西加奈子のレビュー一覧

  • くもをさがす

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    何度も胸が詰まり、感情が揺さぶられた。
    普段あまりエッセイは読まないですが、手にとって良かった。あまり重くなり過ぎない表現の仕方で、時に楽しく時に悲しく、こんなにも私たちに届けよう伝えようとしてくれるエッセイだったとは。

    癌のこと、日本とカナダの医療の違い、日本人と海外の人の考え方の違い、色々と読めて学びになった。本に書かれてる以上にきっと大変だったんだろうことも、心にしまっておきたい出来事もあることも、西さんの心が伝わってきた。
    自分の体のボスは自分ということ、愛と情の違いも印象に残った。

    関西弁なのがまた良かった、いい力の抜け方をするから、スルスルと読めたというのもあるかもしれない。
    もちろん海外の人は英語を喋って会話してるだろうし、そこに住む日本の人も関西の人だけじゃないんやろうけど、
    それを聞いた西さんがアウトプットした本やねんから関西弁になるわな、とめっちゃ納得した。

    0
    2026年06月11日
  • きりこについて

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    自分の容れ物と中身について、それを全て含めて好きになれるそんな話
    どっちがいいんじゃなくて、それで人は成ってる

    たまたま平塚で取った一冊が猫が描いた本で感動

    0
    2026年06月07日
  • さくら

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    260608〜260616

    どハマり。
    p.309以降はとにかく泣いた。
    p.386以降のミキの独白もとにかく刺さる。
    こんなにも人間の綺麗で汚くて表面的で根っこの部分を芸術的に表現するものはない。

    0
    2026年06月16日
  • サラバ! 下

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    ネタバレ

    自分が本当に信じてることってなんだろう?自分が何が支えになってここまで生きて来れるようになったんだろう?とかそんなことを考えたりもした。自分の事で照らし合わせれば、新入社員からずっと営業をしてて、『本当にこれでおじいちゃんになって退職してもいいのだろうか?』と考えることが多く、副業したりとか転職したいとか思って行動したりとか色んなことをしてきた。でもそれってサラバ!を読んだら姉がずっと探してた何か『化け物』?なのかもとか思ったりもした。自分自身に正直に心動かされるもの、それが自分が本当に信じれることなのかもなと思った。あとサラバってどんな意味なのかを考えた時に化け物になれない自分にサラバって意味もあるし、なんか自分自身に馴染んでるものの親しみもある意味にも感じた。ヤコブとの楽しい日々は自分に正直になれた時でそれに対して親しみを持つという感覚もありーので色んな解釈が自分の中になった。姉は奇行を繰り返してた描写が多かったが、自分探しの旅の延長で常に正直に生きてきたのだと思うし、自分はそれができてるのかと思う。出来てるか出来てないから将来の自分が決めることなのだと思うけど、今を精一杯楽しんで生きてくことに価値がある、そんな気がした。

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    2026年06月05日
  • ふくわらい

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    力強い、生命力についての、話。
    優しさについての、明るさについての、孤独と孤独じゃないことについての、たったひとつの自分についての。

    最後、気づいたら涙が出ていた
    こういうのが感動というのだろうか
    琴線に触れるというのだろうか
    心が震えたというのだろうか

    0
    2026年05月31日
  • サラバ! 上

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    エジプトの描写が五感全て感じられるとてもリアルな描写だな~と感じながら読んでいたのですが、西加奈子さん実際にエジプトで暮らしていたことがあったのですね!納得。

    0
    2026年05月29日
  • i

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    どう表現していいのかわからない
    なんだかすごいものを読んでいた気がする
    世界のみんなに問いかけている
    これからどうしていいのかわからなくなる
    世界中で毎日大勢の人が死んでいる
    何かが起こっている
    そんな世の中での『アイ』と『ミナ』と『ユウ』
    それぞれの立場で考えることは
    どれもが間違っていない
    『アイ』の成長をたどりながら
    さまざまなことを考えるきっかけとなった
    それは思っていても避けていたこと
    思っていても人ごとであったこと

    なぜ自分ではなかったのか
    そう悩む人もたくさんいることだろう
    自分がどれだけ恵まれているか
    考えれば考えるほど
    心に闇が広がってしまう

    こんなにも心に重くのしかかる小説を
    読んだことがあったかなと思う
    そうは言っても本を閉じてしまうと
    また日常がやってくる
    また新聞やテレビの報道を
    サラッと流して仕事に出かけ、
    その収入で楽しく過ごす日々が‥

    でもその報道の中の数千、数万の死者は
    ひとりひとり名前があって
    生きていたということを
    この世に望まれて生まれてきたということを
    心に留めて生きていきたい
    この一瞬の後
    自分がその立場になるかもしれないのだから



    0
    2026年05月28日
  • ふる

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    ネタバレ

    不思議な展開だし、大阪弁のリズムが心地いいしで、引き込まれる小説だった。

    空から降ってくるように、フワフワと書いてある文字、おもしろい。
    「ヘルメッ!」「じゃかましわ。」の会話、私も好き。
    新田人生は、ちょっとこわい。
    白いふわふわしたもの、は、結局のところなんだったんだろう? 
    それが最後はしんしんと、雪のように降ってくる。そして、それを見てはっきりと、花しすは安心するのね。

    それは祝福が、花しすに舞い降りた瞬間。
    自分も女だと、今、はっきり受けとめて、周りの女とも、あらためて共に、この世を生きてみよう。同じ女として、今この時を生き抜こう、と確信した瞬間。

    こういう小説には、初めて出会ったけれど、フワフワしていながら、芯があって、とてもステキな読後感だった。

    0
    2026年05月27日
  • サラバ! 上

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    ようやく初の西加奈子さん。
    朝井リョウさんと加藤千恵さんのラジオでたびたび登場し、面白い方であることには間違いないと確信しつつ、初見を外したくない気持ちから、
    どの作品から始めようか迷いに迷い…
    昔、さんまさんがこの『サラバ!』を読んで、「背表紙を見て、上西加奈子だとおもっていた。そしたら隣に下西加奈子がいて『どういうこと?!』と思った」というようなことを話していたのを何故か鮮明に覚えていたのだ。笑

    結論、『サラバ!』を初読に決めて正解だったと思う。1行目から興味を惹き、最初のたった18ページまででも面白すぎて友人に興奮気味に「西加奈子面白すぎる!!!!」とLINEしたぐらい。

    テンポがいい。
    書き味がとても好き。
    サバサバしているのにユーモアが端々から伝わってくる文体。

    内容もまた、イランにエジプトに、
    濃いエピソード満載で興味が尽きない。
    続きが楽しみ。

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    2026年05月26日
  • i

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    シリアから養子として迎えられた主人公・アイが、「自分はなぜ選ばれたのか」「存在するとはどういうことなのか」を問い続ける物語。読んでいるうちに、戦争や貧困などの社会問題に対して、自分自身もどこかで“難しい”の一言で片付け、無意識に目を逸らしていたのかもしれないと考えさせられた。

    アイはとても優しく、繊細で、頭の良い人物だからこそ、周囲から愛情を受けながらも、自分の存在意義について深く悩み続けていたのだと思う。自分の幸せを願う気持ちと、この世界の誰かの幸せを願う気持ち。そのどちらを優先すべきなのか、アイはずっと揺れ続けていたように感じた。しかし最終的には、そのどちらを願うことも決して矛盾していないのだと気づいていったのではないかと思うし、そうしたメッセージがこの作品には込められているように感じた。

    巻末の西加奈子さんと又吉直樹の対談も印象的で、西加奈子さんの作品を初めて読んだが、とても心に残る素晴らしい一冊だった。

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    2026年05月18日
  • 円卓

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    ネタバレ

    本当に良かった〜。西加奈子、こう、言葉にできないけど知っている感情を描写するのが上手なんだよね…。

    こっこは9歳、小学5年生。祖父母と両親、三つ子の姉と団地で暮らしている。幼くて聡明で猛々しいこっこの、日常と成長の物語。

    基本的に文体は軽やかでコミカルなんだけど、ふとしたところに出てくる各人の優しさにめちゃくちゃぐっとくる。「みんなそうだから」に流されないこっこが瑞々しい感性で世の中を見て、感じて、成長していくこと。こっこを取り巻く人々の形のない、けれど常に薄く漂う優しさ。
    表題「円卓」は家族が揃う場でずっとタイトル回収はしてるんだけど、ラストがあまりにぐっとくる。力強い筆致で書かれたこっこの好きなもの。円卓。

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    2026年05月16日
  • i

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    戦争や事件事故のニュースや、それこそ読書の中ででも自分は今恵まれた環境で生きているということに関してもちろん考えたことはある。でもあまりにも当たり前になりすぎてしまっていたと思った。知ってるし分かってるけど私には関係ないと思ってしまっていたし、物語の世界みたいに感じてしまって“実際起きていること”という違和感がありました。凄く難しい。私の周りには海外の人や養子として育った人はいない。でももし居たらまた色々と考えることも感じ方も違ったりしたのかなと思いました。恵まれていることに対して恥ずかしいと思う感情は少しわかる気もする。恵まれていることに対しての罪悪感、私はたまたま恵まれた環境に産まれただけなのにと考えることはある。私は昔からふと貧困の国に産まれる人間と安全で恵まれた国に産まれる人間はどうやって決められるのか、前世でなんか得を積んだのか、もし得を積んだからだとしたらどんな得を積んだのだろうか、人の命を何人救えば来世安全な国に産まれることが出来るのかと考えることがある。考えても考えても答えが見つからないけど、そうやって考えて心を痛めることに意味があるのかなとも感じました。恵まれた国で何不自由なく生きてれている私はそういうニュースや出来事を心を痛めながらも目を逸らさずに考えて向き合って生きくべきだと思いました。

    又吉さんとの対談もすごく良かったです

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    2026年05月12日
  • サラバ! 上

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    面白いです。続きが気になる。

    イランに生まれ、美人で気が強い母、静かで優しい父、そして猟奇的な姉(今ではよく聞く、発達に課題がある子、にカテゴライズされるのでしょう)を家族に持つ、僕。その幼少期が語られています。
    仲の良くない母と姉の機嫌を損ねぬように、幼い頃から処世術を上手く身に付けてしまった主人公の心の動きがとても興味深い。

    そして日本での生活も束の間、物語は父の次の赴任先、エジプトのカイロでの暮らしへ。
    日本生まれ日本育ちの私にはカルチャーショック、とても刺激的でした。うわぁ大変そう、と思って読み進めますが、住めば都なのかだんだんとこの国を愛していく主人公の感情も知り。現地でできた家族に内緒の友達のお話もすごく感動しました。
    人種、言語、宗教、社会的な地位、色んなものを乗り越えてその友達を愛し尊敬し、いずれ別れの日が来ても相手の幸せを願う気持ち、とても切なく温かく胸にグッとくるものがありました。
    まだ、上巻。中、下巻とどう続くのかな。楽しみです。

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    2026年05月09日
  • おまじない

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    私は本当はイジワルなのではないか?あんなに優しかった死んだおばあちゃんを忘れるなんて薄情なんじゃないか?付き合ったばかりで妊娠するなんて他の人にどう思われるだろうか?
    ひっそりと孤独に悩む女性にそのままでいいんだよと言ってくれるような一冊。
    外からガヤガヤ言ってくるひとたちが多い時代になったけど、そんなの無視してよし!

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    2026年05月07日
  • サラバ! 下

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    下巻を読み終えて振り返ると、上巻中巻にも全く無駄な話がなかったなぁと感心した。すべてのストーリーが結末につながる意味のあるものだったことに感動。
    中巻で感じていた違和感(歩の苛立ちの身勝手さ)が間違っていなかったことがわかって、個人的には胸のつかえが取れた感じもあって爽快。
    あなたの信じるもは、あなた自身で見つけにいかなければならない。そしてそれは既にあなたのすぐそばにあるはず。
    この物語ではその一例が登場人物の数だけ例示されているに過ぎず、あくまで表面的なもの。本質の答えはそれぞれが生きる意味、生きる根源を心の芯として見いだせるかどうかだから。
    それがある限り、生活に付随する全てはどれもご褒美に感じてしまう。幸せ。

    0
    2026年05月07日
  • サラバ! 下

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    ネタバレ

    上中下の3部作、歩の37歳までの物語。
    1人の人生を覗き見た感覚。読み終わった時の余韻は他の作品では味わえない。
    37歳までの人生を歩目線で描くからこそ人生の紆余曲折が描かれる。
    読者のその時の置かれている環境、年齢などによって同じ読者でも感じることが違う気がする。
    自分が人生に迷った時にまた戻って来たい。
    正直、この作品の凄さを上手く言語化できる気がしないけど、なんかすごい。
    自叙伝の形で進む本作、なぜそのような文体なのかは最後に回収?されなるほどなとなる。
    「自分の人生において何を信じるのか?」それが今作のテーマ。
    この本の中で信じるものの正解は明確に描かれてはおらず、それぞれの登場人物なりの答えは描かれている。
    最後に読者へ「信じるものは自分で見つけなあかん」と提示されている。

    僕は今26歳。作中の「ある日気づいたら、僕は30歳になっていた」という一文に妙に喰らってしまった。
    このまま生きていたら歩と同じことを思う気がする。
    そんなことを思いここ数年は毎日日記を書くことにしている。
    そして、3月に新卒で入った会社を辞め4月から転職。
    3月までの会社で感じたことを改めて文章に残しておこうかなとここ半月思っていたがなかなか取り掛かれずにいた。
    歩の最後の自分の人生を小説にして、これまで生きて来た自分の人生の時間を肯定し信じるという選択に今の自分を重ね、このタイミングでこの本を読んだことに意味を感じてしまった。
    だからこそやはり自分の直感を信じ、前職で感じたことを文章にしたいと思った。
    その期間の自分を肯定するために、未来の自分を助けるために。

    0
    2026年05月05日
  • こうふく あかの

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    世間一般的なものさしに左右されないで生きている兎島からの「かっこいい」だったからこそ、嬉しかったんだろうな。

    0
    2026年05月05日
  • サラバ! 下

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    やあ、面白い小説だった。上中下3巻があっという間に読めてしまう……といいつつ進むのがもったいなくて故意に時間をかけて読みもした。
    主人公の歩の前半生(30歳くらいまで)がヤコブや須玖といった親友・ソウルメイトをの結びつきがあるし、高身長のイケメンだしで順風満帆でそのまま痛快に人生を生きていくのかと思いきや、30歳過ぎからどん底に落ち込んだのが衝撃。
    しかもそれは、家族や人々の間でうまいこと立ち回ってきたがゆえ、うまいこと立ち回ろうとするがために自分の芯をなくしてしまっていたというわけ。歩が幼い頃から自己顕示欲が強い面倒な存在だと思っていた姉が、それらの言動は実は自分の芯を求めるための遍歴であり30歳を過ぎてすっかり落ち着いたのと正反対であるかのように。
    歩が自分に芯がないことを指摘され懊悩するあたりは、これまでの軽快・軽妙なストーリーから一転しなかなか読むのも苦しかった。なぜなら、芯がないとは不甲斐ない自分に向けられた言葉のように響いたから。
    それにしても、歩がイランで生まれ幼少期をカイロで過ごしたというのは著者と同じで、ということはこれは自身の体験がかなり反映された作品なんだろうか。だとしたら、著者は女性なのになぜ歩という男性を主人公に据えたのだろうか。でもこういう物語は男子が主人公……というか思い悩んだ末に光が差し始めるという役回りに合うような気がしてしまう。

    0
    2026年05月04日
  • サラバ! 中

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    やあ、面白い小説だった。上中下3巻があっという間に読めてしまう……といいつつ進むのがもったいなくて故意に時間をかけて読みもした。
    主人公の歩の前半生(30歳くらいまで)がヤコブや須玖といった親友・ソウルメイトをの結びつきがあるし、高身長のイケメンだしで順風満帆でそのまま痛快に人生を生きていくのかと思いきや、30歳過ぎからどん底に落ち込んだのが衝撃。
    しかもそれは、家族や人々の間でうまいこと立ち回ってきたがゆえ、うまいこと立ち回ろうとするがために自分の芯をなくしてしまっていたというわけ。歩が幼い頃から自己顕示欲が強い面倒な存在だと思っていた姉が、それらの言動は実は自分の芯を求めるための遍歴であり30歳を過ぎてすっかり落ち着いたのと正反対であるかのように。
    歩が自分に芯がないことを指摘され懊悩するあたりは、これまでの軽快・軽妙なストーリーから一転しなかなか読むのも苦しかった。なぜなら、芯がないとは不甲斐ない自分に向けられた言葉のように響いたから。
    それにしても、歩がイランで生まれ幼少期をカイロで過ごしたというのは著者と同じで、ということはこれは自身の体験がかなり反映された作品なんだろうか。だとしたら、著者は女性なのになぜ歩という男性を主人公に据えたのだろうか。でもこういう物語は男子が主人公……というか思い悩んだ末に光が差し始めるという役回りに合うような気がしてしまう。

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    2026年05月04日
  • サラバ! 上

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    いやあ、面白い小説だった。上中下3巻があっという間に読めてしまう……といいつつ進むのがもったいなくて故意に時間をかけて読みもした。
    主人公の歩の前半生(30歳くらいまで)がヤコブや須玖といった親友・ソウルメイトをの結びつきがあるし、高身長のイケメンだしで順風満帆でそのまま痛快に人生を生きていくのかと思いきや、30歳過ぎからどん底に落ち込んだのが衝撃。
    しかもそれは、家族や人々の間でうまいこと立ち回ってきたがゆえ、うまいこと立ち回ろうとするがために自分の芯をなくしてしまっていたというわけ。歩が幼い頃から自己顕示欲が強い面倒な存在だと思っていた姉が、それらの言動は実は自分の芯を求めるための遍歴であり30歳を過ぎてすっかり落ち着いたのと正反対であるかのように。
    歩が自分に芯がないことを指摘され懊悩するあたりは、これまでの軽快・軽妙なストーリーから一転しなかなか読むのも苦しかった。なぜなら、芯がないとは不甲斐ない自分に向けられた言葉のように響いたから。
    それにしても、歩がイランで生まれ幼少期をカイロで過ごしたというのは著者と同じで、ということはこれは自身の体験がかなり反映された作品なんだろうか。だとしたら、著者は女性なのになぜ歩という男性を主人公に据えたのだろうか。でもこういう物語は男子が主人公……というか思い悩んだ末に光が差し始めるという役回りに合うような気がしてしまう。

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    2026年05月04日