西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ文庫版あとがきにも記載があったが、物語としておもしろい作品であると思う。どういうシーンであれ心が意図せずに動かされるのは、快不快どちらであっても読書体験としては良いものと感じた。カフェでの発言であったり、旅先での出来事、血みどろの守口など、ちょっとな…と思いつつ、生きていることを体験できているというか、西さんに体験させられているというか、揺さぶられる物語であった。主人公の定が何事も受容していく姿勢であるのが、読書と同じ目線に見えるのかもしれない。上手いとか下手とかじゃなく圧倒された気がする。守口みたいな人には会ったことないけど、ことばの紡ぎ方に独特の雰囲気が出せることが素晴らしいと思った。
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ネタバレ 購入済み
感想
自分の信じるものを他人に決めさせてはいけない。
働き始めて、働くことも遊ぶことともただ生活をすることもあるべき姿におさまるために「すべきこと」として苦しくなっている今、この本を読み終わってもまだ苦しいままだった。なんだよ、結局「良い道」を歩いていくのか。とも思うし、なんだかんだ救われないまま終わるんじゃなくて前を向いてくれてよかったとも思う。
事実の羅列形式の文章に何回か挫けそうになったけど、ただの事実、つまり、けっして「あるべき姿」じゃない日々の積み重ねにも意味を見出すことができれば、もっと楽になるのかもしれない。いや、楽になりたいと思うことも「あるべき姿」を目指している…? -
Posted by ブクログ
ネタバレ故・向田邦子さんのエッセイを、角田光代さんと西加奈子さんの二人が現代に甦らせた一冊。
西加奈子さんの描く絵は生き生きとしていて、いつも見る者に訴えかけるパワーがある。特に西さんの創る力強い色彩に今回も惹きつけられた。
家族全員が大切に育んだ"ちいさないもうと"への慈しみが愛おしい。
玄関に並ぶ家族全員のぞうり。言葉はなくても家族みんなの気持ちを、ぞうりの並び方が代弁していてとても印象的だった。さすが西さん、上手い。
いつもは厳しいお父さんの「げんきな日には、はがきにまるをかいて、まいにちいちまいずつポストにいれなさい」に感心した。お父さん賢い。
けれど赤い大きな&qu -
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