講談社学術文庫の検索結果

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  • 歎異抄
    3.9
    悪人正機説や他力本願で知られる真宗の開祖・親鸞。危険思想視され烈しい弾圧にあいながらも、人々に受け入れられていった、その教えの本質とは何か。師の苦悩と信仰の極みを弟子の唯円が綴った聖典に詳細な語釈、現代語訳、丁寧な解説をほどこした。日本人の「こころ」を追究する著者の手でよみがえる流麗な文章に秘められた生命への深い思想性。
  • 第一次世界大戦  忘れられた戦争
    4.1
    1914年夏、「戦争と革命の世紀」が幕を開けた。交錯する列強各国の野望、暴発するナショナリズム、ボリシェヴィズムの脅威とアメリカの台頭……。ヴィルヘルム2世、 ロイド・ジョージ、 クレマンソー、レーニン、ウィルソンら指導者たちは何を考え、どう行動したのか。日本の進路に何をもたらしたか。「現代世界の起点」たる世界戦争を鮮やかに描く。
  • 大乗仏教の誕生 「さとり」と「廻向」
    4.5
    人びとを救いのない業報の束縛から解放する、恩寵と救済の宗教――大乗仏教は、どのような思想的変転の中から出現したのだろうか。「さとり」と「廻向(えこう)」という大乗仏教のキーワードを軸に、その独自の論理を解明していく。 「マーヤー夫人の処女懐胎」と「マリアの受胎告知」など、ブッダとイエスをめぐる説話に驚くべき類似がいくつも見られるのはなぜだろうか。本書はまず、仏教とユダヤ教、キリスト教など、西アジアの諸宗教の影響関係を聖典文献学から探る。なかでも、ペルシアに栄えたゾロアスター教がメシア信仰や阿弥陀仏信仰、さらに大乗仏教の成立に与えた影響に着目する。 また、自分の積んだ善業の結果を「さとり」という超世間的なものに転換したり、自己の功徳を他人に振り向けたりする「転換の思想」すなわち「廻向」は、「業も果も本質的には空(くう)である」という「空の思想」に支えられている、という。そして、この阿弥陀仏信仰と「空の思想」を両輪として、大乗仏教は育まれたのである。 原始仏教と他宗教を比較する広い視野から、難解な思想を平易に説き明かす。巻末解説を、チベット学の今枝由郎氏が執筆。 『「さとり」と「廻向」――大乗仏教の成立』(講談社現代新書1983年刊、人文書院1997年刊)を改題して文庫化。
  • 第二次世界大戦 忘れえぬ戦争
    -
    1939年9月1日早朝、ドイツ軍が宣戦布告なくポーランドへ侵攻。ここに第二次世界大戦の幕が上がった。 第一次世界大戦の惨禍を経て、パリ不戦条約や国際連盟の設立により平和を誓ったはずだった世界が、未 曾有の大戦へと突き進んでしまったのはなぜか。ファシズムの台頭、植民地主義帝国の衰退、アメリカ自 由主義の伸長、資本主義と共産主義の対立……列強各国の緊迫した外交とイデオロギーの衝突が、世界を ふたたび戦火に巻き込んでいく。その果てに待っていたのは、ホロコーストや原爆投下といった人類史上 最悪の惨劇であった。 ローズヴェルト、チャーチル、スターリン、ヒトラー、ムッソリーニ、ド・ゴール、ティトー――歴史を動 かした指導者たちは、あの時代に何を思い、いかなる決断を下したのか。日中戦争を起点とし、太平洋戦 争へと突き進んだ日本は、どのような運命を辿ることになったのか。名著『第一次世界大戦』(講談社学 術文庫)の著者が鮮やかに描く、「戦後秩序の原点」となった大戦争の全貌。 [本書の内容] 序 章  悲劇の発端  大戦の様相 I 「彼らの最も輝かしいとき」  ついにダウニング街一〇番地  フランス休戦の賦  野望、海峡に散る 静かな幕間 II 大戦における一九四一年  迫りくる独ソ戦  スターリン、沈黙を破る  宣戦の詔書 III  雪原のかなた、砂漠の果て  第二戦線を、いま  偶然とみえるダルランの存在  カサブランカの集いを経て IV 去りゆく者と、よみがえる者と  最初の三首脳会談まで  みずからを解放したパリ  クリミアの短い蜜月 V すべてが語り尽くされる頃  死のさまざまな影  米英ソ大同盟の最後の歩み あとがき 参考文献 解説 戦後を戦前、戦中にしないために(池上 彰) 略年表 *本書の初版は1986年に社会思想社より現代教養文庫として刊行された。文庫化にあたっては『歴史・人間・運命 山上正太郎歴史叙述集2』(2000年、文元社)所収版を底本とした。
  • 大日本人名辭書(一)
    -
    本書は、明治十九年初版発行、昭和十一年新訂版発行、昭和四十九年に小社より復刻版を刊行した『大日本人名辞書』(全五巻)をそのままの内容で縮刷し、学術文庫に収録するものである。本書はもと田口卯吉の編集にかかり、独創的な名辞典として広く流布普及した。以来半世紀にわたって改訂増補を重ね、ここにみる「新訂版」として完成した。人物の網羅、記事の精確、収録の広汎等我が国人名辞典の王者として不朽の名著である。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
  • だれのための仕事 労働vs余暇を超えて
    3.9
    たのしい仕事もあればつらい遊びもある。仕事/遊び、労働/余暇という従来の二分法が意味を消失した現代社会にあって、わたしたちが生きることを支えているものはなにか、それは「働く」ことと「遊ぶ」こととどのようなかかわりがあるのか――。人間性の深みまで掘り下げて労働観・余暇観の歴史にせまり、人間活動の未来像をさぐる、清新な労働論。(講談社学術文庫)
  • 地下水と地形の科学 水文学入門
    4.3
    黒部川扇状地、武蔵野台地、千葉・市原、熊本市……。三次元空間を時間とともに変化する四次元現象である地下水流動を可視化する水文学。地下水の容器としての不均質で複雑な地形と地質を解明した地下水学は、改めて環境問題に取り組む。地下水=共有財(コモンズ)を、単に資源としてではなく、文化・心理的な環境要因とみなし、自然と人間の幸福な関係を探究する。
  • 竹林の七賢
    3.0
    ◆◇自由に生きるって、こういうことなんだぜ!◇◆ 儒教の権威が失墜し、政治社会が揺れ動くアナーキーな魏晋時代、自由闊達な思想が炸裂した! 詩を詠み、議論を戦わせ、楽器をかき鳴らし、そして心ゆくまで痛飲し、葛藤を抱えながら己の思想を貫こうとした彼ら。 権力に睨まれ刑死した者あり、敢えて世俗にまみれた者あり、いずれも激烈に生きたその群像を、シャープな筆致で簡明に描ききる! 中国史、中国思想に興味のあるものならば、「竹林の七賢」と彼らがおこなった「清談」というものについて、強い印象がのこっているだろう。 しかしながら、彼らがどのような背景をもつ思想家で、どのような知的交流をしたのか、具体的なことを知っているだろうか? 政治・社会が流動し価値観が変わりゆく時代にあって、それぞれの切実さをもって己の思想を生きた彼らは、いずれも「世俗を離れた、純粋な知的探求者」という一面的な見方ではとうてい捉えきれない思想家たちであった― 彼らの人間くさい生き様と、為した仕事のエッセンスを知る、とてもコンパクトで、楽しい一冊。 【本書「はしがき」より】 七人の人物が「竹林の七賢」という一つのグループにまとめられはしたものの、そのなかにはさまざまのタイプの人間が含まれていて実に個性豊かである。それだけではなく、一人の人間についても、その性向と行動とが一見すると矛盾するかのように思われる場合すらないではない。その点においてもまた、儒教が唯一絶対の価値の源泉であった漢代とは異なって、価値が多様化した魏晋の時代の一つの指標をみとめることができるのだが、「竹林の七賢」の面々は、ある場合には文学作品や哲学論文によって、ある場合にはそのライフ・スタイルによって、それぞれに強烈でしたたかな自己主張を行なったのである。 *本書の原本は、1996年に『風呂で読む 竹林の七賢』として世界思想社より刊行されました。
  • 地図から読む歴史
    4.0
    過去の景観の残片は、さまざまな形で地図に姿を留めている。地名や地形、道路、寺社などの位置関係と実地の検分から、そこに生きた人々の「地表経営」とその意図を解明する<歴史地理学>の楽しみ。聖武天皇の都・恭仁京の全貌、信長の城地選定基準、江戸建設と富士山の関係など、通常の歴史学ではアプローチできない日本史の側面に新たな光をあてる。
  • 知性改善論
    4.0
    本書は、主著『エチカ』で知られるバールーフ・デ・スピノザ(1632-77年)がその執筆活動の初期に残した代表作の一つです。 従来『神、人間および人間の幸福にかんする短論文』が最も早い著作と考えられてきました。しかし、近年の研究では本書『知性改善論』こそ、1656年後半から61年前半に書かれた最初期の論考である、という説が有力になりつつあります。アムステルダムにユダヤ人として生まれ、ユダヤの教育を受けたものの、1656年には破門されるに至ったスピノザが、デカルトやベーコンの哲学を会得した上で、「神」について、無限なる属性としての思考と延長について独自の見解を紡ぎ、語り始めた、画期となる著作です。 精神と全自然との合一の認識、永遠無限なるものへの愛、揺るぎない幸福の追求など、本書には『エチカ』のモチーフをはっきり見て取ることができます。おそらくは時間のなさゆえに本書は未完のまま放置されましたが、しかしその哲学は『エチカ』に引き継がれ、さらなる発展と深化を遂げていくことになります。その意味で、本書はスピノザが「哲学者」になる過程を記録した生々しいドキュメントであるとともに、著者自身による最良の『エチカ』入門でもあると言えるでしょう。 『知性改善論』については、長らく畠中尚志訳(1931年、改訳1968年)が読み継がれてきました。本書は、気鋭の研究者が最新の研究成果を取り込みつつ、充実した訳注とともに「今日の日本語」でスピノザを読めるようにと全力で完成させた待望の新訳です。 [本書の内容] 読者に告ぐ 〔導 入〕 〔方法の規定〕 〔方法の第一部〕 〔方法の第二部〕 訳 注 文献一覧 訳者解説
  • 地中海世界 ギリシア・ローマの歴史
    3.0
    古代ローマ史の泰斗による、古代地中海世界の歴史。講談社現代新書で好評を博したシリーズ「新書西洋史」全8冊のうちの第2巻として刊行されたが、単なる概説書にとどまらず、古代史への新しく、大きな視座を提供した、定評ある意欲作。 本書は、ほぼ2000年にわたるギリシア・ローマの歴史を扱うが、「ギリシア」と「ローマ」という二つの歴史を扱っているのではない。「ギリシア・ローマ」という一つの世界の一貫した歴史として追及する。 現在の西半球の主要な歴史の担い手とその文化は、地中海世界を母胎として生み出されたものであった。ラテン的・ゲルマン的世界、ギリシア的・スラブ的世界、オリエント的・アラブ的世界は、地中海世界の崩壊の中から生み出された第二次的世界であり、キリスト教的東西ヨーロッパ文明、イスラム的アジア文明は、地中海世界の転生の中から生まれたものだった。地中海世界は、それらすべてのものの出発点であり、母胎であり、故郷なのである。巻末解説を、東大名誉教授・本村凌二氏が執筆。〔原本:『新書西洋史2 地中海世界――ギリシアとローマ』講談社現代新書、1973年〕
  • 秩禄処分 明治維新と武家の解体
    5.0
    秩禄処分とは、明治9年、華族・士族に与えられていた家禄を廃止し、「武士」という特権的身分を解体した変革である。現代にたとえれば、公務員をいったん全員解雇して公職を再編するようなこの措置は、なぜ、曲折を経つつも順調に実施され、武士という身分はほとんど無抵抗のまま解消されたのか。江戸時代以来、「武士」はどのように位置付けられ、没落する士族たちは、新たな時代にどう立ち向かっていったのかを明らかにする。(講談社学術文庫)
  • 「知の商人」たちのヨーロッパ近代史
    3.0
    古来、思想は<出版>という形で普及し、後世へ残った。ならば、知の媒介者たる「印刷・出版業」から16世紀から20世紀の近代を眺めてみよう。そこには、名著を支えた蒐書家や出版人などの人間模様、「知」の商品化による印税騒動など、歴史に埋もれた事件が浮かび上がってくる! 思想史でも書物史でもない、碩学によるユニークな書。 本書は1985年4月、筑摩書房から刊行された『知の商人―近代ヨーロッパ思想史の周辺』を改題、加筆修正したものです。 目次 1 商品としての思想 エルセフィエル書店 リヴァイアサンの顔 ハーリーとソマーズ 知の商人―ストラーンのばあい 知の商人―エディンバラの出版業者 バーゼルのトゥルナイゼン 固有名詞の読み方 『ケール版ヴォルテール全集』始末記 イギリスのワイン アメリカ革命の導火線 『エディンバラ評論』の運命 紅茶の話 ジン横丁 2 知識人層の成立 音楽の商品化 うたは世につれ 『共産党宣言』の英訳者 パリ・コミューンと芸術家たち 芸術至上主義と無政府主義・ 黒猫のスタンラン 大学と女性 ディーツ出版社 ユニウスとジュニアス ブラウンス・アルヒーフ マスク・ヴェーバーをめぐる女性 3 ファシズムのもとで グーテンベルク図書組合 マリク書店とハートフィールド 亡命知識人とスイス 左翼読書クラブ 一九三〇年代の墓標 ウォーバーグ家の人びと 空襲下のコンサート 内容抜粋) 「私は昨夜、ヴォルテールが死んだということを聞きました。これで人びとは、安心して彼の著作を買うことができるでしょう。彼はもう、あとからあとから書き直すということができないからです」(一七七八年一月十七日)。この知らせは誤報で、ウォルポールの安心は四ヵ月余り早すぎたのだが、ヴォルテールの止まるところを知らない改訂癖に蔵書家が悩んでいたことは、誤報ではない。  1「『ケール版ヴォルテール全集』始末記」より ルイジ・エイナウディ研究所 本を愛した外科医 あとがき 学術文庫あとがき 人名索引
  • 知の百家言
    4.5
    有史以来、フィロソフィー(知を愛すること)は人類とともにあった。先人たちの「知を愛する」営為の結晶である言葉を選び出し、その含蓄を引き出して、紹介する。<教養>としての哲学ではなく、激動の時代を生き抜くために、生きることに渇きを感じる強烈な好奇心に、思い考えること=生きることと直結するような「哲学」を提示する珠玉のエッセー集。(講談社学術文庫)
  • チベット旅行記 合本版
    5.0
    仏教の原典を求めて、1900年当時厳重な鎖国をしていたチベットに、困難を乗り越えて、単身入国・帰国を果たした河口慧海師の旅行記です。最高の旅行記にして、生活・風俗・習慣の的確な記録として、チベット研究の第一級の基本文献です。『西蔵旅行記』(1904、博文館)を底本とし、挿絵も全点収録しています。また、改訂版(1940年)と英訳本(1909年)も参照し、完全な形になっています。(講談社学術文庫)
  • 地方の王国
    -
    新潟、徳島、千葉、滋賀、鹿児島、北海道……。日本中で戦後保守政治の支柱となった〈王国〉。それらに潜り込み選挙の構造を調査した地方政治研究の重要古典。高度成長の終焉がもたらした各地の構造的変容は、「豊かさはもはや手放すべきものなのか」という問いをめぐって揺れる現代日本を照らし出す。日本政治の底の底、そこに映る日本人像にまで肉薄した迫真のルポルタージュ。(講談社学術文庫)
  • 地名の研究
    4.0
    日本は諸外国とくらべて地名が膨大であると説き、柳田は有名な「大きな地名」よりも、小字などの「小さな地名」に着目する。また、地名を新古の生活の必要によって命名する「利用地名」、自分の土地だと宣言するための「占有地名」、地名を分割して名付ける「分割地名」に分類。それぞれの特徴は何か。地名学の源流となった名著。(解説・中沢新一)(講談社学術文庫)
  • 茶経 全訳注
    5.0
    中国唐代、「茶聖」陸羽によって著された世界最古の茶書『茶経』。茶の起源、製茶法から煮たて方や飲み方、さらに茶についての文献、産地による品質まで、茶に関する知識を実践的かつ科学的に網羅する「茶学の百科全書」を、豊富な図版とともに平易に読み解いてゆく。中国喫茶文化研究の泰斗による四十年余にわたる探究を経て完成した喫茶愛好家必携の一冊。(講談社学術文庫)
  • 茶道名言集
    3.0
    わび・さび、数寄、一期一会――。〈茶の精神〉は現代に生きる我々の日常生活にも息づいている。本書は、茶道書の古典から名人の言葉や逸話を豊富に集めて解説を施した。千利休をはじめ、村田珠光、武野紹鴎、そして岡倉天心まで、茶に生きた人々は茶に何を見出し、何を求めたのか。そこに現れる、茶道の心とは何か。平易な言葉でつづる茶道入門。(講談社学術文庫)
  • 中央アジア・蒙古旅行記
    3.0
    13世紀の中頃、ヨーロッパ人が相次いでモンゴリアの奥深く入っていった。教皇インノケンチウス4世の命を受け、あるいはルイ9世の書簡を携えて、「地獄(タルタルス)の住人」の地へと中央アジアの乾燥帯を苦難と危険を道連れに歩みゆく修道士たち。勢力を西へ拡大中のモンゴル帝国で、また本営カラコルムで、彼らは何を見、誰に会い、どんな宗教や風俗に触れたのか。2人の修道士それぞれの見聞記。
  • 中国思想史
    5.0
    昭和11年(1936)に『支那思想史』の書名で刊行され、戦後は『中国思想史』と改題してたびたび再刊されて今世紀まで読み継がれてきた概説書の、初の文庫化。孔子・老子に代表される古代思想はもちろん、その後の儒教・仏教・道教の相互交渉、朱子学・陽明学の成立、清代の考証学の確立まで、2000年以上におよぶ中国思想の幅広い歴史を、コンパクトに通観する。 著者によれば、維新以後この種の著作は数種出ているが、いずれも学者の伝記とその著書の解題を並べたものにすぎず、思想推移の跡をたどるに不便である、という。そこで本書では、思想変遷の過程を明らかにし、異質な思想が接触し変化する歴史を描くことに多く筆を割いている。 なかでも本書の大きな特徴は、四書五経の研究を深めた学問「経学」の変遷や、儒教や宋学への仏教の影響について大胆に説き明かしていることで、一人の研究者がこれほどの広い視野で中国の思想史を捉えた書物は、その後著されていない。 学術文庫のロングセラー、『孫子』『墨子』『諸子百家』等の著者、浅野裕一氏(東北大学名誉教授)が巻末解説を執筆。〔原本:岩波書店、1936年・1957年・2005年刊〕
  • 中国人の機智 『世説新語』の世界
    3.0
    諧謔性に富んだ反射神経、自負心の誇示、侮蔑への鮮やかな反撃……。一筋縄ではいかぬ誇り高き人々の不退転の反俗・反逆の精神を切れ味鋭い機智に乗せて演じきった舞台、それが『世説新語』の世界である。内乱、戦争、めまぐるしい王朝交替。暗く険悪な乱世を生き抜く魂は、悲哀、憂鬱を乗り越え、豪放洒脱な生き様は究極の言語表現を生み出した。(講談社学術文庫)
  • 中国戦乱詩
    -
    太平の時は常に稀にして戦乱の世は常に多し。――古来より、中国では戦争が絶えなかった。歴代の詩人たちは、あるがままの現実を作品に昇華し、人々の叫び出でたる声として残した。中国古典文学研究の泰斗が、蘇軾・李白・杜甫・文天祥といった、周代から清朝の名詩・四十一首を精選する、味わい深い名著。(まえがき・川合康三/解説・小川環樹) [本書の内容] 学術文庫版まえがき 川合康三 序 周詩 漢魏晋詩 六朝隋詩 唐詩(上) 唐詩(下) 宋詩 清詩 解説 小川環樹
  • 中国通史 問題史としてみる
    4.0
    歴史をみるうえで、なぜその事実が選択されたのか、何が大切で、どういう点が問題になるのか等に意を注ぎ、中国文明の誕生から現代までの歴史を綿密に辿る。江南の河姆渡(かぼと)遺跡や四川の三星堆(さんせいたい)遺跡など近年の新しい発掘と研究の著しい成果を踏まえ、民衆の歴史や思想・文化にも注意を払い、総合的観点から中国史の全体像を描き出した意欲作。(講談社学術文庫)
  • 忠臣蔵 もう一つの歴史感覚
    -
    日本人の心の中に「大石内蔵助」という名は一つの男の理想像として刻み込まれている。しかし、このイメージは、実は歴史上の実像とは隔たりがある。それでは、「忠臣蔵」という共同幻想をつくったのは、本当はだれなのか。そして、この壮大なフィクションは、なぜこれほど日本人に愛され続け、『仮名手本忠臣蔵』はどのようにして歌舞伎最大の古典となったのか。明晰な構成と文体で鮮やかに描き出す、第一人者による意欲作。(講談社学術文庫)
  • 中世イタリアの都市と商人
    3.5
    海賊さながらに武装する商人、巨大化するガレー船、移住する地主と小作人、都市・農村行政を支える公証人……。 古文書館に眠る証書や帳簿、登記簿などの史料を丹念に掘り起こし、中世イタリア都市社会・地中海世界を生き生きと再構成。のちの中世イタリア史研究の芽はすべてここにあるとも形容される、稀代の中世社会史学者の到達点。 (解説:池上俊一)  * * * [本書の内容] 1 地中海商業と海賊 2 ジェノヴァ・キオス・イングランド 3 地中海貿易とガレー船 4 イタリア中世都市の「市民」と「非市民」 5 中世末期イタリアにおける職人・労働者の移動 6 中世末期イタリアにおける公証人の活動 7 イタリア中世都市論再考 8 イタリア中世都市論再考――清水廣一郎氏遺稿 解説 かけがえのない細部を慈しむ 池上俊一
  • 中世芸能講義 「勧進」「天皇」「連歌」「禅」
    3.5
    日本中世芸能の世界を、「勧進」「天皇」「連歌」「禅」という四つの切り口から論じる。経済活動の原動力としての勧進が芸能を包含していく過程、天皇制のなかの祓穢思想と芸能との発生のかかわり、位相の変化の連なりを集団の連関のなかで生み出す連歌のダイナミズムと美学、禅が孕むバサラ的思想。超域的な視点から能楽研究を拓いてきた第一人者の眼で歴史資料から鮮やかに見出される日本中世文化の全容を描く画期的講義の記録。(講談社学術文庫)
  • 中世再考 列島の地域と社会
    3.5
    日本中世史の諸説に様々な疑問を提出した小論集。「平民の自由」「民衆の生活史」「東国と西国」「百姓」「海民」など、著者が現在も徹底して追究し、多くの成果をあげている、数多くの研究主題の原点が提示されている。常民文化研究所で著者に強い影響を与えた民俗学者、宮本常一に関する論考も収録。
  • 中世都市 社会経済史的試論
    4.0
    ローマからゲルマン諸族へと地中海に展開した古代文明。イスラームの侵入による「停滞の中世」のなかで都市と商業はいかに生まれたか
  • 中世の音・近世の音 鐘の音の結ぶ世界
    5.0
    音に託された意味の変化から中近世の日本社会を読む。中世において誓いの場や裁判の場で撞かれていた神聖な鐘は、次第に日常的な音になり、危険や時刻を知らせる役割を果たすようになった。神の世界と人間をつなぐ音から、人間同士をつなぐ音へ。その変遷を、史料に加え民俗学の成果も多分に用いて考察する。記録には残りにくい当時の人びとの感性や感覚を追うことで、中近世の社会・文化を描き出す。(講談社学術文庫)
  • 中世の罪と罰
    4.0
    「やーい、お前の母ちゃん、でべそ!」 誰もが耳にしたことがありながら、よく考えると意味不明なこの悪口。そこに秘められた意味とは? ありふれた言葉を入り口に、今は遠く忘れ去られた日本の姿が、豊かに立ち上がる。 「お前の母ちゃん…」のような悪口が御成敗式目にも載るれっきとした罪であり、盗みは死罪、犯罪人を出した家は焼却処分、さらに死体の損壊に対しては「死骸敵対」なる罪に問われれた中世社会。何が罪とされ、どのような罰に処せられたのか。なぜ、年貢を納めなければ罰されるのか。それは何の罪なのか。10篇のまごうかたなき珠玉の論考が、近くて遠い中世日本の謎めいた魅力を次々に描き出す。 稀代の歴史家たちが、ただ一度、一堂に会して究極の問いに挑んだ伝説的名著、待望の文庫化!(原本:東京大学出版会、1983年)解説(桜井英治・東京大学教授)より本書を通じてあらためて浮き彫りになるのは、中世社会が、現代人の常識や価値観では容易に解釈できない社会だということ、つまりそれは私たちにとって彼岸=異文化にほかならないということである。……日本中世史研究がまばゆい光彩を放っていたころの、その最高の部分をこの機会にぜひご堪能いただきたい。【主な内容】1 「お前の母さん……」 笠松宏至2 家を焼く 勝俣鎭夫3 「ミヽヲキリ、ハナヲソグ」 勝俣鎭夫4 死骸敵対 勝俣鎭夫5 都市鎌倉 石井 進6 盗 み 笠松宏至7 夜討ち 笠松宏至8 博 奕 網野善彦9 未進と身代 網野善彦10 身曳きと“いましめ” 石井 進討論〈中世の罪と罰〉 網野善彦・石井進・笠松宏至・勝俣鎭夫あとがき 笠松宏至あとがきのあとがき 笠松宏至文献一覧解 説 桜井英治
  • 中世の非人と遊女
    3.8
    非人や芸能民、商工民など多くの職能民が神人(じにん)、寄人(よりうど)等の称号を与えられ、天皇や神仏の直属民として特権を保証された中世。彼らの多くは関所料を免除されて遍歴し、生業を営んだ。各地を遊行し活動した遊女、白拍子の生命力あふれる実態も明らかにし、南北朝の動乱を境に非人や遊女がなぜ賤視されるに至ったかを解明する。網野史学「職人論」の代表作。
  • 中世武士団
    5.0
    平安時代後期から戦国時代の終わりまで、中世をになった特徴的存在が武士団です。 「土」と結びついたイエ支配権の強力さと独立性、生活の実際と意識のあり方、10世紀初頭の武士団の実体と鎌倉武士団への発展の過程、「板碑」が語る武士団の歴史、安芸国の小早川氏に見る鎌倉的武士団から南北朝・室町的武士団への変貌の経過と武士団の支配下の荘園の様相、北陸の雄たる朝倉氏の城下町、越前一乗谷の考古学的発掘の成果をとり入れた戦国武士団の一面。そして中世から近世へと移りゆくなかで武士団が喪失した「自立性」への惜しみない哀悼。 本書は、日本中世史の泰斗が「中世武士団」という社会集団の実態と特色、そして中世社会の構造を、歴史書、文学作品、碑文、考古学資料を駆使し鮮やかに描き出し、高い評価を受け続けている作品です。30年以上前の著作ではありますが、学生や研究者にとっては今なお必読書であり、一般読者層にとっては最良の日本中世史入門といえる名著です。 〔原本/1974年、小学館「日本の歴史」12巻『中世武士団』〕 ※本書の原本は1974年、小学館より「日本の歴史」第十二巻『中世武士団』として刊行されました。講談社学術文庫収録にあたっては、同社より1990年に刊行された「文庫判 日本史の社会集団」第三巻『中世武士団』を底本とし、2005年に山川出版社から刊行された「石井進の世界」第二巻『中世武士団』を参照しました。 【目次より】 中世武士団の性格と特色――はじめに 曾我物語の世界 敵討とその周辺 「兵」の館をたずねて 「兵」から鎌倉武士団へ 板碑は語る 武士団とは何か 小早川の流れ(一)――鎌倉時代の歩み 小早川の流れ(二)――南北朝・室町時代の武士団 埋もれていた戦国の城下町――朝倉氏の一乗谷 失われたもの、発見されるもの――おわりに
  • 中世ヨーロッパの結婚と家族
    3.0
    学術文庫ですでに、『中世ヨーロッパの城の生活』、『中世ヨーロッパの都市の生活』、『中世ヨーロッパの農村の生活』、『大聖堂・製鉄・水車』、『中世ヨーロッパの家族』、『中世ヨーロッパの騎士』が好評を博している、ギースの「中世ヨーロッパシリーズ」の7冊目。本作では、人間の社会を構成する最も基本的な単位、「家族」と、その核心をなす「結婚」から、中世の社会史を掘り下げる。初訳。古今のあらゆる社会において、「家族」は、人が食べ、学び、経済生活を送る普遍的な場であったが、同時に、常に変化し続けるものでもあった。今日の家族は、ヨーロッパ中世が生み出した歴史の産物なのである。古代には、貴族の一夫多妻は当然であり、ローマ時代の「ファミリア」は、血族だけでなく奴隷や召使いをも含んでいた。中世の1000年間に、「解消不能な一夫一婦制」という原則はどのように定着し、「夫婦と子どもたちが一つの家に住む」という家族観はなぜ生まれたのか。14世紀の大災厄、黒死病以降に、家族のあり方や、子どもへの接し方はどう変わったのか。貴族や中流階級、農民や職人など、様々な人々の「結婚」と「家族」の進化の道筋を丹念に描く。[原著:Frances and Joseph Gies, Marriage and the Family in the Middle Ages,1987 ]目次/第一部 起源 第一章 歴史家、家族を発見 第二章 原点――ローマ人、ゲルマン人、キリスト教/第二部 中世前期 第三章 ヨーロッパの家族――五〇〇―七〇〇年 第四章 カロリング朝時代 第五章 アングロ・サクソン時代のイングランド/第三部 中世盛期 第六章 十一世紀の家族革命 第七章 十二世紀――新しいモデル 第八章 黒死病以前の農民たち――一二〇〇―一三四七年 第九章 貴族の系譜――長子相続がもたらす危機 第一〇章 中世の子どもたち/第四部 中世後期 第一一章 黒死病の影響 第一二章 中世後期の農民の家族――一三五〇―一五〇〇年 第一三章 イングランドの土地持ち紳士階級の家族 第一四章 十五世紀のフィレンツェ――商人の家族/第五部 中世末期 中世の終わり 第一五章 遺産/訳者あとがき
  • 中世ヨーロッパの社会観
    4.0
    人体に、建造物に、蜜蜂に、チェス盤に―― 隠喩で捉えられた社会像 中世ヨーロッパは教皇・皇帝という聖俗権力の下の階層秩序的な社会であった。人体諸器官に喩えれば君主は頭、元老院は心臓、胃と腸は財務官と代官、武装した手は戦士、足は農民と手工業者、そしてそれらは魂であるところの聖職者の支配に服する――ほかに建築・蜜蜂・チェスなどを隠喩として社会の構成と役割を説明する中世人の象徴的思考を分析。
  • 中世・ルネサンスの音楽
    4.0
    音楽の源泉、バロック以前の音楽の好解説書 心洗われる素朴な響きのグレゴリオ聖歌、吟遊詩人のうたい上げる愛のメロディ……美しい旋律で人の心の奥底を揺り動かす中世・ルネサンス音楽の世界へようこそ。
  • 中右記 躍動する院政時代の群像
    -
    道長が「この世をば我が世とぞ思う……」と口ずさんでから約70年。道長の玄孫にあたり、のちに右大臣に昇る藤原宗忠は宮廷での日々を綴り始めた。宗忠が職を辞するまで、52年にわたり書き続けられた『中右記』は、華やかな宮廷生活はもちろんのこと、「武者の世」へと大きく時代が動いていく院政期社会の実像を伝えてくれる。貴族の旅行や交通事情、京で起こったさまざまな犯罪、落馬を恐れる貴族と牛車に四苦八苦する武士たち――宗忠は時に家族との死別に涙して仏事に奔走し、息子たちの栄達を願って心を砕く一方、自らを妨げた者、助けてくれた者の一覧を記すような面も日記のなかで見せている。 膨大な日記の海から、著者ならではの視線で重要な記述をすくいあげ、およそ900年前を生きた多様な階層の人々の暮らしをあざやかによみがえらせる、不朽の院政期社会史。 院政期の第一級史料である『中右記』は実にさまざまなことを語ってくれる。従一位、右大臣にまで昇りつめた宗忠の日々の苦労や悲喜こもごもはもちろん、熊野詣や伊勢への具体的な旅程と旅先ならではの交流、当時の警察・裁判機構の長官である検非違使別当として記した京の犯罪とその取り締まりの実態、それをめぐる人間模様、強訴を繰り返す悪僧たちの躍動、京の民衆が熱狂した田楽、そして警備などを通じて静かに存在感を増していく武士たちの姿……。 宗忠が生きた時代は、白河院による院政が始まり、「武者の世」の足音が聞こえはじめた、激動の予感に満ちた時代である。摂関家を中心とする藤原一門の栄華には翳りがさし、宗忠の日記には王朝貴族の秩序が崩れていくことへの悲憤や嘆きもにじむ。同時に武門の随兵・郎等のあり方からは、院政時代特有の武士像もうかがえる。 膨大な日記のなかから宝物のような手がかりをすくいあげ、同時代の日記や史料をも駆使して、900年前を生きた人々の体温や息遣いまで感じられるほどに、当時の世界が描き出される。(原本:そしえて、1979年) 【本書の内容】 はしがき  一 立身の道 二 熊野・伊勢への旅 三 検非違使の記録 四 院政期諸階層の生態 五 宮廷貴族の晩年 藤原宗忠関係年譜 解 説 髙橋昌明
  • 朝鮮紀行
    4.3
    英国人女性旅行家イザベラ・バードが朝鮮を訪れたのは、1894年、62歳の時のことである。以後3年余、バードは4度にわたり朝鮮各地を旅した。折りしも朝鮮内外には、日清戦争、東学党の反乱、閔妃(びんひ)暗殺等の歴史的事件が続発する。国際情勢に翻弄される李朝末期の不穏な政情や、開国間もない朝鮮に色濃く残る伝統的風土・民俗・文化等々、バードの眼に映った朝鮮の素顔を忠実に伝える名紀行。
  • 朝鮮儒教の二千年
    -
    朝鮮における儒教の二千年にもおよぶ展開を丹念に描き出し、朝鮮近代思想史につなげる論考を展開した記念碑的大著。中国・日本と対比しながら二千年を俯瞰し、朝鮮の独自性と東アジアの普遍性を浮き彫りにする。儒学を経世実用の学とみなした潮流を確認・追跡し、そうした流れを摘み取ってしまった過程として朝鮮王朝期の党争を描き出す記述は、朝鮮のみならず東アジアにとっての<近代>を考える出発点となる。
  • 沈黙するソシュール
    -
    ジュネーヴ大学就任講演、形態論、「書物」の草稿、ホイットニー追悼などソシュールの重要なテクストを訳出し、それに対する繊細かつ本質的なノートを付す。その往還自体がひとつのテクストとなって、本書でわれわれは、いつしかソシュールの思想の生の姿に立ち会うこととなる。あえて俗流解釈を排し、言語=ラングそのものを問い続けた記念碑的力作。(講談社学術文庫)
  • チーズのきた道
    4.5
    「乳の生化学」の第一人者が明かす、チーズの起源と分類法、そしてそれらを育んだ風土。栄養価が高く保存性に優れたチーズを、各地の部族は、その存亡をかけて育ててきた。モンゴルのホロート、古代ローマのチーズ菓子、フランスのカマンベール、日本の酥(そ)など、古今東西の文献を渉猟し、乳文化を実地に探訪。「人類にとっての食文化」に考察は及ぶ。(講談社学術文庫)
  • ツァラトゥストラはこう言った
    4.3
    本書『ツァラトゥストラはこう言った』がニーチェ畢生の書にして、ドイツ文学史上屈指の作品であることは言を俟たない。故郷を捨てて山に入ったツァラトゥストラは「私は惜しみなくあげたいし、頒かち与えたい。人間たちのあいだで賢者がもう一度愚かさを愉しみ、貧者がもう一度豊かさを愉しむようになるまで」という言葉とともに山から下り、人間たちの世界に入っていく。「神の死」を告げ、しかし人類は現状に甘んじることなく高みを目指して進んでいくべきだとする「超人」の思想を伝えるツァラトゥストラは、生きとし生けるものは現状以上を目指すという原理、すなわち「力への意志」の原理に「超人」が基づいていることを説く。しかし、没落を始めるツァラトゥストラは、この世に新しいものなど起こらず、すべては同じことの繰り返しであるという「永遠回帰」の思想にたどりつく――。 生田長江による最初の邦訳(1911年)以来、すでに本書の日本語訳は15種類を数える。そのすべてに目を通した上で作られた本訳書は、21世紀にふさわしい日本語で「声に出して読める翻訳」を実現するものである。学術文庫『愉しい学問』の訳者が満を持して送り出す、渾身の訳業! [本書の内容]  第一部 ツァラトゥストラの序説 ツァラトゥストラは語る 三段階の変身/徳の講座/背後世界論者/肉体の軽蔑者/情熱にひそむ喜びと苦しみ/青ざめた犯罪者/読むことと書くこと/山に立つ樹/死の説教者/戦争と戦士/新しい偶像/市場のハエ/純 潔/友/千の目標と一つの目標/隣人愛/創造者の道/老いた女と若い女/毒ヘビにかまれる/子どもと結婚/自由な死/惜しみなく与える徳  第二部 鏡をもった子ども/至福の島にて/同情者たち/司祭たち/有徳者たち/汚い奴ら/毒ぐもタランチュラ/有名な識者たち/夜の歌/舞踏の歌/墓の歌/自己克服/崇高な人/教養の国/純粋無垢の認識/学 者/詩 人/大いなる出来事/占い師/救 い/賢い世渡り法/最も静かな時  第三部 放浪者/幻影と謎/不本意な幸福/日の出前/卑小にする徳/オリーブ山にて/通り過ぎるということ/離反した者たち/帰 郷/三つの悪/重さの地霊/新旧の石板/快復しつつある人/大いなるあこがれ/もう一つの舞踏の歌/七つの封印  第四部・最終部 蜜の捧げ物/助けを求めて叫ぶ声/王たちとの対話/ヒ ル/魔術師/失 業/最も醜い人間/進んで乞食になった人/影/正 午/歓迎のあいさつ/晩 餐/高等な人間/憂鬱の歌/学 問/砂漠の娘たちのもとで/目覚め/ロバ祭り/夜の放浪者の歌/しるし 訳 注 訳者あとがき 索 引
  • 対馬藩江戸家老 近世日朝外交をささえた人びと
    5.0
    将軍吉宗の代替わりに際し、来日する朝鮮通信使。江戸時代、朝鮮との外交交渉・貿易業務の窓口だった対馬藩は、朝鮮御役を拝命する。莫大な出費、形式を重んじる使節、無理解な老中たち。日朝双方の本音と建て前の間にあって、ときに詭弁を弄し、ときに脅し、ときに屈辱に耐えつつ近世の日朝「交隣」をささえた小藩の苦悩と奮闘。
  • 包み結びの歳時記
    -
    古代、人は生きるために必要にかられて、結ぶこと・包むことを考えました。神が人間だけに授けた特殊な技法「包みと結び」が私たちの精神文化の基調となり、“礼法”という域に昇華するまでには、どんな変遷を辿ったのでしょうか。今や当たり前の景色となった「包み」と「結び」の起源を年中行事や風習から訪ね、由来と意味を解説。日本人の豊かな美の世界を堪能する! 本書は、1991年10月、福武書店より刊行されました。 目次 はしがき 一 年中行事と歳時 はじめに 1年中行事の始まりと広がり 2「包み」の働き 3「結び」のしくみ 4暮らしの中の包み結び 5年中行事と包み結び 6中国の歳時記 二 新年の季寄 はじめに 1門松 2しめ飾り 3結び昆布 4生花初め 5馬騎初め 6着衣始め 7おけら祭り 8お年玉 9掛鯛 10幸木 11猿廻し 12しめ縄の四手 13綱引き 14包み蓬莱 15蘇散 16綯い初め 17縫初め 18初髪結い 19箸包み 20常陸帯の神事  21宝引縄 22万歳と鼓 23結び柳 24大黒天と布袋 三 春の季寄 はじめに 1梅若忌 2事始め 3桜餅 4凧 5新茶 6針供養 7三つ葉 四 夏の季寄 はじめに 1青簾 2菖蒲打ちと菖蒲の枕 3葵祭り 4鵜縄 5団扇 6扇子 7蚊帳 8柏餅 9祇園会 10鱚 11薬玉 12三社祭り 13代掻きと田植え 14襷 15端午の節句と粽 16茅の輪 17夏帯 18夏足袋 19夏場所 20匂い袋 21袋掛け 22 浴衣 23蚊遣り火 五 秋の季寄 はじめに 1牛祭り 2風祭り 3霞網 4鴨 5菊供養 6島田帯祭り 7ずいき祭り 8相撲節会と衣裳 9晴明神社祭 10俵編み 11七夕 12中元 13盆行事 14重陽 15風呂敷 六 冬の季寄 はじめに 1綾取り 2亥の子餅 3襟巻 4縁結び 5事納め 6紙衾 7角巻 8七五三と紐解き 9しめ作り 10障子 11頭巾 12歳暮祝い 13鎮魂祭 14縄跳び 15袴着 16日蔭の鬘 17鰤 18頬被り 19足袋 20羽織と胸紐 21節分 七 通過儀礼 はじめに 1新生児 2誕生祝い 3褌祝い 4結納祝い 5婚礼 6岩田帯 7還暦祝い 8葬礼 9法要 10水引 11熨斗(のし) 12袱紗(ふくさ) 八 日本文化における包み結び はじめに 1神道的なもの 2仏教的なもの 3陰陽五行的なもの 4再び年中行事を考える 5包み結びとのかかわり あとがき
  • 鶴屋南北 かぶきが生んだ無教養の表現主義
    -
    19世紀、遊里とかぶきの全盛を過ぎ、文化と衰退と爛熟が肌で感じられた江戸化政期。それは地震・噴火・洪水と、鎖国の綻びの時代でもあった。「四谷怪談」「桜姫東文章」などで知られる四代目鶴屋南北は、奇抜な趣向で当時の「現代」を写しとり、かぶきに新たな地平をひらく。彼は世に何を仕掛けたのか。伝統の革新とは何か。稀代のかぶき研究者畢生の渾身作。
  • ティマイオス
    4.0
    プラトンの主著は何か、と言われれば、たいていは『国家』という答えになるでしょう。確かに『国家』にはプラトン哲学のエッセンスが詰め込まれ、質量ともに主著の名にふさわしいことは間違いありません。しかし、長い歴史の中で最も大きな影響力をもったプラトンの対話篇はといえば、本書『ティマイオス』なのです。 神による宇宙の製作とさまざまな自然学的理論が論じられる後期対話篇である本書は、古来プラトン信奉者たちに重視され、前1世紀から後3世紀にかけての中期プラトン主義とそれに続く新プラトン主義の時代に特権的な地位を占めるに至りました。その伝統が近代にも及んでいることは、ラファエロの有名な壁画《アテネの学堂》でプラトンが手にしている書物が『ティマイオス』であることに、はっきり示されています。 ソクラテス、ティマイオス、ヘルモクラテス、クリティアスの四人を登場人物とする本書は、導入部以外はすべてティマイオスのモノローグで構成されています。おそらくプラトンが創作した架空の人物であるティマイオスが語る宇宙論は、国家においても個人においても理性こそが主導権を握るべきだ、というプラトンの主張を正当化するものとして提示されます。この宇宙は必然や偶然の産物ではなく、理性的な製作者(デーミウールゴス)によって、理性の対象(イデア)を手本として、理性的な魂をもつ生き物として構成された、というのがその骨子です。こうして宇宙が理性によって導かれているのなら、それと類比関係にある国家においても個人においても、気概や欲望ではなく理性が支配することこそが自然にかなった正しいあり方だということになります。本書においてプラトンは、国家と人間のあるべき姿を宇宙全体の構造の中に根拠づけることを企てたのでした。 本書は、それぞれの時代、それぞれの思想家において、さまざまに異なる観点から関心の対象とされてきました。ユダヤ教徒やキリスト教徒は『創世記』の神の世界創造を理解するヒントを本書に求めたでしょう。新プラトン主義者は形而上学的真理のアレゴリーとして本書を読んだでしょうし、錬金術師は神の創造を自らの手で再現するための秘密を本書に読み取ろうとしたかもしれません。そして、自然学者や科学者にとって、宇宙の始まりと物質の究極という科学にとっての永遠のテーマを追究する本書が関心の対象となったことは言うまでもありません。 そうして「プラトニストのバイブル」とまで呼ばれた本書『ティマイオス』は、しかし日本では、なぜかこれまで文庫版が存在しませんでした。この状況を打破するべく、最良の訳者を得て、満を持しての新訳を皆さまにお届けいたします。 [本書の内容] ティマイオス 訳 註 訳者解説
  • 帝国大学の誕生
    5.0
    東京大学が「帝国大学」だった頃、すべては始まった―― 「東大」出生の秘密を暴き、その虚像と実像を抉り出す!  * 明治19年の帝国大学の誕生は、のちの東京大学をも貫く基本性格を確立した歴史的特異点であった。エリート官僚養成、アカデミズムの独占的権威、立身出世・受験競争の頂点――伊藤博文、森有礼、井上毅ら設計者たちの政策的意図を辿りつつ、今日まで続く東大の本質とイメージの淵源を明らかに! [目次] 第一章 帝国大学の出自――リヴァイアサンの生い立ち 第二章 帝国大学のモデル――ドイツの大学から学ばなかったこと 第三章 官庁エリートの供給源――工科系から法科系へ 第四章 出身と出世――上昇気流にのって 第五章 明治アカデミズムの体質――講座制と研究 第六章 もしも帝大がなかったら――批判的展望 あとがき 解説 科学史/大学史を超えた「学問の歴史」 石井洋二郎
  • 定本 中世倭人伝
    -
    中世アジアの海の世界を鮮烈に描いた書籍の決定版! 苛烈な略奪を繰り返し諸国を悩ませた前期倭寇。その結果生まれた倭人居留地「三浦(さんぽ)」は、朝鮮に巣食う「腫瘍(しゅよう)」とまで呼ばれ、後期倭寇は、アジアに進出してきたヨーロッパ勢力をも巻き込み、銀をめぐる密貿易で世界史に躍り出る……。彼ら倭寇・倭人は日本のものとは明らかに異なる「倭服」に身をつつみ「倭語」を操る、国籍や民族を超えた集団だった。14世紀から16世紀にかけて東アジアの海を舞台に、国家や民族集団からドロップアウトし、しばしば暴力をともないながら、自由に、どこまでもしたたかに生きた人々を描き出す。 「倭人は帯方の東南、大海の中に在り」。邪馬台国の史料としてよく知られる『魏志倭人伝』。ここからおよそ1200年後の朝鮮王朝の記録に、再び「倭人」は現れる―― 14世紀後半、女性や子供にも容赦ない前期倭寇の略奪が『朝鮮王朝実録』に恐怖の記録として生々しく克明に記された。倭寇に苦しむ朝鮮王朝がとった懐柔策によって15世紀に誕生したのが、倭人居留地の三浦である。エネルギッシュで、自由奔放で、論理を越えた倭人がひしめく三浦は、猫のひたいほどの場所でありながら、周辺の朝鮮社会に巨大な経済的影響をあたえ、やがてソウルの政財界まで巻きこんだスキャンダルを引き起こしていく――。 三浦を中心に、倭寇王の後継者として豊臣秀吉が登場するに至る中世東アジアの海域世界を描いた『中世倭人伝』。文庫化にあたって、原本には入れられなかったソウルの倭人たち、江南沿海域を中心とする後期倭寇の猖獗、石見銀山の爆発的増産によって世界を駆け巡った日本銀、さらに16世紀ヨーロッパの古地図に描かれた、銀と海賊に特徴づけられる日本像などの論考を増補し、倭人たちが躍動する海の世界を大きく広げた決定版登場!(原本:岩波書店、1993年)  【本書の内容】 学術文庫版はしがき I 中世倭人伝 「魏志倭人伝」によるプロローグ 一 国境をまたぐ地域 二 「三浦」──異国のなかの中世 三 密貿易の構造 中華の崩壊によるエピローグ 文献案内 あとがき 『中世倭人伝』韓国語版刊行によせて II 倭人群像 一 三浦の鎮城と関限――薺浦を中心に 二 倭人たちのソウル 三 三浦の乱時のソウル倭館 四 石見銀山と倭人ネットワーク 五 海賊、銀山、ザビエル――ヨーロッパ製古地図を読む 六 琉球王国と「倭寇」 七 中世日朝貿易における経典の輸入 学術文庫版あとがき
  • 哲学宗教日記 1930-1932/1936-1937
    -
    真の信仰を希求する魂の記録! 死後42年たって新発見された幻の日記 『論考』から『探究』へ―大哲学者が書き残した、自らの思考の大転換、宗教的体験、そして苛烈な内面の劇! “隠された意味”は何か!? 私の本『論理哲学論考』には素晴らしい真正の箇所と並んで、まがい物の箇所、つまり、言ってみれば私が自分特有のスタイルで空所を埋めた箇所も含まれている。1930.5.16 真の謙虚さとは、1つの宗教的問題である。1930.10.18 私はすべてを自分の虚栄心で汚してしまう。1931.5.6 人は職人の比喩に惑わされているのだ。誰かが靴を造るというのは1つの達成である。しかしいったん(手元にある材料から)造られたなら、靴はしばらくの間は何もしなくても存在し続ける。しかしながら、もし神を創造主と考えるのなら、宇宙の維持は宇宙の創造と同じくらい大きな奇跡であるはずではないのか、1937.2.24――<日記本文より> 『論考』がウィトゲンシュタインにとっての原罪であり、それを克服するためにこそ、この日記が書かれたのだという言葉に、おそらく多くの読者が驚き、いぶかしがられることと思う。――<訳者解説「隠された意味へ」より> *本書の原本『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記 1930-1932/1936-1937』は、  2005年に小社より刊行されました。 【目次】 はじめに 編者序 編集ノート 謝辞 凡例 第一部 一九三〇ー一九三二 第二部 一九三六ー一九三七 コメンタール コメンタールで使用された参考文献と略号 人名索引 隠された意味へ ウィトゲンシュタイン『哲学宗教日記』(MS183)訳者解説) 訳者あとがき 訳者あとがき補遺(学術文庫化にあたって)
  • 哲学塾の風景 哲学書を読み解く
    4.0
    カントにニーチェ、キルケゴール、そしてサルトル。哲学書は我流で読んでも、じつは何もわからない。必要なのは正確に読み解く技術。"闘う哲学者"が主宰する「哲学塾」では、読みながら考え、考えつつ読む、〈哲学の作法〉が伝授される。手加減なき師匠の厳しくも愛に満ちた授業風景を完全再現。万人に開かれた哲学への道がここにある!
  • 哲学する心
    3.5
    現代における哲学の意義、日常性のなかに探る哲学的真理、仏教思想の再発見、日本と日本文化に寄せる真摯な思い……。本書を構成する4つの大きなテーマである。独創的思想家として知られる著者が、哲学の枠組にとどまらず、時に社会学、歴史学、文学等への領域にも立ち入り、洞察に満ちた思索を縦横に展開、熱っぽく語る初めてのエッセー集。「梅原日本学」の根がここにある。
  • 哲学の教科書
    3.9
    哲学は何の役にたつのか。哲学の問いとはどんなものか。哲学者とはどのような人々か。そもそも、哲学とは何か。物事を徹底的に疑うことが出発点だという著者は、「哲学とは何でないか」を厳密に規定することで哲学を覆うベールをはぎとり、その本質を明らかにする。平易なことばで哲学そのものを根源的に問いなおす、究極の「哲学・非――入門書」。(講談社学術文庫)
  • 哲学の慰め
    4.0
    本書は、「最後のローマ人」と評されるアニキウス・マンリウス・セウェリヌス・ボエティウス(475/77頃-526年頃)が生涯の最期に残した著作である。 ローマ貴族の家に生まれ、アテナイに留学したあと故郷で研究・執筆を行ったボエティウスは、プラトンやアリストテレスの著作をラテン語訳したほか、神学者としては三位一体論を扱う著作を書き、音楽の理論書である『音楽教程』(講談社学術文庫)を、数学の理論書である『算術教程』をものして、四学科(幾何学、算術、天文学、音楽)の基本的な体系を中世に伝えた。 プラトンの『国家』で語られる「哲人政治」を理想としたボエティウスは、政治家としても東ゴート王国のテオドリック王のもとで宰相の地位にまで昇り、510年には西ローマ帝国の執政官となる。しかし、コンスタンティノープルとローマ教会の首位権をめぐる抗争、東ローマ帝国と東ゴート王国の対立に巻き込まれ、叛逆罪の嫌疑をかけられてパヴィアに投獄、処刑された。本書は、獄中で処刑直前に書かれたものにほかならない。 散文と韻文が交互に配され、人格化された「哲学」との対話形式を採った本書は、中世には聖書に次いで読まれた著作として知られる。研鑽を積んできたギリシア哲学を土台としつつ、自身の悲痛な体験を背景に抱えながら、理性によって俗情を克服し、徳と善の中で生きる境地を示した本書は、古代哲学の倫理学的な美しさを今に伝える古典である。 本書の日本語訳は、これまで4種類を数える。その中で最も古いものが、スピノザの翻訳で知られる畠中尚志(1899-1980年)による1938年のものである。「旧字体・旧かな遣い」のままになっていたこの名訳を、「新字体・新かな遣い」にして、お届けしたい。今日の読者にとって読みやすくなる工夫を施すとともに、『畠中尚志全文集』(講談社学術文庫)で熱意あふれる解説を執筆した國分功一郎氏が再び解説を担当した本書は、最新の校訂・研究に基づく他の訳書が存在する中でも、唯一無二の価値を持ち続けるだろう。 [本書の内容] 第一部 第二部 第三部 第四部 第五部 ボエティウス――生涯・業蹟・文献 解 説(國分功一郎)
  • 哲学の練習問題
    4.3
    私たちの身体と心には、まだ開発されていない能力が無数にある。しかし、それは「学習」では開発できない。発達をリセットして、能力を形成すること。それは「名詞」ではなく「動詞」の経験であり、そのためには実際にやってみるのが唯一の方法である。本書では、オートポイエーシスの第一人者として知られる著者が、一人でもできるエクササイズを数多く紹介している。これらを実行したその先には、未知の自由が待っている。
  • 寺田寅彦 わが師の追想
    4.5
    その文明観・自然観が近年再び見直されている寺田寅彦。科学と文学を高い次元で融合させた寺田に間近に接してきた教え子・中谷宇吉郎による追想録。自身も随筆家として名を成した中谷の筆致は、大正から昭和初期の「学問の場」の闊達な空気と、濃密な師弟関係を細やかに描き出す。漱石の思い出や、晩年に注力した「墨流しの研究」の紹介など、その話題は広範囲にわたる。(講談社学術文庫)
  • 寺山修司全歌集
    4.3
    短歌、俳句、詩、エッセイ、評論、演劇……。芸術のジャンルを軽々と飛び越え、その鬼才ぶりを発揮した寺山修司。言葉の錬金術師は歌う。故郷を、愛を、青春を、父を、そして祖国を! 短歌の黄金律を、泥臭く、汗臭く、血腥い呪文へと変貌させる圧倒的な言語魔術に酔いしれる。(講談社学術文庫)
  • 天球回転論 付 レティクス『第一解説』
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    地球は動いている――。プトレマイオスからおよそ1400年続く天文学を覆したコペルニクス(1473-1543年)。ケプラー、ガリレオ、そしてニュートンへと続く「科学革命」は、この発見に始まる。それは「革命」という言葉の華々しさとは裏腹に静かに、本人さえその帰趨を自覚しないままに始まった。 コペルニクスはいかにして地動説に至ったのか。『天球回転論』全6巻のうち、地球の運動について記された第1巻と、『天球回転論』の公刊に先立ってコペルニクスの地動説を初めて世に知らしめた弟子ゲオルク・ヨアキム・レティクス(1514-74年)の『第一解説』の本邦初訳をあわせて収録。 コペルニクスが生涯をかけた書物『天球回転論』が、ニュルンベルクの出版社から届けられた1543年5月24日、それを待っていたかのように同日コペルニクスは他界する。「プトレマイオスを模倣しようとした」、「天文学の再興者」と言われるほどに、その構成や研究に対する姿勢は、プトレマイオスの『アルマゲスト』に倣ったものだった。ただ一点、「地球が動いている」ということを除いては――。 1400年の長きにわたって支配的であったプトレマイオスの天文学およびアリストテレスの自然学体系に、『天球回転論』がうがった小さな穴は、やがて大きなひび割れとなって従来の伝統的宇宙観を根本から打ち破り、人間の世界に対する認識を大きく変容させることになった。 神学者や世間の反応をおそれて長らく原稿の公開をためらっていたコペルニクスに、出版を強く勧め最終的に承諾させたのが唯一の弟子レティクスである。かたくなに出版を渋るコペルニクスは、レティクスがまず『天球回転論』を簡潔にまとめたものを世に出すことで妥協した。この『第一解説』の好評に力を得て、コペルニクスはついに公開を決意する。『第一解説』は、その後もコペルニクス説の入門的概説として版を重ねることになった。 コペルニクスはいかにして地動説を導き出し、前代未聞の「地球の運動」をどのように語ったのか。文字通り「世界を動かした」書物の最重要部分と本邦初訳となる『第一解説』を収録!  (『完訳 天球回転論』みすず書房、2017年より第一巻を収録、レティクス『第一解説』は新訳) 【本書の内容】 『天球回転論』第1巻目次より 宇宙は球形であること/大地もまた球形であること/地球の大きさに対する天の広大性について/地球が、いわば中心として、宇宙の真中に静止しているとなぜ古代の人たちは考えたのか/地球に複数の運動が付与されうるか、および宇宙の中心について/地球の三重運動についての論証……など。 レティクス『第一解説』目次より 恒星の運動について/古代の天文学者たちの仮説が廃棄されねばならない主な理由/天文学全体の新仮説……など。
  • 天狗芸術論・猫の妙術 全訳注
    5.0
    江戸時代の談義本2作を、読み易い訳文とともに文庫化。いずれも、宮本武蔵『五輪書』とならぶ「剣術の秘伝書」であり「人生の書」でもある。「天狗芸術論」は、剣術者が深山で天狗に出会い、老荘や孔子・孟子、仏教思想をまじえて「芸術」すなわち「武芸」と「心術」の核心に触れる。「猫の妙術」では、どんな猫も敵わなかった大鼠を、一見のろまな古猫が簡単にやっつけてしまう。若い猫たちと家主の剣術家は、古猫に教えを乞う。(講談社学術文庫)
  • 天才数学者はこう解いた、こう生きた 方程式四千年の歴史
    3.0
    ピタゴラス、アナクサゴラス、ユークリッド、アルキメデス、アル=フワリズミ、タルターリャ、フェラーリ、カルダノ、ヴィエト、デカルト、ジラール、ハリオット、ウォリス、ニュートン、ラグランジュ、ガロア、アーベル……。小数、負の数、虚数、超越数……。方程式との格闘は、数のフロンティア拡大の歴史でもありました。方程式の視点から4000年の数学史を読み解く絶好の入門書です。
  • 天災と国防
    4.1
    標題作「天災と国防」ほか、自らの関東大震災経験を綴った「震災日記より」、デマに対する考察「流言蜚語」など、地震・津波・火災・噴火などについての論考やエッセイ全十二編を収録。平時における備えと災害教育の必要性など、物理学者にして名随筆家ならではの議論はいまだに有効である。天災について再考するための必読書。(講談社学術文庫)
  • 天皇 天皇の生成および不親政の伝統
    5.0
    「天皇親政」と「国体」へのタブーが解けた戦後の学界で、いち早く天皇統治の解明に挑んだ法制史家による「天皇の歴史」。「不親政」と「刃に血ぬらざること」こそが天皇の伝統であり、それゆえに邪馬台国の時代から現在にいたるまで、「統合の象徴」として存続しえたという。その後の日本人の天皇観に大きな影響を与えた必読の論考。(講談社学術文庫)
  • 天皇の軍隊
    -
    日本人にとって「軍隊」とはなんだったのか。大日本帝国軍隊は、天皇に直隷するまさに「天皇の軍隊」であった。天皇は軍人の「頭首」として、斃れた将兵の魂魄を守る者としても存在した。しかし、天皇の名による軍隊生活の実態とは…。徴兵の恐怖感、凄惨な私的制裁、兵士たちの性生活と花柳病、遺された家族の貞操…。戦争が長期化するなかで、軍隊は大衆化し、軍官僚は肥大化して「天皇の軍隊」は大きく変質していった。(講談社学術文庫)
  • 天の科学史
    4.0
    「天への恐れ」から星の観測は始まり、その意味を説明するために占星術が生まれ、正確な「暦」が権力者の権威を高める。やがて天動説から地動説へとパラダイムは転換し、天体力学の隆盛を経て、天体物理学と宇宙開発競争の時代へとむかう。民俗や宗教、数学や物理学を巻き込んで展開する最古の科学=天文学の歴史と、人類の宇宙観の変遷をたどる。
  • 天明の浅間山大噴火 日本のポンペイ・鎌原村発掘
    4.0
    「地獄というものも、これほどひどくはないだろう」―― その日、山に、村に、何が起こったのか? 史料と発掘調査で甦る、埋もれた歴史の真実! 天明三(一七八三)年旧暦七月、浅間山は空前絶後の大爆発を起こす。大地は鳴動し、黒煙は天を覆い、火砕流・溶岩流が麓の村々を焼き尽くし埋め尽くした。この未曽有の事態に、人々はいかに対したのか。史料と埋没集落・鎌原村の発掘調査から、当時の村の社会状況、噴火の被害の実態、そして人々が生きた現実を再現する、驚天動地の歴史ドキュメント! [目次] 第一章 近世の埋没集落 第二章 天明三年の大噴火 第三章 浅間大噴火の被害 第四章 浅間大噴火の影響 第五章 浅間山鎌原村 第六章 鎌原村の発掘 「天明三年の悲劇の日、人々はわれ先にと必死になって観音堂めがけて駆けつけたはずである。もちろん無事駆け上がった人もあるが、いま一歩というところで、背後からおしよせた火砕流に呑まれた人もあるはずである。この埋った石段のどこかにそんな人がいるのではないか……。」――「第六章 鎌原村の発掘」より
  • 天文学の誕生 イスラーム文化がもたらしたもの
    -
    イスラームは天文学を必要とし、天文学はイスラームなくして発展し得なかった。 論証と幾何学により天文現象をモデル化しようとした古代ギリシアの試みは、2世紀エジプト・アレクサンドリアのプトレマイオスに受け継がれ、その主著『アルマゲスト』において、天動説による宇宙モデルはひとつの完成を見た。 しかし、その後のローマ帝国において人々が必要としたのは、天文学という知的探求そのものではなく、占星術とホロスコープであり、星々の位置を定める手段のみであった。ギリシア科学やプトレマイオスによる幾何天文学を展開・発展させる者がヨーロッパ世界において現れるのは、コペルニクスの登場まで待たねばならなかった。 だが、地動説を打ち立て天文学のみならず科学を大きく転回させたコペルニクスは、明らかにプトレマイオスの天文学を受け継いでいた。7世紀には断絶を迎えていたはずの幾何天文学は、16世紀のコペルニクスまで、いかにしてたどり着いたのだろうか。 実は『天球回転論』では、サービト・イブン・クッラ、バッターニー、ザルカーリー、イブン・ルシュド、ビトルージーらイスラーム世界の学者への言及がされている。コペルニクスは、イスラーム地域の天文学者たちの成果を、参照すべき先人の業績とみなしていたのである。 イスラーム世界、とりわけアッバース朝では、それまでのペルシアの伝統を受け継ぎ、翻訳事業を振興し、占星術を重視した。他方で、異教徒との議論において自らの教義の正当性を揺るがぬものとするため、世界の仕組みについての合理的な説明を厳密に組み立てる「論証」が求められた。そうした要請のもとイスラームの学者たちは、古代ギリシアやインドの知的達成に学び、その中でプトレマイオスは再発見されたのである。さらに彼らは、天体モデルの整合性を追究し、観測結果に基づいてプトレマイオス天文学の修正を目指し、より厳密な幾何天文学を構築しようとした。その集大成を、地動説という形で成し遂げたのがコペルニクスだったのである。 コペルニクスの登場が近代天文学、ひいては近代科学の始まりであるとするならば、イスラームによる天文学研究は、近代科学の礎となる重要な活動であったと言える。 本書は、イスラーム世界において天体への考察が科学として磨き上げられていった歴史を、簡明かつ鮮やかに描き出すものである。 *本書の原本は、2010年に岩波科学ライブラリーより刊行されました。
  • デカルト形而上学の成立
    -
    「私はあり、私は実在する」という認識は、「すべての認識のうちで最も確実で最も明証的」である。――近代哲学の父ともいわれるデカルトのこの哲学とは、いったい何なのか。神の存在証明とは? 書簡・小篇から主著『省察』まで、細密に読み解き、デカルトの形而上学が成立した道筋を詳細に辿り、その本質を「観念(イデア)」論としてとらえた画期的力作! (講談社学術文庫)
  • デカルト哲学
    -
    あらゆる世俗的な思想を根こそぎにして、「善く生きる」賢者の生を追求した、西洋近代哲学の父……それこそが、デカルトである。死者や病者によりそって思考し、哲学者の神とは何かを語り、まっすぐな倫理をめざす。そこにこそ、「我思う故に我在り」の哲学者の、いまなお読み直すに足る魅力がある。教科書的な知識としてではなく、現代を生きるわれわれ人間のための至高の哲学として、デカルト哲学を描き出した不朽の力作。(講談社学術文庫)
  • デカルト 「われ思う」のは誰か
    3.0
    本書は、現象学を土台にして幾多の哲学者や思想家を扱ってきた第一人者が「近代哲学の祖」ルネ・デカルト(1596-1650年)との「対話」に挑んだ記念碑的な1冊です。 よく知られているように、デカルトはあらゆる学問を修めた末、そこに自分が求める「真理」はないことを悟りました。そうして「世界という大きな書物」と向き合うために旅人として生きることを選んだものの、やはりそこにも「真理」を見出すことはできませんでした。そうしてたどりついたオランダの地で、まさに生死を賭けた思索に取り組むことになります。それが、少しでも疑いうるものはすべて斥けて「絶対に疑いえない」ものを目指す「方法的懐疑」と呼ばれる思索でした。 その過程でたどりついたのが「われ思う、ゆえにわれあり(私は考える、ゆえに私は存在する)」という、よく知られた命題にほかなりません。しかし、それは決してデカルトが到達した最終結論でもなければ、デカルトが求めた「真理」でもありませんでした――本書は、そのことを哲学者との真摯な「対話」の中で明らかにしていきます。この命題はデカルトにとっては通過点にすぎず、方法的懐疑が導き出したのも「近代的自我」とされる「私」では決してなかった。ならば、その思索はいったいどこに進み、何を明らかにしたのでしょう? 本書は『方法叙説』(1637年)と『省察』(1641年)という二つの主著をていねいに読み解きながら、驚愕すべき結論に向かっていきます。著者とともに歩んでいくことで、「哲学」とはいかなる営みなのか、そして本当に「考える」とはどういうことなのかを実際に体験することができるでしょう。 [本書の内容] 序 章 哲学とは何か  1 死んだものとの対話  2 「よき生」のために 第一章 「われ思う」のは誰か  1 夢  2 狂 気  3 「私」とは何か 第二章 「われ思う」に他者はいるか  1 観念の起源へ  2 「無限」ということ デカルト小伝 読書案内
  • デパートの誕生
    4.0
    劇場のように華やかな装飾。高い天窓からふり注ぐ陽光。シルクハットで通勤するしゃれた従業員。乗合馬車で訪れる客を待つのは、欲望に火を付ける巨大スペクタクル空間! 帽子職人の息子アリステッド・ブシコー(1810-1877)と妻マルグリットが、様々な施アイデアで世界一のデパート「ボン・マルシェ」を育て上げた詳細な歴史を、当時を描く仏文学作品や、19世紀初頭のデパート商品目録など稀少な古書から丹念に採取。 パリの世相や文化が、いかに資本主義と結びつき、人々の消費行動を変えていったのか、 仏文学者にして古書マニア、デーパート愛好家の著者だから描けた、痛快・ユニークなパリ社会史! 内容紹介) 客の目をくらませてしまえ!世界だって売りつけることができるだろう! 「白物セール」のときには、それぞれの売り場が白い生地や商品だけを優先的に並べたばかりか、上の階の回廊や階段の手擦りを白い生地で覆いつくし、造花も白、靴も白、さらに家具にも白のレースをかぶせるなど、全館をすべて白で統一し、 1923年の「白物セール」では、「北極」というテーマに従って、アール・デコ調にセットされたシロクマやペンギンが、ホールに入った客を出迎えるようになっていた。 ようするに、ブシコーにとって、店内の商品ディスプレイは、〈ボン・マルシェ〉という劇場を舞台にして展開する大スペクタクル・ショーにほかならなかったのである。   ――第二章「欲望装置としてのデパート」より *本書は『デパートを発明した夫婦』(講談社現代新書 1991年11月刊)に「パリのデパート小事典」を加筆し、改題したものです。
  • 陶淵明
    5.0
    悠然たる隠遁生活と真実を希求する熱い魂! 「人生の節目」に読みたい、沁みる名詩を味わうコンパクトな一冊 「我、五斗米のために腰を折って郷里の小人に向かう能わず(たかがわずかな俸給のために、下っぱ役人にぺこぺこできるか)」 老荘思想に通じ神仙世界への憧れやまぬ詩人は、職を辞し隠遁生活を愉しむ道を選んだ。 きらびやかな修辞を凝らすのではなく、あくまで平易な言葉で自然と人間の諸相、空想世界の奇想を自在に描き出す陶淵明の魅力を、「帰去来の辞」「桃花源の詩」はじめ厳選の名作で堪能する絶好のガイド! 桃源郷を夢想し山海経の怪しい世界に思いを馳せ、酒と自然を楽しむ「田園詩人」の魅力堪能! 【本書より】 彼は同時代の人々からは、「古今隠逸詩人の宗」と評されて、一風変わったところだけが珍しがられたが、四百年後の唐代になって、白居易をはじめとする詩人たちに見いだされ、唐以前の最大の詩人として高い評価を得るようになった。むしろ陶淵明の文学が時代を先取りしていたとさえいえるかもしれない。 陶淵明から千六百年近くのちのわれわれにとっても、彼の文学は時代の変化を超えてなお新鮮な魅力をもちつづけている。人間らしく生きたいという真しん摯し な願い、現世を超越したユートピアへのあこがれ、そして死を正面から見つめる姿勢、彼の文学が扱うこれらのいずれもが、人間の永遠のテーマといえるであろう。 (中略) 「帰去来の辞」はともすれば悟りすました隠遁者の心境の表白として見られがちだが、実は、社会と自分との葛藤に悩みつづけてきた孤独な人物の苦悩を、新生活の第一歩を踏み出すに当たって、かく生きたいという将来の願望の形で投影した作品と見るのがむしろ妥当ではあるまいか。(本書第1章より) 【本書の内容】 第1章 帰ってきた陶淵明  帰去来の辞   園田の居に帰る 其の一・二・五   酒を飲む 其の一・四・五・七・九・十四   郭主簿に和す 二首 其の一   子を責む  第2章 ファンタスティックな陶淵明  五柳先生の伝   桃花源の詩并びに記   酒を止む   山海経を読む 其の一・二・五・九・十 第3章 死を見つめる陶淵明  雑詩 其の一・二・五・六  形影神并びに序 形 影に贈る・影 形に答う・神の釈   挽歌の詩 三首 陶淵明年譜 *本書の原本は、一九九八年に『風呂で読む陶淵明』として世界思想社より刊行されました。
  • 東京語の歴史
    3.0
    東訛りから江戸弁、そして東京語へ。その言葉は後に、人為的な「標準語」と、生活に根差した東京「方言」との間を揺れつづけなければならなかった。古代の東国方言のあり方、近世江戸弁が政治の中心地ゆえに日本各地ことばと融合し江戸語を形成するさま、そして標準語を整備される過程で生きた言葉の多くを犠牲にする東京語。その歴史を源内、西鶴はじめ豊富な資料で描き出す。(講談社学術文庫)
  • 東京裁判への道
    3.5
    「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたのか? 昭和天皇「不訴追」の背景は? 無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明――アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する! 第一人者による東京裁判研究の金字塔! 「A級戦犯」被告28人はいかにして選ばれたか 「天皇不訴追」決定の真実、無視された証言と証拠、近衛の自殺、木戸の大弁明──アメリカに眠る膨大な尋問調書から明かされる真実。極東国際軍事裁判をめぐる歴史ドラマが、ここに開幕する! 「A級戦犯」28人はいかにして選ばれたのか。天皇不訴追の決定プロセスの真実とは。釈放されていく「大物」たち、免責された毒ガス・細菌戦。冷戦が本格化してゆく中で、無視された証言・証拠……アメリカに残されていた膨大な尋問調書を丹念に読み解き、語られざる歴史の実相と当事者達の人間ドラマを描き出す。東京裁判はこうして始められた!
  • 統合失調症あるいは精神分裂病 精神医学の虚実
    -
    昏迷・妄想・幻聴・視覚変容……これらの症状は何に由来するのか。病名の誕生当初から「人格の崩壊」「知情意の分裂」などと理解されてきた謬見が次第に正されつつある。患者はどうして、どんな不具合を抱えているのか。精神科臨床に長年携わってきた著者が、脳研究の成果も参照し、治療につながる病気の本態と人間の奥底に蠢く「原基的なもの」を語る。
  • 鄧小平
    4.5
    「綿中に針を蔵す」(当たりは柔らかく芯は硬い)と毛沢東に評された稀代のリアリスト、トウ小平。「白猫黒猫」論の徹底した柔軟思考と、「発展」を目指す鉄の意志とが、百年変わらなかった中国を巨大経済国家に変えた。若き日のパリ留学。蜂起。3度の失脚を乗り越えて世界を牽引する経済建設へ。毛路線を覆し、現代中国の父となった「小さな巨人」の全貌。(講談社学術文庫)
  • 東方的
    -
    地球をおおいつくそうとするひとつの世界システムに「地域の論理」たちは繊細なたたかいを挑む。閉ざされつつある世界に、新しい超空間への通路を開く。ボストーク――東の方。人間を乗せた最初の宇宙船の名前である。偉大なる叡智=ソフィアは、科学技術文明と近代資本主義が世界を覆い尽くす時こそが、真実の危機だと告げる。バルトーク、四次元、熊楠、マンダラ、シャーマニズム、製鉄技術、方言、映画とイヨマンテ……。多様なテーマで通底する「無意識」に、豊饒な叡智を探求する。/『東方的』は、……西欧的な知のあり方の行き詰まりを踏まえて、「東方的」な「ソフィア」(叡智)の方向に新たな可能性を見出そうとした、美しい希望の書物である。(略)その「明確なモチーフ」は……、「第四次元、あるいは日常的なリアリティを超えた高次元の霊的な世界が、われわれが普段住んでいる物質的な世界と接触した時、何が起こるか」ということに帰すのではないかと思う。――<沼野充義「解説」より抜粋>
  • 遠山金四郎の時代
    4.5
    天保の改革で幕府最後の改革に挑んだ老中・水野忠邦。歌舞伎三座の移転から庶民の娯楽・寄席の撤廃まで風俗取締で断行しようとしたが、町人の実情を理解し、抵抗したのが町奉行・遠山金四郎だった。仮設店舗や屋台店など「床見世」の撤去や、江戸に流入した人口を農村へ強制的に返そうとした「人返しの法」に、江戸の内情を考慮して反対したのも遠山だった。名奉行の見識と行政手腕を、江戸町奉行所の史料から実証した名著。(講談社学術文庫)
  • 都会と田舎 日本文化外史
    -
    花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。 夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。 古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年) 【本書の内容】 はじめに 第一章 都市の論理――先進・後進論の背景 第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理 第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合 第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み あとがき 解 説(長﨑健吾)
  • 時とはなにか 暦の起源から相対論的“時”まで
    3.0
    人々の生活の基本にあり、日常を区切り律する「時」。その成り立ちや仕組みはあまり知られていない。幾多の不備があっても習慣として使い続けられる暦がある一方、高い精度が求められ原子単位となっていく「時」もある。一体「時」はどのように決められているのか。先人たちが苦労を重ね定めてきた歴史とともに、現代的な観点も含めて、「時」の専門家が壮大なテーマを易しく解説する。(講談社学術文庫)
  • 徳政令 中世の法と慣習
    4.5
    永仁の徳政令――日本史上、飛びぬけて有名なこの法の本質を「「もとへもどる」という現象」と喝破し、躍動する13世紀の社会を深く鮮やかに描き出した不朽の名著、待望の文庫化!  日本人は「所有すること」をどのように捉えていたのか。サブスクリプション制やフリマアプリの登場によって、所有の概念がかつてないほど揺らいでいる今こそ読みたい、中世人の法と慣習を解き明かす一冊。(原本:岩波新書、1983年)  「今国家の債務を消すために、その他一切の債権債務を破棄する、つまり天下一同の徳政を実行すれば、日本経済は収拾のつかない混乱におちいるかもしれないし、意外にも大したことなくすぎてしまうかもしれない。いずれにせよ、少なくとも現時点ではそれが「夢のような話」にすぎないことはいうまでもない。  だが、中世社会ではそれは夢ではなかった。永仁徳政令B‐3条のように、あるいは室町幕府の徳政令がもっぱらそれを主張していたように、債権債務破棄の徳政令を発布するという現実的な道があったからである」(第一〇章「新しい中世法の誕生」より)。  日本の歴史のなかでも、単行法としてずば抜けて有名な法「永仁の徳政令」。永仁五(1297)年に出されたこの法は、21世紀の日本のみならず、制定された13世紀当時から有名な法であった。現在からは想像もつかないが、法の実在さえ法廷でまじめに争われた時代にあって、ある法の存在を同時代の人々が短時日のうちに共有したということ自体が、極めて異例のことであった。実際に、永仁の徳政令の立法からわずか二週間後には、この法に基づいた訴訟が起こされて、土地が返却されている。その後も、この法に基づいて多くの土地が売り主のもとに戻ることになった。  新幹線もSNSもない時代に、なぜこのようなことが可能だったのか。そしてなぜ徳政令は、現在もなお異色の有名法であり続けているのか。そもそも幕府自身は当初そう言っていなかったにもかかわらず、この法はなぜ「徳政」と呼ばれたのか。  永仁の徳政令にまつわる数々の謎を解き明かし、売買や贈与から浮かび上がる所有に対する意識や、「天下の大法」と呼ばれる社会規範の存在、幻の政治改革「弘安徳政」、さらにその背後にある合理主義的な政治的思潮の登場に至るまで、この不思議な法を軸に中世社会の本質に迫る。著者のエッセンスがふんだんに盛り込まれた日本中世社会史の金字塔! 【主な内容】 一 無名の法、有名の法 二 徳政令の出現  三 なぜ徳政なのか  四 天下の大法 五 贈与と譲与 六 消された法令 七 前代未聞の御徳政 八 人の煩い、国の利 九 徳政の思想 一〇 新しい中世法の誕生 あとがき 解 説(小瀬玄士)
  • 徳富蘇峰 終戦後日記 『頑蘇夢物語』
    -
    明治・大正・昭和を通じ活躍した言論人、徳富蘇峰が、終戦直後から書き残していた膨大な日記を発掘。戦争中、大日本言論報国会会長として戦意を煽ったと戦犯容疑のため自宅に蟄居しながら綴り、『頑蘇夢物語』と自ら命名した日記には、無条件降伏への憤り、昭和天皇への苦言から東條英機、近衛文麿ら元首相らへの批判と大戦の行方を見誤った悔悟の思いが明かされている。解説:御厨貴(講談社学術文庫)
  • 殿様と鼠小僧 松浦静山『甲子夜話』の世界
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    幕政での栄達という青雲の夢破れ、47歳で平戸藩主を隠退した松浦静山は、以後82歳で没するまで、学芸に親しみ、怪談奇談に耳をそばだて、隠居仲間やお抱え相撲取り・弓職人など多彩な人々との交流を楽しんだ。老いのため息を洩らしつつ、本所下屋敷での隠居暮らしを生き生きと綴った江戸後期屈指の随筆『甲子夜話』を中心に、「老侯の時代」を活写する一級の江戸社会史。(講談社学術文庫)
  • 杜甫全詩訳注(一)
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    1~4巻2,475~3,740円 (税込)
    中国盛唐期を生きた杜甫。「詩聖」と仰がれ、「詩仙」李白とともに中国文学史上最高と称される詩人は、中国のみならず日本や周辺諸国の文化に大きな影響を与え続けている。日本を代表する漢文学研究者による、最新の研究成果をふまえた平易な現代語訳に語釈を添える完全書き下ろし杜甫詩全訳注。本巻は、杜甫の青年期から安史の乱にかけての作品を収録。
  • 杜甫全詩訳注 全四冊合本版
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    中国盛唐期を生きた杜甫。「詩聖」と仰がれ、「詩仙」李白とともに中国文学史上最高と称される詩人は、中国のみならず日本や周辺諸国の文化に大きな影響を与え続けている。日本を代表する漢文学研究者による、最新の研究成果をふまえた平易な現代語訳に語釈を添える完全書き下ろし杜甫詩全訳注。
  • トマス・アクィナス『神学大全』
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    「挑戦の書」として『神学大全(スンマ)』を読む! 「スコラ学の代表的神学者」が書きあらわした、邦訳にして45冊に上る大著。 そのような物々しさに惑わされず、「ひとりの修道者としてのトマス」による「一冊の書物」として『大全』を読む。 すると、アクチュアルな探究者としてのトマスの姿が浮かび上がり、 彼から現代に生きる私たちへのメッセージが聞き取れる。 神とは何か。 創造とは、悪とは、そして人間の幸福とは? キリスト教の根源にトマスはいかに挑んだか。 斯界の第一人者が、やさしく、そして誠実に、核心を読み解く。 【本書より】 トマスの言う「神学」はその全体が知恵の探究であり、そして知恵のみがわれわれに人間の幸福をあきらかにしてくれるのですから、知恵の探究はそのまま真実の幸福への道を切り開く営みにほかなりません。言いかえると『神学大全』における知恵の探究は、トマスという一人の人間が、人間であることを学び、人間であることの完全な実現―それが「幸福」の意味です―をめざして行ったパーソナルな探究の記録であり、キリスト信者であろうとなかろうと、人間であることを真剣に受けとめる者にとってはけっして無縁な書物ではないと思うのです。 【本書の内容】 はじめに―『神学大全』をどう読むか 第一章 挑戦の書としての『神学大全』 第二章 神の問題―「五つの道」の意味 第三章 「交わり・即・存在」―人格[ペルソナ]のパラドックス 第四章 創造と宇宙論 第五章 「悪」の問題 第六章 すべての人が幸福を欲しているか? 第七章 トマスの政治哲学―「共通善」の復権 おわりに―「トマス主義者」ではないトマス ※本書は2009年に講談社選書メチエより刊行された同名書の文庫化です。
  • トリストラントとイザルデ
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    本書は、ワーグナーの《トリスタンとイゾルデ》で知られる「トリスタン伝説」の最古の姿を伝える書の本邦初となる全訳です。 ケルト起源のトリスタン伝説は、11世紀後半から12世紀初頭にウェールズとブルターニュに伝えられ、語り継がれていったと推測されます。多様に発展した物語を12世紀後半に古フランス語でまとめたものがトリスタン伝説の原典(エストワール)ですが、残念ながらこれは散逸しています。 しかし、この原典に基づいて物語を作る人たちが現れます。その一人が同じく12世紀後半に活躍したフランスの詩人ベルールでしたが、作品は断片しか残されていません。それと同じ時期、同じ原典に基づいてドイツ語で物語を書いたのがアイルハルトであり、その作品こそ本書にほかなりません。完全な姿で残されたこの作品によって、私たちは原典の内容を推測できます。ここにはトリスタン伝説の最古の姿があるのです。 韻文で書かれた本書は、その後「民衆本」と呼ばれる散文作品として流布し、16世紀にはハンス・ザックスによって戯曲『トリストラントと美しきイザルトの悲恋』に翻案されました。一方、ベルールと同様に原典(エストワール)を基にして12世紀後半にフランス語で『トリスタン物語』を書いたトマの系列としては、ドイツ語で叙事詩『トリスタンとイゾルデ』を書いたゴットフリートがおり、ワーグナーに着想を与えました。 複雑な経緯をたどって伝承されたトリスタン伝説は、現代でも小説にされたり(ローズマリー・サトクリフ)、映画にされたり(ジャン・ドラノワ)、多くの人を魅了し続けています。その最古の姿がようやく日本語で味わえるようになります。 [本書の内容] 1 聴衆への前置き 2 トリストラントの出生と養育 3 トリストラントのマルケ王宮廷への旅 4 トリストラントとモーロルトの闘い 5 トリストラントの傷を治すためのアイルランドへの旅 6 トリストラントのアイルランド求婚の旅 7 愛の媚薬 8 ブランゲーネ 9 トリストラントとイザルデの愛をめぐっての揉め事 10 有罪の判決と逃走 11 森での生活 12 アルトゥース騎士ヴァルヴァーンとトリストラント 13 追放後のトリストラントとイザルデの一度目の逢瀬 14 ハヴェリーン王のもとでのトリストラント 15 追放後のトリストラントとイザルデの二度目の逢瀬 16 追放後のトリストラントとイザルデの三度目の逢瀬 17 ケヘニスとガリオーレ(1) 18 追放後のトリストラントとイザルデの四度目の逢瀬 19 追放後のトリストラントとイザルデの五度目の逢瀬 20 ケヘニスとガリオーレ(2) 21 トリストラントとイザルデの愛の死
  • ドイツ歴史学者の天皇国家観
    -
    明治20年から15年間、東京帝国大学で教鞭をとった著者による、日本回想録。ルートヴィッヒ・リースは、ベルリン大学でランケに師事し、実証的な歴史学の方法を日本に伝えたことから、「日本近代歴史学の父」とされる。その内容は、大津事件や日露戦争勃発などさまざまな社会的事件に関する見聞、日本の政治家や軍人らの人物像、旧武士身分の封建的体質への批判から、一般家庭の生活、迷信や伝統行事など多岐にわたる。(講談社学術文庫)
  • ドゥルーズの哲学原理
    4.7
    今日に至るまで絶大な影響を及ぼし、議論を引き起こし続けているフランスの哲学者ジル・ドゥルーズ(1925-95年)は、デイヴィッド・ヒュームやアンリ・ベルクソンなどを対象とした哲学史研究から学問的経歴を開始し、主著『差異と反復』(1968年)、そして『意味の論理学』(1969年)を公刊して、その地位を確かなものとした。 飛躍を求めたドゥルーズは、精神科医フェリックス・ガタリ(1930-92年)との「二人で書く」企てに挑戦し、物議を醸した『アンチ・オイディプス』(1972年)、『千のプラトー』(1980年)を送り出す。さらに晩年には映画論や芸術論に取り組み、その全容は公刊が始まった講義録を通して、より明らかになりつつある。 こうした多彩な相貌を見せるドゥルーズの「哲学」全体を貫く「原理」はあるのか? あるとすれば、それはどのようなものだったのか? 「20世紀最後の哲学者」の方法と対象を精緻に分析し、その核心と実践的意義に迫った本書は、広く評価され、多くの読者を得てきた。生誕100年、没後30年を迎える2025年、改訂を施し、新稿を加えた決定版として、講談社学術文庫に登場する。 [本書の内容] 第I章 自由間接話法的ヴィジョン――方 法  1 自由間接話法  2 哲学研究の課題  3 哲学の課題 第II章 超越論的経験論――原 理  1 超越論哲学と経験論哲学  2 無人島  3 出来事  4 超越論的な原理  5 超越論的な原理の発生 第III章 思考と主体性――実 践  1 思考の強制  2 思考の習得と方法  3 物質に付け加わる主体性 第IV章 構造から機械へ――転 回  1 ガタリとの出会い  2 構造と機械  3 構造と構造主義  4 セリー、ファルス、原抑圧  5 『アンチ・オイディプス』と分裂分析 第V章 欲望と権力――政 治  1 ミシェル・フーコーの歴史研究  2 『監獄の誕生』における二つの編成  3 権力と二つの編成  4 一元論と二元論  5 欲望と権力  6 欲望のアレンジメントと権力装置 文献一覧 研究ノート I 自然主義について II 総合的方法 III 法/制度/契約 IV 個の心と衆の心 V 国家と考古学 追加された研究ノート I スピノザにおける個体の概念と微分法 II 類似的他者の概念 III ドゥルーズの政治的発言 IV 絵画とアナロジー V 目と手、ビジュアルとマニュアル、エジプトとギリシア
  • ドゥルーズの哲学 生命・自然・未来のために
    2.7
    「差異」を生きる、とはどういうことなのか。ドゥルーズの単著を深く読み込んだ上で、「微分的なるもの」にその哲学の本質を見いだした、記念碑的名著。『差異と反復』は、たんに有名な現代思想の一つにすぎないのではない。分子生物学などの知見を取り込みつつ、「生きることそのもの」を哲学した傑出した著作なのだ。ドゥルーズの思考によりそい、新しい哲学と倫理のあり方を示した快著の文庫化なる! (講談社学術文庫)
  • ドゥルーズ 流動の哲学 [増補改訂]
    5.0
    没後20年を過ぎた今も世界中で多くの読者を獲得し続けている哲学者ジル・ドゥルーズ(1925-95年)。初の単著『経験論と主体性』(1953年)から『ニーチェと哲学』(1962年)、『カントの批判哲学』(1963年)を経て『ベルクソニスム』(1966年)に至る哲学者のモノグラフィーを発表したドゥルーズは、続いて『差異と反復』(1968年)と『意味の論理学』(1969年)を解き放ち、世界に衝撃を与えた。進化を続ける哲学者は、次に精神分析家フェリックス・ガタリ(1930-92年)との協働を始動させ、『アンチ・オイディプス』(1972年)と『千のプラトー』(1980年)という恐るべき著作を完成させる。その後、記念碑的な映画の哲学『シネマ』全2冊(1983年、85年)、ライプニッツ論『襞』(1988年)といった単著の執筆に戻ったドゥルーズは、最後にもう一度、ガタリとの共著『哲学とは何か』(1991年)を発表。そして、1995年11月4日、みずから命を絶った。 本書は、1976年から83年――『千のプラトー』から『シネマ』へと至る時期にドゥルーズ本人の薫陶を受け、その指導の下で博士論文を書いた著者が、主要著作の読解を通して師の歩んだ道のりをたどり直し、初めて1冊にまとめたものである。2001年に講談社選書メチエとして出された原著は、20世紀最大の哲学者の全容に触れたい人の「最初の一冊」として広く親しまれてきたが、このたび、大幅な加筆・訂正を経た決定版をお送りする。 ひたすら愚直に、そして誠実に主要著作を読み解いていった約20年前の作業を現在のまなざしで見直した著者は、「いまはドゥルーズについて書くべきことを書き終えなければ、と思う。量ではなく、質の問題、いやまさに強度の問題である」と書いている。こうして生まれ変わった本書は、今後も新たな輝きを放ち続けるだろう。 [本書の内容] この本にいたるまで――学術文庫版に寄せて プロローグ――異人としてのドゥルーズ 第一章 ある哲学の始まり――『差異と反復』以前 第二章 世紀はドゥルーズ的なものへ――『差異と反復』の誕生 第三章 欲望の哲学――『アンチ・オイディプス』の世界 第四章 微粒子の哲学――『千のプラトー』を読み解く 第五章 映画としての世界――イマージュの記号論 第六章 哲学の完成 エピローグ――喜びの哲学 文献一覧 あとがき 学術文庫版あとがき ジル・ドゥルーズの生涯と主要著作
  • 道元「永平広録 真賛・自賛・偈頌」
    -
    禅者でありつつ類まれな詩作者でもあった道元は生涯に四〇〇首以上もの偈頌(漢詩)を残した。祖師の頂相(肖像画)に寄せた「真賛」、自身の頂相に寄せた「自賛」、在宋時代から帰国後、越前時代に詠まれた観月、寓居、山居など応時応節の「偈頌」、計一五〇首を収録した本書は、道元の「さとりの詩人」としての姿を描き出す。『永平広録』掉尾を飾る最終巻(巻十)の全訳註。道元が漢詩に詠んださとりの深奥を平易に解説する。(講談社学術文庫)
  • 道元「宝慶記」 全訳注
    -
    『宝慶記』は、若き道元禅師(1200~1253)が仏道を究めんと南宋に渡り、燃えたぎるような情熱をほとばらせて、正師たる長翁如浄禅師(1162~1227)に拝問(古徳先哲に対して言葉や文章をもって丁重に質問すること)した求道の記録です。それはまた、道元の問いに真摯に答えた如浄という老古仏が、正伝の仏法である只管打坐の世界を道元に嗣続せしめんとした、まことに慈悲深い慈誨の記録でもあります。
  • 道徳感情論
    4.3
    アダム・スミスの二大著作の一冊が『道徳感情論』(1759)です。本書こそが主著で、『国富論』はその副産物だったのです。個人とは「共感」能力を持ち、様々な「激情」を持っています。利己的であったり、社会的であったり、憤ったり、感謝したりします。スミスはこういった個人の心に「義務」「道徳」を確立して、新しい社会と人間のあり方を探りました。近代社会の原理を知るための必読書が読み易い新訳で登場! (講談社学術文庫)
  • 道徳の系譜学に向けて
    -
    フリードリヒ・ニーチェ(1844-1900年)は、1889年初頭に狂気の闇に沈み、健全な精神活動をなしえないまま生涯を送った。本書は、その直前にあたる1887年11月に出版された哲学者としての最晩年の著作である。 本書の主題は、表題にあるとおり「道徳(Moral)」である。これは日本語では「価値観」とも言い換えることができる。では、なぜニーチェは価値観を問題視したのか。言うまでもなく、それはその価値観が自明視できなくなっていたからであり、そのままでは通用しなくなっていたからである。 従来の価値観が通用しなくなっているにもかかわらず、それが依然としてニーチェ自身を含む人々の考え方や生き方を制約し、生きる意味を規定してしまっている、という矛盾した現実。それこそがニーチェを突き動かし続けた思想的動因にほかならなかった。それゆえ、新たな価値観を模索し、あらゆる基本的価値の転換を果たすことが最も重要な思想的課題である、というのがニーチェの時代診断である。 ニーチェにとって、従来の価値観とはヨーロッパを支配してきたキリスト教的道徳の伝統の中で普遍的なものとされてきたものだったが、それは歴史的現象として発生し、揺れ動いてきたものでしかない。それゆえ、この主題は「系譜学」という手法で取り組む必要がある。――本書は、初めてその認識に立った者による探究の開始を告げるものであり、だからこそニーチェは刊行2ヵ月後にあたる1888年1月、友人オーヴァーベックに宛てて次のように書いた。 「本書を構成する三論考は、それぞれ個別的な第一動因を表現しています。〔…〕多様きわまりない要因すべてを最終的に勘案し、とりまとめて、道徳をある種、清算することも同様です。そういうことをするには、われわれはまだわたしの哲学の「前奏」段階にいます」。 つまり、本書は、たとえ重要な成果をもたらしているとしても、まだほんの入り口にすぎず、この課題はここから続行される必要がある、とニーチェは考えていた。それゆえ、従来は『道徳の系譜』と訳されることが多かった本書の表題Zur Genealogie der Moralは、「道徳」という主題を「系譜学」という手法で扱う企てのマニフェスト、という意味で『道徳の系譜学に向けて』と訳さなければならない。 長年にわたってニーチェを主要な研究対象としてきた大家が満を持して送り出す決定版新訳、ついに完成。 [本書の内容] 序 論 第一論考 「善良と邪悪」、「優良と劣悪」 第二論考 「負い目」、「やましい良心」および関連事項 第三論考 禁欲主義的諸理想は何を意味するか 訳者解説 試行としての鳥瞰 訳者あとがき――タイトル頁裏の「付言」について
  • 道徳を基礎づける 孟子vs.カント、ルソー、ニーチェ
    4.7
    孟子とカント、ルソー、ニーチェ。中国哲学と西洋哲学を往還しながら、人間の道徳の根拠を問う、現代フランス思想の旗手のよるスリリングな著作が、ついに文庫化! 東浩紀氏も絶賛する注目の書。 西洋哲学、東洋思想という枠を軽々と乗り越え、普遍に迫ろうとする知の力を堪能してください。
  • 読書国民の誕生 近代日本の活字メディアと読書文化
    4.0
    日本人はなぜ、いつ、「読者」になったのか? そして何を、どのように、読んできたのか? 出版資本と鉄道による中央活字メディアの全国流通、旅行読者の全国移動、新聞縦覧所と図書館という読書装置の全国普及――官・民による、これら三つの全国的要素の融合から、明治期に活字メディアを日常的に読む習慣を身につけた国民、すなわち「読書国民」が誕生してくる過程を、出版文化研究の第一人者が活写。私たちの読書生活の起源がここにある! [目次] はじめに ■第一部 流通する活字メディア 第一章 全国読書圏の誕生 第二章 「中央帝都の新知識」を地方読者へ――新聞社・出版社による地方読者支援活動の展開 ■第二部 移動する読者 第三章 車中読者の誕生 第四章 「旅中無聊」の産業化 ■第三部 普及する読書装置 第五章 読書装置の政治学――新聞縦覧所と図書館 第六章 図書館利用者公衆の誕生 あとがき 学術文庫版へのあとがき [主なトピック] ○暴力沙汰まで! 「東京vs.大阪」新聞市場争奪戦争 ○過疎地域を開拓せよ! 新聞社・出版社による地方読者支援活動 ○駅は戦場! 漫画雑誌の隆盛はここから始まった ○お部屋訪問! 温泉地の貸本屋 ○「情報にお金を払う」習慣を生んだ新聞縦覧所 ○自由民権運動は下からの「読書国民」の創出 ○読書の価値を再発見した日清戦後の一等国意識 ○まるで監獄……帝国図書館の規律空間 ○樋口一葉も友人と……女性が一人で行けない図書館
  • ドストエフスキー人物事典
    5.0
    「死せる生」にあって「生ける生」を求める――。作家の分身である登場人物たちが作品の中で繰り返し展開するテーマ、それは苦痛の中に生きる人間の現実である。処女作『貧しい人たち』から絶筆となった『カラマーゾフの兄弟』まで、全小説の内容紹介とともに百九十三人の主要登場人物を論じ、ドストエフスキー文学の魅力に迫る、読む「人物事典」。(講談社学術文庫)
  • ドラキュラ・シンドローム 外国を恐怖する英国ヴィクトリア朝
    3.8
    急成長を遂げた周辺国からの侵略恐怖、増加する貧窮移民の不安、友好国へのぬぐいがたい不信、新たな感染症の脅威……「ドラキュラ」の恐怖と魅力の源泉には、黄昏を迎えた大英帝国の外国恐怖症があった。ゴシック・ホラーの金字塔に織り込まれた、ヴィクトリア朝イギリス社会の闇を描き出す! 世界でもっとも有名な吸血鬼「ドラキュラ」。 数ある吸血鬼作品のなかでも特権的な地位を得て、現代に至るまで映像化が繰り返され、日本では吸血鬼の代名詞にもなっています。 そのドラキュラの恐怖と魅力の源泉には、19世紀末イギリス社会に蔓延する深刻な外国恐怖症がありました。 「太陽の沈まぬ帝国」、「世界の工場」と謳われた栄光は過ぎ去り、軍事・経済ともに急成長を遂げつつある周辺国からの侵略恐怖、増え続けるユダヤ人など貧窮移民への不安、搾取してきたアジアの植民地から入ってくる新たな感染症の脅威……。 落日の大英帝国に生きる人々は心の奥底で何を恐れ、そしてドラキュラは生みだされたのか。 『パンチ』などに掲載された風刺画をふんだんに使いながら、ゴシック・ホラーの金字塔から読み解く世紀末ヴィクトリア朝の社会!  イントロダクション 第1章 ドラキュラの謎 第2章 ドラキュラの年は西暦何年か  帝国主義の世紀末 第3章 侵略恐怖と海峡トンネル計画の挫折 第4章 アメリカ恐怖と「栄光ある孤立」の終焉  反ユダヤ主義の世紀末 第5章 ユダヤ人恐怖と外国人法の成立 第6章 混血恐怖とホロコースト  パストゥール革命の世紀末 第7章 コレラ恐怖と衛生改革 第8章 瘴気恐怖と細菌恐怖 おわりに――ヴィクトリア朝外国恐怖症の文化研究 増補 もうひとつの外国恐怖症――エミール・ゾラの〈猥褻〉小説と検閲 学術文庫版あとがき 引用史料一覧 コラム 吸血鬼の系譜/シャルコーの催眠術/一八九三年一〇月二日のピカディリ・サーカス/ダイヤモンド・ジュビリー/火星人/海峡トンネル・パニック/ベアリング銀行の投機失敗/ロスチャイルド一族の結婚/ロンドンとテムズ川の汚染……ほか
  • なぜ、猫とつきあうのか
    3.0
    人は竪、猫は横に親和して住んでいる気がする――。幼いころから生活のなかに猫がいて、野良猫・飼い猫の区別もゆるく日々をともに過ごし、その生も死も幾多見つめてきた思想家は、この生きものに何を思ったのか。詩人の直観と、思想する眼差しと、ともに暮らすものへの愛情によって紡ぎ出すことば。猫を、そして暮らしの伴侶を愛するすべての人に。(巻末エッセイ=吉本ばなな、挿画=ハルノ宵子)
  • 夏目漱石
    3.0
    初の漱石論、ついに学術文庫に登場。漱石の死去翌年に書き上げられた本書は、その後の漱石像に深い影響を与え続けた。その後、評論家から政治家に転身し、戦争に加担したとして戦後はA級戦犯に指定・収監されたため、戦後は復刻されることも、大きく取り上げられることもなかった本書は、漱石文学を愛するすべての人が避けて通れない書物であることに変わりはない。戦後70年、漱石没後100年を迎え、本書を読むべき時が来た。(講談社学術文庫)
  • ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789-1815
    4.6
    1789年の大革命から1815年のワーテルローの戦いまで、ナポレオンの熱狂情念が巻き起こした相次ぐ戦争による混乱と怒濤の30年。この偉大なる皇帝の傍らに、警察大臣フーシェ=陰謀情念と外務大臣タレーラン=移り気情念なかりせば、ヨーロッパは異なる姿になったにちがいない。情念史観の立場から、交錯する三つ巴の心理戦と歴史事実の関連を丹念に読解し、活写する。(講談社学術文庫)

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