西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
勿体無くて読み終わりたくない気持ちと、続きが気になり読み進めたい気持ちが入り混じりながら、結果的にあっというまに読み切ってしまった。
短編小説集。
どのお話も良くて、あーーー西加奈子大好きだーーー!となりながら読んでいたけど、特にぐっときたのは、「木蓮」と表題作の「しずく」。
バツイチの恋人の娘に嫌悪感を抱きながらも、恋人に好印象を抱かれたくて距離を詰めようとする話、木蓮。
エッセイ漫画などでは、連れ子との関係づくりに主人公はさめざめと悩む、という描写を時々目にする。
だけどこの主人公は、心の中で「くそ、餓鬼が」と暴言吐きまくりなのが、思わず笑ってしまう。
読者はページを捲る際にどんな結末になるのか想像しながら読むが、いつも西さんは予想を裏切り、期待値をぽん、と超えてくる。
表題作の「しずく」では、思わず涙がこぼれてしまった。小説家のシゲルとイラストレーターのエミコに飼われる、2匹の雌ねこの物語。
ねこであるフクさんとサチさんの、ねこっぽい絶妙な思考回路が、ねこを飼ってる人ならクスリとしつつも、なんかわかるな〜と思ってしまう。
そしてシンプルに、読者をねこに感情移入をさせる、泣かせる西さんが凄すぎる。
せきしろさんの解説も面白くて、読後の余韻が気持ちよかったです。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ西さんらしさと、らしくなさが混在した一冊。
関西弁の登場人物や“自意識"についての描写が多いのは通常運転だったけど、文体が普段よりなんとなく暗く、最初は(アレ、これ西さんの作品だよな?)と表紙を見返すということを2回ほど繰り返した。
他の人のレビューを読むと評価は様々だったけど、私はすごく好きで、星5とかなり迷うくらいだった。
ちょっとイタい男、吉田と両目の大きさが極端に違い、不思議な魅力を持つみさをは、お互いが2人の関係を一過性のものと考えているのが、切なくもなんとなくわかるし、つい応援したくなった。
不恰好でイビツだけど、真っ直ぐな2人の関係は美しかった。
みさをの目に関しては、人によって持つ印象が違うのも面白かった。
収録作品の「タイムカプセル」は、「地下の鳩」に登場する"オカマ"(差別的な意味ではなく、キャラクター本人が1番しっくり来ている呼び名)のミミィの過去について描かれた作品。
イジメは、人を雁字搦めにする。
本当にそう。
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Posted by ブクログ
スナックのチーフをしている若い女と「ライト兄弟」という100均の商品を作る工場勤めの男の話が交互に描かれる。若い女は同棲していた彼氏がニューヨークへ行き、「私たちは別れたわけではない」と日々呪文のように唱えながら、彼氏に哀れんでもらうために、クソのようなスナックで、泥のように生きている。
男は、若いときに結婚していたものの、その連れ子に愛情表現ができなくて、必要最低限以外の人間関係を避けて 生きている。二人に接点はなく、それぞれ話は進んでいく。どちらの回りにも、個性的な人がいて、スナックのママだったり、行きつけの店の大将だったり。通天閣の下で、生きている。夢がなくてもきらきら輝いてなくてもみんな生きている。
通天閣にのぼったら、坂道を汗をかきながら上がっていく私に出会うかもしれない。いろんな人に出会うかもしれない。
男にフラれたチーフの雪は、工場のおっちゃんの昔々の血の繋がらない娘だったなんて……
二人の出会いはなかったけれど、なんか わかってよかったような。
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Posted by ブクログ
ネタバレ私、若くないけど飴噛むよなー。しかも5秒くらいで。と思いながら読み始めました。
難しいなー。というのが正直な感想。
書く西さんも手探りだったけど読んでる私も手探りでした。着地点がなかなかみつからなくて。
でもあとがきを読んで西さんの思いがやっと、というかちゃんと伝わってきたのはやっぱり私が女だからかなー。
「全部が自分であり、自分は全部の一部に過ぎない」という言葉がすごく印象的。
そういえば荒川先生の「あるいは"全"あるいは"一"」と意味同じっぽいよなー。なんてことを思いつつ、西さんの描いた「いのち」に引き込まれた私なのでした。
人と人との出逢いって奇跡なんですね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ
あおいも良かったけど、サムの方が好き。社会からはぐれかけた、属することができない人たちの集まりなので、そのコミュニティでさえ曖昧な形だけど、似た者同士特有の居心地の良さで成り立っている。なんでここにいるんだろう?とみんなから思われていたサムが、実は一番そのコミュニティに自分の居場所を求めていた。仲間内では誰より、社会的に、また精神的に自立しているように見えていたサムも、結局は社会から孤立した存在だったということが最後にわかる。そして、そのことに彼が孤独や劣等感を感じていたということも。だからこそサムは、馴染めない世の中も、そこに加われない自分自身をも肯定も否定もしない友達たちに憧れ、仲間になりたかったんだね。でも仲間という概念自体ないグループなのでサムは結局満たされることはないまましんでしまったっていう切ない話だった。
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