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Posted by ブクログ
以前、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』を読んで感銘を受けたので、その続編ともいうべき本書をいつか読みたいと思っていたので購入。
本書はまず、"正しく読む"とはどういうことかという導入から始まる。その中で、キーワードを拾い読みするだけの「AI読み」を続けている限り、これからの世の中に必要とされている「AI人材」にはなれないと断言し、改めて国語の重要性と必要性を説く。
本書の最大の特徴と価値は、第3章でリーディングスキルテスト(RST)の簡易体験版が掲載されていることであろう。
RSTは『AI vs. ~』でも紹介されているが、著者の新井紀子氏が中心となって開発された、読解力を測定・スコア化するテストである。
通常版はCBTによるテストであるが、本書では7つのカテゴリで合計28問(1カテゴリあたり4問)が掲載されており、それほど多い問題量ではなかったので、真剣に問いてみた。
自分は読解力は良い方だと自負していたので、当然に8割以上得点できたと思ったが、採点してみると6割で愕然とした。
問題文は短文が中心であるにも関わらず6割しか取れないということは、いかに思い込みや読み飛ばしが多いかということを示唆しており、チャット文化に慣れ親しんでいる若い世代はさらにその傾向が顕著だということは自明であろう。
本書はこの簡易体験版RSTの結果をタイプ別に分け、それぞれのタイプを分析しつつ読解力向上の必要性を説いている。
また、AI時代においては、大学のブランドや「手に職系」の学部を選べば安心ということはなく、まずは「基礎的・汎用的読解力」を身に付け、ふつうに教科書で勉強し堂々と大学入試や国家試験等に臨むのが、のろまな亀のように見えて、結局は最も賢い生き方なのではないかと述べているところに説得力を感じた。
本書の第2の特徴は、RSTを意識した授業を提案していることである。
第8章では、小学校や中学校での国語・算数/数学の授業における読解力向上のための授業例が、先生と生徒の紙上授業の形で述べられており、非常に具体性がある。
また、このような授業の流れは他の科目にも十分に応用可能であろう。
著者は、課題大国である今後の日本を支えていくためには、(一部のエリートではなく)様々な課題を解決できる「多様な人材」の輩出が必要不可欠と説いており、そのためには「自学自習できる基礎的・汎用的読解力」を義務教育段階で身に付けなければならないと訴える。
公教育の存在意義はまさにそこにあり、逆にいうと近年の地方の公立一番校が没落したのも、原因はこれらの学校での読解力(学びの基礎的・汎用的スキル)の低下にあると著者は断言する。
また著者は、人間がコンピュータと本質的に異なり、そして優れている点は、「意味が(なぜか)わかること」「欲求があること」「全力で怠けようとすること」と述べており、第一線の研究者らしく、腑に落ちる。
意味を考えながら先生の板書を正しく書き写すことも、読解力向上のためには意味のあることだと。
寺子屋で論語などの中国の古典を素読したり書写したりすることには教育的意味や意義があったのだと改めて思い知った。
後の世代に対しては、人間ならではの特性を踏まえたうえでの(単なる効率化ではない効果的な)学習環境の提供を考えるきっかけになったとともに、大人になっても読解力は向上できることを知ることができ、前作も本書も多くの気付きを得ることができた。
RSTの受験者は増加傾向にあるというが、義務教育の段階からこのような質の高い授業が全国に広まっていくことを願ってやまない。
Posted by ブクログ
最近、同じ著者の「シン読解力」を購入したのですが、本書を積んでおいたことに気が付いて読んでみました。
AI研究者だった新井先生が、すっかり教育者へと変貌していることにまず驚かされます。
この研究が、近年の「論理国語」の導入に影響を与えたことは間違いないでしょう。
シン読解力を測るためのRST(リーディングスキルテスト)のサンプル問題も収録されています(なお、本書の段階では、シン読解力という用語は登場していません。)。
ちゃんと紙に書いて回答していないのですが、自信のない問題を幾つか解答と照らし合わせたところ、どうやら全問正解とはいかなかった模様。
この後、「シン読解力」を読んで、読解力向上を図りたいと思います。
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