので、これだけ。

    「人生って寂しいよ。」

    ああ、でもまだまだ、生きていかなきゃならないのだ。

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    2026年10月09日