【感想・ネタバレ】サムのこと 猿に会うのレビュー

あらすじ

西加奈子初期名短編を乃木坂46でドラマ化。

午後から雨になった。東海道五十三次の絵なんかに出てきそうな、斜めに降る、細い細い雨だ--そんな書き出しから始まるそぼふる雨のなか。様々なことが定まらない、二十代男女5人が、突然の死を迎えた仲間の通夜に向かう「サムのこと」。
二十代半ばの、少し端っこを生きている仲良し女子3人組が温泉旅行で、「あるもの」にたどり着くまでを描いた「猿に会う」。
小説家志望の野球部の友人と、なぜか太宰治の生家を訪ねることになった高校生男子が、そのまま足を伸ばした竜飛岬で、静かに佇む女性に出会う「泣く女」。
人生の踊り場のようなふとした隙間に訪れる、「何かが動く」ような瞬間を捉えた初期3作を新たに編んだ短編集。

(底本 2020年3月発行作品)

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Posted by ブクログ

おもしろかった!サラバより好きかも。
この人の文章は純文学だよなあと思う。なんとも味わいがある。

サムのこともおもしろいが、猿に会うが好き。
二十代のイケてない女性3人組。3人ともなんとも愛らしい。支えあっているというか慰めあっている3人。やさしい空気がたまらない。
実写化してもおもしろそうと思ったら既になっているらしい。乃木坂が主演をつとめているとのこと。

いやいやそれは違うねんな。大阪に住んでいる3人組やし女芸人で作ったほうが原作に近くておもしろいて。
こういうモヤモヤって無くならないのやろなあ。

続編を読みたいけれども、作者の中では完結しているのかな。

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2022年06月08日

Posted by ブクログ

『猿に会う』野暮ったい3人娘の話がめちゃくちゃ気に入りました。10代の田舎娘のような子達だけど、全員20代半ばっていうのが、ゆるやかな闇が差し迫ってる感じで渋い。。社会の隅っこをお互い励まし合いながらささやかに生きているんだけど、美しい人や圧倒的な存在感を放つ人には、それだけで根拠なく影響を受けてしまう彼女たちのいじらしさや危うさがなんかわかるし良かった。

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2021年10月26日

Posted by ブクログ

いろいろな人間関係が描かれていて、面白かったです! 少しミステリーの要素もあるので、好きな方にはおすすめです!

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2021年08月28日

Posted by ブクログ

入院中、暇つぶしの為になんとなく読みました。
自分の子供達と同じ世代の人達が主人公でした。
誰もが通るであろう日常が淡々と描かれていました。
私の子供達もこういう風に時間を過ごしているのかな。とか、私が若い時も似たような事あったかな。とか、思いに耽る事ができました。
点滴痛いし、食事は食べ切れないし、ベッドから離れられないし、夜眠れないけれど、この本のおかけで、少し心が落ち着きました。ありがとう。

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2024年04月03日

Posted by ブクログ

「プラスチックのように軽薄で、スポンジみたいに頼りない人間関係」っていう表現にグッときました。深い人間関係を欲す人って多い気がするけど薄っぺらい人間関係ってのも悪くないし、必要だと思います。

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2023年12月09日

Posted by ブクログ

なんとなく端っこのほうにいるけどそれを気にしていない人たちが出てきて、こんなんでもいいよなあ、と思えた。西さんが書くキャラクターやっぱり好きだなあ。とても近くにいるようでいない、絶妙な感じが心地よい。

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2022年10月20日

Posted by ブクログ

「あおい」に収録されていた「サムのこと」は、6月に読んだので、「猿に会う」から読んだ。

少し期間が空いていたので、西さんの本を読むのが久しぶりに感じた。ほっと息つけるような暖かさとユニークな目の付け所に、やっぱり良いなぁ、と思った。

「猿に会う」のぼんやりした主人公まこ、細い目を気にしているしっかり者のきよちゃん、きよちゃんに憧れる出っ歯のさつきちゃん。
定職につかない26歳、四捨五入したら30歳の3人の柔らかい大阪弁に癒される。

主人公のまこが、自分の耳が大きいことに気付いてからが、愛おしい。
私は立ち耳のひとにぐっとくる節がある。
以前西さんのエッセイで、立ち耳だと帽子が被りづらくて少し困る、というようなことを書かれていたことを思い出した。表紙の裏で微笑む耳の大きな西さんにいつもドキドキしている。

三つ目の短編作品「泣く女」は、野球部を引退した高校生2人が旅に出る話。
東京で可愛い女の子に出会いたいと期待するノリオと真逆の、太宰に憧れる堀田。
太宰の軌跡を巡るために結局青森に旅に出ることになるが、静かな青森の風景と朴訥とした男子高校2人が妙にマッチする。

顔に「太宰だいすき」と書いてある堀田。可愛い。

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2022年09月03日

Posted by ブクログ

短編3編。文庫書きおろしの本かと思ったら、1編めの「サムのこと」が、タイトルは覚えていなかったものの、読んだ覚えがある。と思ったら、「あおい」に一緒に収録されていた短編だった。サムの葬式に集まった若者たちの、喪服代わりの黒い服装のインパクトが、すごく印象に残っていて、その最初の場面だけで、前に読んだことがあるとピンときた。他の2編は、アンソロジーに収録されていた作品のよう。「猿に会う」の女性3人組の話は、いつか続編も読んでみたい。そして、太宰の「津軽」の足跡を辿る「泣く女」は、太宰ファンとして嬉しい小説。

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2022年04月01日

Posted by ブクログ

「泣く女」がドストライク! 過去の友人のことを思い出しながら読んでいた。季節が移ろうにつれ、人間関係も移ろっていったことを...。
どの作品も友がテーマだが、日常の中の非日常で起こることに著者独特の雰囲気を纏わせた素敵な作品でした。

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2021年03月11日

Posted by ブクログ

3作品が収録された西さんの短編集。
西さんの長編小説は主人公の人生を色濃く描かれていて、読むことにエネルギーを要するものが多い。対して短編は、サラッと読めるが自分にそっと寄り添ってくれるようなメッセージが込められているものが多いと思う。
サムのことは、登場人物みんなが個性爆発していて、西さんらしさを発揮していた。1人の死が物語の中心にあるけど、暗いというよりは柔らかくて暖かい雰囲気のお話だと思った。

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2021年01月11日

Posted by ブクログ

忘れていたけど、雨が跳ね上がる瞬間、ラムネな前歯、そして津軽海峡冬景色。
ふと思い出して切れ端を握る。
押しつけのない距離感に、こういう人間関係忘れてるなあと、あの無駄にキラキラでダラダラで、ワクワクしかなかった頃を思い出す目線はとてもまぶしい。

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2020年07月27日

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サムのこと、猿に会う、泣く女の短編。三作品とも関西人が主人公なので、関西弁がすぅーっと入ってくる。心にしみます。いろんな事があっても 日常は変わらずやってくる。本当にその通り

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2020年07月09日

Posted by ブクログ

「人生の踊り場のようなふとした隙間に訪れる、"何かが動く"瞬間を捉えた初期3作」
もちろんℹ︎も良かったけれど、本作にはわたしの好きな西さんが詰まっていた。日常の中の小さくて細やかで、流れていってしまいそうな感情の動きを捉え、描く、本当に素晴らしい作家さんだと思う。

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2020年04月30日

Posted by ブクログ

やっぱり西加奈子さんのこういう微笑ましい話 
大好きだなー 
クスッと笑えて暖かくて優しい気分になる 
また他のも読み返したいなー 

友達っていいなー 
人間っていいなー

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2020年03月21日

Posted by ブクログ

◼️ 西加奈子「サムのこと 猿に会う」

初期の3作を収録、関西風味の、西加奈子の筆が冴えている。

「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」の短編3つ。大阪、大阪、和歌山ですべて関西弁。うにゅっとした、形のはっきりしない成り行きと感情を描く。

関西出身の同僚の女性がかつて、いまなら西加奈子がええよ、大阪が舞台のが多いし、と言い、仕事で組んでいた後輩も好きで2つ3つ貸してもらった。こんなところに惹かれるんちゃうかな、という筆がこれらの作品にあるような。

サムが突然、死んだ。レコード屋アルバイトのスミ、洋食屋のアルバイトのハスと在日朝鮮人のキムのカップル、男を取っ替え引っ替えしているモモに僕、つるんでいた仲間はふつうの喪服もないまま通夜に行き、サムの兄の前で、とつとつとサムのことを思い出しては語るー。
(サムのこと)

物語の流れはあるが何かしら結論めいたことがあるわけではない。関西弁と独特のノリ。2話めの「猿に会う」は20代幼なじみ女3人組のいかにもリアルにありそうな会話やエピソードを描いている。そこへ脇のところで事件が挟まれる。これはこれでふむ、関西シスターフッド、なんて思う。

表題にない「泣く女」は高校野球で県の決勝まで行ったこれも幼なじみの2人が引退して旅行をする。片方が太宰にはまっていて、荒天の中青森の、何もないゆかりの地を訪ねるという話。突然来たオチにスカッとしたものが残った。なるほど。

「人間失格」には確かに、これって自分のことを言い当てている、と直覚するところがある。私はあまりに暗いからもう読みたくない、と思った、太宰はそれ以外の作品を読むうちに好感が醸成された感じだ。そう言ったら文芸の師匠に、ふつうは「人間失格」を読んですごい、とハマるもんですよ、と半ば呆れられた記憶がある。そうか、そうなんだなと笑

話を戻して、これを描きたい、というちょっと反射角の鋭い狙いと、ボケツッコミの会話を維持しつつ、おもろくて、どこかたゆたうような関西の人間関係、個人の雰囲気が活きている気がする。

最近は少し筆致の幅が広がったのかもしれないけれど、いままたこのテイストで書いた作品を読んでみたい気もする。

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2025年10月28日

Posted by ブクログ

乃木坂46が映像化したことがきっかけで気になって購入しました。3つの作品から成る短編小説集です。どれも読みやすくてホッコリ、楽しい気持ちになれるような作品です。あまり自分では選ばないジャンルでしたが、いつも恋愛小説ばかり読んでいる私に新鮮な刺激を与えてくれる作品でした。

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2024年11月03日

Posted by ブクログ

クスッと笑えて、ちょっとキュンとする西加奈子さんの3作の短編集

2作目の大阪で暮らす二十代の仲良し3人組のやりとりが、私の息子の関西出身ママ友3人組とくだらなさやノリがそっくりで笑えました〜
当たり前のようにいつも会ってしゃべったりお出かけしたりしていたこと、楽しかったなー。
早くまた会いたいな。

3作目
「現実というのは、突然やってくる。
気が付けば、その渦中にいる。」
まさかと思っていたことが気付けば現実になりつつ今、はっとさせられた言葉です。

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2024年02月26日

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友情がテーマの短編集。『サムのこと』がいちばん好き。色んな友達との思い出が思い出されてきて、悲しい出来事の話なのに、暗い印象はなく、スッと話に入り込んでいった。

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2023年05月12日

Posted by ブクログ

「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」初期の短編3話が収録。

表題作は事故で亡くなった友人・サムの通夜へ向かう20代の5人の男女の姿が描かれている。
そこには深刻さの欠片もなく妙なオカシミさえ感じられるのだが、死は特別な事ではなくただの日常の一コマの様で若干の切なさと共に安堵すら覚える。

仲良し女子3人組の温泉旅行を描いた「猿に会う」は3人が織りなす会話に親近感を感じ、肩の力が抜けるような味わい。

夏の思い出に太宰治の生家を訪ねる高校生男子を描いた「泣く女」は情景が目に浮かぶ。

独特の緩やかな空気感が心地良い短編集。

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2023年02月15日

Posted by ブクログ

前に読んだんだけど、覚えているんだけど、記憶し忘れてたみたい。
何だか不思議な話だったけどなんとなく目に見えるように想像できて楽しかったな。
あとの2つの小説はほとんど覚えてなかったけど、また聞いてもやっぱりインパクトはなく

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2023年02月07日

Posted by ブクログ

「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」の3作が収録された短編集。「サムのこと」は『あおい』で読んでいたので残りの2作のみ読みました。

どちらも嫌な人が出てこなくて、同性間の友情関係を主軸にした作品。
「猿に会う」のまこ、さつきちゃん、きよちゃんの3人はそれぞれキャラが立っていて、ゆるーい内容の会話がほっこりする。終盤の日光旅行前日にまこの妹の妊娠が発覚するという事件が起きたり、旅行中にテレビをつけたらデタラメ占い師が殺人容疑で逮捕されてたりとインパクトが大きい出来事が起こるけど、3人の関係や世界はどこに行っても何が起こってもいつも通りで、周囲から壊されることはない。

太宰治が大好きな堀田とその親友ノリオが太宰治の地元青森を旅行する様子が描かれた「泣く女」。太宰に全く興味がないのに竜飛岬まで文句を言いながら旅路を共にしてくれるノリオも、ノリオが失恋したことを知りつつそのことには触れずにいた堀田も優しいなあと思った。

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2022年11月17日

Posted by ブクログ

西加奈子初期の短篇集。嫌なひとが出て来ないのがいい。ほっと出来る。

3篇の中では、泣く女、猿に会う、サムのこと、の順に良い。猿に会う、は、朝井リョウだったら全然違う雰囲気の話になるんだろうなあ、と妄想した。

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2022年07月21日

Posted by ブクログ

 「サムのこと」「猿に会う」「泣く女」の初期3編収録の短編集。
 どんな状況であっても人生は流れていく。出会いもあり別れもある。それは流れ落ちる水のように、生きている限り時間は流れ続ける。
 本書に収録されている作品には水が共通して登場する。何かのわだかまりを水が洗い流してくれるということなのか、それは読む人それぞれの感性で受け取り方は様々だが、ここに収録されている作品は読むときの感情によっても違う色を見せるように思う。

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2021年12月29日

Posted by ブクログ

西加奈子さんが好きな人にはよいのかなあ。読むのに疲れた時に挟むといい本、という評価。
ああ、そういうこともあるよね、そういうひともいるよね。そんなこともあるよね。
そういったものを文章化したもの。
「まく子」ほどはおもしろくなかったけれど、ふぅん、という感じで読めた。

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2021年07月08日

Posted by ブクログ

短編集3編
長い友人関係を描きながら自分を見つめる.さらりとした関係の奥に存在する核の様な物.キラキラして眩しかった.太宰治の軌跡をたどる高校生の「泣く女」の最後がとても好きです.

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2020年07月05日

Posted by ブクログ

西加奈子の初期の短編集
特に何かが起こる話ではないのでそのつもりで読まないと少し物足りないかも 個人的に読書ってそれなりに時間と体力を使うので何か事件が起こるのを期待してしまうんですよね

でも3つ目の泣く女っていう話は少しよかった おお と思わされる仕掛けがある

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2020年04月26日

Posted by ブクログ

どの短編もアンソロジーで読んだはずなのに、サムのことに関してはあおいで絶対読んでるはず…記憶になかったから新鮮でした。
どれもすごく好きなんだけど、
二十代半ばの独身3人組の話が好き。ちょっと世間の普通枠から外れてる3人の仲良し具合も、もどかしさも。切なさも。
あと、泣く女は、情景を想像しやすくて笑いたくなった。泣くのと笑うのはちょっと似てるね

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2020年04月17日

Posted by ブクログ

死んだ友人のことを話すときは時間が止まっていて。でも残された人たちはその友人が居なくなった後の時間を生きていかなきゃね。そんなことを気付かされる。表題より。

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2020年03月12日

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