歴史・時代小説作品一覧

  • 刀伊入寇 藤原隆家の闘い
    3.7
    どこかに、強い敵はおらんものかな――。平安時代、栄華を極める一門に産まれた藤原隆家は、公卿に似合わぬ荒ぶる心を抱えていた。朝廷で演じられる激しい権力闘争のさなか、安倍晴明と出会った隆家は、国を脅かす強敵が現れることを予言される。やがて花山院と対立し、九州に下向した隆家が直面したのは、熾烈を極める異民族の襲来だった。荒くれ者公卿は、世の安寧を守り抜くことができるのか。血湧き肉躍る戦記ロマン!
  • 家康さまの薬師
    3.8
    幼いころに徳川家康の家臣・服部半蔵に命を救われた瑠璃。 その時、半蔵が見せた薬草の使い方に興味を持ち、 保護された村で出会った師匠から本草学の書籍をもらい受け、薬師になる夢を膨らませる。 その後、家康の祖母に小間使いとして仕え、本草学の知識を生かして体に良い茶を煎じる日々を過ごす。 半蔵もそんな瑠璃を気にかけ、何度も様子を見に来ていた。 一方、今川家での人質として暮らしに鬱屈していた松平元康(徳川家康)。 今川義元の姪(瀬名・築山御前)との望まぬ婚姻が決まり、その報告に祖母の家を訪れる。 そこで、出会ったのが小生意気な少女・瑠璃だった。 その後、時代は流れ、桶狭間の戦いを経て戦国大名へと昇り詰めていく家康。 しかし、決して安穏な日々ではない。武田信玄による三河侵攻、織田信長からの圧力・・。 そして重要性を増す瑠璃の師匠がもつ各大名の病状と処方箋を記した覚書の存在。 心労の絶えない家康の傍らで瑠璃は茶をそして薬を煎じて支える。 戦国乱世において、家康の体調や精神を支え、共に歩んだ女性の物語。
  • 虹の翼
    4.3
    人が空を飛ぶなど夢でしかなかった明治時代―― ライト兄弟が世界最初の飛行機を飛ばす十数年も前に、 独自の構想で航空機を考案した男が日本にいた。 奇才・二宮忠八の、世界に先駆けた「飛行器」は夢を実現させるのか? ひたすら空に憧れた忠八の波瀾の生涯を、 当時の社会情勢をたどりながら緻密に描いた傑作長篇。 解説・和田宏
  • お龍のいない夜
    -
    妻・お龍との愛を軸に描く、風野版龍馬伝。 「龍さんを斬らはるつもりどすか?」 そんなことしたら、あんたの頭にペストルで穴空けてやる。 一つやない。指の二本も入るような穴を、三つも四つもな。 うちは、やると言ったらやる女やで-- お龍は、胸のうちで言った。  時は幕末。京都七条新地の旅館<扇岩>で働く楢崎龍(りょう)は、勤皇の志士の隠れ家で、土佐の坂本龍馬と出会う。龍馬はお龍に惚れ込み恋文を送り、後に祝言をあげる。その後日本を駆け巡る龍馬は、お龍に何度も恋文を送り続ける。 そして、寺田屋事件の夜、お龍の機転で、龍馬は間一髪命を救われる。 しかし、近江屋での夜、お龍はいなかった。お龍がいてくれたら、龍馬は間違いなく明治の日本を生きたはずだった。 龍馬の激動の人生に、お龍はどう絡んでいったのか。 龍馬がお龍に送り続けた恋文の中身はいかなるものだったのか? 「妻はくの一」「耳袋秘帖」シリーズなどで人気を博す風野真知雄が挑んだ、新時代の龍馬伝誕生。 ※この作品は単行本版『お龍のいない夜』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 朝日文庫時代小説アンソロジー 家族
    4.0
    居酒屋「だるま」を営むおつやは、姑との確執から13年前に離縁していた。夫のもとに残してきた一人息子のいまの暮らしぶりを耳にし、心が揺れる……(藤原緋沙子「雪よふれ」)。第一線の女性作家それぞれが「家族」をテーマに描く珠玉の6編。文庫オリジナル。
  • 慶喜暗殺 太鼓持ち刺客・松廼家露八
    3.0
    江戸幕府が倒れ明治に変わって混乱極める世。土肥庄次郎は元旗本。彰義隊に参加するも生き残り、旧幕臣を見殺しにしたあげく静岡に蟄居することになった最後の将軍・徳川慶喜を誅さんと付け狙う日々。同時期に静岡に滞在した、清水次郎長、坂本竜馬を斬った男といわれる今井信郎、唐人お吉、探検家・松浦武四郎らとの交流を交え、絶望の果て幇間として名を馳せた破天荒な男を描いた、書下ろし長篇時代小説。評論家・縄田一男氏の解説と推薦帯が付きます。
  • 突きの鬼一 鉄扇
    4.0
    弥佑死す!?そんなことがあってたまるか! 血相を変えて飛び込んできた北町奉行所同心・服部左門の一言が、一郎太と藍蔵を絶句させた。犯行現場の路地に横たわる弥佑は、正面から袈裟懸けに一刀両断されたらしい。 野次馬をかき分けるようにして弥佑の父・照元斎と検死医・源篤が現われた。正面から挑んで、弥佑ほどの遣い手を倒す者が江戸にいるとは思えない。 案の定、首筋に針の穴のような跡が見つかる。紫に変色した唇や指先は、弥佑が呼吸困難に陥った兆候だ。トリカブトを塗った吹矢を使用したに違いない、と照元斎が断言する。下手人は椎葉虎南、初老ながら並外れた業前の持ち主だという。 弥佑はこれまで陰になり日向になり、一郎太の身辺を警護してきた。さっそく、弥佑の住処を探し当てた一郎太は、文机に残された、誰が新田与五右衛門に漏らしたのか、と記された覚書を見つけて呆然とする。 新田は御広敷膳所台所頭の地位を利用して悪事を働き、一郎太に成敗されたばかりだ。弥佑が新田を調べていた!? では、新田が一郎太の命を狙っていると踏んで、秘かに警護しようとしていたのか。一郎太と藍蔵の必死の探索が始まる。 大好評書き下ろし痛快時代小説第8弾!
  • 二刀の竜
    -
    毒を盛られた同門の朋輩を刃にかけてしまった竜崎竜次郎。師匠の悪謀に嫌気が差した竜次郎は剣術を捨て、生まれ持った味覚の才を活かす料理の道に生きることを決意する。戦国の世に「天下一味勝負」の旗を立てて、包丁の腕での仕官の途を求め諸国をさすらう。水、塩、酒を選び、出汁を磨いて山海の食材を目利きするのだ。刀と包丁の二刀で戦国の世を渡る元剣客の包丁人・竜崎竜次郎の味勝負腕試し!〈戦国グルメ小説〉
  • 賤ヶ岳の鬼
    4.5
    柴田勝家の甥にして、鬼玄蕃の異名を持つ猛将・佐久間盛政。戦に幾度敗れても折れぬこの男を、信長は「諦めの悪い奴」と称した。柴田側として参戦した賤ヶ岳の緒戦では羽柴軍に大勝するも、やがて秀吉の調略により形勢は逆転。誰もが敗北を覚悟する中、盛政の眼だけはまだ死んでいなかった――。「戦国一諦めの悪い男」の鮮烈なる生き様!
  • 人生を豊かにする 歴史・時代小説教室
    3.0
    人気作家が創作の秘密を明かす 小説家を目指す人に向けた連続講義が書籍化。文章の書き方から資料の使い方、テーマの見つけ方まで、読めば小説を書きたくなる!
  • 炯眼に候
    4.7
    鉄砲をどう運用すべきか。 天候を予測することはできるのか……。 織田信長による戦の勝利の裏側には恐ろしいまでの合理的思考があった。 戦国の世、最も先を見据えていた男が最後に導き出したものは、 自らの死後、明智を破る秘策だった―。 独自の着眼で誰も見たことのない信長像に迫る、傑作短編歴史小説集。 解説・天野純希 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 千里の向こう
    4.0
    あなたはまだ中岡慎太郎という男を知らない! 龍馬とともに暗殺された中岡慎太郎。庄屋の家に生まれたいごっそう(頑固者)が謀略うずまく幕末を駆け抜けた。稀代の傑物の一代記。 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 雑賀のいくさ姫
    3.8
    イスパニアのイダルゴ(騎士)の家系に生まれたジョアンは、乗り込んだ船での内紛と難破のはてに、紀伊雑賀のいくさ姫、鶴に拾われる。鶴はカラベル船を修復した「戦姫丸」に乗って商いのためにジョアンらと南洋に向かうが、海賊や大名の思惑、そして過去の因縁に巻き込まれていく。雑賀、村上、毛利、大友、島津―戦国の西国大名オールスター水軍が、日本を狙う大海賊と雌雄を決する。戦国の海洋を縦横無尽に駆け巡る、傑作歴史ロマン!
  • 長城のかげ
    3.8
    劉邦にかげのように寄り添った男女たち 怠け者で口八丁の男が天下の覇者に――漢の始祖・劉邦の勃興から崩御後までを、敵、臣下、息子、学者など同時代人の目で描く連作集。 ※この電子書籍は1999年4月に文藝春秋より刊行された文庫の新装版を底本としています。
  • 圓朝
    3.0
    裏切り、怨念、なんのその! 「怪談牡丹灯籠」を生んだ近代落語の祖・三遊亭圓朝。精魂こめて仕込んだネタを師匠に奪われ、愛弟子に裏切られ、息子はスリで逮捕……壮絶な芸道を駆け抜け怪物となった圓朝は、「真景累ヶ淵」「死神」と数多の名作を生み出していく。不屈の魂に燃えた〈大圓朝〉の知られざる迫力の一代記。〈解説〉中江有里
  • 武田信玄と四天王
    3.0
    二〇二一年、生誕五百年を迎えた甲斐の虎、武田信玄。その活躍の影には、常に忠義を誓う四人の漢たちがいた―。馬場信春、山県昌景、内藤昌秀、高坂虎綱。後に武田四天王 と呼ばれる器量と軍才に秀でた強者たち。風林火山の旗印の下、信玄に天下を統一させんがために命を賭して熱く戦う四人の生涯。上杉家、北条家との戦い、上洛戦。激動の日々の中で彼らが掴んだものとは。◆文庫書き下ろし◆

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  • 麗しき花実
    -
    江戸琳派の仲でも近年、鈴木其一の人気が高まっている。 その鈴木其一が、作品中、重要な役割を果たす。 主人公・女蒔絵師・理野と其一が、それぞれのジャンルで、美を求めて切磋琢磨する関係から…。 物語の中で、「夏秋渓流図屏風」の着想を得る重要なシーンあり。 女と男の結ばれないまま、続く交情が感動を呼ぶ。 江戸琳派の世界、華やかな文化人交流には共に素晴らしい女性達の存在が…。 当時の根岸には、美術工芸や画家、文人などの一流の人々が集っていた。 その中に蒔絵にすべてを注ぐ女が一人。 美を生み出す陰に大量生産の工房システムがあり、主人公も其一もその矛盾に悩みつつ、独自の美を追究する。 …「夏秋渓流図屛風」は其一が正面から師、抱一と対峙した制作と位置付けられるだろう。 この作品は「噲々(かいかい)其一」の署名から、三十台半ばから四十代半ばの間に描かれたと知られる。 抱一の没後師風から解放され、其一なりの光琳画風の展開や、西遊の成葛飾葛飾北斎などの浮世絵風景画の 影響も指摘される。 しかしこの屛風の迫力に富む描写を目の当たりにした時、その根底に自然の景観を前にした其一の実体験があったことは充分可能考えられよう。 日記には宇治川の急流や布引の滝などほかの水流の写生も残されている。 一方其一が松江に寄った事実は「癸巳西遊日記」現行本からは確認することができない。けれども何処であれ、其一自身がその眼で見た実景、筆で掴み取った形態、心に刻み込んだ感動が「夏秋渓流図屛風」に確かに生かされていることをこの小説から教えられた。 こうした其一の清新な作風は、近年ようやく江戸絵画の中でもひときわ異彩を放つ存在として多くの人々に知られるようになった。 制作の複雑な背景を浮き彫りにしたこの小説に触発された読者も多かろう。 (解説より) 文政5年、蒔絵師の娘・理野は、兄と共に松江から江戸の原羊遊斎の工房を目指した。 羊遊斎の工房で、急逝したが、女の蒔絵師として、下絵から仕事が許される。工房の数物を作りながら、新しい美をもとめる理野。情念を込めた独自の表現を目指し、全てを蒔絵に注ぐ。 江戸琳派の酒井抱一、鈴木其一など実在の人物を絡め、描かれる美術工芸の世界と、やるせない恋。そして、職人魂を貫く潔い女の生き方が感動を呼ぶ。 ラストシーンで、其一の代表に連なる松江の山道からの風景が想像をかき立てる。凜と生きる女の潔さと情念が印象的な時代長編。
  • パライソの島
    -
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 江戸時代末期、信仰の自由と平穏を求めて、竹島探索に出かけた若者たちがいた。 本書は、差別と貧困の中で助け合いながら教会堂の建設をした五島列島の小さな島の物語である。
  • 小説 新選組チューボー録
    -
    天才料理人の父の指導を受け、プロ級の料理の腕前を持つ高校生・稲葉泉。そんな泉はある日、幕末にタイムスリップしてしまう! さらには、そこで出会った新選組・土方歳三に料理の腕を見込まれてしまい…!?
  • 突きの鬼一 饗宴
    3.5
    屋形船炎上!謎の浪人団めがけ、八艘飛び! お家騒動で殺された母・桜香院の四十九日法要は御成道沿いの天栄寺で行われた。参列者は嫡男・一郎太と正室の静、兄・一郎太の跡を継いだ北山藩当主・重二郎。それに一郎太の警護役にして無二の忠臣・神酒藍蔵、一郎太の江戸暮らしを物心ともに支える駒込土物店の差配・徳兵衛とその愛娘・志乃。 葉桜に目をやり、母の思い出に浸るかとみえた一郎太が場所柄もわきまえず、博打場に行くぞ、と言い出した。呆れ果てて絶句する藍蔵と、その場に顔を見せた興梠弥佑。弥佑はいわば病み上がり、一連の騒動で負った短筒の傷が快方に向かい始めたばかりだ。 博打には勝ったが、好事魔多し。一郎太ら三人は大川を舟で戻る途中、その後、思いもよらぬ経緯を辿ることになる怪事件に遭遇する。一艘の屋形船を取り囲む四艘の猪牙舟。襲撃者は浪人者十数人。やおら猪牙舟から火矢が放たれた。炎に包まれる屋形船に飛び移った一郎太が目にしたのは、幕府の要人と思しき二人の人物。しかも、その一人には見覚えがあった。 自由気ままな江戸暮らしに、次から次に持ち上がる難事件。鬼一シリーズ新たな展開! 大人気シリーズ! 大好評書き下ろし痛快時代小説第7弾。
  • へぼ侍
    3.6
    西南戦争を痛快に描く、松本清張賞受賞作。 大阪で与力の跡取りとして生まれた志方錬一郎は、明治維新で家が没落し、商家へ奉公していた。 時は明治10年、西南戦争が勃発。 武功をたてれば仕官の道も開けると考えた錬一郎は、意気込んで戦へ参加することに。 しかし、彼を待っていたのは、落ちこぼれの士族ばかりが集まる部隊だった――。 解説・末國善己 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本『へぼ侍』を加筆・修正した文庫版を底本としています。
  • 大士の譜 —天平の僧 ⽞賓僧都—
    -
    奈良時代の最盛期。南都六宗のひとつ「法相宗」六祖の一人に数えられる、実在した気高き僧の生涯。 万葉集など貴族的文化が花開く中、若くして法相学や医方明を学び頭角を現していく玄賓(げんぴん)。尼僧の妙華に出会い恋心を抱くも、ストイックなまでにその感情を抑え込み興福寺での修行に励むが、同じく修行をしていた宝源(ほうげん)の妬みによって女犯の禁を犯しているという誹謗中傷にあい、更なる修行を積むため北国へ乞食行に出るのだった。鎮護国家思想が強くなり、国家による庇護を受けた寺院の勢力や規模の拡大で私利私欲に走る僧が出てくる時代にありながら、高僧にのぼり詰めてもなお民のために身を賭し続けた八十五年を描いた、心震える歴史小説。 <著者紹介> 村上茂之(むらかみ・しげゆき) 1947年 愛媛県に生まれる 1971年 佛教大学卒業 豊中市役所に奉職 2008年 豊中市役所 定年退職 2011~2021年 戸世山蓮明寺法務に従事 著書に「蘇る天平の浪漫―伊賀四国八十八ヶ所霊場第二十八番札所蓮明寺の伝説より」2017年/文芸社

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  • 明治叛臣伝
    3.0
    明治維新前後の混乱期。官軍となった薩摩・長州藩士の中には、心驕って汚職や不正を働く輩も。このため、一般民衆の生活はあまり向上せず、かえって負担が重くなり、苦しくなった。 新政府の不正を暴き、理想の世を築くために、欲も野心もなく、純粋な情熱を傾けて戦った男たち。反逆者の汚名をうけ、空しく命を失った彼らの波乱に満ちた生涯を描く傑作歴史小説。
  • 風待ちのふたり 薫と芽衣の事件帖
    5.0
    【ハヤカワ時代ミステリ文庫】歳の差の逢引き、姫君の犬の捜索、盗まれた富籤の行方、ある店が隠す陰謀――岡っ引きの薫と下っ引きの芽衣が一緒に事件に挑む。かたい絆で謎を解くふたりの爽やか事件帖
  • 赤い風
    -
    前代未聞の開拓事業「三富新田」を描く長編歴史小説 荒涼とした原野を二年で畑地にせよ――。川越藩主柳沢吉保は無謀な開拓を命じる。軋轢を抱える武士と農民の共同事業は成功するのか。 武蔵野原野は赤土で水源に乏しく、田畑は拓けない。 秣場(まぐさば)に利用する村々の争いを止めるため、川越藩主柳沢吉保は荒野の開墾を命じる。 だが、家老の嫡男・啓太郎は、侍を憎む百姓の正蔵と衝突、互いに反目して計画は進まない。 二年の期限が迫るなか、下役人が不審な死を遂げて……。 大地に生きる人々の歴史長編。 解説・福留真紀 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 幕末 暗殺!
    4.5
    定説は覆されるのか? 真犯人の驚きの動機とは? 幕末の江戸で、京で、多くの命が刺客によって闇に葬られた。暗殺――。彼らはなぜ殺されなければならなかったのか。血塗られた歴史の暗がりに、7人の作家が、想像力と推理と筆で光を当てる。実力派たちが江戸末期の政局の暗部に斬り込んだ、大好評オリジナル競作アンソロジー。   谷津矢車×桜田門外の変◆「竹とんぼの群青」 早見俊×塙忠宝暗殺◆「刺客 伊藤博文」 新美健×清河八郎暗殺◆「欺きの士道」 鈴木英治×佐久間象山暗殺◆「血腥き風」 誉田龍一×坂本龍馬暗殺◆「天が遣わせし男」 秋山香乃×油小路の変◆「裏切り者」 神家正成×孝明天皇毒殺◆「明治の石」
  • 騎虎の将 太田道灌 上
    3.3
    関東公方家はもはや滅亡し、坂東の差配は関東管領たる上杉一門が担っていた。 その一翼、扇谷上杉家の家宰が太田家だ。 太田家の跡取り・資長(後の道灌)は、関東の支配権を巡り勢力を二分する大戦乱のさなかで、 合戦の戦略にも在地経営にも突出した才覚を現していく。 道灌は、いかに戦い、いかに生き延びたか。 坂東を席巻した出来星武将の波瀾の生涯を描き尽くす戦国歴史大河小説! 【上巻目次】 第一章 万人恐怖 第二章 将軍のいない国 第三章 曙光 第四章 江ノ島合戦 第五章 関東管領謀殺 第六章 分倍河原の戦い 第七章 関東二分 第八章 江戸城築城
  • 乱丸 上〈新装版〉
    -
    猛将・森三左衛門の三男として美濃・金山城に生をうけた森乱丸。 それは織田信長が天下布武を決意した年のことだった。 やがて才気溢れる若者に成長した乱丸は、天下人を目指す信長の側近くに小姓として侍ることになる。 魔王の覇道を共に歩む近習衆、そして名だたる戦国武将たち。 美しき若武者の目に映じた彼らの姿と心の裡とは……。 主君の大望を果たすため、乱丸は自らの命を賭ける! (宮本昌孝✕火坂雅志「特別対談」を収録) 【目次】 第一章 氷渡り銀狐 第二章 天下布武の子 第三章 初恋 第四章 安土へ 第五章 山百合 第六章 二条御新造 第七章 北国の風雲 第八章 猿の綱渡り 第九章 信長の烈火 第十章 名月相撲 第十一章 龍の玉 第十二章 乱丸、変貌 第十三章 刺客 第十四章 兄弟、揃う 第十五章 母の書状 対談 「格好いい男」を書きたい!
  • かちがらす 幕末の肥前佐賀
    4.0
    維新の礎を作った佐賀藩主・鍋島直正の生涯。  若くして佐賀藩主となった鍋島直正。財政難に苦しむなか城が火事になるが、それをきっかけに藩の改革を進めた。長崎警備を任されていた佐賀藩は、外国船の進入が増え、中国がアヘン戦争でイギリスに敗れたことに危機感を覚えた。  直正は軍事力で世界に負けないように、最新の大砲や銃、西洋流の船の建造を藩で行うための人材を登用した。耐火煉瓦を作っての反射炉の建設、鉄の鋳造、大砲の製造は、いくつもの難関を乗り越えて成し遂げられた。三重津には、藩独自の海軍学校を設けた。  また、幼い息子の淳一郎にいち早く種痘を受けさせ、普及を促した。  藩主を16歳の直大に譲って隠居した直正は、〈日本を外国列強の属国にしない〉〈幕府側と倒幕派との内乱を回避する〉という思いを、諸大名や公家に伝えていった。最新の軍事力を誇る佐賀藩は、幕府側・倒幕派ともに頼りにされる存在だった。  欧米諸国が開国を迫り、攘夷を叫ぶ諸藩が戦火を交える中、体調を崩しながら、直正は徳川慶喜との会見に臨む。  島津斉彬、井伊直弼、江川坦庵、田中久重、勝海舟、江藤新平、大隈重信……。多士済々の人物と交流し、明治維新の礎を作った鍋島直正を描いた長編小説。 ※この作品は単行本版『かちがらす ~幕末を読みきった男~』として配信されていた作品の文庫本版です。
  • 悪左府の女
    4.3
    悪左府・藤原頼長から女官に下された密命とは? 平安ピカレスク小説誕生! 平安時代の末、藤原の氏の長者・藤原頼長は冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」というという異名で呼ばれていた。 己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、下級貴族の娘だった。 琵琶の名手である娘は下された密命のため帝の傍に送り込まれる。 時代の変わり目に彼女が見たものとは。 謎とスリルに満ちた長篇宮廷小説。 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年6月9日に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 童の神
    4.4
    「世を、人の心を変えるのだ」「人をあきらめない。それが我々の戦いだ」――平安時代「童」と呼ばれる者たちがいた。彼らは鬼、土蜘蛛……などの恐ろしげな名で呼ばれ、京人(みやこびと)から蔑まれていた。一方、安倍晴明が空前絶後の凶事と断じた日食の最中に、越後で生まれた桜暁丸は、父と故郷を奪った京人に復讐を誓っていた。そして遂に桜暁丸は、童たちと共に朝廷軍に決死の戦いを挑むが――。差別なき世を熱望し、散っていった者たちへの、祈りの詩。 第10回角川春樹小説賞(選考委員 北方謙三、今野敏、角川春樹 大激賞)受賞作にして、第160回直木賞候補作。
  • 海賊とよばれた男(上)
    4.3
    すべてのビジネスマンに捧ぐ。 本屋大賞の話題作、早くも文庫化! ページをめくるごとに、溢れる涙。これはただの経済歴史小説ではない。 一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。 石油は庶民の暮らしに明かりを灯し、国すらも動かす。 「第二の敗戦」を目前に、日本人の強さと誇りを示した男。
  • 義将 石田三成
    -
    戦国の要衝地近江の国に生まれ、秀吉に才覚を 見いだされた三成は太閤の天下統一に誰よりも貢献していく。 秀吉の死後、独断専行を続ける家康の動きに、主家の滅亡 を防ぎ、天下安堵のため一身を捨てて立ち向かっていく…。 盟友・大谷吉継、剛将・島左近との交誼を折り込み、戦国の ハイライトである関ヶ原へ向かうダイナミックな人間模様と 義将の生涯を描く長編歴史小説。◆文庫書き下ろし◆

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  • エスパーニャのサムライ 天の女王
    4.0
    17世紀、無敵の王国エスパニア(スペイン)の地を踏んだ慶長遣欧使節のなかに、彼の地に止まった二人のサムライがいた-- 武士の誇りを捨てず、鮮やかに剣を遣う小寺外記と瀧野嘉兵衛は「男の中の男」と称えられ宮廷で人望を得る。だが、フランス・イギリス、バチカンらエスパニアを狙う権力闘争は激化し、二人は巨大な隠謀に巻き込まれていく。現代セビーリャと絢爛たる往時のマドリードを舞台に描く歴史冒険活劇。
  • 小説 蜂須賀重喜 阿波藩財政改革
    -
    江戸時代は宝暦年間、9代将軍・家重の世。阿波藩の峰須賀家に入った重喜は、火の車であった藩財政の改革に着手し、画期的な提案を行う。ところが、ことごとく陋習に縛られた重臣たちの反対にあう。さらに、江戸幕府・田沼意次の陰謀も進み、平島公方の騒動も無視できない。阿波藩の経営改革を追う、長篇歴史小説。
  • 三国志 英雄ここにあり(上)
    4.0
    後漢・霊帝の皇基衰えて天下は乱れ、劉備玄徳は、関羽、張飛と義を結んで、黄巾賊討滅に起き上がった。都の洛陽で大将軍何進の後を襲うは、曹操か、袁紹か? 河南では大軍を擁する菫卓が、はるか洛陽の空を望んでいた。治乱興亡――国造りの戦国絵巻を雄大なスケールで描く、興趣横溢の長編小説。吉川英治文学賞受賞作品。<全3巻>
  • 真田疾風録 信之と幸村
    4.0
    家を守るか? 武名をあげるか?――関ヶ原合戦で、真田家の兄弟はそれぞれの道を選んだ。兄・信之は父・昌幸と袂を分かって東軍に属し、徳川幕府の下で家の存続と発展に腕を振るう。父とともに西軍について敗者となった弟・幸村は、雌伏のときを経て大坂の陣に参加、天下人・家康に挑む。戦国乱世から天下泰平へと移りゆく時代に、己の使命を背負って戦う兄と弟を描いた力作長篇小説。
  • 楠木正成と足利尊氏
    -
    鎌倉幕府滅亡から南北朝の動乱へ! 千早城に籠もって、幕府の大軍を翻弄した神算鬼謀の名将・楠木正成。名門の家に生まれ、武家の棟梁としての信望を集める足利尊氏。後醍醐天皇の倒幕運動に身を投じた二人の英傑は、互いに惹かれるものを感じながらも、建武の新政において敵と味方に。そして、湊川の決戦へ……。新しい時代に向かって、己の道を進んだ男の姿を描く力作長篇小説。
  • 上杉三代記 為景・謙信・景勝、北国の覇者の系譜
    3.0
    永正四年(一五〇七)、十九歳の越後国守護代・長尾為景は守護・上杉房能を討ち、下剋上の激流に身を投じた。越後一国支配を目指す戦いは軌道に乗るかに見えたが、自らが据えた守護・上杉定実や国人・土豪の叛乱によって一進一退の状況に陥り、為景は志半ばで没する。しかし、兄の晴景から長尾家を譲り受けた景虎(謙信)が、「軍神」とも称される卓越した戦を展開して越後の掌握を成し遂げる。さらには、武田信玄、北条氏康に追われた信濃や関東の諸将を助けて出兵を繰り返すと共に、関東管領・上杉家を相続して「天下のための戦い」に邁進した。後継者を決めずに急死した謙信の跡目争い(御館の乱)に勝った景勝は、織田信長の攻勢を受けて滅亡寸前まで追い込まれたが、本能寺の変で窮地を脱する。その後、関白・豊臣秀吉に臣従し、秀吉が死ぬと、天下取りに動き出した徳川家康に迎合せず、「義」の戦いに臨む……。越後が生んだ名将三代を描いた力作長編小説。
  • 石舟斎・宗矩・十兵衛 柳生三代記
    3.0
    「徳川将軍家の剣術」として、天下に広く知られた柳生新陰流。しかし、そこに至る道筋は決して平坦なものではなかった! 大和の一土豪の家に生まれ、剣聖・上泉伊勢守秀綱の門弟となり、柳生新陰流を打ち立てた石舟斎(宗厳)。彼の人生は、筒井順昭・順慶父子や松永久秀に属して戦塵にまみれる、波乱に満ちたものであった。そして、その柳生新陰流をもって徳川家康に仕え、将軍家兵法師範となる息子の宗矩。豊臣政権によって領地を没収された柳生家の再興を成し遂げた彼は、治世に生かす剣の道を模索していく。さらに宗矩の嫡男に生まれ、祖父・石舟斎のごとく傑出した才能に恵まれた十兵衛三厳。父に反発しながら純粋一途に剣の道を追求していく彼は、新たな境地へと足を踏み入れる……。戦国争乱から江戸時代の泰平へと世の流れが移り変わる時期、それぞれに「剣」を極めるべく歩み続けた柳生家の三代、石舟斎・宗矩・十兵衛の人生を描いた力作長編小説。
  • 小説 松平三代記 清康・広忠・家康、三河から天下へ
    3.0
    戦国乱世を完全に終わらせ、天下泰平の時代を切り開いた徳川家康。その偉業の陰には、祖父・松平清康、父・松平広忠の二代にわたって続いた悲劇の歴史があった。松平清康はわずか十三歳で宗家の家督を継ぐと、疾風のごとく大地を駆け巡り、三河全域の統一をなしとげた英傑だった。しかし、戦陣で家来に襲われて思いがけない最期を遂げ、三十五歳にして天下を目指す覇業は挫折してしまった。清康の突然の死は嫡男・広忠に命の危険と苦難の人生をもたらした。その不遇に耐え、自立を模索して苦闘した広忠もまた家来の手にかかって若い命を落とした。人質の境遇から戦国の世に人生の第一歩を踏み出した家康は、二代続いた負の連鎖を断ち切り、戦国大名として飛翔する。そして、祖父、父が示した二つの生き方を我が身のうちで一つにまとめあげ、「戦のない時代」の礎を築いた。乱世の波に翻弄されながら、戦い続けた松平三代の男たちを描き出した力作長編小説。
  • 白村江
    4.2
    ●歴史・時代小説ベスト10(週刊朝日/2017年)第1位 ●歴史時代作家クラブ賞作品賞受賞 ●本屋が選ぶ時代小説大賞2位 白村江の戦いの“真の勝者”とは――東アジアを舞台にした歴史大河小説の文庫版を電子書籍化! 六六〇年、唐・新羅連合軍によって百済は滅亡、王とその一族は長安に送られた。遺された王族は倭国へ亡命していた豊璋ただ一人――。新羅の金春秋、高句麗の泉蓋蘇文、倭の蘇我入鹿、葛城皇子(のちの天智天皇)……各国の思惑は入り乱れ、東アジアは激動の時代を迎える。大化の改新、朝鮮半島の動乱、そして白村江の戦いへと連なる歴史の裏でうごめいていた陰謀とは。圧倒的スケールで描かれた感動必至の長編小説。
  • 孟夏の太陽
    4.8
    為政者の徳とは何か。 現代にも通じる王と宰相の関係を描く長篇! 古代中国・晋の宰相として国を支え続けた趙一族の盛衰を、 歴史と運命への透徹した視点をもって描いた初期の傑作長篇。 中国春秋時代の大国・晋。 この国の重臣を代々務めた趙一族。 太陽 の如く酷烈な趙盾、族滅の危機に瀕した趙朔、 名宰相・趙武、王子 朝の乱を鎮定した趙鞅、その子趙無恤……。 二百年にわたる一族の興亡を、透徹した歴史観と清冽な筆致で描いた著者初期の傑作。 指導者に求められる「徳」のありようをめぐる物語。 解説・平尾隆弘 ※この電子書籍は1994年に刊行された文春文庫の新装版を底本としています。
  • ミイラ志願
    5.0
    即身仏を志す盗賊の心情、信長の影武者をめぐる謀略、蹴鞠(けまり)に入れあげ乞食に身を落とす今川氏真の運命、討入りを脱落した高田郡兵衛の苦衷、首斬り浅右衛門家に養子に入った男の巧妙な計算……。「志願」というユニークな視点から歴史の謎を切りとった、9編の意欲連作。多年、本格推理界をリードしてきた著者が、卓抜な着想と絶妙の語り口で、我意と妄執に憑(つ)かれた人間のすさまじい情念の世界を抉り出す!
  • 主君 井伊の赤鬼・直政伝
    4.0
    その男は、たった一人の井伊家再興の希望だった──。 お前の“主君”はだれだ? 人は何のために人に仕えるのか。 家康に寵愛され、その苛烈さから「赤鬼」と呼ばれた井伊家第17代当主・井伊直政の生涯を、家臣・木俣守勝の目を通して描く。 EXILE/三代目J SOUL BROTHERSの小林直己さんによる前代未聞、怒濤の1万字解説「苛烈で、繊細で、孤独で、その瞬間、一人だけ共にいた」を掲載。 「『忠義とは何か。お前は誰に仕えているのか。そして天命とは』 本書から投げかけられたこの問いに対し、現代を生きる我々と、僕自身のバックグラウンドであるEXILEを比較対象とし、答えを模索していきたい」(解説より) たった一人の井伊家再興の希望として、直虎はじめ一族の願いを一身に背負い、徳川幕府譜代筆頭にまで登りつめた直政。 戦になれば大将自ら一番槍で突っ込んでいき、命を惜しまない直政に終始振り回されながらも生涯支え続けた守勝。 対照的な性格から、守勝は直政に反発に似た感情を抱きながらも、我が身を守ることを知らぬ苛烈さに惹かれていく。 その二人の今生の別れは、苦い悔いに満ちたものだった。 数多くの作品が映像化、漫画化されている著者の初めての歴史小説が、大河ドラマに先駆けて井伊直虎を描いた『剣と紅』。これに続き、井伊家第17代当主・井伊直政を描いた歴史小説二作目。 ※この電子書籍は、2017年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 葵の残葉
    4.2
    新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞W受賞! 維新に放浪された高須松平家の四兄弟。 石高わずか三万石の尾張高須の家に生まれた四兄弟は、縁ある家の養子となる。 幕末の激動期、官軍・幕府に別れて戦う運命に。 御三家尾張藩主となり、いち早く官軍についた次男・慶勝。 一橋家を継ぎ維新派と交渉した五男・茂栄。 美貌と高潔で知られた会津藩主、六男・容保。 京都所司代として兄・容保を補佐し、最後まで転戦した八男・定敬。 兄弟の誰か一人でも欠けていれば、幕末の歴史は変わった――。 埋もれた歴史を活写する傑作長篇小説! 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • その男(一)
    3.8
    1981年に文庫化されて以来、46刷まで重ねている池波正太郎のロングセラーが新装版に。 池波正太郎の“もっとも愛着のふかい”長篇小説! 過酷な運命の少年、杉虎之助が、動乱の世を斬り開く――。 杉虎之助は微禄ながら旗本の嫡男。生来の病弱に加えて義母にうとまれ、そんな我が身を儚んで十三歳のとき大川に身を投げるが、謎の剣士・池本茂兵衛に助けられた。この日が波瀾の人生の第一歩だった。 幕末から明治へ、数奇な運命を辿った直参の剣士の生涯を描きつつ維新史の断面を見事に剔る異色の長編小説。 ※この電子書籍は1981年に文藝春秋より刊行された文庫版を、新装版として刊行したものを底本としています。
  • 始皇帝 中華帝国の開祖
    3.7
    始皇帝は“暴君”ではなく“名君”だった!? 『キングダム』で話題のえい政=始皇帝のすべてがわかる必読の書! 世界で初めて政治力学を意識し、中華帝国を創り上げた男。その人物像に深く迫りつつ、現代にも通じる政治・経営学を解きあかす。 自らを「始皇帝」と名乗るに至った男、えい政。乱世に終止符を打ち、中華帝国を統一した男は暴君なのか、それとも英雄なのか? 3歳まで人質として過ごした幼少期、兄との熾烈な玉座争い、家臣との相克――。天賦の才覚と不屈の精神力で過酷な運命のもとに勝ち上がった男の真実を浮き彫りにする、不朽の名著。 「崇高な争い」は感動的で、しかも美しい。 だから「歴史」でそういう場面に出会うと、夜なら眠れない程に興奮する。 ――著者「文庫版あとがき」より 解説・冨谷至 ※この電子書籍は1995年9月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を新装版として刊行したものを底本としています。
  • 柳生石舟斎
    -
    剣聖・上泉伊勢守を柳生の里に迎えた宗厳(石州斎)は、剣聖の剣技に心酔し、師と仰ぐ。 戦国乱世の非道な殺し合い中で、「剣の道は、殺傷のみを目的にするのではない」と気づき、修練を重ねて、ついに秘技「無刀取り」を会得。その子宗矩は、将軍家の兵法指南として、柳生の剣を後世に伝える道を拓く。 天下の指南役、柳生一族の礎を築いた男の波瀾の生涯を描く。(『柳生一族』改題)
  • 忍びの者 忍び砦のたたかい
    -
    関ヶ原の役後、天下統一を目ざす家康は、冷酷非情なまでの豊臣潰しを画策。風雲急を告げる大坂城に、真田忍者群は精巧な手投げ弾、犬・猿・蛇から鼠まで奇抜な武器を駆使して、壮絶な死闘を展開した。
  • 忍びの者 真田忍者群
    -
    太地の浦で一番の鯨漁師・霧隠才蔵、山伏修行の三好清海、そして服部半蔵率いる忍者の群から生まれでる、海野六郎・筧十蔵。太閤秀吉の朝鮮の役を背景に、忍者伝説の生まれでる源流を鋭く抉った大作!
  • 忍びの者 五衛門釜煎り
    -
    忍者から足を洗った石川五右衛門は、妻マキと紀州雑賀(きしゅうさいが)で百姓暮らしを送る。だが、信長の死後覇権を握った秀吉の残忍な雑賀・根来攻めで、マキを殺された! 復讐に燃え、五右衛門は秀吉の首を狙ったが……。?
  • 春日局(三)
    -
    密命を帯びた福は伊勢参宮と清水寺詣でにと上洛して禁中に参内。従三位春日局の称号を賜った福は、家光の幕閣作りに参画し、大奥では家光の男色を直して多くの側室を配し、徳川の天下を築いていく。波瀾万丈の完結編!
  • 春日局(一)
    3.0
    「狙いは本能寺にあり」――明智光秀の采配で、幼い福の運命は一変した。父の非業の死、一家離散、激変する境遇の中、女が「天下を取る」には……。三代将軍家光の乳母として、大奥に威勢を振るった女の生涯を描く大作!
  • 幸村
    -
    流星の陣――「己という樹に花を咲かせる道」を選んだ真田幸村は、父・昌幸と練り上げた必殺の陣形を胸に秘めていた。徳川との来るべき戦いに向け、長宗我部盛親、塙団右衛門、明石全登らを味方に引き入れる幸村。さらに希代の忍者・猿飛佐助、真田忍び衆を束ねる霧隠才蔵、怪力の海野小平太、幸村の影武者を務める禰津小六、弁舌に長けた望月善太夫に加え、関ヶ原で死んだはずの島左近……。真田丸の激闘から大坂夏の陣へ。彼らを従えた幸村“最後の戦い”の幕が上がる!
  • 三国志演義被害者の会 上
    -
    紀元一八〇年頃から二八〇年の三国時代から千年以上後、明の時代に成立した小説、『三国志演義』。今日まで続く三国志人気の原動力となった、大ベストセラーです。劉備、諸葛亮、関羽、張飛といった英傑達が活躍する、壮大な歴史スペクタクル。しかし、その英傑達の活躍の陰には、実際には優れていたにも関わらず、残念な役割を演じさせられた『三国志演義被害者』が大勢います。多彩な被害者達が、会長・周瑜、副会長・魯粛、ご意見番・曹操と共に、会話形式で、自らの実像に面白おかしく迫ります。まずは上巻。英雄、豪傑、智謀の士。彼らの魂の叫びを聞け!
  • 天狗藤吉郎 上
    -
    藤吉郎は5歳にして、木曾山中に隠れ住む天狗党に預けられた。2年間、忍者と同じ修行を積み、読み書きも習った。その後、各地を放浪し、裏切りに会い、苦労を重ねた末に、ついに織田信長と出会う。藤吉郎は要領のよさと才覚で出世していくが、その陰には、天狗党時代から彼を見守ってきた山の民・三郎太の援助があった。
  • 三人孫市
    4.0
    付言しておきたいのは、信長の最大のライバルは、……やはり大坂本願寺であるということだ。そして、その本願寺の軍事力を支えたのが雑賀衆であり、その頭目が「雑賀孫市」だった。(解説/和田裕弘。中公新書『織田信長の家臣団』『信長公記』著者) ときは戦国、織田・浅井・三好ら大大名がしのぎを削るただ中に、紀州・雑賀庄はあった。彼らに転機をもたらしたのは、八咫鴉を祀る夜に蹌踉と現れたひとりの老人。刀月斎を名のる男は、頭領〈雑賀孫市〉を父にもつ三兄弟それぞれに、奇妙な形をした鉄炮を与えたのであった……。 病身を抱えながら鉄炮兵法を編み出す長男・義方、豪放磊落にして武威赫々たる次男・重秀、入神の域に達した狙撃の腕を持ちながら心を閉ざす三男・重朝。兄弟で〈雑賀孫市〉を襲名した彼らは、異なる道を歩み、異なる志を秘めながら戦乱の世を駆け抜ける! いま最も勢いに乗る歴史作家・谷津矢車が放つ硝煙たなびく合戦絵巻!!
  • 城盗り秀吉
    -
    大大名出世の陰に風魔忍者! 「天下をとる」と予言した藤吉郎の出世、幸運の裏にある意外な謎とは……? 三郎太ら山の民の陰の援助と、自らの才覚で出世した藤吉郎は、風魔の雷太やお桂も味方につけ、情報戦を勝ち抜く。信長の上洛、姉川の合戦で功をたて、墨俣城と横山城を得る。さらに浅井長政を自刃に追い込み、小谷城の城主となる。秀吉の「城盗り」の未知の部分を、斬新な解釈で、「本能寺」前夜までを描く時代小説!
  • 新選組
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 現代に遺る幕末期の古写真や肖像画を繋ぎ合わせ、かつての景色と大衆を見事に蘇らせる「黒金歴画」。本書はその第一作目にあたり、ベストセラー作品の文庫化版を電子書籍化。近藤勇、土方歳三らが、尽忠報国の志を胸に結成した新選組。その集団人間劇を、シュールにコミカルに捉えながら、当時の風景を描いていく。構成は新選組最大の事件「池田屋騒動」に始まり「箱館戦争」まで、主だった事件を一つの章とし、全45編に分かれる。史料を渉猟し綿密な検証に基づく物語は、決してヒーローを作ることなく距離を置いた接し方で進行し、ユーモラスな漫画表現に潜む真実が、時には乾いて時には重みを増して伝わってくる。歴史認識の新しい手段がこの歴画という言葉で表現されているのである。また、文庫収録にあたり、新発見の話題を提供するため「新選組發見傳」26編を新たに書き下ろし増補。傑作と賞された単行本からさらにボリュームアップして登場!
  • 緋色の華 新徴組おんな組士 中沢琴 上
    4.7
    (上下共通)あの土方歳三も一目置いた美人剣士、中沢琴! 「おまわりさん」の語源は、新徴組にあり。 浪士組募集の檄文に応じ、法神流をひっさげて臨んだ伝通院での立ち合い。女と侮る男どもを徹底的に叩きのめして名をあげた琴。清河八郎らが立ち上げた新徴組に加わり、幕末の動乱期、幕府方の有力武闘集団として京、江戸、奥州で激闘を繰り広げる。 お国のためにという少女の純粋な思いは、やがて時代の激流に飲み込まれ、正義の在り方を問う苦いものに変わってゆく。いつの間にか自分たちが朝敵となって追いつめられる理不尽さとも闘いながら、目の前の敵を斬り伏せていく琴。その姿は健気で美しい。 赤城山の麓、利根郡穴原村に生まれ育った中沢琴。法神流を受け継ぐ家に生れ自身も研鑽に励み、身に着けた剣術は豪放にして苛烈。男でも敵うものは少ない。腕を買われ異例の抜擢をされた琴だったが、立ち上がったばかりの新徴組での勢力争いなどに翻弄される。そんな彼女は、ひそかに慕う土方歳三とともにあることを喜びとしながら、組士としての任務に精を出す。しかし、新徴組の存在自体が時代の鬼っ子となりつつあるとき、土方は京に新選組として残ることになり、琴の淡い恋は消える。江戸に戻って市中見廻りに精勤する琴たちは、いつしか江戸の庶民たちに「おまわりさん」と呼ばれ頼りにされるようになる。そんな琴らを悩ませていたのが、薩摩藩士たちによる狼藉だった。 彼らは江戸を騒乱状態にするために罪もない民衆から略奪し殺戮を繰り返す。ある日、琴が親しくしていた町家に押し込みが入り家族が惨殺された。その首謀者は討幕の大義とは縁の薄いただの異常殺人鬼・弓張重兵衛と判明。新徴組による三田薩摩屋敷襲撃の際に弓張を取り逃がした琴は、どこまでも追い詰めることを誓う。しかし、錦の御旗を掲げる薩長討幕軍の勢いは物凄く、新徴組も江戸から奥州へと落ちてゆく。庄内藩として戊辰戦争を戦うことになった新徴組は各地で無敵を誇るが、いかんせん多勢に無勢。しかもいまや朝敵。明日をも見えぬ戦いの中、琴は宿敵弓張とついに剣を交えることになる。果たして復讐は成就するのか⁉ 第一章 浪士組(伝通院での武勇伝) 第二章 上洛(土方歳三との交流) 第三章 策謀、そして瓦解(清河八郎暗殺) 第四章 新徴組誕生(暴れインド象を抑えて喝采) 第五章 新徴組士、中沢琴(松平権十郎との出会い) 第六章 鎮静(江戸市中の信頼を得る) 第七章 恋華(土方との別れ) 第八章 神田明神外(狼藉旗本を斬り捨てる)
  • 隋唐演義(上)
    3.0
    隋を建国した楊堅(ようけん)、晩年には酒色に溺れ、なんと息子の楊広(ようこう)に謀殺されるという憂目にあう。ところが楊広もまた、即位し煬帝(ようだい)となるや、全国から1000人を超す美女を集め、遊びにふける始末だ。当然、その隙をついて、在野の英雄たちが動きだす。皇帝と盗賊、英雄と悪女たちが入り乱れ、隋末唐初への歴史ドラマが幕を開ける! 『封神演義』に匹敵する面白さ。中国史上もっとも華やかな、隋唐の乱世を描き切る、歴史スペクタクル。
  • 春秋戦国志(上)
    3.9
    中国故事名言の9割以上を産んだとされる春秋戦国時代は、また、国家形態の原型が造られ、諸子百家などすぐれた思想家を輩出させた、世界的に稀有な時代でもあった。その550年を軽妙につづる、出色の歴史物語。本巻は東周王朝成立から、管仲、鮑叔が大活躍する斉桓公の「覇王時代」までを描く。(全3冊)
  • 河井継之助 信念を貫いた幕末の俊英
    -
    司馬遼太郎氏の小説『峠』で一躍脚光を浴びた河井継之助。幕末に越後長岡藩の執政となった継之助は、破綻寸前だった藩財政を立て直し、またガトリング砲を始めとする軍備の近代化を推し進め、長岡藩を雄藩へと導いた。「わが郷国長岡への気持ちと武士の義を両立させたい。官軍からも会津からもわが封土を守り、わが藩の力で薩長と会津との間に和をもたらすのだ」……大政奉還により、日本が朝廷側と旧幕府側の二つに分かれて戦った戊辰戦争が勃発。継之助は、当時では最高水準の洋式軍備を背景に、長岡藩の官軍・旧幕軍の双方からの局外中立を策した。しかし、官軍との交渉は決裂。ついに官軍との戦争へと突入した。一時は居城長岡城も官軍の手に落ちたが、継之助指揮の奇襲により奪還。勝利の喜びもつかの間、官軍の怒涛の反撃が継之助を襲う……。類い希なる先見性と実行力を持ちながらも、義と信念に殉じて散った凄烈な生涯を描く、渾身の長編歴史小説。
  • 独眼竜政宗(上)
    4.0
    時は戦国たけなわ。奥羽の名流・伊達輝宗の嫡男を病魔がおそった。疱瘡! 危く一命はとりとめたが、悪疫は彼の右眼を無残に奪った――独眼竜政宗の誕生である。だが、多難の前途を暗示するかのようなこの不幸に政宗はくじけなかった。国盗りに明け暮れる激動の荒海に、彼はさっそうと乗り出した!〈全二冊〉
  • 朝焼けの賦 小説・村田新八
    3.0
    明治政府に、村田新八という男がいた。外国視察から帰ると、政府の重鎮の西郷隆盛と大久保利通が、意見の対立から袂を分けていた。西郷を師と仰ぐ新八だが、大久保も知らぬ仲ではない。2人の間で驚き、戸惑い、心は揺れる。国に戻った西郷のもとを新八は尋ねるが……。動乱の時代を生きた傑物を描く、長編歴史小説。西郷隆盛と大久保利通に翻弄された男の生涯。
  • 新装版 森蘭丸 乱世を駆け抜けた青春
    -
    天下人である織田信長の寵愛を一身に集めた、美貌の小姓・森蘭丸。しかし彼の母は、信長の宿敵である本願寺に深く信仰を寄せる。主君への忠誠と、母子の絆の間で葛藤する蘭丸。そんな最中に彼は、母の信仰と相容れぬキリシタンの娘を愛してしまった――。複雑な人間関係の綾に悩みながらも、その秀でた才知と克己心で、決して挫けず青春を燃やし続けた乱世の若者の姿を活写する傑作歴史小説。
  • 沖田総司(上)
    3.8
    幕末……それは現体制の打倒、徳川幕府の覆滅のとき。しだいに血の旋風で彩られてゆく京の治安を維持すべく、浪士徴募に応じて結成された新選組。その新選組の内部では、近藤勇を初めとする、土方歳三、沖田総司ら誠衛館の一統と、水戸浪人・芹沢鴨を首領とする一派の対立が日ましに激化し、一方、急進公卿と長州藩の企図する、京洛騒乱の陰謀が、着々と進められていた……。はかない夢と知りながら大義に生きた天才剣士・沖田総司の短い生涯を描く傑作長編小説。
  • 面影橋まで
    -
    江戸は水の都だった。そして、水際にはたくましく生きる市井の人々の暮らしがあった。夜鷹を運ぶ船頭、橋を渡ることを禁じられている質屋の息子、母を失い船宿で働く幼い娘、水茶屋に売られて船宿の主に囲われた女……。『武士の家計簿』『武士の献立』の脚本家で小説家でもある著者が水にまつわる人々の物語を描いた七編を収録した心を打つ一冊。
  • 源 頼朝(上)
    4.0
    父・義朝の野望が破れて後に固める頼朝の志とは? 新興武士団の力を背景に、権力の座をめざした父の行く末を、よくよく観た頼朝は、「武力だけでは、天下は取れない!」と悟る。乱世を舞台に、権謀術数が渦巻く闘いに身を投じた、熾烈な人間像を描く。伊豆の地から天下を窺う、頼朝の胸中には何が去来したか?
  • 息の限りに遠吠えを
    -
    ベストセラー『イモータル』の著者が、圧倒的弱者の目線から描き出す「人間の本質」とは? 時は一九世紀。一匹の犬が愛玩犬として日本からアメリカへ送られる。道中で出会うのは、性格も肌の色も違う様々な人間たち。優しい人間、その人間を迫害する人間、他の動物を絶滅させようとする人間。抗うことのできない歴史の奔流の中で、彼の命を懸けた反抗が、やがてこの世界に小さな希望を灯す――。『イモータル』の著者が、圧倒的な弱者の目線から「人間の本質」を描き出す意欲作。文庫書き下ろし
  • 遥かなる異郷 大連
    -
    遥かなる記憶の彼方から八十年の時を経て 懐かしの大連の日々がよみがえり 追憶へといざなう―― 1945年、終戦を境に激動の舞台となった旧満州大連市から、日本(本土)に帰還するまでの、波乱に満ちた一家の物語。 色鮮やかな衣装を身にまとった人々が行きかい、活気に満ちた大連は、終戦をむかえ、突如異郷の地となった。戦後の大混乱の中、中国人、ロシア人の友人、家族に助けられながら敗戦下の悲運に立ち向かい、一家は祖国日本を目指した――

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  • 人形の影
    3.0
    東京を離れた別荘地で、自動人形の発明に没頭する偏屈な父親・南瀬隆と、その世話をする健気な年頃の娘・蔦子。横暴な父の言動に翻弄されながらも、新しい時代の生き方を模索する若い女性の姿を描いた異色作。あの半七捕物帳の執筆開始からほどなくして、読売新聞に連載されたまま、ついぞ単行本化されることがなかった幻の長編が、100年の時を経て初刊行!
  • 風の如く 吉田松陰篇
    -
    松下村塾に入り吉田松陰の元で学び、久坂玄瑞や高杉晋作などのちに長州藩を引っ張る傑物らと出会った風倉平九郎。師である松陰が命の懸けて国を憂う気持ちに、平九郎はみずからの進むべき道を探っていく。幕末の時代情勢は風雲急を告げ、松陰の身に危機がおとずれる・・・。「軍配者シリーズ」の著者がえがく、青春群像劇。
  • 李嗣源(上)
    3.0
    中国の唐代末期。遊牧民の有力者を父親に持つボギレは、その能力を河東の王・李克用に見いだされ、その仮子となる。やがて、李克用の息子・李存勗が皇帝になるが、彼の政治を顧みない態度に、李嗣源の不満は高まっていく。稀代の名君を描く中国歴史巨編。
  • 天下無双の傾奇者 前田慶次郎
    4.0
    戦国の乱世をもっとも痛快に、自由奔放に生き抜いた武将――前田慶次郎。朱柄の鑓を縦横無尽に振るい、合戦では鬼神のごとき働きで敵陣を震え上がらせた。と同時に、たとえ主君に対しても命を賭けて己の意地を貫き通す“傾き者”として名を馳せていた。また武辺のみならず、古今典籍にも通じた風流人であり、家康に追い詰められて窮地に陥った上杉景勝・直江兼続の主従へ参陣するなど、「義」に厚い人物でもある。誰だろうと理不尽には屈しない、そんな周りが惚れ込むような反骨の男だったが、前半生は決して恵まれたものではなかった。本来、自分が継ぐはずだった前田家の家督を叔父の利家に奪われ、長く不遇の時代を強いられる。だが、天下統一を目指す織田軍の東征は乱世を大きく揺さぶり、この猛き武将を戦国最後の活躍の場へと解き放つのであった――。日の本を掌握した豊臣秀吉の前ですら、平然と傾いて魅せた「天下御免の傾き者」の生涯を描く!

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  • 秀吉の能楽師
    3.5
    晩年の太閤秀吉に、能の指南役として仕えた、役者・暮松新九郎が見た、秀吉の狂気とは? 太閤秀吉を能に没頭させよとの密命を帯び、天下人に接近、目論見どおり秀吉は能楽に熱中するようになるが、やがて秀吉に老いの影が忍び寄る。新九郎に密命を下したのは誰なのか、その真意とは? そして新九郎自身の数奇な出自とは? 家康・利家ら大名たちを巻き込み、華やかな舞いと権謀術数が繰り広げられる、桃山時代絵巻。
  • 北の武士たち・狼奉行 傑作時代小説集
    -
    自害の恐れがある代官の嫡男・孫四郎を預かった左金吾。領内に現れた盗賊の討伐に向かう夜、孫四郎が姿を消し――(「赤い米」)。羽州上山藩の僻地に赴任した靱負は、病を運ぶ狼と藩の陰謀に立ち向かう(直木賞受賞作「狼奉行」)。山形在住の直木賞作家が、北の武士の哀楽を活写する短篇集。書き下ろし二篇を収録した、文庫オリジナル編集。
  • 乱十郎、疾走(はし)る
    -
    秩父・大嶽村に暮らす乱十郎。村の若い者を集め「乱鬼党」を作り、日々剣の稽古や畑仕事にいそしんでいた。あるとき、仲間だった由利ノ丞が、乱十郎の態度に腹を立て、党を飛び出した。導かれるように、運命が動きだし、十六年前の事件の真実が明らかになる……。神ならんとする相手に立ち向かうことを決意した、一人の青年が疾走り出す。
  • 峠を出でて奇兵隊を撃て 幕末小倉藩物語
    -
    関門海峡を隔てて長州藩の攘夷に翻弄される譜代・小倉藩。海峡を渡ってきた長州奇兵隊に叩きのめされ、小倉城を焼き、退却。しかし、峠に拠ってゲリラ戦で抵抗を続けた。敗者・小倉藩の側から幕末動乱を描く物語。「攘夷も維新もわからねえ。ただ、故郷のために戦うのだ」

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  • 佐竹義宣 秀吉が頼り、家康が怖れた北関東の義将
    3.5
    「鬼佐竹」「坂東太郎」と諸国に怖れられた父・義重を超えて、一族悲願の“常陸の旗頭”となった佐竹義宣――。その所領は、常陸一国54万石余、旗下を入れれば80万石余にもおよび、兵に換算すれば2万人以上を出陣させられる強大な勢力である。豊臣政権下では、関東に移封された徳川家康の“目付役”を担うなど、絶頂期を迎えた。佐竹一族の繁栄を助けた石田三成に恩義を感じる義宣は、秀吉亡きあと、天下取りの野望に向かって横暴をきわめる家康に不信感を抱く。さらには福島正則など武断派による襲撃から、三成の窮地を救った義宣は、日に日に憤りの念を強めていった。そして三成の挙兵を聞き、小山から引き返そうとする家康に、義宣は佐竹氏得意の“追い討ち”をかけようと計るのだが……。時代の流れに抗い、敵将である家康をして「今の世に義宣ほど律儀なものは見たことがない」とも言わしめた、北関東の若き義将の生涯を描く!
  • 保春院義姫 伊達政宗の母
    -
    最上家の義姫に婚礼の話が持ち上がる。相手は近年勢力拡大がめざましい伊達輝宗。後年、義姫は両家の間で引き裂かれる。後世の史家や大河ドラマにより「鬼母」とされた義姫だが、その真の姿は息子・政宗との不仲に苦しむひとりの孤独な母親であった――。山形在住の歴史作家がおくる、最上家と伊達家が織りなす家族愛と葛藤の物語。
  • 修羅の都
    値引きあり
    3.9
    「武士の世を創る」生涯の願いを叶えるため手を携えて進む、源頼朝と政子。平家討伐、奥州を制圧、朝廷との駆け引き。肉親の情を断ち切り、すべてを犠牲にして夫婦が作り上げた武家政権・鎌倉府は、しかしやがて時代の波にさらわれ滅びに向かう。魔都・鎌倉の空気、海辺の風を背景に権力者の孤独と夫婦の姿がドラマティックに描き出される。頼朝晩年に隠された大いなる謎とは?『吾妻鏡』空白の四年間を解き明かす圧巻のラストは必読!新聞連載時から大きな反響を呼んだ感動の長編エンタテインメント。
  • 高坂弾正 謙信の前に立ちはだかった凛々しき智将
    3.0
    「謙信めに千曲川を渡らせませぬ。川中島で討ち取りましょうぞ!」慎重な采配と得意の退却戦で「逃げ弾正」の異名を取り、猛将揃いの武田家でも“随一の用兵”と謳われた高坂弾正――。元は豪農の生まれという異色の出自ながらも、亡き父の遺田をめぐる訴訟に敗れて行き場を失ったところに、晴信(信玄)からその美貌と才能を見出された。若年より「奥近習」として晴信の身近に仕えるが、その寵愛に決して甘えることなく、虎綱(高坂弾正)は着々と戦場で武功を重ねていく。いつしか、ひとりの武士として、そして武田の重鎮として類希な成長を遂げた虎綱は、宿敵である対上杉の最前線・海津城の守将を信玄に任されて打倒謙信を心に誓うこととなる。龍虎相打つ「川中島の決戦」でも、虎綱は別働隊を率いて窮地に陥った信玄本隊を救う活躍を見せた。内政にも優れた手腕を発揮し、武田の躍進に一身を捧げた智将の生涯を克明に描いた力作!
  • ヨイ豊
    4.0
    元治2年(1865)、清太郎の師匠・三代豊国の法要が営まれる。広重、国芳と並んで「歌川の三羽烏」と呼ばれた花形絵師だった。歌川の大看板・豊国が亡くなったいま、誰が歌川を率いるのか。弔問客たちの関心はそのことに集中した。清太郎には八十八という弟弟子がいる。粗野で童のような男だが、才能にあふれている。己が三代に褒められたのは、生真面目さしか覚えがないのに。──時代のうねりに、絵師たちはどう抗ったのか!
  • 藪医 ふらここ堂
    3.8
    江戸は神田三河町の小児医・天野三哲は、「面倒臭ぇ」が口癖。朝寝坊はする、患者は待たせる、面倒になると逃げ出す、ついたあだ名が「藪のふらここ堂」だ。ところがこの先生、見えないところで凄腕を発揮するらしい。三哲に振り回されながらも診療を手伝う娘のおゆん、弟子たち、ふらここ堂の面々の日常と騒動を描く!
  • ふたり道三 上
    3.5
    時は乱世。魔剣・櫂(かい)扇を鍛えた刀工・隠岐允(おきのじょう)の末裔、おどろ丸は乱世第一等の将となるべく、盟友・庄五郎の才知を頼りに、美濃の地に立った。粗暴にして自らの力のみを頼りにしたおどろ丸だったが、庄五郎と出会って「友」を知り、将軍家の寵臣・赤松政則の娘・松姫に思いを寄せ「恋」を知る。野生児にして純な魂の男は、魔剣を手にいかな運命を切り開くか。のちに「斎藤道三」と呼ばれた男の、修羅の人生が始まった……!
  • 亡命幕府 修羅の妄執
    -
    織田信長によって京を追放された将軍足利義昭は、中国の太守毛利家の庇護を受けつつ京都復帰へ飽くなき執念を燃やす。 そんな義昭に相乗りする形でおのれの野心や夢を果たそうとする北畠具親・六角小次郎・内藤如安ら一癖も二癖もある武将たち。彼等を庇護する毛利家の人々。そして彼等とともに戦う本願寺の顕如光佐や荒木村重といった面々。 本能寺の変に至るまでの数年間を舞台として、さまざまな立場で信長と対峙した者たちの心の動きを追う戦国群像劇。
  • 三成の不思議なる条々
    4.0
    たかが20万石の身代である石田三成が、なぜ西軍の大将として指揮をとったのか? 西軍、東軍、どちらに道理があったのか? 関ヶ原の合戦から30年、当時を知る人々を訪ね歩く町人がいた。『関ヶ原合戦大名衆振舞ノ子細』としてまとめられた一冊から浮かび上がる歴史の真相とは!? そして、敗軍の将・三成について、町人を使って調べさせた「さるお方」の思惑は!?
  • 武士の碑
    4.0
    その男の奏でる調べは、武士の時代への鎮魂歌か――。西郷隆盛と大久保利通の後継者と目されていた村田新八は、岩倉使節団の一員として渡欧、パリにおいて、西郷が大久保と袂を分かって下野したとの報に接する。二人を仲裁するために帰国し、故郷・鹿児島へと向かったものの、大久保の挑発に桐野利秋らが暴発。ここに、日本史上最大にして最後の内戦・西南戦争の火蓋が切って落とされた。著者渾身の長編小説。

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  • 伊達成実 秀吉、家康、景勝が欲した奥羽の猛将
    3.5
    戦場で“不退転”の覚悟を示す「毛虫の前立」の兜を身につけ、人取橋合戦、摺上原合戦などで数多の武功をあげた伊達成実――。独眼龍政宗の「切り札」となったその勇猛ぶりは、天下人の秀吉、家康も配下に欲した。奥州制覇を目指す政宗とは主従を超えた友情で結ばれ、『智』の片倉小十郎と共に『武』で伊達家の双璧を担う。生涯を“伊達の先陣”に捧げた闘将を描く力作小説!

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  • 真田信綱 弟・昌幸がもっとも尊敬した真田家随一の剛将
    4.0
    川中島、上野、小田原、三方原合戦……。三尺三寸の「青江の太刀」を馬上から操り、信玄の快進撃を支えて智将の父・幸隆とともに武田家中で確固たる地位を築いた剛将・真田信綱――。初陣となった天文二十年の砥石城攻めから、五回にわたる川中島の戦いをはじめとする上杉景虎(謙信)との因縁の戦い。その後は息つく間もなく、岩櫃城・嶽山城を落とし上野の吾妻郡を制圧するなど各地を転戦していく。さらに幸隆から家督を引き継ぐと、北条氏政との小田原城攻め、武田の西上に伴う徳川家康との戦にも参陣し、目覚ましい功績を挙げた。そして信玄亡き後は、設楽原の血戦で勝頼をかばい壮烈な討死を遂げる……。本書は、謀将で名高い弟の昌幸が「兄上が生きておれば、真田家も変わっていた」と心より尊敬し、甥の勇将・幸村が終生「己の目標」と憧れ続けた男の激闘の生涯を描いた歴史人物小説。この男を抜きにして“真田の武威”は語れない!

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  • 後藤又兵衛 大坂の陣に散った戦国きっての勇将
    4.0
    戦国時代一の名軍師・黒田官兵衛の嫡男・長政の指南役として出仕し、彼に、武士としての心構えから、戦場での将としての立ち居振舞いまでを教え込むとともに、九州島津攻め、文禄・慶長の役、関ケ原合戦と、歩みをともにした、歴戦の勇士・後藤又兵衛。彼には自らの矜持として持っていた、武士としてのあるべき姿を、その人生において具現したいという、理想があった。常に泰然と構え、水の如き心持で戦に対峙せよと説く又兵衛に対し、血気盛んで情動的な教え子・長政は次第に彼に対する反感を募らせて行く。その確執は、やがて修復不可能となり、又兵衛は黒田藩を去らざるを得なかった。その後、大坂の陣が起こり、又兵衛は、不利を承知しながらも豊臣方に参加。時代の名主となった徳川家康を散々に苦しめながら、命を散らして行く。生まれつき、要領の良い世渡りが苦手で、武人として誇らしく生き切ることのみを願った、一徹な男の魅力を描く、長編歴史小説。
  • 黥布 項羽と劉邦が最も恐れた顔面刺青の猛将
    3.0
    秦朝末期、天下の覇権を争った項羽と劉邦。この二大英傑に挑んだ百戦無敗の魔神こそ黥布である。猛者ぞろいの項羽軍にあっては常に先鋒をつとめ、秦を滅ぼす最大の功労者となり、その後の楚漢の抗争では、劉邦軍につき楚を攻撃。劉邦の国内統一を大いに助けた。しかし、天下統一後、次々と功臣を抹殺していく劉邦に恐れをなした黥布は、やむなく反乱を起こす。急行してきた劉邦軍に囲まれる黥布。怒りに燃える劉邦が「なにゆえ反乱する」と問うと、不適にも「皇帝になりたいだけさ」と語ったという。この戦いで劉邦に致命傷を負わせるなどして互角以上に戦った黥布だが、多勢に無勢、最期は義兄に殺されてしまうのだった。英布と呼ばれた善良な馬喰(ばくろう)が、予言どおり黥刑を受けたのちに王にまでのしあがった苛烈な生涯を、新しい視点で描いた力作。20万の秦兵を惨殺したとして『史記』に描かれているアンチヒーロー像を真っ向から覆す!!

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  • まりしてんぎん千代姫
    4.0
    筑前立花城の城督・ぎん千代姫が婿に迎えたのは、後の名将・立花宗茂。島津、大友、龍造寺――三つ巴の闘いが繰り広げられる九州で、大友を支える立花家も戦いに明け暮れる。ぎん千代自ら鉄炮隊を率いて闘うなか、父・道雪に続き、宗茂の実父・高橋紹運も命を落とし……。豊臣秀吉の天下、そして関ヶ原の戦いへ。時代の荒波に翻弄される夫を支えつつ、摩利支天の如く、凜々しく、ひたむきに生き、加藤清正にも一目置かれたぎん千代姫の生涯を活き活きと描いた力作長編。『利休にたずねよ』の山本兼一が遺した戦国小説のなかでは珍しく、女性が主人公。解説は作家の植松三十里氏。

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  • 御家人斬九郎
    3.7
    本所に住む貧乏御家人・松平残九郎。表ざたにできない罪人の介錯を副業としていることから、ついたあだ名が「斬九郎」。腕はめっぽう立つのだけれど、酒と女、そして何より79歳になる美食家で大食漢な母親にはからきし弱い! ふつか酔いの今日も尻をたたかれ、依頼の仕事に駆けつける。江戸の町から東海道、京都まで、事件の裏の謎を解く短編10作と中編5作を収録した、型破りな傑作時代小説。
  • 江戸時代の設計者 異能の武将・藤堂高虎
    3.6
    伊予藩主・藤堂高虎は外様大名としては異例の信頼を幕府から得た。それは彼が日本で初めて「藩」を構想しえた政治家だったからだ。司馬遼太郎に「世渡り上手」と酷評された藤堂は、身長190cmの偉丈夫にして、きめ細かな築城術にたけたテクノクラートだった。しかし、彼がもっとも評価されるべきは、豊臣時代の中央集権に限界を見出し、地方分権国家を構想して近世の扉を開いたことにある。近世の成立を新史観で明かす。
  • 片倉小十郎と伊達政宗
    4.0
    東北に覇を唱えた大大名伊達家の当主伊達政宗と己のすべてを主君の成長に捧げた名参謀片倉小十郎景綱の生涯。幼少期に眼に病を患い、内気な性格であった梵天丸こと政宗は、十歳年上の小十郎と出会い、伊達家の棟梁として生きていくことを決意する。二階堂、蘆名、佐竹、上杉等各大名と戦い、秀吉、家康ら権力者と巧みにわたりあった戦国を代表する主従の生き様を描く。
  • 小説 中江藤樹〈上〉
    4.7
    上杉鷹山の「民の父母」、西郷隆盛の「敬天愛人」と一つにつながる藤樹の「孝とは人間すべてへの愛敬」。あらゆる権力から遠ざかり、純粋に民衆の中に身をおき民衆とともに生き、人間の心と行動の原点となるものをさぐり出そうとした魂の教育者藤樹のすべてを描き出した傑作長編。
  • めぐり逢ふまで 蔵前片想い小町日記
    4.0
    独り身上等! 結婚は初恋のあの人とする。ああ胸がいっぱいで、まんじゅう食べる手がとまらない……7歳の時に命を救ってくれた〈光る君〉に恋焦がれ、いまや23歳の〈片思い小町〉おまき――だったが、近頃すてきな男(年下の医者見習いや絵師志望の優男)が次々目の前に。だめいけない、あたしは〈光る君〉だけと決めてるの、ああ、でも、どうなってしまうの!? ……迷走する恋模様5篇による〈江戸大恋愛〉連作長篇。

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