西加奈子のレビュー一覧
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ネタバレ 購入済み
感想
自分の信じるものを他人に決めさせてはいけない。
働き始めて、働くことも遊ぶことともただ生活をすることもあるべき姿におさまるために「すべきこと」として苦しくなっている今、この本を読み終わってもまだ苦しいままだった。なんだよ、結局「良い道」を歩いていくのか。とも思うし、なんだかんだ救われないまま終わるんじゃなくて前を向いてくれてよかったとも思う。
事実の羅列形式の文章に何回か挫けそうになったけど、ただの事実、つまり、けっして「あるべき姿」じゃない日々の積み重ねにも意味を見出すことができれば、もっと楽になるのかもしれない。いや、楽になりたいと思うことも「あるべき姿」を目指している…? -
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ネタバレ故・向田邦子さんのエッセイを、角田光代さんと西加奈子さんの二人が現代に甦らせた一冊。
西加奈子さんの描く絵は生き生きとしていて、いつも見る者に訴えかけるパワーがある。特に西さんの創る力強い色彩に今回も惹きつけられた。
家族全員が大切に育んだ"ちいさないもうと"への慈しみが愛おしい。
玄関に並ぶ家族全員のぞうり。言葉はなくても家族みんなの気持ちを、ぞうりの並び方が代弁していてとても印象的だった。さすが西さん、上手い。
いつもは厳しいお父さんの「げんきな日には、はがきにまるをかいて、まいにちいちまいずつポストにいれなさい」に感心した。お父さん賢い。
けれど赤い大きな&qu -
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Posted by ブクログ
「あおい」に収録されていた「サムのこと」は、6月に読んだので、「猿に会う」から読んだ。
少し期間が空いていたので、西さんの本を読むのが久しぶりに感じた。ほっと息つけるような暖かさとユニークな目の付け所に、やっぱり良いなぁ、と思った。
「猿に会う」のぼんやりした主人公まこ、細い目を気にしているしっかり者のきよちゃん、きよちゃんに憧れる出っ歯のさつきちゃん。
定職につかない26歳、四捨五入したら30歳の3人の柔らかい大阪弁に癒される。
主人公のまこが、自分の耳が大きいことに気付いてからが、愛おしい。
私は立ち耳のひとにぐっとくる節がある。
以前西さんのエッセイで、立ち耳だと帽子が被りづらくて -
Posted by ブクログ
勿体無くて読み終わりたくない気持ちと、続きが気になり読み進めたい気持ちが入り混じりながら、結果的にあっというまに読み切ってしまった。
短編小説集。
どのお話も良くて、あーーー西加奈子大好きだーーー!となりながら読んでいたけど、特にぐっときたのは、「木蓮」と表題作の「しずく」。
バツイチの恋人の娘に嫌悪感を抱きながらも、恋人に好印象を抱かれたくて距離を詰めようとする話、木蓮。
エッセイ漫画などでは、連れ子との関係づくりに主人公はさめざめと悩む、という描写を時々目にする。
だけどこの主人公は、心の中で「くそ、餓鬼が」と暴言吐きまくりなのが、思わず笑ってしまう。
読者はページを捲る際にどんな結末 -
Posted by ブクログ
ネタバレ西さんらしさと、らしくなさが混在した一冊。
関西弁の登場人物や“自意識"についての描写が多いのは通常運転だったけど、文体が普段よりなんとなく暗く、最初は(アレ、これ西さんの作品だよな?)と表紙を見返すということを2回ほど繰り返した。
他の人のレビューを読むと評価は様々だったけど、私はすごく好きで、星5とかなり迷うくらいだった。
ちょっとイタい男、吉田と両目の大きさが極端に違い、不思議な魅力を持つみさをは、お互いが2人の関係を一過性のものと考えているのが、切なくもなんとなくわかるし、つい応援したくなった。
不恰好でイビツだけど、真っ直ぐな2人の関係は美しかった。
みさをの目に関し
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