西加奈子のレビュー一覧
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最近、西さんのお元気な姿を拝見したばかりだった。この本の存在は知っていたけれど、読んでみると、書かれていることだけを取ってみても大変な出来事で、乗り越えた先に今の西さんがいるのだなと思うと感動してしまった。
いや、乗り越えたという言い方は正しくないのかもしれない。がんサバイバーとなった西さんは、がんに罹患する前には知らなかった恐怖や寂しさや生きることへの想いと付き合っていくことになったわけで、それはこの後の人生ずっと共に歩む感情なんだろうなと思う。理解はできるけど、私はまだ想像がつかない。
エキは今も元気なんだろうか。自分に余裕がなくて猫の不調に気づけなかったこと、肝臓の数値が悪くなって入院 -
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ストロベリーナイトシリーズを読み漁りすぎて、いわゆる殺人事件ネタの小説読みすぎて、なんかもう人死なないやつが読みたいと思って夜が明ける以来の西加奈子さん。
サラバ!ってどんな内容なんだろなぁ。タイトルからはいまいち想像つかないなぁと思いながら読み進める。
もちろん死なないし、ユーモアもあるし、キャラも濃くて面白い。
構成としては二章だけで、一章は猟奇的な姉と僕の幼少時代。
姉がね、もうクレイジーすぎてすごいです。よくもまぁそんなん思いつくなというくらいの奇天烈な姉ちゃんです。
第二章はエジプト、カイロ、ザマレク。
ということで舞台は異国の地へといきます。文化の違いが面白く、その中で -
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西加奈子さんらしい生命力とエネルギーに溢れた作品。この方はきっと人間が好きなんだと思う。
どんな人物を描いても必ずエネルギーを感じるから、社会的には成功していない人を描くときの方が何も持っていないからこその人間本来の生命力、エネルギーというものが伝わってきて、とても良い。プロレスラーの守口廃尊のキャラクター、よかった。
本作はストーリー自体は淡々と静かに進んでいくけど、静けさの中に力強さを感じるからか、先を読みたくなってしまう。
美人同僚の小暮が居酒屋でギャグみたいな「先っちょだけ」を哲学的に解釈してるところ、よかったな。
あと定は世界に恋をしていた。のところ好き。世界に恋して世界を愛して生き -
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中巻は歩の思春期から青年期にかけての成長と、
家族との距離、社会との関わりが描かれている。
そう物語はここからかなり深く、重くなっていく。
エジプトでの生活を終え、日本に帰国した歩。
両親は離婚し、母と姉の貴子と共に大阪で暮らすが
その関係は次第に崩れていく。
特に、姉の宗教団体へののめり込み方は異様にリアルである。
大学進学を機に東京へ移り住んだ歩。
卒業後、フリーライターとして順調なキャリアを築くが、ふいに訪れた姉との再会。
自分の価値観や「信じるもの」を見失うさま、
周囲の目を常に気にし、空気を読みながら生きていく。
いわゆる「普通さ」、これが大人になった時に意味が逆転する。
子供 -
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ネタバレ「くもをさがす」を読んだばかりだったので、余計に西さんご本人の闘病などが反映された作品だと強く感じました。
8作の中で3作、主人公が乳がんに罹患しているし、特に「あらわ」の乳首の話や、「Crazy In Love」はそのまんま西さんのご経験の話じゃないか!と。
ふみえの「例えば自分の経験をベースにした小説を書く場合、私は、出来る限り登場人物と距離を取ろうとする。」という言葉を読んで、これも西さんのやり方なのかなあと思った。
やっぱりカナダの女性の言葉が関西弁に聞こえるっていうのが面白い!
「わたしに会いたい」以外の作品はすべてジェンダー感というか、女性性に関するメッセージがかなり強かった。
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Posted by ブクログ
ネタバレ上、中では主人公の黄金時代が描かれていたが、下は主人公が落ちぶれていく様を見た。
人と比較して自身の存在を確認し、トラブルがあった時に自分以外の人間のせいにし自分を守る生き方をしていた主人公。容姿など自分の持っているものが他者より劣り始めた時に初めて自分の愚かしさに気づく。落ちぶれていく最中も常に他責思考を忘れない様子は見ていられなかった。しかし、私も普段人と比較してしまうし、他責思考によって自己防衛していることはあった。主人公の子供じみた考えに似た思想があった。
「人と比較するな、自分は自分」という言葉は自己啓発の類でよく見るキャッチフレーズだったが、今まで僕の心に刻むに至っていなかった。し
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