歴史・時代 - 文春文庫作品一覧

  • 陰陽師
    4.2
    1~25巻570~1,700円 (税込)
    時は平安時代、京の都に安倍晴明という名高い陰陽師がいた。まだ闇が闇として残り、夜になれば人も、鬼も、物の怪も、同じ都の暗がりに、息をひそめて住んでいた時代だ。安倍晴明は従四位下、大内裏の陰陽寮に属する陰陽師。死霊や生霊、鬼など、普通の人間には見えない、妖しのものどもを相手に、この世ならぬ不可思議な難事件をあざやかに解決する。親友の源博雅は、霊感はまるでないが、刀では敵なしの強さ。力を合わせて物の怪に挑む。野村萬斎・主演で映画化された原作!
  • 竜馬がゆく(一)
    4.3
    総発行部数2500万部超! 坂本竜馬の奇蹟の生涯を壮大なスケールで描く、司馬文学の金字塔、遂に電子化! 土佐の郷士の次男坊に生まれながら、ついには維新回天の立役者となった坂本竜馬の奇蹟の生涯を、激動期に生きた多数の青春群像とともに壮大なスケールで描きあげる。司馬遼太郎の永遠のベストセラーが半世紀の時を経て、電子版で新たによみがえる! 第1巻/生まれ落ちたときから背中一面に旋毛がはえていたため、豪気な父は、“千里の駿馬”になるかもしれないと、竜馬と名付けた。が、十二になっても寝小便する。近所の子から「坂本の寝小便ったれ」「坂本の泣き虫」 とからかわれ泣かされて帰ってくる。字を満足に覚えられず、寺子屋の師匠に見捨てられる。そんな竜馬は、十四歳の時に小栗流の道場に通いはじめてから、にわかに顔つきまで変わっていった。竜馬は強い――。幼年時代から、江戸での剣術修業、奥手だった青年時代、人斬り以蔵、桂小五郎との出会いなどを描くシリーズ第1作
  • 神隠し 新・酔いどれ小籐次(一)
    3.3
    背は低く額は禿げ上がった老侍で、なにより無類の大酒飲み。だが、ひとたび剣を抜けば来島水軍流の達人である赤目小籐次が、次々に難敵を打ち破る痛快シリーズ登場。
  • 陽炎ノ辻 居眠り磐音(一)決定版
    4.1
    佐伯泰英さんの代表作「居眠り磐音」決定版! 第一巻『陽炎の辻』は、豊後関前藩の若き武士3人が、国許へと帰参するシーンから始まります。 その夜、3人が直面した思いもよらなかった運命。 そして、浪々の身となった坂崎磐音は江戸・深川で長屋暮らしを始めます。 平成でもっとも愛されたエンタメ時代小説。 著者自らが再度手を入れ〈決定版〉として蘇りました。
  • 鬼平犯科帳(一)
    4.2
    斬り捨て御免の権限を持つ、江戸幕府の火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)の長官・長谷川平蔵。その豪腕ぶりは、盗賊たちに“鬼の平蔵”と恐れられている。しかし、その素顔は「妾腹の子」として苦労をし、義理も人情も心得ている。昔は大いに遊び、放蕩無頼の限りを尽くしたことも。テレビに舞台に、人気絶大の鬼平シリーズ第一巻は「唖の十蔵」「本所・桜屋敷」「血頭の丹兵衛」「浅草・御厩河岸」「老盗の夢」「暗剣白梅香」「座頭と猿」「むかしの女」を収録。
  • 坂の上の雲(一)
    4.1
    維新で賊軍とされた伊予・松山に、三人の若者がいた。貧乏士族の長男で風呂焚きまでした信さん(後の秋山好古)、弟で札付きのガキ大将の淳さん(真之)、その竹馬の友で怖がりの升さん(正岡子規)である。三人はやがて、固陋なる故郷を離れ、学問・天下を目指して東京に向かう。しかし、誰が彼らの将来を予見できただろうか。一人は日本陸軍の騎兵の礎をつくり、一人は日本海大海戦を勝利にみちびき、さらに一人は日本の文学に革命を起こすことになるのである。
  • 出世商人 (一)
    3.6
    遺されたのは借財、託されたのは店の再建 急逝した父が遺したのは借財まみれの小さな艾屋(もぐさや)。 再建を志した文吉は、荒波を乗り越え立派な商人へとなれるのか。 薬種問屋に奉公していた文吉は、父が急逝し、家業の艾屋を継ぐ事となった。 形見は古い店と十両を超す借財。 文吉は店を再興しようと決意するが、艾売りだけでは金は返せそうにない。 しかも、借金の形(かた)に己の命までもかけられてしまい――。 絶体絶命の返済期限が迫る中、文吉に一発逆転の策はあるのか? 書き下ろし新シリーズ、第一弾!
  • 義経(上)
    4.0
    みなもとのよしつね――その名はつねに悲劇的な響きで語られる。源氏の棟梁の子に生まれながら、鞍馬山に預けられ、その後、関東奥羽を転々とした暗い少年時代……幾多の輝かしい武功をたて、突如英雄の座に駆け昇りはしたものの兄の頼朝に逐われて非業の最期を迎えてしまう。数奇なその生涯を生々と描き出した傑作長篇小説。
  • 燃えよ剣(上)
    4.7
    新選組副長、土方歳三を描いた司馬遼太郎の代表作が、ついに電子書籍で登場。無類の面白さが貴方を待ち受ける。これぞ小説だ! 不世出の小説家、司馬遼太郎さんには幕末に材を求めた作品がいくつもあります。そのなかで『竜馬がゆく』とともに特別な支持を集めてきたのがこの『燃えよ剣』。武州から出てきた土くさい田舎剣士、土方歳三。天然理心流四代目の剣豪、近藤勇と出会ったとき、歳三の人生、そして幕末史は回転し始める。近藤局長、土方副長の体制で本格始動した京都守護職配下の新選組。沖田総司、永倉新八、斎藤一ら凄腕の剣客が京都の街を震撼させる。池田屋事件などを経て、新選組とともに歳三の名もあがっていくが――。激動する時代のさなかで剣のみを信じ、史上類例を見ない強力な軍事組織をつくりあげた男の生涯を、練達の筆で熱く描きます。
  • 舫鬼九郎
    4.0
    吉原近くの親父橋のたもとで見つかった女の死体は首を切り落とされ、背中の皮が剥ぎ取られていた。事件をさぐる幡随院長兵衛の前に現れる恐るべき男たち。天竺徳兵衛、柳生十兵衛、そして十兵衛と互角の勝負を演じる若き美剣士・舫鬼九郎。謎が謎を呼ぶ展開と壮絶な剣技描写で読者を魅了する、極め付きの長篇時代活劇がここに開幕!
  • 幕末
    3.8
    「歴史はときに、血を欲した。このましくないが、暗殺者も、その兇手に斃れた死骸も、ともにわれわれの歴史的遺産である。そういう眼で、幕末におこった暗殺事件を見なおしてみた」(「あとがき」より)。春の雪を血で染めた大老・井伊直弼襲撃から始まった幕末狂瀾の時代を、清河八郎、吉田東洋など十二の暗殺事件で描く連作小説。
  • 碁盤斬り 柳田格之進異聞
    4.3
    妻を想う男、父を信じる娘。誇りをかけた闘いの結末は!? 藩を追われ、貧乏長屋で暮らす柳田格之進。悲劇の真実を知った彼は、仇討ちを決意し……。草なぎ剛主演映画の小説を脚本家が自ら執筆。 映画『碁盤斬り』は、落語の演目として長く親しまれてきた「柳田格之進」を題材に、『日本沈没』『クライマーズ・ハイ』『凪待ち』などを手掛けてきた脚本家の加藤正人さんが、3年半の月日をかけて書き上げたストーリー。 この映画の世界を、加藤さん自身が小説として書き下ろしました。 登場人物の細かな心情の描写はもちろん、映画では描き切れなかった若き日の格之進の姿、また映画のラストの「その後」がしっかりと描かれており、小説好きの読者も十分に楽しめる作品です。 【あらすじ】 娘の絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らす柳田格之進。 彼は、身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われた身だった。 しかし、かねてから嗜む囲碁にはその実直な人柄が表れ、江戸で多くの知己を得る。 ある日、旧知の藩士により、彦根藩での悲劇の真相を知らされた格之進と絹は、復讐を決意する。 絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。 父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる!
  • 乱紋(上)
    3.6
    織田信長の妹・お市の方と、近江の雄・浅井長政のあいだには3姉妹がいた。長女・お茶々は豊臣秀吉の側室として権力をふるった後の淀君。次女・お初は京極高次の妻となり、大坂の陣で微妙な役割を演じる。そして、最も地味でぼんやりしていた三女・おごう。彼女には、実に波乱に満ちた運命が待ち構えていた――。おごうの生涯を描いた長篇歴史小説。
  • 恋女房 新・秋山久蔵御用控(一)
    4.3
    “剃刀”の異名を持つ南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵。長男・大助を従えて許せぬ悪に立ち向かう。大人気シリーズ、待望の第二幕スタート! 南町奉行所吟味方与力の“剃刀”こと秋山久蔵。前作から約10年。久蔵の嫡男・大助は元服前、岡っ引の弥平次は隠居して幸吉が跡を継ぐなど、それぞれ年を重ねていた。ある日、定町廻り同心の神崎和馬が下手人の似顔絵を家に持ち帰ると、それを見た姉さん女房の百合江は何故か動揺する……。 全30巻で完結した「秋山久蔵御用控」シリーズの第2シーズン開始。
  • 三国志 第一巻
    4.1
    宮城谷文学の集大成。現代日本の『三国志』決定版! 後漢王朝の衰亡――。建武元年(西暦25年)に始まる後漢王朝では、幼帝が続き、宮中は皇太后の外戚と宦官の勢力争いに明け暮れていた。正義の声は圧殺され、異民族の侵入が頻発し、地震や天候不順が続く。6代目の帝に皇子が生まれた時、守り役に1人の幼い宦官がついた。その名は曹騰(そうとう)。後に8代目順帝の右腕となった彼こそ、曹操の祖父である。
  • 殉国 陸軍二等兵比嘉真一
    4.6
    14歳の少年は、何を見たのか。 少年の体験を通して、すさまじい沖縄戦の実相をつぶさに描いた長篇小説。 「郷土を渡すな。全員死ぬのだ」 太平洋戦争末期、沖縄戦の直前、中学生にガリ版ずりの招集令状が出された。小柄な14歳の比嘉真一は、だぶだぶの軍服の袖口を折って、ズボンの裾にゲートルを巻き付け、陸軍二等兵として絶望的な祖国の防衛線に参加する。 実在の人物の体験を、ことこまかに聞きとり、特異な事実をそっくりそのまま写し取った外面的リアリズムが、読む者の胸を強く打つ。 1991年に刊行された文庫本の新装版。元本は、累計102000部のロングセラー。 解説・森史朗 ※この電子書籍は、1911年11月に文春文庫より刊行された文庫の新装版を底本としています。単行本は1982年6月に筑摩書房より「陸軍二等兵 比嘉真一」として刊行されました。
  • いわいごと
    3.8
    麻之助、ついに後妻をとる――!? 江戸町名主のお気楽者の跡取り息子・高橋麻之助が、幼なじみで町名主を継いでいる色男・八木清十郎、堅物の同心・相馬吉五郎とともに、さまざまな謎ともめ事の解決に挑む、好評連作短篇シリーズ「まんまこと」第8弾。 かつて恋女房を亡くした麻之助。 彼のもとに、縁談が3つもやってきた! しかも、ひとりは江戸一と謳われる美人。そして、どの縁談も妙なところがあるようで……。 麻之助たちは、なぜ不思議な縁談ばかり集まったのか調べることに。 果たして、麻之助の縁談の行方は……。  他にも、相馬家が吟味方与力に昇進したり、高橋家の支配町が増えたりと、今回も麻之助たちは大忙し! 急展開の第8巻。 文庫解説・大矢博子 ※この電子書籍は2021年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • かわたれどき
    3.8
    ベストセラー「まんまこと」シリーズ第7弾! 町名主のお気楽跡取り息子・麻之助が、幼なじみの色男・清十郎と堅物の同心・吉五郎とともに、さまざまな謎と揉め事の解決に挑みます。 「きみならずして」「まちがい探し」「麻之助が捕まった」「はたらきもの」「娘四人」「かわたれどき」の6篇を収録。 清十郎に子が生まれ、縁戚のおこ乃の縁談がまとまるなど、麻之助の周りで祝い事が続くものの、自分自身には揉め事ばかり。 特に親しい料理屋の娘・お雪には何かと振り回される日々だ。 ある時、野分けと呼ばれる大嵐が起こり、お雪が洪水に流される。 間一髪助かるが、何やら一大事が……!? 解説は「まんまこと」シリーズの装画を手掛けるイラストレーターの南伸坊さんです。 ※この電子書籍は2019年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 三国志名臣列伝 後漢篇
    4.5
    後漢という時代は、ひとの美質のなかで、「孝心(親孝行)」を至上とした。 能力よりも徳を重視し、頭脳よりも心を尊重する国家がつくられた。 184年に始まった「黄巾の乱」により、王朝の礎が揺らぐ中、 後漢の理想を体現する名臣たちが輩出する。 大将軍の何進、 劉備の師である盧植、 曹操を支えた荀彧など7人を描く、宮城谷昌光の「三国志」シリーズ。 解説・湯川豊 目次 何進(かしん) 朱儁(しゅしゅん) 王允(おういん) 慮植(ろしょく) 孔融(こうゆう) 皇甫嵩(こうほすう) 荀彧(じゅんいく) ※この電子書籍は2018年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • ひとめぼれ
    3.7
    累計130万部突破、大人気「まんまこと」シリーズの第6弾。 札差の娘と揉めて上方へ追いやられた男。その思わぬ反撃とは(「わかれみち」)。盛り場で喧伝された約束が、同心一家に再び波紋を呼び起こす(「昔の約束あり」)。麻之助の亡き妻に似た女にもたらされた三つの縁談の相手とは(「言祝ぎ」)。火事現場で双子を救った麻之助は、新たな騒動に巻き込まれる(「黒煙」)。行方不明の男を探すため、麻之助は東海道へと旅立とうとする。そして新たな出会いが?(「心の底」)。沽券が盗まれた料理屋から、一葉が消えてしまったのは何故か(「ひとめぼれ」)。 いつの世も思い通りにならない、人の生死と色事。泣きたいときほど泣けない、「まんまこと」ワールド、慟哭の第六弾。 解説・紗久楽さわ〈「まんまこと」を自由に漫画で描けた幸福〉 ※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 耳袋秘帖 日本橋時の鐘殺人事件
    4.0
    日本橋本石町にある旅籠「長崎屋」で、腹を竹槍で無残に抉られた酉右衛門の死体が見つかった。隣りには、江戸の市中に時刻を知らせる「時の鐘」があり、その鐘撞き堂で、鐘を撞いていた撞き師の孫六が死んだ酉右衛門を恨んでいたと分かり……。南町奉行根岸肥前が、江戸の怪異を解き明かす「耳袋秘帖」殺人事件シリーズ第13弾。文春文庫オリジナルの書き下ろし時代小説。
  • 御鑓拝借 酔いどれ小籐次(一)決定版
    4.1
    傑作時代小説シリーズの決定版! 身の丈五尺一寸、風采の上がらない五十男。しかし実は来島水軍流の凄まじい遣い手――。赤目小籐次、たった一人の闘いが幕を開ける!
  • 信長影絵(上)
    -
    すべては、母に疎まれたことからはじまった 渇いた心が信長を天下統一へと駆り立てた。「下天は夢か」から四半世紀を経て、より深い人間解釈によって描かれる津本文学の集大成。
  • 逃亡
    4.1
    戦争に圧しつぶされた人間の苦悩を描いた傑作 戦時下の緊迫した海軍航空隊で、若き整備兵が背負った過酷な運命とは? 軍用飛行機をバラせ……その男の言葉に若い整備兵は青ざめた。昭和19年、戦況の悪化にともない、切迫した空気の張りつめる霞ヶ浦海軍航空隊で、苛酷な日々を送る彼は、見知らぬ男の好意を受け入れたばかりに、飛行機を爆破して脱走するという運命を背負う。初期の力作長篇が待望の再登場。 解説・杉山隆男
  • 泣き虫弱虫諸葛孔明 第壱部
    4.4
    奇怪な衣装で宇宙哲学を語り、あの手この手で自分の臥竜伝説を作ろうとする 諸葛孔明はそんなアブなくてセコい男だった! 口喧嘩無敗を誇り、いじめた相手には得意の火計(放火)で恨みを晴らす―― なんともイヤな子供だった諸葛孔明。 奇怪な衣装に身を包み、宇宙の神秘を滔々と説いて人を煙に巻くアブナイ男に、 どうしてあの劉備玄徳がわざわざ「三顧の礼」を尽くしたのか? 新解釈にあふれ無類に面白い酒見版「三国志」第一弾!
  • 孔丘 上
    4.0
    人間・孔子が生きている 孔丘は家族の情愛に恵まれずに育つが、学問を愛する青年となる。徳と礼で民を治める理想を磨き続けた儒教の祖の一生を描く大河小説。 ※この電子書籍は2020年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • へぼ侍
    3.6
    西南戦争を痛快に描く、松本清張賞受賞作。 大阪で与力の跡取りとして生まれた志方錬一郎は、明治維新で家が没落し、商家へ奉公していた。 時は明治10年、西南戦争が勃発。 武功をたてれば仕官の道も開けると考えた錬一郎は、意気込んで戦へ参加することに。 しかし、彼を待っていたのは、落ちこぼれの士族ばかりが集まる部隊だった――。 解説・末國善己 ※この電子書籍は2019年7月に文藝春秋より刊行された単行本『へぼ侍』を加筆・修正した文庫版を底本としています。
  • 星落ちて、なお
    NEW
    4.0
    女絵師の一生を描ききった直木賞受賞作! 不世出の絵師・河鍋暁斎の娘とよは、暁翠の画号をもつ女絵師。 父亡き後、仲がよいとは言えぬ腹違いの兄・周三郎(暁雲)と共に、 洋画旋風の中、狩野派由来の父の画風を守ろうとする。 明治大正の激動の時代、家庭の生活を担いつつ、 絵師として母として、愚直に己の生を全うした女の一代記。 第165回直木賞受賞作。 解説=東山彰良 ※この電子書籍は2021年5月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • だましゑ歌麿
    4.3
    江戸の町を高波が襲った夜、当代の人気絵師・喜多川歌麿の恋女房が惨殺された。歌麿の幕府風刺を憎む上からの圧力に抗いつつ、事件の真相を追う南町奉行所の同心・仙波。仙波の前に、やがて明らかとなる黒幕の正体と、歌麿のもう一つの顔とは!? 時代はまさに「鬼平」こと長谷川平蔵が火附盗賊改(ひつけとうぞくあらため)の重職を担っていた当時で、鬼平もたっぷり登場します。浮世絵を愛する著者が、江戸の町が見えるように生き生きと語る、恋あり仁義ありの傑作時代ミステリー!
  • 黒衣の宰相
    3.8
    家康に取り入り、幕府三百年の土台を作った男 黒衣の宰相と呼ばれた金地院崇伝は、墨染めの衣を身にまとった禅僧でありながら、徳川家康の懐刀として政治に参画した。豊臣家滅亡の切掛となった方広寺鐘銘事件を画策し、武家諸法度、禁中並公家諸法度などの基本法典を起草して徳川二百七十年の平和の礎を築き上げた希代の怪僧の生涯を描いた長篇歴史小説。解説・島内景二
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー
    4.0
    練達のベテランから気鋭の若手まで、時代小説の粋 江戸の華〈祭り〉をテーマに人気時代小説作家が競作! 宮部みゆき「三島屋変調百物語」の最新作など、読み応え十分のアンソロジー。
  • 武士の流儀(一)
    3.5
    元与力が剣と人情で活躍する新シリーズ誕生! 元は風烈廻りの与力で、理由あって隠居生活に入った清兵衛。若い侍が斬られる現場に出くわし、遺された友の手助けに乗り出すが……。
  • 起き姫 口入れ屋のおんな
    3.8
    江戸のおんなの心意気を描く名人芸 江戸のおんなを描いて「不世出の名人」と評された杉本章子、最後の傑作。 夫が浮気相手と子まで生したことに嫌気が差して、おこうは婚家を離れた。 実家に戻っても安息は訪れない。 奉公人の周旋や仲介をする口入れ屋の女主人に雇ってほしいと必死で頼んだのだが……。 大店の若新造から転身した人生の機微を描いて、泣かせます。 単行本未収録の「ふたたびの浮き世」も掲載。 解説・諸田玲子
  • 仕立屋お竜
    3.3
    表の顔は腕の良い仕立職人、裏の顔は達人に仕込まれた剣術で悪を成敗する「地獄への案内人」。仕立屋お竜の活躍を描く痛快時代小説開幕! 第一話は、いたいけな少女・おしんがお竜と名を変えて「地獄への案内人」の道を歩むまでが描かれます。幼い頃に父からDVを受けてきたおしんは、母と家を逃げ出すが、その母も過労で亡くなり天涯孤独の身に。母親の薬代のためにつくった借金を抱えたおしんだが、親切顔で近づいてきたやくざの林助に騙され、盗品の運び屋や、美人局の片棒を担がされるなど、悪の道にひきづりこまれてしまいます。  とあることがきっかけで、武芸の達人・北条佐兵衛に助けられて自由の身となったおしんは、天賦の才があったのか、達人から教えてもらった武術を乾いた砂が水を吸うようにわがものにしてゆきます。「お前の才能は、お前のように困っている女性のために使うのだ」という師匠の言葉を胸に、師匠の紹介で仕立屋「鶴屋」から仕事をもらうようになります。そしてお竜と名を変えて、女をいたぶる悪人を退治することを決意。そんなある日、因縁の男と再会することになって……。  お竜の庇護者となる仕立屋の主・鶴屋孫兵衛、鶴屋の碁敵で謎のご隠居・文左衛門、そして鶴屋の用心棒で、ちょっととぼけた吉岡流剣術の使い手・井出勝之助など、お竜の脇を固める登場人物たちも魅力たっぷり。そして何よりの読みどころは、お竜の艶やかさと痛快アクションシーンです!
  • 酔って候
    4.1
    幕末の混迷期、なすすべを知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた賢侯たちがいた。土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟。「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」(「あとがき」より)彼らを題材に、著者ならではの視点で幕末を探る短篇連作。
  • 宮本武蔵
    3.0
    山中で棒を振り回していた少年は、十三歳にして試合相手の頭蓋をかち割った! 自身も剣の達人である著者が描く凄絶なる歴史長編 宮本武蔵は幼少より武術に頭角をあらわし、生まれ持っての膂力と父の激しい指南にこたえ、13歳にして真剣の立会に打ち勝った。 血なまぐさい試合にあけくれた青春時代、京都郊外、一乗寺下り松での吉岡一門との死闘、関門・船島での佐々木小次郎との血闘など、いくたの修羅場でつねに勝利をおさめた孤高の剣聖の凄絶なる生涯を描破する。 吉川英治版『宮本武蔵』とそれを原作とした人気コミックの影響もあり、内省的な宮本武蔵像が一般化した現代。 だからこそ津本陽描く、本能で動き、野獣味のある武蔵像は読者にいまも新鮮な驚きを与える。 解説・桶谷秀昭
  • 翔ぶが如く(一)
    3.9
    司馬遼太郎畢生の大長編! 西郷隆盛と大久保利通。ともに薩摩藩の下級藩士の家に生まれ、幼い時分から机を並べ、水魚の交わりを結んだ二人は、長じて明治維新の立役者となった。しかし維新とともに出発した新政府は内外に深刻な問題を抱え、絶えず分裂の危機を孕んでいた。明治六年、長い間くすぶり続けていた不満が爆発。西郷は自ら主唱した“征韓論”をめぐって大久保と鋭く対立する。それはやがて国の存亡を賭けた抗争にまで沸騰してゆく――。西郷と大久保、この二人の傑人を中心軸に、幕末維新から西南戦争までの激動を不世出の作家が全十巻で縦横に活写する。
  • 一刀斎夢録 上
    4.0
    「飲むほどに酔うほどに、かつて奪った命の記憶が甦る」――最強と謳われ怖れられた、新選組三番隊長・斎藤一(さいとう・はじめ)。明治を隔て大正の世まで生き延びた“一刀斎”が近衛師団の若き中尉に夜ごと語る、過ぎにし幕末の動乱、新選組の辿った運命、そして剣の奥義。慟哭の結末に向け香りたつ生死の哲学が深い感動を呼ぶ。『壬生義士伝(みぶぎしでん)』『輪違屋糸里(わちがいやいとさと)』に続く、浅田版「新選組」3部作完結篇!
  • 小袖日記
    4.0
    失恋した「あたし」は雷に打たれ、目覚めるとそこはパラレル平安朝。 彼女は、大人気小説「源氏物語」の作者・香子さまのもとでネタを探す女房・小袖となっていた。 夕顔、末摘花、葵―おなじみの女人達を訪ね、その真実の生、歓びと悲しみに触れた時、 時空を超えた友情がめばえる。感動の王朝SFミステリー。 解説・山本淳子 ※この電子書籍は2011年7月に文藝春秋より刊行された文庫本の新装版を底本としています。
  • 大盗禅師
    3.5
    大坂落城から三十年。摂津住吉の浦で独自の兵法を磨く浦安仙八の前に、ひとりの僧が現れる。妖しの力をあやつる怪僧と、公儀に虐げられる浪人の集団が、徳川幕府の転覆と明帝国の再興を策して闇に暗躍する。これは夢か現か―全集未収録の幻想歴史小説が、三十年ぶりに文庫で復活。
  • 秋山久蔵御用控 夕涼み
    3.0
    十年前、貧乏当人の娘と所帯を持とうとして勘当され、出奔した袋物問屋の若旦那が、江戸に戻ってきているらしい。隠居した父親は勘当したことを悔い、弥平次に息子を捜すよう依頼した。同じ頃、袋物問屋を窺っている男たちの姿があった。若旦那と何か拘わりがあるのか……。 好評シリーズ第27弾!
  • 初詣で 照降町四季(一)
    3.7
    日本橋の近く、傘や下駄問屋が多く集まる町・照降町に「鼻緒屋」の娘・佳乃が三年ぶりに出戻ってきた――  著者初・江戸の女性職人が主役の書下ろし新作<全四巻> 1巻「初詣で」内容 文政11年暮れ。雪の降る中、18で男と駆け落ちした鼻緒屋の娘・佳乃が三年ぶりに照降町に戻ってきた。 懐かしい荒布橋(あらめばし)を渡り、町の入り口に立つ梅の木を、万感の思いで見上げる佳乃。 実家の鼻緒屋では、父が病に伏せっており、九州の小藩の脱藩武士・周五郎を見習いとして受け入れていた。 父にかわり、職人として鼻緒挿げの腕を磨く佳乃は、新鮮なアイデアを出して老舗の下駄問屋の宮田屋に認められ、吉原の花魁・梅香からも注文を受ける。 自分を受け入れてくれた町に恩返しをすべく、日々を懸命に生きる佳乃だったが、駆け落ちの相手・三郎次が あとを追ってきて―― 「己丑の大火」前夜の町と人々を通して描く、知恵と勇気の感動ストーリー。
  • 秋山久蔵御用控 生き恥
    3.0
    金目当てと思われる辻強盗が出没。怪しいのは金遣いの荒い遊び人の大名の若様や旗本の部屋住みなど。久蔵は手下を使って真相に迫る。 好評シリーズ第23弾!
  • 秋山久蔵御用控 始末屋
    4.0
    因縁をつけてきた武士を尋常の立合いで斬った浪人。誰もがかばう中、“剃刀”久蔵だけが違和感を持った……。 好評シリーズ第25弾!
  • 秋山久蔵御用控 冬の椿
    4.0
    同心の和馬は町中で、かつて秋山久蔵が斬り棄てた浪人の妻と娘を見かけた。ふたりは穏やかそうに暮らしていたが、なぜか大店の内儀が探りを入れていた。不審を抱いた和馬は、久蔵の許しを得て母と娘を見守ることにした。やがて、娘が博打打にさらわれかけるという事件が起きる。大店の内儀と母娘にはどんな関係があるのか。久蔵は過去を探ること……。 好評シリーズ第26弾!
  • 秋山久蔵御用控 守り神
    3.0
    博奕打ちが殺された。直前に会っていた男は気の弱い若旦那ふうだったが…久蔵は手下たちとともに下手人を追う。 好評シリーズ第24弾!
  • 無用庵隠居修行
    4.5
    直参旗本・日向半兵衛は、出世のことしか考えない同僚に嫌気がさし、「あらゆる欲を捨て去り、何もこだわらぬ無の境地になって死にたい」という願いを込めた「無用庵」で隠居暮らしを始める。のんびりと過ごすはずだったが舞い込んでくる事件の数々。「口は悪いが情けにゃ弱い」日向半兵衛が難事件を解決する痛快時代小説。
  • 秋山久蔵御用控 神隠し
    4.0
    “剃刀久蔵”と呼ばれ、悪人を震え上がらせる、南町奉行所吟味方与力秋山久蔵の活躍を描く。浅草広小路の呉服屋『近江屋』の17歳の娘おさよが隅田川の桜見物で行方知れずになった。かどわかしと思われた3日後、町駕籠で無事に帰ってきたおさよだが、その白い肌には…。卑劣な悪党に久蔵の心形刀流が炸裂する! シリーズ第1弾!
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記
    4.4
    シリーズ化も決定! 西條奈加の〈ど真ん中〉傑作人情時代小説 「もう、嫌だ!」定職にもつかず浮気と借金を繰り返す亭主の元を飛び出した絵乃は、ひょんなことから離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」の手代見習いとなる。そこに舞い込んでくるのは、いずれも家族の“情”がこじれた難題ばかり。果たして絵乃は一人前の公事師となり、自身の離縁も成し遂げられるか!? 解説・大矢博子 ※この電子書籍は2020年2月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 朝比奈凜之助捕物暦
    3.7
    正統派時代小説が遂に始動!! 千野隆司待望の新シリーズ 父の跡を継ぎ、南町奉行所定町廻り同心となった朝比奈凜之助。剣の腕は立つが、どこか頼りない若者に与えられた殺しの探索とは……。 小間物売りの男が賊に襲われ、絶命した。残忍な手口に怒りを覚えた南町奉行所定町廻り同心の朝比奈凛之助は、早速探索を始める。調べは難航していたが、残された息子が賊の顔を見ていたことを知る。唯一の手掛かりと意気込む凛之助だったが、それを知った賊が、子供の命を狙い――。人情と剣戟が冴えわたる、待望の新シリーズ。
  • 最後の将軍 徳川慶喜
    4.2
    ペリー来航以来、開国か攘夷か、佐幕か倒幕かをめぐって、朝野は最悪の政治的混乱に陥ってゆく。 文久二年、将軍後見職として華々しく政界に登場した、のちの十五代将軍徳川慶喜は、優れた行動力と明晰な頭脳をもって、敵味方から恐れと期待を一身に受けながら、抗しがたい時勢にみずから幕府を葬り去った。 さまざまなエピソードを連ねて描かれる、“最後の将軍”の生涯。 解説・向井敏
  • 炎環
    4.0
    京の権力を前に圧迫され続けてきた東国に、ひとつの灯がともった。源頼朝の挙兵に始まる歴史のうねりは、またたくうちに関東の野をおおいはじめた。鎌倉幕府の成立、武士と呼ばれる者たちの台頭――その裏には、彼らの死にもの狂いの情熱と野望が激しく燃えさかっていた。鎌倉武士たちの生きざまを見事に浮き彫りにした傑作歴史小説にして第52回直木賞受賞作!
  • 耳袋秘帖 神楽坂迷い道殺人事件
    4.0
    七福神めぐりが流行る神楽坂で、寿老人役の爺さんが石像に頭をつぶされて亡くなった。近所ではずいぶん嫌われ者の老人だったのだが……。一方、奉行所が10年来追い続ける大泥棒・品川左衛門が久々に姿を現す。贋の恵比寿天から弁財天の口吸いまで、不可思議な事件が相次ぐ。根岸肥前が過ごした不思議な一夜「虫一匹」(書き下ろし余話)を新収録。殺人事件シリーズ第10弾。
  • 耳袋秘帖 妖談へらへら月
    3.0
    年の瀬の江戸で、「そろそろ、月が笑う」と言い残して、突如、人がいなくなる“神隠し”が、頻発した。根岸は、同心の椀田と家来の宮尾、岡っ引きの梅次や、下っ引きのしめたちに、消えた人々の身辺を探るように命じるが、その陰では危険な動きが……。根岸肥前が江戸の怪奇を解き明かす、耳袋秘帖「妖談」シリーズ第5巻。文春文庫オリジナルの書き下ろし時代小説。
  • 耳袋秘帖 妖談かみそり尼
    3.7
    お江戸は高田馬場の竹林に棲む、若くて美人で評判の月照尼(げっしょうに)の元には、人生相談に訪れる者がひきもきらない。その庵(いおり)の近くで、女好きの若旦那が死体で発見された。衣服には一筋の剃刀の跡。若旦那は、尼に会いに行くと言い残して家を出たという。やがて尼の周囲では殺人が相次ぐ。なぜか死体には、みな剃刀の跡が──。はたして尼の正体とは。根岸肥前守が、江戸の怪異を解き明かす、新「耳袋秘帖」シリーズ第二巻。
  • 耳袋秘帖 妖談さかさ仏
    3.6
    処刑される寸前、脱走に成功した仏像専門の盗人・庄右衛門(しょうえもん)は、ある寺で仏像をさかさにして拝む不思議な光景を目のあたりにする。同じころ深川では、売り出し中の美人芸者が姿を消す事件が起き、あろうことか木にさかさに吊られた女の遺体が発見された──。川を上る巨大魚の謎、柳の霊が人に憑くなど、南町奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)のもとに報告される、不可解な事件の裏には一体なにが? 大人気怪奇シリーズ第四巻!
  • おろしや国酔夢譚
    4.2
    天明二年(1782)の暮、伊勢を出帆し江戸へ向かった大黒屋光太夫率いる神昌丸は、強風に運ばれアリューシャン列島に漂着した。帰国の途を求めて光太夫はシベリアを横断し、モスクワを経由してぺテルブルグを越え、ついにロシア女帝エカチェリーナ二世の謁見を受ける。風雪十年ののち対日使節とともに故国に帰った光太夫に、幕府は終身幽閉を命じた……。鎖国の時代、運命に操られるままに世界を見た漂民の波瀾と感動の生涯を十八世紀日露交渉史、漂民史等を駆使して描いた哀切の大作。
  • 耳袋秘帖 佃島渡し船殺人事件
    4.0
    年の瀬の佃島で、渡し船が突如突っ込んで来た正体不明の船に当て逃げされ転覆。四人が死んだ。だが、死んだ船頭以外の三人の遺体には刺し傷が見つかる。やがて、出航直前に別の船に乗るよう声をかけられた娘がいたとの証言も出て、事件の謎はさらに広がる。乗り合わせた客たちの意外な過去とは? 絶好調『耳袋秘帖』殺人事件シリーズ第12弾。
  • 耳袋秘帖 妖談うつろ舟
    3.1
    曲亭馬琴も書き残した江戸版UFO遭遇事件と目される「うつろ舟」伝説。海辺に流れ着いた異国風の女の裏には何があるのか。幽霊を食った男、深川の白蛇、牢から忽然と消えた男……さまざまな怪奇が入り乱れる中、闇の者たちとバテレンさんじゅあんの謎を根岸肥前守はついに解き明かすのか? 大人気妖談シリーズ、堂々完結篇!
  • 耳袋秘帖 妖談しにん橋
    3.5
    深川で、西国雄藩の藩士と石川島から戻ったばかりの無宿人が相次いで不審な死を遂げた。二人とも、満月前後の夜に「四人橋(よにんばし)」を四人で渡り、自分の影だけが消えたと言い残していた。そして、そのことがあった一両日中の死だった…。四人で渡ると死人が出る“死人橋”の噂は、江戸の町に一気に広まった。なぜ影が消えるのか? 裏にうごめく悪の正体を、赤鬼奉行・根岸肥前守(ねぎしひぜんのかみ)が解き明かす! 新「耳袋秘帖」シリーズ第三巻。
  • 耳袋秘帖 妖談ひときり傘
    3.0
    雨の中あでやかな傘の群れが舞うと、死体がひとつ――「ひときり傘」が引き起こす連続殺人事件が江戸の町を震撼させる。一方、明日の天気を奇妙なほどぴたりとあてる女おせんが誘拐されて……。毛の雨が降り、川が血の色に染まり、雷の糞が取りざたされる江戸の天変地異に根岸肥前守が挑む! 書き下ろし妖談シリーズ第6弾!
  • 墨染の桜 更紗屋おりん雛形帖
    3.3
    江戸幕府の第5代将軍・徳川綱吉の後継問題で世間が騒いでいたころ、父を亡くした京の呉服屋の一人娘おりんは、叔父を頼って江戸に出た。ところが、江戸の店はすでに閉じており、おりんは叔父夫婦と3人で長屋に暮らし始めた。身に付けた裁縫の腕で日銭を稼ぐうち、ひょんなことから、日本橋の越後屋の主と関わりをもつことになる――。はたして、おりんは江戸の店を再興できるのか。期待の新鋭の書き下ろし時代小説。
  • 花妖譚
    3.5
    清の八十翁・松齢の庭に突如咲いた一茎の黒い花。不吉の前兆を断たんとしたその時に現われたのは(黒色の牡丹)。人間稼業から脱し、仙人として生きる修行を続ける小角がついに到達した夢幻の世界とは(睡蓮)。作家「司馬遼太郎」となる前の新聞記者時代に書かれた、妖しくて物悲しい、花にまつわる十篇の幻想小説。
  • 伏 贋作・里見八犬伝
    3.6
    伏──人であって人でなく犬の血が流れる異形の者──による凶悪事件が頻発し、幕府はその首に懸賞金をかけた。ちっちゃな女の子だが腕利きの猟師・浜路は浪人の兄に誘われ、江戸へ伏狩りにやってきた。瓦版の読売・冥土から、浜路は里見の家に端を発した伏をめぐる世にも不思議な物語を聞く。光と影、狩るものと狩られるものの長きに亘る因果の輪がいま開く! ゴシック的な江戸を舞台に疾走する傑作エンターテインメント。2012年秋アニメ映画公開。解説・大河内一楼。
  • 嗚呼 江戸城(上)
    -
    天下を握った徳川家康には金がなく、一大名になり下った豊臣秀頼には巨額の金銀があった。貧しい天下人家康は、富有な大名を滅ぼしてその財宝を奪うべく兵を起す。大坂の役とは、それだけのことであった……。しかし三代将軍家光はその大金の埋蔵場所を知らされていなかった。ドラマはそこから始まる。将軍家から大名、旗本、はたまた浪人、商人、いかがわしい町奴に吉原の遊女までが縺れ合い、江戸城の建設と莫大な太閤の遺金をめぐって展開される雄大な長篇の幕開け。
  • 甘いもんでもおひとつ 藍千堂菓子噺
    3.7
    菓子職人の兄と番頭の弟。上菓子屋兄弟の繁盛記。「藍千堂菓子噺」シリーズ第1作。 両親亡き後、叔父に実家を負われた晴太郎と幸次郎。 兄弟は、かつて父の許で修業していた職人の茂市と一緒に、 菓子司「藍千堂」を開く。優しい職人肌の晴太郎と、 しっかり者で商才に長けた幸次郎は、亡き父の教えを守りながら、 叔父の嫌がらせにも負けず、知恵と工夫を凝らした季節の菓子で店を切り盛りする。 解説=大矢博子 ※この電子書籍は2013年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 会津執権の栄誉
    3.5
    狙いはただひとつ。伊達政宗の馘(くび)――。 四百年の長きにわたり会津を治めながら、相次ぐ当主の早世で嫡流の男系が途絶えた芦名家。 常陸の佐竹家より新たな当主として婿養子を迎えたものの、家中に軋轢が生じ、北からは伊達政宗の脅威が迫る。 芦名家の行方は家臣筆頭の金上盛備の双肩にかかっており、ついに伊達との摺上原での最終決戦を迎えた。 東北の名家の存亡を描き、直木賞候補となった出色のデビュー作。 本屋が選ぶ時代小説大賞2017受賞! ※この電子書籍は2017年4月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 葵の残葉
    4.2
    新田次郎文学賞&本屋が選ぶ時代小説大賞W受賞! 維新に放浪された高須松平家の四兄弟。 石高わずか三万石の尾張高須の家に生まれた四兄弟は、縁ある家の養子となる。 幕末の激動期、官軍・幕府に別れて戦う運命に。 御三家尾張藩主となり、いち早く官軍についた次男・慶勝。 一橋家を継ぎ維新派と交渉した五男・茂栄。 美貌と高潔で知られた会津藩主、六男・容保。 京都所司代として兄・容保を補佐し、最後まで転戦した八男・定敬。 兄弟の誰か一人でも欠けていれば、幕末の歴史は変わった――。 埋もれた歴史を活写する傑作長篇小説! 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 赤い風
    -
    前代未聞の開拓事業「三富新田」を描く長編歴史小説 荒涼とした原野を二年で畑地にせよ――。川越藩主柳沢吉保は無謀な開拓を命じる。軋轢を抱える武士と農民の共同事業は成功するのか。 武蔵野原野は赤土で水源に乏しく、田畑は拓けない。 秣場(まぐさば)に利用する村々の争いを止めるため、川越藩主柳沢吉保は荒野の開墾を命じる。 だが、家老の嫡男・啓太郎は、侍を憎む百姓の正蔵と衝突、互いに反目して計画は進まない。 二年の期限が迫るなか、下役人が不審な死を遂げて……。 大地に生きる人々の歴史長編。 解説・福留真紀 ※この電子書籍は2018年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 暁の群像(上)
    3.7
    坂本龍馬と同じ土佐藩の一介の郷士(下級武士)にすぎず、また父の酒癖がわるく極貧という家に生まれた岩崎弥太郎。そんな弥太郎が、どうやって江戸から明治への動乱期に“政商”としてのし上がり、たった一代で三菱財閥の基礎を築いたのか。司馬遼太郎「竜馬がゆく」と同時期(昭和37年)に新聞連載され、大いに話題を呼んだ傑作歴史経済小説。物語は、安芸平野が山肌に吸い込まれようとする地、井ノ口村に始まる──。激動の時代を鮮やかなエピソードで描く群像劇!
  • 暁の珊瑚海
    4.6
    井上成美が統率した日米、世紀の海空戦! 史上初めての空母対空母の決戦「珊瑚海海戦」の5日間の攻防。人間井上の戦略観を基底に日米文明の対決を描く。錯誤の海戦の全貌とは
  • あかね空
    3.9
    希望を胸に、身一つで京都から江戸へくだった豆腐職人の永吉。己の技量一筋に生きる永吉と、それを支えるおふみはやがて夫婦となった。固く大きい江戸の豆腐と、やわらかで小さい京風の豆腐。好みの違いに悩みながらも、二人で精を出し、周囲に助けられ、ついに表通りに店を構える。その一方、家族にはだんだん気持ちのすれ違いが大きくなっていた。商売を引き継いだ三人の子らまで、豆腐屋二代の機微を描いた、第126回直木賞受賞の傑作人情時代小説。
  • 秋山久蔵御用控 赤い馬
    3.5
    内神田鎌倉河岸で付け火が起きた。付近では妙な女の姿があったという。数日後、今度は神田連雀町から火の手が上がり、同時に近くで押し込みがあった。これは火事騒ぎを起こし、それに乗じて押し込みを働く盗賊一味の仕業、そして妙な女はその仲間──そう睨んだ秋山久蔵は、さらなる探索を命じる。 好評シリーズ第10弾!
  • 秋山久蔵御用控 埋み火(うずみび)
    -
    神楽坂下の掘割に、袋物屋『丸菱』の内儀・お艶の死体があがった。お艶は半年前に入り婿の文吉を追い出して離縁しており、恨みによる殺しと思われた。だが当の文吉は事件と係わりがないらしい。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、2人の離縁の裏には何事かが潜んでいると睨み、手下に探索を命じる。 好評シリーズ第4弾!
  • 秋山久蔵御用控 虚け者
    3.0
    若い武士の刺殺体が見つかった。滅多刺しだったことから、恨みによるもの、また女の仕業であることが疑われた。調べを進めると、武士は評判の悪い旗本の倅で、人形問屋の娘を弄び、身投げに追い込んでいたという。手下とともに真相を暴いた南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵が、最後に見せた裁きとは? 好評シリーズ第19弾!
  • 秋山久蔵御用控 空ろ蝉(うつろぜみ)
    4.0
    本所深川で隠密廻り同心が斬殺された。この同心は、町奉行所も容易に手を出せない無法の地・八右衛門島の探索をしていたという。一向に動こうとしない南町奉行に不審を抱いた秋山久蔵は、真相を追って八右衛門島にひとり潜り込むが、久蔵の前に現れたのはこの地に似つかわしくない謎の女だった。 好評シリーズ第5弾!
  • 秋山久蔵御用控 大禍時(おおまがとき)
    3.7
    大禍時(おおまがとき)──薄暗くなって禍(わざわい)が起こりやすい夕暮時に、娘が消えるという噂が立った。弥平次の調べで、高家一色家に奉公にあがっていた菓子屋の娘が半年前に行方知れずになった事実を掴むが、店の者たちの態度がおかしい。また一色家にもよからぬ噂があった。事件の真相は何なのか、“剃刀”久蔵の裁きが冴える。 好評シリーズ第17弾!
  • 秋山久蔵御用控 帰り花
    3.0
    「安心しな。義父上の無念、放っちゃあ置かねえさ。追い詰めて正体を暴き、必ず叩きのめしてやるぜ」。久蔵の義父、北島兵部が辻斬りにあって殺された。しかしそこには不可解な謎が。調べを進める久蔵がたどりついた許せぬ悪。亡き妻の妹・香織の無念を晴らすため久蔵の心形刀流が唸る! 好評シリーズ第2弾!
  • 秋山久蔵御用控 隠し金
    -
    八丁堀・中ノ橋に、蜆売りの春吉の死体があがった。袈裟懸けに斬られており、侍の仕業らしい。父を亡くした春吉は母を助け健気に働いており、八丁堀御組屋敷街のみなに可愛がられていた。やはり贔屓にしていた南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、少年を無残にも斬った外道に、怒りの刃を向ける。 好評シリーズ第12弾!
  • 秋山久蔵御用控 騙り者(かたりもの)
    4.0
    油問屋のお内儀・おしずが身投げして死んだ。お内儀の妹によると、おしずは秘密をばらされたくなければ金を出せと脅されており、そしてその脅した人物は「御家人の秋山久蔵」だという。当然、久蔵は身に覚えはないが、では誰がその名を騙ったのか。己の名を騙った者の意外な正体を、“剃刀久蔵”が暴く! 好評シリーズ第9弾!
  • 秋山久蔵御用控 傀儡師(くぐつし)
    3.5
    「町奉行所の役人は、お奉行の為に働いてるんじゃあねえ。八百八町で真面目に暮らしている庶民の為に働いているんだ」。剃刀と呼ばれ、悪党を震え上がらせる、南町奉行所吟味方与力の活躍を描く“秋山久蔵シリーズ”。日本橋で虚ろな眼をして刀を振り回す浪人。しかし人々を襲った男はその記憶が全くないという。蠢く“傀儡師”の正体とは?多彩な脇役も魅力です。 好評シリーズ第14弾!
  • 秋山久蔵御用控 口封じ
    3.3
    「相手は薄汚ねえ盗賊だ。情け容赦は無用だぜ」。江戸の悪を“剃刀久蔵”が斬る!  錺職(かざりしょく)の男が鎌倉河岸で死体となって浮かんだ。北町奉行所の調べでは溺死と判断されたが、頭には殴られた跡があり、客ともめていたのを見た者がいた。客が注文したのは丸に揚羽の蝶の銀簪。男の女房に真相究明をたくされた久蔵は、”丸に揚羽蝶”の家紋を手がかりに、背後に蠢く悪に迫る。久蔵の、心形刀流が炸裂する! 三編の読切り時代小説を収録。 好評シリーズ第13弾!
  • 秋山久蔵御用控 島帰り
    3.0
    かつて久蔵が島送りにした浪人が、務めを終えて江戸にもどってきた。久蔵は消息を気にするが、彼の行先は知れない。時を同じくして、久蔵の家の周辺や人殺しの現場で、初老の人足風の男が目撃される。島帰りの男はどこへ行ったのか、そして事件現場で目撃される人足風の男と係わりはあるのか――。 好評シリーズ第22弾!
  • 秋山久蔵御用控 煤払い
    4.0
    大川に簀巻にされた土左衛門があがった。どうやら本所と浅草の、博奕打ちの一家同士の揉め事らしい。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、わざと静観して双方を争わせ、年末の“煤払い”とばかりに一網打尽にしようと企てる。一方、秋山家では長男の大助が成長ぶりを見せ、妻の香織にも変化が……。 好評シリーズ第28弾!
  • 秋山久蔵御用控 垂込み
    3.0
    盗賊同士の足の引っ張り合いを、“剃刀”久蔵が見事に裁く! “隠居の彦八”と呼ばれる元盗賊が江戸に舞い戻ったという。処刑された頭(かしら)の酉蔵の一周忌の法要を行う目的らしい。一方、酉蔵の娘の周辺では、蝮の藤兵衛の一味が様子を探っていた。盗賊同士、どんなかかわりがあるのか? 南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、手下とともに盗賊どもを追いつめる! 好評シリーズ第18弾!
  • 秋山久蔵御用控 付け火
    3.5
    “剃刀”と恐れられる吟味方与力・秋山久蔵の活躍を描く人気シリーズ。江戸の町で付け火が続いた。捕縛された盗賊・東雲の鉄五郎の一味の者が、鉄五郎を放免しなければ火を放つと脅してきた挙げ句のことだった。南町奉行の荒尾但馬守は、大火を恐れるあまり久蔵に対し探索の日切りを申し渡した。久蔵は、期限までに一味を捕らえられるのか。前作で長男・大助が生まれたのに続き、新メンバーも登場。ますます快調です! 好評シリーズ第16弾!
  • 秋山久蔵御用控 後添え
    4.5
    五百両の値がついた天目茶碗の商談に、贔屓筋に赴いた茶道具屋の主が、大川に遺体となって上がり茶碗も消えた。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵が探索を命じると、怪しい人物が複数浮かんだ。一方、久蔵に後添えの話が持ち込まれ、亡妻の妹である香織は密かに身を引く覚悟を決めた…。 好評シリーズ第11弾!
  • 秋山久蔵御用控 野良犬
    5.0
    秋山久蔵や数馬が、袴姿の若い侍に尾行された。過去に遺恨のある者なのかと男の探索を進めると、5年前に久蔵に斬り棄てられた浪人の弟らしい。それを恨みに思っているのか。またなぜ5年前ではなく、今姿を現したのか。誰にでもかみつく“野良犬”のようなその男を前に、身重の香織がいる秋山屋敷は警戒を強めるが……。 好評シリーズ第30弾!第1部完結!
  • 秋山久蔵御用控 花飾り
    3.0
    “剃刀”と称される南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵と手下たちの活躍を描く痛快時代劇。メンバーも増え、絶好調! 好評シリーズ第20弾!
  • 秋山久蔵御用控 花始末
    4.0
    定町廻り同心が首筋を切り裂かれて殺された。人通りの多い往来でのその早業は人殺しを生業にしている者の仕業と思われ、南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、「始末屋」が絡んでいると睨む。久蔵は探索を進めるが、逆に始末屋に手先の1人を殺されてしまう。久蔵と始末屋の闘いは激しさを増すが──。 好評シリーズ第8弾!
  • 秋山久蔵御用控 花見酒
    4.0
    言い交した娘を襲おうとした浪人を殺した丈吉は、久蔵の情状酌量もあって遠島ですみ、さらに赦免で江戸に戻ってきた。丈吉はその娘・おふみの行方を探すが、おふみは今は長屋の隣人の浪人で、一人で娘を育てる夏目佐内と互いを思いあっていた。そんな折、丈吉に弟を殺された博奕打ちの清蔵が、丈吉に賞金を懸けたという。それを知った左内は意外な行動をとる。さらにおふみの気持ちを知った丈吉は、身を引こうとするが……。 好評シリーズ第29弾!
  • 秋山久蔵御用控 彼岸花
    3.0
    神田佐久間町の金貸しの屋敷に、般若の面をつけた盗賊が押し込んだ。一味は200両と主の徳兵衛の命を奪って姿を消した。南町奉行所の秋山久蔵は、手向かいもしなかった徳兵衛だけを惨殺したことから、恨みによる凶行だと睨み探索を進めるが…。夜盗の哀しみと“剃刀久蔵”の恩情裁きが胸を打つ。 好評シリーズ第6弾!
  • 秋山久蔵御用控 迷子石
    3.5
    日本橋川に架かる橋のたもとにある迷子石。江戸で迷子を探す役目を持ったその石柱に、幼い兄妹が尋ね人の札を貼った。探しているのは、賭場で借金を作った挙げ句に押し込みを働いた父。南町奉行所吟味方与力・秋山久蔵は、手下と共に押し込み犯を追うが、背後にはさらに憎むべき悪党がいると睨む。 好評シリーズ第3弾!
  • 秋山久蔵御用控 乱れ舞
    3.0
    薬種問屋の主が斬殺され、娘が身投げをした。浪人に手籠めにされ、強請られていたのが原因だという。そこで浮かび上がった浪人・宗方慎之介は、元は直参旗本、そして秋山久蔵の幼馴染みだった。追い詰められ、「公儀に恨みを晴らす」と言い残して死んだ友の無念に、久蔵は隠された悪を暴くことを誓う。 好評シリーズ第7弾!
  • 秋山久蔵御用控 無法者
    3.0
    町方の男とつるんで評判の悪い旗本の部屋住みを調べると、小料理屋や御家人から金を強請りとっていることが分かった。だが標的となった者たちも真っ当ではなく、何か後ろ暗いところがあるようだ。“剃刀”久蔵は、旗本が強請を繰り返すことには訳があるとみて、弥平次たちにさらに探索を進めさせると……。 好評シリーズ第21弾!
  • 秋山久蔵御用控 余計者
    3.0
    不忍池の畔で男の死体が発見された。近辺では筆屋の主が大山詣りに出て怪我をし、女房と手代が店を休んで後を追ったきり、姿が見えないという。南町奉行所の秋山久蔵は、死体が筆屋で、女房と手代が事件に絡んでいると睨むものの、残された証拠に違和感を覚える。久蔵に息子が生まれ新たな展開を見せる。 好評シリーズ第15弾!
  • 悪左府の女
    4.5
    悪左府・藤原頼長から女官に下された密命とは? 平安ピカレスク小説誕生! 平安時代の末、藤原の氏の長者・藤原頼長は冷徹な頭脳ゆえ「悪左府」というという異名で呼ばれていた。 己の権力争いの道具として頼長が目を付けたのは、下級貴族の娘だった。 琵琶の名手である娘は下された密命のため帝の傍に送り込まれる。 時代の変わり目に彼女が見たものとは。 謎とスリルに満ちた長篇宮廷小説。 解説・内藤麻里子 ※この電子書籍は2017年6月9日に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
  • 悪将軍暗殺
    -
    片腕を失った少女には、全てを見通す“目”があった 襲撃によって父と生き別れ、片腕を失った少女・小鼓。生き残るために戦う中で、彼女は本当の敵は誰なのかに気づく。渾身の歴史小説! 足軽の父と暮らす少女、小鼓(こつづみ)の日常は、都から来た高僧・義圓(ぎえん・後の足利義教)の襲撃により奪われた。左腕を失い父と生き別れた小鼓は、やがて自分に“軍略の才”がある事に気づき……。数多の戦場を仲間たちと駆け抜けながら、小鼓は京を「万人恐怖」で支配する義教への復讐を誓う。著者渾身の傑作歴史小説! 解説・天野純希 ※ 単行本『千里をゆけ くじ引き将軍と隻腕女』2021年3月刊 文春文庫版『悪将軍暗殺』に改題 2024年2月刊 この電子書籍は、文春文庫版を底本としています。
  • あくじゃれ 瓢六捕物帖
    3.9
    牢屋敷に捕らわれの身の、世之介ばりの色男・瓢六と、無骨な同心・篠崎弥左衛門との凸凹コンビが、難事件を次々に解決する痛快譚。 シリーズ第一作。 絶世の色男、粋で頭も切れる目利きの瓢六が、つまらぬことで小伝馬町の牢屋敷に放り込まれた。ところが丁度同じ頃起きた難事件解決に瓢六の知恵を借りるため、与力・菅野一之助は日限を切っての解き放ちを決める。不承不承お目付役を務める堅物の定廻り同心・篠崎弥左衛門との二人組による痛快捕物帖。
  • 明智左馬助の恋 上
    3.8
    嫉妬の棘が光秀を狂わせる――。『信長の棺』『秀吉の枷』につづく「本能寺3部作」ついに完結! 後醍醐天皇から錦旗(きんき)を賜った祖先を持つ三宅弥平次はその出自を隠すべく、明智家の養子となって左馬助を名乗り、信長方についた主君とともに参謀として頭角を現すようになる。秀吉との出世争い、信長の横暴に耐える光秀を支える忠臣には、胸に秘めたある一途な決意があった。「本能寺の変」をめぐる純愛を描く、感動の歴史長篇。

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