【感想・ネタバレ】舞台のレビュー

あらすじ

29歳の葉太はある目的のためにニューヨークを訪れる。初めての一人旅、初めての海外に、ガイドブックを暗記して臨んだ葉太だったが、滞在初日で盗難に遭い、無一文に。虚栄心と羞恥心に縛られた葉太は、助けを求めることすらできないまま、マンハッタンを彷徨う羽目に……。決死の街歩きを経て、葉太が目にした衝撃的な光景とは――。


太宰治『人間失格』を愛する29歳の葉太。初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられずあくまでも平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に--。命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最後の、自分の気持ちで景色が変わるの一文が、とても、刺さりました。それをこの小説で書いていたのだと、しっくりも来ました。

主人公の葉太が、セントラルパークで、カバンを盗まれたあたりから、読む手が止まらなく、最後まで一気に読みました。

空腹で食べるご飯はやっぱり美味しいよね。

とか、小説を読みながら色々頭を巡らせました。

海外でパスポートを無くした時の手順とか必要な事とかも、なんとなく学べてそれも良かったのかなぁと思いました。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公の葉太は、物語の演出上誇張されて、本当にダサい男として見えるけど、少なからず自分にも身に覚えがあり、だから読んでいてチクチクしつつ、故に葉太が愛おしく、またどこか懐かしくも感じられました。

ラストシーンで登場してすべて解決してみせた母に対して
「大いなる高みから見たら、自分はなんて、恥知らずな人間だったのだろう。」という一文があって、吹き出しました。
「大いなる高み」の存在。大人になるってそういうことだよな。しみじみ...

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自意識に悩まされる気持ちはよくわかる
他人によく思われたい、ダサいと思われたくない、ちょうどいい立ち位置にいたいと思う気持ちは口にはしないけど感じたことのある苦い感覚
自分がどうみえているか、本当にしたい事があっても他人の目がきになってできない、思ってもないことを言ってしまう時もある
それを恥じるんじゃなくて、認めてあげて生きていたら楽になれると思った
自分を認めてあげれば他人のことも認めてあげられるのかもしれない

印象的なシーンは父親に調子に乗るなと言われるシーン
あの時の羞恥心たるや、、、

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2025年02月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分を演じることに疲れた若者の話かな。
本文中に、演じることは自己防衛であり他者への配慮でもあるというような文章があったけど、配慮が過ぎると辛くなるよな、とも思う。
主人公は自意識が強すぎて笑えるぐらいだっけど、それは周りの期待に応えすぎた結果なのかもしれないなと思うと、最後に抜け出せて良かった。

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2024年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公のあまりの極端さに笑ってしまうところもあったけど、共感点が多かった

葉太の小説に対する気持ち
自分のことを分かってくれる誰かがいる、というより自分と同じようなことを考えている人がいる!という気持ち
葉太が葉蔵に感じるように、共通点から親近感で主人公へ心を許していくあまり、自分がとらない言動をとられると裏切られたような気持ちになるの、わかる

陰鬱な過去の出来事を思い出したときに「そのとき」に纏わる一連をすべて思い出さないと終わらないなどは、わかりすぎてつらい

誰のために演じてるのか、誰も見ていないところで
自分の過去の失敗を思い出してつらくなって恥ずかしすぎて消えたくなること、どうせ誰も思い出さないのに
たいした事じゃないのに
そんなことをよく思うので、俺は一生この苦しみと付き合わなければいけない、という葉太の思いがすっぽりきた

自分も消しゴムひとつ忘れたくても前日からカバンに入れるタイプ、どんなに大胆になりたくてもできない、細かいことが気になって、だから、強い自分、平気な顔してる自分、楽しそうに振る舞ってる自分、演じてることあるなぁって苦しくなる
もういくら演じても小さい自分の本質はもう変わらないってわかってるのに

演技のなかに
「他者への配慮があるのではないだろうか」
ここに少し救われた

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2023年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2014年発表の西加奈子氏作品。

あらすじについては、巻末数ページにある広告(他作品紹介ページ?)にあるのが簡潔でよかったので引用したいと思います。

旅の初日に盗難で無一文に! 自意識過剰な青年の馬鹿馬鹿しくも切ない魂のドラマ。

・・・
読後感は複雑でした。

周囲へあわせるとか、空気を読むとか、発言しない相手をおもんぱかるというのは一種の日本の文化でしょうが、それが行き過ぎて苦しむ人がいるのも事実でしょう。

主人公の葉太は、気にしい、というか、自意識過剰の最大級みたいな感じの人。

初の海外旅行にニューヨークを選び、調子にのり、盗難にあう。英語も喋れず、恥もかきたくない、だから白昼堂々盗難にあったけど、そ知らぬふりをして、仕方ないよ、と困り笑いを周囲に振りまく。そしてきっと調子に乗り過ぎた罰だと自らを戒める。

その後も、すぐに大使館に行ったら調子に乗ったアホと思われるのがイヤで日一日とホテルの自室で空腹に耐えつつ、事態を悪化させるみたいな男の子。
ま、最後は助かるんだけど。

読中は、一部はわかるけど、一部はやりすぎだろう、総論賛成・各論反対、気持ち的に乗るに乗れない、みたいな感覚を覚えました。

・・・
巻末に早川真理恵さんという方と筆者の西さんの対談が掲載されていました。

そこで、早川さんは「葉太の気持ちがめっちゃわかる」みたいなことを書いていらっしゃったんですね。メチャクチャ感情移入した、みたいな。

でも私は、逆に「え?あの意識過剰感はむしろ世間の普通なの?」と逆に心配になりました。自分がズレていたのか、と。

まあ私は確かにこらえ性がなくって、若き日は家出もしてしまいましたし、日本での就業時もやはりどん詰まりに詰まって、こうして海外に出て、何とかいま生活ができるようになったポンコツであります。人や周囲に合わせるのは得意ではないです。

葉太のように日本だけにしか住めないという縛りがあったら発狂していたかもしれません。

主人公の葉太のキャラに、気にしいにも程度があるし、なんというか、相談する友人とかいなかったのとか、ちょっと思ってしまいました。もちろん、気にしいに「気にすんなよ」とか言ってもしょうもないことも分かるのですが。

自分の若かりし頃と令和とでは、世情も異なるというのも分かります。が、辛い時は辛いと声を出せばよいし、本当にキツイ時は我慢しても得られることはなかろう、なんなら逃げちゃってもOK、というのが50代のオッサンの感想です。

キツイ時にキツイまんまで耐えてしまう若い子が増えているのでしょうか。

・・・
ということで半年ぶりくらいの西作品でした。

居たたまれないほどの気にしい青年のお話でしたが、自分とはちょっと違い過ぎて、近くに居たら避けちゃうかもとかって思いました。思いもよらない反応をされそうで怖いかも。

世の管理職はこういう若者もリードしなければならない、と思うと、私は窓際で相応だ、そんな人間力これっぽっちもないわ、と納得してしまいました。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

葉太が自分を見つけるための格闘が描かれている。

恥をかくことを恐れ、助けを求めることもできずに極限の生活を強いられ、躁鬱状態となっている姿は痛々しくもあり、どこかで自分と重なる部分もある。

盗まれたのはパスポートや財布だけでなく、自分自身を見失う危機でもあった。そんな中で、彼は父の記憶や自分のアイデンティティについて考え直すことになる。
ニューヨーカー達の中で観光客らしく見られないように振る舞いながらも、繰り返しや自己嫌悪に見舞われる葉太。

葉太がどのようにして「自分」を再発見していくかを通して自己探求と他者との関わりを考えさせられる作品でした。

西加奈子さんの作品は2回目だけど、前回同様なかなか主人公を好きになれず……

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2025年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ
頭では分かっていても
苦しみは個別的なもの。

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
29歳の葉太はある目的のためにニューヨークを訪れる。初めての一人旅、初めての海外に、ガイドブックを暗記して臨んだ葉太だったが、滞在初日で盗難に遭い、無一文に。虚栄心と羞恥心に縛られた葉太は、助けを求めることすらできないまま、マンハッタンを彷徨う羽目に……。決死の街歩きを経て、葉太が目にした衝撃的な光景とは――。


太宰治『人間失格』を愛する29歳の葉太。初めての海外、ガイドブックを丸暗記してニューヨーク旅行に臨むが、初日の盗難で無一文になる。間抜けと哀れまれることに耐えられずあくまでも平然と振る舞おうとしたことで、旅は一日4ドルの極限生活に--。命がけで「自分」を獲得してゆく青年の格闘が胸を打つ傑作長編!

⚫︎感想
「テンション上がってる奴、恥ずかしい」のような、
いろいろな「恥ずかしいこと」があるが、葉太はそれっぽっちの恥を恥と思っている自分がまた恥ずかしくて、自分を客観視してしまい、そのこと自体をまた恥ずかしいとも思っている。恥ずかしいのメタ構造が内部にある。なりたい自分になり、全力でそれを貫いた父への想像をもう一段階深め、葉太は自分の苦しみは、ちっぽけだろうがつまらないものだろうが自分だけのもので、それを噛み締めていこうと自分を受け入れる。
肩の力が抜けた葉太は、これから魅力的になるだろうなと思った。
私も若い時は本当に恥ずかしいと思うことが多くて、今になってみると、勝手に硬い殻に閉じこもって、いろんなチャンス逃しただろうなと少し後悔はあるけど、それが「青い春」ということかなぁと、勝手にいいように解釈している。

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2023年11月23日

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