西加奈子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
凄かった。エッセイというものをほぼ読んだことがなかった私にとって強烈な読書体験だった。
ほんタメというYouTubeチャンネルで紹介されており興味を持って読んでみた。これは、映像化はきっと難しい、本という媒体のみを通して伝えられる感覚だと思った。
共感できる部分も多く、一方で共感できなかったあの子の振る舞いはこんな感覚にルーツがあったのではと思い至るところもあって、強烈に胸に響いた。私の感じたもやもやを言語化してもらったようで嬉しさもあった。自身も女性性を元とした経験はポジティブ面、ネガティブ面ともにあり、同じような経験をした作家がそれをどう捉えるかを聞けたことが嬉しかった。
性に関する体験をもとに感情が描かれていて、一読するだけでは飲み込みきれなかった部分もあった。一作ずつ丁寧に読みといていきたい。 -
Posted by ブクログ
「渦中の人しか苦しみを語ってはいけないなんてことはないと思う。想像でしかないけど、それに実際の力は無いのかもしれないけれど、想像するってことは心を、想いを寄せることだと思う」
世界中の死をノートに記して、裕福な家庭に養子に貰われた時分を恥じていたアイ、望まない妊娠をしたが流産してしまったアイを心の底から心配して寄り添おうとしたミナ、「どこまでが使命としての報道なのか、どこまでが自分のためなのか」を悩み、難しさを内包した「愛があるかどうかだよ」というシンプルな答えに行き着いたユウ
世界のどこかで起きている事への気持ちと身近な大切な人を想う気持ちは切実さや想いの深刻さや大きさに差はあるかもしれないけど、「想像」して「想いを寄せている」
答えなんてないような悩みを抱えてるアイに共感まではいかないまでも想いを馳せていた自分にとってユウのシンプルな答えに腑に落ちたというか心が軽くなった気がした -
Posted by ブクログ
ネタバレアイに限らず、人は生きる権利・目的・根拠を求めていると思う。望んだか否かにかかわらず、それは強いほど、長続きするほどよい。
血のつながりは生まれてきたのは正当性を担保するため。
震災の渦中に自ら残ったのは、不幸な運命に自分が選ばれたと証明するため。
しかし当事者性を持ったにもかかわらずアイが激しく苦しんだことがある。流産である。
そこでアイは、不幸の当事者でありたいと願うのは傲慢であったと心から理解する。世界中の死者数を数えて苦しみを摂取していた彼女は、たった一つの命が消えたことに絶望した。
さらにアイにとって理解できないことが訪れる。ミナが中絶することを打ち明けた。アイは非常に大きな怒りを覚えることになるが、しかしこれは必ずしも悲劇ではない。
大好きなミナを許せないという感情は、細切れに分析されることなくそのままアイの中に残った。起こったことを細かく分割することなくそのまま感じ取り、受け止める心が育ったのだと思う。
ミナに会いに行く途中、アイは事故で亡くなった、たった一人の子どものために泣いた。確かに存在していた彼の人生を思って。
彼の名はアイラン・クルディ。以前のアイでは死亡者数しか見えていなかったであろう。
幾多の苦しみの末、彼女は感受性に開かれた。
たとえ経験していなくても、海の向こうで死んだ子どもを思って泣くことができる。砂浜の感触を、海の冷たさを、花束の色彩を享受することができる。ミナが子を産む決意を、心から祝福することができる。
今や彼女は、生きる権利を探す必要はない。外に意味を求める必要はなかったのである。世界を見て、喜び、悲しみ、愛でる自分がいる。iの定義によって複素数の世界が開かれるように、アイが感じ取る世界があるから、アイは存在する。 -
Posted by ブクログ
この巻良かった。宗教について不思議に思っていたことの答えが分かった気がする。
自分で自分が信じるものを見つける。
これだと思う。みんな多くの人がその時代、その時代、不安で厳しい生活しかない世界だった。だから、外にすがれるもの、心の拠り所となるものが欲しかったし、必要だったんだ。あとは、今現代より見えないものを信じる気持ちが今よりはるかに純粋だったとも思うし、大きくなってからも親への従順さとかも違っただろうし。そして、自分が信じたものが間違いだったなんて、そうそう信じられないし、自分の信念みたいになってからはそれを手放すのはかなり難しいからね。他人に無理強いさせなかったとしても、ある意味心を囚われると枠外のことやものは見えなくなるし、受け入れ難くなる。
では、宗教とこだわり、との違いはなんだろうか。 -
Posted by ブクログ
ネタバレとても泣いた。
ミキの切ない恋心も、切なさも、家族の温かみも、一の絶望も、お母さん、お父さんの恋と、愛している人への、愛しているが故の反動の憎悪も、
全部全部、自分じゃ受け止めきれず、どうしようもなくて、泣くしかなかった。
サクラだけは誰に対しても平等で、いつもそこにいて、家族でいてくれる。
愛する気持ちや大切に思う気持ち、
愛しさがサクラというちいさなちいさな存在に詰まっている
西加奈子さんの作品は、本当に感情に色を付けてくれて、
読みながらぽかぽかしたり、切なくて悲しくて苦しくて胸がぎゅうっとなったり、
この本と向き合ってるときは自分も薫くんと全く同じ気持ちを味わった。
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