西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ琴子は、相手がどう感じるかを考えるより先に、自分が感じたことをそのまま言葉にする。これが小学生の普通なのか、と穿った目で見ている部分もあった(自分と違うところを持った人のことをいいなぁって思う感覚は痛いほどわかってしまうのだけれど)。でも、読み進めながら、琴子は特別に無神経なのではなく、自分の感じたことを強く信じてきた子なのだと思った。
妹か弟ができることが知らされたとき琴子が「なぜ自分も喜ばなければならないのか」と感じていたことを、自分が中学生のときに妹が生まれたことを思い出しながら読んだ。当時の感情は今でも言語化できない。なぜか涙だけただ流れていたのは思い出せる。
鼠男との出来事のあとウサギを自分の顔に乗せる場面は、鼠男があのとき何を言いたかったのか、怖かった気持ちを整理するより先に、イマジンしようとしたのかな。誰にも言えなくてつらかっただろうな、抱きしめてあげたくなった。
三つ子の姉に大切な自由帳を盗られていたこと、鼠男との出来事を誰にも話せなかったことも含めて、琴子はそれまで憧れていた「孤独」を、本当の意味で体験したのかな。自分の中にある気持ちを周囲の誰にも共有してもらえないときに感じる孤独は、本当に寂しいものだったんだろうと思う。言葉に重力を感じる感覚があってよかった。
まっすぐな琴子だからこそ、これからも自分の感覚を頼りに、人との関わりを諦める感覚を知らないまま生きていってほしいな、と思う。 -
Posted by ブクログ
この世界に生まれてよかった〜と
心から思える圧巻の最高傑作でした!!
本当に素晴らしかった…!!
読み終わったとき…
深い感動が胸に押し寄せて
しばらく言葉が出ないほどでした
シリアで生まれ
アメリカ人の父と日本人の母に養子として
引き取られた主人公・アイ
何不自由なく愛されて育ちながらも
成長するにつれて
「なぜ自分だけが恵まれた環境で生きているのか」という罪悪感と自問自答を
抱えるようになります…
世界中で起きる不条理な事件や事故に苦悩し
「自分」という存在の全否定と
肯定を繰り返しながらも
世界と自分を愛そうとする魂の軌跡を描いた物語
アイが葛藤の末に辿り着く光には
涙が溢れて止まりませんでした
カラフルで力強いアートのような表紙も
人間の生きるエネルギーと
美しさが感じられてとっても素敵♡
記憶消して もう一度感動を味わいたいです!! -
Posted by ブクログ
テレビ業界での激務で心身ともに擦り減っていく様子が、どうすることもでぎず、受け入れるしかない現実として淡々と描かれていて、助けてあげたいけれど手を差し伸べられない、そんなやり切れない気持ちで読み進めていました。でも最後の後輩ADが主人公にかけた嘘偽りない直球のメッセージで、現実を直視する姿勢と向き合う強さを与えてくれて、救われたような気持ちになった。そして私がこの物語から学んだことは、本当の強さとは弱みを見せられることなのかもしれないということ。世の中には自分と向き合い、解決法を見出し、恐怖を乗り越えられる人間もいるかもしれないけれど、恐怖を引き入れて、周囲との協調、協働を求めることも強さであり、正しい生き方のひとつであると感じた。
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Posted by ブクログ
32歳主人公夏目は、穏やかな凪の海みたいな恋愛をしたいと思っていたが、
彼のすることなすことすべてが琴線に触れる、ヒリついた恋をする。
とても正直な恋愛小説。
前半の夏目の想いが後半も続いていくのかと思いきや、友人の瀬田が女性を殴ったという所からのスピード感は半端なかった。グイグイ引っ張られていった。
ところどころ訳の分からないとこもあったけど、
腕を折ってしまおうか、とか、裸で白の絵の具を塗って壁に激突するとか、
読み終わったあとに、それは彼がそこにあったという徴(しるし)を、体に焼き付けるという意味だったんだと腑に落ちた。
夏目も殴られてた塚本さんも、
自分をはるかに超えるような、深みをさらに潜るような恋、
相手が自分では触れられない場所に触れてしまった、そんな恋をしてたんだと思う。
でも、足の指の爪を自分の歯で噛みちぎり、化け物のような自分を誰かに見てほしい、は突飛過ぎて意味わからなかった。
大阪弁が特徴的なんで、読みにくさもあるかもしれない。
でも私の今の歳で読んでよかったと思える小説だった。
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Posted by ブクログ
自分が恵まれすぎていることへの窮屈さ、被害者達の近くにいるだけで寄り添えていると勘違いしてしまう傲慢さ、キャラクターを主張することを奨励されるほど従うことに楽さを覚えること、自分の醜さから目を背けたくて世間との対峙を避け内向に向かってしまうことなど、アイに共感できる点が沢山あった。
でも、アイは自分に正直で嘘をつかないからこそ、真摯に向き合っているからこそ、それを理解してくれる人たちが周りにいて、答えをゆっくり待ってくれているのだと思った。
苦しみの中にいる人たちを思うこと、それは決して間違いではないし、それを大きく行動に移さなくてもいい。けど思い続け、何かの形にする・意思表示をすることが何かにつながるかも知れない。普段の会話では世界各国の戦争や死者などの話題にはならないし、なんとなくそういった遠くのネガティブな話題をわざわざ出してくることへの抵抗感はある。本最後の対談で西さんが「そういう話を日常に出してもいいんじゃないか」と言っていたが、自分が知らないのもあるけどそれはあまり共感できない(でもインドネシア人がよくインスタなどで各国のテロなどをストーリーに上げていて、こういうことかと思ったのとなぜ日本人とここに差が生まれるのだろうと思った)。ただ、これを機にもう少しだけ世界の出来事に関心を向けたいと思ったし、そんな死者数みたいな大きなことでなくても、自分の周りの苦しみを思い、それに対する自分の悲しみやその人がそこにいることの賛辞を送りたいと思った。
また周りは苦労しているのに、自分がこんな些細なことで苦しんでいるのは恥ずかしい、こんなことで文句を垂れるのは間違っているんじゃないかと思うことが多かった。しかしこの話では、誰かを思いやる気持ちと自分の幸せを願う気持ちは矛盾しない、と伝えてくれて、救われると同時に、今自分がここに「いる」ことを抱きしめたくなった。相手や自分が自分を信じられない・嫌いになることもあるかもしれないけど、確かに自分がここに存在するということは揺るぎない事実。それはわかっているはずなのに、日常での嫌なことがあると自分の存在意義までも否定したくなってしまう。今改めて自分がここにいることを再確認すると、自分はどう思うか、何がしたいかなど、自分を一人の人間として認め愛したくなる。 -
Posted by ブクログ
中巻を読んだ勢いでそのまま読み、3巻合わせて3日で読破した。
中巻の感想でサラバ要素が薄まっている懸念を書いたが、最後でしっかり回収されてよかった。
まさか貴子があんなに人が変わるとは!!!
大変ボリューミーな作品であり、上中巻を読んでる時は先の読めない焦ったさもあったが、最後は鮮やかに締めくくられてよかった。下巻だけ星の数が多いのも納得。
読後に色々調べての追記:
東野圭吾の選評が面白い。
確かに、手紙の差出人の件は私も引っかかった。
イランで始まることと、筆者紹介を見て(テヘラン生まれ)私小説か?と思ったが、主人公が男なので違うかと思った。
しかし、宮城谷昌光の選評を読んだり、作者のWikipediaで経歴を調べると、居住地が結構被ってて、自叙伝なのかなと思うようになった。
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