西加奈子のレビュー一覧
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兄を亡くした家族の想い出話
以下、公式のあらすじ
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スーパースターのような存在だった兄は、ある事故に巻き込まれ、自殺した。誰もが振り向く超美形の妹は、兄の死後、内に籠もった。母も過食と飲酒に溺れた。僕も実家を離れ東京の大学に入った。あとは、見つけてきたときに尻尾に桜の花びらをつけていたことから「サクラ」となづけられた年老いた犬が一匹だけ――。そんな一家の灯火が消えてしまいそうな、ある年の暮れのこと。僕は、何かに衝き動かされるように、年末年始を一緒に過ごしたいとせがむ恋人を置き去りにして、実家に帰った。「年末、家に帰ります。おとうさん」。僕の手には -
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シリアで生まれ、裕福な両親の元に養子として迎えられたアイは、自分が運よく選ばれた人間、恵まれた人間であることに罪悪感を抱きながら生きていた。
自分は「社会の被害者」から運よく免れた人間の側に立っており、日々の痛ましいニュースを見るたびに「生き残ってしまった」という思いに囚われる。
世界では本当に苦しんでいる人がいる中で、自分たちは相対的に恵まれている。でも、感謝や幸せの気持ちは努力ですることではない。
そうミナに言われてもなお、アイは苦しかった。
そんな時、アイは流産を経験し、肌で感じる。「これが渦中にいるということなら、こんな経験はしたくなかった」
渦中にいる人、何かに選ばれて死んでしま -
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Posted by ブクログ
10年ぶりの再読です。
今作は『自意識』がテーマとなっていて、主人公の葉太がニューヨークでバッグを盗まれることで極限状態に追い込まれ、自身と向き合うというストーリーです。葉太の歪んだ自意識は過剰に膨らみ、それゆえに生きづらさを感じるようになりますが、この苦しみはなかなか他人からは見えるものでなく、理解に苦しむものだと感じました。
他者や物事に対して、考え方や見方を変えればいい話しだけれど、当人にとっては簡単に思考のクセを変えることはできない。ニューヨークという言葉の通じない場所でバッグを盗まれ、極限に追い込まれることで、葉太の自意識という鎧がボロボロに剥がれ落ち、解放されていく感じが良かったで