西加奈子のレビュー一覧
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ネグレクト、貧困、ブラック企業などといった、現代の社会問題の渦中でもがく2人の男性の、それぞれの人生が描かれた作品。
一度入った環境から抜け出すことの厳しさや、そんな環境下で心が破壊されていく様子がありありと描かれており、こんな苦しみを受けている人がこの世に存在するのかとショックを受けてしまった。
しかし、どん底の中でもそれぞれが救いの手を差し伸べてくれる人と出会い、再生の兆しが見えそうになる場面は正に「夜が明ける」という感じがした。
色んな問題がテーマになっていて、メッセージのてんこ盛り具合は自分のキャパシティを超えている気がしたが、それでも全てのメッセージを心に留めておきたいと思うほど、人 -
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ネタバレ貴子さんは アンダーグラウンドの世界で
着実にカリスマになっていました。
歩さんは悩みを恋人の紗智子さんにうちあけます。
「 よく話してくれたね。 」
「 辛かったね 」
一番ほしい言葉を言わた歩さんでしたが
次の日の朝、紗智子さんは
「 お姉さんに会えないかな? 」
「 会いたいって・・・・、 なんで? 」
「 お姉さんの写真を、撮りたいの。 」
瞬間別れを決意するほど傷ついての時間でした。
紗智子さんの目がお母さんと同じだと気づいた瞬間
歩さんはカップを床に落としました。
わざとでした、、、、、。
そうして雑誌に、10ページの特集として掲載されて
紗智子さんは
「 傷 -
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初めての西加奈子さん
表現がすごいな、うってなるくらい真っ直ぐで、感じてたけど表現できずにいた、気づかないふりしてたことをズサズサ言葉にしてる
読んだ後に、誰かと話したくなる短編だった
あなたの中から
胸をグッて掴まれつづけてるかんじ
女性が、生まれて生きていくその時々で晒される苦しさを淡々と1人の女性の人生と一緒に体験する、一緒に苦しくなる。
ある人が読んでも、なんとも思わず、人ごとになるのかな。大袈裟だなって思われてしまうのかな。こんなに生きにくい世界だってことに当事者以外は気づくことができないのかな。
ママと戦う
同じことを体験したことがあるわけじゃないんだけど、その気持ち悪さ、その -
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歩は冷笑をしていた。見下していた。だから須玖や鴻上が持っている何かを見落としていた。そしてそれは周囲に伝わっていた。
この作品を通して、信じるものの必要性や宗教や神が存在する理由を学んだ。
誰しもの人生にピークはあると思っていて、それは大学以降に来ることが一番いい、という理論が自分の中にある。それ以前に来てしまったら、(人にもよるが)人生の難易度や世界の広さを見誤るような、そんな気がするから。
今回の話では、貴子のピークは大人になってから来て、歩のピークは学生時代に来ていた。だから、歩には「見誤り」のようなものがちらほら伺えたのではないかと少し思った。 -
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小川哲著『嘔吐』(文芸誌GOAT Vol.1収録)
遅ればせながら『宇垣・片桐の踊る!ミリしら会議』でGOATを知り、Vol.1&2を購入。その中の『嘔吐』がとにかく衝撃だった。
テーマは「愛」なのに「嘔吐」?と思いきや、読めば納得。
これは“推しへの愛”を描いた物語。でも、ただの美談じゃない。
最初は語り手に共感すら覚えた。
けれど、じわじわと距離感がズレていく違和感。
少しずつ歪んでいく気持ち悪さと、応援がいつの間にか自己正当化にすり替わっていくリアルさ。
「こういう人、ネットにいるよな…」と他人事のように読んでいたけど、どこかで自分にも刺さる。
終わり方もさすがのひと言。 -
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自分の幸せと、世界の幸せ
どちらも祈ることは全く矛盾していない。
世界にいる沢山の死者、それが自分じゃないだけで胸が苦しくなる繊細な主人公アイ。
自分がその死者になればその変わりに救われた命がある。どちらかを願うことしか分からないアイ。
でも大切な親友、恋人、家族に支えられ、どちらを願うことも自分の存在を認めることも肯定していく。
「この世界にアイは存在しません」数学の教師の言葉に傷つき、それが自分の重りになっていた。
「この世界にアイは存在する」そう認めていぬアイの変化に共感や勇気をもらった。
その変化のひとつに、自分の劣等感は悪くないと認めて受け止め自分はこうゆう人だと肯定する。それこそ -
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ネタバレ犬が出てくる話はつらいので何となく敬遠していたけど見事に泣かされてしまった。読んで良かった。人間もつらいのを忘れてた。
最後はまさかのお父さんが全てを持って行った。ただでさえ存在感が薄く、長男が亡くなって消え入りそうになっていたお父さんが、さくらのために管制室時代の熱い姿を取り戻す展開は興奮だったし、家の中でゆっくりと流れる時間や子供達の異質な記憶力が実はお父さんから貰った物だった事もとてもよかった。
お母さんは始終すばらしい人だった。夜、子供達にあの声を聞かれて「昨日なにしてたん?」と幼い娘に問い詰められても、「みきの目は誰に似てる?耳は?指は?」から始まり「生まれて来てくれてありがとう
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