西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分と向き合った時間は、いつか自分を支える
主人公の歩は人間観察が鋭い。
その鋭さゆえに、周囲からどう見られているかを常に気にしている。そのため受け身ではあるが、器用に人生を歩んでいた。
しかし大人になるにつれて、自分自身と向き合わずに生きてきたツケが回ってくる。面倒なことから上手に距離を取ってきたため、自分が何を信じて生きているのか分からなくなってしまう。
一方で姉の貴子は、歩とは対照的だ。常に自分を中心に世界を見ていて、その強烈な個性ゆえに学生時代はいじめられる。しかし彼女は、自分と嫌というほど向き合いながら成長した。その経験があったからこそ、大人になってからは自分らしく、芯を持って生きている。そして、自分の価値観に共感してくれる人たちと共に生きている。
この小説は、大切な人にも読んでほしい一冊だ。そして、この作品のように幼少期からの思い出や、そのとき何を感じていたのかを語り合いたい。
『サラバ!』には、忘れていた記憶や、その頃の自分の考えを呼び起こす力がある。 -
Posted by ブクログ
3冊まとめて感想を
子ども時代の歩の一人語りから始まる。
子どもならではの歩の視点が興味深い。
大人なら見過ごしてしまうような出来事や違和感を、子どもならではの目線で捉えていて、その世界の見え方に引き込まれる。
読み進めるうちは、父親や姉の貴子に対してどこか理解できない部分があったけど
最後になって、彼らもまた苦しみを抱えながら生きていたことが見えてくる。
それまでの出来事が違った意味を持ち始め、伏線が回収されるような感覚があった。
人は他人の人生を表面しか見ていない。近くにいる家族ですら、本当の苦しみは見えていないことがある。
イランやエジプトを舞台にした物語は、歴史や文化の知識があると視界が広がる。
でも残念ながら、視界が広がった頃には、子どもの時の純粋な好奇心はもうない。
知ることと、純粋に見ることは、両立しないのかもしれない。
それでも最後に歩がその気持ちを取り戻す場面で、スッキリした。
大人になって失ったと思っていたものは、どこかにまだあるはずなのだ。
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