新井紀子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
(オーディブルで聴了)
本を読まないから読解力もなく、勉強への理解も広がらない。
集中力が足りない。
幼い頃、そんなことをよく言われたもの。
本を読むのは苦手。
私は本が嫌い。
そう思っていた。
でも心のどこかでは、
「本を好きになりたい。もっと知りたい」
とも思っていた。
大人になってから、
「まず目次をじっくり読んで、読みたいところから読んでみる」
ということを始めたら、意外にも読むことが好きになっていた。
先に自分の中でたくさん想像を広げてから、じっくり読む。
それが今の私の、本の楽しみ方。
でも、この本を聴いて気づいた。
「本を楽しんで読むこと」と「文章を正確に読むこと」は、同じ“読む”でも別の力なのかもしれない。
たくさん本を読めば、読解力が自ずとついてくるわけではない。
「読み方」はスキルであり、トレーニングによって磨くことができるという。
だとしたら、自分にはどれくらい「正確に読む力」があるんだろう。
本の最後の方には、実際に読解力をトレーニングできるページもついている。
これがまた、ちょっと楽しい。
本を読む量ではなく、「どう読むか」。
今までとは少し違う角度から、自分の読む力を考えるきっかけになった。 -
Posted by ブクログ
新井先生の文章は読みやすくて、ユーモラスかつ刺激的だ。RSTを開発してしまう知性が生み出す文章だから、そりゃそうか。
【主な感想】
チャットGPTは平気でウソをつく(ハルシネーション)。これはチャットGPTの欠点ではあるが、欠陥ではない。チャットGPTが目指しているのは自然な言語生成であって、正確な情報提供ではない。
2023年5月、米ニューヨーク州の弁護士が審理中の民事訴訟で資料作成にチャット
GPTを利用した結果、存在しない架空の判例を引用してしまい、罰金の支払いを命じられた。チャットGPTのハルシネーションと人間の流暢性バイアスの組み合わせは、非常に危険だ。
チャットGPTで生産性を上げるには、少なくともチャットGPTと遜色のない読み書きスキルが必要。なにしろ相手は呼吸をするようにウソをつく。自力で正確なファクトチェックができなければならない。チャットGPTをはじめあらゆる生成AIは、使い手の真の能力を超えることはできない。
チャットGPTを使いこなす人材を育てるために必要なのは、学校でチャットGPTを使わせることではなく、読み書きの能力を向上させることだ。
というわけで、読解力を上げる具体的な方法と、その実証実験について教えてくれる。
僕も新井先生と同じで、小中学校の授業にタブレットは必要ないし、プリントも必要ない、教科書とノートで授業するべきだと思う。そして、新井先生の考えた読解力を上げるトレーニング、是非全国でやってほしいと思う。
【その他の感想1】
生活言語と学習言語は違う。しかも教科によって学習言語には違いがある。
たとえば、社会の教科書には連用中止法が多用されていて、
①「山形は盆地が多く、夏は暑い」
②「山形は盆地が多く、花笠まつりで有名だ」
この2つの文章は形は同じなのに前後の関係はまるで違う。学生時代どれだけ勉強しても社会が上がらなかったのは、単に記憶力の問題ではなく(それも問題だろうが)この文体に馴染めなかったのだと、48歳にして初めて気付いた。
【その他の感想2】
ディープラーニングには2種類ある。
ひとつは「強化学習」。ある指標を最大化するように自動調整を繰り返させるもので、はっきりとした指標を与えられる場合に有効(チェスや将棋等)。もうひとつは「教師あり学習」。人間を手本として、大量の教師データを元に学習する。
教師あり学習には大きく2つの問題がある。ひとつめは、教師データをどう設計し、どう集めるか。ふたつめは、外れ値をどう扱うか。AIは統計により答えを選ぶので、外れ値は捨てることになる。
珍しいことが起きた場合には事故を起こして良い自動運転車を許容できるのか。 -
Posted by ブクログ
既有知識に関係なく、正しく読めば誰でも同じ解釈になる文章を読む力。それがシン読解力だ。
筆者が『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』に続く問題意識として挙げている「教科書を正しく読む力」は、子ども達だけでなく大人にとっても必須の力であり、そもそも読めていないことを意識しにくい力である。
リーディング・スキルテスト(RST)は6つの領域でシン読解力を測るテストで、私は全国民が定期的にこのテストを受けて、その記録をプロファイリングしていけばいいと思う。
現在、小学校から高等学校で行われているキャリアパスポートよりもよい効果を発揮するだろう。
しかし、問題は値段が高いことで(1650円もする)。
これを個人や学校で費用を賄うのではなく、県や国レベルの公的な税金で行えば、社会全体の読解力の相当な引き上げにつながるのではないかと期待している。
筆者が新聞社などに記事の提供を求めているように、社会全体でシン読解力を底上げする気運を高めていきたいと感じた。 -
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AI技術の発展によって残る仕事の話が興味深かったです。
AIが苦手とする仕事が増えることにより、仕事の種類量としては変わらないが、AIが担うことができない仕事を果たして担うことができる子どもが育成できているのかという話は薄々感じていたことを的確に論理的に言語化されていて読んでいて驚きが隠せなかったです。ここまで、具体的に未来を示すことができるのだと驚きました。
残る仕事として、読解力を基盤とするコミュニケーション能力や理解能力が求められる仕事、柔軟な判断力が求められる肉体労働がとあげていて、的を得ていると感じました。
ただ読解力が必要だと知ることはできたが、今後この感覚的な読解力というものを誰でもわかる汎用性の高い説明をすること(言語化することは)できるのか考え続けていかなければならないと思いました。
また、アクティブ・ラーニングの危険性も大変興味深かったです。教育者としてはっとさせられるような後ろ指をさされているような感覚と、これから目指さなければならない道筋が見えたような感覚の両方を感じました。
良くも悪くも読んで良かったなと思える本でした。 -
Posted by ブクログ
今から8年前書かれたAIが人間の知能を超すかと話題になってシンギューラリティーがかまびすかったころのAIを分かりやすく説いた本。
しかしAIの進歩は人間の思考の何倍何十倍の速さですさまじく進んでしまった。著者はシンギュラリティなど来ないと主張していた。AIは良心も感情も美意識も持たない、数学的思考て計算、確立、統計で数字に置き換えられることでできているからとしていた。
だが、脳科学などの英知、統計、ディープラーニング、ビッグデータなどによりシンギュラリティが現実味をおびている。AIを人間の道具として、補助者として使うためには、言葉、教科書を正しく読みこさなければいけないと子どもたちだけではなく、人間すべてに警告を発している。AIに仕事を奪われないよう、どうAIを使いこなし付き合うか、AIの基礎的考えを教えてくれている。
8年前の本ももう古典に入ってしまうのかなと思われるけど、高齢者にはいい入門書だと思う。 -
Posted by ブクログ
以前、『AI vs.教科書が読めない子どもたち』を読んで感銘を受けたので、その続編ともいうべき本書をいつか読みたいと思っていたので購入。
本書はまず、"正しく読む"とはどういうことかという導入から始まる。その中で、キーワードを拾い読みするだけの「AI読み」を続けている限り、これからの世の中に必要とされている「AI人材」にはなれないと断言し、改めて国語の重要性と必要性を説く。
本書の最大の特徴と価値は、第3章でリーディングスキルテスト(RST)の簡易体験版が掲載されていることであろう。
RSTは『AI vs. ~』でも紹介されているが、著者の新井紀子氏が中心となって開発された、読解力を測定・スコア化するテストである。
通常版はCBTによるテストであるが、本書では7つのカテゴリで合計28問(1カテゴリあたり4問)が掲載されており、それほど多い問題量ではなかったので、真剣に問いてみた。
自分は読解力は良い方だと自負していたので、当然に8割以上得点できたと思ったが、採点してみると6割で愕然とした。
問題文は短文が中心であるにも関わらず6割しか取れないということは、いかに思い込みや読み飛ばしが多いかということを示唆しており、チャット文化に慣れ親しんでいる若い世代はさらにその傾向が顕著だということは自明であろう。
本書はこの簡易体験版RSTの結果をタイプ別に分け、それぞれのタイプを分析しつつ読解力向上の必要性を説いている。
また、AI時代においては、大学のブランドや「手に職系」の学部を選べば安心ということはなく、まずは「基礎的・汎用的読解力」を身に付け、ふつうに教科書で勉強し堂々と大学入試や国家試験等に臨むのが、のろまな亀のように見えて、結局は最も賢い生き方なのではないかと述べているところに説得力を感じた。
本書の第2の特徴は、RSTを意識した授業を提案していることである。
第8章では、小学校や中学校での国語・算数/数学の授業における読解力向上のための授業例が、先生と生徒の紙上授業の形で述べられており、非常に具体性がある。
また、このような授業の流れは他の科目にも十分に応用可能であろう。
著者は、課題大国である今後の日本を支えていくためには、(一部のエリートではなく)様々な課題を解決できる「多様な人材」の輩出が必要不可欠と説いており、そのためには「自学自習できる基礎的・汎用的読解力」を義務教育段階で身に付けなければならないと訴える。
公教育の存在意義はまさにそこにあり、逆にいうと近年の地方の公立一番校が没落したのも、原因はこれらの学校での読解力(学びの基礎的・汎用的スキル)の低下にあると著者は断言する。
また著者は、人間がコンピュータと本質的に異なり、そして優れている点は、「意味が(なぜか)わかること」「欲求があること」「全力で怠けようとすること」と述べており、第一線の研究者らしく、腑に落ちる。
意味を考えながら先生の板書を正しく書き写すことも、読解力向上のためには意味のあることだと。
寺子屋で論語などの中国の古典を素読したり書写したりすることには教育的意味や意義があったのだと改めて思い知った。
後の世代に対しては、人間ならではの特性を踏まえたうえでの(単なる効率化ではない効果的な)学習環境の提供を考えるきっかけになったとともに、大人になっても読解力は向上できることを知ることができ、前作も本書も多くの気付きを得ることができた。
RSTの受験者は増加傾向にあるというが、義務教育の段階からこのような質の高い授業が全国に広まっていくことを願ってやまない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ新井紀子先生の「シン読解力」を読んだ。先生の主張は学習言語(教科書や問題のための言語)と生活言語とは異なり、学習言語も科目によって違う。学習言語力は15歳くらいまでは成長とともに上がって行く傾向は見られるが、そこで頭打ちになるのが一般的。読書をすることによって、生活言語力は上がるかもしれないが、学習言語を意識して身につけないと、その科目が苦手科目になってしまう可能性があるというもの。巻末にドリルが少し付いていて、これはこれから取り組んでみたい。ただ、この話とは別に、前半にはAIの限界のような話が出てきて、要するに「良し悪しを明確に定義できないもの」例えば、「良い政治」とかは学習データに○×がつけ辛いのでモデル化しにくいという話と、外れ値の予測はAIが苦手というのは何となく分かった。前者ははっきりと◯×をつけられないとしても、多くの人が良いと思うものをベースに◯は付けられるような気がするけど、外れ値問題は統計処理をしている以上難しいのはよく分かる
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東ロボプロジェクトで知った新井先生、前作の『AI vs〜』は読んで不安になった覚えがあって、今回も何となく嫌だなと後回しにしてたけど、ようやく読んだら面白くためになった。
AIが一般的になってきているが、平気で嘘をつくのでその見極めのためにも読解力がいる。
いわゆる国語の読解力ではなく、教科書に書いてあるレベルのことをきちんと読み取るシン読解力が子どもだけでなく大人でも身についてない人が多い。
シン読解力を測る「リーディングスキルテスト(RST)」を開発したが、進学実績と相関関係があるとわかった。(有能な社員を採用するのにも有用、ちなみに多くの企業はSPIとは相関がないと言うらしい)
この読解力は才能ではなくスキル。訓練で身につけられる。
まず小3までに語彙1万語を身につけ辞書がひけるように。そして人のワーキングメモリには限度があるので負荷を減らす。その上でRSノートというトレーニング。
ただし伸びるのは15歳までかも…
話は変わるが、生活で使う言語と算数・国語・理科・社会それぞれで使われている言語は違う。(特色やクセがある、あるいは独自ルールがあるような感じ)
教科書はその道の達人が書いてる=その言語で書くので、教科ごとに使われる言語の特色やルールを理解していないとわかりにくい。
新井先生は数学(と体育)が大嫌いだったが、それは「数学の言語」を知らなかったからで、身につけたことで今では研究者に。
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私も数学がどうにもこうにもダメで文系に進んだんだけど、言語が違ったとは…思ったこともなかった。
文中に出てきたRSTの例題はほぼ正解できて一安心。
ただ訓練で身につくとのことだけど、低レベルを引き上げることはできても高レベルはやっぱり才能なんじゃないのかな。
ともかく教科書レベルをきちんと読み取る、教科ごとの言語を理解するというのは念頭に置いておきたいと思った。 -
Posted by ブクログ
・「生成AIの発展の過程において、人間らしい流暢な言語を操る見返りに、正確さを諦めた。人間は流暢な文章を目の当たりにすると、無批判無防備に受け入れてしまう傾向がある。」この指摘は、普段生成AIとのチャットを繰り返していて抱く違和感を端的に表現した分析で、深く腹落ちした。
・何かしらの補正があったと思われるが、生成AIに令和8年度の大学入学共通テストを解かせたところ9科目で満点を取ったという衝撃的なニュースを目の当たりにすると、少なくとも単一の答えのある問いに対しては平均的な人間の能力を遥かに上回る能力を兼ね備えている。著書内では令和6年度の大学入学共通テストをチャットGPTに解かせた結果が掲載されているが、単純比較はできないものの、生成AIは刻一刻と成長していることを実感させられる。
・解釈が一意に決まる文章を多くの人が読めていないという事実。著者の前著での読解力の重要性という提唱に対し、国語教育や読書量が重要という誤解が蔓延するコントのような皮肉。ただし、ここに教育改革や教育分野の空白地帯があり、著者の提唱する「シン読解力」は教育学における新たな研究領域の開拓の可能性を感じさせる。
・生成AIが我々の生活に不可欠な存在となった今、シン読解力は、学生だけでなく、法令やマニュアル、仕様書などの学習言語で作成された文書に囲まれている社会人にとって重要なスキル。受動的に文章を読み解くスキルを前提に、一意の文章を作成するスキルが重要と感じる。
社会人の基礎的なシン読解力を測る試験として、著書内に例示されるRSTのほか、公務員試験で採用される数的処理や文章理解は今の時代に理にかなった能力測定方法なのかもしれない。
・文章要約・作成はAIがその役目を負う時代がやってきつつあるが、人間側が学習言語を読めない、書けないことにはAIとの共存は前途多難に思われる。文章要約や文章作成の目的・ストーリーの最低限の基礎を人間が示さないとピントが外れた膨大な情報が返ってくるだけ。生成AIの出力データのチェックには人間の目が不可欠。 -
Posted by ブクログ
最近、同じ著者の「シン読解力」を購入したのですが、本書を積んでおいたことに気が付いて読んでみました。
AI研究者だった新井先生が、すっかり教育者へと変貌していることにまず驚かされます。
この研究が、近年の「論理国語」の導入に影響を与えたことは間違いないでしょう。
シン読解力を測るためのRST(リーディングスキルテスト)のサンプル問題も収録されています(なお、本書の段階では、シン読解力という用語は登場していません。)。
ちゃんと紙に書いて回答していないのですが、自信のない問題を幾つか解答と照らし合わせたところ、どうやら全問正解とはいかなかった模様。
この後、「シン読解力」を読んで、読解力向上を図りたいと思います。