【感想・ネタバレ】舞台のレビュー

あらすじ

29歳の葉太はある目的のためにニューヨークを訪れる。初めての一人旅、初めての海外に、ガイドブックを暗記して臨んだ葉太だったが、滞在初日で盗難に遭い、無一文に。虚栄心と羞恥心に縛られた葉太は、助けを求めることすらできないまま、マンハッタンを彷徨う羽目に……。決死の街歩きを経て、葉太が目にした衝撃的な光景とは――。


太宰治『人間失格』を愛する29歳の葉太。初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられずあくまでも平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に--。命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

メタ認知ってある意味レースから降りる行為で、自分の人生を血が通ったものにするには、一人称視点が必要不可欠だよなぁ
固執していたモノに近づくと見えるあっけなさは、どのジャンルにおいても鮮烈なもので、この舞台ではそういうあっけなさが、仕掛けとして意図的に置かれてるのかなぁって

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2026年01月20日

Posted by ブクログ

妙に刺さって一気読みしてしまった。
読み始めて共感性羞恥の一種なのか、ヴーーーと唸り声をあげそうになった。若い頃ならそのまま本を閉じていたかもしれない…
でも歳をとると言うのは悪いことではないようで、自分は今はもうその痛さの先に居て昔より格段に生きやすくなったな、なんて素直に喜びながら読んだりしていたのだけど。
半分過ぎたあたりから少し様変わりしてきて真顔になっちゃったよね…

自分らしく生きるって結局なんなんだろ。
理想を演じていれば真実になると信じて知らない間にガチガチに固めちゃってた鎧を少しずつ脱いでいくのは途方もなくて勇気のいる作業だけど、柔らかい部分を剥き出しのままでいられるような素直さに憧れているのなら、少しずつ痛みに顔をしかめながらも剥がしていくしかない。
歳をとると麻痺して痛みに気づきにくくなることだし、甘いだけの世界では生きられないことが嫌でもわかってくる。自分を覆う膜の形が、硬くなくても自分を守れるんだと思えるようになる。
自分のまだ知らない広い世界のどこかに、無防備な箇所に触れられても痛みを感じないくらい自分に優しい世界があるんだって信じて剥がしてみてもいいんじゃない?と思った。

自分の生きている世界は舞台なんかじゃなくて、自分はただの誰にも見られていない物語の主人公なんだと思えたなら、その後の人生は最高な気がする。
心は体のおもちゃ。
その意味を吟味して噛み締めながら、ニーチェを少し齧ったりなんかしてまた少し体と心が歳を重ねたらもう一度読みたいと思う。

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2025年12月02日

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西加奈子版の人間失格なのかなと。作中にも太宰の人間失格が登場し、主人公の名前も太宰の人間失格が葉蔵、舞台が葉太。

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2025年07月30日

Posted by ブクログ

虚栄心と自意識にがんじがらめになった主人公、読んだ途端に、わ、私だーーーーーーーー!と思った。
あまりにも自分の思考と主人公の考えが似ていて、するすると文章が入ってきた。(もちろん私の思考は小説のように鮮明では無い。)

誰からどう見られているか、を常に気にして取り繕って演じて、苦しいけどそういう生き方しか知らなかった、無理していると思われる方が嫌だった。
誰も見ていなくても常に余裕のある自分でいたかった。

私は上京してから自意識過剰な部分が減ったと思う。
だからこんなにも共感出来るはずの主人公を俯瞰して見てしまう自分にすごい寂しさを覚えた。
彼の考え方や感じ方、全くおなじものを私も確かに持っていた。
巻末特別対談に「都会に出ると人目を気にしてしまう」的な話があったが個人的な体感は逆で、都会の方が人目を気にせずにいられる。
都会の人間ぶる気は毛頭ないけど、まばたき一瞬で目の前の景色が変わる都会と常に変動し続ける私の精神性はぴったり嵌っていて、もしもの話だけど、私が道の真ん中で大声で叫ぼうが眠ろうが無関心であり続けるだろう街の冷たさに安心感を覚える。
誰も私のことなんて見ちゃいない、そう割り切っていられるのは私のことを見てくれる場所、私の話を聞いてくれる人、が存在してくれているお陰で都会の本当の意味での孤独を知らない私はやっぱり葉太の気持ちを今はもう(まだ)分からない。
未だに初対面の人と話すときに自分を偽って大きく見せてしまうし、そういうときに亡霊こそ見えないけど、もう1人の自分がこちらを見つめながら「嘘つけ」って言ってきているような気がする、相手に自分の浅さ狡さが見抜かれている気がする。

物語後半部のいっそあちら側に行ってしまいたいという衝動にかられる主人公の姿に胸を打たれた。
自分の中の平均の物差しを捨てて人目を気にせず生きたいという欲望。

演じるということは他者への思いやりという文に救われた。
これからも生きる限り演じ続けていく。

自意識過剰な自分に疲れて全てを脱ぎたくなったとき、また読み返したい。
ニューヨーク行ってみたいなあ。

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2025年05月17日

Posted by ブクログ

4.5/5.0

葉太、「人間失格」を愛する29歳男のニューヨーク一人旅。
強烈に周りの目を気にし、自分自身の目を気にし、「はしゃぐ」ことを心から軽蔑する葉太の痛切な苦悩が葉太自身の過去も交えながら語られる。
自分を客観視出来るからこそ、そういった冷静な分析が出来てしまうからこそ感じる自意識に凄く共感する。
そして、これだけ他人や世間を見つめられているのに、自分は特に何も行動を起こせていない葉太の姿にも個人的に凄く重なる部分があった。
西加奈子さんはこういった繊細な人間を描き出すのが本当に上手い。

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2025年04月24日

Posted by ブクログ

強烈な自意識と恥を内側から描いた作品。
相手の感情や期待をオートマティックに感じ取り、多かれ少なかれ応えて(演じて)生きている。
私たちは外側から見る目を磨かざるを得ない。演じる力は生存戦略。
その高すぎるアンテナは亡霊をみせる。
心の襞は豊かさであり、生きづらさそのもの。
狂気のふちで、父に対するわだかまりが解けていく描写は秀逸。

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2024年09月14日

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舞台
著:西 加奈子

初めての海外に選んだのは、亡くなった職業作家の父の思いがこびりついているNY。主人公である29歳の葉太は忌み嫌う亡き父との何かを探し、惹かれるようにその地へ降り立った。

初日からトラブルに巻き込まれる葉太。それどころではないトラブルに巻き込まれ、窮地に追い込まれる中でこそ辿りつける心境もある。葉太の運命やいかに・・・。

太宰治氏の「人間失格」が大好きな著者。物心ついて頃から作家の父親の影響から自宅にある書籍と共に育っている。いさかいのあった父との関係性と自身の存在の葛藤の中で、日本ではなく、父の何かがあるNYで自分探しを行うことになる。

人間のだらしない分やかっこ悪い部分が著者の独特の視点から没入しながら触れることが出来る。葉太のかっこ悪さはどこかで観たかっこ悪さではなく、自分のかっこ悪さを映しだしていることに気づくのは私以外にも多いはず。

心を描くだけではなく、NYの良さも悪さも空気感が感じられる描写はさすが。

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2025年12月07日

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ネタバレ

最後の、自分の気持ちで景色が変わるの一文が、とても、刺さりました。それをこの小説で書いていたのだと、しっくりも来ました。

主人公の葉太が、セントラルパークで、カバンを盗まれたあたりから、読む手が止まらなく、最後まで一気に読みました。

空腹で食べるご飯はやっぱり美味しいよね。

とか、小説を読みながら色々頭を巡らせました。

海外でパスポートを無くした時の手順とか必要な事とかも、なんとなく学べてそれも良かったのかなぁと思いました。

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2025年11月23日

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ネタバレ

主人公の葉太は、物語の演出上誇張されて、本当にダサい男として見えるけど、少なからず自分にも身に覚えがあり、だから読んでいてチクチクしつつ、故に葉太が愛おしく、またどこか懐かしくも感じられました。

ラストシーンで登場してすべて解決してみせた母に対して
「大いなる高みから見たら、自分はなんて、恥知らずな人間だったのだろう。」という一文があって、吹き出しました。
「大いなる高み」の存在。大人になるってそういうことだよな。しみじみ...

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2025年09月25日

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これまで読んだ小説の主人公で一番イライラするかもしれない。人目を気にして、いつも言い訳して、そして痛々しいほどの見栄っ張り。もう腹が立ってしょうがない。でも途中でなんとなく気付く、あれ?これは自分自身じゃないかと。

全て本音を言ってる人間なんていない。全て自然体で生きてる人間なんているわけがない。見栄と虚勢でもいいじゃない。誰もが演技をしながら生きている。人生という舞台で演じている。短い小説ですがいろいろ教えられる物語でした。

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2025年07月14日

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葉太、すごい。
そこまで「いかにも」みたいなこと嫌わなくて良いじゃん!
私はいかにもってことをしたがるタイプだから、そこは葉太とは違うなーと思った。けど、なんの恥ずかしげもなくやってるわけでもなく、俯瞰で見た時に「うわっ恥ずっ!」てなることはめちゃ嫌い。笑
そういう気持ちは誰しも持ってるのかもなぁ

亡霊の意味はなんだろうと思ってたけど、最後意味がわかってスッキリ。
やけに嫌っていた父のことも、結局は認められたいからこそ、だったりする。
こんなに頭でしか考えないことを言語化してる本は初めてでした。

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2025年05月29日

Posted by ブクログ

10年ぶりの再読です。
今作は『自意識』がテーマとなっていて、主人公の葉太がニューヨークでバッグを盗まれることで極限状態に追い込まれ、自身と向き合うというストーリーです。葉太の歪んだ自意識は過剰に膨らみ、それゆえに生きづらさを感じるようになりますが、この苦しみはなかなか他人からは見えるものでなく、理解に苦しむものだと感じました。
他者や物事に対して、考え方や見方を変えればいい話しだけれど、当人にとっては簡単に思考のクセを変えることはできない。ニューヨークという言葉の通じない場所でバッグを盗まれ、極限に追い込まれることで、葉太の自意識という鎧がボロボロに剥がれ落ち、解放されていく感じが良かったです。10年前に読んだときより、更に理解度が高まった気がします。また再読したい作品です。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

うわっ、と思って途中で閉じた。何年かして、ようやく読めた。
主人公と自分が重なって、とても痛くて、だけど気持ちよかった。

私らしさが分からない!好き嫌いも意見も無いようなつまらない人間ですよ、でも器用に当たり障りなく生きてるじゃん。八方美人をしてること、みんなにバレてるの分かってるけど、美人なんだからええやんけ!写真でキメ顔恥ずかしい、でも盛れてないのはもっと嫌。もしかして、不器用なのかな。ほろり。

生まれ持った心と顔と体で生きていくしか無いのだと、だけど私はひとりでは無いのだと、諦めと希望をくれる西加奈子先生が、大好き。

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2025年05月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自意識に悩まされる気持ちはよくわかる
他人によく思われたい、ダサいと思われたくない、ちょうどいい立ち位置にいたいと思う気持ちは口にはしないけど感じたことのある苦い感覚
自分がどうみえているか、本当にしたい事があっても他人の目がきになってできない、思ってもないことを言ってしまう時もある
それを恥じるんじゃなくて、認めてあげて生きていたら楽になれると思った
自分を認めてあげれば他人のことも認めてあげられるのかもしれない

印象的なシーンは父親に調子に乗るなと言われるシーン
あの時の羞恥心たるや、、、

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分を演じることに疲れた若者の話かな。
本文中に、演じることは自己防衛であり他者への配慮でもあるというような文章があったけど、配慮が過ぎると辛くなるよな、とも思う。
主人公は自意識が強すぎて笑えるぐらいだっけど、それは周りの期待に応えすぎた結果なのかもしれないなと思うと、最後に抜け出せて良かった。

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2024年11月21日

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自意識。常にどう見られてるかを気にする描写。他人から見える自分も、そうじゃないと否定するのではなくそのまま受け入れたい、そう感じた。

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2024年10月12日

Posted by ブクログ

太宰治が好きで、自分が他人にどう見られるか常に演じている でも演じることも相手への思いやりでもあるから、それで良いという話。
911の現場で幽霊が見える。それが見つめてくる。生きてる癖に死んだ方が苦しい。でも生きてる悩みは、その人のものでしかない。

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2024年10月08日

Posted by ブクログ

◼️ 西加奈子「舞台」

演じている、は西加奈子ひとつのキーワードかもしれない。

人はニューヨークに何を感じるのだろうか。また、自意識、というのが意外に強いものだというのは年齢を経るに従って分かってきた気がする。突っ走りと関西弁でいわゆるヘンコ。自意識過剰の若者は、NYで何を見つけたのか。

それなりに高名な作家だった父親のことをしゃらくさい、と言って嫌っている葉太。女にはモテるが演技をされると萎えてしまい長続きしない。その父が死に、遺したお金でNYへ一人旅をすることに。セントラル・パークの有名な芝生、シープ・メドウに着き、念願通り寝転がってお気に入り作家の本を広げたとたん、日本語で「まさか」と書かれたTシャツの白人の男に、目の前で財布、パスポート、スーツケースの鍵など一切合切入ったバッグを持ち逃げされる。葉太は追いかけなかったー。

西さんの作品はよく読んでいる。先日読んだ「おまじない」という短編集と、考え方の点で、繋がってるなあと思った。生活の中で「演じる」こと、生きづらさの中で自己肯定、また自己防衛として発する演技など。

葉太は両親、とりわけ父親に対する嫌悪の情をあらわにし、また、行動のいちいちも、周りの観光客をバカにし、虚勢を張るなど神経質。また霊感が強く、ふつうに霊が見えてしまう特異体質。極端なキャラとして描かれている。

性格には、祖父の葬儀で父親に見下された経験、誰かと気持ちをわかち合えないこと、人気者の同級生が修学旅行で財布をなくした事態に情けなさを感じ、自分はああなりたくないと思ったこと、などがトラウマ的に影響している。

よく書くが、人間は瞬時に多量の物事を考えている。独りで行動する時、何かと考えが変な方向に行ってしまい、何やってんだというような効率的でない行動を取ったりする。そういった人間のフツーの?生活の部分、自意識過剰な心の動きをことさら強めて描いている感じだ。頻繁に霊を見る葉太のオチは?と思ったらふむ、なるほど、という消化だった。

巻末の対話式解説で、恵まれた者の、無視されがちな悩みを書きたかった、とある。うむ・・この話は最初から葉太はけっこうな考え過ぎの、変な男、という側面が強く出ているし、家族も少し形がおかしく見えるして、んー、シチュエーション的には揃ってるけど、あまり恵まれている印象はなかったかな。

流れも伏線回収も、よく考えられていて、いつも通りちょっとヘンで、途中から難が降りかかり、もう一度アクセルがふかされ、葉太はピンチに立たされる。そして自己の性格と親との関係に向き合う。

コメディ風味の衣に入った純文学っぽさ、これは最近顕著な西さんのテイストだな、と思っている。今作は興味深かったが、もひとつリズムが合わない面もあったかなと。

乗り切れない理由・・実はワタクシNYとかLAとか・・言われてもアラスカ以外のアメリカには興味がない、ということも影響したかも。まあ知識として入れとく場合には悪くないものなのでフツーに読むけど(╹◡╹)

興味深く、テクニカルな物語ではありました。

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2026年02月22日

Posted by ブクログ

西加奈子さん、初読み。
太宰治『人間失格』に心酔する主人公の葉太は、非常に自意識の肥大した若者。常に周囲の目からどう見られるかを意識して場に、自分に相応しい姿を演じようとする振る舞いには私もよく思い当たるものがあるし、何より私も中学生で出会った『人間失格』に衝撃を受けて「これは自分の話だ」と思った類の人間なんだけれど、葉太へはそこまでの共感がなくて、なんというか自分がもう若者を通り過ぎてしまっていることを再確認させられた気がする。若者として読んでいたら「これは自分のことだ」と感じたんだろうか。

葉太は人間失格の葉蔵的な人間を現代の若者(令和ではなく平成)に落とし込んだ姿とも捉えられるが、酒や薬、そして男女関係に溺れていった葉蔵に対して、ニューヨークへの初海外ひとり旅で陥った窮地の中で葉太の葛藤の源泉が主に父との確執であり続けたという辺りは現代の若者のどのような点が表れているのだろうかという辺りも気になった。他にも『人間失格』との対比に触れだすとキリがないのでこの辺で。

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2026年02月21日

Posted by ブクログ

読んでる最中は、葉太の自意識過剰があまりにも度が過ぎていて感情移入できない部分が多く感じましたが、読み終えて、ふと自分が「これやったら他の人にどう思われるかな」「こうしたら人からよく思われるかも」と考えながら仕事していることに気付かされて驚きました。
この世は『舞台』なのだから、演じて生きるのも悪くない。
同じものを食べても状況によってまずくもうまくもなる。大事なのは自分の心の持ちようだということを忘れないようにしたいと思いました。

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2026年02月20日

Posted by ブクログ

田舎者のくせに都内に行くといかにもここの人間ですよ、歩き慣れてますよ、電車の乗り換え?余裕ですよ感を出しながら振る舞ってる自分には共感できる内容でした。

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2026年02月06日

Posted by ブクログ

あまりおもしろく読めませんでした。主人公が29歳にもなって自意識過剰すぎて幼くてちょっとというかけっこうイライラしました。

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2025年11月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2014年発表の西加奈子氏作品。

あらすじについては、巻末数ページにある広告(他作品紹介ページ?)にあるのが簡潔でよかったので引用したいと思います。

旅の初日に盗難で無一文に! 自意識過剰な青年の馬鹿馬鹿しくも切ない魂のドラマ。

・・・
読後感は複雑でした。

周囲へあわせるとか、空気を読むとか、発言しない相手をおもんぱかるというのは一種の日本の文化でしょうが、それが行き過ぎて苦しむ人がいるのも事実でしょう。

主人公の葉太は、気にしい、というか、自意識過剰の最大級みたいな感じの人。

初の海外旅行にニューヨークを選び、調子にのり、盗難にあう。英語も喋れず、恥もかきたくない、だから白昼堂々盗難にあったけど、そ知らぬふりをして、仕方ないよ、と困り笑いを周囲に振りまく。そしてきっと調子に乗り過ぎた罰だと自らを戒める。

その後も、すぐに大使館に行ったら調子に乗ったアホと思われるのがイヤで日一日とホテルの自室で空腹に耐えつつ、事態を悪化させるみたいな男の子。
ま、最後は助かるんだけど。

読中は、一部はわかるけど、一部はやりすぎだろう、総論賛成・各論反対、気持ち的に乗るに乗れない、みたいな感覚を覚えました。

・・・
巻末に早川真理恵さんという方と筆者の西さんの対談が掲載されていました。

そこで、早川さんは「葉太の気持ちがめっちゃわかる」みたいなことを書いていらっしゃったんですね。メチャクチャ感情移入した、みたいな。

でも私は、逆に「え?あの意識過剰感はむしろ世間の普通なの?」と逆に心配になりました。自分がズレていたのか、と。

まあ私は確かにこらえ性がなくって、若き日は家出もしてしまいましたし、日本での就業時もやはりどん詰まりに詰まって、こうして海外に出て、何とかいま生活ができるようになったポンコツであります。人や周囲に合わせるのは得意ではないです。

葉太のように日本だけにしか住めないという縛りがあったら発狂していたかもしれません。

主人公の葉太のキャラに、気にしいにも程度があるし、なんというか、相談する友人とかいなかったのとか、ちょっと思ってしまいました。もちろん、気にしいに「気にすんなよ」とか言ってもしょうもないことも分かるのですが。

自分の若かりし頃と令和とでは、世情も異なるというのも分かります。が、辛い時は辛いと声を出せばよいし、本当にキツイ時は我慢しても得られることはなかろう、なんなら逃げちゃってもOK、というのが50代のオッサンの感想です。

キツイ時にキツイまんまで耐えてしまう若い子が増えているのでしょうか。

・・・
ということで半年ぶりくらいの西作品でした。

居たたまれないほどの気にしい青年のお話でしたが、自分とはちょっと違い過ぎて、近くに居たら避けちゃうかもとかって思いました。思いもよらない反応をされそうで怖いかも。

世の管理職はこういう若者もリードしなければならない、と思うと、私は窓際で相応だ、そんな人間力これっぽっちもないわ、と納得してしまいました。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

20歳そこそこの若い子が過剰な自意識に振り回されているのかと思いきや、主人公はもう29歳なのですね。
もちろん葉太ほどではないけれど、自分も10代~20代のはじめくらいは、周りからどう見えているか散々気にしていたなと思いだしながら読みました。

お笑い芸人の又吉さんが、西加奈子さんの本が面白いと絶賛されていたので、こちらの本を手に取りました。
ストーリーが自分には刺さらなかったので、次回は代表作を読んでみようと思いました。

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2025年10月03日

Posted by ブクログ

自分を客観視したり、人とのやり取りの妄想は私もよくしてしまうので共感できました。が、イライラもした。
でも、さっくり読めて良かったです。

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2025年04月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

葉太が自分を見つけるための格闘が描かれている。

恥をかくことを恐れ、助けを求めることもできずに極限の生活を強いられ、躁鬱状態となっている姿は痛々しくもあり、どこかで自分と重なる部分もある。

盗まれたのはパスポートや財布だけでなく、自分自身を見失う危機でもあった。そんな中で、彼は父の記憶や自分のアイデンティティについて考え直すことになる。
ニューヨーカー達の中で観光客らしく見られないように振る舞いながらも、繰り返しや自己嫌悪に見舞われる葉太。

葉太がどのようにして「自分」を再発見していくかを通して自己探求と他者との関わりを考えさせられる作品でした。

西加奈子さんの作品は2回目だけど、前回同様なかなか主人公を好きになれず……

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2025年02月28日

Posted by ブクログ

後半の疾走感、スピード感はとても心地よかった。
西さんの他の作品ほど感情が入らず、フワフワしたまま読み終わってしまった。

恥とか苦しみを捨て去って生まれ変わるんじゃなくて、それらを己の中に認めてあげて、共に生きていくってのが西さんらしい。

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2025年02月02日

Posted by ブクログ

ニューヨーク旅行で盗難に遭うも、周囲の視線が気になって助けを呼べず、無一文に陥る青年。自意識過剰。自分にも当てはまるなーと暫し反省したが、まあ、バランス良く生きて行こう、と思い直して割り切る。

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2024年11月10日

Posted by ブクログ

あとがきも合わせて読むべき一冊。
中身は研ぎ澄まさなければ感じられない、さらりと読むだけでは腹落ちできないような内容なのに、最初と最後の分かりやすさが優しいと感じた。分かる人だけ分かればいい、ではなくきちんと提示してくれているような感じを受けた。

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2026年02月04日

Posted by ブクログ

自分がニューヨークに行ったら、この主人公みたいな経験をするのではないかなと錯覚した。

そもそも自分一人で旅はできないけど。

絶体絶命の時に、自分なら冷静に対応できないと想像するけど、実際にそうなったら、第三者のような思考になって、逆に主人公みたいな行動ができるのかな?


最初はそんな呑気なことを思いながら読んでいたけど、この著者はそういうことを伝えたかったのではないと読み進めていくと、わかった。

舞台というタイトル通り、人生の中において、様々な出来事の主人公が自分であって、感情は自分の中から生まれてる。
それは誰かに見せるものではないが、誰かに見られてもいいように感情をコントロールしてるってこともあるんだと気付かされた。
自分という役を演じてる。
私に置き換えても、共感でき、納得した。

誰にみられてもいいように、、、
私もちゃんと自分を見つめて、人生が終わった時に、素敵なストーリーとなるような人生にこれからしたいと思う。

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2026年02月12日

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