あらすじ
2015年本屋大賞2位!作家10周年作品。
両親の離婚、そして帰国。母の実家のそばに住む母子三人は、次第にバラバラになっていった。
母は頻繁に恋人をつくり、サッカーに興じる歩は高校で同級生の須玖に影響を受けていく。姉は、近所に住む矢田のおばちゃんが宗教団体の教祖のように祀り上げられていくなか、次第にそこに出入りするようになった。
そして、阪神淡路大震災が起こった。それは歩の生活にも暗い影を落とし、逃げるように東京へ向かう。脳が蕩けるような学生生活を経て、歩はライターになった。だが、その先で、ある取材を依頼される。そこには変わり果てた姉が絡んでいた。
(底本 2017年10月発行作品)
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
色々深刻なのに、サトラコヲモンサマの由来だとかおかしみと不気味さと色々で、面白く読み進められる。大学生になった歩と姉と家族。最後に出家する父に、やっと歩が自分の気持ちをぶつけるところで少しスッキリしたが、すでに悟りを開いたかのような父はまさに暖簾に腕押しで、続きが気になる!!!
Posted by ブクログ
「自分の家族のある1人が、自分を形作るものかたちの中で唯一の汚点だと思う」
「自分にどうしようもなく寄り添ってくれる一行を見つけると、体中が悦びにふるえた。この言葉は僕だけのものだ、そう思えた」
めちゃくちゃ分かる。大共感。
小説を読む理由って、自分が全く知らない世界を旅してみたいが1番に来るなと思っていた。
けど、全く違う世界に生きている人たちと自分を重ね合わせ、時には比べて、1人じゃないと思いたいからなのかなーとか思ったりして。
Posted by ブクログ
癖が強い登場人物ばかりなのに、それがリアルに感じてますます引き込まれた。
家族に振り回されたり、友達を助けたいのにどうする事も出来なくて避けてしまったり、共感できるところがあった。
サトラコヲモンサマの謎にすっきり。
どんな下巻になるのか楽しみ。
Posted by ブクログ
やあ、面白い小説だった。上中下3巻があっという間に読めてしまう……といいつつ進むのがもったいなくて故意に時間をかけて読みもした。
主人公の歩の前半生(30歳くらいまで)がヤコブや須玖といった親友・ソウルメイトをの結びつきがあるし、高身長のイケメンだしで順風満帆でそのまま痛快に人生を生きていくのかと思いきや、30歳過ぎからどん底に落ち込んだのが衝撃。
しかもそれは、家族や人々の間でうまいこと立ち回ってきたがゆえ、うまいこと立ち回ろうとするがために自分の芯をなくしてしまっていたというわけ。歩が幼い頃から自己顕示欲が強い面倒な存在だと思っていた姉が、それらの言動は実は自分の芯を求めるための遍歴であり30歳を過ぎてすっかり落ち着いたのと正反対であるかのように。
歩が自分に芯がないことを指摘され懊悩するあたりは、これまでの軽快・軽妙なストーリーから一転しなかなか読むのも苦しかった。なぜなら、芯がないとは不甲斐ない自分に向けられた言葉のように響いたから。
それにしても、歩がイランで生まれ幼少期をカイロで過ごしたというのは著者と同じで、ということはこれは自身の体験がかなり反映された作品なんだろうか。だとしたら、著者は女性なのになぜ歩という男性を主人公に据えたのだろうか。でもこういう物語は男子が主人公……というか思い悩んだ末に光が差し始めるという役回りに合うような気がしてしまう。
Posted by ブクログ
この巻良かった。宗教について不思議に思っていたことの答えが分かった気がする。
自分で自分が信じるものを見つける。
これだと思う。みんな多くの人がその時代、その時代、不安で厳しい生活しかない世界だった。だから、外にすがれるもの、心の拠り所となるものが欲しかったし、必要だったんだ。あとは、今現代より見えないものを信じる気持ちが今よりはるかに純粋だったとも思うし、大きくなってからも親への従順さとかも違っただろうし。そして、自分が信じたものが間違いだったなんて、そうそう信じられないし、自分の信念みたいになってからはそれを手放すのはかなり難しいからね。他人に無理強いさせなかったとしても、ある意味心を囚われると枠外のことやものは見えなくなるし、受け入れ難くなる。
では、宗教とこだわり、との違いはなんだろうか。
Posted by ブクログ
歩は人のことをよく見ている。自分のこともよく分かっている。客観的に見ている。動悸は不純でも、物事を楽しんでできる。本人が意図しなくてもできてしまう。本当に上手くやっている。羨ましい。そして疎ましい。
この小説は声に出して笑ってしまう描写がちょこちょこある。
姉は巻貝になっていたっていうのもウケたし、サトラコヲモンサマの正体について、知った時は本当に爆笑してしまったし、でもその冗談じゃなくその名前にした矢田のおばちゃん、本当にすごいなって……悩める人が悩まなくてもいいように、信じれる対象や場所を作ってあげたこと、すごいなって思った。
祖母が死に、母は再婚し、姉は大量の巻貝を作り、最後に父が出家することになって、涙がちょちょぎれた……山に母と姉がこもればいいと歩が思っていたことが父が叶えてしまう面白さと、悲しさとやりきれなさと……すごい小説だと思った。これは直木賞とるわと思った。
Posted by ブクログ
サトラコヲモンサマ、、
人の心の支えになるもの、たいそうなものでなくていい、信じられるものなら何でもいい、自分たち人間では手に負えないこと、自分たちのせいにしていては生きてゆけないこと、それを一身に背負う存在、 きっと必要なものだろう。
Posted by ブクログ
上巻(1、2章)で蒔いた種が芽を出して来ているような、いわゆる伏線回収が上手い。阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件のような過去の出来事と、それによって揺り動かされる登場人物たちの心情のリンクが自然で、実際に生きている人間のリアリティがある。
Posted by ブクログ
中巻も面白いのだけど、主人公歩がちょっと腹立つ。
いつだっていい子ちゃん狙いでずるい奴。
宗教や性別、普段の生活で自分に関係ない限り踏み込まない、見ない、分野がとても身近に考えさせられる。
腹の立つ歩ではあるけど自分だって直接関係なかったら歩のように単なる傍観者や触れないように過ごしている人間かもしれない…
と思うとこのズルい、という感覚は案外多くの人に当てはまるのかも。
と、自分にも残念に思う…。
と同時にスグの意見は公平ですっとする。
こういう風に考えられると人を尊敬し、大切にできていて良いな、と思う。
Posted by ブクログ
話が一気に展開して上巻からは別の物語になったかのようですがやはりぐいぐい引き込まれました。さらに下巻はどのような展開を見せるか楽しみでなりません。
Posted by ブクログ
'でも今、僕は、初めてそう思ったように、激しく傷ついていた'310
歩の俯瞰的というかどこか常に冷めている視点は、幼い頃は大人びた透き通ったようなものとして感じられたけど、成長するにつれて高慢さや承認欲求が染み込んできて捻くれたものとして感じられた。
Posted by ブクログ
島崎和歌子さんが出てきませんが、やっぱ私はどんなに酷い目に遭った可能性があったとて共学の学校に行きたかったなあというか、せめてチャンスは欲しかった、実際生活してみて何も華やかな思い出が出来なかったとて、はなからチャンスを0にされることのしんどさはエグくて、それは今私は中学高校時代が暗黒期だという被害者面で考えてるけども、性別や国籍や家庭環境やらで何かしようとしたときにはなからチャンスを0にされてる人ってたくさんいて、そういう人たちにせめて1%だけでもチャンスを与える社会を作ることに私が加勢できたり、もしくは私の立場ならある人のチャンスを0から50くらいまでに上げられるのなら上げる行動をしないとなあとか、本そのものの内容とあんま関係ないんですけども強く思いました。
Posted by ブクログ
『サラバ! 中』を読んでまず感じたのは、これは一人の青年が大人になっていく物語ではなく、「周囲にうまく合わせて生きることと、自分の人生を生きることは同じではない」と描いた作品だった。
上巻で少年時代を過ごした歩は、中巻では青年から大人へと成長していく。恋愛をし、人間関係を築き、仕事を始め、少しずつ社会の中に自分の居場所を作っていく。歩は決して生きるのが下手な人間ではない。むしろ相手が自分に何を求めているのかを察し、その場にふさわしい自分を演じることができる。周囲から見れば、それなりに順調な人生を歩んでいるように映る。しかし読み進めるほど、その器用さの裏側にある空虚さが少しずつ見えてくる。
この中巻で印象的だったのは、歩が「自分は何を望んでいるのか」よりも、「自分はどう見られているのか」を基準に生きていることだった。嫌われないように振る舞い、求められる役割を察し、周囲との関係を壊さないように生きる。それは社会で生きていくうえでは必要な能力でもある。しかし、それを続けているうちに、自分自身が何を好きで、何を大切にし、何を信じているのかが分からなくなっていく。歩の人生を追いながら、器用に生きられることが必ずしも強さではないのだと感じた。
その意味で、姉・貴子との対比も面白い。周囲とうまく馴染めず、何かと問題を起こしてきた貴子と、空気を読みながら要領よく生きてきた歩。上巻では歩のほうが圧倒的に「まとも」に見えていた。しかし中巻まで読むと、その見え方が少しずつ変わってくる。周囲からどう思われようと自分の内側にあるものを無視できない貴子と、周囲に適応することで自分の内側を見ないまま生きてきた歩。どちらが生きるのが上手なのか、簡単には言えなくなっていく。
読んでいて何度も考えたのは、人は他人から認められることで、自分自身まで肯定できたような気になってしまうのではないかということだった。仕事がうまくいくこと、誰かに必要とされること、人から好かれること。それらはもちろん嬉しい。しかし、それだけを自分の価値の根拠にしてしまえば、評価されなくなった瞬間に自分を支えるものまで失ってしまう。歩の危うさを見ていると、自分の中に「これだけは大切にしたい」と言えるものを持つことの重要さを考えさせられた。
『サラバ! 中』は、歩が社会へ出て成長していく物語ではない。周囲に合わせ、評価され、それなりにうまく生きてきた人間が、その生き方だけでは自分自身を支えられないことに少しずつ近づいていく物語である。上巻で描かれた家族や異国での経験が、中巻では「自分は何者なのか」という問いへと形を変えていく。読み終えたあとに残るのは、歩のこれからへの興味だけではない。自分が今選んでいるものは、本当に自分が望んだものなのか、それとも誰かから良く見られるために選んだものなのかという、簡単には答えられない問いだった。
#2026年32冊目
Posted by ブクログ
中巻はほぼ日本での出来事だったから、読んでてのワクワク感は上に劣るかも。
でも、歩の思春期など、1番変化する時期をうまく切り取って描いているなと感じた。
タイトルにもなっている「サラバ!」の要素が薄まっているというか、確実に無くなりかけてるけど、下巻で回収されるのだろうか?
チャトラの肛門様、という意味だったのは面白かった。
Posted by ブクログ
思春期から大人への話。
上と比べると重い話が多くて辛い場面も多かったけど、主人公・歩が歩んでいく人生を間近で見ているような気持ちになった。“家族”ってなんなんだろう、そう考えることが多い作品でした。
ヤコブとの話がすごく好きだったのでまたヤコブに登場してもらいたい... 続きも楽しみです!
Posted by ブクログ
ついにサトラコウモンサマの謎が解き明かされた!西加奈子の自叙伝と言うけど、波乱万丈すぎるここまで緻密に想像力で書けるんかなと思う。しかし、関西弁はやはり生粋にしか書けないんだろうな・・
Posted by ブクログ
書き手が違えば鬱小説になってもおかしくないくらい、割と重いエピソードが続くんだけど、飄々と淡々と書かれていて全く悲壮感は無い。
それが主人公らしさ(昔から大人にならざるを得なかったとか、物事を等間隔で見た文章を書くらしいアーヴィングが好きだとか)が出てて良いと思った。
出てくるキャラが全員かなり現実味もあり人間臭いので、この人ムカつくなとか、友達になりたいなとか思ってしまう。
小説の中の出来事って感じではなく、親しい知り合いから半生を聞かされている気分。めっちゃ面白い
Posted by ブクログ
面白くて一気に読んじゃいました。中巻。
実は男性が書いてるんじゃないの?って思うくらい思春期の男の子の心理描写や友達とのやり取りまでありありとしていて驚きました。目から鱗って感じで読みました。歩も憧れていたお友達の須玖くん、素敵だなぁ。こういう人は救われてほしい。
姉と父、宗教的なものを含め「何を信じるか」がちょっとキーになってくるのかなという気がします。相変わらず母のキャラクターは強烈。
さていよいよラスト下巻!どんな展開になるのか楽しみです。
Posted by ブクログ
一見、爽やかで順風満帆な学生時代の話に見える。
確かに不安定な家族。
しかし高収入の父のおかげで家族は不足なく暮らしている。私にしてみれば大概恵まれているようにみえる。
巻の最後で、歩が父に対して苛立ちを見せるところがあるが、自身の娘と重なる。
親が子供の行動に干渉することを嫌がるのに、なぜ親の価値観や行動に苛立ちを覚えるのか。親に何を期待しているのか。
もう一度読み返してみる、または下巻を読むことで何か見えてくるのか。
期待せず読み進めることとする。
Posted by ブクログ
家族のいざこざの深みが分かる。と同時に自分の家族は本当に平和だったのだと気付かされる。家族の問題は考えや判断に直に影響をする。もしも然る立場になるのだったら、家族を持つ責任感を強く持たないといけない。けど、重い雰囲気を感じさせない面白さが沢山あり、ラストのおばちゃんの話は特に好き。面白すぎる笑
Posted by ブクログ
父の海外赴任から日本に帰国し、母と姉の三人での日本での生活が始まる。
歩の思春期にフォーカスした「中」では、承認欲求(私を見て!)はたまたプライドが至る所に描写されている。
歩は自身の家族の影響もあってか、その特徴をもたない者に関心を抱き、魅了されていく。
ライターになったのも、文章を書くことが他人の目につかない行為だったからだろう。
自分も他人からの見られ方は気にするし、よく見られたいと常に思っている。
SNSの影響で承認欲求の箍がはずれている現代で、そのような人はとても魅力的だし、自分もそうでありたい。
Posted by ブクログ
中学から高校、そして大学生から社会人へ。可愛かった歩がこうやって大人の階段を登っていくことを息子の未来と重ね合わせてしまう。結局美男子で付き合う子たちも美人さんで、須玖くんなや夏江おばさんやその後の映画サークルのおかげで小説や英語や音楽の蓄積もされていて関西弁、かつ、苦手なもの(人)もしっかりある。好感度100%。上巻にでてくる巻き貝やサトラコヲモン様がここにきて重要なキーワードになってくるのがまた面白い。成長とともに社会的なニュースも入ってきて、このあと下巻でどこまで進むのか、何歳までいってしまうのか、楽しみ。
Posted by ブクログ
感想は下巻で
須玖くんが小説や映画に没頭するようになったきっかけが現実逃避だということ。ドキッとした。私もそんな時期があった。まさしく逃避だった。
須玖くんは芸人の又吉さんぽいなぁ。
歩から見る男性は単純で優しくて分かりやすい。
女性達は皆個性的でマイペース。
Posted by ブクログ
中巻。なるほど何か大きなことが起きるというわけではなく進んでいく物語なのか、と思い他読み進める。主人公の感情が比較的薄い分周りの登場人物が十人十色で魅力的。下巻を読んだ時にどのような景色を見ることができるのか、と思い読み進める中巻。
Posted by ブクログ
『サラバ!』2015年直木賞受賞作、西加奈子の自伝的小説。イランで歩が誕生してからお話がはじまる。僕、歩はイランで幼少期を過ごし、父の転勤に伴い帰国後の多感な青春時代を経て、現在は雑誌のフリーライーターとして独り立ちしている。ここまでが上巻から中巻までのお話。
物語の主題は家族である。両親の離婚後は母方の実家の近所で暮らすのだが、姉の暴走は止まらない。猟奇的な姉と自分が一番大好きな母、世捨て人みたいな父そして、家族から離れた反動で大学時代はヤリチンになってしまった僕。家族の成長物語がサラバである。