【感想・ネタバレ】白いしるし(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。(解説・栗田有起)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんというか、ヒリヒリどころかズタズタ(笑)
それなのに、そういう物語を求めているときがある。

恋が恐怖からはじまるところが刺さった。近づくたび、相手への感覚が研ぎ澄まされて、言葉が溢れて、理解した気になるけど、結局、近づいた先は、暗くて、恐怖は恐怖のままだった。
それぞれの狂気があって、人のことには冷静なのに、自分の感覚は止められない。
『間島昭史』という概念、瀬田の存在。
主人公が生き抜くために必要な終わらせ方だったんだと感じた。恋愛だから湧いたエネルギーであり、恋愛だけだったら湧かなかったエネルギーだと思った。

わたしには、まだ受け取れていないことが山程ある気がする。また、読み返したい。

0
2026年05月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

究極に惹きつけられる人との恋愛ってどうしてうまくいかないんだろう。
夏目も瀬田くんも不器用ながら、美しかった。

0
2026年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルみたいに、色の印象が強く残る作品だった。

間島の白、
夏目のカラフルな絵、
殴られた塚本さんの血
メキシコの女の子の緑とピンクの母親の絵。

夏目の心に深く根差した白い絵の具は自分の描くカラフルな絵を覆い尽くすほど分厚く色濃く浸透していった。

でもきっと何年か経つと我に返って気付いたりする。なんであんなやつにあんな夢中だったのか。

本の中では間島が特別な人のように書かれていたけど、きっと今までの青髪の美容師も運転の苦手な彼も、その当時は彼色に染められるほど夢中だったんだろうと思う。
何が言いたいかと言うと、結局間島も、そのうちの1人でしかないのではということだ。

恋は盲目とはこのことだなとなんとなく遠い目をして感じた。

0
2026年05月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋愛に全力になってしまうからこそ恋愛を遠ざけていた画家の夏目が久々に恋におちたのは同じく画家の『間島昭文』だった。絶対に自分を愛したりしないだろうという確信がありつつ、間島との関係に溺れていく夏目。甘く苦しい恋愛が人に残す者とは――という話。

夏目はいい子だから恋愛の振り回され方も素直な感じで好感が持てる。登場人物みんな良い人達だ。夏目の朴訥な人柄に合わせて、なおかつ感情描写をメインにした結果、この文体なんだろうな。
オチがちょっと弱い感じがあり、まとまりや着地感に欠ける気がする。「円卓」が素晴らしかったから相対評価してしまってるかも。そもそも恋愛ってその渦中の感情の起伏を味わうものだし、オチなんて必要ないのかもだけど。
個人的に恋愛小説ってあんまり好きじゃなくて、それは「共感できない人がいる」ことを考慮されていない空気だと思っていたんだけれど、西加奈子の小説ってその排他的な空気を感じないな。度量が広いというか、懐が深いというか。ありがたい。

●あらすじ
女32歳、独身。誰かにのめりこんで傷つくことを恐れ、恋を遠ざけていた夏目。間島の絵を一目見た瞬間、心は波立ち、持っていかれてしまう。走り出した恋に夢中の夏目と裏腹に、けして彼女だけのものにならない間島。触れるたび、募る想いに痛みは増して、夏目は笑えなくなった──。恋の終わりを知ることは、人を強くしてくれるのだろうか? ひりつく記憶が身体を貫く、超全身恋愛小説。
(新潮社HPより引用)

0
2026年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

恋愛小説を初めて読みました。
文章がとても特徴的でした。
まったく客観性に欠けていて、主観的に主人公の感情と、主人公のこころに焼き付いた美しいもの、交錯する人間関係ばかりの描写が続きます。事実は必要以下の情報量で、ほんの少し、手がかり程度です。
それが、ぽっかりと非現実的で、まるで背景がほとんどない少女漫画のモノローグを読んでいるような感覚でした。
想像による補完が必要ですが、ふわふわとして曖昧で、主人公が執拗に訴えかける、好きなった相手の美しさ、その他身体描写、暗喩的な色の情報だけですから、自然きれいな像が心の中に浮かんできます。

主人公は自身の美貌を描きません。でも隅々から、彼女がとてもみずみずしく透き通るような肌を持った日本人女性らしい美しい人であることがわかってきます。ところどころ、美しさを破壊するような描写があるからかもしれません。

彼女のまっすぐな愛し方と、そんな愛され方をする相手。
そこに淀む、ほんの少しの自身の不誠実でも突き詰めて清潔でありたがる気持ち、滲む若かった頃のプライド、なりふり構わず動ける厚かましさみたいなものが、なんとなく垣間見えました。

女性が恋を語ることは難しいです。
情熱に任せて溺れたい、と言う気持ちと、高潔に愛したい、と思うことの両立が難しいからなんでしょうか?

でもこの作品は、純粋な恋の仕方とは何か、高潔な愛とは何か、を女性同士で語らうシーンがあります。

とてもピュアな表現で、自分の女性性を自分で捉えたような感触になりました。美しさを誇っていた時の自分の感覚に陥りました。

とても楽しかったです。
特に「清潔な欲望」というシーンは、まさに女が生きることへの讃歌でした。

0
2026年07月16日

「小説」ランキング