作品一覧

  • 日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ
    値引きあり
    4.0
    1巻522円 (税込)
    ■日本が敗れたのはアメリカにだけではない。中国に対する「戦略的敗北」、その根本的構造を明らかにする!■ 1937年7月7日、中国の盧溝橋(現在の北京市の南西)近くで響いた十数発の銃声をきっかけに、日中両国は戦争に突入した。 国際法上の都合から宣戦布告なしに始めたこの戦争を、当時の日本人は「事変」と矮小化して呼んだが、8年間におよそ100万人もの兵員を中国に動員して膨大な死者をともなった近代日本最長の戦争を定義するには、不釣合いに軽い言葉だったといえるだろう。 いま日本人が昭和の戦争を振り返るとき、その関心の度合いは1941年から始まる太平洋戦争に比べればはるかに低い。 真珠湾攻撃より以前に、すでに日本はかつてないほど長期で大規模な戦争に突入していたということが、あらためて認識されるべきである。 本書は、日中両国の戦略の質的な違いをより明確にし、この戦争の構造をより正確に理解するために、「殲滅戦」と「消耗戦」という二つの概念を対比させて、この戦争の様相と、両国の勝因と敗因をよりくっきりと浮かび上がらせていく。 殲滅戦を支えるのは、軍事力や産業力などの「ハードパワー」である。一方、消耗戦の場合は、政治力や外交力、さらには国家の文化的な魅力をも含む「ソフトパワー」の戦いとなる。日中戦争とは、究極的にはこの二つのパワーの相克であった。こうした視点をもつことで、この戦争の本質のみならず、日中両国の現在もなお変わらない国家的な性格までをも見通すことができるであろう。 【本書の内容】 はじめに 序章 殲滅戦争と消耗戦争 第一章 開戦への歩み 1 満洲事変と抗日運動  2 盧溝橋事件と日中開戦  第二章 破綻した戦略 1 上海攻撃から南京虐殺事件へ  2 将介石の戦略はなぜ生まれたか  第三章 傀儡の国 1 欺かれた汪兆銘  2 南京「傀儡」政権の樹立  第四章 見果てぬ夢 1 太平洋戦争の勃発  2 日本の敗戦と汪政権の最期  第五章 二つのパワー 1 日本のハードパワー  2 中国のソフトパワー  第六章 『検閲月報』を読む 1 発掘された『検閲月報』  2 第一期―第二期の『検閲月報』から  3 第三期の『検閲月報』から  おわりに  主要参考文献  年表 *本書の原本は、2007年7月に講談社現代新書より刊行されました。
  • 満洲国を産んだ蛇 関東州と満鉄附属地
    4.0
    1巻2,750円 (税込)
    日露戦争で日本が勝ち取り、満洲国の母体となった【関東州】と【満鉄附属地】。あたかも「蛇」のように満洲国の心臓部に食い込み、脱皮を繰り返すその土地は、しかし満洲国とは全く異なる歴史を歩んできたのである。 最新の研究成果と徹底した現地取材から近代日本史の真実を読み解く― 日・中・露による相剋の歴史を今、見つめなおすための一冊。
  • 増補完全版 昭和・平成現代史年表
    -
    1巻1,782円 (税込)
    【ご注意】※お使いの端末によっては、一部読みづらい場合がございます。お手持ちの端末で立ち読みファイルをご確認いただくことをお勧めします。 昭和から平成の終わりまで完全収録した年表。 ロングセラー『増補改訂版 昭和・平成現代史年表』を改訂。 大正12年9月1日から平成31年4月30日までを収録し、昭和の始まりから、平成の終わりまでに起きた出来事を完全網羅。1年を1見開きでまとめたわかりやすい構成。 全ページ2色刷で、重要事項は赤文字で強調するなど、見やすさにも配慮。 ギリギリまで本を広げることが出来る特殊製本なので、より作業がしやすく便利に。 原因・結果・目的などの解説的要素を取り入れ、事件のもつ意味や背景にも迫る。 政治・経済、世界、社会・文化、世相の4つのジャンルにわけて記載。流行歌・流行語、話題の本、映画・テレビ、物故者などをまとめて掲載。 年月日を引くことができるくわしい五十音索引〔事項索引・人名索引・作品名索引〕とテーマ別索引を用意。 主な物故者については、索引だけでなくなった日がわかるようにした。 テーマ別索引の例 ・政党結成 ・オリンピック ・地震と火山の噴火 ・台風や水害 ・鉄道や船舶の事故 ・航空機事故 ・新聞は雑誌の創刊 ・世界遺産 など。
  • アセアン統合の衝撃
    3.0
    1巻1,408円 (税込)
    アセアン(東南アジア諸国連合)がスタートしたのが1967年。そこから約50年で、シンガポール、ブルネイ、マレーシア、フィリピン、ほか10ヵ国が加盟するアセアンは人口6億2000万人、GDPは日本の半分にまで成長している。そして関税・非関税障壁撤廃、EUのようなヒト・モノ・カネの自由な移動、さらに通貨統一を目指している。それらが実現すれば、そう遠くない未来にさらなる巨大な成長を遂げることになるだろう。日本企業が生き残るには、今後、アセアン戦略が重要なカギを握るだろう。本書では揺れ動く世界経済やTPP、中国や北朝鮮の動向を踏まえたうえで、日本企業が生き残るためのアセアン戦略を言及していく。
  • 満鉄調査部
    値引きあり
    3.6
    1巻412円 (税込)
    ソ連研究の中心地であり、満洲国建国に際して経済計画の策定に注力。日中戦争期には占領地の宣撫工作と調査活動とともに、日中戦争の行方を予測する総合調査までも担った。アジア太平洋戦争開戦後は、ビルマ・マラヤの調査までも手がけたが、関東憲兵隊との摩擦により機能停止に。満鉄調査部の活動は、いまでは「日本初のシンクタンク」と評され、そのエッセンスが戦後の経済発展やアジア研究に大きく寄与した。その全貌を明かす。(講談社学術文庫)
  • これから先はどうなるか 日本近現代史を読み直す
    -
    1巻1,760円 (税込)
    近現代史研究の第一人者が、最新の研究成果を踏まえて紙上講義。国境線を画定した日清戦争から現在までの通史を、初学者にもわかりやすく解説。近現代史を学びなおしたい人におすすめの一冊。 ※本作品は紙書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
  • 関東軍とは何だったのか 満洲支配の実像
    -
    1巻2,750円 (税込)
    関東軍の実態は、単なる軍団ではなく、その出発当初から政治や外交に深く関与し、本国の指針とは別に独自の判断で、満洲を運営していた政治軍団であった。彼らの特殊性と暴走を許した謎に迫る。 【目次】 序 章  関東軍とは何だったのか 第一章  日露戦争と戦後処理問題 第二章  関東軍の誕生 第三章  満洲事変・満洲国と関東軍 第四章  満洲国の再編と関東軍 第五章  国境紛争の多発化 第六章  ノモンハン事件と関東軍 第七章  ホロンバイル平原を行く 第八章  「関特演」とその後の関東軍 第九章  関東軍壊滅 第一〇章 敗戦とシベリア抑留 終 章  政治集団と化した関東軍
  • 自民党と戦後史
    -
    1巻1,650円 (税込)
    55年体制が崩壊してから20年。その間、野党に転じながらも常に復活してきた自民党。戦後日本をリードしてきたその足跡を、誕生から現在まで検証する。歴代首相や自民党のキーマンはもちろん、党内で烈しい政治闘争を繰り広げながら、その戦いに敗北し、総理になれなかった政治家にも光を当てるほか、「アベノミクス」を掲げて政権をスタートさせた安倍内閣の復権の内容と特徴も考察する。戦後の出発から民主党政権崩壊までを網羅した、初の自民党史! ※本電子書籍は紙書籍から口絵または挿絵の一部が未収録となっています。あらかじめご了承ください。
  • 満州と自民党
    3.5
    1巻660円 (税込)
    戦後の高度成長は、満州国で行われていた統制経済が元になっていた。かつて満州における経済システムを一手に作り上げた知の集団・満鉄調査部、官僚として赴いた岸信介、椎名悦三郎、星野直樹、あるいは日産コンツェルンの鮎川義介……彼らは戦後も国家建設の夢を捨てがたく、日本経済のグランドデザインを描き続けたのである。そして、彼らの見果てぬ夢は、やがて政治の世界でも保守合同を実現させていく――。

    試し読み

    フォロー

ユーザーレビュー

  • 満鉄調査部

    Posted by ブクログ

    満鉄調査部
    著:小林 英夫
    講談社学術文庫 2290

    アメリカにはそうそうたるシンクタンクがあるのに、なぜ日本には著名なシンクタンクがないのだろうとの疑問から、手に取ったのが、本書である。

    国策を補佐し、国運を左右する人材を提供するのが、シンクタンクだとおもっていたが、まさに、
    満鉄調査部は、日本初のシンクタンクであった

    日露戦争が終結し、南満州の殖産興業を要とする、南満州鉄道が敷設されていく。
    その第1代総裁に選出されたのが、後藤新平であった。

    後藤新平は、台湾総督府にあって、台湾人との融和を図り、また、満州の植民地経営の要として、満鉄を率いて、さらに、関東大震災にあたっては、その復

    0
    2024年02月15日
  • 満州と自民党

    Posted by ブクログ

    満州人脈と戦後の吉田内閣の違い、満鉄調査部の幅広い人脈と戦後経済の日本型と呼ばれる由来などが手に取るように分かるものとなっている。岸信介の妖怪足る意味を存分に理解できる書。

    0
    2013年10月02日
  • 満鉄調査部

    Posted by ブクログ

    元祖シンクタンクとも呼ばれる満鉄調査部の実態を描いた一冊。単なる満州の情報収集機関にとどまらず、ロシア革命後は反共の最前線としてソ連情勢を分析し、満州事変以後は関東軍と連携して中国の政治・経済情報を収集するなど、その活動は一鉄道会社の枠を超えた国策シンクタンクの性格を帯びていた。
    興味深いのは、反共の砦でありながら内部にマルクス主義者も存在し、ゾルゲ事件の尾崎秀実と関係した人物がいたために憲兵隊の捜査を受けたという皮肉な一面。
    また、満鉄総裁として後藤新平や松岡洋右といった歴史上馴染みのある人物が登場する点も印象深かった。戦後日本の政治や経済には、満州で活動した人々の影響が色濃く残ったとも言わ

    0
    2025年11月09日
  • 満鉄調査部

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    日本が戦争に突き進んだ時代に設置された
    日本初のシンクタンク、満鉄調査部。
    その歴史を詳細に記述。
    最近のAIやEVなど、本来国家が旗を振り
    事業を成長させていく分野が
    民間に移行していることがとても気になる。
    国家産業として今は半導体だが、本当に未来の
    メドが立っているのか。
    満鉄調査部のような徹底した情報収集と施策立案が
    求められているのかもしれない。

    0
    2025年07月10日
  • 日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ

    Posted by ブクログ

    2007年に講談社現代新書で出版されたものが2024年に文庫本となったものである。新書を文庫にして203ページと非常に薄いものである。中国での戦闘の実態はほとんど書かれず、汪兆銘政府の説明が多い。また殲滅戦と消耗戦の違いを主軸として説明している。しかし、御前会議及び天皇の意見については全く書かれていない。
     検閲月報が新しい知見と書かれていたが、この部分をもっと解説で書いてあればいいと思われた。教員養成系大学の学生が教養として読んでもいい。

    0
    2024年10月02日

新規会員限定 70%OFFクーポンプレゼント!