新井紀子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「文章が読めない」というのは、識字率の話ではない。
当たり前だが、日本の識字率は、限りなく100%に近い状態のはずだ。
しかし、文字は読めているのに、そこに書かれている「意味」や「論理」を本当に正しく理解できているだろうか。
本書が示しているのは、我々が考えている以上に出来ていないという、その現実だ。
(当然、自分自身もあまりの不出来にショックを受けているのだが)
著者の過去2作「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」「AIに負けない子どもを育てる」も勿論読んだ上での本作。
前2作を読んだ時も衝撃を受けたが、本書はさらにその核心に迫っていると言える。
出来ないのは「子どもたち」だけでは決し -
Posted by ブクログ
積読紹介キャンペーン中。
以前、ちょっと読んで興味はあるものの放り投げてた1冊。
序盤は筆者である新井紀子先生が制作に携わったAIの東ロボくんが東大入試を突破できるかと、試行錯誤する内容。その中でシンギュラリティで人間をAIが超えるか?という事を論じていく。
新井紀子先生がおっしゃる誤解を見事にしていた自分。ディープラーニングって、AIが自分で資料を探し出して吸収していくものと思ってた。でも、教師役が適切なインプットをしていかないとダメと知って、、、そのほかにも色々と理由があるが、それならシンギュラリティはこないだろうなぁと、、、
そして、後半は教科書が読めない子供達に焦点を当てた内容。 -
Posted by ブクログ
AI研究の先駆者がここまでハッキリと言ってくれたのには、とても心強かった!
チャットGPTなどの生成AIの出力にはウソが含まれる。でも、そのウソをなくすための再学習に時間がかかりすぎるため、経験した誤りからすぐに学べる人間と大きな差ができる!
政治や教育をAIが代替する日は来ない!
制限なしの自動運転が実現する気はしない!
理由は、教師データの不足
あなたや私が国語や数学が不得意だったのは、私たちのせいじゃない!私たちに才能がないからでも、頭が悪いせいでもない。単に、教科書を読めるようになるための手段とトレーニング法が確立されてないからだ!
ど文系の著者が数学、理系の教授になったんだか -
Posted by ブクログ
私にとっては待望の一冊。日本での、AI研究の第一人者である著者が、AIの研究を進める過程で日本の子どもたちの読解力が驚くほど低く、教科書が読めていないことが判明したこと、そのためいくら勉強しても成績が上がらない子がいることが判明したこと、しかし、読解力を上げるための処方箋はないというのが前作までの話だった。
本書では一歩踏み込んで、読解力はどうすれば上げることができるかに挑んでいる。
著者の本により、「読解力」が独り歩きしてしまい、読書の大切さが巷では叫ばれるようになった。
しかし、実は読書の量と読解力の高さは比例しないことが分かっている。これは、小説などの物語では、読み手がどう受け取るかは -
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人間のAIに対する優位性を明らかにしようとしたら、人間の「読めなさ」を晒す結果になってしまったというRST(リーディングスキルテスト)を通して、読解力の大切さとそれを身につけるための提案がされている。文章が非常に分かりやすく、著者の信念と確信がひしひしと伝わってくる。迫力と説得力があり、一気読みした。
体験版の成績はそこそこだったが、「◯◯と◯◯のワードが来たら答えは△△」とか、「理屈が理解できないから暗記」は、高校の時やってたなあー。穴埋めワークシートの弊害やルビを振ることの無意味さなど、気付かされることも多々あった。
小学校の低.中.高学年ごとの授業方法の提案がされており、このように段 -
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ネタバレ文章の文脈を読み取る、つまり論理構造に沿ってデータを構成するのを、実はAI人工知能は苦手にしている/
2011年、大学生数学基本調査
181わたしたちが「大学生数学基本調査」という恐ろしく手間暇のかかる調査に踏み切ったのには理由があります。大学に勤める教員の多くが、学生の学力の質の低下を肌で感じていたからです。日本では…大学に勤めている限りは、入試問題の作問や採点に毎年携わり、大学1,2年生の教養の数学の講義を受け持ちます…そういう中で、学生との論理的な会話、設問と回答との間で、会話が成立しないと感じるシーンがあまりにも増えている。そう多くの教員が感じている。そのため、実態を正確に把握する -
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小学生から読めるように、余白多め、文字大きめ、色つきのグラフや文字、厚い丈夫な紙‥など、工夫して作られていた。大人だとそれがかえって、一つの命題に対してページをまたがなくてはならない、ページを捲りづらい、など読みづらくなる点もあった。
自分の子が小中学生だったり、教育現場で働いていたりでもしていないと、「自分のこと」としてこのトレーニングを頑張るモチベーションを持つのが難しいかもしれない。読み進めるのに骨が折れた。
ただ、学校で授業をしてくださる先生が、この本に書かれていることを念頭に日々の授業に取り入れてくだされば、かなりの学習効果が望めるのではないかと感じた。私は教科ごとの癖のある文章 -
Posted by ブクログ
AIと脅威と限界を数学者が論理的に説明。
AIができるのは数学の論理と確率と統計のみで、AIは意味を理解できないのでシンギュラリティは来ない、という、若干安心させるのが前半の内容。
ただし、AIの得意とする論理、確率、統計でできる事は急速に発展し、人間の仕事の半分を奪う。
だとすれば、人間はAIにできない仕事をすれば良いのだが、実は日本人の多くがAIが苦手な教科書を理解する読解力さえなく、AI並みかそれ以下だという。ここに著書の危機感がある。
確かに基本的な文章さえ理解できなければ生きにくいし、騙されやすいかも知れない。
では読解力のない人に読解力をつけさせる為にはどうすれば良いのか?こ