西加奈子のレビュー一覧

  • ふる
     書く、というより描く、ことに近かった。イメージ、イメージ、イメージを、なんとか受け止めて言葉にしていった。(あとがきより)

     と、西さんがふわふわと書いたというこの物語、わたしもふわふわ、なんとなく、わかる。伝わってる。
     能動的に誰かと関わることは怖い。選ばれる側でいることは、関係性において責...続きを読む
  • こうふく みどりの

    この痛みと悲しみとやるせなさをすべて肯定して、あたたかさを添えてくれるのは西さんの文章だなあと、救われながら思う。
    そこ抜けの優しさって、格好つけるところなんて微塵もなくて、ほんとはこういうことかもしれないと、強く思ったりした。
  • ふくわらい
    妖気ただよう特異な体験をした人にまつわる物語として、感動しました。
    しかし、この本は、 第一回の物語賞としては、 選考ミス、選考委員の人選ミスだったのではなかったのではないでしょうか?
    わたしは河合さんの文章に数多く触れてきた河合隼雄ファンです。 そんな中で、 河合さんは読後感の悪い本は嫌う、と思う...続きを読む
  • しずく
    西加奈子さんの短編集。
    よい。ひたすらに良い。
    この本のなかに登場するひとってけっこう、実際に身近にいたら、たぶんわたしあまり仲良くならないタイプのひとたちだなあと思うのですが、だから最初あまり感情移入しないで読み進めるんですが、最後にはうわああって叫びたくなるくらい愛しさがばくはつします。
    よんだ...続きを読む
  • こうふく あかの
    西加奈子「こうふく みどりの」の姉妹作。
    2冊で1作品、ということだが、普通に【続編】と理解
    した方が良いかも。だから、もしこの作品を読もう、と
    いう人が居るのなら、先に「みどりの」を読んでからの
    方がおもしろい、と最初に言っておくことにします。

    「あかの」の主人公は二人で、それぞれのタイムライン...続きを読む
  • しずく
    全て良かったが、短編「しずく」は圧巻。まさかここまで完全に猫の気持ちを書ききることが人間にできるとは。。。驚きだにゃー(ΦωΦ)
  • ご本、出しときますね?
    読み終わって思う、番組見たかったなぁと…
    特に私の大好きな、朝井リョウ×西加奈子×若林正恭は本当に面白かった
  • しずく
    西加奈子さん2作目。どのお話も面白く、西加奈子さんの書く文章は素直で胸を打つ。そしてやっぱり私の心の何か触れてほしくないような触れて欲しいような、不安定なソレを撫でていく感覚。それでいて読後感はスッキリする。小説を読んだー!という感覚もあるし、ない(笑) 私もすっかり感化されて感覚的になっている(笑...続きを読む
  • ふる
    ちょっと難しかったけど、漠然とある女性性に共感を覚えた。すこし違うライフステージに入ったときに読んでみると印象が変わるのかもしれない。
  • 通天閣
    大阪ぽさというか、この小説に出てくる人物はとても面白かった。普通に声を出して笑った。
    その中でも、バイトの新人の出産、マメに振られること、オタク風男の自殺未遂など、嬉しさ、悲しさ、むなしさなどの感情が揺さぶられた。最後のわずかな希望を残す感じもとても良かった。
    個人的に「疲れたら自転車降りて歩こうな...続きを読む
  • サラバ! 下
    「あなたが信じるものを、
    誰かに決めさせてはいけないわ。」

    神様を、信じているんじゃない
    誰かを、信じているんじゃない
    それを信じているわたしを信じている

    人はそれぞれただ一人の存在

    揺れていない人間の方が、少ないのかもしれない
    立つこと、歩くこと
    それがどれだけ難しいことか。


  • 炎上する君
    失恋したり、女性であるアイデンティティを歪めなくては生きていけなかったり、自分の容姿に対する愛憎に涙したり、愛しても見てももらえなくて消えてしまいそうになったり、短編に出てくる登場人物の女性はどれも違う人物なのに、一貫して「自分のままでいていいこと」を訴えてくる強くて熱い描写は、何歳になって何度再読...続きを読む
  • サムのこと 猿に会う
    西さんの本は自分のコンプレックスをまあいっかと思わせてくれる。関西弁がコテコテなとこ、個性が強すぎて周りにうまく馴染めないとこ、仕事を休むことしか考えてないとこ、腹が立つと汚い言葉で相手をぶちのめそうとするとこ、めんどくさい奴が嫌いなとこ、合わせるのが嫌いなとこ…。そういうとこ全部ひっくるめて自分を...続きを読む
  • 字のないはがき
    「字のないはがき」、向田邦子さんのエッセイ「眠る盃:1979年」で既読ですが、本書は直木賞作家3人のコラボの絵本です。向田邦子(1929~1981)原作、角田光代(1967~)文、西加奈子(1977~)絵です。豪華です。戦時中、田舎に疎開した一番下のまだ字が書けなかった妹の和子さんへの家族5人の思い...続きを読む
  • あおい
    直木賞作家 西加奈子のデビュー作。

    彼女はその授賞式でこう語った。

    「とにかくプロレスからはむちゃくちゃ勇気をいただいてます!」

    猪木、藤波、長州、闘魂三銃士。

    新日本プロレスファンという彼女は、その後の低迷期にも会場に足を運んでいた。

    全盛期に比べ寂しくなった東京ドーム。

    そこでは棚橋...続きを読む
  • あおい
    オチがダークなダークな小説が好きですが、西加奈子だけは、、、本当に読んでいて、「本読むってタノシイな」と思えます。たとえダークでグロじゃなくても!
    癒やされる・・・
  • 字のないはがき
    シンプルな文章と鮮やかなクレヨンの絵、胸が締め付けられる作品でした。戦争の記録が風化されないよう、新しい形で作品が残されていくことを考えさせられます。
  • 字のないはがき
    短い絵本なのに、こんなにも心に響く。
    字のないはがき。
    字をまだ書けないちいさな妹が疎開先から元気な日は〇を、と
    自宅住所と父の名が書かれたはがきをもたされ家を出る
    はじめははがきいっぱいに描かれた〇が次の日から徐々にちいさくなっていき
    やがて×が届き音沙汰なくなる。
    察してちいさな妹を迎えに行くシ...続きを読む
  • あおい
    表題作が西さんの処女作らしい。一言で印象を表現すると「剛速球を力いっぱい投げ込む新人投手」って感じかな。勢いとテンポと笑いと奇抜さのバランス感覚が絶妙で気がついたら夢中になっていた。これはラブストーリーなのである。あおいとは、彼との間にできるはずの子供の名前。それにしても欲望に忠実な女性だな。女の友...続きを読む
  • 走れメロス 太宰治短編集
    悪い王をゆるせなかったメロスは、はむかったため処刑されることになりました。しかし妹の結こん式のため、三日間だけ時間をもらいます。親友を身代りにし、メロスは走り出すというお話です。