西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ「女二人の物語」 根底にずっと優しさがある。
ランドセル
ピンクのランドセル同士仲良くなったくみちゃんとみっちゃんは、久々再会してロスへ旅行へ行き変なパーティに呼ばれ、子供の時くみちゃんが引っ張って小学校まで行ってくれたように、パーティを抜け出す。くみちゃん 離婚するねん。
灰皿
亡くなった夫と一緒に住んだ家を小説家の女性に貸した。小説家は「あなたのうんこを食べるまで」で賞を取ったが、俺に恥をかかせて、と振られた。もう書けない。夫は昔から小説家になるのが夢で、好きな小説家が自殺したのに妻の知らぬ所でショックを受け、一日家を空けた。灰皿が書斎にあった。夫は帰ってきた。妻は小説を読むのが怖かったが、愛する気持ちを共有した小説家に夫の話をして今日夫の小説を読もうと思った。
木蓮
恋人の前妻との子供を預かることになった私は、子供が嫌いだ。子供のマリは素行が悪い。動物園でセックスについて知りたがるマリに全部ぶちまけると、そのことも木蓮についても極楽に行ったばあさんが教えてくれたとマリは喜んだ。私は自分が子供の頃両親が不仲で、二人が何かと子供に隠し事するのが嫌だったと思い出した。マリが普段禁止されているケンタッキーを二人は食べにいく。
影
私は婚約者のいる同じ会社の男と関係を持ち、それがばれ退社した。私の影は薄かった。「田畑さんがそんな人だと思わなかった。」いつも私は私を演じてきた。一人で島に旅行する。島の影は濃い。みさきという島で嘘つき呼ばわりされる女の子に出会った。彼女は最後にいつも「その宿には長男の霊が出るよ」と言う。その男とみさきは付き合っていて、本当に男は死んだ。それだけは本当だった。そのみさきを見て、私はどんな自分も自分だ、男を愛していたと思った。
しずく
サチとフクはシゲルとエミコの飼い猫で、二人の同棲きっかけに一緒に住む。二匹は喧嘩ばかりで蛇口からポタポタと落ちる雫を舐めるのが好き。二人は脚本家とイラストレーターで、貧乏だったが徐々に二人とも売れ始め忙しくなり仕事に追われ仲違いしていく。二人は引越し、サチとフクも別れる。なんでも忘れる二匹だが、シゲルとエミコが泣いた涙で、互いのことを思い出す。
シャワーキャップ
私のんちゃんは三十で彼氏と同棲するため引越し作業中。母が手伝いに来ている。ある日彼氏が別の女と歩いてるのを見てしまった。神経質な私と違い、母は呆れるほど呑気で明るい。それに苛立つようなこともあったけど、母は十九で私を産んで、父が帰らず泣いたこともあった。それをのんちゃんは慰めてくれた。私は母の子で良かった、何も解決してなくても大丈夫と思える。 -
Posted by ブクログ
森さんの発言がいい
戦いの土俵に当たり前のように、強迫的なまでにしがみついてしまうのはなぜなのか
戦場から離脱するのが負けのように感じられ、どうしても引け目を感じてしまうのはなぜなのか
助けが必要な時に助けを求めるのは、許可すらいらないほど当たり前の権利なんだよ、って言われてみたらなんてことない言葉だけど。
誰かに対する負の感情や度を過ぎた中傷行為が、血を巡らせるための代償行為と考えると夜が明けることなんてないのかもしれない
助けて、の一言を気軽に言える世の中に変わっていくことが夜明けに繋がるのか
かといって、困っている人に手を貸せるシステム作りには共有地の悲劇問題がついて回るし現実は難しい -
購入済み
読むのに気力のいる本だった
息子が中学にあがり、性教育を考えると男性視点の情報では難しいと思う事が多々ある
SNSでこの本のことが流れてきて書評を見た時、長男の女性に対する理解に何かしら寄与するかと思い、つい反射的に購入した。
男より女性の生き方はある意味で難しいが、性を持ち出すと安易に楽な選択を選ぶこともできる。
でも、それを選ぶと多くの場合、後でツケがまわる。だから、安売りするな、という言葉を親の世代は言う。
でも、若い世代が持て余す感情は大人の説教なんて聞き入れない。で、大人になって、同じように若い世代に言う。
そこに使える武器があってもそれを使わないって難しいこと。男が腕力で相手を従わせる選択をなかなか選べないのにどこか似てる。
それでも、男は無言の圧力を与えてる。そして、女性も無言の魅力を巻き散らかしてる(人もいる)
本当に、性というものは複雑で厳しいものだ。
女性の、子を成す性の役目は特権でもあり重しでもある。セックスは多様な価値を持ち、時に持て余し、崇高なものにもなり娯楽にもなりうる。。
そんな世界で、女性は男にどう見られるかに迷い陳腐化する。パンツを売り、安易に自己承認も得ている一部の女性を男が「女はずるい!」と叩く。
でも、そんな事ができる性の生き方は辛いだろうな、とも思う。
男と女、どちらが辛いと比較するものじゃないけど、男よりも女性の辛さは複雑で、どれを選ぶにしても(選ばないにしても)自己責任を押し付けられる生き方は厳しいと思う。男の辛さも簡単ではないけども、女性は年齢とともに役割と身体がめまぐるしく変わり、それにつられて求められ方も変わる。
僕は、見ず知らずの女性に数万円払えるほどお金もないし、あったとしても自分の為か家族の為にお金を使おうと思う人だけど、世の中にはお金で女性を買う事に躊躇のない人がいるのも知ってる。ひょっとすると僕がいつも遊んでいる連中にもいるのかもしれない(彼らがそんなにお金をもってると思えないが)
それだけのお金があるのは一部の男なんだろうけど、多かれ少なかれ男は性の対象として女の人を見てるというのは分かる(逆に比べればその対比のバランスの悪さが本当に悲劇でしかないと思う)。そして、女性は男性の欲望を当たり前として受け止める事に疲れ果てて諦めて、で、今、怒りを示している。
いろんな価値観がアップデートされている。「ねーちゃん、えぇケツしてんな」は失礼な事。
そのアップデートがで -
Posted by ブクログ
偶然、家の本棚にあり、手に取った小説。もともと西加奈子さんは好きなので、読んでみた。
情景がころころ変わっていく、まるでSFのような短編集。その中でも、タイトル「空を待つ」の「ひとりだと嘆いても、手を伸ばしても、私の体は世界から抜け出すことはない、死ぬまで。私は分かっている。分かっている。」というフレーズが印象的だった。孤独が重なって、自分が何者か分からなくなる、そんな感覚を違和感なく文章に落とし込んでいて、読みながらいつか見た東京の人混みを思い出したりした。切なさが良い。
最終話「ある風船の落下」の「何かを望み、欲し、それが得られなかったり、それに裏切られたりして、傷つくことを避けるために、僕たちは望みを捨てるのですか。そのために、地上を捨てたんでしょうか」という言葉は、ずっと大事にしたいと思う言葉だ。
全体を通して難しい表現もあるけれど、自分に自信を失いかけた時、失敗が怖くなった時、手に取りたい小説です。
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