あらすじ
これは、あなたを魂ごと持っていく物語。
姉・貴子は、矢田のおばちゃんの遺言を受け取り、海外放浪の旅に出る。一方、公私ともに順風満帆だった歩は、三十歳を過ぎ、あることを機に屈託を抱えていく。
そんな時、ある芸人の取材で、思わぬ人物と再会する。懐かしい人物との旧交を温めた歩は、彼の来し方を聞いた。
ある日放浪を続ける姉から一通のメールが届く。ついに帰国するという。しかもビッグニュースを伴って。歩と母の前に現れた姉は美しかった。反対に、歩にはよくないことが起こり続ける。大きなダメージを受けた歩だったが、衝動に駆られ、ある行動を起こすことになる。
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『非色』から立て続けに、シビレる作品で呆然としている。上巻以上に一気読みだった。
終盤は「自分を信じて生きるとはどういうことか?」という壮大な問いを掲げている。
エジプトの記憶が巻き戻り、歩の人生にとってかけがえのないものとなっていく展開、最後の一文の綺麗すぎる伏線回収で心身まるごと清い渦にのみ込まれた。
本を読み進めながら、自分の仕事の悩みを文章に乗せて考えていた。
何度挑戦しても自信が持てなかったのは、自分の内ですでに根拠をもって意思決定しているのにもかかわらず、
リーダーや先輩から「それは間違ってるかも、うまくいくのか?と問われたらどうしよう」という妄想が常に付き纏っていて、思った通りに行動できていなかったからだと気づいた。
万人受けする選択をして、「本当はこうしたかったのに」という感情を抑え込んで仕事をしていたから自信が持てなかったんだ。
自信がないから行動できないのではなく、思い通りに行動できていないから自信が持てないんだ!
相当な時間悩んでいた仕事観に終止符を打つような最適解を、この作品を通して叩き出せたことは大きい。
自分を信じて生きることに成功した歩の姉は文字通り自信をつけていて、対照的に歩はどんどん自信を喪失させていく。
西加奈子先生に今ものすごいことを言われた気がするんだけれど、まだ完全に自分の丹田に落とし込めていないような、そんな文章に出会えた貴重な作品。悩んだ時にまたこの作品を通して生きる活力としていきたい。
「私が、私を連れてきたのよ。今まで私が信じてきたものは、私がいたから信じたの。
分かる?歩。
私の中に、それはあるの。「神様』という言葉は乱暴だし、言い当てていない。でも私の中に、それはいるのよ。私が、私である限り。」
「僕の好意さえ、誰かに監視されたものだった。
みんなが見て羨ましがるような女か、恥ずかしくない女か。
僕は鴻上を好きにならなかった。澄江を恋人にしていることを恥じた。誰かの言葉を恐れて、それを隠した。僕は自分の何も信じていなかった。僕は自分の周りにあるものばかりを信じた。
その真理に寄り添い、おもねり、自分の感情を無視し続けた。」
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『サラバ!』を読み終えてまず感じたのは、これは一人の男とその家族の半生を描いた物語ではなく、「自分の人生を、自分で信じて生きるとはどういうことか」を描いた小説だった。
主人公の圷歩は、イランで生まれ、エジプト、日本へと居場所を移しながら成長していく。自由奔放な母、存在感の薄い父、そして強烈な個性を持つ姉・貴子。家族に振り回されながら育った歩は、やがて周囲の空気を読み、人から求められる自分を演じることが上手な人間になっていく。恋愛も仕事もそれなりにうまくこなし、外から見れば順調な人生を歩んでいる。しかし、その人生が少しずつ崩れ始めたとき、歩は初めて「自分は何を信じて生きてきたのか」という問いと向き合うことになる。
上・中・下巻とかなり長い小説だが、不思議と長さはほとんど感じなかった。特に上・中巻は、『深夜特急』を読んでいるときに近い心地よさがあった。海外での暮らし、家族との出来事、学校、恋愛、仕事、人との出会い。何か一つの大事件に向かって物語が一直線に進むのではなく、歩の人生を隣で眺めながら、その時々の場所や人間関係を一緒に旅しているような感覚がある。この先どこへ向かうのか分からないまま人生の断片を追っていく時間そのものが面白く、三巻という長さがむしろこの作品の心地よさになっていた。
上・中巻を読んでいる間は、家族の話、海外での生活、恋愛や仕事など、一見するとまとまりのない人生の断片が続いているようにも見える。しかし下巻まで読み終えると、そのすべてが必要だったことが分かる。歩が何を経験したかだけではなく、それらの経験を通して「自分自身の人生を生きる」という場所へたどり着くまでの長い時間そのものが、この小説だった。上・中巻で何気なく読んできた出来事や人間関係が下巻で次々と意味を持ち始め、「ここまで歩の人生を一緒に見てきたのは、このためだったのか」と感じられる。その回収が本当に見事だった。
特に印象的だったのは、歩と姉・貴子の対比である。周囲に馴染めず、問題ばかり起こしてきた貴子と、空気を読み、要領よく生きてきた歩。ずっと歩のほうが「まとも」に見えていた。しかし物語が進むにつれて、その見え方は完全に変わっていく。貴子は不器用ながら、自分が信じられるものを必死に探し続けていた。一方の歩は、他人からどう見られるかを基準に自分を作り続け、自分自身の内側にあるものと向き合わずに生きてきた。うまく生きることと、自分の人生を生きることは同じではない。そのことを二人の人生が鮮やかに浮かび上がらせていた。
読んでいて何度も考えたのは、人は知らないうちに、自分の価値を決める権利を他人へ渡してしまうということだった。仕事で評価されること、誰かから好かれること、世間から「うまくいっている」と思われること。それらを失ったとき、自分には何が残るのか。自分の価値を他人の評価だけに預けていれば、その評価がなくなった瞬間、自分まで失ってしまう。だからこそ、「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない」というこの物語のメッセージが強烈に残った。
そして最後まで読んで、ようやく『サラバ!』というタイトルが好きになった。これは単なる別れの言葉ではない。過去を消すことでも、傷つけてきた人を否定することでもない。家族も、失敗も、これまで歩いてきた人生もすべて自分の中に残したまま、それでも自分の人生を支配してきた他人の価値観には別れを告げる。その先で、自分が信じるものを自分自身で選び直す。その決意が『サラバ!』という言葉に込められているように感じた。
『サラバ!』は、自分探しの物語ではない。どこかに存在する「本当の自分」を見つけるのではなく、何を信じて生きるのかを自分で決め、その選択によって自分自身を作っていく物語である。
そして、この作品は下巻まで読んでこそ完成する。だからといって上・中巻が下巻のための長い前振りなのではない。歩の人生をゆっくり追いかけ、海外を旅し、家族に振り回され、恋をし、働き、人との出会いと別れを繰り返す。その時間が十分に面白い。そして、その長い時間を歩と一緒に過ごしたからこそ、下巻で描かれるものが圧倒的な重さを持つ。
もし途中で「長いな」と感じている人がいるなら、それでも最後まで読んでほしい。下巻までたどり着いたとき、それまで何百ページもかけて読んできた歩の人生が、一つの大きな意味を持ってこちらへ返ってくる。その感覚まで含めて『サラバ!』という小説なのだと思う。
読み終えた瞬間だけではなく、これから仕事や人間関係で迷ったときにも、きっと思い出す小説になる。
自分の人生を決めるものを、他人の評価や世間の常識に預けてはいないか。そして、自分は何を信じて生きていくのか。
『サラバ!』は、その問いをこれからも何度も思い出させてくれる。長い物語を最後まで読んだからこそ、この言葉を迷わず言える。最高の小説だった。
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なるほどねーそう着地したかという感じ。確かに中あたりを読んでいる時はあのエジプトの話はただの幼少期の話でしかなかったのかと思っていたが、こう伏線回収きたか!と。
一つの救いは、はちゃめちゃな姉貴子に救いがあったこと。前半は、育てにくかったかもしれない自分を重ねつつ、親目線で、こういう子育ての辛さ、キツい…と母にも同情していたのだが、苦しみ探し続ければ安寧が訪れるのだということに安堵した。
では平穏な幼少期を過ごした(というかいい子ちゃんを演じざるを得なかった)歩が、後年もがくのも可哀想で、別に苦労がない人生だっていいじゃん…親に翻弄されなければ一生平穏な人だっているのに、と思ってしまうが、まあ自分を取り戻せたということだろう。それにしても育てにくい子がいれば親の教育が悪いと言われ、いい子すぎると我慢させてるんじゃないのと言われる理不尽な世の中である。母もあっけらかんとしているが、大変だったと思う。それに比べて父親たるや。自分の恋愛ごとにかまけて1人過去に沈んで出家してワンオペさせてんじゃねえよ、何1人で体鍛えてんの、と全く同情できない。
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自分の人生に向き合わず逃げ続けからどうなるか。
子供の頃、歩は裕福ヤコブは恵まれない生活をしていて、大人になったら逆転しているのがいたたまれなかったが、最終的に歩も救われてよかった。
実は傷つけられた側だったとしても母親にはずっとムカつきながら読んでた。
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読み終わる頃には何か大きなものを受け取っていた。人から見た自分って無意識に気にしてしまうけど、自分の物語を描くペンは自分で握っていたい、と思った。相手がどう感じるかは気にしたい、でも相手から見た自分は気にしない自分でありたい。
今は辛く感じてる出来事も形を変えながら育つ化け物なら、良い形に育てていきたい。
Kさんが末期がんを理由に会いたいと言ってくるのはあまりにも自分のことしか考えてない感じだし、罪悪感から会いに行く父も、母の気持ちを考えてなく、自分の罪悪感を軽くする為の行動な気がしてモヤモヤした。
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歩がハゲ始めたところでざまあみろとおもった。
いけすかない主人公だけど、私にはこんなところはないなんてとても言えない。
愛する友人の幸せを祝えなかったこと、今の楽さを優先して行動しなかったこと、本気で物事に向き合おうとしなかったこと。人からどう見られるかを生き方の基準にしたこと。こいつの全て私にもこころあたりあるからムカつく
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おもしろかった!
自分の信じるものを信じている自分を信じている、、。あまりに達観している。
兎にも角にも、禿げっていうのは人の心に大きな傷を残すことがわかった。
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自分が本当に信じてることってなんだろう?自分が何が支えになってここまで生きて来れるようになったんだろう?とかそんなことを考えたりもした。自分の事で照らし合わせれば、新入社員からずっと営業をしてて、『本当にこれでおじいちゃんになって退職してもいいのだろうか?』と考えることが多く、副業したりとか転職したいとか思って行動したりとか色んなことをしてきた。でもそれってサラバ!を読んだら姉がずっと探してた何か『化け物』?なのかもとか思ったりもした。自分自身に正直に心動かされるもの、それが自分が本当に信じれることなのかもなと思った。あとサラバってどんな意味なのかを考えた時に化け物になれない自分にサラバって意味もあるし、なんか自分自身に馴染んでるものの親しみもある意味にも感じた。ヤコブとの楽しい日々は自分に正直になれた時でそれに対して親しみを持つという感覚もありーので色んな解釈が自分の中になった。姉は奇行を繰り返してた描写が多かったが、自分探しの旅の延長で常に正直に生きてきたのだと思うし、自分はそれができてるのかと思う。出来てるか出来てないから将来の自分が決めることなのだと思うけど、今を精一杯楽しんで生きてくことに価値がある、そんな気がした。
Posted by ブクログ
下巻を読み終えて振り返ると、上巻中巻にも全く無駄な話がなかったなぁと感心した。すべてのストーリーが結末につながる意味のあるものだったことに感動。
中巻で感じていた違和感(歩の苛立ちの身勝手さ)が間違っていなかったことがわかって、個人的には胸のつかえが取れた感じもあって爽快。
あなたの信じるもは、あなた自身で見つけにいかなければならない。そしてそれは既にあなたのすぐそばにあるはず。
この物語ではその一例が登場人物の数だけ例示されているに過ぎず、あくまで表面的なもの。本質の答えはそれぞれが生きる意味、生きる根源を心の芯として見いだせるかどうかだから。
それがある限り、生活に付随する全てはどれもご褒美に感じてしまう。幸せ。
Posted by ブクログ
上中下の3部作、歩の37歳までの物語。
1人の人生を覗き見た感覚。読み終わった時の余韻は他の作品では味わえない。
37歳までの人生を歩目線で描くからこそ人生の紆余曲折が描かれる。
読者のその時の置かれている環境、年齢などによって同じ読者でも感じることが違う気がする。
自分が人生に迷った時にまた戻って来たい。
正直、この作品の凄さを上手く言語化できる気がしないけど、なんかすごい。
自叙伝の形で進む本作、なぜそのような文体なのかは最後に回収?されなるほどなとなる。
「自分の人生において何を信じるのか?」それが今作のテーマ。
この本の中で信じるものの正解は明確に描かれてはおらず、それぞれの登場人物なりの答えは描かれている。
最後に読者へ「信じるものは自分で見つけなあかん」と提示されている。
僕は今26歳。作中の「ある日気づいたら、僕は30歳になっていた」という一文に妙に喰らってしまった。
このまま生きていたら歩と同じことを思う気がする。
そんなことを思いここ数年は毎日日記を書くことにしている。
そして、3月に新卒で入った会社を辞め4月から転職。
3月までの会社で感じたことを改めて文章に残しておこうかなとここ半月思っていたがなかなか取り掛かれずにいた。
歩の最後の自分の人生を小説にして、これまで生きて来た自分の人生の時間を肯定し信じるという選択に今の自分を重ね、このタイミングでこの本を読んだことに意味を感じてしまった。
だからこそやはり自分の直感を信じ、前職で感じたことを文章にしたいと思った。
その期間の自分を肯定するために、未来の自分を助けるために。
Posted by ブクログ
やあ、面白い小説だった。上中下3巻があっという間に読めてしまう……といいつつ進むのがもったいなくて故意に時間をかけて読みもした。
主人公の歩の前半生(30歳くらいまで)がヤコブや須玖といった親友・ソウルメイトをの結びつきがあるし、高身長のイケメンだしで順風満帆でそのまま痛快に人生を生きていくのかと思いきや、30歳過ぎからどん底に落ち込んだのが衝撃。
しかもそれは、家族や人々の間でうまいこと立ち回ってきたがゆえ、うまいこと立ち回ろうとするがために自分の芯をなくしてしまっていたというわけ。歩が幼い頃から自己顕示欲が強い面倒な存在だと思っていた姉が、それらの言動は実は自分の芯を求めるための遍歴であり30歳を過ぎてすっかり落ち着いたのと正反対であるかのように。
歩が自分に芯がないことを指摘され懊悩するあたりは、これまでの軽快・軽妙なストーリーから一転しなかなか読むのも苦しかった。なぜなら、芯がないとは不甲斐ない自分に向けられた言葉のように響いたから。
それにしても、歩がイランで生まれ幼少期をカイロで過ごしたというのは著者と同じで、ということはこれは自身の体験がかなり反映された作品なんだろうか。だとしたら、著者は女性なのになぜ歩という男性を主人公に据えたのだろうか。でもこういう物語は男子が主人公……というか思い悩んだ末に光が差し始めるという役回りに合うような気がしてしまう。
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あらすじを見てあまり興味が持てないまま敬遠してきた本だったが、たまたま機会がありオーディブルで聴いてみた。最初は正直何を聴いているんだ…というくらいよくわからなかったが、なんだか止められず気づくとすっかり引き込まれてしまった。下巻あたりまで来るともう親戚の子供か自分の弟かと言うくらい歩くんが身近な存在になってしまい、彼が悩んでいることに心が傷んだ。まさか最後に涙することになるとは思わなかった。いい本に出会えた。
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上中下巻からなら壮大な歩くんの半生記。読みやすいストーリーと「これでもか」というくらいの個性的なキャラクター群に引っ張られ、速攻読破!誰しもが悩む「じぶんの指標」について考えさせられる。「10代のうちに読んでほしい!」とオジサンからのオススメです!
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宗教、生き方、信ずるもの。それぞれの人生において見えないけれど非常に大切なもの。
人ひとりの人生を追うことって、本当に面白い。それぞれにドラマがある。
争いを避けるために中立にいる。それによる存在を消してしまう能力。それは相手を思いやりながらも、結果的にはいつまでも使える方法では無かったし、積極性が無いがゆえの受け身な決断には自分の気持ちが無いという負の部分ともなった。
にしても主人公の深い自叙伝、回想録であった。
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歩の成行とそれを励ます姉という、今までの話から予想外の展開に胸を打たれた。
そのあとの父母やヤコブ再会も大きなポイントだと思うが、個人的に一番きたのはそこ。
凄いスケールの話で読み応え抜群。
左足からはじまり左足で終わるのも見事。
凄い神様だ。
Posted by ブクログ
怒濤の下巻。
家族に振り回される美しい男の子の自叙伝のようなものと思って読んでいたのにまさか。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ。」
ちょっと凄すぎて感想がまとまりません。
Posted by ブクログ
後半から気持ちが揺さぶられてばかりいた。
姉からの 「ずっと揺れている」「芯がない」「芯を持ちなさい」の言葉。
まるで自分に言われているようで、苦しかった。
唯一の居場所だと思っていた須玖と鴻上と自分の3人の世界も、打ち砕かれた。2人の告白の前に私も動悸がした。
本当は鴻上が好きだった。
自分が好きなものを恥じていた。
自分を信じていなかった。
そんな自分が嫌いだった。
大嫌いだった。
ここの描写に天を仰いで泣いた。
刺さった。言葉が槍みたいに身体中にグサグサと突き刺さったのを感じた。
カイロへ再び降り立った際、ヤコブと再会した。しかし、ヤコブとの間に大きな隔たりがあることを思う。でも、魔法の言葉、サラバとまた出会う。
そして歩は気づく。
サラバがあれば大丈夫。
私にとって信じられるもの、すくいぬし、サラバは夫だ。間違いない。この小説を読みながらそう感じたし、私は夫に出会った時も私を救ってくれた人だと思ったものだった(今思い出した!)。
夫を、家族を大切にしたい。
そう思う私を信じたい。
この小説に出会えて本当によかった。
大切なことに気付かされた。
稚拙な言葉でしか言い表せなくて申し訳ないけど、本当にそう思う。
そしてまたいつか読み返したい。
自分ことが嫌いな私だから、また自分が嫌いになりそうな時に読み返したい。
Posted by ブクログ
中巻を読んだ勢いでそのまま読み、3巻合わせて3日で読破した。
中巻の感想でサラバ要素が薄まっている懸念を書いたが、最後でしっかり回収されてよかった。
まさか貴子があんなに人が変わるとは!!!
大変ボリューミーな作品であり、上中巻を読んでる時は先の読めない焦ったさもあったが、最後は鮮やかに締めくくられてよかった。下巻だけ星の数が多いのも納得。
読後に色々調べての追記:
東野圭吾の選評が面白い。
確かに、手紙の差出人の件は私も引っかかった。
イランで始まることと、筆者紹介を見て(テヘラン生まれ)私小説か?と思ったが、主人公が男なので違うかと思った。
しかし、宮城谷昌光の選評を読んだり、作者のWikipediaで経歴を調べると、居住地が結構被ってて、自叙伝なのかなと思うようになった。
Posted by ブクログ
上中は面白い!だが、下は苦しい
宗教、生活、仕事、家族、友人、恋人(粒度バラバラだが)などに課題を抱える人の希望になる作品なんだろう(自身は特に課題を感じていないので自分のための本にはならないのだが、2026.07.20現在)
(メタ的な話として)物語に何を見出すのか、なぜ物語を読むのかということを考えた。
5割は娯楽(暇つぶし)。3割は本を読む文化人(というのはかっこつけなのだが)でありたい。残りの2割は客観的な自省だろう。
様々なキャラクター、文化、生活が登場する。
共感はしえないが、(つまりはポジショントークの物語のキャラと同じ気持ちになって喜怒哀楽を覚えることはないが)彼ら彼女らのバックグラウンド、それを基にしたキャラクターになりきってその心情を察する。(ことを客観視というとして)客観視を通して現実世界の事象や人の行動の理解、それを踏まえた自分自身の立ち振る舞いのあるべき姿を自省する。サラバ!は特にこの要素が強いなと、備忘。
Posted by ブクログ
中を返却日を過ぎ読んだ!と思ったらなんと下は2日で読み切ってしまった!圧倒的スピードで読み進んだ。又吉の解説も読後を整理してくれた。西加奈子、、恐るべし。
Posted by ブクログ
自分と向き合った時間は、いつか自分を支える
主人公の歩は人間観察が鋭い。
その鋭さゆえに、周囲からどう見られているかを常に気にしている。そのため受け身ではあるが、器用に人生を歩んでいた。
しかし大人になるにつれて、自分自身と向き合わずに生きてきたツケが回ってくる。面倒なことから上手に距離を取ってきたため、自分が何を信じて生きているのか分からなくなってしまう。
一方で姉の貴子は、歩とは対照的だ。常に自分を中心に世界を見ていて、その強烈な個性ゆえに学生時代はいじめられる。しかし彼女は、自分と嫌というほど向き合いながら成長した。その経験があったからこそ、大人になってからは自分らしく、芯を持って生きている。そして、自分の価値観に共感してくれる人たちと共に生きている。
この小説は、大切な人にも読んでほしい一冊だ。そして、この作品のように幼少期からの思い出や、そのとき何を感じていたのかを語り合いたい。
『サラバ!』には、忘れていた記憶や、その頃の自分の考えを呼び起こす力がある。
Posted by ブクログ
3冊まとめて感想を
子ども時代の歩の一人語りから始まる。
子どもならではの歩の視点が興味深い。
大人なら見過ごしてしまうような出来事や違和感を、子どもならではの目線で捉えていて、その世界の見え方に引き込まれる。
読み進めるうちは、父親や姉の貴子に対してどこか理解できない部分があったけど
最後になって、彼らもまた苦しみを抱えながら生きていたことが見えてくる。
それまでの出来事が違った意味を持ち始め、伏線が回収されるような感覚があった。
人は他人の人生を表面しか見ていない。近くにいる家族ですら、本当の苦しみは見えていないことがある。
イランやエジプトを舞台にした物語は、歴史や文化の知識があると視界が広がる。
でも残念ながら、視界が広がった頃には、子どもの時の純粋な好奇心はもうない。
知ることと、純粋に見ることは、両立しないのかもしれない。
それでも最後に歩がその気持ちを取り戻す場面で、スッキリした。
大人になって失ったと思っていたものは、どこかにまだあるはずなのだ。
Posted by ブクログ
生きるって大変だ
知らない間にグラグラと足元が壊れたり、なにかをきっかけにこれまでのパーツがパズルみたいにはまったり。
何もかもスムーズな普通の人生なんて無いんだって身をもってわかるようになった今、たまたまこの本に出会ったけど、無敵だった頃の私が読んでたら全然違う印象を抱いていそう。
もっと早く読んでいろんな味わい方をしたかった〜!
自分の人生にもっと深みが出たらまた読み直そうっと。楽しみだな
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作中に何度も出てきたニーナシモンの feeling good、めちゃくちゃ良かった
この小説にぴったりだ
Posted by ブクログ
なんだか胸にずっしりときました。
考えさせられるテーマが、自分の中での気付きが山のようにあって。とても良い作品に出会えたなと思いました。またすぐ読み返しそう。
上、中巻でうまいこと世渡りできていた主人公。年齢を重ね老いへ向かう、30代半ば。自分の人生を振り返って、何を得たのだろうかと考え、苦しみ、友人を妬み家族を恨むようになる。心理描写がとてもリアルで、歩だってそこまで悪い人間じゃないのにと、同世代の私は読んでいて苦しくなりました。姉の言葉に耳を傾ける事ができた歩は立派だと思いました。
個人的に、上、中巻で気になってた両親の離婚の謎や、どうしてるかなと思い巡らせてた友人たちのその後が描かれていたのがスッキリして嬉しかったです。現実ではきっと難しいけど、それはきっと小説の醍醐味。
そしてやはり「何を信じるか」について読者への深い問いかけと、それがいかに人間の力になり人生を左右しうるか、強く訴えるものがありました。
「サラバ」の締めくくり、とても素敵でしたね。読み終えてもまだ世界観に浸っていたいな、ナイル川の情景が目に浮かぶようです。
Posted by ブクログ
オーディブルにて。
頭髪が気になり出して卑屈になり、どんどん主人公が嫌いになっていく。嫌いだったヘンテコ姉がまともになっていってるし、過去からずっと自分の芯をちゃんともった女性だった。
ひと家族の40年弱の日記を見た感じ。人間やっぱり勇気で上手く人生がまわるんだよな。
そういう物語はこころを強くもてる。
Posted by ブクログ
下巻は感動する場面が多く、人生について考えさせられる。何かターニングポイントがあって、そこで自分を変えられるかがこの本から、強く学べた。とにかく登場人物の生き様に魅了させられる。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけないわ」の文は今後も常に頭の中に置いておきたい。
Posted by ブクログ
猟奇的な姉は、ご神木から「神様をはらんだ、美しい、木の様になる」一方、僕は「34歳の無職のハゲになる」その後、僕は相続した金も乏しくなり、夜警のバイトをしながら37歳で自伝的小説『サラバ!』を書き上げるのだった。「僕はこの世界に、左足から登場した。」が書けるとあとはするすると言葉が出てきたとある。上巻、第一章「猟奇的な姉と、僕の幼少時代」最初の書き出しがこのフレーズで間違いない。
西加奈子が僕であり猟奇的な姉または兄がいて、両親はなんやかんやで離婚している...なのかと思って読み進めるが~自伝じゃなく作り話であると文中にあった。実話だったら偉人伝大河ドラマになり高視聴率もねらえる話し、全体的にゆるっとした印象で好きな人にはたまらない。