あらすじ
第152回直木賞受賞作、待望の電子化!『サラバ』上・中・下合本版!!
僕はこの世界に左足から登場した――。
圷歩は、父の海外赴任先であるイランの病院で生を受けた。その後、父母、そして問題児の姉とともに、イラン革命のために帰国を余儀なくされた歩は、大阪での新生活を始める。幼稚園、小学校で周囲にすぐに溶け込めた歩と違って姉は「ご神木」と呼ばれ、孤立を深めていった。
そんな折り、父の新たな赴任先がエジプトに決まる。メイド付きの豪華なマンション住まい。初めてのピラミッド。日本人学校に通うことになった歩は、ある日、ヤコブというエジプト人の少年と出会うことになる。
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感想
自分の信じるものを他人に決めさせてはいけない。
働き始めて、働くことも遊ぶことともただ生活をすることもあるべき姿におさまるために「すべきこと」として苦しくなっている今、この本を読み終わってもまだ苦しいままだった。なんだよ、結局「良い道」を歩いていくのか。とも思うし、なんだかんだ救われないまま終わるんじゃなくて前を向いてくれてよかったとも思う。
事実の羅列形式の文章に何回か挫けそうになったけど、ただの事実、つまり、けっして「あるべき姿」じゃない日々の積み重ねにも意味を見出すことができれば、もっと楽になるのかもしれない。いや、楽になりたいと思うことも「あるべき姿」を目指している…?