感情タグBEST3
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失恋したり、女性であるアイデンティティを歪めなくては生きていけなかったり、自分の容姿に対する愛憎に涙したり、愛しても見てももらえなくて消えてしまいそうになったり、短編に出てくる登場人物の女性はどれも違う人物なのに、一貫して「自分のままでいていいこと」を訴えてくる強くて熱い描写は、何歳になって何度再読しても読んだ後には顔を上げて胸を張れる気分になれる。
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落ち込むほどじゃないけど、なんだから自分の人生と距離を置いていたり、自分の人生の当事者になれてない感覚になった人がこの本と出会えればいいと思う。あともう熱烈に恋してる人には表題作「炎上する君」をマジで読んで欲しい。
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引用
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恋愛のさなかにいる君、恋の詩をつづる君、恋の歌を歌う君よ。
周囲の人間に、馬鹿にされるだろう、笑われるだろう、身の程知らずだと、おのれを恥じる気持ちにも、なるだろう。だがそれが、何だとというのか。
君は戦闘にいる。恋という戦闘のさなかにいる。誰がそれを、笑うことができようか。
君は炎上している。
その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。
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ここも好き
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何ものにも感動できない、いわば生きることへの不感症なのではないか、と、おのれを呪った。
もっと、血の滾るようなこと、これがあれば死んでもいい、と思うようなこと、それを探していた。銭湯以外に。
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一話一話はすぐに読めてしまう短編だけれど、それぞれ違う角度から胸の奥をギュッと掴まれる。
「空を待つ」に目が潤んだ。表題作もおもしろい。
心が疲れた時、孤独に埋もれそうになった時、きっと読み返すだろう。
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偶然、家の本棚にあり、手に取った小説。もともと西加奈子さんは好きなので、読んでみた。
情景がころころ変わっていく、まるでSFのような短編集。その中でも、タイトル「空を待つ」の「ひとりだと嘆いても、手を伸ばしても、私の体は世界から抜け出すことはない、死ぬまで。私は分かっている。分かっている。」というフレーズが印象的だった。孤独が重なって、自分が何者か分からなくなる、そんな感覚を違和感なく文章に落とし込んでいて、読みながらいつか見た東京の人混みを思い出したりした。切なさが良い。
最終話「ある風船の落下」の「何かを望み、欲し、それが得られなかったり、それに裏切られたりして、傷つくことを避けるために、僕たちは望みを捨てるのですか。そのために、地上を捨てたんでしょうか」という言葉は、ずっと大事にしたいと思う言葉だ。
全体を通して難しい表現もあるけれど、自分に自信を失いかけた時、失敗が怖くなった時、手に取りたい小説です。
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以前著者の他の作品を最後まで読めなかったことがあるので期待していなかったが、面白かった
「甘い果実」が特に好きでゲラゲラ笑いながら読んだ
非現実的で突飛な展開が多いのにリアリティがあって不思議な作品
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この作風の西さんもっと読みたい!!
表題作の「炎上する君」女たちのエネルギー、すり減り方がよかった!!「ある風船の落下」憂鬱さとユーモアのバランスが好き。
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こういう作風もあるんだ、という底無し沼な感じ。星新一っぽい。でも、西加奈子らしさがずっと漂ってる。100%の理解は無理だが、置いてけぼりもまた一興。
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「でも、恐怖にかられても、人に裏切られて傷ついても、それでもまた、人間を信じて、何度も傷ついて生きる、人間でいたいんだ。」
「絶望するな、僕たちには西加奈子がいる」
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人間の存在意義に関する8つの短編が収録されている。どの作品も設定がユニークで、西加奈子の発想力・創造力を存分に体験できる。読み進めながら、世の中の生き苦しさや、生きづらい世の中に対する嫌気のようなもの感じた。しかし、最後に収録された「ある風船の落下」で、そういった世の中の嫌な部分の存在をわかったうえで、主人公が力強く生きていく決心をする様が描かれていて、生きづらい世の中を生きる私たちを後押ししてくれたような気がした。
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これまた普段と違う毛色の西さんの短編集。
SF味(み)、芥川味(み)が強く、現実的ではないぼんやりとした艶やかさを持つ話が多かったが、読後にはどの作品もなんだかとっても心強く感じられた。
その点、本作もお守りのようで、今まで読んできた作品とさほど変わらない後味。(だからスキ!)
どの作品も発想が天才すぎて、にやにやしながら楽しく(時にマジメに面白く)読めたが、なかでも表題作の「炎上する君」、「トロフィーワイフ」、「私のお尻」が好きだった。
諦めそうになっても、動けなくなっても、叫びたくなっても、わたしたちには西加奈子がいるんだな。なんと心強い…。(又吉さんの解説より引用)
全ての作品が濃い印象を残しすぎていて、頭がほわほわしているので、ちょっともっかい読みたい…。
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又吉が第2図書係補佐で取り上げていたため読んだ。
西加奈子作品を読むのは、これが確か2作目である。
読むと幻想的な世界が広がっているため、読後は「この作品は何だったんだろう?」という気持ちが溢れてくる。
解説は又吉が担当している。
解説で、「西加奈子は必ず生きることを肯定してくれる」と述べている。
思い返せば、西加奈子作品では辛い目にあった人が生に前向きになって終わっている気がする。
この本は短編集だ。
この短編集に『ある風船の落下』と言う作品がある。
「僕は、君に会って、君と会って、君と話をして、何かを信じて、求めることの幸せを思い出した。もし裏切られたとしても、社会から中傷を食らっても、それでも、誰かを信じることの素晴らしさを、僕は思い出したんだ」という台詞が印象に残った。
この台詞は“生”を肯定してくれている。
この台詞を読んで、帯に書かれていた「絶望するな。僕達には西加奈子がいる」という言葉の意味を理解できたと思う。
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『ある風船の落下』はあまり西加奈子さんでは読まないようなSFチックな話だったが、とてもリアルで、やはりこの人の描く言葉には、丁寧さと、そこにあるような、近さを感じる。
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体と心のつながりを改めて大切に思わせてくれる作品。
実際にはありえないような物語でありながら、
心の綻びが体の異変となって現れてくる感覚に共感できた。悩んでいる時こそ、悩んでいる原因と少し距離を置いたり、そんな自分を自分自身が受け入れることで、物事が良い方向に進んだり、徐々に前向きな気持ちになれるというメッセージが詰まっている。
どの物語も、読み終わった時の、心の解き放たれたような清々しさが心地よい作品だ。
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短編集だからサクサク読めて、西加奈子の世界観を感じやすかった。登場人物もイメージしやすく、キャラも掴みやすかったし、文章の作り方なども私の好みでした。
ただ、ひとつひとつのオチがあまりしっくりこないことが多かったので、次回は西加奈子の短編集でないのを読んでみたいと思いました。
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友達が西加奈子面白くて良いよ!
と言っていたのを思い出し(数年ぶりに)
古本屋で見つけ薄くてさらっと読めそうと決めた
ちゃんと読んだのは初めてだったが
その独特の世界観に驚いた
一作目がいきなりセックス描写て、、
でも他の話も読んでいくにつれ
なんとなく評価される理由が分かってきた
不思議なSF感はあるがどこか現実的で
奥深い内容がハマりそう
もっと他の作品も読んでみたい!
Posted by ブクログ
西加奈子読める。
最後の風船の話とあっくんの話が印象的。
主人公が男かなって感覚で読み進めちゃうけど実際は女の子だったり、急に官能的になったり不思議な感覚でスルスル読めた。
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今日は病院の日。待たされるのは手持ち無沙汰で気が滅入るので、僕はいつも文庫本を持参する。持って行く本はだいたいいつも決まっている。今回もこの本を。持参するたびに読み返しているものの、意外と内容を覚えていない。じつは苦手な本だった。それでも今日もまた、この本を選んだ。苦手だと言いながら手に取る、いま思うと不思議だ。今日という日が訪れる予感だったのだろうか。
椎名林檎との対談で作者は「セックスのカードって、どんだけ強いねん‼︎」と言っていた。前後の話の流れは忘れてしまったけれど、その一言だけ覚えている。否定的な発言かと思っていたけれど、この短編集の最初からそのカードを切っていた。そういえば初めて読んだ時は、だから少々拍子抜けしてしまった記憶がある。
なぜこの本が苦手だったのか。それは僕の未熟さゆえだったのかと思う。僕は昨年末から集中的に読書を再開した。きっかけは松岡茉優、彼女が本好きで、僕も彼女が読んだであろう本を読んでみたいと思ったことだった。このことは、僕が書いた他の本の感想にも何度も書いた。現状では、読書習慣がすっかり身についた。さらに、読書で個人的にかつてない経験をしたことがあり、そのことは、以降、僕の感情や考え方に大きな影響を与えている。
それを踏まえて、今日の、この本である。
病院で採血から結果待ち、診察を終えるまでの3時間強で、ほぼ読み終えてしまった。以前はなかなか物語に入り込めず、壁のようなものを感じ、行きつ戻りつしてなかなか進めなかったけれど、今日は何の抵抗もなく読み進めることができた。たんに最近身についた読書習慣のおかげ?要因としては、それは小さくないけれど、その習慣を得たことで、ひとつ気付いたことがある。僕は共感することができる。奇妙な言い方だけど、僕は何かしら物事に共感することができるということに気付いたのだ。本の中の物語にも、それ以外の日常生活でも、想像力をもって自分の外側で起こりうる事象への共感。いわば共感力とでも?これまで苦手だと思っていたこの本の中の物語でも、作者の想像、言わんとすること、登場人物の言動、ことごとく腑に落ちた。いや、それは少々調子に乗りすぎか。すべてに、とは言わないまでも、やはり共感した、共感できた、という言葉が合うように思う。
今回の件は、自分自身のことながらとても興味深いと思った。きっかけとなったと思われる僕の「読書におけるかつてない経験」について具体的なことは、ここでは触れないけれど、他の本の感想に、そのことは記してあります。もったいぶったわりに、じつは些細なこと。あくまで僕の、個人的な経験ですのでご容赦ください。
繰り返し読むことでの新発見という、読書の愉しみ方に気付くことができた一冊として、特別な本になりそうです。
Posted by ブクログ
炎上するのは、
ネットの世界ではなく、
本当に人間が燃えるのだ!
風船人間は
風船を持っているわけでもなく、
中に入る訳でもなく、
人間が膨らんで風船になって
天の上へ行ってしまうのだ!
そんな
奇想天外な発想の短編集。
ただの不思議なファンタジーではない。
主人公は
社会との違和感を感じながら生きている人ばかりだ。
共感する部分も沢山ある。
西加奈子さんの優しさが根底にあるから、
どこか笑えて
最後には救いがある。
誰もが優しさや愛情を欲しているんだな、
私だけではないんだな、と
痛感。
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短編集。ちょっとした待ち時間に読むには良い。面白いかと言われると、私の好みの内容ではなかったのでオススメはしない。独特な世界観の作品ばかりだった。
Posted by ブクログ
久しぶりの短編集&西加奈子先生の作品を初めて読む。
8つの短編集を読んで、僕には理解が少し難しい作品が
いくつかあって、読解力や想像力が乏しいと思ったのが
読み終えての印象です。
1作品あたり僅か20ページ。
少ないページ数の中、物語と不思議な世界観が出来て
"世にも奇妙な物語"風なテイスト?と思っていた。
しかし、ピースの又吉直樹さんが作品毎に解説で
この作品のテーマ性が見えてきて
その"テーマ"に沿って思い返すと納得が行きます。
改めて又吉直樹さんの読解力に脱帽です(笑)
他、短編も女性の視点からコミカルに書かれており
不思議な西加奈子先生の世界観を味わうでしょう!
個人的に読んで面白いと思った短編は以下2つです。
・私のお尻
相当な魅力あるお尻。触ってみたいと思った(笑)
最後に"部屋に預ける"という斬新さに喝。
・ある風船の落下
こちらは読んでいくと理解できました。
ストーリーも面白いので、現代の問題にも関わる話。
絶望するのは、まだ早いかもね(笑)
Posted by ブクログ
又吉直樹さんの「第2図書係補佐」での紹介のお陰でこういう作品に出会えた事を感謝する。
自分だけでは絶対に手を出さない作品だ。
だって、わからない、何が言いたいのか!
いや、言いたい事がハッキリ分からないのだが、作品を読んでいると自分の内面を探り始め、同期していくような思いがしてくる。
そして全作を通じて感じることは「自己の存在意義」に関する不安と探求なのだろうかと思った。
「舟の町」では現実生活に打たれすぎて苦しんだ末にその苦悩から救い出してくれる町にたどり着く。
これなどは疲れた人間が欲して止まない「許し」の溢れる自分のための社会なのではないだろうか?
巻末の解説で又吉さんが
「尊敬する作家の素晴らしい作品」
と絶賛し「気がつくと自分が芸人であることさえ忘れ笑っている」などとも記している。
どうもそこまで辿り着けない私はとても不安なのだ。
いったい自分の読書理解力というのはどんなものなのだ。
このままの状態でほんを読み続けて意味があるのだろうか。
とはいえ、自分の好みの作品ばかり追いかけていては読書の幅も人間も広がらないだろうから、わたしには意味のわからないそんな作品に首を突っ込む機会を得てありがたい。