西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
西加奈子さんの力強くて激情的な文章が好きだ。
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常に他人の顔で福笑いをする癖を持つ、鳴木戸定。
幼い頃から冒険家の父に連れられ様々な国を放浪し多くの特異体験を経て、エキセントリックに育つ。
編集者になった定は機械的に送る日常の中で、
奇人変人、個性的な人達との出会いによって、
自分への意識を、世界への見方を変化させてゆく。
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偏屈な作家、奇天烈なプロレスラー兼作家、
美人な同僚、定に猛アタックする盲目の男。
特にレスラーの守口廃尊と定のやりとりは、
豪快で痛快なのにどことなく繊細で胸を打つ。
日本生まれ日本育ちの我々の物差しでは計れない、
幼少期の定の体験は驚かされるしとても興味深い。
大人になっても行われる他人の顔での福笑い癖は、
自分と他人、世間とのズレや不明確、不安定さを
表しているし、そんな不器用で純粋な定は可愛い。
人との関わりの中で、少しずつ心が動いてゆく定。
常に自問自答し続ける廃尊や、
見えないからこそ見えてくるもの、信じるものを
素直な視点で語る武智、初めての友達の小暮さん、
母によって父によって乳母によって与えられた愛、
少しずつ噛み砕いて受け入れてゆく定の愛らしさ。
そんな定を受け入れ、肯定する世界の眩しさよ。
武智次郎の真意と、武智に向き合った定の心境は
今の私には全部はまだ捉えきれないが、
今後読み返す中で少しずつ反芻出来ればなと思う。
センシティブでグロテスクでかなり過激な描写や
下品な表現も多いので万人受けはしないだろうが、
読んでいて力が漲るような、毛穴が開くような、
体内の血の巡りが良くなり飛び回りたいような、
そんな力強さを感じられるこの作品が好きだ。
何度も読み返したくなる不思議な魅力がある。
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定は中学高校の思春期には、
価値観が変わるような経験はなかったのかな。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読んだことがあるような気がするのだけど、思い出せない。
戦争で小さな妹が疎開して、父親が宛名だけを書いたはがきを渡す。妹には○か×を書くように伝えて、最初の日は大きな○のハガキが届く。それがだんだん○が小さくなり×になり……。
少しドキドキしてしまったけど、最後は妹は大きくなったという話。
文字もまだ書けない小さな子供すら疎開しなければならない状況になる悲惨さ。ひどい風邪をひいて隔離されている……ということは、栄養状態も悪く薬もなくて治らない状況。
戦争の悲惨さを書いた絵本なのだろうけど、ちゃんと家族が妹を迎える様が家族の繋がりだけはしっかりと残ってたのかなと。
これ、話の一部らしいのでたぶん前後があるのだろうけど……。これだけで充分と思うものがある。
はがきの○×で伝えるの、分かりやすくていいなと思った。
戦争の話を抜いてもはがきのエピソードの部分だけでも好き←ここだけにすると意味が変わりそう。
ごちそうさまでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ守口廃尊がいい
定とのやりとりがいい
定の海外での経験や父母悦子との話、もっと聞きたくなった
定のエッセイが読みたいと思った
最後のシーンは笑顔のまま涙がじんわり
雨をやませてほしいという担当作家の要望に対して、まっすぐに儀式という選択をした定がこころに残った
定の選択は定にとって今自分にできるいちばんの方法を選んだだけ、それが大変とかそんなことは置いといて
当たり前とか普通とか常識ってなんだろう、周りからどう映ろうと、きっとすべての言動にはその人が選択した事情や理由があって、それは他人がどうこういうことじゃないよなって、そんなこんなを考えてしまいました -
Posted by ブクログ
平和を願うための絵本として、手にした作品です。たださんの本棚からの選書、ありがとうございます。この作品は、教科書にも掲載されているのですね…。そして、著者は向田邦子さんと角田光代さん、絵は西加奈子さんという、すごい作品です。
ストーリーは、戦争末期のある家族に焦点をあてた作品です。戦況が思わしくない日本…いつ爆弾が降下されるかわからない緊迫感と、食糧難からのひっ迫感…街にいた子供たちは次々に疎開していきます。そして、一番小さな妹が疎開するとき、まだ字の書けない小さな妹に父は元気に過ごせたら〇を書いてポストに投函するようにと、沢山の葉書を持たせます…。疎開して最初の葉書には、はみ出さんばかりの大きな赤い〇が描かれていたので、安心していた家族ですが、その後届く葉書には黒い小さな〇、しかもだんだん小さくなっていき、×が描かれた葉書が届いたのち、葉書は届かなくなります…。
心配で仕方なかったと容易に想像できる両親とその家族…切ないけれど、どうしようもない…。こんな悲しい思いをしている家族がどこにでもあった時代…ううん、今だって、世界を見渡せば悲しい思いをしている家族もいる…。読んでいて心が痛かったです…。西加奈子さんの描いた絵はクレヨン画のような感じで、この作風にぴったりです。タンポポのお花は小さな妹を表しているらしいですね…。どこにいても家族を思う気持ちは尊いもの…平和で争いのない社会で、家族一緒に過ごせることが当たり前の世の中になるよう願いたいです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ輝いていない人々に、夢も希望もない淡々とした日常がなぜこんなに面白いのか。すごくリアルですべて実在する人物のようだった。
太字で書かれた夢の話が、絶妙に本人の状況や不安を言い当てていて、怖くて面白い。
だんだん明かされていく主人公二人の人生が、実は過去に同じ日々を共有していたのがたまらなかった。近くにいるのにお互いがお互いを気づくことはなく、でもあの瞬間は確実に影響を与え合った。
この自殺未遂事件が起きて、特に何かが前進したり解決するわけではない。でも日々がそうやって続いていくリアルを書いていて、男は自転車泥棒ということになってしまったし、たぶん店員の女とも何もない。でもそういう人生もある。孤独で自由。その自由を欲していようといまいと、それは続いていくのが慰めのように感じた。
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