登場人物みんな不安定で、文章も抽象的なんだけど、その不安定さが絶妙なバランスで胸に残る。
相対的にはハルナ・トウヤマのほうがナツ・アキオよりもまとも
猫は死の象徴で、4人とも声は聞くが姿を見たのはあの女性だけ。
窓の魚は、内風呂の鯉、内に捉われた存在で外の人を視認はできても触れてまじあうことはできな
...続きを読むい。
それぞれのパートで厚く書かれているところ、省略されているところを見比べると、それぞれが大事に思っているもの、伝えたいつもりが伝わっていないものなどがわかって楽しい。
ナツはアキオからの薬の影響もあって、生きていくことが難しいのではないかと思うぐらい不安定なんだけど、だからこその儚さ・美しさがある
正直ナツのストーリーについては、薬の影響もあるだろうから、どう解釈していいのか悩む
トウヤマは幼き日の祖母への思いとそこからの影響も皆無ではないのであろう年上のある女性への思い。
ハルナのことは好きではないし、ハルナも自分を好きではないと思っている。
最後にアキオに全て話したいと思ったのはどういう心理なのだろう。アキオであることに意味はなくて、ただ他人に心を開いたということか?
ハルナは母親へのコンプレックスと外見へのこだわり
美しいものへの羨望と殺したいほどの嫉妬
外見は変えられるがそれに内面が伴わないことによる劣等感
ナツに嫉妬を抱きつつ、最後にはナツと女同士の話をしたいとなるけど、これはまぁ人間の心理としてありふれたものといえばそんな気もする。
母親と電話をし本当の自分を見つめ直す
アキオは病弱ゆえにより弱いものに対する病的な愛情と死への羨望
勃起し、生を感じることで、ネコの鳴き声を聞く=死の実感を得る