西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
恋に落ちた瞬間から、その感情の強さに飲み込まれていく様子がとても印象に残りました。好きという気持ちはこんなにも一方的で、ときに自分を見失わせるものだと感じました。その感情が息苦しさや恐怖と隣り合わせで描かれていて、読んでいて胸が締めつけられる思いがしました。
相手に触れたい、知りたいと思うほど距離がうまく測れなくなっていく様子が痛々しくもあり、どこか共感してしまいます。登場人物の言動には危うさもありますが、それも含めて人を好きになることの純度の高さが伝わってきました。
恋愛の美しさだけでなく、感情が極端に振れたときの危うさにも目を向けさせられる一冊でした。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ女ふたりがテーマの、短編集です。
タイトルでもあり、単行本刊行時に書き下ろしされた、しずくが一番印象的でした。
ねこ2匹の考えていることが、あまり知能が高くないところが、記憶が曖昧なところが、愛おしい。
喧嘩をしててもそのうち理由を忘れてしまう。離れてしまっても、何かがなくなったことしかわからないけど、その温もりは忘れない。暖かいような切ないようなお話でした。
他にもランドセルは、子供の頃に仲が良かった友達にエレベーターで偶然会い、勢いで旅行の計画をし、ロサンゼルスにいくという突拍子もない話。それでも、女の友情というか、なんとも言えない関係が描かれていて面白かったです。
他のお話も、何度も -
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Posted by ブクログ
女性の身体とその生きづらさをテーマにした8編の短編集。
出てくる女性の芯が強くて、勇気がもらえる1冊。
この作品で書かれた「性的な客体として見られることは受容しなければならないのに、積極的に性を楽しもうとすると、聞くに堪えない言葉で罵られる」という一文には、激しく頷いた。
若さに価値を置く人が多い日本で、年齢を重ねると性的な対象として見られなくなくなることは、私にとってはメリットでしかなかった。
女性であることで暴力的な言葉を投げかけられたり、軽視されたり、搾取されたり。
自分の心が削られる思いをしたことのある女性はたくさんいるだろう。
男性も女性と同じように、そういった苦しさはあると -
Posted by ブクログ
◼️ 西加奈子「舞台」
演じている、は西加奈子ひとつのキーワードかもしれない。
人はニューヨークに何を感じるのだろうか。また、自意識、というのが意外に強いものだというのは年齢を経るに従って分かってきた気がする。突っ走りと関西弁でいわゆるヘンコ。自意識過剰の若者は、NYで何を見つけたのか。
それなりに高名な作家だった父親のことをしゃらくさい、と言って嫌っている葉太。女にはモテるが演技をされると萎えてしまい長続きしない。その父が死に、遺したお金でNYへ一人旅をすることに。セントラル・パークの有名な芝生、シープ・メドウに着き、念願通り寝転がってお気に入り作家の本を広げたとたん、日本語で「まさか -
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西加奈子さん、初読み。
太宰治『人間失格』に心酔する主人公の葉太は、非常に自意識の肥大した若者。常に周囲の目からどう見られるかを意識して場に、自分に相応しい姿を演じようとする振る舞いには私もよく思い当たるものがあるし、何より私も中学生で出会った『人間失格』に衝撃を受けて「これは自分の話だ」と思った類の人間なんだけれど、葉太へはそこまでの共感がなくて、なんというか自分がもう若者を通り過ぎてしまっていることを再確認させられた気がする。若者として読んでいたら「これは自分のことだ」と感じたんだろうか。
葉太は人間失格の葉蔵的な人間を現代の若者(令和ではなく平成)に落とし込んだ姿とも捉えられるが、酒や -
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