新井紀子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
よくAIや機械化で人間のする仕事がなくなる、という話題は出るけれど、具体的にはどういう仕事がなくなるのか、今コンピュータはどこまでできるのか、を知りたくて読んだ。
ちょっと古い本だが、基本的なことがなんとなくわかってよかった。
具体的な事例や数学の例題をあげながら説明してくれるので読みやすい。(私も一応理系だからかも)
コンピュータは大量のデータから与えられた具体的な課題をこなすことは得意だが、抽象的な課題から新しい考えを生み出すことは不得意。
生き残るためにはその抽象的な課題を数学の言語化して(あるいはその手前で、エンジニアにそれを伝えて)コンピュータに指示を与える側の人間になる必要がある -
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ネタバレコンピュータと人間の違いについての数学的な考察を行った本。演繹的思考と帰納的思考についての考察が中心。
以下は、自分の言葉でのまとめ
コンピュータは暗記と計算、過去のデータからの積み上げの帰納的判断は得意である。会話ロボットも確率的に高い受け答えを導いて行っている。しかし、ネコとイヌの違いをコンピュータが認識することは難しく、ロボットに「理想的な子育て」をせよ、と命令することもできない。なぜなら「ネコ」と「イヌ」の定義を人間が正確に言語化してプログラミングできないし、「理想的な子育て」という抽象的な事項についての完全な解をプログラミングすることもできないから。
暗黙知を言語化しないとコンピ -
Posted by ブクログ
小中学校のデジタル教科書化についてまとめられた本。
コスト面、性能面、学習の質等。あくまでも現実的で冷静な目で調査されている。
現時点では最もわかりやすいハードルはコストである。
義務教育の教科書予算は一人当たり4000円ほどだそうで、
コンテンツ代としては同等もしくは印刷コストを抑えて安くなるかもしれないが、
デバイスはそれほど安くないし耐久性にも課題がある。
学習効果についても、単純に今以上の効果を期待するのは難しい。
一枚に収まってしまえば並べて俯瞰的に使用することはできなくなるし、
ハイパーリンクが便利とはいっても、闇雲に適用すれば情報量増加により、課題によっては理解度・効率は悪く -
Posted by ブクログ
「一を聞いて十を知る」(演繹)ことを諦め、「一テラを聞いて十を知る」(帰納)に転換しているコンピュータ。
その事実に驚く反面、確かにそんな気がしていたと思っていた気持ちもスッキリした。
また、ホワイトカラーや第三次産業でも人がいらなくなる日を示唆しており、そのためにはコンピュータで何ができて何ができないかを理解し、人間にしかできないことをしなければ生き残れないと述べている。
そして、コンピュータの理解には数学が必要であることお述べている。
さらには「人間が機械を使いこなすのではなく、機械が人間を下働きとして使いこなすようになる」ことも示唆しており、そのことに納得もできる反面、怖さも含まれた -
Posted by ブクログ
科学エッセイという感じで読める本だが、内容はとても深い。
猫と犬を区別するには、何を比較したら良いか。毛は生えているし、目も口もある。人が見間違えることはないが、コンピュータはかつてうまく区別できなかった。それがなぜ区別できるようになったのか。帰納と演繹のうち、帰納はコンピュータが得意だが、演繹はできない。人間は演繹の部分を磨くべきだ。そのためには数学を第二の言語にすべきだ。とても明解な論理展開でわかりやすいないようである。
先日ビッグデータの専門家に、今困っていることはなにかと聞いたら、何を分析するかだと聞いた。手法も計算技術もあるらしいのだが、何をという部分がないのだそうだ。
答えは書いて -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
1個のケーキを二人で分ける方法は?
オーダーメイドの手芸店を開くには?
ゴミにはどんな値段がつくのか?
「こづかいの使い方こそ経済の原点」との立場から、身近なことがらを題材に、子どもたちが参加する経済教室がネット上で開かれた。
そこに出てきた情報や意見を紹介しながら、経済とはどんなものかを考え、身につけていける1冊。
[ 目次 ]
帰省ラッシュは解消できるか(希少性と選択)
失敗した買い物は(機会費用)
値段はどうやって決まるんだろう?(市場と価格)
値段のあるもの・ないもの(さまざまな価格)
産地値段は安くない?(裁定取引)
勇者のもちものは?(貨幣)
おこづかいアンケート( -
Posted by ブクログ
20071008
引用・ポイント
(応用ができるためには何に注意すればいいのか?)
それは、定義をしっかり理解することです。・・・なぜこんな定義がでてきたのか、この定義でどんなことを表現したいのか、を読み解くんです。・・・だから例題を解くんです。例題を解く、というのは、その定義が作った世界の中をちょっと探索してみる、ということです。(p10)
第6章「関係」をつかむ
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その意義・背景を理解すると言う意味で学説史というのはとても大事だと本文と直接は関係ないが思った。
この本の例では例題と言う形で表現されてい -
Posted by ブクログ
2025/56
前半はとにかく難解。
私は完全なるガッチガチの文系なので数字の話された途端に、日々の10倍アホになってしまう。
教育者の端くれとして、後半はじっくり読みました。
AIに代替されやすい能力を育てても、本質的には意味がないことが分かった。AIにとって難しい「考える力」が育たない限りは、人間の将来は不安ってことだよね。
また読解力を身に付けることが、読書や勉強習慣とは意外と関連性が少ないのが驚きでした。
アクティブラーニングの在り方も共感性の高い迎合する子供たちの間で行われても、正しさを導くスキルを磨く一助にはならない。確かにそうかも。
あとは、大学入試で求められているのは