小説 - 講談社文庫作品一覧

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  • 学校の怪談 百円のビデオ
    3.0
    「百物語」と「七不思議」――不思議と怪異の傑作怪談集。 旅先で買った1本100円のビデオは「鋸」というタイトルだった……(「百円のビデオ」)。ひとり息子の誕生日、ケーキを買って家路を急ぐ男は分かれ道の前で迷っていた。近い方の道には、悲しく辛い思い出があり、できれば通りたくないからだった……(「子取沼(ことろぬま)」)。よりぬきの「こわい話」57編を収録。 ※本書に収録された内容は講談社KK文庫1990年11月刊『学校の怪談』から1996年7月刊『学校の怪談8』までの8冊から選び、構成、加筆したものです。
  • 学校ファシズムを蹴っとばせ
    -
    1巻660円 (税込)
    はみだしを許すまいとする体制が、学校でだんだん強くなっている。オトナの「常識」にコドモを巻きこむ機能だけの教育に、どうつき合っていくか? ――学校に束ねられた若者を、現代の呪縛から解く、「屈折のすすめ」+「うしろめたさのモラル」+「フマジメ流受験技術」……の15章。学校のためには、学校からはみだしかけた人間の存在が必要なものだ。それを「非行」といって切り捨てようとすると、学校は「ファシズム」になる。管理の下、自分を騙さないで生きる法。たかが学校くらいで、ガタガタするな!
  • 合併裏頭取
    3.0
    大銀行を操る「怪物」を逃すな! 本当は殺されたのではないか。8年前銀行員だった父は、不正融資の責任をとり「自殺」したとされていたが、警視庁捜査二課の間宮千菜美(まみやちなみ)は疑念を持ちはじめる。亡き父の同僚が謎の死を遂げた。大銀行の合併に奔走した父たちの死の真相はいったいどこにあるのか。好評「サンズイ別動班」シリーズの第2弾。(講談社文庫)
  • 画文集 花の肖像
    -
    四季おりおりに日本列島を彩る花の貌。比較的私達の眼になじみ易い花58種を選び、ボタニカル アート(植物画)の第一人者・太田洋愛の絵と、登山家で詩人・エッセイスト・哲学者と多方面に活躍の串田孫一が、その花の想い出を透徹した眼差とふくよかな抒情で綴る画文集。
  • ガラスの麒麟 新装版
    3.0
    17歳の女子高生、安藤麻衣子が通り魔に刺殺された。その同級生・直子を娘に持つ野間は、童話雑誌で挿絵などを描くイラストレーターだ。彼がこれから絵を手掛けようとしていた雑誌への応募作『ガラスの麒麟』の、安藤麻衣子は投稿者でもあった。事件の日から娘・直子は、安藤麻衣子が乗り移ったかのようなことを口走ったりして学校へ行かなくなる。心配な野間は安藤麻衣子の葬儀で出会った養護教諭の神野に娘のことを告白する。神野は、直子のことを知り安藤麻衣子のことにも詳しい女性だった。とびぬけて美しく、すべてに恵まれていた麻衣子の何が死を招き寄せたのか。彼女の書いた『ガラスの麒麟』のように、精一杯首を伸ばし背伸びして、だからとても不安定で壊れやすく細やかな少女たち。その心理を温かく描き、六つの物語を通じて真相に近づいていく連作ミステリーの傑作! 日本推理作家協会賞受賞作。
  • ガラスの肖像
    3.0
    偶然盗み見た夫の日記。見知らぬ女への愛の讃辞が書きつらねてある。そして次に記された一行は妻の心を凍らせた。「それにひきかえ妻はなんと醜いのだろう……。」妻は黄昏どき、鏡の前で唇に紅をぬる。そして夫が帰宅する時――。口紅、香水、靴等女性用品を鍵(キイ)に、愛の陰の恐怖を描出した、円熟の連作集。
  • 硝子の探偵と消えた白バイ
    5.0
    警察車両を先導中の白バイが警官もろとも消失した。この怪事件に招聘されたのは「ガラスの探偵」の異名を持つ自称天才、朝倉。捜査は助手任せで見当違いな推理を連発する彼に、刑事たちも呆れ顔。ビル屋上で見つかった白バイ警官の死体と過去のストーカー殺人が絡み合った難事件を、朝倉は解決できるか?
  • ガラスの密室
    3.0
    憧憬の女神、七条由香の無惨な死体を発見した北前真司は、無実の罪を押し付けられてしまう。真犯人はどこかで笑っている。天井の覗き穴に不審を抱いた棟居刑事と、兄の無実を信じる友美の執念の追跡! だが疑惑の男は、衆人環視のレストランで服毒死を遂げる……! 二転三転の冤罪事件、驚愕の真相とは!?(講談社文庫)
  • ガラス張りの誘拐
    3.2
    「要求を言います。現金で1億円用意してください」──嫌な仕事が回ってくるとサウナに逃げ込む、さえない中年刑事佐原の娘が誘拐された。世上騒がす連続婦女殺人魔の仕業か!?しかも衆人環視の中で身代金を運べと要求する犯人。刑事を待ち受ける驚天動地の結末とは。鬼才が放つ奇想の超・本格ミステリー!
  • 瓦礫の死角
    3.8
    父親の性犯罪によって瓦解した家族。その出所が迫り復讐を恐れる母。消息不明の姉。17歳・無職の貫多は……。傑作「私小説」4篇。 性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはままだ早い」の全四篇を収録。
  • 瓦礫の中のレストラン
    4.3
    戦争が終わり、すべてが瓦礫と化した街。復員した丑松(うしまつ)の脳裏に浮かんだのは「食堂の社長になりたい」という戦死した幼なじみが語った夢だった。大阪の闇市に向かった丑松は、戦争孤児や戦友とともに無一文から商売を始める。「皆が腹一杯になる世の中に」。復興を支えた「戦う男(ビジネスマン)」の物語。『ごっつい奴――浪花の夢の繁盛記』を改題。
  • ガンを告げる瞬間
    -
    ガン克服の勇気ある姿。富士登頂に挑んだ10人のガン闘病者の記録! ――富士登頂に挑んだ10人のガン闘病者の記録。みずからガンと知りながら、不安や恐怖に圧倒されることなく、意志的に、科学的に、人生を生き抜くことは、可能だろうか。認知の後の<闘病の医学>に挑む人々の勇気ある姿が、ここにある。ガン克服への意思をこめた頂上までの足どりを、克明に追う感動のルポルタージュ。
  • ガーディアン
    3.6
    「ようこそ。これであなたはガーディアンの一員です。学校でのあなたの身の安全は保証されます」。教師や親にはその存在を明かしてはならない、生徒による中学の「自警団」、ガーディアン。問題ある生徒に制裁を加え学校の平和を保つ。荒れた学校が一転、平和になった陰には、不登校をしいられる生徒たちがいた。新任教師、秋葉は不登校の生徒の謎を探るうち、その存在に気付くが……。少年犯罪を描いてきた著者の学校ミステリー。
  • ガール
    4.0
    わたし、まだオッケーかな。ガールでいることを、そろそろやめたほうがいいのかな。滝川由紀子、32歳。仕事も順調、おしゃれも楽しい。でも、ふとした時に、ブルーになっちゃう(表題作)。ほか、働く女子の気持ちをありえないほど描き込み、話題騒然となった短編集。あなたと彼女のことが、よくわかります。
  • 黄色い風土
    3.5
    日本列島を北から南へ連続して起った6つの変死事件――奇妙な新婚旅行の男の変死と花嫁の失踪。この不可解な謎を内偵した週刊誌記者・若宮四郎の取材活動は、事件の背後に暗躍する黒い集団の全貌を追及し、富士山麓の樹海に対決する。飽くなき記者魂と、現代社会に巣喰う悪への挑戦を描く本格推理の傑作。
  • 消えたオーケストラ
    3.0
    ホールを埋めた聴衆の前から、オーケストラのメンバー全員が消えた。黒い舞台衣裳の特異な姿の彼らだ、人目につかないわけがない。なのに目撃者は皆無。やがて楽団事務局に、正装したヴィオラ奏者の死体の入ったコントラバスケースが届いた。――空前の消失トリックにいどむ音楽ミステリー。読者に挑戦!
  • 消えた戦友(上)
    4.0
    放浪中、かつての仲間から連絡を受けたリーチャー。 助けを請われて向かうと、憲兵隊時代の戦友が無惨な殺され方をされており、ほかにも行方不明者がいるという。 真相の究明に乗り出すリーチャーらの背後には、常に不穏な尾行者が……。 アマゾン・プライムでの新作ドラマ化も大人気。 トム・クルーズによる2度の映画化にも根強いファンを持つ、アクションサスペンスの名作。 待望の新邦訳。
  • 記憶の隠れ家
    3.6
    あなたは覚えているのでしょうか。激しい愛の思い出も、暗く静かな憎しみの過去も、すべてを搦めとり封印してしまったあの「家」のことを……。記憶の深みに隠されていた悲劇の真相が、いま甦る。心を震わせる甘やかな痛み、眩暈を誘うストーリーの螺旋。意外な結末が待ち受ける、心理サスペンスの傑作短編集。
  • 記憶のなかに
    -
    靖国神社に近い坂道のそばにあった母の美容院。皿の底を頭に叩きつけられて泣く病弱の姉。出征の演説を小さな声で三言しか喋らなかった兄。――戦中から戦後へと、成長する童女の犀利な感性がとらえた、生活の微妙な陰影と心の動きを、詩的な散文に凝結させた表題作のほか、3篇を収録。芥川賞作家の第一創作集。
  • 記憶の中の殺人
    -
    軽井沢の内田先生から団子屋の平塚亭に呼び出された僕は、内田家の墓に供えられた謎の花について調査をたのまれた。ちょうどその頃、くだんの内田家の隣の墓の持主が毒殺され、しかも兄・陽一郎の旧知の間柄だという。なお不可解なことに僕だけが憶えていない軽井沢ひと夏の事件があったというのだが──。(講談社文庫)
  • 記憶の盆をどり
    4.0
    頭のなかに雨が降る。 小説という名の異世界。 町田康の九つの世界に溺れる一冊。 犯人当てミステリー 背筋も凍るホラーサスペンス 異世界ファンタジー お伽話の現代語訳 果ては美少年BLまで―― 名手が演じる小説一人九役! 【内容紹介】 狭い部屋で暮らす男のもとへやって来た、白い謎の生き物。 機嫌がよいときはころころ転がって過ごしているが、 機嫌が悪くなると、糞尿を垂れ流し、嘔吐し、ひどい声で喚き立てる。 だが、ある日を境に、生き物はどんどん可愛くなり、 男の人生もみるみる好転し――(「エゲバムヤジ」)。 短篇の快楽に満ちた作品集。 【収録作品】 エゲバムヤジ 山羊経 文久二年閏八月の怪異 百万円もらった男 付喪神 ずぶ濡れの邦彦 記憶の盆おどり 狭虫と芳信 少年の改良
  • 記憶力のすすめ
    -
    記憶力とは、人間がいま自分で自分の存在を確認しようとする「ロマン」である。知らないより知っているほうが、覚えてないより覚えているほうが、人生ははるかに楽しい。記憶力は生き方をちょっと工夫するだけで、誰でも強化・改善できる。驚異の鈴木式記憶力のノウハウを初めて明かす、記憶力面白ゼミナール。
  • 鬼花人 ブルー・マン5
    -
    美しい殺人鬼・飛鳥、最大の危機! 封じ込められた「去れずの森」。千古の闇に君臨する恐るべき「主(あるじ)」とは!? ――太古の荒ぶる神を食らい、体内に取り込んだ美しい殺人鬼・八千草飛鳥は、奈良に戻った。広大な土地を狙うヤクザから母子を守るため、庖丁が唸り、ルガーの銃口が火を吹く。だが、陰陽道の精霊を自在に操る謎の神主に、二度と出られぬ千古の闇=「去れずの森」に封じ込められた。そこには恐るべき「主」が君臨していた! 伝奇バイオレンス巨編。
  • 飢餓旅行
    3.0
    昭和21年が明けて間もなく、恩田幸吉(おんだこうきち)の一家は、勤務先の淡路島から彼の故郷である九州宮崎へ旅行した。戦死した長男の遺骨を故郷の寺へ納めたいというのが幸吉の強い希望であった。妻、次男、三男、末娘と、総勢5人の家族旅行は、この時代においては無謀とも思えたが、幸吉はなぜかこだわった。戦後日本の家族の絆。涙と笑い、愛と感動の抒情紀行。
  • 帰郷ツアー
    5.0
    男たちには、生まれ育った故郷に帰れない理由があった。それぞれの思いをこめて、いま橋を渡っていく。ひとりひとりの笑顔の奥にある、数々のドラマが優しく紡がれていく……。という表題作ほか、心の琴線に触れる慈愛に満ちた珠玉の短編8話を収録。思わず心が震えてしまい、読む人の気持ちまで優しく豊かにしてくれる小説集。
  • 危機を活かす
    3.5
    政治・経済・日本式経営・家計の危機に対処! ――日本は、いまや政治、経済、日本式経営、家計の4つの危機に陥っている。新時代の新しい創業に向かって、どのように対処したらよいのか……。まず第1に、国民の一人ひとりが、気質を変えなければならない。未来の不安よりも現在の豊かさを、変化を恐れるよりも可能性を喜ぶ気質こそ、危機を活かす条件である。
  • 企業家サラリーマン
    -
    サラリーマンは企業家たりうるか。組織に安住し、命令に従い、「忍」の一字が要求されるサラリーマンと、その組織をも革新する創造的エネルギーが必須の企業家と。商社冬の時代の中で、苦悩しつつ川下作戦の海外飲食店グループを指揮するひとりの男と、新しい時代の経営者を目指すひとりの女の生き方を、現職商社役員が鋭く描き出す長編ドラマ。
  • 企業戦士
    3.3
    仕事の代わりはいくらでもいるが、家族の代わりは誰にもできない。地元の大手ゼネコンで働く僕は、ある日突然死んでしまった。過労死を訴える家族に、会社は冷たい態度を崩さない。妻は僕の仕事の痕跡を確認したいだけなのに。死んだ僕はその戦いを、ただ見守ることしかできないのか。働く全ての人の必読書。
  • 起業の星
    4.0
    大手不動産会社で専務に命じられ五十人の首を切ったあげく、自らも解雇された田中辰夫。四十九歳の失業者に再就職の道は厳しい。息子の雅人は就職したシステム会社にさっさと見切りをつけ、同級生の相棒とネットで起業をめざしていた。遊んでいるようにしか見えなかった息子も、世間の荒波と格闘していたのか。それを知った父も、大手にはできない新たな不動産サービスを見いだそうとしていた。父と子の再建物語。TBS日曜劇場「集団左遷!!」原作で話題の江波戸哲夫のリストラ再建小説!(『起業の砦』改題)
  • 企業の闇に棲む男
    -
    表社会を喰い尽す闇社会の凄さ! 大銀行のトップを巻き込んだ、闇に生きる男が仕掛けた黒い罠とは? 闇社会の凄さ! ――バブルに翻弄された日本。いま金融・建設・不動産業界を中心に、後遺症に呻吟する声が聞こえる。遺された数々の歪んだ姿の一つが、闇社会が表社会に突出したことだ。その代表が、ここに取り上げた某大商社の1件である。大銀行トップを巻き込んだ、記憶にも鮮やかな事件の全貌を描出した話題作。<『夜行虫』改題作品>
  • 菊と鷲
    3.0
    摩擦と軋轢が高じた今、日米パートナーシップの新しい在り方を提案。「NO」を連発すれば日本は国際的孤立を招く。だが「YES」オンリーでアメリカの51番目の州に甘んじられるか。この二律背反を止揚するのがジャパメリカの発想である。長い間覇権を握り続けてきた国アメリカと共に生きる知恵! 世界的普遍性を持った価値を共有せよ! 第1回読売論壇賞受賞作。
  • 気くばりのすすめ
    -
    1~2巻660円 (税込)
    人と人が心地よく相生きるための秘訣を説き、「気くばり」ブームを巻き起こした、大ベストセラー作品! ――気くばりとは、思いやりであり、やさしさである。けっして大げさなことではなく、むしろ小さな、何気ない心のあり方である。ちょっとした気くばりが、険悪だった人間関係をガラッと良い方向へ変えてることがある。現代人に不足しがちな気くばりの効用とその技術を説き、全国に感動の嵐を巻き起こした名作。
  • 菊日和
    5.0
    死をめぐる6つの静謐(せいひつ)な物語。静かな悲しみを描く――弟の月命日に墓参りをした恵は、墓前に皮を剥かれた蜜柑があるのを見た。柑橘類が好きだった弟への妻・美也の思いやりと思っていたが、そうではないと知り、ひそかなわだかまりを感じる。という「菊日和」ほか、必ずしも幸福ではなかった死、誰の胸にもある奥深く秘められた物語を、静かな筆致で描きあげる傑作6編を収録。
  • 奇偶(上)
    3.3
    1~2巻628~827円 (税込)
    「神は骰子を振らない」ならば全ては必然だというのか。奇妙な偶然の連鎖の果てに起こった原発事故を皮切りに「偶然」に翻弄される推理作家・火渡雅。太極柄ネクタイの男の事故死と現場での怪しい人影を目撃した後、片方の視力を失うが。思想と思索に満ちた知の書であり、不安と不穏を描き出した傑作。『黒死館殺人事件』『ドグラ・マグラ』『虚無への供物』『匣の中の失楽』日本推理小説界の4大奇書に連なる第5の奇書!
  • 危険銀行
    -
    バブルの崩壊は、銀行を弱体化させた。そこに与党の有力議員、政経のフィクサーたちが、目をつけた。頭取の地位まで登りつめたエリート銀行マンを襲った、奇妙な小切手詐取事件。そこに仕組まれた巧妙な罠……。頭取を取りまき暗躍する、怪しげな人々を描き、存亡の危機に立つ銀行を描ききる話題作。<『罠の行方』改題作品>
  • 危険信号
    4.0
    短篇の名手が贈るバラエティ豊かな秀作集。人生の危険信号を軽妙に描く12篇。黒い笑いに満ちた夢の宝石箱――美津子は、幼いころからよく腹痛をおこした。それも肝心なときに。楽しい山登りの前夜、友達の家に遊びに行くとき、就職試験の折……。そして会社の同僚の並木から、遠出のドライブに誘われたときも、腹痛がおき、淡い恋は去ってしまった。結局、並木は、美津子の友人・芳枝と結ばれたのだが、これには裏があった! 人生の危険信号を軽妙に描く秀作集。
  • 危険な秋
    -
    若いホステスと浮気し、重役になって家庭と会社から頼られながら、柚木克彦の心と肉体を本当に満たしてくれるのは律子とのセックスだった。30年ぶりに再会した高校の同級生、憧れの女性とクラシックを聴き、思い出を語り、密かに結ばれる情事を大胆に描き、新しい世界を展開して話題となった長篇小説。
  • 危険な依頼人 告発弁護士・猪狩文助
    -
    美しき相棒(パートナー)を襲った卑劣な罠に猪狩、怒る!――京都・五条大橋で女性を轢き殺した久世山朝子は、「幽霊(ゴースト)が牙を剥き、私を襲ってきたのでアクセルを踏んだ。殺意はなかった」と、弁護人の猪狩文助(いかり・ぶんすけ)を困惑させるような弁解をした。だが20年前、朝子の一族に起きた失踪事件が未解決のままだと知った猪狩は、審理の行方を逆転させる荒業に出た!
  • 危険な関係
    -
    大学生・世良高行のまわりに、奇怪な出来事が続いた。常用する薬のなかに毒薬、出生の秘密と暗い末路を予言する手紙、父の突然の死と、全財産を彼だけに譲るという父の遺言状。謎の中、再び伸びた魔手を脱した高行は、関係者をそろえ、犯人糾明のため偽装自殺を試みたのだが……。殺人者の心理、青春のおごりをきめこまかい文章でみごとに描いた、江戸川乱歩賞受賞作。
  • 喜劇役者たち
    4.0
    トリオ同士の笑いの喰い合いに血を流す男たち。天才コンビに隠された哀しくも皮肉な秘密。芸以外に芸人の大切なものを盗んで掟を破った男の末路。浅草ストリップ界を舞台に、笑わすことに命を賭けたが故に自らの人生に泣く喜劇役者たちを、抱腹絶倒のうちにペーソス溢れるタッチで描いた名品六編――。
  • 起死回生
    5.0
    銀行から最悪な経営状態のアパレル企業に転籍した若木豊。だがそこには今まで持ち得なかった「物作り」の喜びが溢れていた。会社に愛着を持ち始めた若木は資金集めに奔走する。しかし古巣・東亜菱光銀行の態度は冷たい。そんなとき偶然会ったかつての同期、臼井。彼は銀行幹部の重大な秘密を抱えていた。(講談社文庫)
  • 喜嶋先生の静かな世界 The Silent World of Dr.Kishima
    4.0
    文字を読むことが不得意で、勉強が大嫌いだった僕。大学4年のとき卒論のために配属された喜嶋研究室での出会いが、僕のその後の人生を大きく変えていく。寝食を忘れるほど没頭した研究、初めての恋、珠玉の喜嶋語録の数々。学問の深遠さと研究の純粋さを描いて、読む者に深く静かな感動を呼ぶ自伝的小説。
  • 鬼手 世田谷駐在刑事・小林健
    3.5
    日本有数の高級住宅地にある学園前駐在所を守るのは、山手西警察署の小林健(たけし)だ。彼が全国に名を馳せる暴力団捜査のエキスパート“鬼コバ”であることは、まだあまり知られていない――持ち前の機動力と情報力で、芸能人やIT長者と暴力団の繋がりを摘発した小林が遂に挑んだのは、未解決の「一家殺人事件」だった。
  • 奇術探偵 曾我佳城全集 秘の巻
    3.3
    1~2巻806~827円 (税込)
    曾我佳城(そがかじょう)の行くところに怪事件あり……若くして引退した美貌の奇術師、その華麗なる舞台は今も奇術ファンの語り草である。そして、もう1つの貌は名探偵。弾丸受止め術が自慢の奇術師がパートナーを撃ち殺してしまった。舞台に注目する観客の前で弾や銃をすり替えた者は誰か。佳城は真相を見抜けるか(講談社文庫)。
  • 傷痕
    3.0
    裁判員制度勉強会で知り合った桜井香子に一目惚れして以来、一色知也の人生は、次第に暗がりへと呑み込まれていく。実は知也は養子で、実父は二十年前の一家惨殺事件で死刑になっていた。刑期を終えて目の前に現れたその共犯者小田島の影に怯えつつ、知也は香子がひた隠す、二人の呪われた宿命を辿ってゆく。
  • 傷口にはウオッカ
    3.6
    40歳の永遠子は、もう晩年期じゃないかと思いつつ、生への執着はなまじっかじゃない。恋人の寿一郎を手放せばあとがないけれど、恋愛が終わるとわかっていればそれでいい。しかし恋愛は思いがけずしてしまうもの――。自らの体で感じる痛みを確かめながら生きる永遠子の愛のかたち。ドゥマゴ文学賞受賞作。(講談社文庫)
  • 傷だらけの銃弾
    -
    ロサンゼルスの日本語学校教師・矢野浩司は、妻とともにスーパーマーケットで買い物中に暴漢に狙撃された。矢野は助かったが、妻は生死の境をさまよう。ロス市警の無力に絶望した矢野は、独力で犯人グループへの復讐を企てた。射撃場で猛特訓をつんだ矢野の銃口が、ついに犯人を捕らえた! ロス在住の気鋭作家が描いたハードボイルド、会心のサスペンス長編。
  • 傷だらけの放浪
    4.0
    大富豪の殺害を巡り、逃げる美貌の養女と追う若き刑事。笹沢ロマン・ミステリーの会心作! ――殺人容疑の汚名を晴らす、人間の執念と愛の葛藤。……大学の理事長で億万長者の江口正次郎が殺され、捜査の手は一族にのびる。だが、それぞれに不審な点のある、近親者たちのアリバイ捜査の結果は、二転三転する。一方、担当刑事の一人である若き矢代は、被害者の養女で美貌の千秋を、ぴったりとマークしていた……。
  • 傷ついて愛
    -
    美佐子は、夫の牧田がけがで入院したと聞いて、疑惑をつよめる。夫がけがをしたバーのある町は、日常生活とおよそ関係がない。なぜ夫は、そんな場所に行っていたのか? 結婚して10年余、美佐子は夫との愛情にすきま風が吹いているのを実感していた。そして病院にかけつけてみると、若い娘が……。現代の錯綜した愛の姿と多様性を、女性側からサスペンス豊かに描く長編。夫婦って何?
  • 傷つけ合う家族 ドメスティック・バイオレンスを乗り越えて
    3.0
    止むことのない家庭内暴力・虐待に、どう立ち向かうのか? ――11歳で義父から受けた性的虐待。崩壊寸前の家庭から逃げるように結婚した相手からの激しい暴力。長年にわたるドメスティック・バイオレンスを、著者はどう乗り越え、自らの尊厳にめざめたのか? DV防止法施行後も止むことのない家庭内暴力。「弱者いじめ」に立ち向かう心と術(すべ)を説く、感動のノンフィクション。
  • 絆

    3.7
    1巻1,037円 (税込)
    「康平、銀行には勝てんよ。金を返すまではね」。丹波から身一つで出てきた森沢康平は愛知で染色業を営む矢井田と出会い、かつて「ガチャ万」と言われた繊維業界で働くことになる。昭和から平成、日本経済が大きく動いたとき、同郷の幼なじみ、大手銀行に勤める治夫と再会し――。走り続けた男たちの物語。
  • 亡羊の嘆 鬼籍通覧
    3.8
    7~14巻770~880円 (税込)
    「料理に必要なのは、夢と愛!」TVで大人気の料理研究家・夢崎愛美。著名な料理研究家が法医学者たちでさえ目を覆いたくなる、異様な刺殺体で発見された。O医科大学法医学教室での解剖の結果、多数の刃物を使った芸術的ともいえる刺殺方法が明らかに……。何故ここまで残酷に? 怨恨殺人か、快楽殺人か? 犯人が遺体に込めたメッセージとは何か? 若き法医学者、伊月崇と伏野ミチルの名コンビが事件の真相に迫る!
  • 北国の女の物語(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    大正3年、青森県尻屋崎で遭難した船から、ただ一人生き残った赤子があった。その子は沖子と名付けられ、観音堂守りのもとで育てられたが、長じて材木問屋の女中として働くことになる。沖子の美貌と陰日向ない働き振りは誰からも好かれ、17歳の年に番頭の伊助と結婚するが、運命の悪戯は沖子に無情だった……。暗い宿命に耐えて生き抜く女の哀しさと美しさを謳いあげる哀切ロマン。〈上下全2巻〉
  • 北国の春
    -
    青春の頃、恋人を奪われた男が、25年振りにその友人に再会して知った新事実と、長い間、旧友に燃やし続けた敵愾心の真因を悟る「北国の春」、男手一つで育てた一人娘を嫁がせた父親が、旅先で、おきゃんなホステスにその孤独を癒される「凍れる樹」など、人間の深層にひそむ心の動きを鮮やかに描いた、傑作9編。
  • 北津軽 逆アリバイの死角 「太宰治の旅」殺人事件
    -
    名コンビ笹谷美緒&黒江壮が寝台特急「あけぼの1号」で北津軽の「斜陽館」に着いたころ、前夜に上野を発った「北斗星5号」が男の刺殺死体を乗せて札幌に着いた! 奥羽本線と東北本線の2本のブルートレインを結ぶトリックの裏にさらに巧妙・緻密なトリックが隠されていた。美緒&壮ははたして見破れるか。
  • 北リアス線の天使
    3.0
    生涯最後の作品を描くため、老画家・篠崎源一郎は、看護婦の田代由美子と、三陸海岸の名勝・浄土ヶ浜へ逃避行を企てる。その周辺を調べていた私立探偵が東京のホテルで毒殺され、十津川警部も三陸へ。篠崎の妻、絵のモデルとなった謎の美少女、そして女画商。女たちの欲望が渦巻く、旅情ミステリーの傑作!
  • 来たれ、野球部
    3.0
    頭脳、運動神経、容姿、全て完璧な喜多義孝。学園のエースが恋したのは、幼馴染の「可もなく不可もない」女子高生・宮村奈緒。喜多の激しい告白を拒んでいた奈緒だが、彼がずっと抱えていた孤独を知り、想いを受け入れる。二人が付き合い始めた矢先、喜多は自殺した少女の日記を読み、精神を侵されていき――。芥川賞作家・鹿島田真希が描く、純粋ゆえに危うい青春文学。
  • 危地に生きる姿勢
    -
    自由に、悔いなく生きた男たちの人生は、どのようなものであったのだろうか? 逆運に立ち向う男の生き方を考える――宮本武蔵、塚原卜伝、伊藤一刀斎などの、激烈な闘争の半生と不動の境地を考える時、16歳の昭和20年1月、動員先の川崎航空機工場で受けた、戦慄の空襲体験を思い出す時、故郷・片男波の海が育んだ、命を賭けて逆運に立ち向かう男たちを知る時……、著者の胸に去来するものを、熱く静かに語る、滋味あふれるエッセイ集。悔いなく生きる、自信と備えを考える名著。サラリ-マンをやめ、無一文で帰郷してからの激しい星霜と、敵を回避することを潔しとしない性分、男として守らなければならないものを、静かに語る!
  • キッズファイヤー・ドットコム
    3.0
    いつも通り歌舞伎町から帰った白鳥神威を待ち受けていたのは、見知らぬ赤ちゃんだった。「前向き病」ともいわれるカリスマホストは即座に自分で育てることを決意。「子育てにもあふれるこの才能、レジェンドすぎる」。しかし客にも新人ホストにも不評。窮地に陥った男は、天才的なひらめきによる革命的なアイデアを思いついた!
  • キッド
    4.0
    きっかけは近所の煙草屋の少女からのSOS。ちっぽけなビリヤード場を経営する二十歳の兄(アン)ちゃんが出向いてみると死体が一つ。その死体を巡って事態は命を懸けた戦いへと発展してゆく。放火、リフォーム詐欺、死体遺棄、誘拐!? 恐るべき小僧が過剰な人助けに奔走する痛快・疾走エンターテインメント登場! (講談社文庫)
  • 吃逆
    3.3
    田中芳樹氏、絶賛!しゃっくり男の悲喜劇。科挙には合格したが職はない。男は探偵として雇われ事件を追うが!? ――しゃっくりをすると、奇妙な光景が見えたり、何かを閃いたりという、不思議な癖をもつ陸文挙。齢30にして科挙合格の快挙を遂げたが、下位合格のため、職がない。特技を知ったある人物から、新しくできる新聞社に探偵としてスカウトされ、まず男女投身事件の真相を追う。ユーモアあふれる、中国歴史ミステリー。
  • 狐の鶏
    -
    真次はこのところ、恐ろしい夢に身も凍る思いをしていた。斧を振るって兄嫁の望を、自分の手で殺してしまう夢だ。ところが、一仕事おえての午睡からさめてみると、夢そのままの光景が眼前に展開しているではないか。果して自分の行為は、夢なのかうつつなのか。あやかしの世界の殺人を描く表題作ほか4編を収録。
  • キネマの天使 レンズの奥の殺人者
    3.5
    スクリプター・東風亜矢子。 ベテランの多い映画業界ではまだまだ若手。 人気映画監督が率いるチーム-正木組-で、現場全体を冷静に眺めることができるスクリプターゆえに、トラブル解決に奔走する日々だ。 職人気質のスタッフたちと、強烈な個性をもった役者たちと共に取り組む新作撮影もこれからが佳境――という最中、アクションシーンに欠かせないスタントマンが刺殺されてしまう。 一体誰が、何のために!?
  • キネマの華
    3.0
    「死神」と「花嫁」二つの顔を持つ女優。彼女の人生にはいつも一人の女性がいた。激動の昭和初期、「銀幕の花嫁」と呼ばれる女優・木下千鶴は、清楚な外見とは裏腹に勃興期の映画業界で成功を収めていく。だが彼女には、少女時代に別れて以来、一度も会うことのない美しい異母妹がいた。大スタアの生涯から消えることのない十歳から十五歳のたった五年間の記憶とは。『流転の薔薇』改題。
  • 樹の上の草魚
    4.0
    ペニスのことなんて、いったい誰に相談すればいいんだ? 僕は、男なのか女なのか? いや、そもそも僕はなんなのだろうか? アンドロジナスな主人公、そして登場人物の温かく細やかな心のゆらぎは、読む者の内面にやさしく触れ、本当の自分を気付かせてくれる。温かく比類なき感動をよぶ、吉川英治文学新人賞受賞作。
  • 昨日の殺人
    3.0
    密室殺人事件の裏に潜んだ驚愕の真相とは何か!? ――僕の体には、殺人鬼の血が流れている!? 不審な交通事故死をとげた父。僕宛てに残された「本当はお前も連れていきたかった」という1行だけの遺書は、いったい何を意味するのか……。そのときから、「僕を知る旅」が始まった。密室殺人事件に潜む驚愕の真相がついに明かされる! 新本格推理・3部作、待望の完結編。
  • きのうの世界(上)
    3.6
    上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。
  • きのうの世界 上下合本版
    -
    上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。 他殺か事故か。 町の外れの「水無月橋(みなづきばし)」で死んでいたのは、一年前に失踪したはずの男。 ようこそ、ここは、塔と水路の町。 上司の送別会から忽然と姿を消した一人の男。一年後の寒い朝、彼は遠く離れた町で死体となって発見された。そこは塔と水路のある、小さな町。失踪後にここへやってきた彼は、町の外れの「水無月橋」で死んでいた。この町の人間に犯人はいるのか。不安が町に広がっていく。恩田陸がすべてを詰め込んだ集大成。 飼い犬の「トラ」とともに暮らす、76歳の一卵性双生児、華代と虹枝。彼女たちはいつも同じ時間に散歩をする。水無月橋で一人の男が死んだあの日も。そして、二人は思い出す。バス停に捨てられた赤い印のついた地図のことを。 「ねえ、雨はどうやって数えるの? ほら、『ひと雨来た』っていうじゃない?」 「あのねえ、雨を数えてはいけないよ。雨を数えると鬼が来るよ――」
  • 喜の行列 悲の行列 上
    3.0
    1~2巻817円 (税込)
    宝福喜朗(ほうふくよしろう)は、そのおめでたい名前とは裏腹に地味で平凡なサラリーマンだ。「福袋の行列に並んで欲しい」。家でのんびりと年を越すはずが、妻と娘にせがまれ、今年は寒空の下へ送り出されてしまった。大晦日、デパート脇に並ぶ喜朗の顔は晴れない――行列する人々の運命が、不思議な接点で結ばれていくことも知らず!
  • 城崎温泉殺人事件
    -
    白い雪を深紅に染めて、城崎温泉の橋の上に、浴衣姿の男女が倒れていた。男は死亡、女は重傷。第三者が介入した形跡のない「屋外の密室」で倒れていた女は、じつは男としては生きられぬ若い青年だった。奇妙な現場に残された謎の文字「TANGO」を追って、志垣警部は愛憎うずまく日本海へと旅に出た! 雪の温泉街の密室で、女として恋に生きる男を襲った悲劇を描いた、感動の旅情ミステリー。
  • 牙王物語
    5.0
    北海道・大雪山の峻烈な自然の中で、生をうけた混血犬・キバは、渓流で死に瀕したところを牧場主の娘・早苗に救われ、牧場で育てられる。キバの屈強ぶりを見込んだ猟師が、殺人熊・ゴンを倒すための猟犬としてもらい受けたが、キバの血にひそむ野性は、彼を再び山深く逃亡させた。動物文学の第一人者が描く感動の名作。
  • 気ばたらきしてますか
    -
    自分自身を高める生き方のマナーを、自らの波乱の人生をふまえて綴る感動のエッセイ。人生を無駄にしないための知恵袋! ――気ばたらきとは、社会生活を営む人間にとっては、ごくごくあたりまえの。当然、そなえていなければならない特性です。ちょっとした生活技術の習得です。結婚・離婚・再婚・子どもたちとの再会・夫との死別など、自らの70年近い波乱の人生体験をふまえて、人はいかに生きるべきなのか、人としてのマナーとは何かを、心をこめて綴った感動のエッセイ。人間らしく生きるためのアドヴァイス、人生をムダにしないための知恵。
  • 牙をむく都会(上)
    4.0
    行きつけのバーで出会った女は、業界最大手の広告会社の社員だった。彼女の依頼で、現代調査研究所所長・岡坂神策は、映画祭プロジェクトのPRを手がけることに。一方、新聞社が主催するスペイン内戦シンポジウムのコーディネーターも引き受ける。二つの依頼の背後から、戦後史の重大な疑惑が浮上する。
  • 希望ヶ丘の人びと(上)
    4.3
    1~2巻814円 (税込)
    私は中学生の娘・美嘉と小学生の息子・亮太とともに、二年前に亡くなった妻のふるさと「希望ヶ丘」に戻ってきた。ここから再出発だ――そう思って開いた塾には生徒が集まらず、亮太は亡き母の思い出を探し続け、美嘉は学校になじめない。昔の妻を知る人びとが住むこのニュータウンに、希望はあるのだろうか?
  • 希望ヶ丘の人びと 上下合本版
    -
    1巻1,595円 (税込)
    私は中学生の娘・美嘉と小学生の息子・亮太とともに、二年前に亡くなった妻のふるさと「希望ヶ丘」に戻ってきた。ここから再出発だ--そう思って開いた塾には生徒が集まらず、亮太は亡き母の思い出を探し続け、美嘉は学校になじめない。昔の妻を知る人びとが住むこのニュータウンに、希望はあるのだろうか?
  • 希望退職を募る 小説 企業再建
    -
    賃下げ、人減らし……企業人よ、生き残れ! 大不況時代を生き抜く――1割を超える人員削減と賃金カット。父の急死で後藤工業所を引き継いだ2代目社長・後藤彬が全従業員に告げた「再建計画」は、猛反発に遭う。弟・徹が率先してリストラ第1号になったが、副社長一派と呼応する多くの従業員は出社拒否! だが、製造業を襲う大不況に猶予はない。再建の道は!?<『小説 起業講座』改題作品>
  • 希望のステージ
    3.3
    ある医療事故をきっかけに都心の大病院を飛び出した女医・菜々子は、兄が経営する東京近郊の個人病院で働き始める。それから間もなく、中学時代の同級生に誘われ地元の市民会館で、ステージに立つ出演者たちの医療サポートを請け負うことになってしまう……。 ――命を削ってでも市民会館の舞台に立とうとする患者たちは、末期癌であったり、白血病であったり、歩行困難者であったりとさまざま。現役の医者が身近な設定で、現代の超高齢社会と高度医療のありようを直視する連作短編集。
  • 気まぐれにフリースロウ
    -
    肉体を酷使する快感を通じて、現代人の不思議な生態が浮かび上がる。もう若くはない男たちが始めたバスケットボール、殴られ役のアジア人ボクサーがリングで知る真実、フリーターが挑むトライアスロン……。スポーツと関わる男たちは、なぜか哀しく、そして美しい。硬質の文体で、奇妙な味わいを醸し出す小説集。スポーツと男たちを結ぶ奇妙な悦びと哀しみ、現代の生のありようを探ったスポーツ小説!
  • 君の隣に
    3.8
    孤独な少女・翼と、風俗店「ピーチドロップス」のオーナーで大学生の早瀬。二人をつなぐ"大切な人"が姿を消して以来、同業の女の子が行方不明になる事件が界隈で相次ぐ。常連客、担任教師、元警察官――寂しさを抱えた人々が交錯する場所にかけられた、残酷な魔法とは。切ない余韻が迫る、傑作ミステリー。
  • 奇妙な愛の物語
    -
    唇はもっと乾いていて、その唾液は陽に暖められた枯草の香りがするにちがいない……。婚約者と唇を重ねながら、婚約者の美しい弟を獲物にしたいと願っている女子学生。しかしその満願の一夜が明けた時、少年は……。夢が壊されてゆく現実社会のそれぞれの場所で、さまざまに営まれる愛の形を感性豊かに捉えた18楽章。
  • 肝、焼ける
    3.9
    31歳になった。遠距離恋愛中、年下の彼は何も言ってくれない。不安を募らせて、彼の住む町・稚内をこっそり訪れた真穂子は、地元の人たちの不思議なパワーを浴びて、なにやら気持ちが固まっていく――。30代独身女性のキモ焼ける(じれったい)心情を、軽妙に描いた小説現代新人賞受賞作を含む、著者の原点、全5編。
  • キャスター駆け出す
    -
    ニュースキャスター初日からいきなり国会を体当たり取材したり、「海外たすけあい」の取材で訪れたアジア地域の貧困と病苦の現実を目のあたりにして考えたことなど、人気キャスターが駆け出し時代をつづる。ブラウン管からはうかがえない、意外にひょうきんでちょっとドジな所もある素顔がのぞくエッセイ。
  • キャットフード
    3.6
    極上のキャットフードを作りたい――化けネコ・プルートは人肉ミンチの生産に乗り出した。コテージに見せかけた人間カンヅメ工場に誘(おび)き寄せられた四人の若者。が、その中に人間に化けた黒ネコ・ウィリーが混ざっていた。化けネコどうしの殺傷はご法度。一体どいつがネコなんだ!? 食われたくないなら、頭を絞れ!(講談社文庫)
  • キャベツ
    3.9
    中二でおやじを亡くしてから、母と妹のために、ぼくは毎日せっせとご飯をつくる。冷蔵庫を開けたら戦闘開始! 切ない日も、けんかしたってこの味が家族の幸せを守ってるんだから。そうして十八にしては所帯じみていたぼくに、突然の恋が訪れた。児童文学の名手が繊細に描く、少年の恋と、日常のきらめき。(講談社文庫)
  • キャベツの新生活
    3.3
    出張から帰ってみると、思い出がたくさんつまった自分の部屋がきれいさっぱり消えていた。そんな衝撃的な経験をした青年は、戸惑いながらも0(ゼロ)からの新しい生活をスタートする。恋人との別れ、コンビニで出会った女の子との同棲を経験し……。愛し方を忘れた恋人たちが織りなす、ちょっとせつない恋愛小説。
  • 吸血の家
    3.9
    美しき三姉妹の悲劇。二階堂蘭子が謎に挑む! ――江戸時代から遊廓を営んでいた旧家に、もたらされた殺人予告。かつて狂死した遊女の怨霊祓いの夜、果たして起きた2つの殺人事件。折しも乱舞する雪は、24年前の惨劇にも似て……。名探偵・二階堂蘭子が解きあかす「密室」そして「足跡なき殺人」の謎。美しき三姉妹を弄ぶ、滅びの運命とは!? 本格長編推理。
  • 急行エトロフ殺人事件
    -
    世上騒然たる終戦直前、名古屋で開かれたある同窓会の出席者のうち、3人が次々に不可解な死をとげた。ヤング・カップルの可能キリコと牧薩次は、事件の謎を追って、ついに最果てのエトロフへと……。そして彼らにわか探偵たちを待ち受ける恐るべき罠。ホームメイドの時刻表に、SF的手法も盛りこんだ、奇想天外な新・トラベルミステリー長編。新境地を開く傑作!
  • 九州新特急「つばめ」殺人事件
    4.5
    男女の死体、襲われる目撃者 十津川の捜査を阻む巨大な闇。鹿児島・指宿(いぶすき)の海岸で、男女の死体が発見された。2人は東京在住で、死因から殺人事件と断定される。所持品に搭乗券があったが、空路の時刻、特急「つばめ」の乗務員・宏子が列車内で2人を目撃していた。そして宏子に襲いかかる不可解な事故。捜査を進める十津川警部の前に、巨大な力が立ちふさがる! (講談社文庫)
  • 九州特急「ソニックにちりん」殺人事件
    3.3
    官僚出身の元首相秘書が突如失踪した。その春から運行を開始した特急「ソニックにちりん」と阿蘇の風景写真が自宅から見つかったが、彼が九州へ旅行した形跡はない。事件の可能性があると見た十津川警部と亀井刑事は現地へ飛んだ。しかし巨大な政治的圧力が捜査の前に立ちはだかり……社会派ミステリーの傑作。(講談社文庫)
  • 九十八歳になった私
    4.0
    こんな作品は橋本治以外の誰にも書けない。 内田樹氏、欣喜! 人生百年時代に捧ぐ、橋本流・老後賛歌。 一体今日は、いつなんだろう? もうすぐ九十八だ。多分。ゆとり世代(もう五十だけど)の編集者に「戦後百一年」なんて原稿頼まれたり、ボランティアのバーさんが紅白饅頭持ってきたり。東京大震災を生き延びた独居老人の「私」が、老境の神髄を愉快にボヤく人生賛歌の物語。ああ、年をとるのはめんどくさい!
  • 九頭の龍
    3.0
    フランスの造船所から日本へ曳航中の新造軍艦「うねび」は、明治政府の大きな期待を背負っていた。対立する清国の強力軍艦にも太刀打ちできる装備を誇るのだ。だがシンガポールを出航したあと、この艦の消息は絶えた。折しもインドシナ半島には戦雲がたちこめている。軍艦に何かが起きたのだ! インドシナ独立運動などの史実をヒントに、壮大なロマンと驚嘆の推理を構築する、出色の歴史冒険ミステリー小説。
  • 九年前の祈り
    3.5
    三十五になるさなえは、幼い息子の希敏をつれてこの海辺の小さな集落に戻ってきた。希敏の父、カナダ人のフレデリックは希敏が一歳になる頃、美しい顔立ちだけを息子に残し、母子の前から姿を消してしまったのだ。何かのスイッチが入ると大騒ぎする息子を持て余しながら、さなえが懐かしく思い出したのは、九年前の「みっちゃん姉」の言葉だった──。痛みと優しさに満ちた〈母と子〉の物語。 表題作他四作を収録。芥川賞受賞作。
  • 救命拒否
    3.3
    講演中の救命医が爆破死傷事件に巻き込まれた。現場に駆けつけた救急救命士に向かい、医師は言う。「私にブラック・タッグをつけろ」――その意味は死。大阪府警が犯人を追うが、二転三転する本ボシに若手刑事は苦悩する。謎の「遺言」と事件の真相はつながっているのか? 乱歩賞作家が問う、喪わされた者たちの悲しみ。医療トリアージ=命の選別をテーマを、警察捜査の臨場感と共に贈る骨太エンターテインメント。(講談社文庫)
  • 吸涙鬼
    3.5
    17歳の女子高生・美紗の前にあらわれた不思議な魅力の転校生・榊冬馬。満月の夜、屋上庭園で意識を失ったところを冬馬に助けられた美紗は、二十歳で死ぬ病気に罹っていることを冬馬に告白する。次第に体が弱り病室のベッドに伏せる美紗を訪ねた彼は美紗の病気を治すという――二人触れ合って、ともに生を願うという方法で。美紗と冬馬の愛は至上の高みに昇りつめる。ところが実は冬馬は吸涙鬼種族の一人だった。
  • Qrosの女
    3.7
    世間を騒がす謎のCM美女「Qrosの女」の素性を暴くべく奮闘する「週刊キンダイ」芸能記者の矢口慶太。CMで彼女と共演した人気俳優・藤井涼介の自宅を、先輩記者・栗山と一緒に張り込むとそこに当人が!? 藤井との熱愛スクープ・ゲット! それともリーク? ――ワケありのネタ元、ネット情報も錯綜し、衝撃の展開へ! 白熱する芸能取材をリアルに描いた鮮烈ミステリー!
  • 巨悪
    3.8
    消えた復興予算、2兆円。 震災を食い物にする奴らがいる――。 《日本最強の捜査機関》東京地検特捜部に配属された検事・中澤源吾は追い詰められていた。 大手運送会社社長の億単位の脱税疑惑を追うも、立証できたのはごく一部。 だが、元同級生の事務官・城島毅らと捜査を進めるうち、 不可解な金の動きは東日本大震災の復興補助金に繋がり――。 元記者の著者が、取材不可能な組織の深部に迫る、骨太の社会派ミステリー! 【推薦コメント続々!】 これほどまでに真に迫る形で、「東京地検特捜部」を扱った入魂の小説があっただろうか。 『巨悪』を読めば、わかるだろう。 伊兼源太郎が、いま猛烈な勢いで巨星・横山秀夫の域に近づきつつある要注目の俊英だと! ――宇田川拓也(ときわ書房本店) やられてしまった。善とは悪とは。考え続けている。 巨悪に立ち向かう中澤、城島。 その悪の正体が現れた時、怒りが爆発し、悲しみにうち震えた。 重いテーマ、エンタメ度満点の傑作ミステリー。 誰かに思いを話したい。 ――山中真理(ジュンク堂書店滋賀草津店) 理不尽な社会の拳となるのは絶望から生まれた怒りの感情。 「巨悪」とはこの世を覆い尽くす闇でもあれば身近に潜む棘でもある。 本物の正義が伝わる揺るぎなき物語! 目を背けてはならない現実がここにある……。 ――内田剛(元書店員、ブックジャーナリスト) 「東京新聞」の特集も大反響!!
  • 兇悪の警察
    -
    疑惑の事件に挑む刑事のハ-ドボイルド推理――若妻・尾形美那子が、ニューヨークで射殺された。夫の尾形友一は、多額の保険金を受取り、三島安代と再婚したが、5年後、前妻殺しの容疑で逮捕される。安代と親密になった警視庁特捜部の会田刑事は、真相を追いニューヨークへ飛んだ。そこではまた奇怪な殺人事件が待ちうけていた。非情のハードボイルド長編。
  • 兇悪の拳銃
    -
    ご存知「非情のライセンス」を持つ日本警察のヒーロー・会田刑事が登場する兇悪シリーズ――長身独身の硬骨漢・会田の所属する警視庁特捜部に大阪府警の「問題」刑事が異動してきた。その彼の命が狙われているという。会田は彼と組んで謎の狙撃者を追う、という表題作のほか、アクション・ハードボイルド・ミステリーの傑作9編を収録。「男はタフでなければならない」
  • 兇悪の炎
    -
    泣く子も黙る鬼警視=特捜部長の矢部に、脅迫電話がかかった。捜査四課のやるべき仕事=暴力団取締りにまで手を出すな、というのだ。矢部は部下の会田に、暴力団・柳井組を探らせていた。柳井組は強力な武器を確保し、勢力を着々と拡大している。ハミ出し刑事・会田の任務は、その武器の入手経路を洗うことだった。不敵な挑戦に、非情のライセンスを持つ男の怒りが爆発する、ハードボイルドの不朽の名作。「非情のライセンス」としてTVドラマ化された「兇悪」シリーズ。
  • 兇悪の眼
    -
    CMカメラマンの久我が撮ったフィルムに、警察が行方を追っていた麻薬密造人の顔が写っていたのではないか。撮影現場でいわくありげなふたりの男をカメラがとらえていたのだ。会田は久我に身の危険を警告し、フィルムの引き渡しを要請するが、彼は一切を拒否した。会田の予感は的中し、ヤクザ組織のフィルム奪回作戦は秘かに進み、屈強な男たちが現れ久我は窮地に立つ。兇悪に挑む特捜部刑事・会田の怒りが爆発する。汚濁の人間像を活写するハードボイルドの不朽の名作。「非情のライセンス」としてTVドラマ化された「兇悪」シリーズ。

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