西加奈子のレビュー一覧
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気軽に読み始めたつもりが、想像以上に重く、強い読後感のある長編だった。
先日、家族で話していたとき、夫が「物価の安い国に行きたい」と言った。私は「旅行はもともと好きじゃないし、今の生活を続けるほうがいい」と答えた。そのとき、自分が続けてきたこととは違う方向に向かう“自分の否定”が、いかに怖いかをあらためて感じた。
大人になるほど、自分の価値観や経験に固執しやすくなり、それを次の世代に無意識のうちに押し付けてしまう。外から見ればその構図はよく分かるのに、当事者としてそこにいると「これが一番いい」と信じ込んでしまう。
「声をあげる」「助けを求める」ことが当たり前にできる世の中になってほしい。そ -
Posted by ブクログ
2015年に「サラバ!」で直木賞作家となった西加奈子さんですが、2021年にカナダ滞在中に乳がんと診断され両乳房切除等の治療を受けました。その時の経験が本著のベースになっていると思います、
8つの短編からなり、一般社会の価値観や世間体に縛られることなく、自分自身を肯定することを描いています。
今まで「自分の身体が愛おしい」とか「自分の身体で生きていく」とか考えたことがなかったように思います。何か当たり前すぎてそんなことに疑問を持ったことがないということかな。
この本を読んで、自分の体の一つひとつや、目に見えない臓器に対しての感謝や、もっと自分のことを好きになってもいいのでは?という気持 -
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舞台
著:西 加奈子
初めての海外に選んだのは、亡くなった職業作家の父の思いがこびりついているNY。主人公である29歳の葉太は忌み嫌う亡き父との何かを探し、惹かれるようにその地へ降り立った。
初日からトラブルに巻き込まれる葉太。それどころではないトラブルに巻き込まれ、窮地に追い込まれる中でこそ辿りつける心境もある。葉太の運命やいかに・・・。
太宰治氏の「人間失格」が大好きな著者。物心ついて頃から作家の父親の影響から自宅にある書籍と共に育っている。いさかいのあった父との関係性と自身の存在の葛藤の中で、日本ではなく、父の何かがあるNYで自分探しを行うことになる。
人間のだらしない分やかっこ -
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この作品が、少し評価が低い理由もよくわかるし、好きだと言えない気持ちも分かるが、私は好きだ。
世の中のグレーな部分が大集合していて、そのことのリアルな反応がかかれている。
だから、これを好きだと言ったら差別的になるとか、好きだと言っていいのかわからないと考えてしまうのだろう。ただ私はとても好きだった。
雑で荒く、若く強い。
深く悩みたい人には難しい作品だと思う。
考えすぎるか、つまらないと考えそう。
初めてバカでよかったと思った。単純でよかった
最後にも書いてあったが、書くこととはなにか?を忘れさせたことがよく分かる。
この物語の疾走感が私は好きだ。 -
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個性的な家族の中で主人公圷歩が身につけた処世術は受け身の姿勢。それでも外見の良さもあり女性には常にモテて、仕事もフリーライターとしていっぱしになっていた。これが上巻中巻までのお話。下巻では状況が一変する。中年にさしかかった歩の頭髪が薄くなり始め、仕事もうまくいかなくなる。付き合ってやってる、くらいに思っていた彼女には浮気という裏切りを受け、みるみる間に自信を無くし、卑屈になっていく。
どこで間違ったのか、歩は悩み、人との関わりも避けるようになる様がリアルだった。
結局、自分が信じるものは人の価値観に委ねてはいけない、ということなんだと
思った。 -
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両親の離婚、それに伴う帰国から、歩がライターとしての仕事が軌道に乗り始めた26歳まで。
日本に帰国して母子3人の生活が始まるが、当然雰囲気は最悪である。歩は相変わらず、ハイスペックをひけらかすことなく、しかしそつなく学生生活を送っていく。恋愛事情とかも、いかにも男子中学生の恋愛、って感じで、男友達といる時の心地良さと恋が成就した後彼女と過ごす時間を天秤にかけて悶々とする描写のリアリティには驚かされる。
そして須玖との出会いである。どうしてもヤコブと重ねながら読んでしまう。歩は曲者揃いの圷家、あるいは今橋家で揉まれて育っただけあって、人を見る視点が一貫(その軸を作ったのは主に、というかほぼ姉 -
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最初は百合のこと大分精神異常者だなぁと思って読んでいたけれど、読み進めていく内に「あぁ〜わかるわかる。」と思うような節もあった。
学校での自分の立ち位置、目立たないように身を潜めるように過ごしていた時期が私にもあったから、自分で自分が解らなくなるような感覚が今思えばあったのかも。
旅先ならではの大胆な行動や発言、いつもと違うことが出来たり、時には日常から離れた環境に身を置くって大切なんだな。日常に戻ってまた似たようなことで苦しくなっても何度でもまた旅に出てその都度自分を取り戻せばいいじゃない。
そして何かを得ることも大事だけど、何かを置いていくことも大事。
少し勇気を貰えたような読後感だった
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