西加奈子のレビュー一覧

  • 白いしるし(新潮文庫)

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    人を好きになるって理由とかないんだよなあと思った。
    ちょっと過剰だったけど、みんな自分をなんとか律してるだけで素直になったら夏目みたいになるのでは?と。
    32歳だけど大人になりきれていない夏目さんがかわいかったし羨ましかった。わたしは読んだ当時33歳でしたがもうこんなに人を好きになることはないんだろうなあ、、と過去の辛く苦い恋愛経験をふと思い出してしまいました。

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    2025年04月27日
  • うつくしい人

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    地味だけどジワジワと心が穏やかになるというか安心する感情が広がってくるような作品。
    他人の目が気になってしょうがない、ネガティブな思考の女性が主人公。仕事を辞めて四国の島に1人で旅行に出掛けてそこで出会った不思議な2人の男性と繰り広げられる平凡でちょっと不思議な日々。その何の特徴も刺激もないような日々を過ごすにつれて、主人公の過去のトラウマ的な感情や凝り固まった心がほぐされていく。読み進めていくうちに自分の心もなんだがほぐされるような感情になる。
    人は誰でも過去の嫌な思い出や、長年凝り固まったネガティブな感情があると思う。そんな感情を昇華させてくれるような作品だった。著者の文章はすごく表現が綺

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    2025年04月27日
  • 夜が明ける(新潮文庫)

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    読み進めるのがすごくしんどい小説だった。
    語り手である俺が学生の頃から物語が始まって、家庭が急に貧しくなっていく様子とか、自分がそうなるまでは貧しいということがどういうことなのかに気づかない(気づけない)でいる様子の描写がなんともリアルで、本当にこういうことが起こり得るんだろうなと思った。

    アキの劇団の人達が誰も『男たちの朝』を見ていないとわかった時の描写が、むごくて心が痛かった。ずっと一緒にいたのに、本当はいなかったみたいな感じがした。

    あと、「苦しかったら、助けを求めろ。」について、それはそうだと思うんだけど、俺はあの時あの環境で、誰にどう助けを求めることができたんだろうか。上司と先輩

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    2025年04月27日
  • さくら

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    長谷川家が愛しい。サクラがものすごく可愛い。
    物語の最初からずっと兄が死ぬことはわかっていても、こんなにさまざまに家族の歴史を見せられると、何かの間違いであってほしいと思ってしまう。
    悲しすぎる…。でも間違いなく長谷川家は幸せで、大丈夫。きっとこれからも大丈夫。
    何が起きても、どんなに変わってても、それでも家族は家族。家族はいいなあ、犬はいいなあ、と思うようなお話でした。

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    2025年04月24日
  • サラバ! 中

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    主人公の圷歩の両親が離婚して、主人公と姉、母が今橋の姓に代わるところから中巻が始まる。

    主人公の歩はサッカー部の高身長イケメンに成長し、友達も多く女の子にモテまくり、順風満帆な毎日を過ごす。一方で、姉はエジプトから帰国後日本の学校に馴染めず不登校になり、サトラコウモンサマというエセ宗教のようなものにハマっていく。

    1995年の阪神淡路大震災や地下鉄サリン事件を経て、サトラコウモンサマが崩壊するとともに、姉の貴子の精神も崩壊し、日本から離れて暮らすために姉は父の新たな赴任先のドバイへ赴くことになる。一方で歩は、大学に入学し映画サークルで活動しながらも彼女を作って学生生活を謳歌する。

    文章は

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    2025年04月22日
  • サラバ! 上

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    主人公の圷歩がイランで生を受けてから、日本に帰国して幼稚園と小学校低学年時代を過ごし、父の転勤に付いてエジプトで過ごすまでが上巻の内容。

    「僕はこの世界に、左足から登場した」という冒頭の文章は印象的だが、基本的には展開にあまり起伏がなく、主人公視点の日常が綴られている。

    穏やかで寡黙な父と天真爛漫な母、問題児の姉と空気を消して周りに溶け込むことが得意な僕、といった主人公とその家族を中心に物語が進む。

    文章はとても読みやすいが、物語が大きく展開するような場面はなく、上巻はあくまで序章といった印象を受けた。

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    2025年04月22日
  • わたしの名店

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    色々な人の、美味しい話。

    行きつけのお店であったり、発掘したお店であったり。
    やはり、というべきか、いけない場所にある店ばかり。
    旅行に行った時など、いつか行ってみたりものです。

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    2025年04月19日
  • うつくしい人

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     グルグルと考えてきゅうきゅうに苦しくたって
     きっと少しずつ少しずつ日差しが差し込んでくる
     

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    2025年04月18日
  • 夜が明ける(新潮文庫)

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    長かった。
    が、遠峯さんと森さんとのやり取りは読んで良かったなと思いました。
    苦しくても、生活が危うくても声に出せない人は現実でも沢山いる。この主人公の夜は明けたのか。明けて欲しいと思う。

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    2025年04月17日
  • ふる

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    ちょっと私には難しかった。
    思ってることは分かるんだけど、
    文章が私の感覚とちょっと違ってて
    読み進めるのに時間がかかってしまった。

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    2025年04月17日
  • おまじない

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    この人の描く女性の弱さと強さ、一人で抱えてぐるぐるまわる思考のなかから、おそるおそる前に進んでいく、正解とかわかんないけど、なんとか腹をくくろうとする、そんな悶々としてる思考がとても自分に重なり近い感覚。
    特に子供から大人になる頃の、周りの目線とか溜息とかにすごい敏感で、なんか自分がいるだけで悪いことしてるような、自己肯定感の低さ。わかるわ〜。

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    2025年04月15日
  • さくら

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    ネタバレ

    美男で運動神経の良い暖かい雰囲気の長男、普通な感じの次男、美しくて雰囲気のある次女、痩せてきれいだった母、落ち着きがあってイケメンの父、家族の支えの賢い犬サクラの話。長男は恋人と文通してたが、恋愛感情的に長男のことが好きな次女が手紙をかくし、兄のふりして彼女に別れ話の手紙を送り破局、その後事故にあって見た目が酷くなり、周りからの視線などに耐えきれなくなり自殺。母はショックから暴飲暴食で太って醜くなり、父は小さく痩せていき逃げた。最後は体調不良のサクラを中心に家族が再度集まり、わだかまりもなくなり、サクラを中心に笑顔が戻ったってはなし。

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    2025年04月08日
  • 窓の魚(新潮文庫)

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    ネタバレ

    不思議な読後感。一気読みした方が楽しめたかも。

    自分より弱い存在を求めるアキオの気持ちが分かるような気がした。男らしさを持たない男性の肩身の狭さも分かるような気がする。女性よりもそういう男性の方が生きづらい社会だろうなぁ。

    ハルナとトウヤマは少し前向きな未来が見えるが、アキオとナツはどうなってしまうんだろう?

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    2025年04月08日
  • ふくわらい

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    魅力的な登場人物が多いのですが、私的には、武智次郎さんはちょっと、わからない…
    あと、最後も警察が出動するような設定にしなくても…とは思いましたが…
    定としずくが悦子のうちに行ったシーンは感動的でした。

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    2025年04月08日
  • 舞台

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    自分を客観視したり、人とのやり取りの妄想は私もよくしてしまうので共感できました。が、イライラもした。
    でも、さっくり読めて良かったです。

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    2025年04月07日
  • しずく

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    西加奈子の短編集。

    短編集も悪く無いが、長編のようなインパクトはない。

    やはり、長編で描かれる物語が好きだ。

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    2025年04月07日
  • i

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    ネタバレ

    2004年デビューの西加奈子さん。彼女の2016年の作品。

    米国男性と日本人女性の家庭に養子となったシリア人アイの物語。彼女のガラスのような繊細な心、それを取り巻く周囲と彼女の自身への嫌悪感や罪悪感をざらりと描く作品。

    なお、珍しく関西弁が出てこなかった、と思います。

    ・・・
    ということで、本作はアイというシリアが出自の女の子のお話。お父さん(米国白人)、お母さん(日本人)と血のつながらないという設定。

    彼女は、雰囲気の読み取りが巧みで、かつ両親の気持ち・周囲の期待も理解する。でも、裕福な家庭で育つことへの罪悪感、シッターを雇うくらいの家庭でのシッターとの身分の違いにとことん悩む、そう

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    2025年04月04日
  • わたしの名店

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    有名な作家さんが実在する思い出のお店をエピソードとともに紹介してくれる。
    28名の作家さん(中にはルイ53世さん、バービーさんなどの芸人さんも)のエピソードの中で美村さんの鴨のロースト、塩谷舞さんのガパオライスはお店をブックマークするほど惹かれてしまった。

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    2025年04月02日
  • わたしに会いたい

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    あなたは、自分の『存在を認識した』瞬間を覚えているでしょうか?

    う〜ん、なんとも難しい質問ですね。あまり深く考えると哲学的な質問にもなってしまいそうです。私たちは、この世に生まれ、自分以外の人間との関わりの中に、やがて、自分という『存在を認識』しはじめます。それは、大人への階段を上っていく中では必然とも言える瞬間です。

    そんな瞬間の起点はもちろん人それぞれに異なります。何かしらインパクトある出来事がそこに起点を与えてもいきます。それは人の数だけあるとも言えると思います。

    さてここに、『5歳の時』に『わたし』の『存在を認識』したと語る主人公の物語があります。まさかの『ドッペルゲンガー』が登

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    2025年03月31日
  • サラバ! 中

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    大人になっても家族に振り回されてる歩。
    でも子供の頃とは違って、自分で物理的な距離をとることができて、やっと自分のペースで生活ができるようになってきます。
    でも好きになる友達や女の子の基準が家族の影響を受けている感じが悲しくも微笑ましくもあります。

    後半の母の言動はもう、子供が可哀想としか言えません…
    父に至っては、ホントすごい人だ!というかです。

    今後どうなっていくのか、下巻が楽しみです。

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    2025年03月30日