西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
性というか性別(性自認や対象)というか、性欲というか性癖とか、性体験とか。
「性」のことはご法度的で親子、恋人、親友でも避けたりするわけで、孤独な世界だと思ってきたけれど。それが女性作家が17人も語るわけで下品上等、生々しくて面白い。
面白い、と言ってる事を下品と言う人もいると思いますが、多様性?とあえて言葉にすれば線引きしないでよ、と。
面白いというのは具体的に変えれば興味深い、が適切か。いやらしい意味でなく、前述のようにご法度な他者の世界に興味があるわたしは、作家がこうもあけすけにエッセイとして実体験や思想を語ってくれてありがたく。
本として残るので結構なカミングアウトもあったりするわけですが、それはどういう心境なのだろうか、とも思ったり。
他にもこの手の本はあるのかな?と探したくなったほど。
男性作家版も出して欲しい所存です。
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Posted by ブクログ
おそらく乳がん治療中に書いたと思われる短編集。
私に会いたい
とりあえず私は、モトが結論として導き出した解釈、
「ドッペルゲンガーはその人の命を奪うための使者ではなく、その人からむしろ死を遠ざけるための使者なのかもしれない。」
「死というのは、それ自体が死なのではなく、死を想起させる何かなのではないかな。死であると同時に死への警告なんだ。」
「人が死にたいと願う時、死は近づいてくるけれど、むしろ遠ざけるために近づいてくるんだよ。死を意識させ、そして気配だけを残して去ってゆく。その人を生かすために。その人が何より生きるために。」
この解釈たちがとても好きだと思った。
汚い絨毯を「ちゃんとボロボロ」だから好きだという彼らは、(少なくともモトは、)モトの部屋でしか存在してないような月日を長いこと過ごしていたようだが、確実に年を重ね自己が存在しているということの証明をボロボロの絨毯を持って拠り所としている。
生きづらさというような言葉でまとめるのは憚られるが、第三者から見たらそう見えるこの2人の非社会的な日々の暮らしの中で、あらゆる人から傷つけられてきた中で、彼らは誰かを恨んだり悪意を持ったりというような負の感情を耕すのではなく、「わたし」と向き合い、生きること、死ぬこと、に向き合い、なんとも希望をもった結論に至っている人としての強さ、内に光る輝きに感動する。
いろんなことが想起させられた。
最近みた名無しという映画で、細かな設定は置いておいて、主人公の少年がビルから飛び降りて死のうとするのだが、それを助けようとした警察官がビルから落ちて死んでしまう。少年はずっと死にたいと思ってるような子だったから、私はこの後飛び降りればいいじゃん、と思うのだが、彼はその警察官の姿を見て、彼を殺してしまった事実に怯え、自分は死ぬことができない。
死にたいという気持ちと、本当の死は、仲良く手を繋いでいるようなものではないと、思う。人は死にたい気持ちと手を繋ぐことはあっても、実際の死との間には深い深い溝がある。死へ気持ちよく引っ張ってくれるようなことは決してない。
それが人間というものだと思う。
西さんはくもをさがすの4章、手術のシーンでこの「私」(鉤括弧)というものを登場させている。
西さん自身の気持ちはこの時「私」目線であり、手術台にいる私を俯瞰して見ている。
それがこの短編と逆の立ち位置であることが興味深い。
「私」がある種防御反応のようなものだと仮定する。それが病的になった場合、医学的にも解離性同一性障害という疾患が存在する。
強い心的ストレスを感じた時に現れる「私」。西さんは手術台に登ったあとのある瞬間に、私と「私」が一つになる瞬間を実感し、手術に向かう覚悟ができたような描写がなされている。
物語では、「私」から見つめられる側の私の目線で書かれていることがおもしろく、西さんの中では私が「私」に救われる感覚があったのではないかと妄想させられる。
あなたの中から
出だし何かと思ったら癌細胞目線で書かれている作品。
女であることにこだわる「あなた」が乳癌になり、化学療法をするなかで女らしさは失われていき、「死にかけた自分」となる。
ただ生きていくため、死なないため、死と引き換えに行う化学療法の中であなたは女らしさを失った自分の自分と向き合うことになる。
彼女がその後乳房切除を受け入れるのかどうかが気になる。
VIO
Violence and injuries oppositeっていうのがオチ。
あらわ
おもろすぎた。露ちゃん、ずれてるけど、妙に納得させられるところもある。たしかに乳首は男性にも女性にもあるのになんで女性だけ見せちゃいけないんだろね。
乳首が大事だって外科医にいわれて、それをホルマリン漬けにして持って帰る発想はおもしろすぎて、笑ってしまった。
めっちゃ明るいなぁ。
掌
私も性的なことに関して女性が前のめりなのは恥ずかしいことだという先入観が自然と植え付けられているタイプの人間なので、こういう本を読んでるだけで自分が恥ずかしい人間のように感じるような気持ちもある。
これを敢えて独特な切り口で正面から見せつけてきた西さんに対して、敢えて向き合おうとする。
とりあえず西さんの表現はとても開放的であっけらかんとしていて、包容力を感じる。
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