新井紀子の一覧
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ユーザーレビュー
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前著で明らかにされなかった、読解力が低下している原因について、まず学校教育において電子黒板や穴埋めプリントの活用によって板書をノートに写す作業が減ったことにあるとしている。ノートに取ることは一見非効率で無駄な作業に思われるが、文章の意味を理解せずにはスムーズに写すことができないのだという。文字単位や
...続きを読む画数ごとに写している場合には、文章が理解できていない可能性が高い。
もう一つは、スマホの普及によって幼児が接する大人たちがSNSやゲームに集中する時間を増やし、大人同士の会話を聞く時間や自分に話しかけてくれる時間を劇的に減らしていること。
双方とも、機械や技術による生活の変化、しばしば効率化と肯定的に捉えられるものに、人間から何らかの基礎的なスキルを奪い去る側面があるということ。
単調で退屈に思われる手作業、人間同士の意味を持った会話は、見かけ上AIに取って代わられることがあっても、人間とAIとではその行う作業の本質的な部分が全く異なる。
人間は集中することができ、意味を理解し、欲求を持ち、また全力で怠けようとする。穴埋めプリントのような、意味を理解せずキーワード検索で終えるような作業こそが、AIが得意とする作業。
読解力を向上させるために幼児期の教育方針として挙げられている中には、手を動かすこと、関心を持って自ら取り組むこと、集中してやり遂げることなど、モンテッソーリ教育とも共通するものが多いと感じた。
加えて大人の関わり方が重要な幼児期。生活の中で繰り返す食事や入浴、着替えなどにも手を動かす大切な動作や自然現象を学ぶ要素がたくさんある。忙しさにかまけてこれらを疎かにせず、また子どもに向き合い、関心を持って見つめる視線の先に気付いてあげられるよう、過ごしていきたいと感じた。
Posted by ブクログ
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AIの台頭によって人間の仕事が奪われる、そう聞いて危機感は持つものの果たしてどうすればよいのか分からない。
本書はまず、AIが人知を超えた存在になる等というシンギュラリティやビッグデータさえあればAIはなんでもこなすというような、根拠のない言説の間違いを説明する。
そして、AIが如何にして翻訳や作曲
...続きを読む、さらには大学入試問題を解くのか、その方法論を丁寧に記述していく。この方法論というのが、論理・確率・統計の三つ。AIはあくまでコンピュータが計算を行って答えを導き出しているので、文章の意味を理解することはできない。上記三つの方法で記述できないものは、教えられない。いくら器用に質問に答えようと、流暢な翻訳文を出力しようと、それはあくまで計算の結果。人間のように細部まで理解して答えを出すことはできない。それが分かっていれば、人間はAが苦手とする分野で仕事すればいいことではないか、と考える。しかし、どうやらその見込みが甘いようなのだ。
中高生を対象に基礎読解力を調査するための、リーディングスキルテストにおいて、危機的な状況が浮かび上がる。係り受けや照応という、AIがそこそこの精度を持つ分野では6-8割程度の正答率だが、同義文判定、推論、イメージ同定、具体例同定という、AIが苦手とする分野では、精度をは低いと2割に届かない。4-7,8割に留まり、人間とて文章の深部まで正確に読み取ることができていないことが明らかにされる。この章は例題を解きながら、自分は大丈夫なのか?と焦燥感に駆られる。
では読解力を上げるにはどうするか、それは次の本に書かれるとのことで、本書にその答えはない。しかし、AIにできることは生産効率を上げることであって、新しいものを生み出すことはできない。人間らしく柔軟に、意味を考え、生活の中の困りごとや不便さを解決する、そこに多くの人の需要があれば商売は成立する。
ただ、多くの企業で生産効率を上げることに注力しているだけでは、このデジタル社会においては買い手と売り手の情報の非対称性が修正されるため、一物一価が達成される速度が速く、利潤は削られていく一方となる。日本がモノづくり立国で、ロボットによる高度な自動化を確立していること、AIによって得られる精度が高くなければ製造物責任を負わざるを得ないことも、日本でAIの導入が遅れる、またはAIへの投資の現実感が薄い要因と考えられる。
女性が担っている割合が高い介護や育児は、相対的に地位も対価も低いが、今後AIに代替されることのない職業。どの仕事が真に稀少なのかは自ずと明らかになってくるはずだが、「ブルシットジョブ」でも言及されていたことと重なる。
自分の労働市場における価値は、そしてAIとの共存を強いられるこどもたちに必要な能力は何なのか、考えさせられる本。
Posted by ブクログ
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AIの定義は自分の思っていたものと違うもので、まだ人間を超える知能は生まれていないことや、著者は人間を超えることはできないだろうと様々な要因から考えていることを知れた。正直、AIが人間を超えて人間を支配するようになるとか世間では言われているけど、実際はそんなことないんじゃないかと思うようになった。こ
...続きを読むの本で言われていた「ディープラーニングをする前に、教科書を読めるレベルにならなければいけない」がすごく共感できて、頭のいい進学校とかは教科書を読むのに苦労はしないから、ディープラーニングをしても問題はないと思うが、そこらへんの公立中学校や比較的偏差値の低い高校でディープラーニングをしようとしてもうまく行かないと思うし、それは大学でも言えることで、全部の大学でディープラーニングをしようとしても、一部の大学では学生にとって有益かもしれないが、他の大学の学生にとっては意味のない学習になる可能性があると思う。やはり、基礎の部分を固めてから次のレベルにステップアップするべきだと思う。
Posted by ブクログ
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AIに出来ないことは今の子どもたちにも出来ないとなるとAIが発展していくこれからの社会はどうなっていくのか、、、考えさせられる一冊
Posted by ブクログ
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妻と子どもと丁寧に会話し、子どもの学校の教科書を子どもと一緒に丁寧に読んで、日々体験することや世の中の出来事について丁寧に考えを述べ合おうと思った。
それと、読んで書いて聞いて伝える、見たままを分かりやすく書く、説明する、表現する、そのようなことがとても大事だなと思った。
ドリルは完全ではないという
...続きを読むことも新鮮だった。
Posted by ブクログ
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