作品一覧

  • 都会と田舎 日本文化外史

    都会と田舎 日本文化外史

    ビジネス・実用

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    1巻1,540円 (税込)
    花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。 夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。 古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年) 【本書の内容】 はじめに 第一章 都市の論理――先進・後進論の背景 第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理 第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合 第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み あとがき 解 説(長﨑健吾)
  • 生きることの近世史

    生きることの近世史

    ビジネス・実用

    3.0
    1巻1,584円 (税込)
    災害、飢饉、病気、犯罪、戦争――近代以前、日本列島に住む人々が直面してきた危険とその克服の努力を描き出す新たな歴史学の試み。
  • 生類をめぐる政治――元禄のフォークロア

    生類をめぐる政治――元禄のフォークロア

    ビジネス・実用

    4.0
    1巻1,100円 (税込)
    動物の殺生を禁じ、特に犬の愛護を強いて民衆を苦しめたとされる徳川五代将軍・綱吉。しかしそれは本当に将軍個人の思いつき=愚行にすぎなかったのか。「鉄砲改め」や捨子・捨牛馬の禁止などを含み「生類憐み令」と総称される政策が、当時の社会的要請に応えて発せられたことを論じ、「自然と人間の歴史」のなかで「元禄という時代」の意味を捉え直す。

ユーザーレビュー

  • 生類をめぐる政治――元禄のフォークロア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    塚本学先生による近世における「生類」観を明らかにする一冊です。

    塚本氏によれば、「生類」とは野生動物のみならず人間にまで視野を広げた近代化以前の日本の生命観の一つであるとします。そして江戸時代の社会構造の変化や人間と生類の関わり方の変化を明らかにすることで、徳川綱吉の治世に施行された「生類憐れみの令」について当時の社会情勢の中で熟慮の上で立案された政策なのではないかという観点で再検討を行なっていきます。

    本書では生類憐れみの令について「鉄砲の所持規制」「鷹狩の抑制」などの個別の政策に分けて考察を加えます。注目されるのは生類と社会-特に農村-の関係、そして山野・人間社会を含めた生類をめぐる空間を支配する権力のありようです。

    生類憐れみの令が発布された江戸前期においては戦国の遺風がかすかに残る中で、兵農分離にともなってそれまでの社会集団が解体されていく過程にありました。この本ではそうした社会構造の変化にあわせて鳥獣と人間の関係性にも現れた様々な変化が顕現したものが「生類憐れみの令」であるとしています。「鉄砲の所持規制」は兵農分離によって減少していた農民の士人的要素をさらに推し進め、銃を扱う農民の存在を特殊化する方向へ決定づけました。「捨て子や捨て牛馬の禁止や保護」は江戸時代以前まで存在していた被官を中心とした集団的営農が解体され世帯が小規模化することで弱者を養育する余裕がなくなったことで増加した捨て子・捨て牛馬に対して、幕府が先導して管理・保護を行うことで解体された社会を中央集権的に再編成する意図があったのではないかと著者は推測しています。更に悪名高い「犬愛護令」についても治安対策的な側面に光を当てています。

    このように生類憐れみの令を「綱吉の個人的な殺生忌避から発布された法令」や「幕府が武断的な社会に慈悲の心を植えつけようとした」といった道徳的な見方から解き放ち一つの社会政策として捉え直すことで、太平の世となった江戸時代における農村におこった変化の一端を明らかにすることに成功しています。更に近世における人間と生類の関係に対する幕府や藩の働きかけが明らかになることによって、人間社会の周縁に対して当時の支配層がどのように管理を強化することによって権力を及ぼそうとしていたことがわかります。

    本書を読んで特に認識が深まったのは鷹狩をめぐる諸事象です。
    山野への支配の象徴として機能していた鷹狩は、領主層にとって重要なイベントであり、そのために鷹場の周辺では鳥獣が保護されており、農村においては鳥獣害が大きな負担になっていたことが指摘されています。また、鷹狩に用いる鷹の餌として犬が必要とされていて、農村において犬の飼育が義務化されておりこのことも農村の負担としてのしかかっていた事も明らかにされており、鷹狩は単なる領主の道楽として存在していただけでなく、制度的に整備された社会的意義のある行為であることが示されています。

    一方、本書は主題からして「生類憐れみの令」を綱吉の殺生忌避を外して検討してみるということで、全体を束ねる軸がいまいちはっきりしていないように感じます。そのため当時の社会情勢というものをなんとなく理解するというところで、私の理解はとどまっています。それぞれ個別の政策について再評価を行なっていますが、やはり綱吉のパーソナリティを抜きにこれらの諸法を語ることは難しいように思われました。

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    2013年06月22日
  • 生きることの近世史

    Posted by ブクログ

     本書で著者がやろうとしていることは、「はじめに」に「日常些事の歴史は、当事者にとって些事ではなく、また当事者とその周辺にしか意味をもたない歴史でもない。天下国家の歴史から些事とみなされるような、無名の民の日々の生こそが、人類の歴史の内容であったはずである」に強く表れているとおり、いわゆる事件史、特に支配する側の歴史ではなく、この日本列島に暮らすふつうのひとびとの、生きた歴史を描くことである。

     著者の専門とする近世、16世紀後半から幕末、近代国家成立直前までの時代を対象として、災害、飢饉、病気といったものから、お上の支配や貨幣経済の浸透などに対して、人々がどのように生き延びたかが具体的に描かれる。小見出しの文字だけ見ていっても、この時代の実相と変化の様子が窺われて、実に興味深い。生きるための情報と情報の所有者/命こそ物種/固定化する社会のなかで/文字知識の必要/医書と医者/さまざまなルール/飢饉と生きる努力/病気と医・薬/栄養と衛生/かねに脅かされる暮らし/家のうちの弱者と危機/災害の時代……

     上述のとおり、近世の時代を対象として、人々が生命を脅かされる場面とその克服への歩みについて考えてきたとされるが、本書では最後に、明治以降の近代国家の下ではどうだったのかについて論及される(終章)。肺結核等の病気、飢餓など近代においても厳しい状況は当然あったが、中でも対外戦争への動員という国家の命令による生命の危機がとてつもなく大きなものとなったことに著者は注意を向ける。

     本書が書かれたのは2001年、3.11もまだなく、国家間の大規模戦争も起こらないだろうと考えられていた時代だったが、そうした危機にどう対処していったらいいのか、生き延びるための知恵と実行する力が必要だと改めて感じた次第である。

    0
    2024年01月24日

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