感情タグBEST3
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大きな事件が起きるわけでもない、淡々としたふたりの日常と心の動きを描くこのような作品で読者の心を動かせるかどうか、は筆者の力量によるところも大きいと思いますが、そこはさすがだなぁ、と思いました。
誰か大切に思う人と毎日ごはんを一緒に食べ、大切なひとのために時間をかけてコーヒーの豆を挽き、隣人ととりとめもない会話をし、地域の小さなイベントの準備に力をかける。ひとつひとつはとても小さな、他愛もないことながら、そこには小説の主人公たちも当初は気づいていない温かさと幸せが詰まっていて、読んでいるこちらも温かい気持ちになれます。
それがパートナーであっても、子どもであっても、はたまた家族ではなく隣人であっても、近くの誰かと関わり、共に生きる素晴らしさを再認識できる本。おすすめです。
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中毒性あり
ツマムコの独特な世界観にどっぷりやられた、今の自分だからはまる世界。
途方もなく尊いことに気づくムコさん、自分ひとりでは倒れられないツマ、女の子ときいろいゾウと一枚の羽が繋がる瞬間。たくさん、たくさん、あります、好きな場面。
子供からおじいちゃんまで色んな年代の人が登場するから時間経って読むとかなり印象変わりそう。
5年後ぐらいに読んだらまた違う視点に立ってるんだろうなぁという本。
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西加奈子の言葉は、私の心のぼんやりとした不安をゆっくり和らげて、安心させてくれる。
本作で大好きな言葉
「たくさん、たくさん、あります」
まだ知らないことや、知ろうとしなかったこと、ただそこに横たわっているだけで美しいようなことが、この世界にはたくさんある。
死にたいわけではないけど居なくなりたいなあということがあって、でもその時にこの言葉を聞くと、まあもうちょっと生きてみるかあって、そう感じられる。
あまり不安にならなくて大丈夫。
必要なことは覚えているのもだし、そこにあるものだから、居なくならないから、大丈夫。
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彼女のテイストを知らない人が読むと
ちょっと面食らうかな。
この作品から入るのは正直推奨しません。
別作品を読んで世界観を知ってから
取り組むと癖とかがみぬけるので
よりよいでしょう。
駆け落ち同然でやってきた夫婦。
彼らはそれぞれに心に傷持つものでした。
それ故にツマ(文字通り妻)には
動物や植物と対話できる力が
あったのです。
そしてムコ(夫)にはある秘密がありました。
ある経緯から彼の背中には
鳥のタトゥーが入っていたのです。
実はムコの気持ち、少しわかるんだ。
私はタトゥーではないけど
体にかなり改造がかかっています。
そのうちの1つがムコと同じような感じの
経緯だったから。
もちろんムコ同様、
今も私の体の一部ですがね。
ツマ側の最後の経緯が、
結構強烈だったな…
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読み進めるうちにどんどん終わってほしくないと思ってしまうほど好きな内容だった。
日常生活と今までの出会いにひとはそれぞれ濃いモノを持っており、だがそれに気づけておらず、まだ見ぬ幸せのようなモノを追いかけているのかもと。
なんてことない田舎の暮らし、登場人物もすごく少ないが、朝食後のほうじ茶、ご近所さんが来て縁側でビールを飲む、風呂に入るのが面倒で寝てしまうなど、規則正しく努力して、人よりも多少良い処遇を得ることなどどれほど重要なんだ?と考えさせられた。多くを求めず森羅万象に感謝できる生き方ができたら幸せだろうし、世界も平和になると思う。西加奈子さんの作品の中でもかなり好きな部類。妻と婿万歳!という感じ。
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ファンタスティックなラブストーリー。
ツマとムコのような相手に出会えたなら幸せだろうなー。
自分がいまここで生きていることやこの世界が、愛おしくなる、そんな作品です。
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最初の一文から、すでに「きいろいゾウ」の世界観に惹き込まれる感じ。みるみるうちにハマってしまった。ツマとムコさんの日常、それぞれの秘密、すれ違い。さらっと読めてしまう文章の割に、綺麗で、寂しくて、心に響く不思議な物語だった。
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宮崎あおいちゃんが本の帯に「ツマを演じてみたいと思った」と書いて売れたらしい。
ツマは素直で女の子らしく、ムコさんはしっかり者でツマを心の底から愛していて、いいなぁとほのぼのする小説だった。
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・私の中の西加奈子さんらしい、飛んでる中にも人情味溢れる内容でした。
・主な登場人物は、出会い方も惹かれ方も二人で歩んでゆく姿も独特で、でも、なんとなく憧れを抱いてしまう夫婦像。こういう生き方をしている夫婦はきっといないと思ってしまう。いや、もしかすると、本当に実在するのではないかと思えてしまうギリギリのところ。が、私は好きです。
・私自身関西の人間なので、映画やドラマ、小説の関西弁に対して少し恥ずかしさを覚えます。関西弁を話す人以外の人には、どういうイメージなんだろう?
イントネーションで関西出身とバレる事が多いけど、文字にすると関西弁と分からない。
今では、そんなに耳にする事の無い「〜やんけ。」「〜やねん。」「〜やがな。」「せやろ。」他。
友達間で使ったり、わざと使う事のある関西弁が作品の中に出てくると、恥ずかしい気持ちになります。
・登場人物の1人、いつもチャック全開のアレチさん。セイカさんとの仲睦まじさが伝わってくる。自分勝手な人間なのかな?って思うけど、そうじゃない。何故かアレチさん好きだなぁ、と思ってしまう。それは、物語の終わりの方に、アレチさんの土台となる話が出てきた事でしっくりきたのかもしれない。
・大地くんが大人になった時の物語も気になるところ。
・人間個々別々だけど、なんとなく重なる部分があったりで、惹かれる部分というのが、何かの法則に基づいているのかもしれないなぁ、と思ったり。
・大地くんが大人になった頃、ない姉ちゃんやツマやムコの昔の恋人(?)に似た女性と出会ったりするのかな。ムコはそういう面影を負って生きている気がしたし、『男の方が未練がましい』と言われるのは、同じ様な女性に惹かれるからなのかな。
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よかった。
今付き合っている人と倦怠期を迎えてて、そんなときに夫婦って何なのか、何のために人は人を愛するのかみたいなことに対するぼんやりとした答えをもらえた気がする。
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感想
ほんわかする夫婦。登場人物が面白い。ムコとツマのやり取りもほんわかしていて良い。いつもチャック全開のアレチさんとかもキャラ立ってる。アレチさんの奥さんのセイカさんはボケていて、豆腐にミロをかける。隣のチャボのコソク、野良犬のカンユ、不登校の大地に、大地を誘惑しようとするオマセの洋子、妻鹿さんの犬のメガデスなど
ツマには犬や虫、植物など色々な声が聞こえてしまう。
前半の穏やかな展開と打って変わって、後半は怒涛の展開。一見穏やかに見える日々も脆く、どんな人も危うい均衡の中で何とか生きている。人の生死はいつも隣り合わせで重くのしかかっている。
あらすじ
ムコさんとツマは若い夫婦。駆け落ちをして田舎のムコさんのおじいさんの家だったところで暮らしている。
個性が強い人達と支え合いながら日々を過ごすムコさんとツマ。ある日、ムコさんに東京から手紙が届き、その日を境にムコさんの無邪気さが消える。
それは昔、ムコさんが不倫していた相手の夫から妻を助けて欲しいというSOSだった。ツマを置いていくことに不安を覚えつつも、過去と向き合うため、ムコさんは吸い寄せられるように、その夫婦に会いにいく。
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大人とは、愛する事とは、田舎で暮らす事とは、東京で暮らす事とはなど、おっきなテーマが散らばっていて考えながら読んでいた。
人に対して自信を持って愛する事はかっこいい事で、
恥じる事も恐れる事も一切無いと思った。
それに加えて緊張感が伝わる場面が多くあったが、
時の流れが遅くなり、周りの言葉やものの解像度が高く見えた時の表現が美しかった。
メモ
ムコ
ムコは自分の人生を、歩んでいる気がしない。なぜか本音が出せていない。なぜか、自分とは別の人間を歩かせている感じがしていた。
この原因は、ない姉ちゃんの死が一番大きい。なぜなら、ない姉ちゃんに対してムコは子供を装い、何もしてあげれたことがなかった。そのまま死んでしいってしまった。自分に対して罪悪感、無力感を常に感じていて、足利さんが、なくなってまたその気持ちが増幅し、自分の役割が、人生の意味がはっきりしなくて生きている感じがしなかったムコさん。けれども、老人が奥様に対して恐ろしいほどの愛情を注いでいるのも横で見た時に、これこそが自分の役割であり、今からもう一度しっかりツマを愛そうと前を向き決心することができた。また、元絵描きさんない姉ちゃんに見えた時、匂いがした時に、自分が一緒の世界に、変わらず存在してると後押ししてくれた感覚があった。
ツマ
ツマは満月や満潮に不安を感じる。
満ちているものや満ちているという状態にに対して不安を感じやすい?自分に自信がないから?
だから、登場人物に完璧な人は出てこない。
それでもムコは支えてくれるから自分は自分でいれる。
→この状態から崩れてしまうかもしれない不安や恐怖が常に纏わりついていた。
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まとまった感想が出てこないので羅列。
小説って何?って聞かれたらこれを読んでもらうことにした。
日常的な中でもドキドキするし、ほのぼのするし、色々想像するし、事実もあれば信じられないこともある。
絵はない。声はない。リズムもない。文字しかない。
愛している、それだけでいいんだな。
失うのが怖いものを手に取ろうと思う。
それが自分に必要なものだから
大人になったトトロの世界みたい。
私にはそうみえた
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・なぜか下記文章に惹かれたのでメモ。
・でも、ツマの場合は違う。泣くのを耐えたり、激くことで何かを自分の有利に持っていこうとしたりする感じがない。ただ、もう、泣いている。笑うのと一緒だ。鼻水を垂らして、よだれを垂らして、涙で頰をぐもゃぐちゃにしているッマを見ると、僕は、僕たちが何かとても正しい場所にいて、とても正しい生活をしているような気分になるのだ。
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ひさしぶりにしっかりあとがきまで読んだ。読み終わった後、大きい深呼吸した。
最初はツマの世界にちゃんと入れなくて、読むの諦めそうになったけどいつのまにか入り込んでた。
大きい愛の物語ねえ。「ふたりでひとつ」「かけがえのない」ってこういうことだよねと思ったし、ツマとムコさんだけじゃなく、それぞれも愛があってすごく良かった。
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ツマは私みたい。水道のくだりとか、裕介に気が付いて欲しいけれど言えなくて、だから痕跡を残すところとか。
ムコは裕介みたい。どんか私のことも愛で包み込んでくれるところ。
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物語が難しかったし、すっきりしない
でも、なぜか引き込まれるし
随所で温かい気持ちになる
ツマみたいに子供の気持ちを忘れずに生きるって
尊い
西加奈子ワールド、今回もどっぷりハマった
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こういう本を読むたびに人を愛するって理屈じゃないんだなと思う
理屈じゃないからこそ誰かを好きになる気持ちは簡単になくなることもない
前半パートは穏やかな日常が描かれていて、特に大きな出来事も起こらないけれどツマとムコがお互いに愛し合って相手のことを思い合っていることが伝わってきた
好きだから一緒にいる、って当たり前のようでなかなかそうはいかないものだとつくづく思う
大人の純愛って素敵
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若い夫婦であるツマとムコさんだが、私には熟年夫婦を思わせる雰囲気を思わせました。
途中途中睡魔に襲われながらなんとか読完。今度またじっくり読んでみたらまた違った感じ方ができるかな。
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お互いをツマ、ムコさんと呼ぶ夫婦が田舎暮らしを初め、個性強めの隣人たちとゆっくりと日々を送る話。
動植物の声が聞こえるツマや、章の合間に挟まるきいろいゾウの絵本?の文がなんとも不思議なテイストを引き出している
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きいろいゾウと入院中の10歳の女の子が織りなす幻想的で美しい童話と、現実の世界で東京から九州の田舎に移って暮らす「ムコ」と「ツマ」の生活が交互に展開していく、心温まる小説。その日の食事内容や自然の中の生き物、植物などの細かい描写が「日常の中に幸せは隠れている」ということを教えてくれる。しかしこの本は田舎暮らしを推奨する作品ではない。ちょっとした謎解き要素も含まれていて、後半からはガラリと雰囲気が変わる。こだわりを感じる細やかな表現と心情の描写に読み手の好みが分かれそうな内容。読む分には楽しめた部分も多少はあったけれど、私の好みではなかった。
Posted by ブクログ
読むのに結構時間がかかった作品です。
ですが、後半にかけて、話がググッと動く感じに引き込まれて、後半は一気読みしてしまいました。
大切な人のことを想う気持ちの美しさを知る1冊でした。もっと感性が豊かになったら再読したいです。