西加奈子のレビュー一覧
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ネタバレ久々に入ってしまった。戻ってこれなくてバッドに夜更かしした。リアルで残酷で文字だけで吐きそうやった、描写がリアルすぎる。西さんの「小説で書きたいことは、人間は変われるということ」という文章をみて納得した。何点か西さんの小説を読んだことがあるけど、そういったところに私はいつも惹かれる。
巻末対談がいい。景色が今までと違って見えたという美しいシーンを切り取って、違ったものに見えるということはこれから二度と同じように見られないという怖さでもあるという。寂しさと孤独は違うというのも分かる。孤独は自分との対話。自分と向き合うために孤独である時間は大切でそこから哲学的な考察が生まれる。寂しさは孤独をきちんと受け入れていない状態。 -
Posted by ブクログ
西加奈子さんという人が、とても好きになる本。
いやまじで友達になりたい...
たくさんの人を愛しているから
愛されている事が伝わる。
海外での乳がん闘病生活について
不安、不便、心配、痛みなど、
リアルな辛い気持ちがが描かれている。
本当に辛い経験を乗り越えている最中でも、そこにはユーモアと愛がある。
闘病生活以外にも、
日本とバンクーバー間の文化の違いについても頷ける部分が多かった。
便利で安心な日本の良さも伝えつつ、
日本の広告の多さやルッキズム、
他人からの目を気にする文化についても言及していて海外生活経験のある人にはきっと深く共感できる内容だと思う。 -
Posted by ブクログ
『サラバ!』からの『くもをさがす』で完全に西さんのファンになってしまった。西さん、友だちになりたい。。。ただの闘病記なんかではない。西さんの人生そのもの。
西さんは最後に「本当に美しい瞬間は、私だけのものにしたい」と書いているが、十分有難いほどに美しい瞬間を書いてくれている。あまりにも剥き出しで何度も泣きそうになったけど、そこには常に希望があって、まっさらな事実があって、西さんの筆致のおかげで俯瞰して見られる自分がいたから泣かなかった。
正直勉強や仕事をしているうちは努力すれば報われるものだと、自分は強いと思うことが多かったけれど、子育てをしはじめるとなんと自分が非力なんだと思うことが多くて、嫌悪して、自分に期待しては落ち込んで、弱さを何度も突きつけられた。私はいまだにその弱さを完全に受け止めてられていないから、西さんのように清々しい境地に至っていない。たくさんの付箋をなんども読み返して、大好きな人たちに愛を分けながら自分の生を全うしていけたらいいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレまずは著者が、現在もお元気そうに過ごしている姿を見て嬉しく思います。
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日本ではない海外で、癌を罹患し治療を行うとことがどれほど大変で怖いものなのかと考えさせられた。
読み進めていく中で、日本の医療の治療方針や医療従事者の方の接遇などがいかに素晴らしいものなのかと思った。
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私の父も癌を罹患したが、とてもオペ当日に退院出来る状態ではなかったなと思った。
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そして日本とはまた違うのが、友人や隣人が様々なサポートを本当に沢山している所が、心が温まり、
人との絆がとても強く素敵な文化だなと思った。
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いつか、子供が大きくなった時に読んで欲しい1冊でした。 -
Posted by ブクログ
『非色』から立て続けに、シビレる作品で呆然としている。上巻以上に一気読みだった。
終盤は「自分を信じて生きるとはどういうことか?」という壮大な問いを掲げている。
エジプトの記憶が巻き戻り、歩の人生にとってかけがえのないものとなっていく展開、最後の一文の綺麗すぎる伏線回収で心身まるごと清い渦にのみ込まれた。
本を読み進めながら、自分の仕事の悩みを文章に乗せて考えていた。
何度挑戦しても自信が持てなかったのは、自分の内ですでに根拠をもって意思決定しているのにもかかわらず、
リーダーや先輩から「それは間違ってるかも、うまくいくのか?と問われたらどうしよう」という妄想が常に付き纏っていて、思った通りに行動できていなかったからだと気づいた。
万人受けする選択をして、「本当はこうしたかったのに」という感情を抑え込んで仕事をしていたから自信が持てなかったんだ。
自信がないから行動できないのではなく、思い通りに行動できていないから自信が持てないんだ!
相当な時間悩んでいた仕事観に終止符を打つような最適解を、この作品を通して叩き出せたことは大きい。
自分を信じて生きることに成功した歩の姉は文字通り自信をつけていて、対照的に歩はどんどん自信を喪失させていく。
西加奈子先生に今ものすごいことを言われた気がするんだけれど、まだ完全に自分の丹田に落とし込めていないような、そんな文章に出会えた貴重な作品。悩んだ時にまたこの作品を通して生きる活力としていきたい。
「私が、私を連れてきたのよ。今まで私が信じてきたものは、私がいたから信じたの。
分かる?歩。
私の中に、それはあるの。「神様』という言葉は乱暴だし、言い当てていない。でも私の中に、それはいるのよ。私が、私である限り。」
「僕の好意さえ、誰かに監視されたものだった。
みんなが見て羨ましがるような女か、恥ずかしくない女か。
僕は鴻上を好きにならなかった。澄江を恋人にしていることを恥じた。誰かの言葉を恐れて、それを隠した。僕は自分の何も信じていなかった。僕は自分の周りにあるものばかりを信じた。
その真理に寄り添い、おもねり、自分の感情を無視し続けた。」
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Posted by ブクログ
『サラバ!』を読み終えてまず感じたのは、これは一人の男とその家族の半生を描いた物語ではなく、「自分の人生を、自分で信じて生きるとはどういうことか」を描いた小説だった。
主人公の圷歩は、イランで生まれ、エジプト、日本へと居場所を移しながら成長していく。自由奔放な母、存在感の薄い父、そして強烈な個性を持つ姉・貴子。家族に振り回されながら育った歩は、やがて周囲の空気を読み、人から求められる自分を演じることが上手な人間になっていく。恋愛も仕事もそれなりにうまくこなし、外から見れば順調な人生を歩んでいる。しかし、その人生が少しずつ崩れ始めたとき、歩は初めて「自分は何を信じて生きてきたのか」という問いと向き合うことになる。
上・中・下巻とかなり長い小説だが、不思議と長さはほとんど感じなかった。特に上・中巻は、『深夜特急』を読んでいるときに近い心地よさがあった。海外での暮らし、家族との出来事、学校、恋愛、仕事、人との出会い。何か一つの大事件に向かって物語が一直線に進むのではなく、歩の人生を隣で眺めながら、その時々の場所や人間関係を一緒に旅しているような感覚がある。この先どこへ向かうのか分からないまま人生の断片を追っていく時間そのものが面白く、三巻という長さがむしろこの作品の心地よさになっていた。
上・中巻を読んでいる間は、家族の話、海外での生活、恋愛や仕事など、一見するとまとまりのない人生の断片が続いているようにも見える。しかし下巻まで読み終えると、そのすべてが必要だったことが分かる。歩が何を経験したかだけではなく、それらの経験を通して「自分自身の人生を生きる」という場所へたどり着くまでの長い時間そのものが、この小説だった。上・中巻で何気なく読んできた出来事や人間関係が下巻で次々と意味を持ち始め、「ここまで歩の人生を一緒に見てきたのは、このためだったのか」と感じられる。その回収が本当に見事だった。
特に印象的だったのは、歩と姉・貴子の対比である。周囲に馴染めず、問題ばかり起こしてきた貴子と、空気を読み、要領よく生きてきた歩。ずっと歩のほうが「まとも」に見えていた。しかし物語が進むにつれて、その見え方は完全に変わっていく。貴子は不器用ながら、自分が信じられるものを必死に探し続けていた。一方の歩は、他人からどう見られるかを基準に自分を作り続け、自分自身の内側にあるものと向き合わずに生きてきた。うまく生きることと、自分の人生を生きることは同じではない。そのことを二人の人生が鮮やかに浮かび上がらせていた。
読んでいて何度も考えたのは、人は知らないうちに、自分の価値を決める権利を他人へ渡してしまうということだった。仕事で評価されること、誰かから好かれること、世間から「うまくいっている」と思われること。それらを失ったとき、自分には何が残るのか。自分の価値を他人の評価だけに預けていれば、その評価がなくなった瞬間、自分まで失ってしまう。だからこそ、「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない」というこの物語のメッセージが強烈に残った。
そして最後まで読んで、ようやく『サラバ!』というタイトルが好きになった。これは単なる別れの言葉ではない。過去を消すことでも、傷つけてきた人を否定することでもない。家族も、失敗も、これまで歩いてきた人生もすべて自分の中に残したまま、それでも自分の人生を支配してきた他人の価値観には別れを告げる。その先で、自分が信じるものを自分自身で選び直す。その決意が『サラバ!』という言葉に込められているように感じた。
『サラバ!』は、自分探しの物語ではない。どこかに存在する「本当の自分」を見つけるのではなく、何を信じて生きるのかを自分で決め、その選択によって自分自身を作っていく物語である。
そして、この作品は下巻まで読んでこそ完成する。だからといって上・中巻が下巻のための長い前振りなのではない。歩の人生をゆっくり追いかけ、海外を旅し、家族に振り回され、恋をし、働き、人との出会いと別れを繰り返す。その時間が十分に面白い。そして、その長い時間を歩と一緒に過ごしたからこそ、下巻で描かれるものが圧倒的な重さを持つ。
もし途中で「長いな」と感じている人がいるなら、それでも最後まで読んでほしい。下巻までたどり着いたとき、それまで何百ページもかけて読んできた歩の人生が、一つの大きな意味を持ってこちらへ返ってくる。その感覚まで含めて『サラバ!』という小説なのだと思う。
読み終えた瞬間だけではなく、これから仕事や人間関係で迷ったときにも、きっと思い出す小説になる。
自分の人生を決めるものを、他人の評価や世間の常識に預けてはいないか。そして、自分は何を信じて生きていくのか。
『サラバ!』は、その問いをこれからも何度も思い出させてくれる。長い物語を最後まで読んだからこそ、この言葉を迷わず言える。最高の小説だった。
#2026年33冊目 -
Posted by ブクログ
ネタバレなるほどねーそう着地したかという感じ。確かに中あたりを読んでいる時はあのエジプトの話はただの幼少期の話でしかなかったのかと思っていたが、こう伏線回収きたか!と。
一つの救いは、はちゃめちゃな姉貴子に救いがあったこと。前半は、育てにくかったかもしれない自分を重ねつつ、親目線で、こういう子育ての辛さ、キツい…と母にも同情していたのだが、苦しみ探し続ければ安寧が訪れるのだということに安堵した。
では平穏な幼少期を過ごした(というかいい子ちゃんを演じざるを得なかった)歩が、後年もがくのも可哀想で、別に苦労がない人生だっていいじゃん…親に翻弄されなければ一生平穏な人だっているのに、と思ってしまうが、まあ自分を取り戻せたということだろう。それにしても育てにくい子がいれば親の教育が悪いと言われ、いい子すぎると我慢させてるんじゃないのと言われる理不尽な世の中である。母もあっけらかんとしているが、大変だったと思う。それに比べて父親たるや。自分の恋愛ごとにかまけて1人過去に沈んで出家してワンオペさせてんじゃねえよ、何1人で体鍛えてんの、と全く同情できない。
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