西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ期せずしてまた小学校時代の話を読む。
自意識が肥大していくにつれて増す、風船にかかるような浮力と、思慮深くなるにつれて増す重力は自我を持ち始めた小さな身体に同時にかかってくる。
その時の羞恥心や混乱を思い出した。自分が10代の前半の時であればこの本を貪るように読んだだろうな。
好きな場面もいくつかあった。
【仲良し同士で色とりどりの靴下を片方ずつ履く】という中学校の流行に対して、福禄寿に憧れる思慮深い友人が言う。
「「の、ノボセイ行ってな、い、いきって、派手な靴下とか、や、やかましいゴムとか、に、手を出すのんは、や、やめとけよ。お、大人になってな、し、写真み、見たらな、絶対に、ここ、後悔 -
Posted by ブクログ
ネタバレ輝いていない人々に、夢も希望もない淡々とした日常がなぜこんなに面白いのか。すごくリアルですべて実在する人物のようだった。
太字で書かれた夢の話が、絶妙に本人の状況や不安を言い当てていて、怖くて面白い。
だんだん明かされていく主人公二人の人生が、実は過去に同じ日々を共有していたのがたまらなかった。近くにいるのにお互いがお互いを気づくことはなく、でもあの瞬間は確実に影響を与え合った。
この自殺未遂事件が起きて、特に何かが前進したり解決するわけではない。でも日々がそうやって続いていくリアルを書いていて、男は自転車泥棒ということになってしまったし、たぶん店員の女とも何もない。でもそういう人生もある。孤 -
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Posted by ブクログ
窓の魚
サラバ!が面白かったのでまた西加奈子を手に取ってみる。今回はサラバ!と比べるとだいぶ難解というか、あまり説明的でないタイプの小説であった。しかしながら、人にはそれぞれ暗部があり、それらを丁寧すぎるくらい、いやグロテスクに描いている。そして、温泉旅館にきた4名の主観と、女性の水死体が出た旅館に居合わせた老夫婦や、女将等の1人称で描かれているため、事実はわからない。一般的な三人称の小説とは異なり、それぞれの欠落感や蟠り、内面が表出しているのか否かは、最後まで描かれないのである。そう言う意味で、人々を解釈を寄せ合うには面白い小説なのかもしれないが、私が現在解釈と言えるものを持ち合わせていな -
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