歴史・時代小説作品一覧

  • 鷲の歌(上)
    -
    安政年間、琉球王国は日中両国に従属させられ、苦渋の中にあった。王朝高官は二派に分裂し、将来への確たる展望も見出せない。折しも、対外国貿易拠点としての利用を目論む薩摩藩主・島津斉彬(なりあきら)の圧力が、この島国を襲う。王朝の苦しみは、民衆の上にもさまざまな形で暗い影を落としはじめていた……。該博な知識と卓越した史観で、強大国の利害に翻弄される小国の悲哀と知識人の悩みを綴る歴史巨編。<上下巻>
  • 八股と馬虎 中華思想の精髄
    4.0
    中華思想とは何か? 始皇帝やいにしえの聖賢から毛沢東に至るまで、中国のなかに連綿と脈打ってきた思想──。じつは中華思想という言葉はあっても、その実態が精査されたことはかつてない。いや、できなかった。それはなぜか? 中国3000年の歴史を通じての謎であるこの命題に、いま筆者は渾身の力で迫る。中国史完結編。
  • 長崎犯科帳・青苔記 ほか五篇
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    肥後国の仏師・卯助が、銀札の版木を偽造し、贋札を作った事件の謎を追う「長崎犯科帳」。明智光秀の娘・秀姫が、織田信長の養女として、筒井順慶の養子・定次に嫁いだことによって起る波風をえがいた「青苔記」。大内裏の応天門が焼失した事件をめぐる、伴大納言、左大臣・源信、藤原基経の権謀の渦を書いた「応天門始末」……など、永井路子の傑作短篇時代小説7篇を収録。
  • 汚名
    3.0
    徳川家康に信頼され重用されて、幕府草創期に辣腕を振った能吏・本多上野介正純(こうずけのすけまさずみ)。二代秀忠の世になり、「宇都宮釣り天井事件」の嫌疑で失脚、奥州に無惨な幽閉の身となる。権力の非情と冷酷、汚名に甘んじる自己犠牲。一切を黙して配所に赴く正純の潔い人間像を、陰密の目を通して骨太に描き出す、傑作歴史長編。権力の冷酷非情に甘んじる、自己犠牲の武士道!
  • 千姫微笑
    -
    東西の楔(くさび)として、豊臣秀頼に入輿した徳川家康の孫娘・千姫。乳歯のはえかわりを気にする花嫁は、時にわずか6歳。人質同然の生い立ち、愛されぬ妻の哀しみ。身籠ることすら拒否された嫁の境涯に、またしても大坂落城の悲劇が――。男たちの戦国の論理に心で抗した千姫の波乱の生涯と、その周辺の女人像を鮮烈にして艶麗に描く、傑作長編時代小説。
  • 田沼意次(上)
    -
    旗本の長男として生れた田沼意次は、大胆卒直な、器量すぐれた若者に育ち、将軍世子・家重の側小姓に登用される。19歳で家督を継ぎ、美しい妻を得、出世を重ねて、やり手の上司・大岡忠光にとり込まれてゆく。有能だが、特に強い後楯を持たない意次は、進歩的な能吏として、どのようにして幕閣の迷路を生き抜いてゆくのか。田沼意次の生涯を描いた大作、全3巻。
  • 鯨分限(くじらぶげん)
    3.5
    幕末から明治へ――。捕鯨集団「太地鯨組」の若き棟梁・太地覚吾を、激変する時代の荒波が襲う。外国船の乱獲による鯨の不漁、南海地震による大津波、村を救うため画策した蝦夷地での操業も頓挫する。そして、巨鯨を追うあまりに引き起こされた海難事故「大背美流れ」では、100名以上の生命が奪われる。時代に抗い、度重なる苦境に、何度も立ち向かい続けた男の物語。
  • 横濱王
    4.1
    今の日本に、こんなリーダーがほしかった!  昭和13年、青年実業家の瀬田修司は横濱に降り立った。関東大震災から復興した横濱は、ジャズが流れモガ・モボが闊歩する華やかな文化あふれる国際都市。折しも日中戦争が始まり、軍需景気にあやかりたい瀬田は、横濱一の大富豪である原三渓からの出資を得ようと、三渓について調べ始める。  実業家としての三渓は、富岡製糸場のオーナーであり「生糸王」の異名を持っていた。関東大震災では、復興の先頭に立ち私財をなげうって被災者の救済にあたった。また、稀代の数寄者として名を馳せ、茶の湯に通じ、「西の桂離宮、東の三渓園」と言われる名園を築いた文化人。前田青邨や小林古径など、日本画家の育成を支援……と、いくら調べても交渉材料となるような醜聞は見つからず、瀬田は苛立つ。  やがて「電力王」として知られる実業家、松永安左ヱ門に会った瀬田は、松永の仲介で三渓に会うことが叶う。  三渓園の茶室を訪れた瀬田は、そこで原三渓と話を交わしたことで、少しずつ考えを変えていく。  実は少年時代、瀬田には三渓にまつわる忘れ得ぬ記憶があった……。 ※この作品は過去に単行本版として配信されていた『横濱王』の文庫版となります。
  • 秘剣水鏡(みつかかみ)
    5.0
    金沢に五代藩主、前田綱利公の初のお国入りが決まり、兵法御覧の差配を担った富田重持は、加賀に古来より伝わる“深甚流”の剣を披露することにした。だが、この流派を継ぐと称する男は邪剣の遣い手であった。重持は深甚流のひそかな伝承者とされる老いた百姓を探し出し、邪剣の士と対決させるが……。(「水鏡」より) 剣豪小説の白眉と讃えられる珠玉の十編収録。
  • 維新と戦った男 大鳥圭介(新潮文庫)
    4.5
    われ、薩長の明治に恭順せず――。幕府歩兵奉行・大鳥圭介は異色の幕臣だった。全身にみなぎる反骨の気概、若き日に適塾で身に着けた合理的知性、そしてフランス式軍学の圧倒的知識。大政奉還後、右往左往する朋輩を横目に、江戸から五稜郭まで戦っていく。勝海舟や土方歳三に信頼された大鳥は、なぜ戦い続け、何を信じていたのか。武士の最後の戦を描ききる傑作長編。『死んでたまるか』改題。
  • ごんたくれ
    4.3
    安永四年、京都。当代一の絵師を目指す豊蔵と彦太郎は、ひょんなことで奇跡の出会いを果たす。喧嘩しながら才能を認め合い、切磋琢磨し腕を磨く若きふたり。鼻つまみ者の「ごんたくれ」と呼ばれた彼らは、求めた道の先に何を見たか? 京画壇の華やかなりし時代、実在した二人の奇想の絵師をモデルに、芸術を探求する人間の性と運命を描き出した、傑作時代長編。
  • 捨ててこそ 空也(新潮文庫)
    4.1
    平安時代半ば、醍醐天皇の皇子ながら寵愛を受けられず、都を出奔した空也。野辺の骸を弔いつつ、市井に生きる聖(ひじり)となった空也は、西国から坂東へ、ひたすら仏の救いと生きる意味を探し求めていく。悪人は救われないのか。救われたい思いも我欲ではないか。「欲も恨みもすべて捨てよ」と説き続けた空也が、最後に母を許したとき奇跡が起きる。親鸞聖人と一遍上人の先駆をなした聖の感動の生涯。 ※文庫版に収録の「虚実のおもしろさ、仏教の核心」(ひろさちや)は、電子書籍版には収録しておりません。
  • 古田織部(おりべ)~戦国数奇大名の生涯~
    4.0
    風雲急を告げる戦国の世、山深い美濃に生まれた左介(織部)は、幼少より織田信長に仕え、若き秀吉に引き立てられて出世の道を歩んだ。千利休や陶工達との邂逅が彼を茶の道へ誘い、ついには徳川家の指南役に上りつめるが――。武将ながらも茶湯や焼物にその名を残す希代の風流人の一生を描いた表題長編に加え、著者のデビュー作(オール讀物新人賞受賞作)を併録。(『風炉のままに』改題)
  • べんけい飛脚(新潮文庫)
    4.0
    前田家の参勤交代は四千人の大移動。五代藩主前田綱紀は禁を破る数の鉄砲隊の同道を突如命じた。関所通過には公儀の許可証が要る。隊列は既に藩邸を発った。迫る時間の中、漸く吉宗決済の許可証が下りた。予め先々の宿場で待ち受けていた浅田屋の飛脚たちは参勤隊列を目指して文書を繋いでいく。艱難辛苦を極める難事に命を懸ける飛脚たち。使命を遂行する男の意気地に心打たれる傑作時代長編。
  • 野望(上) 
    4.0
    「本邦初の軍師役をおかれませい。天下を制するには、まず信濃を併呑することでござる」――後の信玄となる甲斐の若き国主・武田晴信に仕官を求めた異相の男・勘助は、傲岸にも自身をそう売り込んだ。単なる国主に過ぎぬ晴信に天下獲りへの野望が芽生え、神算鬼謀にして稀代の名軍師・山本勘助が誕生した瞬間であった。歴戦の古強者たちの意見はすべて過去の経験から割り出されており、新しい考え方を認めようとしない! 世代交代、情報操作、買収、合併……現代ビジネスマンの心に刺さる、まさに命懸けの戦国時代を活写。真田一族も活躍! 『言霊(ことだま)』『逆説の日本史』の著者が描く、傑作歴史巨編!
  • 私の庭 浅草篇(上)
    4.0
    1~6巻825~1,045円 (税込)
    時代は幕末、両親を早くに亡くした権介は浮浪の身となって浅草の小屋で生活していた。幼い頃に虐げられていた権介は、彼の集落に住みついた徳川幕府の元高位幕臣と思われる「爺」の薫陶を受け成長する。浅草吉原界隈で勝手気儘に暮らす権介だが、ある日侍狩りで奪った刀を友人にあげたことで自身の生活に陰りが生じ始める――著者初の時代小説にして大河青春小説!
  • 実録西郷隆盛
    -
    明治維新最大の功労者でありながら、わずか10年で逆賊とされ、鹿児島にある城山の露と消えた西郷隆盛。大久保一蔵(利通)との貧しい少年時代から、薩摩藩主島津斉彬に引き立てられ、歴史の表舞台へ躍り出、ついには官軍の大将として江戸へ進軍――激動の時代をまっしぐらに突き進んだ男の生き様を、同郷の著者が憧憬と郷愁を抱き、迫真の筆致で綴り上げた傑作!
  • 劉邦の宦官
    4.3
    劉邦が前漢の初代皇帝となった四年後、新たに都となった長安の長楽宮に、小青胡と張釈という二人の幼い少年が宦官として仕えた。貧しい生まれの二人は宮殿での悲惨な生活のなか、強く惹かれ合う。しかし劉邦の死後、後継者争いが激化するなか、劉邦の息子・劉盈に仕える小青胡と、権力の虜となった張釈の関係は変化していく――注目の新人が描く、歴史小説の新境地。
  • 恋情の果て
    4.0
    江戸に駆け落ちしてきた男と女。掏摸にあい、公事師に騙されたあげく、妓楼の女主人に買われた三次。「おらも、あとから逃げる」という言葉を信じて彼を待ち続けたおとせ。十年後、三次と再会したものの、料理屋の主人となったおとせの心はなぜか揺れる……。(「恋情の果て」よリ)身悶えするほどの恋着、嫉妬、見栄、欲望――熱く静かに心震わせる女たちを描く時代小説短編集。
  • 馬喰八十八伝
    -
    年老いた母を種付け馬・花雲の背中に乗せ、嘘を封じる百カ所まいりに出た若者。馬の名産地・桜七牧で、真実を述べたばかりに八十八回叩かれた腹いせに、同じ数の嘘をつき生きることを決意、自ら八十八と名乗る。悪代官に野盗の頭目、一癖も二癖もある相手に、嘘つきの天才八十八が言葉巧みに勝負を仕掛ける。恋あり、オゲレツあり、爆笑必至、痛快な男の出世物語。
  • 超高速! 参勤交代
    4.1
    ときは享保20年(1735)初夏、改革の嵐吹き荒ぶ8代将軍吉宗の時代。わずか1万5000石の磐城湯長谷藩に隠し金山の嫌疑がかかり、幕府老中から「5日以内に参勤せねば、藩を取り潰す」と難題をふっかけられた。若殿様以下7名は東国一の忍びの力を借りつつ、陸前浜街道、水戸街道、さらには山野を踏み越え江戸城本丸へ急ぐ。軽量化のため竹光しか持たない一行を阻む公儀御庭番と百人番所の精鋭。湯長谷藩の運命や如何!?
  • 傀儡
    4.0
    鎌倉中期、執権・北条時頼が権力を振るう頃。仲間たちと唄や踊りの芸を売って自由に生きる傀儡女・叉香は、復讐のために鎌倉を目指す武士や、武士に家族を殺された瀕死の女、信仰の本質を追い求める西域から来た僧らと出会う。全く異なる境遇で生きる四人の男女の運命が、鎌倉で交錯する。仏教と武士道が権力と結びつき、大きな流れを形成していった歴史の分岐点を舞台に描かれる渾身の歴史長篇。
  • 決闘者 宮本武蔵(上)
    5.0
    美作国宮本村の牢人の子に生まれ、父の敵平田無二斎に養育された弁之助は、激しい独習を積んで無二斎に勝ち、宮本武蔵と名乗って武者修行の旅に出る。僧・沢庵の草庵に草鞋を脱いだ青年武蔵は、扶桑第一と称される吉岡道場の当主吉岡清十郎に挑戦した。剣聖でもなく、野人でもなく、ただ剣において勝つことのみにその生涯を費やした兵法者、宮本武蔵。作者独自の視点から武蔵を造形する長編。
  • 魔海風雲録~都筑道夫コレクション〈時代篇〉~
    5.0
    豊臣から徳川への歴史の転換期――。木曽の山中では、山大名・紅面夜叉の隠し財産をめぐり陰謀が渦巻いていた。そのありかを記すとされる魔鏡の争奪戦。手から手へ渡るたび人々の運命を翻弄し、その果て、魔鏡は南の大海原、奴隷船の上に流れ着いたが……。(魔海風雲録) ほか、傑作時代短篇「西郷星」及び「善亭武升なぞ解き控」を合わせた3篇を収録。
  • 濡れ衣――詩魂の剣士・生田嵐峯
    -
    ナポレオン騎兵の洋剣を打刀拵(うちがたなこしらえ)した直刀をたばさむ異端の剣士、見参!18年ぶりに江戸の土を踏んだ浪人・生田嵐峯。かつて気鋭の漢詩人として活躍しながら、姦通の濡れ衣を着せられ出奔し、流浪の旅を続けていたのだ。過去の真相を探り始めるうちに、謎の刺客が来襲、背後に秋田藩の御家騒動をめぐる陰謀が浮上してきた……。
  • 光秀曜変
    3.0
    信長に仕え二十年。丹後丹波を平定し一国の主となった光秀。齢六十を過ぎたが、嫡男は幼く、まだまだ隠居はできない。主君の覚えを得るためには武勲を上げ続けねばならぬのだが……。安土で家康への饗応を命ぜられた光秀は失態を演じ、主君の不興を買う。不安に駆られる光秀に追い打ちをかけるような下知が。領地召し上げ。追い込まれた光秀が兵を挙げた先は――。
  • P+D BOOKS 小説 葛飾北斎 上巻
    3.0
    北斎の生涯を描いた時代ロマン小説の傑作。  人々の生活を見つめ、大いなる自然を見つめ、その感動を絵にした男・葛飾北斎。妻・お砂との運命的な出会い、写楽、馬琴、蔦屋重三郎らとの交流を通じて画家として人間として成長していく姿を瑞々しいタッチで描く。  上巻では青年期の北斎の画家としての模索期間に、“異才”写楽との友情、そして絵画表現をめぐる議論が展開されていく。  写楽の個性的な言動に対比されて、北斎の青年期の人物像とその成長ぶりが浮かび上がってくる仕掛けが絶妙。  延々と続く絵画表現をめぐる議論が、不思議と退屈しないで読める。物語展開の軸になる人物視点が、北斎と写楽の二人に交互して効果をあげている。  また、北斎や写楽をとりまく女性達の人物造形にふくらみがあり、華やかで生き生きとしていて、江戸の女性の色っぽさも織り交ぜている。 北斎の伝記評伝ではなく、一人の絵描きを主人公にした、時代ロマン小説の傑作。
  • 新装版 捨て童子・松平忠輝(上)
    4.5
    捨て童子とは、この世ならぬ途方もないエネルギーを持ち、人を戦慄せしめる人物! 徳川家康の第六子でありながら、容貌怪異なため、生まれ落ちてすぐ家康に「捨てよ」と言われた"鬼っ子"松平忠輝の異形の生涯を描く、傑作伝奇ロマン小説。新鮮な発想や史観、壮大なスケールで完結をみた、著者最後の長編。
  • 花篝 御探し物請負屋
    -
    手習い師匠の息子藤井文平は齢十六。小柄で元服前の前髪立ちのためよく子供扱いされるが、二年ほど前から「御探し物請負い屋」の看板をかかげている。知り合った二枚目の哲哉とごつい岩五郎が、暇つぶしの助っ人を買って出てくれている。二人とも旗本家の部屋住みだが剣の腕はあり、秀才でもある。蒔絵の文箱、消えた盆栽……請負い屋の本領は、失せ物が見つかってからにある。江戸に生きる人々の機微を切なく描く連作時代小説。
  • 覇王の家(上)
    3.9
    徳川三百年――戦国時代の騒乱を平らげ、長期政権(覇王の家)の礎を隷属忍従と徹底した模倣のうちに築き上げた徳川家康。三河松平家の後継ぎとして生まれながら、隣国今川家の人質となって幼少時を送り、当主になってからは甲斐、相模の脅威に晒されつつ、卓抜した政治力で地歩を固めて行く。おりしも同盟関係にあった信長は、本能寺の変で急逝。秀吉が天下を取ろうとしていた……。
  • 楽毅(一)
    4.2
    古代中国の戦国期、「戦国七雄」にも数えられぬ小国、中山国宰相の嫡子として生まれた楽毅は栄華を誇る大国・斉の都で己に問う。人が見事に生きるとは、どういうことかと。諸子百家の気風に魅せられ、斉の都に学んだ青年を祖国で待ち受けていたのは、国家存立を脅かす愚昧な君主による危うい舵取りと、隣国・趙の執拗な侵略だった。才知と矜持をかけ、若き楽毅は祖国の救済を模索する。
  • おくうたま
    4.0
    信長によって小谷城が攻められ、浅井家は滅ぼされた。長政の庶子である喜十郎は京に逃げ落ち、疵医師の田代瑞石に預けられる。お家再興を目指す喜十郎に、織田の捕り手が迫る! 瑞石は、京を出て羽柴の軍勢に医師として加わった。瑞石の弟子として身分を隠す喜十郎だが、その正体に気づかれ……。医師としての修行に耐えながら、喜十郎は宿願を果たせるのか!?
  • 新選組裏表録 地虫鳴く
    4.1
    走っても走ってもどこにもたどりつけないのか――。土方歳三や近藤勇、沖田総司ら光る才能を持つ新選組隊士がいる一方で、名も無き隊士たちがいる。独創的な思想もなく、弁舌の才も、剣の腕もない。時代の波に乗ることもできず、ただ流されていくだけの自分。陰と割り切って生きるべきなのか……。焦燥、挫折、失意、腹だたしさを抱えながら、光を求めて闇雲に走る男たちの心の葛藤、生きざまを描く。
  • 新選組 幕末の青嵐
    4.4
    身分をのりこえたい、剣を極めたい、世間から認められたい――京都警護という名目のもとに結成された新選組だが、思いはそれぞれ異なっていた。土方歳三、近藤勇、沖田総司、永倉新八、斎藤一……。ひとりひとりの人物にスポットをあてることによって、隊の全体像を鮮やかに描き出す。迷ったり、悩んだり、特別ではないふつうの若者たちがそこにいる。切なくもさわやかな新選組小説の最高傑作。
  • 藤原定家謎合秘帖 幻の神器
    3.0
    藤原定家はある日、父俊成より三種の御題を出された。これを解いた暁には「古今伝授」を授けるという。公家社会に起こる政治的策謀と事件の謎を追い、背後に潜む古代からの権力の闇に迫る鎌倉和歌ミステリ!
  • 大鏡
    3.0
    一九〇歳と一八〇歳の老爺二人が、藤原道長の栄華にいたる天皇一四代の一七六年間を、若侍相手に問答体形式で叙述・評論した平安後期の歴史物語。人名・地名・語句索引のほか、帝王・源氏、藤原氏略系図付き。
  • 小倫敦の幽霊 居留地同心・凌之介秘帖
    -
    幕末、四方を海に囲まれた出島のような横浜外国人居留地。同心・草間凌之助のもとに厄介な事件が持ち込まれる。イギリス人の居住地区、リトル・ロンドンの屋敷で女の悲鳴が聞こえるという。その悲鳴は原因不明で死んだ前の持ち主のメイドの幽霊なのか!? それから程なくして日本人がピストルで撃たれて殺される。死体の脇に転がっていたのが羊羹のように甘い固形物。異国情緒漂う幕末横浜で謎が謎をよび、事件は拡大していく!
  • 越前宰相秀康
    4.3
    家康が恐れたただ一人の息子――父・家康に疎まれ、秀吉の養子に出された秀康。関ヶ原の戦いの後に越前、福井藩の藩祖となり徳川幕府を支えた男の波乱に満ちた生涯。 家康を父に持つ於義丸は双子で生まれたため、忌避される。兄信康のとりなしで家康に息子として数年後に認知させた。しかし、秀吉の養子として徳川家を出され、豊臣秀康と名乗らされた。それも束の間、関東の名族結城家に養子に出され、父・家康の監視役とされる。家康が恐れた息子の短くも波乱の生涯を描く歴史巨編。
  • 異聞 おくのほそ道
    3.0
    「西行法師の歌枕を訪ねたい」と告げ、弟子の曾良とみちのくへと旅立った松尾芭蕉。その旅には二人の同行者がいた!? 徳川光圀の家臣介三郎と、将軍綱吉の側用人柳沢吉保の密偵すまだ。光圀と吉保は共に芭蕉が相手方の密命を受けていると勘ぐっていた。そして、芭蕉にも、歌枕を訪ねる以外にある目的があった…。「おくのほそ道」をベースに、斬新な発想で描く時代長編。
  • 興亡三国志 一
    3.6
    後漢末、霊帝の時代。宦官達は帝を恣(ほしいまま)に操り、天下は麻の如く乱れていた。疲弊した民衆の一部は黄巾賊となって全国に蜂起。大軍を率いて首都洛陽に入った董卓が軍政の覇権を握ると、忽ち暴政の嵐が吹く。「乱世がくるぞ」若き曹操は身ぶるいしながら思った。この“乱世の英雄”曹操を中心に群雄たちが繰り広げる壮大な歴史ロマン「三好三国志」全五巻。
  • 水戸藩幕末志士列伝
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 幕末維新の動乱期を疾風怒涛のごとく駆け抜けた水戸藩。血塗られた歴史の中、無垢な心情の志士たちの悲しく哀れな姿を綴った列伝。

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  • 天を衝く 秀吉に喧嘩を売った男九戸政実(1)
    4.2
    織田信長が天下布武(てんかふぶ)を掲げた頃、陸奥(みちのく)の南部家では内紛が続いていた。新たな時代を予見する九戸党の棟梁・政実(まさざね)は、ついに宗家を見切った。戦の天才「北の鬼」九戸政実が、武者揃いの一族郎党を束ねて東北の地を駆け巡る。著者が故郷を舞台に熱き思いを込めた歴史巨編「陸奥3部作」の最終章、待望の文庫化。(講談社文庫)
  • かくれさと苦界行
    4.4
    徳川家康より与えられた「神君御免状」をめぐる裏柳生との争いに勝ち、松永誠一郎は色里・吉原の惣名主となった。だが、一度は敗れながら、なお執拗に御免状を狙う裏柳生の総帥・柳生義仙の邪剣が再び誠一郎に迫る。加えて吉原を潰すべく岡場所が各所に乱立し、さらに柳生の守護神・荒木又右衛門も江戸に現れた。ついに吉原と裏柳生全面対決の時が――。圧倒的迫力で描く時代長編。

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  • 彰義隊
    3.5
    皇族でありながら、戊辰戦争で朝敵となった人物がいた──上野寛永寺山主・輪王寺宮能久親王は、鳥羽伏見での敗戦後、寛永寺で謹慎する徳川慶喜の恭順の意を朝廷に伝えるために奔走する。しかし、彰義隊に守護された宮は朝敵となり、さらには会津、米沢、仙台と諸国を落ちのびる。その数奇な人生を通して描かれる江戸時代の終焉。吉村文学が描いてきた幕末史の掉尾を飾る畢生の長篇。

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  • 江戸三大仇討のひとつ 決闘・浄瑠璃坂
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 ときは、江戸時代初期。赤穂浪士討ち入りの30年も前、宇都宮・茂木・山形・江戸を舞台に「日本史上最大規模の仇討」に青春を懸けた宇都宮藩の若者たちの物語。
  • 異説・鎌倉幕府 吾妻鏡物語 小山朝政の活躍
    3.0
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 12世紀末、鎌倉幕府創設を志した関東三代豪族のひとつ、小山氏。戦いに、恋に、そして夢に生きた朝政の波乱に満ちた青春物語。
  • 大江戸神仙伝
    4.4
    現代の東京から花のお江戸へと転時(タイムスリップ)した男が見た150年前の姿とは? そこには、見るもの聞くものすべて、現代人の常識を覆す、実に魅力的な暮らしがあったのだ。彼は、持参した文明の利器や医学知識で大活躍、世にも不思議な能力を持つ“神仙”として、女たちにも大もての大尽暮らしとあいなったが……。「大江戸シリーズ」第1弾。(講談社文庫)
  • ながい坂(上)
    4.2
    徒士組という下級武士の子に生まれた小三郎は、八歳の時に偶然経験した屈辱的な事件に深く憤り、人間として目ざめる。学問と武芸にはげむことでその屈辱をはねかえそうとした小三郎は、成長して名を三浦主水正と改め、藩中でも異例の抜擢をうける。若き主君、飛騨守昌治が計画した大堰堤工事の責任者として、主水正は、さまざまな妨害にもめげず、工事の完成をめざす。
  • おとこの秘図(上)
    4.0
    時は元禄――旗本の息・徳山五兵衛(幼名・権十郎)は、妾腹の子ゆえに父から疎まれていた。剣の修行に明け暮れる十四歳の初夏、侍女への無謀な振舞いがもとで、父子の不和は決定的となった。四年後、道場主の他界を機に、一介の剣士として生きようと同門の浪人剣客・佐和口忠蔵を慕って江戸を出た。父はこの出奔を利用して、執拗なまでにわが子廃嫡の策謀をつづけていた。
  • 蝦夷地別件 上
    3.5
    アイヌ民族最後の蜂起を描く超大作の第1巻 18世紀末、蝦夷と呼ばれるアイヌ民族は和人の横暴に喘いでいた。蝦夷地での交易権を松前藩から買い取った商人たちによる苛烈な搾取、問答無用の暴力、日常茶飯に繰り返される女たちへの陵辱。アイヌの怒りと悲しみは沸点に達しようとしていた。北の大地から和人を追い払うための戦いを決意した国後の脇長人ツキノエが、密かに手配した鉄砲300挺。120年前に決起した英雄シャクシャインも、和人に負けない武器を持っていたら、戦いに勝利していたはずだった。鉄砲調達の算段は、択捉で出会ったロシア人船長との間でまとまった。しかし、その裏側には、ロシアの地で祖国奪還のために奔走するポーランド貴族マホウスキの策略があった。ロシアの南下政策を阻止すべく、極東に関心を向けさせるための紛争の創出。300挺の鉄砲がその引き金となるはずだった。 一方、和人のあいだでも、老中・松平定信のもと蝦夷地を直轄地にしようと目論む幕府と、権益を死守しようとする松前藩の思惑が入り乱れていた。それぞれの思いを巻き込んで蝦夷地に渦巻く歴史のうねり。アイヌ民族最後の蜂起「国後・目梨の乱」を壮大なスケールで描きだす超大作。

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  • 徳川秀忠 上
    -
    天下分け目の関ヶ原の戦に遅参し、父・家康の怒りを買った秀忠。後継者として認められながらも常に偉大なる父と比較され「凡将」との風評が立った。だが実際は違う。畿内でいまだ勢力を持つ豊臣方の監視を目的とした二条城の天下普請を強行、方広寺への放火、その一方で秀頼と千姫との婚儀をすすめるなど、硬軟取りまぜた深謀遠慮をめぐらしていたのだ。守成の将軍・秀忠の実像に迫る。

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  • 虚空伝説・餓鬼草子の剣
    -
    関八州に狼煙が上がり、祠に一枚の絵が打ちつけられた!現世の生き地獄を描いた「餓鬼草子」――この絵が刺客・矢月繋とのかけ橋である。将軍家治を巡る機密保持のため一族を抹殺され、いかなる殺しも請け負う鬼神と化した矢月の復讐行が始まる!

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  • 人生を二度生きる――小説 榎本武揚
    4.5
    幕臣でありながら五稜郭落城後、請われるまま明治新政府に奉職し、世に「裏切り者」と嘲られた榎本武揚。なぜ榎本は、残された命をかつての仇敵に捧げ、新政府の礎作りに邁進したのか? 動乱の時代、二つの政府に仕えた男の信念と活躍を描く歴史長編。

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  • 黄金旅風
    3.8
    歴史小説の巨人・飯嶋和一が描いた、一級の娯楽巨編。 江戸寛永年間、栄華を誇った海外貿易都市・長崎に二人の大馬鹿者が生まれた。「金屋町の放蕩息子」「平戸町の悪童」と並び称されたこの二人こそ、後に史上最大の朱印船貿易家と呼ばれた末次平左衛門と、その親友、内町火消組惣頭・平尾才介だった。代官であった平左衛門の父・末次平蔵の死をきっかけに、新たな内外の脅威が長崎を襲い始める。そのとき、卓越した政治感覚と強靱な正義感を持つかつての「大馬鹿者」二人が立ち上がった。

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  • 美男狩(上)
    -
    銭屋五兵衛の財宝をめぐる暗闘で、壮大な物語の幕は開く。五兵衛の遺児・お京、異人を装う元手代・多三郎、宿敵同士の美男剣士・篠原求馬と横山新太郎、さらには水茶屋の女、軽業の少女、兇賊……。多彩な人間模様が絡みあい江戸の闇を奔(はし)る。謎が呼ぶ謎の果てに登場するのは、美男を招く妖異の邸。奸計、怨念、邪慾、そして悲恋。千変万化の展開で読者を魅惑の迷路に誘う、これぞロマンの白眉!
  • 一夢庵風流記
    4.4
    戦国末期、天下の傾奇者(かぶきもの)として知られる男がいた。派手な格好と異様な振る舞いで人を驚かすのを愉しむ男、名は前田慶次郎という。巨躯巨漢で、一度合戦になるや、朱色の長槍を振り回し、敵陣に一人斬り込んでいく剛毅ないくさ人であり、当代一流の風流人でもあった。そして何より、自由を愛するさすらい人でもあった。故あって、妻子を置き旅に出た男の奔放苛烈な生き方を描く時代長編。

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  • 忠臣蔵[上]
    4.5
    許せ。それは内匠頭が告げた訣別の呟きであった。殿中松の廊下、内匠頭は愛しい者や愛する古里すべてを備前長船一尺七寸の業物にかけて捨て去った。「上野介、待て!」構想十余年、著者の忠臣蔵は絢爛たる人間蔵ドラマとして描かれた!

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  • 新装版 北天の星(上)
    5.0
    鎖国令下、ロシア艦が蝦夷地に来襲。五郎治と左兵衛は、オホーツクへ連れ去られた。極寒の地で待ち受けていたのは、貧困と差別、そして言葉と文化の大きな壁であった。日本へ帰るため逃亡をくわだてるが、いまや故郷は遠い。容赦ない寒気と苦難の旅路が始まった 。大スケールの傑作歴史長編。
  • いかずち切り
    4.0
    5万両は誰の手に!? 江戸の裏金融界を舞台に、騙し騙され、大勝負!――巨大な騙(かた)りにまんまと引っかかった札差に泣きつかれ5万両の奪還に乗りだしたのは、江戸の裏金融界でその名を知られた「いかずちの弦蔵」。「一番大事なことは、カネをどう受け取るかの段取りだ」――江戸と大坂を股にかけ、弦蔵と騙りの一味が丁々発止の頭脳戦を繰り広げる! 迫力と興奮のノンストップ傑作時代小説。
  • 王莽
    3.0
    「漢」滅び、「新」建つも!? 賢人皇帝の理想と破滅。漢帝国十代・成帝の時代。皇帝の従弟ながらも、苦学の日々を強いられる王莽(おうもう)。しかし彼は頭角を現し、十三代・平帝の摂政にまで上り詰める。そしてついには自ら皇帝となり新帝国を開くのだが!? 「簒奪者」としかみなされなかった王莽を、新たな視点で描いた中国歴史長編(講談社文庫)。
  • 仲蔵狂乱
    4.0
    〈存分に舞い狂うてみせてやる……〉江戸は安永――天明期、下積みの苦労を重ね、実力で歌舞伎界の頂点へ駆けのぼった中村仲蔵。浪人の子としかわからぬ身で、梨園に引きとられ、芸や恋に悩み、舞いの美を究めていく。不世出の名優が辿る波乱の生涯を、熱い共感の筆致で描く。第8回時代小説大賞受賞作。
  • 小説 紫式部
    3.5
    2024年大河ドラマは紫式部! 名作『源氏物語』の作者が直木賞作家の手によって等身大の女性として鮮やかに蘇る。 時は平安時代――。藤原家に生まれた香子は、一人の女性として悩みながら、物書きの才能を開花させていく。 彼女はいかにして「紫式部」となったのか。そして『源氏物語』の執筆の陰にある彼女自身の物語とは……。 時の権力者道長との関わりなど、小説ならではの展開の中に実像を追う。 作中に登場する人物たちが織りなす和歌にも注目! 「紫式部は歴史に残る大作『源氏物語』の作者である。わが国物書きの最高峰の先達と考えていた。 いつかは始祖紫式部の生まれ育ち、生き方について書きたい、と思うようになっていたのである」(「あとがき」より) 解説に、中山義秀文学賞や新田次郎文学賞などで注目の作家・奥山景布子氏が特別寄稿!
  • 北条義時 我、鎌倉にて天運を待つ
    -
    「2022年ドラマ主人公」。時代小説の旗手が満を持して長編書き下ろし! 鎌倉幕府第二代執権・北条義時。源頼朝の伊豆での旗揚げ時から忠義を尽くし、 頼朝にすべてを学んだ男。常におごらず、源三代の「鎌倉殿」に仕えながら、 時に影の如き冷徹さを兼ね備えた武将である。 頼朝死後、繰り返される権力の座を巡る幕府内の抗争。次々と滅んでいく幕府開闢の功労者たち。 そして三代将軍実朝が暗殺され、朝廷が義時追討の宣旨を発した時、 「不動」の男がついに動く! 迫る朝廷軍。承久の乱を目前に義時は―― はたして義時は「運」だけでのし上がったのか、それとも……
  • 漱石センセと私
    -
    夏目漱石が松山時代を過ごした下宿先の孫娘「より江」は、幼い頃から漱石夫妻や正岡子規に可愛がられ、美しい才女へと成長。医学生だった久保猪之吉と出会う――。『吾輩は猫である』に登場する雪江のモデルとされ、泉鏡花、柳原白蓮とも親交があった俳人・歌人の久保より江。明るくしなやかに生きる少女の物語を、高浜虚子、寺田寅彦ら錚々たる文化人との逸話を盛り込みながら、情緒豊かに描き出す。
  • 吉田松陰(1)
    4.4
    長州藩きっての俊才として吉田大治郎(松陰)の前途は明るい。だが時代の嵐を察知する彼の目は外へ外へと向けられた。九州遊学中に出会った山鹿万介、宮部鼎蔵らの烈々たる尊皇攘夷の弁、平戸で見た数多くの黒船や異人の姿、大治郎は外圧の高まりを身に刻んで知った。彼は叫ぶ、神州の民よ、めざめよ、と。
  • 信長殺すべし
    3.5
    天正十年六月二日、明智光秀は本能寺に信長を討つ。果して黒幕は存在したのか、したならばそれは誰なのか。幾多の仮説を生んだ日本史史上最大の謎がいま明らかに。誰も気付かなかった歴史の真実、そして新事実の発見により導き出された驚愕の真相とは!? ミステリー界の気鋭がものにする超本格歴史推理。
  • 傾く滝
    4.4
    大名題の家に生れ、類いまれな美貌で“江戸の華”と謳われた八代目団十郎。しかし彼は、肉親との葛藤に悩み、芝居町を弾圧するご政道に不安をつのらせ、ついに仇持ちの浪人宮永直樹への破滅的な愛にのめり込む。謎の死に至る団十郎の伝説的な生涯を、江戸歌舞伎を背景に描いた、初期の代表的長編小説。
  • 暁の群像(上)
    3.7
    坂本龍馬と同じ土佐藩の一介の郷士(下級武士)にすぎず、また父の酒癖がわるく極貧という家に生まれた岩崎弥太郎。そんな弥太郎が、どうやって江戸から明治への動乱期に“政商”としてのし上がり、たった一代で三菱財閥の基礎を築いたのか。司馬遼太郎「竜馬がゆく」と同時期(昭和37年)に新聞連載され、大いに話題を呼んだ傑作歴史経済小説。物語は、安芸平野が山肌に吸い込まれようとする地、井ノ口村に始まる──。激動の時代を鮮やかなエピソードで描く群像劇!
  • お葉の医心帖
    続巻入荷
    4.0
    「お父つぁん、おっ母さん、もうすぐ私もいくからね」 流行り病で両親を亡くし、奉公先のいじめに耐えきれず、川に身を投げたお葉。だが、気づくと町医者・道庵のもとで親身な介抱を受けていた。お葉はずっと醜いとののしられ、すぐには人の優しさを信用できなくなっていた。しかし、患者へと真摯に向き合う道庵の診療を手伝ううちに、人の真心を学び、成長してゆく――。江戸の人情が涙を誘う、感動必至の時代医療小説!
  • 平家物語創生記 徒然草第二二六段に寄せて
    NEW
    -
    あなたの知らない『平家物語』がここにある 都に忽然と現れた漂泊の琵琶法師は、亡き平家一門の霊を慰めるために物語を語り始める。その語りは、華やかで勇壮な物語ばかりでなく、敗者たちの怒りと無念、そして彼らが本当に遺したかった声を掘り起こす。

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  • 新 本所おけら長屋(一)
    4.2
    貧乏だけどお節介、情の厚さは天下一。笑いと涙の連作時代小説。 笑いと涙の大人気時代小説、第二幕開始! あれから三年――本所亀沢町はおけら長屋に、万造とお満が帰ってきた! 酒屋奉公人の松吉との再会を喜ぶ間もなく、左官の八五郎、浪人の鉄斎、お染ら馴染みの面々を騒動に巻き込んでゆく。 盗賊が狙う薬種問屋を守る「まんてん」、えせ宗教からの足抜けを画策する「みかえり」、訳あり上意討ちの謎に迫る「にたもの」の三篇収録。
  • 悪だくみ 斬! 江戸の用心棒
    -
    すっかり江戸暮らしに慣れた真十郎は剣の腕を活かすため、商家の主の不在時に留守番を行う家守屋という商売を始めた。一方で口入屋の玉緒からの用心棒の依頼もこなしていくが、彼女との関係だけは上手く回らず……。書き下ろしシリーズ第五弾。
  • 大奥お猫番 消えた奥女中
    -
    飼い主を喪った 猫に代わって敵を討て! 女中殺しの犯人は誰だ? 大奥の陰謀に立ち向かう〈お猫番〉の奮闘! 大奥の女中が競って詣でる寺に隠された秘密とは? 伊賀忍者の名門・服部家の御曹司で江戸城の猫の世話役〈お猫番〉を務める服部勇蔵。 城内で一心不乱に土を掘る、赤い首輪をした茶トラ白模様の牝猫を見かけるが、 その猫が掻き出した土の下から現れたのは大奥の中臈・七瀬お付きの奥女中・お君の骸(むくろ)だった。 胸を刺された傷から武士の殺しと判じた勇蔵だが、密かに調べを進めると、悪徳坊主の影が見え隠れし…。
  • なんてん長屋 ふたり暮らし
    3.0
    泣いて笑ってふっと気持ちが軽くなる、人情長屋へようこそ 25歳、年増と呼ばれはじめた、おせい。 その部屋に突然転がりこんだのは、元の勤め先の女主人で… 25のおせいが暮らすのは、神田明神近くの『なんてん長屋』。由来は、難点のある住人ばかりなこと。 おせいは目と鼻の先の料理屋『とくとく亭』で働いている。だが思わぬ災難が。元の勤め先の女主人お染が、おせいの部屋に転がり込んできたのだ! さらに、井戸浚いを手伝う幼な子に、心配な様子を見た長屋の女衆が、いらぬお節介を焼き始め……心温まる人情時代劇。
  • 聞き耳幻八 暴き屋侍
    -
    小普請組組下、微禄の御家人の嫡男、朝比奈幻八は瓦版の文言書きとしての顔も持つ。 文言書きに精を出すには理由がある。父は剣の道一筋でこれまで無役、母は既に亡くなり、妹は捨て子を拾ってきては養う。家計は貧窮、火の車で、稼ぎ手は己ひとり。 そんなある日、大川端に女の死骸があがった。芸者をしていたその女を知る幻八は、贔屓筋の大店主人を強請るネタになると聞き込みを始める。しかし、その殺しは思わぬ大事件につながっていたーー。 探索を進めるうちに謎は深まっていく。文言書き魂に火がついた幻八は、「遊び人の金さん」こと北町奉行・遠山金四郎とともに犯人を追う。 武器は筆一本、果たして巨悪を暴けるか。
  • ちぎれ雲(一) 浮遊の剣
    3.5
    〝猪母真羅〟持ちで美丈夫の麗門愛之助。女が群がるこの男、実は放念無慚流の達人にして、大身旗本の次男坊という恵まれた境遇。しかし宮仕えを嫌い、気ままな用心棒暮らしを送っていた。ところが、江戸中を恐怖に陥れていた残虐な盗賊団〝煬帝〟を、「ある事情」から斬ることになった愛之助だが――!? 時代小説界のネオ・ヒーロー、ここに誕生!
  • おくり絵師
    4.0
    故郷の仙台で母親を亡くし天涯孤独となったおふゆは、母の最期の言葉を頼りに江戸に行き、縁あって、絵師歌川国藤のもと、住み込みで修行中の身である。思うような絵が描けず、悩んでいたある日、亡くなった役者の姿を描いた「死絵」に出会う。一方、幼少時に仙台で知り合った昔馴染みで役者の三代目富沢市之進が、浅草の芝居小屋の夏興行でついに主役を張るという。おふゆは市之進の母親お京に誘われ、初日の舞台を見に行くことになるが……。憂き世を照らす、一途な愛と親子の絆に涙する、書き下ろし時代小説。
  • お江戸薬膳出前帖
    -
    父の見世を受け継いだ医師が作る薬膳料理                           江戸の名店で花板をつとめた辰太郎。念願だった自分の見世「旬屋」を開く矢先に病で倒れ、この世を去ってしまう。 本道の医師として活躍していた息子の幸庵は、無念のうちに亡くなった父の見世を継ぐ。 旬の食材を生かした薬膳料理を始めると、父の常連客のおかげで盛況。 元飛脚の弟の力を借りて患者のために出前を始めると、良縁がつながり――。
  • 広重と女八景
    -
    「七夕の晩、また君恋橋で逢おう」と男から錦絵を渡された女。 その話を聞いた絵師は、落款から己の描いた絵だと気付き、二人の邂逅を見届けたいと二十数年ぶりに彼の地へ向かう(「小金井橋夕照」)。 名所絵の依頼を受けた歌川広重が「江戸近郊八景」を描く道すがら、人々の抜き差しならぬ恋模様を覗く傑作八篇。 『恋々彩々』改題。〈解説〉細谷正充
  • 根津や孝助一代記
    3.0
    薬種商の手代・孝助、齢十六。 草鞋を購う一文を切り詰め、立身出世の道を拓く! 元銀行マンの著者が初めて挑む、感動の時代小説 日本橋の薬種商「養生屋」に、一人の勤勉な手代がいた。 名は孝助、十六歳。父を知らず母に捨てられ、医師の徳庵に拾われて医術の手ほどきを受けた苦労人だ。丁稚らが足を傷めていると知れば履き潰した草鞋を工夫して編み直し、無駄な費用も切り詰める。 そんな孝助のもとに、父と名乗る男が現われ……。 ひたむきで実直な青年の姿が胸を打つ、人情と栄達の時代小説。
  • 夜叉神の呪い 浮世絵おたふく三姉妹
    -
    美人三姉妹が営む水茶屋「おたふく」常連で北町奉行所の同心・加納らは、抜け荷一味を探っていた。 長女・桜の懸念をよそに、次女・梅は取引現場で張り込み。三女・竹は身分を偽って疑惑の呉服問屋に接近。 やがて岡っ引の半次は、南町奉行所与力・長谷部と抜け荷一味が通じる動きを察知する……。 江戸に蔓延る悪を蹴散らす三姉妹の華麗な裁きを御覧じろ!
  • 号外! 幕末かわら版
    3.6
    読んで極楽、見て極楽。幕末、かわら版屋・極楽屋の銀次は絵師の歌川芳徳と組んで妖怪伝説や心中ネタなどで江戸の人々を楽しませていた。だが、変わり者・佐久間象山の言葉で浦賀に黒船を取材に行き、吉田松陰と出会ったことから、銀次のかわら版への想いは変わっていき……。安政大地震、コロリの流行、そして幕府重臣の暗殺まで──すべてのことをあますことなく民に伝えた先に待つ未来とは!? 勝海舟、坂本龍馬、西郷隆盛、土方歳三など、幕末オールスターで贈る読んで極楽、見て極楽! 娯楽たっぷりの痛快時代小説!
  • 居酒屋若さま 裁いて候
    3.5
    伊達家の血を引く三滝家は、殿さまではあるものの城を持たぬ陣屋大名。 その跡取りである一太郎は、ある日、父の宗久に呼びだされる。そこで突きつけられたのは、藩の借金を減らすべく、江戸に藩直営の居酒屋を出して金稼ぎをしろ、という無理難題であった。 この難問の裏には、どうやら世継ぎをめぐる継母・お田鶴の方の思惑も隠れている様子……途方に暮れた一太郎はさっそく仲間を選びはじめるのだが、ようやく集められたのは、粗暴な剣の達人、悪名高い算盤侍、おてんばな腰元という、変人たちであった。 そんなはぐれ者を配下とし、一太郎は居酒屋のみならず、町の揉め事や事件に首を突っこんでいくのだが……。期待の新シリーズ開幕!
  • おもいで料理きく屋 なみだ飯
    -
    せがれを偲ぶ職人が注文する料理は…… おきくと幸太郎の夫婦が営む「きく屋」は、大川端にある名店で、今は亡き大切な人との「おもいで料理」も評判だ。 月一の講で訪れていた升屋の隠居・喜三郎からおもいで料理の依頼人がいると聞く。 それは、きく屋にも蒸籠を納める職人の治平で、せがれの信平が好物だった炊き込みご飯を注文する。 その仔細を聞くと……。感涙必至、江戸人情物語!
  • 写楽女
    5.0
    寛政六年の春。地本問屋「耕書堂」に住み込みで奉公している女中のお駒は、店主・蔦屋重三郎のもと、日々忙しく働くある日、店の中に入っていく長身の男を見かけた。その男は、写楽という蔦屋が抱える新しい絵師だった。写楽の役者絵が店に並ぶと、今まで誰も見たことのない絵に、江戸中が沸いた。讃辞と酷評入り混じる中、突然重三郎に呼ばれたお駒は、次に写楽が描く絵を手伝ってほしいと言われ……。選考委員満場一致で受賞した、第十四回角川春樹小説賞受賞作、書き下ろしの外伝を加え、待望の文庫化。
  • 忘れえぬ 風烈廻り与力・青柳剣一郎[66] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    大切な人を奪われた恨みと悲しみ。 残された者たちは―― 剣一郎は新たな犠牲を食い止められるか?  遣り手だが傲岸不遜。出世のために人に取り入るのがうまい狡猾な男。 旗本の坪井貞道はとかく悪い噂が多かった。 今も小間物屋の美しい内儀に言い寄り、何か画策しているようだ。青柳剣一郎はそんな坪井の動きに不審を抱き、身辺を探り始める。ところが老中から横槍が入る。 坪井とは一体何者なのか? そんな折、剣一郎は15年前のある夫婦殺しの話を耳にし……。
  • もろびとの空 三木城合戦記
    4.0
    東播磨の大名、別所家の本城である三木城。当主の長治は織田信長に反旗を翻すも、織田勢を率いる羽柴秀吉に攻められ、村人を巻き込んだ過酷な籠城戦が始まる。飢えに苦しむ領民は、究極の選択へと追い込まれ……。米十俵のために握った薙刀で、家族を守るため、戦う覚悟を決める娘。「死に損ない」と罵られ、次こそ死のうと敵を斬り続ける武士。「女らしさ」の呪縛に悩みながら、女武者組の先頭に立って陣頭指揮を執る別所家の妻。華々しい合戦絵巻の裏側に存在した、名もなき人びとのひたむきな生の物語。
  • 妖刀 風烈廻り与力・青柳剣一郎[65] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    心を惑わすのは、呪いか、欲望か。 かつて腕を競った友の息子の無念を思い剣一郎は辻斬りの正体を暴こうとするが――。 大ロングセラーシリーズ最新刊! どの巻から読んでも楽しめる!! 腕の立つ武士ばかりを狙う辻斬りが江戸の夜を震撼させていた。亡骸の状況から、得物は妖刀と恐れられる雲切丸だと青柳剣一郎は考える。 その刀はある旗本から盗まれた物で、密かに探索を命じられていたのだ。妖刀に魅入られた者の正体とは? やがて見廻りの目をすり抜け、かつての道場仲間の息子が辻斬りの刃にかかる。 剣一郎は悲しみとともに、現場に違和感を覚え──。
  • わかれ道 風烈廻り与力・青柳剣一郎[64] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    5.0
    忘れるために生きてきた―― 下級武士から次席家老へ。その優れた才覚ゆえに、 人生を狂わされた男の過去を知った剣一郎は……。 どの巻からも楽しめる!大ロングセラーシリーズ第64弾。 浜尾藩飯田家の次席家老風見貞之介は、藩主の乱心に翻弄されていた。嫡男がいるにも拘わらず、突如側室の幼子に家督を譲ると言い出したのだ。 このままでは藩を二分する事態に。貞之介は懸命に説得するが、藩主は聞く耳を持たない。挙句の果てに嫡男派と思しき刺客に襲われる。 見廻り中の青柳剣一郎に助けられた貞之介は、その人柄を信頼し、己の心情を吐露し始め……。
  • 夢幻(上)
    -
    本能寺で織田信長が討たれた。わずかな供と堺にいた盟友の徳川家康は、明智光秀の追っ手から逃れるため切腹せんとするも、本多忠勝ら重臣に止められる。ここで死ねば、三河と駿河・遠江の家臣がそれぞれ幼少の息子たちを担ぎ、家が「割れる」というのだ。家康は、今は亡き長男信康の不在を嘆くが……。英傑とその後継者の相克を描いた、骨太な戦国ドラマ第一部・徳川家康篇。 【目次】 第一部「夢の天下」 徳川家康  序 章  第一章 夢の始まり  第二章 苦難の舟出  第三章 動くべきとき  第四章 当主として  第五章 危難の日々  第六章 夢の果て  終 章
  • 酒田さ行ぐさげ 日本橋人情横丁 新装版
    5.0
    お前ェも酒田に行くべ―― お江戸日本橋の人情ものがたり 日本橋の廻船問屋の番頭・栄助の前に現れたのは、以前同じ店で働いていた愚図でのろまの権助だった。しかし、権助は庄内酒田の出店の主に出世したと聞いて、驚きとともに嫉妬の情も湧きあがり……。表題作ほか、花屋、奉行所同心、夜逃げした呉服屋など日本橋に生きる人びとの悲喜交々の心情を描く傑作小説集。新装版化にあたり著者エッセイ併録。 本当の倖(しあわ)せはどこにある― お江戸日本橋に生きる名もなき人々の泣き笑い。 名手が遺した傑作人情小説集 「宇江佐真理の『酒田さ行ぐさげ』は、幸福との出会い方をテーマとする、絶好の人生入門書である。……宇江佐真理は、「時代小説のふるさと」となる名作を、読者に手渡してくれた。だから私たちは、今の日本を前向きに生きてゆく勇気が湧いてくる。」 ――解説(島内景二氏)より
  • 心変わり 風烈廻り与力・青柳剣一郎[63] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    「あと一度という気持ちが命取りになりましょう」 剣一郎を嘲笑うかのように押込み強盗の一味と思しき男が殺される。 裏切りか、それとも―― 盗賊の末路は!?  火付盗賊改を翻弄するかのような押込みがこの二年間、続いていた。決して人は殺めず、狐の神楽面をかぶっているという。 盗んだ金はしめて七千両余。業を煮やした老中が、青柳剣一郎に密かに探索を命じる。すると剣一郎は火盗改の動きに不審を抱く。盗賊に手の内が洩れているのでは? やがて一味とおぼしき男に目を付けた矢先、刺殺体となって川に浮かんだ!
  • 十手魂「孫六」
    -
    北町奉行所の同心・青江真作は、不運な事件により、妻の結衣を失った。自らの判断を責め続けた真作は、同心の役目を返上する──。5年後、真作は、「孫六」と名乗り、神田相生町で四文屋を営みながら、十手を預かる身となった。ある日、田嶋屋の若旦那が、女中殺しで捕らえられた。だが、遺体の状態から、若旦那が下手人とは思えない。さらに、強盗一味からの田嶋屋に襲撃予告があったことが判明し……。孫六の十手が唸る!
  • おぅねぇすてぃ〈新装版〉
    -
    もう二度と傷つけたくも後悔もしたくない。己の心に正直に誠実に――激動の明治初期の荒波に翻弄された若い男女の激しくも切ない恋……著者初の明治ロマンス! 文明開化に沸く明治五年。突然の再会が若い男女の運命を変えた。 英語通詞を目標に函館の商社で働く雨竜千吉。横浜で米国人妻となっていたお順。幼馴染みの二人が、しまいこんでいた気持ちを開くのに時間はいらなかった。しかし、密会はあえなく露見した。やがて、お順は離婚を懇願するが、すれ違いながらも千吉に真実の恋を貫く妻に、夫はある条件を付けた――
  • 罪滅ぼし 風烈廻り与力・青柳剣一郎[62] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    5.0
    人助けか、死に場所を求めていたのか―― 付け火で燃え盛る家に飛び込んだ男が、命と引き換えに守りたかったものとは? 剣一郎、己の無力さに懊悩する! 女の絶叫が昼間の露月町に響き渡った。燃え盛る家に赤子が取り残されていたのだ。青柳剣一郎が駆けつけると、火中へ飛び込む男が。鋳掛屋の長次だ。 その勇気に感心した剣一郎は、出火の原因とともに長次の素性を調べると、過去にも子どもの命を救っていたことがわかる。 なぜ危険を顧みず行動できたのか? さらに付け火と判明し、剣一郎はある推測に苦悶する!
  • ほら吹き茂平〈新装版〉
    5.0
    いつも一緒に泣いたり笑ったり。それが夫婦っていうもんだ。 懸命に真っ当に生きる家族が明日の夢を紡ぐ、滋味溢れる時代小説。―― 「沢庵は頭から尻尾まででどこが一番うまいと思う」 茂平は大工の元棟梁。いつの頃からか深川では“ほら吹き茂平”と渾名されるようになった。別に人を騙すつもりはない。悲しいことも苦しいことも、ほらに紛らせば落ち込まないことを、懸命に働くうちに身につけたのだ。今日も一向に嫁ぐ気のない我儘娘と相談に来た母親に語り出すと……。笑いと涙の人情小説集。
  • 十日えびす〈新装版〉
    4.5
    感涙必至―― ひとりは辛いけど私には分かり合える家族がいる。 泣いて笑ってささやかな明日の希望を願う 母と義娘の人情時代小説。 ――紆余曲折の末、幼馴染みの錺職人の後添えになった八重。やっとつかんだ幸せも束の間、夫が急逝し義理の子たちに家を追い出されてしまう。唯一、仲の良い義娘のおみちと小間物屋を始めるが、一難去ってまた一難、引っ越し先には岡っ引きも手を焼く猛女お熊がいたからたまらない。しかも、継子が無心に現れ……。ささやかな幸福を求めて泣き笑う人情時代小説の決定版。
  • 桜の下で 風烈廻り与力・青柳剣一郎[61] 風烈廻り与力・青柳剣一郎
    4.0
    もう俺の手は汚れちまったんだ。 一生逃げるか、別人として生きていくか―― 江戸を追われた男のある目的の前に立ちはだかる邪魔者とは?  青柳剣一郎は、剣術の師・真下治五郎から元足袋屋の主人・幸助の力になってほしいと内密に頼まれる。治五郎の眼には深い事情を抱えているように映ったのだ。 早速剣一郎が調べると、主人は数年前に店を畳んで行方知れずになっていた。さらに、人相も異なる。 そんな折、不審な遊び人風の男が幸助の元に現れ……。 治五郎が会っている幸助は何者か? 意外な因縁が浮上する!
  • 月人壮士
    3.8
    「全き天皇であること」 ――その何人にも推し量れぬ孤独。 756年、東大寺大仏を建立した首(聖武)太上天皇が崩御。 道祖王を皇太子にとの遺詔が残されるも、 その言に疑いを持つ者がいた。 中臣継麻呂と道鏡は、密かに亡き先帝の真意を探ることになるが、 ゆかりの人々が語り出したのは、 母君との尋常ならざる関係や隔たった夫婦のありよう、 御仏への傾倒など、死してなお謎多きふるまいや 孤独に沈む横顔ばかりで――。 国のおおもとを揺るがす天皇家と藤原家の相克を背景に、 聖武天皇の真実をあぶり出す! 〈螺旋プロジェクト〉の1冊としても話題。 【電子版巻末に特典QRコード付き。〈螺旋プロジェクト〉全8作品の試し読みができます】 ※〈螺旋プロジェクト〉とは―― 「共通ルールを決めて、原始から未来までの歴史物語をみんなでいっせいに書きませんか?」伊坂幸太郎の呼びかけで始まった8作家朝井リョウ、伊坂幸太郎、大森兄弟、薬丸岳、吉田篤弘、天野純希、乾ルカ、澤田瞳子による前代未聞の競作企画 〈螺旋〉作品一覧 朝井リョウ『死にがいを求めて生きているの』 天野純希『もののふの国』 伊坂幸太郎『シーソーモンスター』 乾ルカ『コイコワレ』 大森兄弟『ウナノハテノガタ』 澤田瞳子『月人壮士』(本作) 薬丸岳『蒼色の大地』 吉田篤弘『天使も怪物も眠る夜』
  • 落花狼藉
    4.0
    戦国の気風が残る江戸時代初期、徳川幕府公認の傾城町・吉原が誕生した。吉原一の大見世「西田屋」女将の花仍は、自身の商いは二の次で町のために奔走する夫・甚右衛門を支えながら、店を切り盛りしていた。幕府からの難題、遊女たちの色恋沙汰、陰で客を奪う歌舞伎の踊子や湯女らに悩まされながらも、やがて町の大事業へと乗り出していく――。時代小説の名手が、江戸随一の遊郭・吉原の黎明と、そこに生きる人々の悲喜交々を描く傑作長編。

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