作品一覧

  • 生類をめぐる政治――元禄のフォークロア
    4.0
    1巻990円 (税込)
    動物の殺生を禁じ、特に犬の愛護を強いて民衆を苦しめたとされる徳川五代将軍・綱吉。しかしそれは本当に将軍個人の思いつき=愚行にすぎなかったのか。「鉄砲改め」や捨子・捨牛馬の禁止などを含み「生類憐み令」と総称される政策が、当時の社会的要請に応えて発せられたことを論じ、「自然と人間の歴史」のなかで「元禄という時代」の意味を捉え直す。
  • 生きることの近世史
    3.0
    1巻1,584円 (税込)
    災害、飢饉、病気、犯罪、戦争――近代以前、日本列島に住む人々が直面してきた危険とその克服の努力を描き出す新たな歴史学の試み。
  • 都会と田舎 日本文化外史
    値引きあり
    -
    1巻1,078円 (税込)
    花のみやこか、懐かしきふるさとか――。日本列島の文化の歴史は、海の外からやってきた最新の情報があつまる都会への憧れと、生まれ育った郷土への思い入れのはざまで紡がれてきた。奈良、京都、のちには江戸・東京という「みやこ」に対する「地方」の憧れと反発、さらに中国大陸や欧米という「中央」に対する「辺境」日本の憧れと反発という二重の交錯を見据え、そこに織りなされる綾を丹念に描き出した唯一無二の列島文化史。 夷なる日本が華なる中国に劣らないと主張した京都生まれの伊藤仁斎と、関東出身で田舎固有の文化に価値を見出し江戸学芸を京から自立させた荻生徂徠。日本文化や日本的なるものの一貫性を否定した内藤湖南と「国史」の範囲に苦悩した黒板勝美。日本文化が基底のところで一体のものであることを前提にしたことで「郷土を捨象した」と批判された、民俗学の父・柳田国男が敬意をいだいていたのは、田舎に「いにしえのみやび」を見出した本居宣長だった。 古代の青銅鏡が示す畿内王権や記紀神話にはじまり現代にいたるまで時代を縦横無尽に扱いながら、独自の視点で日本文化の形を照らし出す。(原本:平凡社、1991年) 【本書の内容】 はじめに 第一章 都市の論理――先進・後進論の背景 第二章 反都市文明――「地方」主張の論理と背理 第三章 国家という単位――単一の「国」と「くに」の複合 第四章 民衆知と文字文化――ひとつの試み あとがき 解 説(長﨑健吾)

ユーザーレビュー

  • 生類をめぐる政治――元禄のフォークロア

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    塚本学先生による近世における「生類」観を明らかにする一冊です。

    塚本氏によれば、「生類」とは野生動物のみならず人間にまで視野を広げた近代化以前の日本の生命観の一つであるとします。そして江戸時代の社会構造の変化や人間と生類の関わり方の変化を明らかにすることで、徳川綱吉の治世に施行された「生類憐れみの令」について当時の社会情勢の中で熟慮の上で立案された政策なのではないかという観点で再検討を行なっていきます。

    本書では生類憐れみの令について「鉄砲の所持規制」「鷹狩の抑制」などの個別の政策に分けて考察を加えます。注目されるのは生類と社会-特に農村-の関係、そして山野・人間社会を含めた生類をめぐる空

    0
    2013年06月22日
  • 生きることの近世史

    Posted by ブクログ

     本書で著者がやろうとしていることは、「はじめに」に「日常些事の歴史は、当事者にとって些事ではなく、また当事者とその周辺にしか意味をもたない歴史でもない。天下国家の歴史から些事とみなされるような、無名の民の日々の生こそが、人類の歴史の内容であったはずである」に強く表れているとおり、いわゆる事件史、特に支配する側の歴史ではなく、この日本列島に暮らすふつうのひとびとの、生きた歴史を描くことである。

     著者の専門とする近世、16世紀後半から幕末、近代国家成立直前までの時代を対象として、災害、飢饉、病気といったものから、お上の支配や貨幣経済の浸透などに対して、人々がどのように生き延びたかが具体的に描

    0
    2024年01月24日

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