歴史・時代 - 文藝春秋作品一覧

  • 卜伝飄々
    4.0
    晩年の塚原卜伝の心境を描く新感覚剣豪小説 戦国時代に生きた伝説の剣豪、塚原卜伝。 十三代将軍・足利義輝など、名だたる剣豪を弟子に持ち、諸国を放浪したとされる卜伝だが、老境へと差し掛かり、男の煩悩と生への執着に囚われた人間が、いかにして人生を過ごしていくのか、その術を得る過程を、彼と関わった人物を通して描くペーソスとユーモアにあふれた時代小説。 剣豪は、やがて剣を使わぬ境地へとたどり着いた…。無敗の男・卜伝の伝説はいかに作られたのか。「耳袋秘帖」の著者が描く剣豪小説。
  • まったなし
    3.8
    俳優・福士誠治さんも絶賛! 大好評「まんまこと」シリーズ第5弾! 妻を亡くした悲しみが癒えぬ町名主の跡取り・麻之助、 養子に入った家に年の離れた許婚のいる堅物の吉五郎、 そして彼らを親友と考えている金貸し丸三とその妾のお虎。 いずれも色男・清十郎に運命の人が現れることを願っているが、様々な障害や思わぬ事件に巻きこまれ……。 解説・福士誠治 ※この電子書籍は2015年6月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 松井石根と南京事件の真実
    4.3
    “大虐殺の首謀者”として裁かれた軍人は中国を深く愛していた。ついに明らかになる南京戦の全貌──。 折り重なる屍体。過酷な戦場の現実。押し寄せる日本軍に中国軍司令官は逃亡する。軍律に厳しい松井と血気にはやる師団長の確執。中国便衣兵の無法と日本兵の混乱……。その時、南京城内で何が起きたのか?  南京事件の罪を問われ東京裁判で処刑された松井石根を、中国人は今も「日本のヒトラー」と呼ぶ。著者はこの悲運の将軍の生涯を追いながら、いまだ昭和史のタブーとされる事件全貌の解明に挑む。 【目次より】 第1章 日中友好論者への道 第2章 大亜細亜協会の台頭 第3章 上海戦 第4章 南京戦 第5章 占領後の南京 第6章 興亜観音 第7章 東京裁判 最終章 歿後
  • 松本清張への召集令状
    4.7
    昭和18年の秋、家族六人を支える中年の版下職人、松本清張のもとへ突然の召集令状がきた。34歳にして戦場へ送られた体験がこの作家の根底に残した深い傷へ、担当編集者だった著者が迫る。
  • まとい大名
    3.8
    江戸の街を駆け、火と闘った男たちがいた。 おとっつあんは、みんなのために命を懸けて火事を退治しに行くんだ――。おのれの命とひきかえに町を守った深川・南組三之組の火消し頭徳太郎。幼いときからその背中を見て育った息子の銑太郎は、やがて一人前の火消しへと成長していく。炎の恐怖と闘い、火消しに体を張る男たちの誇り高い姿を描いた、山本一力の真骨頂。
  • 学びなおし太平洋戦争 1 徹底検証「真珠湾作戦」
    -
    ビジネスマンから受験生まで! 昭和史研究の第一人者による唯一&最新の太平洋戦争全史。昭和16年12月8日の真珠湾攻撃から昭和20年8月15日の終戦まで、快哉と苦渋と辛苦の激闘の戦史を克明に描き出すシリーズ全4巻。第1巻は山本五十六連合艦隊司令長官の秘策が的中した緒戦から南方作戦での快進撃までを収録。巻末のみならず各章ごとに監修者・半藤一利氏の解説付き。総ルビ表記で、大人から子供まで楽しめます!
  • まぼろしの女 蛇目の佐吉捕り物帖
    3.8
    本格ミステリ×捕物帖! 大胆トリックの意欲作 本所一帯を縄張りに、十手を預かる若い岡っ引きの佐吉。 「相生町の親分」と呼ばれた亡き父の人徳で、周囲の人々に顔を立ててもらってはいるが、いまだ自分の生業に自信が持てずにいる。 ある朝、大川で若い女の死体があがった。裸に剥かれ、真新しいあざと傷だらけ。顔は腫れあがり髪まで剃られているという惨たらしい有様だった。 佐吉はさっそく女の身元を調べ始めるが、いくら聞きまわっても杳として知れない。 下手人は誰か。それ以前に、殺された女はいったい誰なのか? 町医者の秋高とタッグを組み、突き止めた事件の真相とは―― 新婚早々に殺された妻と消えた夫。 死体のそばに二十四文銭を残す辻斬り。 寿命が尽きる寸前に殺された男…… 男たちの意地。女たちの覚悟。執念と因縁が渦を巻く。 江戸を舞台に仕掛ける大胆不敵なトリック。 著者渾身の時代物本格ミステリ連作集。
  • 初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記
    3.2
    断ち切れぬ相手への想い。繋がる縁もわかれ縁も―― 人情時代小説の名手が描く江戸の離婚模様 〈離婚調停のスペシャリスト〉たちが営む公事宿、狸穴屋。 自らも亭主に三下り半を突きつけた絵乃が立ち向かう次なる難題は――? ◎収録作品 祭りぎらい…浅草三社祭りが離縁の種に!? 三見の三義人…200年前、質に入れられたのは「海」だった 身代わり…訴えられたのはなんと、評定所のお偉方 夏椿…離縁を承知しない夫に嗅がせた妙薬とは? 初瀬屋の客…公事師の娘の頼みは、「客の後をつける」こと 証しの騙し絵…30年前に別れた夫が町へ戻ってきたらしい。狙いは?
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記
    4.2
    シリーズ化も決定! 西條奈加の〈ど真ん中〉傑作人情時代小説 「もう、嫌だ!」定職にもつかず浮気と借金を繰り返す亭主の元を飛び出した絵乃は、ひょんなことから離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代見習いとなる。そこに舞い込んでくるのは、いずれも家族の“情”がこじれた難題ばかり。果たして絵乃は一人前の公事師となり、自身の離縁も成し遂げられるか!? 解説・大矢博子 ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 繭と絆 富岡製糸場ものがたり
    3.0
    世界遺産・富岡製糸場の誕生秘話が満載! 初代工場長・尾高惇忠と娘・勇の感動の物語。 明治3年春、渋沢栄一の義兄、尾高惇忠は渋沢に富岡製糸場の初代工場長に就任するよう懇願された。 3年前に飯能戦争で官軍と戦い、弟を亡くしていた尾高だが、官営工場の必要性を痛感していたため、葛藤を乗り越えて工場長を拝命する。 だが、悪徳業者たちが質の悪い噂を流したため、肝心の女工が集まらない尾高は婚約が整ったばかりだった娘・勇を、女工第一号として製糸場へ連れて行く決意をする――。 明治の日本を支えた基幹産業・製糸業を隆盛へ導いた富岡製糸場の誕生には、彰義隊に集まった旧幕臣たちが深く関わっていた。 歴史の襞に埋もれた父娘の物語を掘り起こした傑作時代小説。 解説・田牧大和
  • マルガリータ
    4.0
    第17回松本清張賞に輝いた本作の主人公は、戦国末期、天正遣欧少年使節団の1人としてローマに派遣された千々石ミゲル。8年後、帰国した彼らを待ち受けていたのはキリスト教の禁教と厳しい弾圧。信仰に殉じた他の3人に対し、ミゲルは棄教という選択をする。なぜ彼は信仰を捨て、生き抜こうとしたのか? その生涯をミゲルの妻、珠の視点から描く。「物語を押しすすめる筆力は素晴らしいものがあるし、後半に四人の使者が交わす会話などは作者の熱気が伝わってきた。生身の人間が見えた気がした」(伊集院静氏の松本賞選評より)。新人離れした練達の筆が冴える、傑作歴史小説。
  • ああうれしい
    3.7
    大好評「まんまこと」シリーズ、ついに第10弾! 子が生まれ、張り切る新米父の麻之助だが、相談事は待ってくれない。 悪友に妻たちまで巻き込み、 時に怠けながら、今日も果敢に揉め事を捌く! (※よく叱られます) * * * 〈あらすじ〉 「ふじのはな」 高利貸しの婚礼話。めでたい席の前に各所が荒れ模様に―― 「おとうと」 “町名主見習い”の義弟を手伝う麻之助は猫探しを相談されて 「ああうれしい」 “ああ嬉しい”と思わせて欲しい――って、それ町名主の仕事!? 「縁談色々」 縁談の相手探しを次々頼まれる麻之助。ふと見つけた妙案とは 「むねのうち」 与力の屋敷の台所で高価なかんざしが消えた。盗人はどこに? 「だいじなこと」 友人の家で病に倒れた麻之助は“何か”を忘れてしまった気が……
  • いわいごと
    3.9
    麻之助、ついに後妻をとる――!? 江戸町名主のお気楽者の跡取り息子・高橋麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・八木清十郎、堅物の同心・相馬吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、好評連作短篇シリーズ「まんまこと」第8弾。 かつて恋女房を亡くした麻之助。 彼のもとに、縁談が3つもやってきた! しかも、ひとりは江戸一と謳われる美人。そして、どの縁談も妙なところがあるようで……。 麻之助たちは、なぜ不思議な縁談ばかり集まったのか調べることに。 果たして、麻之助の縁談の行方は……。  他にも、相馬家が吟味方与力に昇進したり、高橋家の支配町が増えたりと、今回も麻之助たちは大忙し! 急展開の第8巻。 文庫解説・大矢博子 ※この電子書籍は2021年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • まんまこと
    4.0
    ふうわり心が温まる畠中恵ワールド。ドラマ化もされた大人気「まんまこと」シリーズ第1弾! 江戸は神田、玄関で揉め事の裁定をする町名主の跡取りに生まれた麻之助。このお気楽ものが、町の難問奇問に立ち向かう。 ある日、女好きの悪友・清十郎が「念者のふりをしてくれ」と言ってきた。嫁入り前の娘にできた子供の父親にされそうだという。本当の父親は一体誰なのか!? 「まんまこと(=真真事・ほんとうのこと)」を麻之助が解き明かす短編連作シリーズ。 解説・吉田伸子 ※この電子書籍は2007年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 弥陀の橋は 上
    -
    凡夫往生とは? 己にとらわれる心とは? 開祖・親鸞聖人の教義の源流に、熱心な門徒である著者がせまる。 幼い頃から念仏三昧に過ごしてきた二九歳の範宴は、念仏聖・法然の庵室を訪ねる。教団を組織せず、無学の人々に仏の本願を説き続けた親鸞の、生涯の師との出会いである。 その後、愛妻・恵心尼を得、配流の身で地下(じげ)の民に交わる親鸞は、飢饉や戦乱にあえぐ庶民や武士たちが心の支えを求めていることを知り、関東へと旅立つ。
  • 道連れ彦輔
    3.0
    なりは素浪人だが、歴とした御家人の三男坊。権威や忠義が大嫌い、自分より弱い者には滅法強く、強い者には近づかない鹿角彦輔(かづのひこすけ)。そんな彦輔に道連れの仕事を見つけてくる藤八、蹴鞠上手のけちな金貸し・鞠婆など、個性豊かな面々が江戸を舞台に大活躍。コメディとシリアスが絶妙に合わさった傑作時代小説!
  • みちのく忠臣蔵
    4.0
    お江戸日本橋で、元盛岡藩士が切腹した。そこには長年にわたって確執のある弘前藩を弾劾する高札が掲げてあった! 直参旗本ながら無役の神木家嫡男、光一郎と、剣の達人である村越重吾は、元鳥取藩主・松平冠山の依頼で、蝦夷地に関係する事件を調べるうちに、弘前藩と盛岡藩の争いに巻き込まれてしまう。その争いの中心には、かつて光一郎と重吾と厚い親交を結んだ盛岡藩士・相馬大作の姿があった。 主君の恥辱をそそぐべく弘前藩主の命を狙う大作。主君への忠、武士としての義が生んだ結末とは。 「みちのく忠臣蔵」と呼ばれた史実をもとに、ミステリータッチで描かれた壮大なドラマ。
  • ミッドウェイの刺客
    3.3
    戦史に燦然と輝く潜水艦・伊168の戦いを完全小説化! 〈潜水艦ものに外れなし〉を実証する、傑作戦争サスペンス 昭和17年6月、ミッドウェイ海戦。 日本の機動部隊が空母4隻を失う大敗を喫するなか、空母・飛龍の航空部隊の奮戦により米空母・ヨークタウンを大破させた。 索敵の任に当たっていた潜水艦・伊168は、新たに「ヨークタウンを撃沈せよ」との指令を受ける。 伊168は巨大な獲物を目指して追跡を始めるが、大破したヨークタウンは7隻もの駆逐艦に守られていた。 田辺彌八艦長以下伊168の乗組員たちは、不可能な作戦を可能とすべく、一丸となって息詰まる神経戦に立ち向かう! 史実をベースに、太平洋戦史に燦然と輝く「たった一隻の戦い」を描ききった、戦争サスペンスの傑作。 解説・戸高一成
  • ミッドウェー戦記
    -
    太平洋戦争の帰趨をきめたミッドウェー海戦。日米機動部隊の激突を前に索敵の利根四号機が打った一本の無電「敵ラシキモノ十隻見ユ……」。自身、海軍中尉として撃墜され米国の捕虜収容所での経験を持つ筆者が、そこに収容されていた「飛竜」乗組員の話をきっかけに、戦後多くの生存者に会い、日米両軍の資料にもとづいて、海戦の勝敗をわけた戦況をつぶさに描く。通説とされてきた「運命の五分間」をくつがえす新しい鍵を明らかにする、著者会心の長篇記録文学。
  • 南十字星の戦場
    -
    昭和18年4月、海軍中尉だった著者はソロモンの海に墜ちて米軍の捕虜となり、禁断の時を生きた。それから30年後、ガダルカナル、ラバウルなど当時の激戦地と捕虜収容所のあったニューカレドニアを再訪してつづった戦友たちへの鎮魂の賦。ソロモンに散華した兵士たちよ! 海上に浮かぶ無数の断雲と、燦然たる南十字星こそ、彼らの墓標にふさわしい……。表題作に加えて、漂流と捕虜収容所での生活を描いた処女作『ニューカレドニア』も収録する。
  • 壬生義士伝(上)
    4.5
    小雪が舞う一月の夜更け、大坂・南部藩蔵屋敷に、傷だらけの侍がたどり着いた。貧しさゆえ南部藩を脱藩し、壬生浪(みぶろ)と蔑称された新選組の隊士になった、吉村貫一郎であった。その剣の冴えは“人斬り貫一”と京の都で恐れられ、一方、極度の倹約のため守銭奴と蔑まれた男には、まったく異なる貌もあった。元新選組隊士や教え子たちが語る非業の隊士の生涯から、血なまぐさい時代にひとすじに生きた「誠」の人生が浮びあがる。03年映画公開。浅田次郎、渾身の名作!
  • 耳袋秘帖 赤鬼奉行根岸肥前
    4.0
    若い頃、肩に赤鬼の刺青を彫る無頼をしながら、62歳で南町奉行まで昇り詰めた名奉行・根岸肥前守鎮衛(ねぎしひぜんのかみやすもり)。「大耳」の綽名を持つ彼が奇譚を記した随筆『耳袋』には、誰にも見せないもう1つの秘帖版『耳袋』があった。物を言う猫、続けて人が死ぬ井戸……根岸が同心の栗田、家来の坂巻とともに江戸の怪異を解き明かす「殺人事件」シリーズ第1弾!
  • 耳袋秘帖 浅草妖刀殺人事件
    4.2
    刀屋ばかりを狙う盗人「おたすけ兄弟」が、近所の神社に金を隠すのを見た町奉行所の中間・与之吉は、娘の薬代にとこれを奪うが、やがて兄弟に嗅ぎつけられ、身の回りに危険が迫る。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第3弾。坂巻が、初めて江戸見物をした日を描いた書き下ろし短編「ずぼんぼ」を特別収録。
  • 耳袋秘帖 麻布暗闇坂殺人事件
    4.0
    坂の町・麻布──昼もなお暗き暗闇坂で大八車が暴走し、若い娘が亡くなった。やがて、麻布七不思議・お化け椿の下に怪しい影があらわれて……。坂の上の富豪たちを坂の下の貧しき者が見上げた時、悲しき怨嗟が凶悪犯罪を呼び寄せる! 事件の鍵を握るのは降霊術の女か? 江戸版「天国と地獄」! 勘定組頭時代の根岸肥前が消えた年貢の謎を解く「宮仕え」を新収録。殺人事件シリーズ第8弾。
  • 耳袋秘帖 王子狐火殺人事件
    3.7
    玉子焼きで名高い料亭、王子の扇屋で祝言をあげる直前の花嫁が失踪。しばらくして装束(しょうぞく)榎のそばで、狐面をつけて花嫁衣装を着て死んでいる、別の若い女が見つかる。江戸の各地でも次々に狐面の女の死体が──。「稲荷の巫女は嫁には行けぬ 王子の狐が殺しに行くぞ はま」という奇怪な絵馬は何を意味するのか? 栗田と坂巻の名コンビが帰ってきた! 南町奉行・根岸肥前守の勘が冴えわたる「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第11弾。
  • 耳袋秘帖 神楽坂迷い道殺人事件
    4.0
    七福神めぐりが流行る神楽坂で、寿老人役の爺さんが石像に頭をつぶされて亡くなった。近所ではずいぶん嫌われ者の老人だったのだが……。一方、奉行所が10年来追い続ける大泥棒・品川左衛門が久々に姿を現す。贋の恵比寿天から弁財天の口吸いまで、不可思議な事件が相次ぐ。根岸肥前が過ごした不思議な一夜「虫一匹」(書き下ろし余話)を新収録。殺人事件シリーズ第10弾。
  • 耳袋秘帖 紀尾井坂版元殺人事件
    4.0
    耳袋を勝手に刊行しようとしていた版元が白昼店で殺され、版木が盗まれてしまう。月番の北町奉行は、評定所でなんと根岸が黒幕だと言い放つ。根岸の身辺に捜査の網が……。時をおかず、彫り師が刺される事件も起こり、ますます根岸への疑惑が深まってしまう。南町奉行所も困惑し、周囲の者たちへの動揺も広がっていく。果たして、根岸が迎えた最大の危機を乗り越えることは出来るのか!?
  • 耳袋秘帖 木場豪商殺人事件
    3.7
    強引な商法で、ここ数年急激にのし上がった木場の材木問屋“日野屋”。辣腕で鳴らすこの豪商がつくった複雑怪奇な「からくり屋敷」で、人が死んだ──。美しき手妻師、負け知らずの怪力女、“蘇生した”寺侍らが入り乱れ、あやかしの難事件が幕を開ける! 江戸の「大耳」こと、根岸肥前が活躍する「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第14弾。文春文庫オリジナルの書き下ろし時代小説。
  • 耳袋秘帖 銀座恋一筋殺人事件
    4.0
    岡っ引きの辰五郎が銀座の駕籠屋に聞いた奇ッ怪な話。人を半分にして運べる駕籠の注文があったという。一方で紀伊国橋と鉄砲洲には謎の怪物「いくじ」が現れた。正体不明の悪党・暁星右衛門と豪商・淀屋月右衛門の関係も見え始め、品川、目黒と続いた「恋の殺人」はついにクライマックスに突入する。ますます絶好調の殺人事件シリーズ第20弾!
  • 耳袋秘帖 蔵前姑獲鳥殺人事件
    4.0
    浅草で雷を捕まえようとする大工の若い衆。深夜に突如炎上した有名な榧の木。浅草界隈の摩訶不思議な出来事が南町奉行の根岸たちの首をひねらせる。そんな中蔵前で悪名を馳せていた札差が殺されるのだが、疑わしい者が多すぎて、捜査は難航する。近所の評判の良い札差の店に妖しが出るとの噂が根岸の耳に入ってきて……。文庫書き下ろし。
  • 耳袋秘帖 小石川貧乏神殺人事件
    3.3
    年明け早々、小石川で一家心中が発生したらしい。どうも江戸でもこの界隈に夜逃げや倒産などことさら不景気の風が吹いているようだ。牛天神に祀られていた貧乏神が怒っている。奉行の根岸は配下の宮尾にこの一件の探索を命じた。宮尾の調べが進むにつれ、他にも不可解な出来事がいろいろと起こっているようで……。
  • 耳袋秘帖 品川恋模様殺人事件
    3.5
    ここは、人も猫も幽霊も恋に落ちる場所―― 品川の〈恋祓い神社〉で、若い女が燃えて亡くなった。死体は十三年前に亡くなったはずの遊女!? 稀代の難事件に根岸肥前守が挑む!
  • 耳袋秘帖 白金南蛮娘殺人事件
    3.4
    渋谷の南、白金あたりで立て続けに、裕福な家の若い娘四人が行方知れずとなった。およそ半月ほど前の話だという。この一件が奉行所には届いていないことに不審を覚えた南町奉行・根岸は探索を命じた。同じ頃、江戸の街のそこかしこで、紅髪碧眼の大柄な娘が目撃された。人を探しているようであったというのだが……。無関係に思えた二つの事件だったが、やがて一つとなっていく。果たしてその真相は?
  • 耳袋秘帖 新宿魔族殺人事件
    4.3
    宿場町の内藤新宿で、やくざが次々に殺害された。大石田一家率いるブケの千蔵と、大橋本一家の陣五郎親分の抗争のさなか浮かび上がってきた、忍びの者の影──「ふまのもの」とは、いったい何者なのか? 荒ぶるやくざ者たちを恐慌に陥れた連続殺人事件に、根岸肥前がシリーズ最大の大捕物で挑む! 佐渡奉行時代の根岸が金塊の密輸事件の謎を解く、短編「黄金の海」を新たに収録。殺人事件シリーズ第7弾。
  • 耳袋秘帖 佃島渡し船殺人事件
    4.0
    年の瀬の佃島で、渡し船が突如突っ込んで来た正体不明の船に当て逃げされ転覆。四人が死んだ。だが、死んだ船頭以外の三人の遺体には刺し傷が見つかる。やがて、出航直前に別の船に乗るよう声をかけられた娘がいたとの証言も出て、事件の謎はさらに広がる。乗り合わせた客たちの意外な過去とは? 絶好調『耳袋秘帖』殺人事件シリーズ第12弾。
  • 耳袋秘帖 日本橋時の鐘殺人事件
    4.0
    日本橋本石町にある旅籠「長崎屋」で、腹を竹槍で無残に抉られた酉右衛門の死体が見つかった。隣りには、江戸の市中に時刻を知らせる「時の鐘」があり、その鐘撞き堂で、鐘を撞いていた撞き師の孫六が死んだ酉右衛門を恨んでいたと分かり……。南町奉行根岸肥前が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第13弾。文春文庫オリジナルの書き下ろし時代小説。
  • 耳袋秘帖 人形町夕暮殺人事件
    4.5
    人形屋の清兵衛が胸に杭を打ちこまれて死んでいた。現場に残されていたのは、首に赤い紐が巻かれた五寸の「ひとがた」。神社の境内で亡くなった若い娘からも奇妙な「人形」が発見されて……。殺人を暗示する人形と3つの死という、シリーズ最難関の謎に根岸肥前が挑む! しめ婆さんが活躍する書き下ろし余話「気に入らない幽霊」を新収録した、殺人事件シリーズ第9弾。
  • 耳袋秘帖 八丁堀同心殺人事件
    3.4
    与力同心組屋敷がある八丁堀で、立て続けに、同心が殺された。地元・八丁堀での同心殺しは、威信にかかわると、北町奉行の小田切は気が気でない。だが、白昼堂々、次なる同心殺しが起き……。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第2弾。若き日の根岸を描いた、書き下ろし短編「河童の銭」を特別収録。
  • 耳袋秘帖 馬喰町妖獣殺人事件
    4.0
    訴訟でやってくる者たちが泊まる<公事宿>のひしめく日本橋馬喰町。お裁きがまさに始まろうとしたお白洲で、獣に食いつかれたような傷を残して公事師が突然死んだ。“マミ”と呼ばれる獣、卵を産んだ女房、三日月井戸……馬喰町七不思議のなかに隠された巨大な悪事に根岸肥前守が挑む、大人気殺人事件シリーズ第16弾!
  • 耳袋秘帖 深川芸者殺人事件
    3.8
    秋の月夜に、深川きっての名芸者力丸が、お座敷から忽然と姿を消した。町奉行の根岸は、配下の栗田と坂巻に探索を命じるが、やがて栗田の新妻・雪乃も行方知れずに……。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第4弾。根岸と力丸が知り合った一件を描いた、書き下ろし短編「芸者と化け猫」を特別収録。
  • 耳袋秘帖 目黒横恋慕殺人事件
    3.6
    茶店の主人が首を吊った。南町奉行・根岸肥前守は事件のカギが目黒にありと察知、家臣である宮尾玄四郎を派遣する。不動尊の参詣客でにぎわう町で遭遇する怪事件。優れた耳を持つ岡っ引き・音無の六蔵と、松平定信が普請を命じた屋敷の謎。そして大悪党・暁星衛右門の正体とは――。舞台は大坂にも広がり、ますます展開が加速! 根岸肥前守の名推理と恋模様が絡み合う人気シリーズ第19弾!
  • 耳袋秘帖 谷中黒猫殺人事件
    4.0
    美人姉妹が住む谷中の“猫屋敷”に猫が増えすぎて、近隣から奉行所へ苦情が来た。やがて、姉妹が以前に鬼平が担当して未解決になった押し込み強盗の被害者と分かり……。根岸肥前が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第5弾。根岸の妻・おたかとの日々を描いた、短編「白雲斎のこと」を書き下ろしで特別収録。
  • 耳袋秘帖 湯島金魚殺人事件
    4.2
    「金魚釣りに引っかかっちまったよ」。陰間(男娼)の集まる湯島で、謎の言葉を残して旗本の倅が死んだ。<くじら>という異名をもつ、巨漢のおかま、松平定信の特命を受けて風紀粛正に乗り出す目付、湯島の親分ぴんぞろの捨松らが入り乱れ、奇想天外なミステリが幕を開ける。根岸肥前守が難事件に挑む殺人事件シリーズ第15弾!
  • 耳袋秘帖 妖談うしろ猫
    3.6
    若い頃は無頼の限りを尽くして悪の道にはまりかけ、しかしいまは「赤鬼」の綽名を持つ南町奉行の根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)。その奉行のもとに、商いの評判が良かったもろこし屋の主人、伝次郎が殺されたとの知らせが寄せられる。現場近くでは、「かのち」という謎の書き付けを残して失踪した大店の若旦那が目撃されるが…。奇談集「耳袋」を千編も書き記した根岸肥前守(=歴史上実在の人物)が、江戸の怪事件を解き明かす好評シリーズ、新展開の第一巻。
  • 耳袋秘帖 妖談うつろ舟
    3.3
    曲亭馬琴も書き残した江戸版UFO遭遇事件と目される「うつろ舟」伝説。海辺に流れ着いた異国風の女の裏には何があるのか。幽霊を食った男、深川の白蛇、牢から忽然と消えた男……さまざまな怪奇が入り乱れる中、闇の者たちとバテレンさんじゅあんの謎を根岸肥前守はついに解き明かすのか? 大人気妖談シリーズ、堂々完結篇!
  • 耳袋秘帖 妖談かみそり尼
    3.8
    お江戸は高田馬場の竹林に棲む、若くて美人で評判の月照尼(げっしょうに)の元には、人生相談に訪れる者がひきもきらない。その庵(いおり)の近くで、女好きの若旦那が死体で発見された。衣服には一筋の剃刀の跡。若旦那は、尼に会いに行くと言い残して家を出たという。やがて尼の周囲では殺人が相次ぐ。なぜか死体には、みな剃刀の跡が──。はたして尼の正体とは。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす、新「耳袋秘帖」シリーズ第二巻。
  • 耳袋秘帖 妖談さかさ仏
    3.8
    処刑される寸前、脱走に成功した仏像専門の盗人・庄右衛門(しょうえもん)は、ある寺で仏像をさかさにして拝む不思議な光景を目のあたりにする。同じころ深川では、売り出し中の美人芸者が姿を消す事件が起き、あろうことか木にさかさに吊られた女の遺体が発見された──。川を上る巨大魚の謎、柳の霊が人に憑くなど、南町奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)のもとに報告される、不可解な事件の裏には一体なにが? 大人気怪奇シリーズ第四巻!
  • 耳袋秘帖 妖談しにん橋
    3.5
    深川で、西国雄藩の藩士と石川島から戻ったばかりの無宿人が相次いで不審な死を遂げた。二人とも、満月前後の夜に「四人橋(よにんばし)」を四人で渡り、自分の影だけが消えたと言い残していた。そして、そのことがあった一両日中の死だった…。四人で渡ると死人が出る“死人橋”の噂は、江戸の町に一気に広まった。なぜ影が消えるのか? 裏にうごめく悪の正体を、赤鬼奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)が解き明かす! 新「耳袋秘帖」シリーズ第三巻。
  • 耳袋秘帖 妖談ひときり傘
    3.3
    雨の中あでやかな傘の群れが舞うと、死体がひとつ――「ひときり傘」が引き起こす連続殺人事件が江戸の町を震撼させる。一方、明日の天気を奇妙なほどぴたりとあてる女おせんが誘拐されて……。毛の雨が降り、川が血の色に染まり、雷の糞が取りざたされる江戸の天変地異に根岸肥前守が挑む! 書き下ろし妖談シリーズ第6弾!
  • 耳袋秘帖 妖談へらへら月
    3.0
    年の瀬の江戸で、「そろそろ、月が笑う」と言い残して、突如、人がいなくなる“神隠し”が、頻発した。根岸は、同心の椀田と家来の宮尾、岡っ引きの梅次や、下っ引きのしめたちに、消えた人々の身辺を探るように命じるが、その陰では危険な動きが……。根岸肥前が江戸の怪奇を解き明かす、耳袋秘帖「妖談」シリーズ第5巻。文春文庫オリジナルの書き下ろし時代小説。
  • 耳袋秘帖 四谷怪獣殺人事件
    3.3
    四谷大木戸の水門に竜が現る!? 田安徳川家の四谷の下屋敷で、奇っ怪な出来事が頻発しているという。八本足の犬から腹切り大根まで、難事件に根岸肥前守が挑む!
  • 耳袋秘帖 両国大相撲殺人事件
    4.0
    当代無双の相撲取り・雷電を、目の仇にしていた将来有望な若手力士が殺された。その死体には、雷電の得意技の痕跡が……。下手人は雷電なのか? 根岸肥前が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第6弾。若き日の根岸肥前と五郎蔵が、見世物小屋でひと儲けを企む短編「ろくろくろっ首」を書き下ろしで特別収録。
  • 宮本武蔵
    3.0
    山中で棒を振り回していた少年は、十三歳にして試合相手の頭蓋をかち割った! 自身も剣の達人である著者が描く凄絶なる歴史長編 宮本武蔵は幼少より武術に頭角をあらわし、生まれ持っての膂力と父の激しい指南にこたえ、13歳にして真剣の立会に打ち勝った。 血なまぐさい試合にあけくれた青春時代、京都郊外、一乗寺下り松での吉岡一門との死闘、関門・船島での佐々木小次郎との血闘など、いくたの修羅場でつねに勝利をおさめた孤高の剣聖の凄絶なる生涯を描破する。 吉川英治版『宮本武蔵』とそれを原作とした人気コミックの影響もあり、内省的な宮本武蔵像が一般化した現代。 だからこそ津本陽描く、本能で動き、野獣味のある武蔵像は読者にいまも新鮮な驚きを与える。 解説・桶谷秀昭
  • 夢幻の扉【文春e-Books】
    -
    デビュー作『会津執権の栄誉』が第157回直木賞候補に! ますます注目を集める新人作家・佐藤巖太郎の オール讀物新人賞受賞短篇が電子書籍オリジナルで登場 山形藩二十万石の大名・保科正之から呼出しを受けた北町奉行・加賀爪忠澄。 保科の頼みは、切支丹の疑いありと訴えられている牢人・梶原伝九郎について、 拷問による自白ではなく、正しい裁きをしてほしいと願うものだった。 梶原伝九郎を訴え出たのは、実の弟・八太夫である。三ヶ月前のことだった。 同居する兄が十字架に向かい祈りを捧げている姿を目撃したという。 しかし伝九郎は疑いを頑強に否認。でうすの御影が描かれた絵も躊躇なく踏み、 仲違いしている弟による自分への誣告だと申し立てた。 いったいどちらが嘘をついているのか――。 そんな中、伝九郎の所持する『伊勢物語』の中に、耶蘇教を崇める呪文が発見され、 事件は思わぬ展開を見せる――。
  • 虫封じ〔マス〕
    4.0
    オール讀物新人賞受賞作待望の刊行! 時は文政。江戸の長屋でつましく暮らす少女・お夕のもとに現れたのはひょろりとした一人の侍。お夕が世話する近所の子供が疳の虫で泣き叫び、死んでしまうのではないかと思われた時、その侍は何やら呪文を唱えると、あっという間に虫を封じてしまった――。 それ以来長屋に住んだ虫封じの侍・影郎はお夕を助手に、江戸の人々の心の闇に巣食う虫を退治してゆきます。ある時は殺人者の、ある時は金の亡者の、ある時は関係のこじれた夫婦の……。 新しい江戸・ファンタジー、新しいヒーローの誕生。
  • 無宿人別帳
    4.0
    無宿者は江戸制度の谷間──。人別書き、現代でいえば戸籍から除かれた彼らは町内で住居を定めるのもままならず、ましてや定職など持てようはずがない。食い詰めた無宿人から犯罪が頻発したのは当然である……。賭場の喧嘩で八丈島へ流され、赦免船を待ちわびる忠五郎、牢の火事で思わぬ自由を得た平吉、佐渡から島抜けを図る新平、入墨を暴かれて堅気の暮しを失う卯助など、都市の底辺で喘ぎながらも自由と公正を渇望する男達を描いた傑作時代短篇集。
  • 無用庵隠居修行
    4.7
    直参旗本・日向半兵衛は、出世のことしか考えない同僚に嫌気がさし、「あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって死にたい」という願いを込めた「無用庵」で隠居暮らしを始める。のんびりと過ごすはずだったが舞い込んでくる事件の数々。「口は悪いが情けにゃ弱い」日向半兵衛が難事件を解決する痛快時代小説。
  • 室町少年倶楽部
    4.0
    蹴鞠で遊んだ少年の日よ何処。将軍足利家の後継者・三春丸と、その後見人である少年管領・細川勝元。みずみずしい生命力に富むふたりを取りまく権力闘争の機略。十五歳の少年に二十五歳のお妾を取らせる策略合戦。出家を望む三春丸に仕掛けられた秘策が引きおこす花の御所の奇々怪々。歴史的事実に大胆な創作を加えることで浮きあがる人間の真実を、破天荒に描く風太郎節益々快調! 表題作のほかに「室町の大予言」を収録。
  • 明治撃剣会
    5.0
    魂消える、作品集。 語り草となった太刀風がよみがえる、剣豪小説の醍醐味をいま再び! 明治七年、和歌山へきた撃剣興行一座の一番の遣い手に賭け試合を挑まれた旧幕臣の腕の冴えを描く表題作ほか、著者が剣豪作家として活躍する契機となった、現代の道場破りに息を呑む「孤独な武者振り」、新撰組外伝といえる「祇園石段下の血闘」など全八篇。太刀風鋭い剣技描写が光る、新鮮で骨太な作品集。
  • もう一枝あれかし
    3.5
    すれ違う子供が泣き出すほどの醜男の、愚直な恋のゆくえ(「甚三郎始末記」)。騙されていると知りながら待ち続ける遊女の哀しき運命(「風を待つ」)。自ら始末をつけるべく散り急ぐ男に、残された妻の覚悟を描く表題作など、心に染み通る5篇。四季の彩り溢れる情景と、男女の一途な愛を細やかに綴る傑作時代小説。解説・大矢博子
  • 孟夏の太陽
    4.8
    為政者の徳とは何か。 現代にも通じる王と宰相の関係を描く長篇! 古代中国・晋の宰相として国を支え続けた趙一族の盛衰を、 歴史と運命への透徹した視点をもって描いた初期の傑作長篇。 中国春秋時代の大国・晋。 この国の重臣を代々務めた趙一族。 太陽 の如く酷烈な趙盾、族滅の危機に瀕した趙朔、 名宰相・趙武、王子 朝の乱を鎮定した趙鞅、その子趙無恤……。 二百年にわたる一族の興亡を、透徹した歴史観と清冽な筆致で描いた著者初期の傑作。 指導者に求められる「徳」のありようをめぐる物語。 解説・平尾隆弘 ※この電子書籍は1994年に刊行された文春文庫の新装版を底本としています。
  • 木曜島の夜会
    3.8
    オーストラリアとニューギニアの間にあるトレス諸島。その中のひとつ、木曜島では、明治時代から太平洋戦争前まで、海底にいる白蝶貝を採るために日本人ダイヴァーが活躍していた。サメの恐怖、潜水病との戦いに耐えつつ、異国の海に潜り続けた男たちの哀歓と軌跡から日本人を描き出した表題作他、吉田松陰と奇縁を持ちながらついに立身出世を果たしえなかった富永有隣を描いた「有隣は悪形にて」など歴史短篇三篇を収録。
  • 舫鬼九郎
    4.0
    吉原近くの親父橋のたもとで見つかった女の死体は首を切り落とされ、背中の皮が剥ぎ取られていた。事件をさぐる幡随院長兵衛の前に現れる恐るべき男たち。天竺徳兵衛、柳生十兵衛、そして十兵衛と互角の勝負を演じる若き美剣士・舫鬼九郎。謎が謎を呼ぶ展開と壮絶な剣技描写で読者を魅了する、極め付きの長篇時代活劇がここに開幕!
  • 柳生十兵衛七番勝負
    -
    家光の密命を受け、諸国を巡り将軍家に仇なす者を討つ。 新陰流、剣の真髄ここにあり! 徳川将軍家の兵法師範をつとめる柳生宗炬の嫡男・十兵衛は、家光公の近習として幼少より仕える。 しかし二十歳の頃、十兵衛は突然、家光の勘気にふれ追放となる。 実はこの追放劇、彼を隠密として野に放つための狂言であった。 十兵衛は諸国武者修行と称し、徳川家に仇なす者を討つ旅を続ける。 若き十兵衛の隠密旅と名勝負をドラマチックに描いた、剣豪小説の決定版! 解説・多田容子
  • 約束
    4.3
    平成の高校生が明治に転生! 驚きの未発表小説、文庫で登場 現代っ子4人の意識が、維新直後を生きる青年らの身体に入り込んだ! 西郷、大久保ら偉人達の側で、生きた歴史の授業が始まる。
  • 野菜畑で見る夢は
    4.1
    「日経ヘルス」誌で、健康誌史上初の連載恋愛小説として話題騒然! 耕し、種を蒔き、慈しむ。野菜たちが教えてくれる恋の育て方とは?――同窓会に参加するため帰郷したまゆみは、別れた彼と再会する。プロポーズを退けて東京で働くことを選んだ彼女と、故郷で教師をしながら野菜畑を育てる彼。終わったはずの恋が10年の時を経てふたたび芽吹く……。恋愛小説の名手が描きだす、野菜のようにみずみずしく、栄養と幸せ満点の、3組の恋の物語。「空豆のコロッケ」「イタリアのおっかさん風、アラビアータ」「おばけかぼちゃパイ」など、おいしいレシピも満載!
  • 夜叉の都
    4.0
    こんな美しい日に、私は息子を殺すのだ――。 建久10年(1199)、源頼朝と北条政子の間の息子・頼家が将軍職を継いだ。 だが頼家は酒色に興じ、その期に乗じ、 政子の弟・北条義時は頼家の側近の梶原氏の失脚を画策する。 さらに北条家の危機を避けたい義時と政子の父・時政は 頼家の排斥と実朝の将軍擁立を主張、政子は武士の府を守るため、 自ら頼家に毒を盛り、最終的に頼家は謀殺される。 頼朝亡き後、弟・義時とともに、多くの政敵を滅ぼしていく北条政子。 “夜叉のごとき”苛烈さで幕府を守り抜いた政子を描く迫力の歴史巨編。 解説=本郷和人
  • 合本 柳橋の桜
    -
    涙あり、恋あり、活劇あり。佐伯泰英の時代小説シリーズ、全4巻合本版 吉原や向島などへ行き交う舟が集まる柳橋。神田川と大川が合流する一角に架けられたその橋の両側には船宿が並び、働く人、遊びに行く人で賑わっていた。 柳橋の船宿「さがみ」で働く船頭の広吉には一人娘がいた。名前は桜子。三歳で母親が出奔するが、父親から愛情を受けて育ち、母譲りの器量よしと、八歳から始めた棒術の腕前で、街の人気娘に育っていた。夢は父親のような船頭になること。 そんな桜子に目を付けた船宿の亭主による「大晦日の趣向」が思わぬ騒動を巻き起こし……。 4カ月連続刊行で話題を呼んだ、壮大なスケールで描かれる全4巻! ※この電子書籍は、以下の作品をひとつのコンテンツにまとめた合本です。 『猪牙の娘 柳橋の桜(一)』2023年6月配信 『あだ討ち 柳橋の桜(二)』2023年7月配信 『二枚の絵 柳橋の桜(三)』2023年8月配信 『夢よ、夢 柳橋の桜(四)』2023年9月配信
  • 山岡鉄舟(一)
    4.0
    飛騨高山で郡代の若様としてのびやかな少年期を過した鉄太郎は早くも剣と書に天禀を現わす逸材だった。しかし、畏敬にすら近い愛で慕っていた母を突然うしない、幼い弟妹の面倒は小さな主の肩にのしかかることになる。初恋に破れ、父をまもなくみとり、17歳で江戸に出てからは、天下の千葉道場や浅利道場で猛稽古に明け暮れ、“鬼鉄”の異名をとる剣士に成長する。しかし、幕末怒濤の時代がやがてこの純朴無類の大男を歴史の渦の中に巻き込んでゆく。剣と書と女修行の青春篇。
  • 山霧 毛利元就の妻 上
    4.7
    上下巻累計100万部超えのベストセラー長編歴史小説! 小領主から名将へ駆け上がる元就を支えた妻――。 16世紀初めの戦国時代。土豪たちがひしめく中国山地の小領主だった毛利元就のもとに、<鬼>といわれる吉川国経の娘が輿入れした。権謀術数うずまく乱世にあって、ふたりは支え合いながら否応なく戦国の夫婦として生きていく。やがて元就は頭角をあらわしはじめるが……。NHK大河ドラマの原作となった長編歴史小説の傑作。
  • 山桜記
    3.9
    全七作からなる歴史小説短編集。 豊臣秀吉による朝鮮征伐の前半・文禄の頃、一通の文箱が博多の津に打ち上げられ、秀吉の許に届けられた。中の手紙は半島に渡った夫を思う妻のものであった。興味を持った秀吉はその女を名護屋に呼び寄せたが……(「汐の恋文」)。 関ヶ原の戦いの前に大坂方の人質になるのを拒み、火を放って果てた細川ガラシャ。その嫁である千代はガラシャと死を共にせず生き残った。細川忠興の嫡男・忠隆は、父の命に背き千代を離縁せずにいたため、遂には廃嫡されてしまう。しかしその後も忠敬は千代と共に暮らし続ける(「花の陰」)。 戦国時代や江戸時代の女性・夫婦の旧来の像に著者独自の新鮮な解釈を投げかける、珠玉の短編集。
  • おたふく 山本周五郎名品館I
    4.4
    没後50年、いまもなお読み継がれる巨匠の傑作短篇から、沢木耕太郎が選び抜いた名品。 山本周五郎の世界へ誘う格好の入門書であり、その作家的本質と高みを知ることができる傑作短篇集の決定版! 生涯、膨大な数の短篇を遺した山本周五郎。 その大半がいまだに読み継がれ、多くの読者に愛され、また後進の作家たちに多大な影響を与え続けている。 市井に生きる庶民の哀歓、弱き者の意地、男と女の不思議など、特に時代小説に傑作が多く、その数も膨大なものがある。 山本周五郎作品に深く傾倒する沢木耕太郎氏が独自の視点と切り口で4巻36篇を選び、各巻の末尾に斬新かつ詳細な解説エッセイを執筆。 第1巻は「一丁目一番地のひと」と題して、周五郎作品に登場する女性像を分析する。 本書の収録作は以下の9篇。 「あだこ」(絶望した武士を立ち直らせるけなげな娘) 「晩秋」(仇である老臣の立派さ) 「おたふく」(かわいい女) 「菊千代抄」(男として育てられた君主の哀しみ) 「その木戸を通って」(ふっと来て、ふっと消えた女) 「ちゃん」(酔っ払いだが腕のいい職人の父親) 「松の花」(妻に死なれて初めて知る妻の偉さ) 「おさん」(自分の性に翻弄される女を追って) 「雨あがる」(おおらかな浪人とその妻)
  • 雪に花散る奥州路
    -
    股旅小説ブームの先駆をなした笹沢左保の時代小説。その街道シリーズから四作を収めた。「雪に花散る奥州路」の二本桐の武吉、「狂女が唄う信州路」の抜かずの丈八、「木ッ端が燃えた上州路」の三下の勢五郎、「峠に哭いた甲州路」の天神の新十郎。昔の街道を舞台に、いずれも個性豊かでニヒルな渡世人を主人公にして、推理的手法を駆使して物語を展開、非情な男の世界を描く。時代小説界に旋風をまき起こした「笹沢股旅もの」の真骨頂がもっともよく現れている……。
  • ゆけ、おりょう
    3.6
    「世話のやける弟」がいつしか時代の英雄になってしまった――。 坂本龍馬の妻・おりょうの目を通して描かれる、幕末の名場面! 幕末の京都で出会った「世話のやける弟」のような男・坂本龍馬と結婚したおりょうは、夫を呼び捨てにし、酒を浴びるほど飲み、勝海舟にも食ってかかる「妻らしからぬ」振る舞いで周囲をへきえきさせる。 ついには龍馬の周囲から、「龍馬のために離婚してください」とまで迫られる始末。 しかしおりょうは、寺田屋で間一髪龍馬の命を救い、日本で初のハネムーンを敢行。 薩摩へ、軍艦に乗って長崎へ、馬関へ――。 激動の世の中を楽しげに泳ぐうち、いつしか薩長同盟・版籍奉還の立て役者として時代の英雄になってゆく夫。 そして、龍馬亡きあとの20年を彼女はどう生きたのか。 型にはまらない生き生きとした夫婦の姿、意地っ張りで責任感が強く、龍馬に惚れながらも自立した魂が輝く「門井版おりょう」。 現代の女性に響く物語! 解説・小日向えり(歴女) ※この電子書籍は2016年8月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 夢をまことに(上)
    4.3
    江戸時代に空を飛ぼうとした男がいた! 近江国友の鉄砲鍛冶の一貫斎は旺盛な好奇心から、失敗を重ねながらも反射望遠鏡を日本で最初に作り上げる。 「日本のダ・ヴィンチ」と呼ばれた男、稀代の発明家の生涯。 直木賞作家、山本兼一さんの遺作が文庫で登場。 近江国友村の鉄砲鍛冶である一貫斎は村の訴訟に巻き込まれ江戸に出ることになった。 太平の世に鉄砲の注文は減り、村は景気が悪く寂れた状況にあった。 江戸に出た一貫斎は持ち前の好奇心で交友を広げ、オランダ渡りの新式鉄砲の修繕を依頼される。 見事に鉄砲を直した一貫斎は独自の工夫によって改良型まで作ってしまう。
  • 夜明けの星
    3.8
    越後の国を出て十六年、江戸の町で父の仇敵を探し続ける浪人・堀辰蔵。飢えて疲れきった辰蔵はある日ささいなことで逆上し、見知らぬ煙管師の頸すじに斬りつけてしまう。父と仲良くふたり暮しだった煙管師の娘・お道は、これで天涯孤独の身となった。近隣の人々に見守られ、気丈に生きていくお道と、仇討ち転じて闇の世界の仕掛人となった辰蔵の凄絶な半生。折にふれ、奇妙にもつれ合うお道と辰蔵の運命を、池波正太郎が円熟の筆で描いた名作。
  • 夜明けの雷鳴 医師 高松凌雲
    4.0
    医療は平等なり。近代医療の父の高潔な生涯 パリで神聖なる医学の精神を学んだ医師・高松凌雲は、帰国後、旧幕臣として箱館戦争に参加する。近代医療の父を描いた幕末歴史長篇。
  • 合本 酔いどれ小籐次 決定版+小籐次青春抄
    -
    小柄な体、禿げ上がった額に団子鼻の老侍。一見冴えないこの男、実は来島水軍流の凄まじき遣い手――。 まったく新しい時代小説の主人公、赤目小籐次の痛快無比の活躍を描くシリーズ全19巻と、小籐次の若き日を描いた中編二作を収録の『小籐次青春抄』を合本化! ※この電子書籍は2021年4月に配信を開始した電子版『御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版』から『状箱騒動 酔いどれ小籐次(十九)決定版』全19巻と、『小籐次青春抄 品川の騒ぎ・野鍛冶』を合本にしたものです。
  • 養生所見廻り同心 神代新吾事件覚  指切り
    3.3
    書き下ろし時代小説、神代新吾事件覚シリーズ第1弾! 北町奉行所小石川養生所見廻り同心、神代新吾。南蛮一品流捕縛術を修行する、若く、未熟だが、熱い心を持つ同心である。新吾が、幼馴染みの養生所医師小川良哲、臨時廻り同心白縫半兵衛、手妻の浅吉らと共に、様々な事件にぶつかり、悩みながらも成長していく姿を描く。
  • 夜去り川
    5.0
    黒船が来航したその年。喜平次はわけあって素性を隠し、渡良瀬川のほとりで渡し船の船頭となっていた。村人たちに頼られる存在となりつつあった喜平次だが、一体彼の目的――背負わされた宿命とは何なのか。舞台は幕末でも、「シミタツ節」と呼ばれたリリシズムと格調高い文体は健在。時代の転換期、武士としての誇りを失いかけた男が、己の進むべき道を見極める姿を描く、傑作時代長篇。
  • 義経(上)
    3.9
    みなもとのよしつね――その名はつねに悲劇的な響きで語られる。源氏の棟梁の子に生まれながら、鞍馬山に預けられ、その後、関東奥羽を転々とした暗い少年時代……幾多の輝かしい武功をたて、突如英雄の座に駆け昇りはしたものの兄の頼朝に逐われて非業の最期を迎えてしまう。数奇なその生涯を生々と描き出した傑作長篇小説。
  • 酔って候
    4.0
    幕末の混迷期、なすすべを知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた賢侯たちがいた。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」(「あとがき」より)彼らを題材に、著者ならではの視点で幕末を探る短篇連作。
  • 世に棲む日日(一)
    4.2
    2015年のNHK大河ドラマ『花燃ゆ』の主人公は久坂玄瑞の妻、文(ふみ)。文の兄であり玄瑞の師である吉田松陰こそ、『世に棲む日日』前半の中心人物です。「人間が人間に影響をあたえるということは、人間のどういう部分によるものかを、松陰において考えてみたかった。そして後半は、影響の受け手のひとりである高杉晋作という若者について書いた」(「文庫版あとがき」より) 嘉永六(1853)年、ペリー率いる黒船が浦賀沖に姿を現して以来、攘夷か開国か、勤王か佐幕かをめぐり、国内には激しい政治闘争の嵐が吹き荒れていた。この時期、骨肉の抗争を経て倒幕への主動力となった長州藩には、その思想的原点に立つ松下村塾主宰・吉田松陰と、後継者たる高杉晋作がいた――。維新前夜の青春群像を活写した怒濤の歴史長編、ここに開幕。
  • 雷撃深度一九・五
    3.8
    アメリカ重巡洋艦インディアナポリスvs.日本の潜水艦イ五八! 玉木宏主演映画『真夏のオリオン』の原作、実話を基にした手に汗握る戦争サスペンス大作 昭和20年7月16日、110余名の乗員と人間魚雷回天を乗せた伊58潜水艦が呉軍港を出港した。 やがて、倉本艦長はフィリピン東方を通過する敵艦船をグアム―レイテ線上で撃沈せよとの特命を受ける。 その敵艦船とは、原子爆弾をテニアン島へ届けた後でレイテ島へと向かう、重巡洋艦インディアナポリスだった。 乗艦を撃沈され伊58に救助された永井少将は、開戦前、インディアナポリス艦長マックベイ大佐と机上演習で戦い、勝利を収めた。 因縁の宿敵同士に、ついに決着をつける時がやってきた――。 太平洋戦争における最後の艦艇同士の最後の戦いを元にして生まれた、全く新しい戦争サスペンス! 解説・香山二三郎
  • 落日の王子 蘇我入鹿(上)
    3.8
    皇帝になって政治を支配したい。さらに大王となって祭祀も支配したい。その両方の権威を併せ持つ座に上ろうと、蘇我入鹿は野望を燃やし、夫を亡くして間もない、年上の皇極女帝に迫る。三十歳を過ぎたばかりで、肌は茶褐色に近く、目が異様に大きいこの男は、骨太の体躯に加え、黒く太く吊り上った眉を生やし、張った顎には強い意志と生命力がみなぎり、蘇我本宗家・蘇我蝦夷の長子としての存在感を強く主張している。歴史ロマンの第一人者・黒岩重吾の傑作歴史小説が遂に登場!
  • 乱都
    4.0
    応仁の乱にはじまる《仁義なき戦い》!! 応仁の乱から室町幕府の終焉まで、裏切りと戦乱の坩堝と化した京に魅入られ、争いに明け暮れた男たちの生き様を描く連作集。 ※この電子書籍は2020年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 乱紋(上)
    3.7
    織田信長の妹・お市の方と、近江の雄・浅井長政のあいだには3姉妹がいた。長女・お茶々は豊臣秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待ち構えていた――。おごうの生涯を描いた長篇歴史小説。
  • 利休の闇
    3.3
    利休切腹事件の真相がいま明かされる! 利休と秀吉、共に頂点を極めた二人の確執の原因は何か? 『信長の棺』に始まる戦国の謎はいよいよ最終章へ。 秀吉が若かりし頃、まだ織田家の足軽大将に過ぎなかった頃、密かに茶の湯の作法を教えてくれた千宗易(利休)。本能寺の変の後、秀吉は天下人となり、宗易は秀吉の庇護の下、茶道界の第一人者として君臨する。だが、二人の蜜月は長くは続かなかった。宗易の茶道と秀吉の茶道への理解は、やがて大きく隔たっていく。 一方で広く大衆に受け入れられるよう質素で親しみやすい「政道としての茶の湯」を、他方では禅の「無」と「静寂」の空間創造を目的とする「悟りの場としての茶の湯」を提唱する宗易。だが、宗易の茶の湯を理解できない秀吉は黄金の茶室や北野大茶会など、宗易の理想とはかけ離れた方向へ茶の湯を変えていく。そして豊臣政権の複雑な政治状況の中、宗易は思わぬ誤算から窮地に陥っていく……。 著者84歳にして書き上げた、圧巻の歴史ミステリー!
  • 陸軍特別攻撃隊(一)
    5.0
    特攻作戦の全貌を綿密な取材と膨大な資料を駆使して明らかにした入魂の大作。 ベストセラー『不死身の特攻兵』の鴻上尚史氏もリスペクトする戦史小説の金字塔! 菊池寛賞受賞。 レイテ決戦に執着する大本営が縋った特攻作戦。 9回出撃しても生還した“不死身の特攻隊員”佐々木友次伍長。 特攻隊を置き去りにして敵前逃亡した冨永軍司令官。 特攻隊は“志願”と一般に思われているが、これは全くの間違いで、本人の意思を無視した強制であった。 「体当り機」は機首に“死の触覚”の起爆剤がついており、爆弾は機体に固着させ、投下装置がなく、体当りをせざるをえないように造られていた。 この非人道的な“棺桶飛行機”の体当り効果のウソをあばく。 (*荒垣秀雄氏の解説は収録していません。)
  • 流星 お市の方(上)
    3.8
    激動の戦国時代、織田信長という風雲児の妹として生まれたがために、あるいは、その比類なき美貌ゆえに、お市の方は激しく厳しい運命を生きる。近隣の国々を切り従え、天下統一を狙う兄・信長と、その兄と対決せざるを得ない最愛の夫・浅井長政。日々激化する抗争の狭間に身を置いて、お市の方は苦難に満ちた生涯を送るのであった――。
  • 龍馬残影
    -
    初航海の途中、海援隊のいろは丸は事故で沈んだ。相手船、紀州藩籍の明光丸艦長高柳は、いろは丸の代表者、才谷梅太郎のとらえどころのない対応に不安を覚える。激動の時代、野心と志のために手段を選ばず行動する男たちと、藩の生き残りのため奔走する男たちを背景に、坂本龍馬のしたたかな策略家ぶりを描く異色の幕末小説。
  • 龍馬の油断 幕末七人の侍
    3.0
    撃剣家として知られた坂本龍馬は、人を斬るのを厭いピストルを常に所持していた。彼が池田家でみせた油断とは? 父の失脚で辛酸を舐めた少年時代をおくり、勝海舟のもとにきた陸奥宗光の剣。ほか山岡鉄舟、吉田松陰など、幕末維新の世にひと際光を放った七人の剣士たち、それぞれの剣の道を枯淡の筆致で描く短篇集。
  • 忘れ得ぬ翼
    -
    これは、太平洋戦争末期、絶望的な戦いを強いられた軍用機と飛行機乗りたちの物語である。敗戦とともに、空の男たちは操縦席から降りることを余儀なくされ、それぞれの戦後を生きたが、彼らの運命を決定した愛機は、いまもなお、彼らの心の中を飛び続けている。著者・城山三郎は、敗戦後四半世紀の時点から太平洋戦争を逆照射することによって、あの戦争と、戦後の日本が何であったかを問うている。同時に、男たちがともに戦った“翼たち”への愛情は、あふれるばかりである。
  • 輪違屋糸里(上)
    3.9
    新選組局長・芹沢鴨はなぜ殺されたのか? 近藤勇ら試衛館派と芹沢鴨ら水戸派の間で対立が深まっていた、新選組と呼ばれる前の壬生浪士組。京都・島原の置屋「輪違屋(わちがいや)」の芸妓・糸里は、姉のような存在の音羽太夫を芹沢に無礼討ちにされ、浪士達の抗争に巻き込まれていく…。土方歳三を慕う糸里、芹沢の愛人・お梅ら新選組に関わる運命を背負った女たちの視点から、激動の時代のうねりを描く。大ベストセラー『壬生義士伝』に続く“浅田版”新選組、第二弾!
  • 風雲児・前田利常 われに千里の思いあり(上)
    3.5
    加賀百万石前田家の繁栄をきずいた風雲児の一生 前田利家と洗濯女の間に生まれながら三代目藩主となり、加賀百万石の基礎を築いた利常。前田家三代の華麗なる歴史絵巻の第一巻
  • われら九人の戦鬼(上)
    4.0
    満月が、新戦場を、照らしていた。敗走する侍大将を斬った足軽らは、その手中にあった敵陣の娘を奪い、暴行をくわえようとしていた。欲望の眼にとらわれた娘・梨花は、しかし偶然通りかかった牢人者に救われる。一介の牢人者とは思われない、颯爽とした気品のある男の名は、多門夜八郎。彼は、助けたはずの梨花を、「殺しはせぬ。犯すのだ」と……。戦国の世、波乱の中に人と人が出会い、血が血を呼び、善悪入り乱れるロマンがここにはじまる。
  • ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間
    3.7
    フランス革命の転換点となった有名な逃亡事件「ヴァレンヌ事件」はなぜ失敗したのか。愛のため、命がけで計画を練ったフェルゼン、狂おしいほどに優柔不断なルイ16世、「贅沢と傲慢」の女王アントワネットの真実。嫉妬、楽観、逡巡。濃密な人間ドラマと追いつ追われつ迫真の攻防戦24時間の再現は、息も継げない第一級の面白さ! 焦る王妃、迷う国王。フランス革命史上の濃密な人間ドラマ。マリー・アントワネットの運命の24時間とは。

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