あらすじ
女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。(解説・栗田有起)
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Posted by ブクログ
恋愛小説と思って読み始めたら、恋愛小説とは思えないほどの衝撃が何回か襲ってきて空いた口が閉じなかった。
人間に産まれた以上、恋愛とは切っても切れない場所にある。人間に産まれたから"恋をする"のではなく、恋をすることで"生きる術"を見つけた夏目の人生の話。そして、それらを糧に生きる未来への希望も込められていると感じた。
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4.5/5.0
絶対的で圧倒的な「恋」というものが一切無駄のない端正で力強く描かれている。
他の全てがどうでも良くなるような、世界の全てを肯定したくなるようなそういった劇的な恋にハッピーエンドなど用意されていないのかもしれないが、そんなことさえ見失いひたすらに相手を想う姿に共感、そして涙。
結果なんて、その先の結末なんて分かっていたはずなのに、ひたすらラブレターを書き連ね、何度修正を加えては一人で悶絶していたあの頃を思い出しました。
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全力で恋すること。
山の稜線
発光する白
『間島昭史』
とても魅力的。
水晶とか、植物図鑑とか片手に
血液として、その場に存在すること。
誰にも嘘をつかない。
分からないって責任もつの。
「夏目さんは、もう、最初の夏からすう、て流れてる三画があるやないですか。香織、もすう、て流れてるやないですか。うらやましいです。」
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解説も含めての星5つ。
夏目と間島との本編よりも塚本との話の方が読んでいて興が乗った。
瀬田が魅力的なのは、元々魅力がありながらも、深い執着心を捨て去れないでいるから。自分に魅力があると自覚する人ほど、瀬田からの無関心に耐えられない。気を引こうとする。何とか自分の魅力を知らしめようとする。でも決して瀬田は振り向かない。それが瀬田の魅力にバフをかけている。一度でもその魅力に取り憑かれると破滅する。
面白いのは、夏目がその瀬田に対して魅力を感じずにあくまで友人として居ること。今後も友人以上に発展しないであろう2人。
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やさしいきもちも醜いきもちも、自分の手には負えないくらいあふれてどうしようもなくなっちゃうことを恋と呼ぶんだって、目の前で叫ばれたような気分。ふんわりした表紙からは想像していなかった力強さに圧倒された。誰かが誰かをすきになること、それを恋という一文字で表していいものか。読後の清々しいさがとってもいい。
Posted by ブクログ
まじまに恋に落ちた瞬間に夏目が抱いた感情、
自分が初めて人をすごく好きになった瞬間に感じた気持ちとすごく似てて、当時のキラキラした思いが懐古されて胸が高揚した。
わたしのことで感情的になって欲しかった
その気持ちはわたしも感じたし、すごく共感した。
人を愛することは、痛みを伴うけれどとても尊いもので、
叶わなかったとしても、人を強くしてくれる
失恋した自分の恋にも、意味があったんだなと思わせてくれたお話。
最後の夏目の願いにうるっと…
Posted by ブクログ
表紙が愛猫の後ろ姿とそっくりだったのでお迎えしました。とにかくエネルギーに満ちた人たちが出てきて、『あぁ、なんかいいなぁ』と思いながらお昼ご飯を食べるのも忘れて休憩中に読み耽りました。
愛とか恋とか難しいことはよくわからないけれど、好きな人との電話とか意味のない会話とか深夜に延々とおしゃべりするの楽しいよなぁと思ったし、胸がじゅわっと温まる一冊。
いろんな形の恋愛があるけれど、どれも美しい。
そんな小説で、
恋が叶うとか、愛が伝わるとかは二の次、みたいな。
やりたいことをやって、恋して、仕事して…たまに休んで…また走る。そんな当たり前の日常の風景が美しい文章になっていてすらすらと読めました。
途中、多頭飼いの描写で飼育崩壊が心配になりました…笑
でも愛する人を待つ気持ち、なんだかわかる気がする。
登場する人たちが愛する人といい人生を送れていますように。
Posted by ブクログ
面白くて一気に読んでしまった!
異質な恋愛模様がいくつか物語の中にあって普通の恋愛小説じゃないなと新鮮だった
瀬田と猫のところはあれ?普通の恋愛だ。ん?違うな...え!マジで!?ってなった
猫の表紙が可愛いと思って買ったけど読んでみるとなんだか表紙の猫が恐ろしく見えて...
私は恋愛経験があんまりないから共感できないところもあったけどけど時間が経ってから読むとまた感じ方が変わるのかなと思った。
読んでて余白のない怒涛の物語だなと思った。まさに全身全霊。私とは正反対でそこも新鮮だった
Posted by ブクログ
男に溺れる女の話なんて、絶対に共感できないし自分の好むテーマからほど遠いのに、西加奈子さんの筆致で描かれた途端どうしてこんなに好ましく読めるんだろう。
この人の書く本やっぱり好きだな。登場人物にも地の文にも力強さがみなぎってる。
他の作品と比べても行動の描写じゃなくて内面の心理描写にページを割いていたから、作者の表現を十全に味わえてとても良かった。
「清潔な、生きたいという欲望」という表現が好きだった。
Posted by ブクログ
恋愛というより、生きることについての物語に思えた。それくらい主人公は恋をすることにエネルギーを費やしている。
個人的に、女性二人の会話シーンが好き。どうしようもない恋に人生を振り回されても、こうして話をしながらお互いを確かめ合って気持ちに整理をつける時間は、案外同性同士でないと得られないと思った。
男の個性が独特で「おほほっっ」と声を出してしまう描写もあった(瀬田)。容姿を想像すると割と好きではある。
Posted by ブクログ
その人を見た瞬間、あ、私この人のこと好きになる、ってわかるあの感覚を思い出させられた。
激しい恋愛小説だと思う。想像とは少し違ったけど。
恋愛の敗北は失恋することではなく、恋をするのを恐れてしまうこと。解説もとても良かった。
Posted by ブクログ
共感できる言葉が多過ぎてぐさぐさっっ
好きになると本当にどっぷり溺れて前が見えなくて、それでも必死に普通であることを装って普通の人を演じてきた
きっと周りから見たら異常扱いされるんだろうけど、それを綺麗に語源化されてて更にグサグサきた。
Posted by ブクログ
全身全力で恋している瞬間。
この本の内容の7割は引き込まれてしまった、落ちてしまった感情全てを言語化したもの。
ボロボロでぐちゃぐちゃになるような恋をしたことある人間なら知っているような感覚をここまで綺麗に言語化されていてびっくりした。
夏目だけでなく、まじまも瀬田を終わらない恋をしている。
くっついてしまっていて、離れるというより剥がす、剥がれる感じという表現がすごくよかった。
解説の「女の体は、失恋を失敗としない。恋から逃れよとする意気地なさが、最大の敗北なのだろう。」という一文がこの本に共感したアラサーを救うだろう。
男修行、まさにという単語だよな。
Posted by ブクログ
どれだけこの人が好きか、どこが好きかどんなふうに好きか
表す言葉がドバドバ溢れていて
溺れて圧倒された
誰でも外からは見えないけど、内側に異質な変態な部分があるんかも
ボロボロになるくらい人のことすきになりたい!
Posted by ブクログ
すごいものを読んだ。
自分を変えてしまうほどの恋に私は出会った事があっただろうか。
いやあったな。こんなふうに誰かを想うことが薔薇の花にある棘のように脆くて、痛々しくて見ていられないものなのだと知った。
自分を変えてしまうほどの恋が自分にくれるものはなんだろうか。
切実さ。その一言に尽きるような気がする。
誰かに溺れることで、自分を知る。自分という人間のおよその小ささとその小ささでは図り知ることのできないその人。
どちらも交わることがないと分かりきっているからこその愛おしさ。社会から離れた空間にいる心地良さ。
すべてそのときの恋心からくるものだというのだから、面白い。
Posted by ブクログ
全身全霊で恋に打ち込める人をうらやましいと思いつつも、自分も10〜20代の頃はそんな感じだったなぁ…少し甘酸っぱいような気分。
最後には希望で終わってるが、個人的にはもう少しだけ人間関係を描写して欲しかった。とはいえ好きな作品。
Posted by ブクログ
誰かに出会ってから直感的に好きになって恋に落ちるのはこういう感じなんだなと。恋愛を遠ざけても惹かれしまう人が登場することによって生じる楽しさとか苦悩が熱く描かれていた。
Posted by ブクログ
32歳独身女性画家夏目香織が26歳独身男性画家間島昭史に激しく恋愛するお話。西加奈子さんの短めのお話を読みたくて手に取ったのだが、ちょっと共感するのが難しい設定だった。
間島さんの彼女が、「たね違い」の妹(二親等、遺伝的近親度1/4)という、世間的には全然あかんパターンだったので、これまた難しい。
画廊「16」のオーナーと瀬田くんのパトロン関係もまた理解及ばず。。
西加奈子作品恐るべし。
Posted by ブクログ
登場人物たちのそれぞれの結末が気になり、一気に読み切った。
みんな見えないところで欠けていて、歪んでいる。
残念ながら自分は恋愛経験が多くないので登場人物たちに共感はできなかったが、どれもそれぞれの純愛の形だと思った。
Posted by ブクログ
情熱的な恋愛小説だった。
夏目は間島の使う白い絵の具に魅せられていく。
「何かを、ではなく、こうやって、美しいものを見て泣いた自分を、信じよう」というところがよかった。
恋をする自分を全身で受けとめていく姿が圧巻だった。
Posted by ブクログ
画家の女性が、心揺さぶられる絵を見て、作者の画家に猛烈に惹かれてしまう大恋愛の話。
理性を失うほどの恋愛をしたことがないから、あんまり分からない部分もあったけど、むき出しの自分で果敢にもぶつかってもがく主人公は眩しかった。
Posted by ブクログ
超全身恋愛小説。っていうキャッチコピーに期待し過ぎたせいかたんたんとしたストーリーに感じた。富士山を描いた画家に恋をした女性の話。間島のキャラクターもわざとなのか薄い。友人の瀬田の家の情景や絵の具の白が目に浮かんでくる。
Posted by ブクログ
一気読みした!
これはやばいぞ、、って思う恋愛が始まる瞬間のあのドキドキとわくわくをとってもリアルに描かれていて
凄く臨場感がある。
そして、そうなんだよな、こう言う人ってこうなんだよ!ってのも凄くリアル、
最後の瀬田の猫のくだりはちょっと嫌であった。むかつく、、猫をそんな理由で、、(フィクションだけどこういうのにすぐ感情移入してしまい落ちる‥)
久々に西加奈子を読んだ。
Posted by ブクログ
夏目があまりにも純粋で、いい意味で怖かった。恋する瞬間は一瞬だけど、好きになってからは険しく、時に果てしない。男にのめり込み、失恋してもなお感情や人生を揺さぶられる。恋愛ってなんて大変なんだ…こんなにも苛烈で切実なものなのかと突きつけられる一冊だった。