あらすじ
「太陽の上」中華料理店の三階に住んでいるあなたは三年間外に出たことがない。でもその日、何かが変わる。
「舟の街」ある日、あなたは徹底的に参ってしまった。そして、思い立った。舟の街に行こうと。
「空を待つ」深夜の青梅街道で携帯電話を拾った。その日から、見知らぬ相手とのメール交換が始まる。
「甘い果実」作家志望の私は31歳。勤めていた書店で、あの作家がサイン会を開くという。
「炎上する君」銭湯で私と浜中は足が炎上している男の噂話ばかりしていた。ある日、銭湯にその男が現れて…。
「私のお尻」私は白くて綺麗なお尻をもっているけれど、いつからかそのお尻を憎らしく思うようになった…。
何かにとらわれ動けなくなってしまった私たちを訪れる、小さいけれど大きな変化。奔放な想像力が紡ぎ出す、どこか不穏で愛らしい物語たち。8編収録。
感情タグBEST3
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どの短編も、発想が大胆で視点が斜め上。現代社会の矛盾を軽くひねって見せるような、ちょっと刺さるテーマばかりだった。
なかでも表題作は特別で、2回読み、3回目は10歳の娘に音読した。恋愛ドラマを見れば「オエッ気持ち悪い」と言い、クラスの女子たちの会話にもあまり興味を示さない、まっすぐなタイプの娘。20分以上かかったけれど、「面白い」と笑ってくれて、どこか共感する部分があったようだ。今は同じ空気を持つ友達が身近にいないけれど、いつか自然に分かり合える人に出会えるといいと思う。
短編は、魅力的な世界ほど唐突に終わってしまう。その“あっさり”がさみしくて、もっとこの奇妙で楽しい世界に浸っていたかった。
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足が燃えている男に恋をして、当然のように自分の足が燃えているのが面白かった。
他人と等間隔で生きる、傷つかないように生きることが望んでいることなのか?という言葉が印象的だった。
自分は「地上」で傷つくことを恐れずに生きたい。
超自然的な風船としてただ浮遊したくはない。
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かなり好き。
短編集で、深く意味を考えてもいいし、考えずにサラッと読んでもいいのが贅沢。
中でも風船の話が好きだったかな。
気軽に読めるし、何回も読み返したくなる。そしてまたその時にじっくり考えてもいいし、考えなくてもいい、
好みの作家さんに出会えて嬉しい〜。
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「炎上する君」
人間として相手を好いて、人間として相手から好かれたいという欲に、もっと素直になってもいいと思えた。今なら少し、胸を焼く火を肯定できる。
「舟の街」
泣いて眠れない夜が続いていたこと、窓を開けると体が風に包まれて世界との境界がなくなったこと、夜に人と話すようになってからすんなり眠れて朝まで起きなくなったこと。追体験をしているようだった。声に感じた安心感は、きっとこの街のような表情をしていた。
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2025/01/10
初めて西加奈子さんの作品を読みました。それぞれの話がすごく独特な感じの短編で独特な世界観のお話だけれどとても読みやすい短編集です。
タイトルになっている話はこの本の中盤にある短編ですが、文字通り自分の足が炎上している男の人のお話です。
足が燃えてるってどういうことよ…という通常思うであろう感覚も踏まえつつそれでも進んでいく物語の行方がとても気になる感じになっています。
それぞれの話が「世にも奇妙な物語」とかでありそうな話になっています。
面白く読めるのではないかと思います。
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トロフィーワイフと空を待つ、ある風船の落下がとても印象に残って好きだった!
又吉さんが解説してくれてるように西加奈子さんの作品には生きることを肯定してくれる感覚がある
何度も読み直したいと思った!
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失恋したり、女性であるアイデンティティを歪めなくては生きていけなかったり、自分の容姿に対する愛憎に涙したり、愛しても見てももらえなくて消えてしまいそうになったり、短編に出てくる登場人物の女性はどれも違う人物なのに、一貫して「自分のままでいていいこと」を訴えてくる強くて熱い描写は、何歳になって何度再読しても読んだ後には顔を上げて胸を張れる気分になれる。
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落ち込むほどじゃないけど、なんだから自分の人生と距離を置いていたり、自分の人生の当事者になれてない感覚になった人がこの本と出会えればいいと思う。あともう熱烈に恋してる人には表題作「炎上する君」をマジで読んで欲しい。
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引用
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恋愛のさなかにいる君、恋の詩をつづる君、恋の歌を歌う君よ。
周囲の人間に、馬鹿にされるだろう、笑われるだろう、身の程知らずだと、おのれを恥じる気持ちにも、なるだろう。だがそれが、何だとというのか。
君は戦闘にいる。恋という戦闘のさなかにいる。誰がそれを、笑うことができようか。
君は炎上している。
その炎は、きっと誰かを照らす。煌々と。熱く。
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ここも好き
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何ものにも感動できない、いわば生きることへの不感症なのではないか、と、おのれを呪った。
もっと、血の滾るようなこと、これがあれば死んでもいい、と思うようなこと、それを探していた。銭湯以外に。
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西加奈子ワールド。世界観、発想が好き。こういう本があるから、物語っていいなと思える。斜めからの視点なのに、真っ直ぐ誠実さを感じる。不思議な物語の中に、ハッとさせられる感覚があって、登場人物たちがみんな懸命だから、惹きつけられる。これは何度も読み直していきたい一冊になった。
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めちゃくちゃだけど優しくて面白かった
特に最後の「ある風船の落下」
ストレスが溜まると風船になって空を飛ぶ
他人と関わると風船が落下する
炎上する君
オタク根暗女子二人が足を炎上する男に恋をする
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偶然、家の本棚にあり、手に取った小説。もともと西加奈子さんは好きなので、読んでみた。
情景がころころ変わっていく、まるでSFのような短編集。その中でも、タイトル「空を待つ」の「ひとりだと嘆いても、手を伸ばしても、私の体は世界から抜け出すことはない、死ぬまで。私は分かっている。分かっている。」というフレーズが印象的だった。孤独が重なって、自分が何者か分からなくなる、そんな感覚を違和感なく文章に落とし込んでいて、読みながらいつか見た東京の人混みを思い出したりした。切なさが良い。
最終話「ある風船の落下」の「何かを望み、欲し、それが得られなかったり、それに裏切られたりして、傷つくことを避けるために、僕たちは望みを捨てるのですか。そのために、地上を捨てたんでしょうか」という言葉は、ずっと大事にしたいと思う言葉だ。
全体を通して難しい表現もあるけれど、自分に自信を失いかけた時、失敗が怖くなった時、手に取りたい小説です。
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以前著者の他の作品を最後まで読めなかったことがあるので期待していなかったが、面白かった
「甘い果実」が特に好きでゲラゲラ笑いながら読んだ
非現実的で突飛な展開が多いのにリアリティがあって不思議な作品
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この作風の西さんもっと読みたい!!
表題作の「炎上する君」女たちのエネルギー、すり減り方がよかった!!「ある風船の落下」憂鬱さとユーモアのバランスが好き。
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不思議でヘンテコで切ない8編だった。
サラッと読めて、最後にはじんわりと心が温まる。
「トロフィーワイフ」はひとつだけ話の雰囲気が違っていて異色かなと思った。労働を知らない祖母と孫の優雅な生活を、ずっと眺めていたくなる。でもこうやって夫に愛でられていたのだろうと思うと複雑な気分だ。おっとりした祖母はおとぎ話の中の眠り姫のようだった。
ラストの「ある風船の落下」は思いがけずグッとくる話。誰かを必要として、自分も誰かに必要とされることで、長い人生を勇気を持って生きていけるものなのかもしれない。
8編に共通するのは、あくまでも人間というものを信じているという点だった。紆余曲折を経て自分らしく生きていく登場人物たちを見ていると、励まされているような気持ちになってくる。これだけ自由でもいいんだよと。
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それぞれ、内容は違うけどメッセージみたいなものは少し共通点があるように感じた。
そして又吉の解説が割と刺さった。
感受性豊かになれそうな作品。
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ふわふわとした不思議な読み口の短編集。少しファンタジー寄りな作品が多く収められていて、普段とは違う西加奈子を味わえた。そのため、「白いしるし」「さくら」「サラバ!「夜が明ける」などが好きな人たちはあまり刺さらないかも。私もその1人だった。
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古本屋で見つけて購入しましたが満足です。ところどころ難しい表現や理解しづらいフレーズはあるものの他人がどのような思考をしているか考えさせられました。人と人との繋がりを考えさせられました。
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インターネットの炎上かと思ったらマジの炎上だった。笑
全部不思議な世界観のおはなしでとっても面白かったけど、特に「ある風船の落下」が好きだったなー。
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短編集。全話どれも色味が違うけれど
どれも色彩鮮やか。
頭にイメージがすっとが入ってくるけど、
え?性別違ってたとか、これはあなたのことだったの?とか、
いい意味でイメージが覆されて
読んでいて飽きない。
Posted by ブクログ
友達が西加奈子面白くて良いよ!
と言っていたのを思い出し(数年ぶりに)
古本屋で見つけ薄くてさらっと読めそうと決めた
ちゃんと読んだのは初めてだったが
その独特の世界観に驚いた
一作目がいきなりセックス描写て、、
でも他の話も読んでいくにつれ
なんとなく評価される理由が分かってきた
不思議なSF感はあるがどこか現実的で
奥深い内容がハマりそう
もっと他の作品も読んでみたい!
Posted by ブクログ
足が燃えてるって。。。 なんといっても西加奈子さん。読ませるのが上手いからスルスル読めた短編集でした。炎上する君はタイトル作品なだけあって世界観も面白かったです。
けど、やっぱり、短編集ですね。西加奈子さんのサラバ!やiの読み応えが欲しくなりました。
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西加奈子読める。
最後の風船の話とあっくんの話が印象的。
主人公が男かなって感覚で読み進めちゃうけど実際は女の子だったり、急に官能的になったり不思議な感覚でスルスル読めた。
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今日は病院の日。待たされるのは手持ち無沙汰で気が滅入るので、僕はいつも文庫本を持参する。持って行く本はだいたいいつも決まっている。今回もこの本を。持参するたびに読み返しているものの、意外と内容を覚えていない。じつは苦手な本だった。それでも今日もまた、この本を選んだ。苦手だと言いながら手に取る、いま思うと不思議だ。今日という日が訪れる予感だったのだろうか。
椎名林檎との対談で作者は「セックスのカードって、どんだけ強いねん‼︎」と言っていた。前後の話の流れは忘れてしまったけれど、その一言だけ覚えている。否定的な発言かと思っていたけれど、この短編集の最初からそのカードを切っていた。そういえば初めて読んだ時は、だから少々拍子抜けしてしまった記憶がある。
なぜこの本が苦手だったのか。それは僕の未熟さゆえだったのかと思う。僕は昨年末から集中的に読書を再開した。きっかけは松岡茉優、彼女が本好きで、僕も彼女が読んだであろう本を読んでみたいと思ったことだった。このことは、僕が書いた他の本の感想にも何度も書いた。現状では、読書習慣がすっかり身についた。さらに、読書で個人的にかつてない経験をしたことがあり、そのことは、以降、僕の感情や考え方に大きな影響を与えている。
それを踏まえて、今日の、この本である。
病院で採血から結果待ち、診察を終えるまでの3時間強で、ほぼ読み終えてしまった。以前はなかなか物語に入り込めず、壁のようなものを感じ、行きつ戻りつしてなかなか進めなかったけれど、今日は何の抵抗もなく読み進めることができた。たんに最近身についた読書習慣のおかげ?要因としては、それは小さくないけれど、その習慣を得たことで、ひとつ気付いたことがある。僕は共感することができる。奇妙な言い方だけど、僕は何かしら物事に共感することができるということに気付いたのだ。本の中の物語にも、それ以外の日常生活でも、想像力をもって自分の外側で起こりうる事象への共感。いわば共感力とでも?これまで苦手だと思っていたこの本の中の物語でも、作者の想像、言わんとすること、登場人物の言動、ことごとく腑に落ちた。いや、それは少々調子に乗りすぎか。すべてに、とは言わないまでも、やはり共感した、共感できた、という言葉が合うように思う。
今回の件は、自分自身のことながらとても興味深いと思った。きっかけとなったと思われる僕の「読書におけるかつてない経験」について具体的なことは、ここでは触れないけれど、他の本の感想に、そのことは記してあります。もったいぶったわりに、じつは些細なこと。あくまで僕の、個人的な経験ですのでご容赦ください。
繰り返し読むことでの新発見という、読書の愉しみ方に気付くことができた一冊として、特別な本になりそうです。
Posted by ブクログ
炎上するのは、
ネットの世界ではなく、
本当に人間が燃えるのだ!
風船人間は
風船を持っているわけでもなく、
中に入る訳でもなく、
人間が膨らんで風船になって
天の上へ行ってしまうのだ!
そんな
奇想天外な発想の短編集。
ただの不思議なファンタジーではない。
主人公は
社会との違和感を感じながら生きている人ばかりだ。
共感する部分も沢山ある。
西加奈子さんの優しさが根底にあるから、
どこか笑えて
最後には救いがある。
誰もが優しさや愛情を欲しているんだな、
私だけではないんだな、と
痛感。
Posted by ブクログ
短編集。ちょっとした待ち時間に読むには良い。面白いかと言われると、私の好みの内容ではなかったのでオススメはしない。独特な世界観の作品ばかりだった。
Posted by ブクログ
久しぶりの短編集&西加奈子先生の作品を初めて読む。
8つの短編集を読んで、僕には理解が少し難しい作品が
いくつかあって、読解力や想像力が乏しいと思ったのが
読み終えての印象です。
1作品あたり僅か20ページ。
少ないページ数の中、物語と不思議な世界観が出来て
"世にも奇妙な物語"風なテイスト?と思っていた。
しかし、ピースの又吉直樹さんが作品毎に解説で
この作品のテーマ性が見えてきて
その"テーマ"に沿って思い返すと納得が行きます。
改めて又吉直樹さんの読解力に脱帽です(笑)
他、短編も女性の視点からコミカルに書かれており
不思議な西加奈子先生の世界観を味わうでしょう!
個人的に読んで面白いと思った短編は以下2つです。
・私のお尻
相当な魅力あるお尻。触ってみたいと思った(笑)
最後に"部屋に預ける"という斬新さに喝。
・ある風船の落下
こちらは読んでいくと理解できました。
ストーリーも面白いので、現代の問題にも関わる話。
絶望するのは、まだ早いかもね(笑)