西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この物語の中で、私がいちばん信頼できたのは薫だった。
家族の誰よりも冷静で、静かで、それでも家族から離れすぎない。その立ち位置が、最後まで変わらなかった。
兄を中心に回っていた家族が崩れていく過程は、丁寧に、繰り返し描かれる。
その分、物語全体の語りはやや密で、読み手に休む余白が少ない。そんな中で、薫の存在だけが、説明を増やさず、出来事をそのまま受け止めているように見えた。
さくらの存在も大きい。
行き詰まったとき、物語の流れが詰まったとき、彼女はまるで文章の中の句読点のように、ほんの少しの休みをくれる。
全体として、この作品は言葉の密度が高く、
多くのことが語られる物語だった。
それ -
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Posted by ブクログ
ネタバレ僕
今橋歩。フリーの売れっ子ライター。30歳になり、髪の毛が抜け始めた。若手芸人のインタビューで須玖と再会する。
僕の姉
今橋貴子。アンダーグラウンドな世界で、カリスマになる。ウズマキ。おばちゃんの骨の一部を預かり、遺言書通りに散骨するために世界を巡る。
矢田のおばちゃん
死してなお、姉を救う。17歳のときに空襲で家族を亡くす。
紗智子
僕の恋人。フリーのカメラマン。姉のことを話したあとに別れる。
鴻上なずな
僕の初めての女友達。大学を卒業しても就職せず、レストランでアルバイトをしていた。
僕の母
奈緒子。強固な意志を持つ。小佐田とは離婚。
僕の父
圷憲太郎。底抜けに優しい。
夏 -
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「孫係」
いつも身なりを綺麗に整えて、完璧をこなしている大学教授のおじいちゃま。
パパとママ、学校の先生や、友達に「優しくて、いい子」をこなしているすみれ。
すみれは、いつも素直で感情豊かな人たちを少しバカにしている。自分は「人にとっていい人をこなしているだけの、嫌な人間」だと、悩んでいた。
だけど、実はおじいちゃま、同じように完璧な(みえていた)おばあちゃまも、家では悪態を尽きていて、愚痴っていたという。
しかし、じいちゃまはいう、これは「陰口」や「卑怯」ではなく、相手にとっての優しさや思いやりがあるからこそ、「いい人」をこなしているのだと。
だから、すみれさんも、その自分を係だと思 -
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ネタバレ僕
圷歩。イランのテヘラン郊外にある、イラン・へメール・ホスピタルで生まれる。母親似。帰国して大阪で暮らす。父の転勤でエジプトに行く。両親の離婚で日本に戻る。
僕の母
圷奈緒子。人生はほとんど直観によって成り立っている。父の赴任先を直感でイランに決定した。短大卒業後に入ったカメラのメーカーで憲太郎と出会った。旧姓今橋。離婚して日本に戻る。
強い信念と感情を持つ母。後年、ある宗教的体験に深く傾倒していく。
オストバール
僕の出産を担当した医師。
僕の父
圷憲太郎。奈緒子の八歳年上。結婚してカメラメーカーから石油系の会社に転職。イランに赴任。大阪に戻る。エジプトに赴任。
僕の姉
圷貴子。生 -
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ネタバレ私は生きている
かつて、自分も主人公のような気持ちを抱えていた。なぜ自分は生きているのか、なぜ、自分じゃなかったのか。どうして日本にいるのか、恵まれた環境にいるのか。本当にありがたくて、申し訳なくて、ほかの人生に思いを馳せた。世界の端を知って途上国に行きたいと思った。2015年11月13日に起きたパリ同時多発テロ事件をきっかけに、国際関係へと進路を決めた。
でも、何より怠惰だった。まじめに勉強することを嫌った。目の前の娯楽におぼれた。その端々で、得た薄い情報で、胸を痛めた。そしてその程度の浅はかな知識と感情で胸を痛める自分を恥じた。
全てを知りたくて、でも知るための行動は起こせなくて、数少ない