学術・語学 - 講談社学術文庫作品一覧
検索のヒント
検索のヒント
■キーワードの変更・再検索
記号を含むキーワードや略称は適切に検索できない場合があります。 略称は正式名称の一部など、異なるキーワードで再検索してみてください。
■ひらがな検索がおすすめ!
ひらがなで入力するとより検索結果に表示されやすくなります。
おすすめ例
まどうし
つまずきやすい例
魔導士
「魔導師」や「魔道士」など、異なる漢字で検索すると結果に表示されない場合があります。
■並び順の変更
人気順や新着順で並び替えると、お探しの作品がより前に表示される場合があります。
■絞り込み検索もおすすめ!
発売状況の「新刊(1ヶ月以内)」にチェックを入れて検索してみてください。
-
-解剖学とは、どんな学問だろうか。メスやピンセットで人体を直接取り扱う原始的な学問という印象とは裏腹に、その対象は私たちにとってかけがえのない切実なものであり、科学者は自然にどのように立ち向かい、自然科学という知の体系を導き出せるかという本質的な問題が集約されている。解剖学という枠組みなしには、人体は無秩序な肉塊にすぎない。本書は、こういった無秩序な自然を整理し、秩序だてて記載する営みである「自然誌」の視点から、解剖学の歴史と、解剖学者が抱えてきた問題のさまざまを考察する。 16世紀のヴェサリウスによって始められた近代的な解剖学は、現代医学の成立にあたってどんな役割を果たしたのか。兄弟ともいえる学問分野、生理学とはどんな特徴によって分かれたのか。 生物の形態には、いったいどんな意味があるのか。それを探究する際に現れる機能論と先験論という立場の対立。そして比較解剖学と進化論の関係や、物質論と顕微解剖学の関係など、論点は多岐にわたる。 さらに、解剖学者がたえず気にかける「形態と時間」の関係――個体発生と系統発生の重複するイメージや、教育と研究の関係まで。 解剖学の歩みをたどりながら、自然科学がもたらす成果だけではなく、自然そのものに目を向ける自然誌的な視点が、人間にとって必要なことではないか――と問いかける深い洞察の書。〔原本:『からだの自然誌』東京大学出版会、1993年刊〕 目次 はじめに 3 第一章 ヴェサリウスとハーヴィー:医学の基礎としての人体解剖学 第二章 解剖学と生理学:人体についての自然誌と自然哲学 第三章 生物形態の意味(一):解剖学における機能論と先験論 第四章 比較解剖学と進化論:生物科学における事実と解釈 第五章 生物形態の意味(二):顕微解剖学と物質論 第六章 生物界における階層性:多様性と反復可能性の問題 第七章 解剖学と時間:個体発生と系統発生 第八章 解剖学の現在:人体という自然をめぐって 学術文庫版のあとがき
-
4.0世界は「粒」でできている! 砂時計の不思議をめぐる探究は、やがて雪崩や縞模様、果ては満員電車や交通渋滞のメカニズムの解明へと至り着く。異なるものたちのあいだに共通の法則を見出し、研究の最前線と日常生活を往還する物理学の「本当の面白さ」を伝える、自身第一線で活躍する著者による、絶好の入門書。 【本書の主な内容】 [満員電車]乗り降りをスムースにするには、ドアを大きくする? 数を増やす? [渋滞]発生の秘密は「1/fノイズ」にあった? [縞模様]砂漠の風紋はシマウマの縞に通ず? [山]麓より頂に重い砂粒が集まるのはなぜ? [砂丘]「三日月」に「星」……砂が風に飛ばされただけでなぜこんな地形が? [ピラミッド]その威容は、砂にはない「不自然」な角度のおかげ? [生命]粉粒体の縞々と生命の誕生は同じ原因? 【目次】 はじめに 第一章 流れ落ちる 第二章 吹き飛ばされる 第三章 かき混ぜられる 第四章 吹き上げられる 第五章 ゆすられる 第六章 粉粒体とは何か おわりに 参考文献ガイド 学術文庫版へのあとがき (*本書の原本『砂時計の七不思議』は第12回講談社科学出版賞受賞)
-
4.3南太平洋のマエンゲ族の一日当たりの平均労働時間は四時間だという。古代ギリシアにおいて多忙は倫理的悪であり、中世の修道士にとって労働とは神から課された罰であった。 しかし近代になると、労働の価値に大逆転が生じる。「労働の尊厳」が高らかに謳われ、経済のみならず政治・文化を含むありとあらゆる活動が労働化する、完全な意味での労働社会が人類史上初めて誕生する。 この逆転はいかにして、なぜ起こったのか。古代から中世を経て近代にいたる労働観の変遷をコンパクトに描き出し、現在の労働中心主義は決して当たり前のものでもなければ、長い歴史に裏打ちされたものでもないことをあざやかに浮かび上がらせる。 人は生産労働なしに生きることはできない。しかし労働に従事するかぎり人間は自由になることはない。この相克を超えて、本当の意味で「労働から解放」されることは可能なのか――。 労働の価値が再び大転換しつつある今こそ必読の労働論! かつて多忙は悪であり、余暇こそが自由人の本性にふさわしいとされた。しかし、近代においては資本主義も社会主義も等しく「労働はすばらしい」、「労働は人間を成長させる」と労働の尊厳を謳う。 労働が近代を創造したのであり、労働なしに近代は理解できない。そして、あらゆる人間が精神的にも物質的にも「労働する」社会、当事者が精神的・物質的活動を「労働」として表象する社会は、すなわちあらゆる人間が「奴隷となる」社会である。もし古代人が近代社会を見たら、最悪の社会の到来と仰天するだろう。 非西欧社会、古代、中世の労働観の変遷を踏まえたうえで、ベンジャミン・フランクリンやウェーバー、サン=シモン、コント、マルクス、アレント、ヴェイユなど主要な労働思想を参照しながら、近代的労働観の成立過程を明瞭簡潔に描き出し、我々が当然のものと刷り込まれてきた労働中心主義を見事に解体していく。 人間は労働に従事する限り自由にはなれず、しかし労働なしでは生きていくことができない。そうだとすれば、本当の意味での「労働からの解放」はいかにして可能になるのか。人類と働くことの関係を根底から問い直す、骨太の労働論にして近代論。(原本:『仕事』弘文堂、1988年) 【本書の内容】 はしがき 第一章 未開社会の労働観 第二章 古代ギリシアの労働観 第三章 西欧中世の労働観 第四章 近代の労働観 第五章 労働の批判的省察 注 解説(鷲田清一)
-
-「物理帝国」の栄光と黄昏 アインシュタインの相対性理論、量子力学、そして原爆を生んだオッペンハイマーのマンハッタン計画から、コンピュータ、ニュートリノへーー。物理学が科学のみならず知・経済・社会のあらゆるシーンにおいて「王者」として君臨した時代を、自身も一線の物理学者として活躍してきた著者がダイナミックに活写。 「黄昏」も囁かれる時代の転換期、「ものの見方」を探究する物理学の現状とあるべき未来をも示す、無二の証言にして提言の書! [目次] はじめに 第一章 物理学の世紀ーー百年のうねり 第二章 原子の言葉ーー創造 第三章 物理帝国ーー展開 第四章 物理のデザインーー成熟 おわりに 学術文庫版へのあとがき
-
-◇◆◇「愛とは何か」を解るために、「暴力とは何か」を考える。◇◆◇ ◇◆◇さまざまな概念を対にして展開する、縦横無尽な思考の一大パノラマ!◇◆◇ 本質と時間/愛と暴力/ここと私/正義と詩人…… ある概念と別の概念を対にしてみると、思いもよらない連関が生まれ、ありふれた言葉から豊かな哲学の問題が立ち上がってくる! 現代哲学の重要論点のみならず、文学、芸術、宗教、科学、政治を自由闊達に横断。一人ですべての項目を書き切った事典にして、どこから読んでも愉しめる上質の哲学エッセイ。 【本書より】 哲学事典を引く人が、「存在」とか「記憶」とかの意味をまったく知らない、などということは考えにくい。求められているのは日常では一見自明な言葉に哲学者が見出す亀裂であり、それを通して見えてくる思いがけない意味連関ではなかろうか? 概念間の連関が重要なのだ。ゆえに、哲学事典は一貫した視点で、一人が全項目を書くべきなのだ。 これは、すべてを網羅するという事ではない。多くの知識を蓄える事が問題ではない。問題は、越境的な精神の自由を確保する事なのである。本書では、諸概念の連関を強調するため、事項を単独で説明するのではなく、一対の概念に対して説明をした。読者は、関連する事項説明をたどることによって、梁と梁が大きなドームをなすイスラム建築のように、あるいはたがいに連関して図形を構成する夜の星空のように広がる、概念の天蓋が見渡せよう。 【本書の内容】 愛と暴力 アキレスと亀 一者の実在性/真理と悲劇 イロニーとユーモア 運と偶然 可能性と反実在論 共同感覚と感覚質 言語と意味/ Sinn(意)とBedeutung(指示)/実在論と反実在論 検証主義とプラグマティズム ここと私/意識と想像的なもの/想像的な私と象徴的な私 自然とユートピア/美と判断力 自由と問題 正義と詩人 全体論と解釈/現象学と志向性/心的な用語(mental term)と命題的態度 疎外論と物象化論 存在と存在論/数と算術/性質と類似性/実体と普遍論争 知識と信念 超範疇と超越論的 美のイデアと芸術 文化相対主義と普遍的正義論 弁証法と(再)定義/観念論とヘーゲルの弁証法―意図と欲望 保守主義と左翼 法と革命 本質と時間/時間様相―過去現在未来/期待と希望 メタ言語と主体性 ヨブの苦しみと罪の名 歴史と伝統/ヘーゲルの歴史観/反時代的 索引 *本書の原本は、2006年に講談社現代新書より刊行されました。(増補あり)
-
4.3キリスト教抜きに世界のスタンダードは理解できない! 旧約・新約聖書を丁寧に解説、「救世主」「アダムとイヴ」「三位一体」「クリスマスツリーと十字架」「原理主義」「進歩主義とグローバリゼーション」などのキーワード/トピックから、キリスト教理解を立体的に組み上げる。信仰生活のリアル、各宗派とのかかわり方など、実践的なガイドも盛り込んだ、非キリスト教文化圏に住まう「普通の日本人」のための最良の入門書! 混迷の時代、普遍宗教が示す未来とは? [目次] はじめに 教養としてのキリスト教 キリスト教を読む キーワードで考えるキリスト教 三次元で読むキリスト教 知の道具箱 おわりに 学術文庫版へのあとがき
-
3.7「社会とは、いくつもの齟齬感や、違和感や、隔たりの意識が複雑に交錯しあう苛酷な空間にほかなりません」――。 東大生の心を慄(ふる)わせた伝説の入学式式辞のほか、大学は知と人が行き交い別れる「寄港地」たれと説く「第三世代の大学」論、運動論、映画論など、仏文学・映画評論の大家が、学問と教育に関わるすべての人に真摯に呼びかける、知の革新のための書! [目次] いま、この書物の読者となろうとしているあなたに 一 齟齬の誘惑 二 真実の位置 三 第三世代の大学 四 東京大学をめざす若い男女に 五 視線の論理・視線の倫理 総長日誌 学術文庫版へのあとがき 「社会に生きているわたくしたちは、何かを理解することで変化するのだし、当然、その変化は社会をも変容させる契機をはらんでいるはずです。ところが、「何かを理解したかのような気分」の蔓延は、そうした変化や変容の芽を、いたるところでつみとってしまいます。」 ――「いま、この書物の読者となろうとしているあなたに」より
-
4.5「20世紀最大の哲学者」として今なお読み継がれるマルティン・ハイデガー(1889-1976年)。その影響力は、現代思想、解釈学、精神病理学、文学研究に至るまで、あまりにも大きく決定的だった。本書は巨人ハイデガーの思想の全容を1冊で理解できる最良の入門書、待望の文庫化である。『存在と時間』の明快な読解から難解な後期思想の見取り図を掲げ、さらには今日再燃しつつあるナチズム加担問題に大胆に切り込む名著。 「20世紀最大の哲学者」として今なお読み継がれるマルティン・ハイデガー(1889-1976年)。その影響力は、サルトルからフーコー、デリダに至る現代思想、ガダマーに代表される解釈学、ビンスワンガーやミンコフスキーらの精神病理学、そしてバタイユ、ブランショといった文学研究まで、あまりにも大きく決定的だった。本書は、その巨人ハイデガーの思想の全容を1冊で理解できる、と長らく定評を得てきた名著、待望の文庫化である。 著者は、ハイデガーの生涯を概観した上で、「「ある」とは何か」という前代未聞の問いを掲げた『存在と時間』(1927年)を豊富な具体例をまじえながら分かりやすく読解していく。その理解を踏まえて難解で知られる後期思想の世界に分け入り、読者をたじろがせる膨大な著作群に明快な見通しが示される。その上で、20世紀末に突如として勃発した、ハイデガーのナチズムへの加担問題という微妙な話題にも躊躇することなく取り組み、この問題をどのように考えればよいのか、最良のヒントを与えてくれる一書ともなっている。ここにある「学問と政治」の関係という問題は、温暖化問題や原発問題など、今日世界中で次々にクローズアップされてきていることは誰の目にも明らかである。ハイデガーについては、「黒ノート」と呼ばれる草稿の公刊を機に、再び反ユダヤ主義と哲学の関係が取り沙汰されるようになってきている。 このように、今日ますます切迫した問題と深く関わるハイデガーの思想にアクセスするための最良の第一歩として、本書は他に類を見ない価値をもっている。学術文庫版のための書き下ろしをも加えた決定版、ついに登場。
-
4.3『論語』は、どうして時代を超えて読み継がれてきたのでしょうか。それは『論語』が封建的、教条的な道徳の教科書などではなく、人間をありのままに見とおし、人間にとっての幸福とは何かという視点にもとづいて道徳を論じることで、読む者の人生の指針となってきたことにあります。そしてその叡智は継承され、また未来へと伝えられてゆくべきものといえるでしょう。 中国哲学史研究の泰斗として知られる著者が、『論語』の精髄を紹介する一冊が本書です。『論語』から125の章段を選んで11の柱で体系化し、各章の冒頭に付した解説によってポイントを押さえ、学術文庫版『論語 全訳注』に準拠する各章段では「原文」「現代語訳」、解釈を助ける「参考」と読み進めることで理解を深めるような構成になっています。そして最終章では孔子の略伝と時代背景に言及し、『論語』を綜合的に把握できるように配慮されています。これは、『論語』に興味をもつ独習者にとっての格好な水先案内であると同時に、『論語』の魅力を誰か(とくに年少者)に伝えようとする際の理想的な手引きとなることを意図したものです。 儒教の本質は「生命の連続」と説く著者の思索が全面的に反映した本書は、現代を生きる多くの日本人にとって実践的な示唆に富んだ「『論語』入門」となるでしょう。 〔原本:『すらすら読める論語』(2005年、小社刊)をもとに増補再編集〕 ●主な内容 第一章 『論語』の名句 第二章 『論語』を読む楽しさ 第三章 自分の幸せだけでいいのか 第四章 他者の幸福を求めて 第五章 「学ぶ」とは何か 第六章 教養人と知識人 第七章 人間を磨く 第八章 若者との対話 第九章 人生用心ノート 第十章 孔子像 第十一章 愛と死と孝と 第十二章 孔子の生涯とその時代と
-
-円周率、√2、微分・積分、時間、無限……人類はこうして「問題」を解いてきた! 大家による究極の歴史ガイド。 数学がイデアの世界の産物だった古代ギリシアから、現実世界に埋め込まれたルネサンスを経、「時間」を取り込んだニュートンとライプニッツの微積分、そして「無限」を導入し両者の統合を果たした解析学へ――。数学が2000年以上にわたって切り拓いてきた歴史の道程を、「問題」と格闘する精神の軌跡として簡潔明瞭に描く、啓蒙の大家による入門書の決定版!(解説:上野健爾) [目次] はじめに 序章 聞いてみたいこと 第1章 深い森へ 1 円周率 2 ピタゴラスの定理 3 平行線の公理 4 ツェノンの逆理 第2章 近世に向けての旅立ち――文明の流れのなかで 1 中世から近世へ 2 火薬と大砲――運動に向けての視線 3 コンパス 4 活版印刷 5 時計 第3章 ヨーロッパ数学の出発 1 デカルトの“方法” 2 ニュートンの『プリンキピア』 3 微分・積分の創造――ニュートンの流率 4 ライプニッツの無限小量 第4章 数学の展開 1 開かれた社会へ 2 バーゼル問題の解と『無限解析』 3 オイラー――無限のなかの算術 4 無限小量への批判 第5章 関数概念の登場 1 変化するもの 2 関数、グラフ、極限 3 微分――関数への作用 4 積分――関数のひろがり 5 微分と積分――数学の2つの方向 第6章 解析学の展開 1 テイラー展開と因果律 2 複素数 3 正則性 4 波立つ変化 おわりに 数学の歩みをふり返って (解説 数学の世界の爽やかな拡がり 上野健爾)
-
5.0「運命よ 私はお前と踊るのだ。」 理性と感情、男と女、東洋と西洋、二人の父、偶然と必然……幾多の対立に引き裂かれ、安定を許されなかった生のただなかで、日本哲学の巨星は何を探究しつづけたのか。その生い立ちから、留学、主著『「いき」の構造』『偶然性の問題』、最晩年の『文芸論』まで、その思索の全過程を、第一回中村元賞受賞の著者が明解かつ艶やかな筆致で辿る。九鬼哲学への決定版・入門書。 [目次] はじめに 第一章 出会いと別れ 第二章 「いき」の現象学 第三章 永遠を求めて 第四章 偶然性の哲学 第五章 偶然から自然へ 第六章 形而上学としての詩学 あとがき 学術文庫版へのあとがき
-
3.5地質学者として大学の教壇に立った著者は、多くの学生が、高校の自然科学4教科、地学・物理学・化学・生物学のうちの二つくらいしか履修していないことに気付いた。しかし、自然科学のさまざまな分野を独立の学問として学ぶだけでは、その学問の意味を本当に理解することはできない。全体を見渡す「自然科学史」の視点から、個別のテーマが自然科学の発達史のなかでどんな位置にあるかを知ることが必要なのである。 本書は、この4分野をそれぞれ、宇宙・地球観の歴史、物質観の歴史、技術の歴史、生命観の歴史に区分し、人間と科学・技術の歴史として描き出す。 古代、どの文化圏でも、最初に生まれた科学は天文学と医学だった。古代ギリシアの自然哲学に始まったヨーロッパ科学は、中世にはアラビア人が伝統を受け継いで発展させ、シチリア島やスペインでそれらをヨーロッパに伝えた。一方、古代以来、中国の科学と技術はヨーロッパを凌いでいたが、中世末期に中国から伝来した技術を背景に、ヨーロッパにルネサンスと科学革命が起こる。やがて産業革命は蒸気機関と、さらに電気の時代を生み出していく。そして20世紀末に至り、人類は核エネルギー開発による放射能汚染と、遺伝子操作という「神の領域」に触れる難題を抱え込むようになったのである。『自然科学史入門』(1998年、東海大学出版会刊)を改題して文庫化。 目次 まえがき 序章 科学史概観 第一章 宇宙・地球観の歴史 1 古代自然哲学における天文学 2 ニュートンによる天体力学の完成 3 二〇世紀初期までの地球観 4 現代の宇宙論 5 二〇世紀後半の地球観 第二章 物質観の歴史 1 哲学的原子論と錬金術 2 科学革命と近代的原子論・分子論 3 有機物質の化学 4 物質の究極的構造の解明│現代物理学の誕生と発展 5 二〇世紀後半の合成有機化合物 第三章 技術の歴史 1 技術の起源と古代の技術 2 中世から近世初期の技術 3 産業革命と技術の近代化 4 電磁気学の発展とその応用 第四章 生命観の歴史 1 古代・中世の医学 2 生物学の近代化 3 産業革命後の生物学 あとがき 自然科学史年表 人名索引
-
4.0千葉雅也氏推薦! 「中島先生の荘子がなければ、僕の哲学も文学もなかった。ここからすべてが始まったのです。衝撃的なこの「変化の哲学」を、皆さんにもぜひお読みいただきたい。」 中国・日本はもちろん、これまであまり言及されてこなかった欧米圏での研究をも渉猟。「無為自然」や「万物斉同」といった概念に替え、自己および世界の変容を説く「物化」思想をその核心として取り出し、ドゥルーズら現代の西洋哲学と突き合わせることで、言語、道、他者、自由にかかわる荘子の思索を新たな相貌のもとに甦らせる。世界の哲学に通暁する著者がダイナミックに描く、新時代の標準たる驚くべき読解の書! [本書の内容] プロローグ ■第1部 書物の旅路 『荘子』古今東西 第一章 『荘子』の系譜学 第二章 中国思想史における『荘子』読解――近代以前 第三章 近代中国哲学と『荘子』――胡適と馮友蘭 第四章 欧米における『荘子』読解 ■第2部 作品世界を読む 物化の核心をめぐって 第一章 『荘子』の言語思想――共鳴するオラリテ 第二章 道の聞き方――道は屎尿にあり 第三章 物化と斉同――世界そのものの変容 第四章 『荘子』と他者論――魚の楽しみの構造 第五章 鶏となって時を告げよ――束縛からの解放 エピローグ 参考文献ガイド 『荘子』篇名一覧 学術文庫版へのあとがき
-
-「人格(ペルソナ)」とは、単にかけがえのない個であるばかりでなく、他者との交わりにおいて存在し、自己を実現する主体である――。 古代以来の神学から現代の哲学までを渉猟。真の「人格」理解を通してあらゆる存在の価値の基礎づけと倫理の構築を目指す、著者畢生の書。 これを知らずして、「人間の尊厳」も「善」も語れない! [本書の内容] 序論 人格(ペルソナ)について語ることの難しさ 第一章 個人から人格へ――人格の哲学をめざして 第二章 「世俗化」と「人格」概念 第三章 行為と人格 第四章 存在としての人格 第五章 人格の形成 第六章 人格(ペルソナ)の神学的考察
-
3.0古来、思想は<出版>という形で普及し、後世へ残った。ならば、知の媒介者たる「印刷・出版業」から16世紀から20世紀の近代を眺めてみよう。そこには、名著を支えた蒐書家や出版人などの人間模様、「知」の商品化による印税騒動など、歴史に埋もれた事件が浮かび上がってくる! 思想史でも書物史でもない、碩学によるユニークな書。 本書は1985年4月、筑摩書房から刊行された『知の商人―近代ヨーロッパ思想史の周辺』を改題、加筆修正したものです。 目次 1 商品としての思想 エルセフィエル書店 リヴァイアサンの顔 ハーリーとソマーズ 知の商人―ストラーンのばあい 知の商人―エディンバラの出版業者 バーゼルのトゥルナイゼン 固有名詞の読み方 『ケール版ヴォルテール全集』始末記 イギリスのワイン アメリカ革命の導火線 『エディンバラ評論』の運命 紅茶の話 ジン横丁 2 知識人層の成立 音楽の商品化 うたは世につれ 『共産党宣言』の英訳者 パリ・コミューンと芸術家たち 芸術至上主義と無政府主義・ 黒猫のスタンラン 大学と女性 ディーツ出版社 ユニウスとジュニアス ブラウンス・アルヒーフ マスク・ヴェーバーをめぐる女性 3 ファシズムのもとで グーテンベルク図書組合 マリク書店とハートフィールド 亡命知識人とスイス 左翼読書クラブ 一九三〇年代の墓標 ウォーバーグ家の人びと 空襲下のコンサート 内容抜粋) 「私は昨夜、ヴォルテールが死んだということを聞きました。これで人びとは、安心して彼の著作を買うことができるでしょう。彼はもう、あとからあとから書き直すということができないからです」(一七七八年一月十七日)。この知らせは誤報で、ウォルポールの安心は四ヵ月余り早すぎたのだが、ヴォルテールの止まるところを知らない改訂癖に蔵書家が悩んでいたことは、誤報ではない。 1「『ケール版ヴォルテール全集』始末記」より ルイジ・エイナウディ研究所 本を愛した外科医 あとがき 学術文庫あとがき 人名索引
-
4.0関孝和、貝原益軒、渋川春海、杉田玄白、平賀源内……。伝記を通して、江戸に花開いた科学や技術の発展の軌跡を紹介する。科学者小伝付き!(解説:池内了氏) 『解体新書』、『蘭学事始』で知られる杉田玄白が生まれたときは大変な難産でした。看護の人たちは母親に気をとられ、生まれたばかりの赤ん坊のことは忘れてしまいました。死産だろうと思われ、とり合わせの布に包んで横に置いたままにされたのです。しかし、ようやく落ち着き、赤ん坊を見ると元気で生きていました。その後の玄白は元気に育ちます。17,8歳のころ、医官である父に医業を学びたいと申し出ると、幕府の医師である西玄哲に入門することになりました。西玄哲は通訳の家の出身で、ポルトガルやオランダの医術を覚え医師となった人物でした。玄白はこの頃から西洋医術の優秀さに触れることとなったのです。――西洋医術の導入、日本人のための暦、エレキテル、鉄砲の大量生産……など。著名な杉田玄白や渋川春海から砲術家の坂本天山まで、江戸時代を代表する科学者たちの幼少時や師事した先生とのエピソード残した業績をコンパクトに紹介する伝記集です。科学者たちの生涯を通し、江戸時代の科学や技術の発展の過程を生き生きと描き出します。29人の科学者小伝付き。解説は池内了氏。 (原本:吉田光邦『江戸の科学者たち』、社会思想社(現代教養文庫)、1969年) 本書の内容 関流をめぐる人びと ――関孝和たちと会田安明―― 本草から大和本草へ ――貝原益軒―― 本草から博物学へ ――稲生若水・小野蘭山―― 日本暦の誕生 ――渋川春海―― 町人天文学者たち ――麻田剛立の一門―― 測地事業の推進者 ――伊能忠敬―― 幸福な蘭学の始祖 ――杉田玄白―― 異端の科学者 ――平賀源内―― 電気学の正統 ――橋本宗吉―― 最初の自然哲学者 ――三浦梅園―― 自然哲学の展開者 ――帆足万里―― 通訳から科学者へ ――本木良永・志筑忠雄・馬場貞由―― 桂川家の人びと ――名門の学者たち―― 宇田川家の人びと ――家学を守った人たち―― 悲劇の科学者たち ――シーボルトとその門下―― 職人と発明家 ――国友藤兵衛―― 哲学的な砲術家 ――坂本天山―― 農業技術の変革者 ――宮崎安貞・大蔵永常―― 科学者小伝 参考文献とあとがき 解説(池内了氏) 索引
-
3.3いつの時代も私たちを惹きつけてやまない神話。 文学や絵画はもちろんのこと、現代でもアニメやゲームのキャラクターとして神話のモチーフは取り入れられています。神話の知識がなければ興味は半減してしまうでしょう。 神話が人を楽しませ、ときには人を感動させるのは人間世界の真実の断面を私たちの目の前に投げ出して見せてくれるからです。神話は人間そのもののあり方、本質に迫ろうとします。そして倫理や法などの根本理念を考えさせます。 西洋古典学の第一人者が世界の神話の成り立ちや共通点を、ギリシア神話を中心にやさしく紹介する、神話を味わうために最適の一冊。(原本:『入門・世界の神話』講談社、1965年) 目 次 はじめに 第1章 神話のさまざま 1 大蛇退治――アポロンと素戔嗚尊 2 花物語――ヒヤシンスとすいせん 3 星座――天に上ったくまの母子 4 七夕祭り 5 湖畔に立つポプラとかしの木 第2章 神話の成り立ち 1 裁く神から踊る神まで 2 『死と少女』 3 金色のひつじの皮衣 4 オデュッセウスと百合若 5 史謡の世界――トロイの木馬 第3章 世界の神話 1 永遠の生を求めて 2 ノアの大洪水 3 ピラミッドの秘密 4 美しく奥深い北欧の神話 5 さるのつくった岩橋 第4章 世界のはじめ――ギリシア神話(1) 1 世界のはじめ(天地開闢) 2 神々の誕生 3 人類のはじめ 4 黄金時代 第5章 オリュンポスの神々――ギリシア神話(2) 1 オリンピックの由来 2 銀の弓と竪琴との神――アポロン 3 処女神宮のいわれ――アテーナとポセイドン 4 海のあわから生まれた女神――アフロディテ(ヴィーナス) 5 酒と芝居の神――ディオニュソス 6 商人とどろぼうの親方――ヘルメス神 7 月の女神アルテミス 第6章 海と地下の神々 1 ほら貝ふきのトリトオン 2 六粒のざくろの実 第7章 英雄時代 1 ヘラクレスの一生 2 迷宮と牛人退治 3 スフィンクスのなぞ 4 白鳥の皇子 5 さかはぎの駒 第8章 日本の神話 1 よみがえり 2 日の御子 3 海幸彦と山幸彦 4 因幡の白うさぎ 5 金色の鵄 第9章 伝説と史実 1 トロイア遠征の伝説 2 帰還の物語 3 説話の世界 4 神話の永遠性 5 神話と現代 索引
-
4.0〈わが国初のノーベル賞に輝く湯川博士、生涯の記念碑的作品〉 〈1946年の初版*以来、学問に志す多くの若者達の心をとらえ続けてきた名著!〉 「中間子」を発見し素粒子物理学を大きく前進させた著者が、現代物理学の物質観を、そして同時に、今日の自然科学的なものの見方・考え方を、だれにもわかる平易な言葉で説く、不朽の科学入門。 「目に見えないものの世界」への旅立ちを伝える諸篇には、深く豊かな知性が光り、「真実」を求めてのあくなき思索が生み出した珠玉の言葉には、ひとつの確かな思想がある。 現実は痛切である。あらゆる甘さが排斥される。現実は予想できぬ豹変をする。あらゆる平衡は早晩打破せられる。現実は複雑である。あらゆる早合点は禁物である。(本書「真実」より) *本書の原本は1946年に甲文社より刊行されました。 【本書の内容】 第一部 1.理論物理学の輪郭 1 自然哲学 2 近代物理学 3 現代物理学 2.古代の物質観と現代科学 1 古代インドの自然観 2 現代の物質観との対比 3 因果と時間の問題 3.エネルギーの源泉 1 物質の構造 2 放射線の本体 3 力とエネルギー 4 原子内のエネルギー 5 太陽のエネルギー 4.物質と精神 1 二つの通路 2 物理学的世界 3 物質から精神へ 4 科学の根源 第二部 1.半生の記 2.ガラス細工 3.少年の頃 4.二人の父 第三部 1.物理学に志して 2.科学と教養 3.真実 4.未来 5.日食 6.眼の夏休み 7.読書と著作 8.話す言葉・書く言葉 9.『現代の物理学』 10.『物質の構造』 11.『ピエル・キュリー伝』 12.目と手と心 13.目に見えないもの 14.思想の結晶
-
3.5私たちが生きている現代世界において、決定的な役割を果たしているのは、「西欧近代科学」であるといえるでしょう。しかし一方で「科学」は、時間的・空間的な規定を受けており、普遍的・絶対的ではないことを認識する必要があります。 本書では科学の起源を問い直します。ラテン語の《scientia(知識)》に淵源し、古代ギリシアに生まれた「自然現象を自然現象として認め、ある原理的な体系から、そうした個々の現象の説明を与える」という思惟構造が、西欧で独自の発展を遂げたものです。 キリスト教敵世界では、「神の意志」と「理性による世界支配」が、自然界と人間界両方の秩序の根幹であるとの考え方が」だんだんと支配的になります。そして中世ラテン世界は、十字軍を経て、アラビア文化圏から流入したギリシア・ローマの「科学」的遺産を吸収し、本格的な「西欧・近代・科学」へと発展していきました。その流れの中で、アニミズムの否定、自然の世俗化、それが進展しての実証主義が支配的になります。魔術から技術へという流れです。そして未来はつねに「進歩」をもたらすものでなければならないというドグマのようなものが支配的になったのです。 そしてこの科学の考え方が、私たちの思考法をどのように呪縛しているのかを、点検していきます。「観測の問題」「言語による外界の把握」「造られた科学」「《整合性》と《簡潔性》」などなど、実際の例を取り上げながらやさしく解説していきます。まさに「科学史」の入門書といえる一冊です。 【原本】 村上陽一郎『科学・哲学・宗教』(レグルス文庫)第三文明社 1977年刊 【目次】 I 科学・哲学・神学 1 科学を準備したもの 2 科学のなかのヴェクトル 3 科学の反省 4 未来への展望 キリスト教の自然観と科学 1 キリスト教と近代合理主義 2 キリスト教からの科学の「離脱」 3 現代への示唆 II 科学的知識と信仰との異同 植木屋の譬え話 自然科学での実際の話 誰が素粒子を見たか 「見える」ことが「存在する」ことか 「……を見る」と「……として見る」 「……として見る」の基礎構造 「ことば」による把握 「……を見る」ことと「……を存在させる」こと 科学は何によって造られるか 自然科学的理論の「流行」 簡潔性と整合性 価値の世界との「整合性」 「心」の私秘姓 「こころ」の存在 こころと素粒子 自分の「こころ」と他人 人間の「こころ」の特殊性 こころの普遍化への二つの方法 あとがき 学術文庫版あとがき
-
4.0■世界の真理は、単純明快! てこの原理からE=mc2、量子力学まで全部わかる!■ 中学校理科から量子力学まで物理学全体を見渡し、歴史のエピソードや文学作品を引きながら「基本の基本」をわかりやすく伝授。さらに、人間の思考は自然の論理をどこまで捉えられるのか、という根源的問いにまで誘う。宇宙物理学の先端で研究に取り組み、科学とは何かを深く問い続けてきた名手が放つ、画期的入門テキストにして深遠なメッセージ。 「文系のための物理学入門」の決定版! □単純、簡明、統一、原理主義□ 物理学者は、多様で複雑に見える自然だが、真理は意外に単純明快であり、論理を忠実にたどっていけば必ず真理に到達できると信じている。アインシュタインが述べたように、「神は老獪だが、意地悪ではない」のである。そのための自然を解剖していく手法は、本書に書いたような原理・法則・原則に則っている。どのような建築物もレンガ一つひとつの積み重ねから成り立っているように、壮大な物理学の成果も、最も基本的な原理の上に構築されているのである。―本書より (本書は2011年にPHPサイエンス・ワールド新書より刊行された『物理学の原理と法則』を大幅に改稿・加筆し文庫化したものです)
-
5.0本書は、20世紀の日本を代表する哲学者・田中美知太郎(1902-85年)による生前最後の単行本です。 古代ギリシア哲学の専門家として、数々の著作や翻訳を送り出すとともに、日本西洋古典学会の設立に携わるなど、日本の哲学界の大きな礎を築いた著者が最後に残したのは、「古代哲学史」という単刀直入なタイトルを冠した1冊でした。全三部から成る本書の第I部では、万物の始源は「水」だと説いたタレス(前585年頃)に始まり、アナクシマンドロス、アナクシメネス、ヘラクレイトス、エンペドクレス、アナクサゴラスなどを経て、ソクラテス、プラトン、アリストテレスに至る哲学史の流れを大づかみにしてみせる「西洋古代哲学史」が収録されています。文庫版で100頁にも満たない分量で要点を的確に押さえた思想史を描く力量は、まさに出色です。 第II部では、古代哲学をより深く知りたいと願う読者のために碩学がアドバイスをする、という趣きを帯びています。残された哲学者たちの著作に触れる時に注意すべきこと、そして参考書や研究書を含めた読書案内まで、実践的な哲学ガイドとして役立つことでしょう。 そして、第III部には、著者が何度も改訂を繰り返してきたヘラクレイトスの残された断片の日本語訳が収録されています。ここに読むことのできる言葉は、時に謎めき、時に不思議な魅力を放つ、古来、多くの人たちを惹きつけてきたものです。 著者がその最期に読者に向けて贈った本書には、長年月にわたる研鑽の果実が惜しみなく凝縮されています。近年は政治論や文明論などに光をあてられることの多い偉大な学者の神髄に触れられる絶好の1冊です。学術文庫版には、田中美知太郎に思い入れを抱いてきた國分功一郎氏の解説を収録し、文字どおりの決定版となります。 [本書の内容] I 西洋古代哲学史 古代アトム論の成立 II 古代哲学 一 古代哲学 二 III ヘラクレイトスの言葉 あとがき 解 題(國分功一郎)
-
3.5
-
3.8
-
3.0ヨーロッパ中世の社会を、伝説、民話、さらには法や経済などさまざまな位相から総合的に再構築し、共同体のあり方を生き生きと描き出した西洋史学の泰斗、阿部謹也(1935-2006年)。晩年は西洋史家ならではの視点から、「世間」を軸にした独創的な日本人論を展開したことでも知られる。 なぜ、日本人は「世間を騒がせて申し訳ありません」と謝罪するのか。無実ならば決して謝罪せず、世の中が納得するまで主張を続ける西洋との違いはどこから生まれるのだろうか。日本古来の「世間」と対比させつつ、西洋の「社会」を構成する「個人」や「愛」がヨーロッパで成立する過程を描き出した本書は、代表作『「世間」とは何か』を著者の本領たる西洋中世史から裏づける作品であり、一連の「世間論」の原点でもある。 著者は本書でこのように述べている。「大切なのは、わが国では、「社会」と「世間」という二つの用語の世界があるということを、まず認識することである」――。日本の共同体があらゆる水準で崩壊しつつある今こそ読みたい、人と人とのつながりの根源を照らし出す一冊。(原本:朝日新聞社、1992年)
-
-「雲から雨が降る」という、一見あたりまえの自然現象の仕組みと奥深さを探究した、気象学の入門書。 なぜ雨は、滝のようにつながって落ちてこないのか。雨粒はどんな形をしているのか。小雨の雨粒と、大粒の雨粒は、どのくらい大きさが違うのか。雲粒と雨粒の境目はどこにあるのか。なぜ、雨が降りやすい雲と、降りにくい雲があるのか。水蒸気が凝結するための「雲粒の種」とは。自己増殖し、自己組織化して雨を降らせる、生物のような積乱雲の生涯とは――。 傘とレインコートで日常的な雨対策をし、冬にも豪雪に見舞われる日本列島の降雨事情は、地球上でも特異なものだという。その地形的特質から、近年多発する集中豪雨のメカニズムとエルニーニョ現象、温暖化のカギを握る雲の種類、さらに、「人類の夢」である人工降雨や気象の人工調節の可能性まで、雲・雨・雪の研究に尽くした第一人者が、平易に解説する。北海道大学名誉教授・藤吉康志氏が巻末解説を執筆。〔原本:『雨の科学――雲をつかむ話』2005年5月、成山堂書店刊〕〈目次〉1 地球に降る雨のミクロな特徴第1章 雨粒の形と大きさ第2章 雨の強さと雨粒の大きさ分布第3章 雨が降る雲、降らない雲第4章 多くの雨は雪が融けたもの第5章 雨の降り方は人間活動によって変わる2 雲の組織化第6章 積乱雲の生涯第7章 生物のような積乱雲第8章 集中する豪雨第9章 人工衛星から観る雲の群第10章 地形の働きによる降雨の強化と集中3 雨の気候学第11章 気候域と雨量第12章 亜熱帯域の降雨第13章 雨のテレコネクション第14章 雨の経年変化第15章 水惑星の水問題解説 藤吉康志索引
-
4.0
-
4.0
-
4.3
-
5.0
-
4.21932年、国際連盟がアインシュタインに依頼した。「今の文明においてもっとも大事だと思われる事柄を、いちばん意見を交換したい相手と書簡を交わしてください。」選んだ相手はフロイト、テーマは「戦争」だった――。宇宙と心、二つの闇に理を見出した二人が、戦争と平和、そして人間の本性について真摯に語り合う。養老孟司氏・斎藤環氏による書きおろし解説も収録。
-
4.5体格、体力、手先の器用さなどの「自然」に基づく不平等ではなく、地位、身分の区別、貧富の差といった「人為」によって作り出された不平等は、人間を惨めで不幸にする。そんな不平等の起源と根拠を問い、不幸を回避するための道筋を示す。格差社会が深刻化している今、ますます重要性を帯びるルソーの主著を、原文を感じさせる日本語で新訳! 断片のみが残された作品『戦争法原理』の復元されたテクストを本邦初訳で併録した。
-
3.0
-
3.7
-
5.0
-
-
-
4.2
-
3.4
-
-
-
4.0
-
3.5
-
3.0
-
-慶応三年十月十四日、徳川慶喜が将軍職辞職、政権返上以来、十二月九日の皇政復古の大号令渙発を経て、翌正月三日の鳥羽、伏見の開戦までは、いわゆる維新史の絶頂というべく、実にその刻一刻、瞬一瞬、我も人も手に汗を握る場面の連続劇であった。この間三ヵ月、我々は今あらためて、いかに個人が歴史の流域を左右するか、はた偶発・突発の事件が、いかに歴史の流勢に大なる関係を持つかを識るにおいて思い半ばに過ぎるであろう。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-慶応三年十月十三日、将軍慶喜は各派の重臣を二条城に召集、徳川二百六十余年間にわたる政権を朝廷に返上せんとの決意を告白、これを諮問。実に同じ日、薩・長・芸三藩士、岩倉具視の手により討幕密勅の消息を承領。かかる歴史的緊迫の折しも、維新回天の鴻業に己の総てを賭した先覚者坂本龍馬・中岡慎太郎の両雄、近江屋新助方二階にて刺客に襲われ、その尊き鮮血を大改革の祭壇に献ぐ。報に接し、岩倉潸然涙を流して痛嘆すという。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-慶応三年五、六月は、維新回天史上、最も重要な時期であった。上には四賢候が、将軍慶喜・摂政二条齊敬らと会同、評定を重ね、下には薩藩を中心として、一方には長藩の主戦論者がしきりに挙兵を迫り、他方には土藩の平和解決論者が藩を引き入れようと工作。中にあって、坂本龍馬・中岡慎太郎の徒は藩・長・土の間に従横の手腕を揮い、天下の大勢は、あたかも水盤に水を盛るが如く、いずれへ傾いても覆水の虞を蔵していたのだった。(講談社学術文庫)※※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-慶応二年七月将軍家茂薨去。十二月孝明天皇崩御、翌三年明治天皇の数え年十六歳で即位。時に慶喜十五代将軍職を継ぐや、狂瀾を既倒に廻らさんと、仏国公使ロッシュの進言を容れ、倒幕派の巨頭薩摩藩と対峙、日本の政権は儼乎として幕府に存在する事実を示威せんとす。既に洛北に幽蟄せる岩倉具視は入洛の公許を得、幕薩対立激化を促し、幕を滅ぼす者は幕、の策に暗躍。かくて朝幕両党の天王山、兵庫開港を廻る討幕前夜の暗闘は続く。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-嘉永・安政の時代、露・米・英・仏諸国は東洋における覇権の中心を日本に向けているかの観を呈し、しかもその間、露国対英・仏のクリミヤ戦争が出来、日本を交戦国の舞台たらしめんとする危険を生ず。時に露国、米国との条約締結をたてにして開国を迫りその交渉最も繁多、葛藤最も難渋、衝突最も激甚を極む。かくて日本は米に次いで露・英・蘭との条約を締結。ここに徳川鎖国制度は打ち破られ、開国日本の曙は招来されたのだった。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-安政元年正月八日露艦長崎を去る。十四日ペルリ急遽艦船七隻を率いて再び江戸湾に来航、日米条約草案を幕府に手交。水戸齊昭ここに至って攘蝦論を譲るも、交易・通信の二条反対を立て、自ら天下の志士の望みを繋ぐ。三月三日、幕閣は鎖国の祖法を棄て、神奈川条約を締結。時に吉田松陰・金子重輔、米艦に乗じて密航を企つも志成らず、不運を悲しみつつ、蕭然として舷を降りる。提監、両名に対する日本政府の寛典を希いつつ日本を去る。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-嘉永六年六月、ペルリ提督軍艦四隻を率いて浦賀に闖入。威嚇された幕府は挙措を失し、老中阿部正弘諸侯に対策を諮問、幕府の権威ここに失墜。時に家慶死し、家定将軍職を襲ぐや蝦夷派の巨魁水戸齊昭幕政に参与。ここに高島秋帆ひとり鎖攘の非を指斥し、開国意見書を提出。幕府の対外政策なお飯上の蠅を追うがごとくその退帆を願うのみ。すでにして七月、露国プッチャーチン長崎に入港。交易を乞う。開明派官僚川路聖謨らその渉に当る。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-ペルリ来航は、我が国が徳川鎖国政策を破って近代国家へ進む象徴的事件であった。が、時代を語るには、その以前を語らねばならぬとする蘇峰は、来航以前の形勢を論ずるに、幕府の対外防備の嚆矢を寛政の松平定信に見「定信の遺志を紹成する者であらば、嘉永の末、安政の始めに至りて、周章狼狽をしなかったであろう」と嘆じ、開国前夜の内憂外患、警鐘乱撞に対する当局の拱手怠慢を指摘し、その崩壊は内部に胚胎していたと洞察する。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-幕末の肥後に甚大なる感化をおよぼした横井小楠と林櫻園。共に時習館に学ぶも己の主張により門戸を開く。小楠は天を説き政教一致に及び、攘夷論より一変して開国論に転じ凶刃に倒る。櫻園は神を説き神人一致に及ぶ。櫻園の遺志を継ぐ太田黒伴雄らは神風連を結成、明治九年十月蹶起。が、彼らの死を賭した欧米化への一大抗議も全国的にはほとんど閑却、やがて来らん薩南一隅の黒雲が天を圧しつつあったことがその主な理由だったか。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
3.0
-
-征韓論争に敗れた西郷は飄然として薩南に帰り悠々自適高士の境地に消光していた。彼の一身は極めて静的であったが、彼の周辺は頗る動的であった。即ち、西郷出でずんば蒼生を如何せんと、天下を挙げてその蹶起を促す時を待つ。時に川路大警視は薩摩郷士中原尚雄を密偵として鹿児島に潜入せしめ私学校党の難間を策す。他方、政府は火薬庫移転の挙を断行。これが導火線となって弾薬椋奪事件を惹起。遂に事情切迫の事態を招くに至る。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-今般政府へ尋問の筋これ有り!、明治十年二月、西郷は刺客事件を名分として遂に立った。自ら手を拱して、官兵の来討を待つか、進んで我自ら蹶起するか。弾薬奪掠事件により、矢はすでに弦を離れ、砲丸はすでに砲口を飛び出していた。今更、西郷一人が沈吟、狐疑すべき場ではなかった。が、果たして西郷の本意は、私学校党に擁せられたるか、自らの意思でか。史家の公平なる観察は、騎者が犠牲者ならば、虎もまた犠牲者だったと結論する。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-征韓論の破裂によって明治政府の基礎は動揺。大久保・木戸と相容れざる西郷と前原は野に在って政治を牽制。天下の不平党皆西郷出でずんは蒼生を如何せんと、随所に天下の変を待つ。前原起つか、西郷起つか。時に肥後・秋月・萩の同盟成り、九年十月二十四日神風連蹶起、次いで秋月起ち、二十八日萩も起つ。然るに同盟の藩々遅疑反覆、遂に鎮圧さる。世間これを内乱の前奏曲と視、天下いずれも領を延ばし西郷の早晩蹶起するを期待す。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
4.4ガリレオにしか作れなかった高倍率の望遠鏡に、宇宙はどんな姿を見せたのか?──1609年7月に初めて製作した望遠鏡の倍率は3倍。その4カ月後には、他の誰にも追随できない20倍の倍率を実現したガリレオは、翌年初頭から天体観測を開始した。人類が初めて目にしたレンズの先には、月の表面の起伏が、天の川をなす無数の星が、そして木星をめぐる四つの衛星が現れた。人類初の詳細な天体観測の貴重な記録、待望の新訳!※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-熊本城を包囲して北上する薩軍と、籠城軍を授けんとする官軍が田原坂に激突。死闘実に十七日間、抜刀隊による白兵戦が連日くり返され、両軍の死者数千を超え、屍山血河をなす。衆寡敵せず、敗れた薩軍は、川尻口、山鹿、向坂、萩迫、人吉へと転戦、力戦するも空しく、凄惨な敗走を強いらる。史家等しくこの役を保元乱に比較。官軍の将校中、西郷の息のかからぬ者はなく、日本史に特筆される田原坂の激戦は酸鼻を極めるものであった。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-「天下人心の向背は、この一挙にあり!」、熊本城を抜くか、これを守備するか。瀑布の落下するごとく城下に雪崩込む薩軍の前に、鎮台司令長官谷千城は「守備戦略」をもって対峙。しかも、政府軍は有栖川宮をいただき、第一、第二旅団を派遣、掎角の策に出る。対する薩軍の眼中には熊本城はなく、鎧袖一触、これを蹴破すべしとなし、何ら計画準備なくいたずらに精兵を堅城の下に疲困せしめ、ついに消極戦をもって始終するに至った。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
4.7ルネ・デカルト(1596-1650年)の代表作は、この新訳を待っていた――。 本書の訳者を務める小泉義之氏は、哲学や精神医学から現今の政治に至るまで、幅広い問題をめぐって繊細かつ大胆な思考を展開してきた。その根底に、自身が『意味の論理学』の翻訳をしたジル・ドゥルーズの哲学があることは、よく知られている。 だが、小泉氏自身の「原点」として厳然と存在し続けているのは、ルネ・デカルトにほかならない。最初の著書『兵士デカルト』(1995年)から四半世紀、ここに渾身の新訳をお届けする。 多くの訳書で採用されている『方法序説』ではなく『方法叙説』という日本語題を採用したことも含め、本書は細部に至るまで、小泉氏にしかできない思考と工夫が浸透している。 今後、デカルトの最も有名な著作を読むとき、この訳書を無視することはできないはずである。 [本書の内容] 第一部 第二部 第三部 第四部 第五部 第六部 訳者解説 文献一覧
-
3.0本書は、現象学を土台にして幾多の哲学者や思想家を扱ってきた第一人者が「近代哲学の祖」ルネ・デカルト(1596-1650年)との「対話」に挑んだ記念碑的な1冊です。 よく知られているように、デカルトはあらゆる学問を修めた末、そこに自分が求める「真理」はないことを悟りました。そうして「世界という大きな書物」と向き合うために旅人として生きることを選んだものの、やはりそこにも「真理」を見出すことはできませんでした。そうしてたどりついたオランダの地で、まさに生死を賭けた思索に取り組むことになります。それが、少しでも疑いうるものはすべて斥けて「絶対に疑いえない」ものを目指す「方法的懐疑」と呼ばれる思索でした。 その過程でたどりついたのが「われ思う、ゆえにわれあり(私は考える、ゆえに私は存在する)」という、よく知られた命題にほかなりません。しかし、それは決してデカルトが到達した最終結論でもなければ、デカルトが求めた「真理」でもありませんでした――本書は、そのことを哲学者との真摯な「対話」の中で明らかにしていきます。この命題はデカルトにとっては通過点にすぎず、方法的懐疑が導き出したのも「近代的自我」とされる「私」では決してなかった。ならば、その思索はいったいどこに進み、何を明らかにしたのでしょう? 本書は『方法叙説』(1637年)と『省察』(1641年)という二つの主著をていねいに読み解きながら、驚愕すべき結論に向かっていきます。著者とともに歩んでいくことで、「哲学」とはいかなる営みなのか、そして本当に「考える」とはどういうことなのかを実際に体験することができるでしょう。 [本書の内容] 序 章 哲学とは何か 1 死んだものとの対話 2 「よき生」のために 第一章 「われ思う」のは誰か 1 夢 2 狂 気 3 「私」とは何か 第二章 「われ思う」に他者はいるか 1 観念の起源へ 2 「無限」ということ デカルト小伝 読書案内
-
3.5イマヌエル・カント(1724-1804年)が1795年に発表したこの小著の日本語訳の主なものは四種類あります(高坂正顕訳(1949年)、宇都宮芳明訳(1985年)、中山元訳(2006年)、池内紀訳(2007年))。それらはすべて『永遠平和のために』というタイトルで出され、多くの読者の手にされてきました。 では、なぜあえて新しい訳を出すのか――練達の訳者は、思案した末、やはり新しい日本語訳が必要だという結論に達して、本書を仕上げました。その一例は、本書第1章のはじめにある「Friede, der das Ende aller Hostilitaten〔原文はaにウムラウト〕bedeutet」という個所です。既存の訳の訳文を一覧にすると次のようになります。 (高坂正顕訳)「平和とはあらゆる敵意の終末を意味し」 (宇都宮芳明訳)「平和とは一切の敵意が終わることで」 (池内紀訳)「平和というのは、すべての敵意が終わった状態をさしており」 (中山元訳)「平和とはすべての敵意をなくすことであるから」 これらの日本語を読むと、カントは誰もが「敵意」を捨て、心のきれいなよい人になった状態を「平和」と呼んでいる、と思うのではないでしょうか? そのとおりだとすれば、ほんの少しでも「敵意」を抱くことがあるなら、決して「平和」は訪れない、ということになります。しかし、そもそも「敵意」をまったく抱かないなどということがありうるのだろうかと考えると、カントは現実離れした理想を語っていたと感じられてきます。 でも、ここでちょっと考えてみよう、と本書の訳者は言います。原文にある「Hostilitaten」を「敵意」と訳すのは本当に正しいのだろうか、と。確かに「Hostilitat」(単数)は「敵意」だけれど、カントがここで書いているのは「Hostilitaten」という複数形です。これは「敵対行為、戦闘行為」を意味します。だから、この個所は次のように訳すべきでしょう。 (本書)「平和とは、あらゆる戦闘行為が終了していることであり」 上の四種の訳文とはずいぶん意味が異なるのではないでしょうか。こんなふうに、この著作は現実離れした理想を語ったものではなく、現実から離れずに「永遠の平和」というプロジェクトを提示したものなのです。カントの本当の意図は、本書を通してこそ明らかになるでしょう。 [本書の内容] 第1章 国どうしが永遠の平和を保つための予備条項 その1/その2/その3/その4/その5/その6 第2章 国と国のあいだで永遠の平和を保つための確定条項 永遠の平和のための確定条項 その1/永遠の平和のための確定条項 その2/永遠の平和のための確定条項 その3 補足 その1/その2 付 録
-
-本書は、主著『エチカ』で知られるバールーフ・デ・スピノザ(1632-77年)がその執筆活動の初期に残した代表作の一つです。 従来『神、人間および人間の幸福にかんする短論文』が最も早い著作と考えられてきました。しかし、近年の研究では本書『知性改善論』こそ、1656年後半から61年前半に書かれた最初期の論考である、という説が有力になりつつあります。アムステルダムにユダヤ人として生まれ、ユダヤの教育を受けたものの、1656年には破門されるに至ったスピノザが、デカルトやベーコンの哲学を会得した上で、「神」について、無限なる属性としての思考と延長について独自の見解を紡ぎ、語り始めた、画期となる著作です。 精神と全自然との合一の認識、永遠無限なるものへの愛、揺るぎない幸福の追求など、本書には『エチカ』のモチーフをはっきり見て取ることができます。おそらくは時間のなさゆえに本書は未完のまま放置されましたが、しかしその哲学は『エチカ』に引き継がれ、さらなる発展と深化を遂げていくことになります。その意味で、本書はスピノザが「哲学者」になる過程を記録した生々しいドキュメントであるとともに、著者自身による最良の『エチカ』入門でもあると言えるでしょう。 『知性改善論』については、長らく畠中尚志訳(1931年、改訳1968年)が読み継がれてきました。本書は、気鋭の研究者が最新の研究成果を取り込みつつ、充実した訳注とともに「今日の日本語」でスピノザを読めるようにと全力で完成させた待望の新訳です。 [本書の内容] 読者に告ぐ 〔導 入〕 〔方法の規定〕 〔方法の第一部〕 〔方法の第二部〕 訳 注 文献一覧 訳者解説
-
3.820世紀最大の哲学者マルティン・ハイデガーが第二次大戦後に行った「技術」をめぐる三つの講演。瓶(かめ)や橋、家屋といった身近な物から出発し、それらの物がどのようなあり方をしているのかを考え、ついには「世界」に到達する講演「物」と「建てること、住むこと、考えること」、そしてモノとヒトを資源として用いながら膨張を続ける現代技術のシステムを問う「技術とは何だろうか」。第一級の研究者による決定版新訳!
-
4.4
-
4.0
-
5.0悠然たる隠遁生活と真実を希求する熱い魂! 「人生の節目」に読みたい、沁みる名詩を味わうコンパクトな一冊 「我、五斗米のために腰を折って郷里の小人に向かう能わず(たかがわずかな俸給のために、下っぱ役人にぺこぺこできるか)」 老荘思想に通じ神仙世界への憧れやまぬ詩人は、職を辞し隠遁生活を愉しむ道を選んだ。 きらびやかな修辞を凝らすのではなく、あくまで平易な言葉で自然と人間の諸相、空想世界の奇想を自在に描き出す陶淵明の魅力を、「帰去来の辞」「桃花源の詩」はじめ厳選の名作で堪能する絶好のガイド! 桃源郷を夢想し山海経の怪しい世界に思いを馳せ、酒と自然を楽しむ「田園詩人」の魅力堪能! 【本書より】 彼は同時代の人々からは、「古今隠逸詩人の宗」と評されて、一風変わったところだけが珍しがられたが、四百年後の唐代になって、白居易をはじめとする詩人たちに見いだされ、唐以前の最大の詩人として高い評価を得るようになった。むしろ陶淵明の文学が時代を先取りしていたとさえいえるかもしれない。 陶淵明から千六百年近くのちのわれわれにとっても、彼の文学は時代の変化を超えてなお新鮮な魅力をもちつづけている。人間らしく生きたいという真しん摯し な願い、現世を超越したユートピアへのあこがれ、そして死を正面から見つめる姿勢、彼の文学が扱うこれらのいずれもが、人間の永遠のテーマといえるであろう。 (中略) 「帰去来の辞」はともすれば悟りすました隠遁者の心境の表白として見られがちだが、実は、社会と自分との葛藤に悩みつづけてきた孤独な人物の苦悩を、新生活の第一歩を踏み出すに当たって、かく生きたいという将来の願望の形で投影した作品と見るのがむしろ妥当ではあるまいか。(本書第1章より) 【本書の内容】 第1章 帰ってきた陶淵明 帰去来の辞 園田の居に帰る 其の一・二・五 酒を飲む 其の一・四・五・七・九・十四 郭主簿に和す 二首 其の一 子を責む 第2章 ファンタスティックな陶淵明 五柳先生の伝 桃花源の詩并びに記 酒を止む 山海経を読む 其の一・二・五・九・十 第3章 死を見つめる陶淵明 雑詩 其の一・二・五・六 形影神并びに序 形 影に贈る・影 形に答う・神の釈 挽歌の詩 三首 陶淵明年譜 *本書の原本は、一九九八年に『風呂で読む陶淵明』として世界思想社より刊行されました。
-
3.0◆◇自由に生きるって、こういうことなんだぜ!◇◆ 儒教の権威が失墜し、政治社会が揺れ動くアナーキーな魏晋時代、自由闊達な思想が炸裂した! 詩を詠み、議論を戦わせ、楽器をかき鳴らし、そして心ゆくまで痛飲し、葛藤を抱えながら己の思想を貫こうとした彼ら。 権力に睨まれ刑死した者あり、敢えて世俗にまみれた者あり、いずれも激烈に生きたその群像を、シャープな筆致で簡明に描ききる! 中国史、中国思想に興味のあるものならば、「竹林の七賢」と彼らがおこなった「清談」というものについて、強い印象がのこっているだろう。 しかしながら、彼らがどのような背景をもつ思想家で、どのような知的交流をしたのか、具体的なことを知っているだろうか? 政治・社会が流動し価値観が変わりゆく時代にあって、それぞれの切実さをもって己の思想を生きた彼らは、いずれも「世俗を離れた、純粋な知的探求者」という一面的な見方ではとうてい捉えきれない思想家たちであった― 彼らの人間くさい生き様と、為した仕事のエッセンスを知る、とてもコンパクトで、楽しい一冊。 【本書「はしがき」より】 七人の人物が「竹林の七賢」という一つのグループにまとめられはしたものの、そのなかにはさまざまのタイプの人間が含まれていて実に個性豊かである。それだけではなく、一人の人間についても、その性向と行動とが一見すると矛盾するかのように思われる場合すらないではない。その点においてもまた、儒教が唯一絶対の価値の源泉であった漢代とは異なって、価値が多様化した魏晋の時代の一つの指標をみとめることができるのだが、「竹林の七賢」の面々は、ある場合には文学作品や哲学論文によって、ある場合にはそのライフ・スタイルによって、それぞれに強烈でしたたかな自己主張を行なったのである。 *本書の原本は、1996年に『風呂で読む 竹林の七賢』として世界思想社より刊行されました。
-
4.0ヘロドトスとトゥキュディデスは、ともに紀元前5世紀のギリシア、最盛期のアテナイに生きた歴史家である。しかし二人はいずれも、自らを「歴史家」とみなしてはいなかった。この時代、まだ歴史というジャンルは存在しなかったからである。ギリシアの文学的伝統のなかから「歴史叙述」という新たなジャンルを創設し、さらに「歴史学」への一歩を踏みだした二人の実像を描き、今後の課題を考える歴史学への入門書。 ペルシア戦争を主題として、ギリシアからオリエントの地理・歴史と伝承を網羅し、「歴史の父」と呼ばれるヘロドトスの著述は、東地中海世界を自由に飛翔するかのように想像をふくらませ、時に荒唐無稽なエピソードも盛り込まれる。一方、ヘロドトスより一世代ほど若いトゥキュディデスは、「先輩」のこうした手法を批判し、近代歴史学にも通じる史料批判で確かな事実を重ねて、アテナイとスパルタが覇権を争ったペロポネソス戦争を記録した。しかし、ヘロドトスは本当に、後世の歴史家が批判するように「嘘つき」だったのか? そして、トゥキュディデスが書かなかった事柄のなかには、どんな史実が隠されているのだろうか? 個性豊かな二人の天才歴史家に、再び教えを請うべき時が来ている。 [原本:『ヘロドトスとトゥキュディデス――歴史学の始まり』山川出版社2006年刊] 目次 1 二人の歴史家と二つの戦争 2 ヘロドトスは嘘つきか? 3 新しいヘロドトス像 4 ヘロドトスの描いた史実 5 トゥキュディデスの「ヘロドトス批判」 6 トゥキュディデスが書かなかったこと 7 歴史叙述から歴史学へ あとがき 学術文庫版あとがき
-
-天生十五年五月二十八日、光秀、愛宕山西坊にて連歌興行。「ときは今あめが下知る五月哉」の発句を神前に籠置き、謀反を決意、六月朔日、信長を本能寺に弑す。―すでに勝頼は武田譜代の面々に見捨てられ、天目山に自刃。家康は安士に参礼の後、大坂、堺に遊ぶ。中国征伐に出陣中の秀吉は鳥取城を抜き、高松城を眼前にして毛利の大軍と対峙―今や信長の勢威漸く四方に及び、天下統一の正に成る寸前の変。時に信長五十歳炎の生涯を遂ぐ。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-応仁の大乱は群雄割拠の戦国乱世を現出。毛利・北條・上杉・武田・今川いずれかが天下の覇者たるか。時に尾張に織田信長あり、西上する今川軍を桶狭間に破り、名を満点下に広告。家康期せずして岡崎城主となる。信長畿内を平定、天下布武の第一着を印す。将軍義昭、浅井・朝倉らに密旨を送り、信長珠伐を画し姉川戦を惹起、信玄また中原を望み遠・参を侵掠せんとし、三方原合戦に臨み病に斃る。ここに近世的統一国家の曙光の幕が開く。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-安政四年十二月十四日、幕府は日米通商条約締結に関する委曲の事情を朝廷に具申のため、林大学頭・津田半三郎を京都に特派。京都、諸藩有志家の入説ありて政治的に覚醒、両人擯斥を被り毫も要領を得ず。備中守は川路聖謨・岩瀬忠震を随行せしめ条約勅許の叡慮を請うべく急遽上京するも、今や朝議は幕議を圧し勅許下らず、堀田らは空手にて帰府。江戸と京都、条約締結で沸騰し、継嗣問題で暗闘。井伊直弼次第に頭角を現し、暗躍す。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-安政四年十月、ハリス江戸入府、堀田正睦と会見、懸河の弁を振って開国貿易の利を説く。他方、松平慶永はハリス問題を好機とし、一橋擁立を解決すべく橋本左内含めて京都を誘導。堀田は長崎で日蘭・日露の条約追加調印、江戸ではハリスの将軍謁見、国書捧呈の段取りを進めるなど対外施為に間然するなきも、ハリス出府に伴う水戸・尾張の反対は、江戸の不一致を暴露、京都の関東に対する姿勢は徐々に強化、朝幕背離の形勢を醸す。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。
-
-安政三年七月、米国総領事ハリス下田に入港、居催促の体をなして通商条約を迫る。外交すこぶる切迫、時の名宰相阿部正弘は開明派堀田正睦を老中首座に迎え、外国御用懸に任じこの難局に当たらしめ、自らはその力を専ら内国に用い、公武合体として国論統一を試みんとす。時に将軍継嗣問題起り、内外の政局蜂巣を突き破らんとする様相を呈し始むる折、阿部、不惑に達せずして逝き、堀田は一人にて内外の衝に当たらねばならなかった。(講談社学術文庫)※この商品は紙の書籍のページを画像にした電子書籍です。文字だけを拡大することはできませんので、タブレットサイズの端末での閲読を推奨します。また、文字列のハイライトや検索、辞書の参照、引用などの機能も使用できません。