西加奈子のレビュー一覧
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身体や性についてのエッセイ集。この中で柴崎友香さんが呈示していた疑問「なぜ書き手の性別を限っているのか」、私もこれと同じことを思った。もう、このフェーズは終わっていないか。いま、同じテーマで、男性やその他の性の人の語ることも聞きたいし、それらが同じひとつの場所に並べられているところを見たい。
どのエッセイもそれぞれ興味深かったし、色んな方向に心動かされたが、上記の意味で、柴崎さんが「このような疑問を私が持っていることを編集者と共有できたので、書くと返答した」という経緯を書いてくれていたことが、いちばん嬉しかった。もちろん、疑問の詳細は私が書いたこととは違ったけれど。 -
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◼️ 西加奈子「サムのこと 猿に会う」
初期の3作を収録、関西風味の、西加奈子の筆が冴えている。
「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」の短編3つ。大阪、大阪、和歌山ですべて関西弁。うにゅっとした、形のはっきりしない成り行きと感情を描く。
関西出身の同僚の女性がかつて、いまなら西加奈子がええよ、大阪が舞台のが多いし、と言い、仕事で組んでいた後輩も好きで2つ3つ貸してもらった。こんなところに惹かれるんちゃうかな、という筆がこれらの作品にあるような。
サムが突然、死んだ。レコード屋アルバイトのスミ、洋食屋のアルバイトのハスと在日朝鮮人のキムのカップル、男を取っ替え引っ替えしているモモに僕、つ -
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Xで、『ASDの女性が人との関わりを通して、日常に当たり前にあるものに対して、新鮮に気づきを得たり、感情を得ていく話』といったようなポストを見て、「私はASD傾向があるかもしれない...」とちょうど気に病んでいた私の興味をひき、読んでみた。
ASDのために、人に対しての見方が平面的だったというより、この主人公の育った環境が、人への共感力を育むことに関して異常に欠落していたが為にこうなっただけだよなあ、と感じた。そしてそれは私の心の救いにもなった。
昔から、自分が経験していないことで悩んでいる人の気持ちが分からず、無神経なアドバイスをしてしまったり、共感できないけど表面上共感しているフリを -
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ネタバレ2014年発表の西加奈子氏作品。
あらすじについては、巻末数ページにある広告(他作品紹介ページ?)にあるのが簡潔でよかったので引用したいと思います。
旅の初日に盗難で無一文に! 自意識過剰な青年の馬鹿馬鹿しくも切ない魂のドラマ。
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読後感は複雑でした。
周囲へあわせるとか、空気を読むとか、発言しない相手をおもんぱかるというのは一種の日本の文化でしょうが、それが行き過ぎて苦しむ人がいるのも事実でしょう。
主人公の葉太は、気にしい、というか、自意識過剰の最大級みたいな感じの人。
初の海外旅行にニューヨークを選び、調子にのり、盗難にあう。英語も喋れず、恥もかきたくない、だか -
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【三浦しをん、西加奈子、中江有里、美村里江、宇垣美里、清水由美、山田ルイ53世、塩谷舞、稲垣えみ子、道尾秀介、ジェーン・スー、岡崎琢磨、バービー、朝井リョウ、瀬尾まいこ、佐藤雫、清水ミチコ、あさのますみ、畠中恵、はるな檸檬、小川糸、久住昌之、川内有緒、澤村伊智、朱野帰子、最相葉月、藤岡陽子、森見登美彦】
という顔ぶれの方々が、それぞれ"自身が名店だと思うお店"を紹介している一冊。その店はもちろん実在する店。(現在、閉店してる可能性はある)
いやー、なんか人が好きなお店っていいやんね。好きって必ずしも「ここのこれが絶品!」っていうだけじゃなくって、別に特別美味しくなくても好 -
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両親の離婚、エジプトからの帰国というイベントから始まる歩くんの、主に学生時代が描かれている中巻
離婚して離れてもなお家族を養い続けるお父さんにぶら下がる、相変わらずクセツヨな家族たち
祖母、親戚、近所のおばちゃん等女性が多い中できっと耳年増みたいになっちゃったんだろうなぁ変に達観してるつもりの歩くんは男子校に通い、ヤコブに代わる親友と呼べる須玖くんと出逢い、映画や音楽などのカルチャーにとても影響を受けていくところはものすごく青春な感じがしてうらやましいほどだ
しかし度々語られる自意識過剰?
自分の容姿に並々ならぬ自信を持っているところやクセツヨ家族の中で当り障りなく過ごすために手に入れた処世 -
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どんなことをどんな風に語るかは自由なはずなのに、不思議と受ける印象が近い方も多い。圧倒されたのは、自身の自慰について複数名の方が赤裸々に書かれていたこと。もちろん秘めておくべきかどうかは個人の自由だが、同じことを目の前の男性に言われたらきっと眉間にシワを寄せてしまうと思うので、(こんな性差を感じてどうかとも思うが)そうならないのを織り込み済みの、女性性を逆手に取った表現ような気もする。私のお気に入りはセブンルールで見たことのある藤原麻里菜さん。「もし、技術が発達して、アバターを作って仮想空間で生きれるとしたら、私は女の身体を選ばず、カービィみたいなピンク色の球体を選ぶだろうと思うのだ。そうした
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