小林英夫のレビュー一覧

  • 満鉄調査部

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    満鉄調査部
    著:小林 英夫
    講談社学術文庫 2290

    アメリカにはそうそうたるシンクタンクがあるのに、なぜ日本には著名なシンクタンクがないのだろうとの疑問から、手に取ったのが、本書である。

    国策を補佐し、国運を左右する人材を提供するのが、シンクタンクだとおもっていたが、まさに、
    満鉄調査部は、日本初のシンクタンクであった

    日露戦争が終結し、南満州の殖産興業を要とする、南満州鉄道が敷設されていく。
    その第1代総裁に選出されたのが、後藤新平であった。

    後藤新平は、台湾総督府にあって、台湾人との融和を図り、また、満州の植民地経営の要として、満鉄を率いて、さらに、関東大震災にあたっては、その復

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    2024年02月15日
  • 満州と自民党

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    満州人脈と戦後の吉田内閣の違い、満鉄調査部の幅広い人脈と戦後経済の日本型と呼ばれる由来などが手に取るように分かるものとなっている。岸信介の妖怪足る意味を存分に理解できる書。

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    2013年10月02日
  • 満鉄調査部

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    元祖シンクタンクとも呼ばれる満鉄調査部の実態を描いた一冊。単なる満州の情報収集機関にとどまらず、ロシア革命後は反共の最前線としてソ連情勢を分析し、満州事変以後は関東軍と連携して中国の政治・経済情報を収集するなど、その活動は一鉄道会社の枠を超えた国策シンクタンクの性格を帯びていた。
    興味深いのは、反共の砦でありながら内部にマルクス主義者も存在し、ゾルゲ事件の尾崎秀実と関係した人物がいたために憲兵隊の捜査を受けたという皮肉な一面。
    また、満鉄総裁として後藤新平や松岡洋右といった歴史上馴染みのある人物が登場する点も印象深かった。戦後日本の政治や経済には、満州で活動した人々の影響が色濃く残ったとも言わ

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    2025年11月09日
  • 満鉄調査部

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    ネタバレ

    日本が戦争に突き進んだ時代に設置された
    日本初のシンクタンク、満鉄調査部。
    その歴史を詳細に記述。
    最近のAIやEVなど、本来国家が旗を振り
    事業を成長させていく分野が
    民間に移行していることがとても気になる。
    国家産業として今は半導体だが、本当に未来の
    メドが立っているのか。
    満鉄調査部のような徹底した情報収集と施策立案が
    求められているのかもしれない。

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    2025年07月10日
  • 日中戦争 殲滅戦から消耗戦へ

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    2007年に講談社現代新書で出版されたものが2024年に文庫本となったものである。新書を文庫にして203ページと非常に薄いものである。中国での戦闘の実態はほとんど書かれず、汪兆銘政府の説明が多い。また殲滅戦と消耗戦の違いを主軸として説明している。しかし、御前会議及び天皇の意見については全く書かれていない。
     検閲月報が新しい知見と書かれていたが、この部分をもっと解説で書いてあればいいと思われた。教員養成系大学の学生が教養として読んでもいい。

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    2024年10月02日
  • 満洲国を産んだ蛇 関東州と満鉄附属地

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    満州事変以前の経済状況等について、知ることが出来、面白い。各写真が満州を旅しているような感覚にさせてくれる。

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    2023年09月15日
  • 満鉄調査部

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    満鉄調査部という普通の人はなかなかな見ないけれども、実はとても重要だった組織。何が行われていたか分かるし、読みやすかった。

    ただ欲を言えば、最後の補遺?みたいなところ、満鉄調査部の人や活動が戦後日本にどういう影響を与えたのか、あの部分をもっと膨らませてほしかった。

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    2016年09月06日
  • 満州と自民党

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     社会主義といえば計画経済、資本主義といえば市場経済というのが常識だが、本書の主張はその常識を覆すものだ。
     日本は、1930年代に中国に満州国を作り、官僚指導の下に国家統制により国防産業を急速に育成した。満州国で「計画経済」を行ったのだ。このノウハウと人材が戦後日本にそのまま移植され、高度成長をリードしたとの主張を本書ではしている。要するに、日本の1950~1970の高度成長は、「計画経済」によるものだというのだ。そしてその準備をしたのが、岸信介を筆頭とした満州で実際に高度国防国家を作るために活躍した「満州人脈」であるというのが本書の主張である。
     まあ、ゴルバチョフ旧ソ連大統領が「日本は最

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    2011年09月17日
  • 満鉄調査部

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    満州について、あまり知識がなかったので本書を手にした。

    登場人物が多く、史実をしっかり残そうとする著者の熱意を感じたが、個人的にはそこまで求めていなかった。だが最後の章は、私のような人向けに、満鉄調査部の歴史が大まかにまとめられていて有り難かった。

    植民地の統治は、更地に都市を作るゲームのような側面と、すでに存在している民衆や周囲の国際関係とのバランスを保つ側面もあり、難易度が高く、諜報機関がなくては成り立たない世界であったのだろうと想像がついた。

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    2025年07月11日
  • 満鉄調査部

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    善し悪しはともかく、今これだけの調査、分析力を持つ組織が日本にあるのかと考えたりも。
    あと、思想的背景を問わず優秀な人材が集まったが故に、あの時代の政府との折り合いが悪くなって、終焉を辿ることになってしまったというのも皮肉な話だと感じたり。

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    2025年01月14日
  • 満鉄調査部

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    南満洲鉄道、通称満鉄の調査部門に脚光を当てた本書。初代満鉄総裁後藤新平の肝煎りで始まり、その規模や調査の対象は変遷があるも、満洲事変や日中戦争を経て活動を拡大していく。自由な雰囲気もあったため、日本から左翼分子が渡ってくることも多く、1942年の関東軍憲兵隊による一斉検挙によって規模が大きく縮小し、ソ連の進行とともに活動を終える。
    関東軍より先に設立されて格式も高かった満鉄調査部門が、関東軍の勢力拡大とともに国家目的に沿った形で活動をするようにらなるのは興味深かった。

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    2023年09月15日
  • アセアン統合の衝撃

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    ASEANの持つ成長ポテンシャルをいろいろな角度から紹介する内容。
    やや個に落ちすぎの感は否めないが、それでもそのポテンシャルは実感できる。
    特にメーカーにとってはASEANへの進出は改めて不可欠であると感じた。

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    2020年03月10日
  • 満州と自民党

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    ネタバレ

    メモ
    ロシア通で満鉄調査部にいた宮崎正義がソ連の計画経済を規範にして作った「満州産業計画五か年計画」を実行したのが、商工省のキレものだった岸信介をはじめとする若き官僚たち。彼らはここで実務経験を積んだ。満鉄の力を弱め、日産を引き込んで一大コンツェルンを作り上げる。これが満州重工業開発株式会社。主要人物は2キ3スケ(星野直樹、松岡洋右、鮎川義介、岸信介)

    戦後、岸は巣鴨に収監されていたが、東条内閣の閣僚のうちなぜか唯一無罪で釈放される。アメリカ軍との密約説などがあるが、真相ははっきりしない。

    政治活動を再開した岸の政治信念はアジアの盟主を目指すという点では変わらなかったが、各国のナショナリズ

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    2019年04月22日
  • 満州と自民党

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    ぼんやりとですがずーっと、
    「第二次世界大戦、日中戦争、十五年戦争、ノモンハン事件、インパールなどなど...あのあたりの事って言うのは、どうして起ったんだろう。誰がそうしたくて、誰が儲かったんだろう。それから、どうして戦後に出来た自民党さんっていうのは、具体的な理由がまったく無いのに憲法を変えたがるんだろう」
    という興味があります。
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    2005年に出た新書。
    大変に短い、読みやすい本。ブックレットのような。
    中国近現代史についてなんとなく読みたい、という気持ちと、「岸信介」という人についての本があればこれまた読みたいな、という気持ちがあって、衝動買い。
    タイトルの通り満州国という、実質「関東

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    2017年01月31日
  • 満鉄調査部

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    自由で、軍部とも結びついていて、レフトウィングだったり、いろんな顔をもつでっかい組織。すべて租借する力不足で???感が残った。

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    2016年02月15日
  • 満州と自民党

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    私流に理解すると戦後日本を高度経済成長に導いた55年体制を作った岸信介。その原点は満州国と満州人脈にあったというお話である。写真を観ると岸信介には凄みを感じるがその孫のなんとひ弱な事であろうかと思った。

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    2011年09月18日
  • 満州と自民党

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     満鉄とくに満鉄調査部の研究で知られる小林英夫の著作。

     満州国における統制経済を指導した「ニキ三スケ」特に岸信介に焦点をあて、岸をとりまく椎名悦三郎など旧商工省や財閥の人脈の戦前戦後を描いている。

     原彬久の『岸信介』を読んだ後だと、物足りなさを感じるが、サクっと読むにはこちらでもいいかも。

     個人的には、1950年に千葉に高炉を建設した川崎製鉄の技術者のなかに、もともと満州の昭和製鋼所で勤務していた人々が数多く含まれていたというのが興味深かった。

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    2011年03月30日