【感想・ネタバレ】コンピュータが仕事を奪うのレビュー

あらすじ

あなたが今日している仕事は、明日になればコンピューターでもできる仕事かもしれない。社会はどう変わるのか、私たちはどうすればよいのか――。数学と情報学の視点から、誰も指摘しなかった未来を読み解く。

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Posted by ブクログ

すでに10年以上前の本ですが、今読んでも、まったく古さ感じませんでした。
この本が出たころは、「東ロボくん」のプロジェクトが始まる前ですし、今ほどAIの技術が進んでいないころだと思いますが、現在の状況を見越したような内容でした。

本の内容は、タイトルの通り、といってよいと思います。
コンピュータができることがどんどん増えていて、その結果、人間の代替(人間を超越する場面もしばしば)として仕事をするケースも増えています。

とはいえ、コンピュータは万能ではなく、創造的な仕事や、仕事の設定を行うことなどは、コンピュータが苦手とするところ。
今後、人間が行う仕事は、コンピュータが苦手な部分にどんどんシフトしていき、コンピュータが苦手で、希少性の高い創造的な仕事は、給与が高く、コンピュータは苦手でも、人間は得意なケースが多い仕事については、給与が抑えられる、という状況になる、と書かれていますが、まさに社会はそのように動いていると思います。

この本には、「コンピュータは、意味を理解することができないので、コンピュータに勝つ、あるいは、コンピュータとよい形で共存していくには、様々な事象を見て、意味を理解できる能力を身に付けることが大切」といったことが書かれていますが、おそらくその通りだと思います。
学校教育では、これまでもそういった能力の育成には力を入れてきたと思いますが、ますます重要になるものと思われます。

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2022年10月22日

Posted by ブクログ

「数学は言葉」等の著作をもつNIIの新井教授の本。本書では、数学史、科学技術史、コンピュータ史を紐解きつつ、人工知能の主な分野における技術解説をしている。さらにコンピュータが発達した場合、現在のホワイトカラーの半数近くが職を失うと主張し、そうならないために一般人はどのような能力を鍛えればいいのか、ということについて持論を述べている。著者の結論は、一言で言うと、「もっと演繹の能力をつけるべく訓練しましょう」ということ。これにより、数学者やコンピュータ科学者と会話ができるようになり、自分のアイデアを実現することができるようになるとしている。
著者は、米国の大学院で数学と論理学を専攻していたこともあり、日常生活や数学、科学などの各分野における「演繹推論」と「帰納推論」の役割分担についての洞察が非常に鋭い。私が長年モヤモヤしていたところの大部分を解決してくれた点で、私にとっては大変素晴らしい本であった。私が確率・統計をどうしても好きになれないのは、数学のほとんどの分野が「演繹」による世界の理解を目指すのに対して、確率・統計だけは「帰納」による世界の理解を目指しているからだと納得できたことは大きい。

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2013年07月08日

Posted by ブクログ

論理的思考が重要である。
いろいろなところで指摘されるが、いまいちピンとこない。
この意味をコンピュータの得意不得意から解説されている本著は子どもたちの教育、大人の学び直しを考える人にも非常に有益な著述です。
AIを極度に警戒する必要もなければ、楽観視しすぎてもいけない。
その按分は、物事を観察して、その意味を捉えることを繰り返すことでしか、体得し得ない。
面白い本でした。刊行から月日は経っても読まれるべき本です。古びません。

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2019年03月07日

Posted by ブクログ

コンピュータに仕事をさせる 基本的仕組みを理解することが必要

チェス
 最適な一手を選ぶ 局面の価値を「数値化」 駒を1:2:3
 静的な評価
 選択肢の評価 指数爆発の壁
 
抽象という能力 パスカル
 人間の能力でとりわけ高度、「イノベーション」の核
 コンピュータには不可能 フレームが与えられていない
 誰もが暗黙に知っているが、言語化されていない「何か」を「言語化」する作業が
 イノベーションの原点
 演繹と帰納の使い分け

数学の時代 
 学問だけではなく、イノベーションには数学が不可欠
 日本だけが数学の評価に消極的

国際化
 英語を使えることではなく
 数学的ロジックのコミュニケーションが出来ること

日本の教育は「暗記と計算」偏重
 外国からの知識に依存
 外国語とスピード 中国語・ドイツ語・英語
 ウェイトを下げて、創造性重視に行けるか

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2018年11月10日

Posted by ブクログ

すごく勉強になった。(こう言うと非常に軽く聞こえてしまうが)
タイトルどおりの本来のターゲット読者以外に、ソフトウェアやシステムに関わる者やこれらを学ぶ学生も読むべきものかも知れない。
私もたぶんその端くれだが、今更ながら目から鱗のようなところが多数あった。
そういうつもりで読んだ訳ではないのに、なんだか得した気分である。

(2回目)
東ロボ君関連の書籍を一通り読んでから再度読んでみたら新たな発見や気づきが多数あった。
あと、新井先生の考え方の首尾一貫にも驚かされた。

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2014年11月09日

Posted by ブクログ

いい本だった。手に入らなかったので古本を探したカイがあった。文系な、確率を理解しようとしない家族にどうしても読んでもらいたい。

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2013年09月06日

Posted by ブクログ

非常におもしろかった。今までなんとなく考えていたけど言語化できていなかったことが書かれているように感じた。「第二言語としての数学」についてもこれから考えていきたい。

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2018年10月07日

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表題通り。

コンピュータが進歩してきて、
人間が取って代わられる、という危機について、
具体的な近況を紹介している。
さらに、
コンピュータに代わられる仕事とそうでないものの違いを分析するために、
コンピュータの特徴とは何か、という展開から、
省みて「人間らしさとは何か」の追求に帰着するところが、
アンドロイド研究と共通していて興味深い。

やや数学寄りだけど、
物事を厳密に記述する数学ならではの、
論旨をぼやけさせない文体がよい。

帰納と演繹、という両アプローチについても、
面白い議論が沸き出している。

さらに、数学や科学技術全般について、
「暗記と計算で追いついた日本」を取り上げている。
「なぜ」その論理や学問が生まれたのか、という、
必然性を伴わない学問の弊害と、
今後望まれるイノベーションにも言及している。

「まだ言語化されていない『何か』を言語化する」
これが、コンピュータにはできない、
人間の目指すべきイノベーションだ。

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2019年10月11日

Posted by ブクログ

「AIに負けない子どもを育てる」の著者の新井紀子氏の2010年に書かれた本 コンピュータに負けない力は、論理力だとこの頃から主張している。AIが出てくる前だからか今でもそう考えるのか分からないが、データにより教育方法をコンピュータが示すと言うことは難しいと言っている。ビックデータからAIが個別最適化された教育を示すことはできないという。最後に、「耳を澄ませて」聞き考えることが大事だとしめられていた。

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2022年09月17日

Posted by ブクログ

良書。
的確に、解りやすく工夫しておられる。
コンピューターに出来ること、出来ないこと。不得意なこと。
人間がこれからすべき事。
数学が大事な事。
にしても、先が読めない。これから何をすべきか。
どうなってもいいように、勉強を続ける事が大事だと思う。
勉強出来る気力・体力は整えておきたい。
コミュニケーション。一対一の。人間にしか出来ないことを考える。

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2019年12月21日

Posted by ブクログ

Aiやコンピュータが不得意で人間しかできないものは、仕事として残る。
その内、誰でもできる仕事は、最低の賃金しか貰えないものになる。
ホワイトカラーの仕事の真ん中が、aiに取られ、上と下に分断される。

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2019年09月15日

Posted by ブクログ

 本当に人間はコンピュータに仕事を奪われるのだろうか、いや奪われなけばいけないのか。

 世の中AIともてはやされているがそれらの内容がそう素晴らしいものではない気がする。AI本当に人が判断できないことを判断しているか。いまはまだそこまで進歩してないという言葉は聞きたくない。

 結局、何においても人間が楽をしたいと思って生まれてくる技術、その技術において人を追い抜くことはできないだろう。
 
 そして、本当に怖いのはAIをもてあそんでいる人の裏に隠れた何かが現れる事、そう思えないのか。

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2019年06月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

<読んだ目的>
コンピュータに奪われない仕事へ移動するために
クライアント企業メンバーとの情報共有のために
営業・広報のアンビエント化の概念補強のために

<内容>
◆結論
①「なくなる仕事」と「なくならない仕事」、「コンピュータの下働き(低賃金。人間には簡単にできるがコンピュータにはできない仕事。クラウドソーシングによって貧しい国の雇用となる)」に別れる。
②データを蓄積した企業とそれをうまく利用した企業に有利な世界になる
③コンピュータと人間が得意分野を掛けあわせた新しい「生命体」は生まれないP.202

◆前提とする世界観
人間も天候も、運命の領域とランダムな領域の中間にあり、部分的に計算でき、部分的にサイコロが振られ、残りはその混合物で構成されている。

◆なくなる仕事:
コンピュータがコスト削減や精度向上(統計学、帰納による機械学習・チューニングテスト)につなげられる仕事。限られた探索空間で思考する仕事(しらみつぶし)。身体性が不可欠な一部の第三次産業の他は、第一次・第二次・第三次すべて消える可能性がある。ホワイトカラーは半分弱はなくなる。チェスだけでなく将棋や囲碁もいずれ敗れる。確定申告の数字の羅列から“脱税の疑い”のある書類を選別するベテラン税務署職。文字おこし(手書き、音声)。2~3年日本語を勉強した人レベルの翻訳業。
計算機が得意な分野(数学的帰納法)の知的活動は5~10年でなくなる。
パターン、マニュアル対応の仕事。

◆なくならない仕事:
相手を「観察」して「判断」して「対処」する仕事。医師・看護師・保育士・介護福祉士・俳優・接客業など。
「誰もが暗黙のうちに知ってるけど言語化(抽象化)されていない何か」を売る仕事。デジタル化されないのが望ましい。
発言者のニュアンスまで訳せる翻訳者(表情や仕草からのメッセージはコンピュータは読み取れないから)。

◆仕事を失わないためにすること:
コンピュータの得意分野に手を出さないこと。
近未来にコンピュータが人間の力を凌駕する分野が何かを論理的に把握すること。連想は禁物。ヘリコプターがあるならタケコプターもできるはず、はありえない。科学技術(数学)のトレンドを把握(人間の能力範疇のブラックボックスがアルゴリズム・数式化・モデル化された事実)し、ビジネスとの間のコミュニケーション・ギャップを埋める時間を短くすること。トレンドと人間凌駕分野の予想を立てるときに相関関係と因果関係を間違えないこと。
抽象化の能力向上(コミュニケーション能力、文脈理解、状況把握、洞察力など)。
抽象化した「思い」をプログラムにモデル化する能力(演繹法)。サンプルデータ等から変数間の関係を読み解く→変数間の関数を式で表現→変数に数値を入力して計算
※教育面
第二言語として数学が話せる能力を身につける。
コンピュータの不得意なことで、しかもその能力によって労働の価値に差異が生まれるタイプの能力を磨く。
コンピュータはインタフェースが向上するので使い方を覚えるのは簡単。時間を要さない。ネットワークに繋がって思考が中断されない環境(集中を阻害されない)を確保すること。
文化的多様性が極めて低い(空気読み過ぎ)日本だから、「ふつうはそうする、みんながしてる」というパターン認識で達成できない(帰納頼り)課題に意欲的に取り組む。「なぜそうなるか?」言語化する機会を増やす。計算と暗記のウエイト下げる。

◆コンピュータの強み・得意なこと:
演繹(三段論法)と帰納のどちらかを瞬時に選んで(または組み合わせ)問題解決を図ること。手順どおりの作業。大量データから傾向をつかむ。暗記と計算とパターン認識。
未来予測すること①規則的な運動は、微分方程式P.158②ランダムな動きは、ブラウン運動P.163③規則、不規則のどっちつかずの運動は、確率微分方程式P.166

◆コンピュータの弱み・不得意なこと:
人間でもどう解決したらいいかわからないこと。言語化され、数式化されないことには動けない。
事象から意味を抽出すること。抽象化。写真に写っているモノの判別(セマンティックギャップ)。五感(見る・聞く・感じるなど)を使った情報処理。
論理と言語を駆使して高度に思考し表現すること。
データマイニングにより「あなたは将来、中学英語で躓くでしょう」と忠告できても「だから☓●してください」という処方箋は出せない

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2019年11月25日

Posted by ブクログ

コンピュータができる仕事とは?できそうで、できていないこと。できないこと。を整理して、私たちの仕事にどのような影響を与えるかを考察。

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2018年10月20日

Posted by ブクログ

20世紀のコンピュータは人間に奉仕する計算する道具であったが、21世紀のコンピュータは人間を下働きさせるものであるかもしれない。今までは人間にしかできないと思われていた仕事がだんだんとコンピュータにとって代わられようとしている。人間は人間の得意とする分野で、コンピュータはコンピュータの得意とする分野で協調して、と言われていたが、人間の得意な分野にもコンピュータは切り込んでくる。それでは人間に残された分野はなにか。それはコンピュータが不得意な分野である。その多くはコンピュータの下働きかもしれないのだ。

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2018年10月20日

Posted by ブクログ

仕事でお世話になっているシステムベンダーさんのお薦めの書。システムについて詳しくなりたいというニーズでいくつか図書を教えてもらったのだが、本書は読み物として面白かった。内容としては、どのような知的活動がコンピュータに取って代わられるのか、あるいは取って代わられないのか、計算機と数学の理論から解説するとともに、子どもたちが、職業人としてコンピュータに脅かされずに生き抜くには、どんな能力が必要で、それにはどのような教育が必要かについて記している。子持ちの自分にとっては本書の終盤が非常に興味深かった。以下、本文より。

「敬愛する小学校教師の有田八州穂さんに、『数学文化』という雑誌で、かつてインタビューをしたことがあります。有田さんは、どんなに崩壊した学級でも一学期の間に必ずまとめてみせるという高い教室運営能力を持つと同時に、担当したクラスが東京都や国が実施する学力テストで抜群の成績を取るというので伝説的な先生なのですが、算数の授業を見ると、特に奇をてらうわけでも、最新の電子機器を導入するわけでもなく、非常にオーソドックスな、まさに王道を行く授業をするのです。彼に、授業のコツを尋ねると、こんなことを教えてくれました。
『子どもとの関係って生身の人間のぶつかりあいなんですよね。山で猿に出会ったときに、ひるむとまずい、っていうのがあるでしょう。あれに似ている。最初に目の力で負けたらだめですね。そこは真剣勝負です。そればかりはノウハウではどうしようもないところですね。それから、僕は、絶対に大声は出さないんです。そして、たたかないし、立たせない。割合、小さな低い声で話します。それは、わざとそうしている。そして、1回しか言わない。
 1回しか言わないと、『忘れた』とか『聞いてなかった』という子が出るのでは、と尋ねると、有田さんはこう答えました。
『それは、後で聞けばいいや、って思うから、その時聞かないのです。なので、僕のクラスでは、聞いていなかったら、困ることになる、ということを徹底的に理解させる。国語の授業で、僕はよく文章の朗読をします。教科書を出させて、僕が全文を朗読し、子どもたちは教科書の上を目で追っていく。読み終わったら、教科書を閉じさせる。そして、原稿用紙に、そこに何が書いてあったか、書かせます。集中力のない子は、最初の部分しか書けないことが多い。そのときに、『全部覚えようとしても、長い文章を覚えることはできない。どんな情景なのかを頭の中でしっかりイメージして、書くように』と指導します。『今、このとき』を逃したら、とりかえしがつかないんだ、ということを子どもに繰り返し体験させると、子どもたちの間にものすごく集中力がつくようになります。』
 有田さんのクラスの子は、学校から帰ると、『くたびれた』と言って寝てしまう子が少なくないそうです。それほどまでに授業中に集中して、脳を酷使しているということでしょう。」
 人材育成と言えば、個人的に自分の支柱となっているのは、アドラーである。しかし、アドラーの教えは実践しようにもやりきることが難しい。そういう意味で、勝手な解釈かもしれないが、有田先生はアドラーを見事に実践しているように感じた。驚きである。
 また、脳の酷使と言えば、昨年の船川先生の研修を思い出した。もっと脳を酷使しなくては。

「教育学者はいろいろなことを主張しますが、『どのような教育がよい教育か』ということをデータで実証することは極めて困難です。『九九を覚えさせる方法』のような短期決戦のものならデータを取りやすいのですが、『生きる力を育てる教育』のような長期戦のものは、データで立証するのは不可能だといってよいでしょう。
 子どもの成績は学校の教育によってのみ左右されるわけではありません。体調が悪ければ集中力が低下するでしょうし、家庭の中に不安な材料があれば勉強に手がつかないかもしれません。たまたま偉人伝を読んで発奮したり、テレビのニュースで何かに興味を持ったりすることもあるでしょう。特定の教育方法が子どもの成長に及ぼす影響を測定するのは極めて難しいのです。
 私にもこんな経験があります。
 私は、自分の考える教育方法の効果を検証するために、いえ、それ以上に、実際の中高校生を見てよく知るために、しばしば公立の中学校や高校で実際に授業をします。一番力を入れているのが、先ほども触れた『論理的な表現力を強化する授業』です。たとえば、『傾きが同じで切片が異なる二つの一次関数のグラフはどのような位置関係にあるか。それはなぜか』とか『対頂角はなぜ等しくなるのか』とか。手をあげて発表をするだけでなく、それぞれの子が、あるいはグループで、文章でまとめるという活動です。
 その実践をしたとあるクラスに、期末試験で突然数学の点が20点も上がった子がいました。実践の効果を確認すべく、勇んでその子に話を聞いたところ、『最初の授業のときに『上手に書けているね』と先生にほめられたのがとても嬉しかった(ので勉強にやる気が出た)』というのです。成績が上がったのにもかかわらず、結局のところ、何によって成績が上がったかは特定できませんでした。それを隣で聞いていた中学校の先生方は、『まぁ、子どもの成績が上がるなんていうのは、そんなものです。』と笑って慰めてくれました。
 授業を受けた子ども自身が『よくわかった』『興味がわいた』と答えたからといって教育効果が高いとも限りません。短期的に教育効果の高い方法を組み合わせたからといって、長期的に高い教育効果が得られるとも限りません。短期的に教育効果の高い方法を組み合わせたからといって、長期的に高い教育効果が得られるとも限りません。
 結局のところ、教師と子どもは、互いに対して耳を澄ますことで(形式ではなく)意味をわかりあったほうが、遠回りのように見えて、結局は早道だということです。そして、その『耳を澄ます』という能力こそが、結局のところ、コンピュータに対して、私たち人間が勝てる分野なのです。
 医者も教育者も研究者も、商品開発者も記者も編集者も、公務員もセールスマンも、耳を澄ます。耳を澄まして、じっと見る。そして、起こっていることの意味を考える。それ以外に、結局のところ、コンピュータに勝つ方法はないのです。」

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2021年08月08日

Posted by ブクログ

少し古い本だが、コンピュータに対する盲信から目を覚まさせてくれる本で、今ならコンピュータの部分をAIと置き換えてもそっくり同じことがいえると思う。新井さんの本はどれも非常に分かりやすい。

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2018年06月27日

Posted by ブクログ

数学は苦手な分野ではあったんだけど、今になってすごく学習意欲をそそられた。俺、もっと数学力つけないとなぁ。必要ってことも理解できたけど、この本読んでたら、数学の世界って面白そうだもの。
AI論議がかまびすしいけどさ。実際に何が起こっているのかってよくわからない。数学の歴史。コンピュータができること。現代社会。教育。幅広い領域について、とても考えさせてくれる本だった。面白かったねぇ。
最後の一文。AIの時代に生き残るために、

「医者も教育者も研究者も、商品開発者も記者も編集者も、公務員もセールスマンも、耳を澄ます。耳を澄まして、じっと見る。そしtえ、怒っていることの意味を考える。それ以外に、結局のところ、コンピュータに勝つ方法はないのです。」

この一冊を読んだからこそ、深く共感できる文章だと思ったね。

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2018年06月17日

Posted by ブクログ

タイトルを読めば、
だいたい内容はわかりそうなものなのだけれど、
…確かに内容は
タイトル通りのものなのだけれど…。

想像のはるか彼方を行く面白さだった‼︎

わたしは学生時代とにかく数学が嫌いだった。
中学の頃から、
できる限り数学とは関わらないように
生きてきたような節がある。

とは言え、数学の証明は好きだった。
そして性格的には理屈っぽいので、
ここまでの年齢になってくると
ちゃんと向き合っていれば好きになれたのかもしれないなぁとは漠然と思っていた。

もし、中学時代にこの本に出会えていたなら、
いや、この著者が数学の先生だったら、
絶対人生は変わっていたと思う。

著者はどうやら数学者らしい。

この本は、昨今よく聞く、AIをはじめとするコンピューターに、人の仕事は奪われていくよ、という大きな軸がありながら、それを論じるのに数学の基礎の話から数学史、数学の重要性についても多くの枚数を割いて語られている。

正直最初の方で挫折しそうになったけど、
思考停止せずに読んでいくと、
めちゃくちゃ興味深く面白い。
数式とかは難しいけど、
基本的にはとてもわかりやすい文章で
とても丁寧に書かれている。

途中で投げ出さなくて本当によかった。

なんというか読んだ後、
いろんなウロコが目からポロポロ落ちて、
思考がスッキリ整理される感じ。

これ、今だからこんな風に感じられるのかな?
中学時代だと、ちょっと難しくて
消化できないかもな。

もし自分に子どもがいたら、
何度も何度も読んで、
自分なりに内容を消化して、
じっくり教えてあげたいなぁと思わせてくれる本。

この著者の本は他のも絶対読んでみよう。





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2018年04月21日

Posted by ブクログ

AIを東大に合格させるプロジェクトの新井紀子氏による2010年の著作。今でこそ同等のことが広く言われているが、当時はSFに分類されたりしたそうだ。研究者の予想は的確だ。演繹と機能、オープンソースとデータという切り口で、ヒトとコンピュータの今後を分析し、根幹は数学力だと解く。これからの世界を生きていかなければならない人におすすめする。

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2018年02月13日

Posted by ブクログ

21世紀の生き抜くため日本の教育で足りないものは何なのか、それは「数学」。コンピュータも数学が実現した力であり、数学のセンスを体得することが、コンピュータに支配されないための戦う武器だと。教育者は読むべき本だ。

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2017年09月24日

Posted by ブクログ

よくAIや機械化で人間のする仕事がなくなる、という話題は出るけれど、具体的にはどういう仕事がなくなるのか、今コンピュータはどこまでできるのか、を知りたくて読んだ。
ちょっと古い本だが、基本的なことがなんとなくわかってよかった。
具体的な事例や数学の例題をあげながら説明してくれるので読みやすい。(私も一応理系だからかも)

コンピュータは大量のデータから与えられた具体的な課題をこなすことは得意だが、抽象的な課題から新しい考えを生み出すことは不得意。
生き残るためにはその抽象的な課題を数学の言語化して(あるいはその手前で、エンジニアにそれを伝えて)コンピュータに指示を与える側の人間になる必要がある。
もしくはコンピュータの下働き、コンピュータが苦手とする五感を使った仕事、身体性の高い第三次産業に従事する。

コンピュータに指示を直接与えるエンジニアや数学者にならずとも、その人たちに伝えることができれば、ということだが
そういうニーズに対してエンジニアや数学者が圧倒的に少ないのでは…と思った。もっと早く教えてくれたらもうちょっと数学頑張ったのになぁと。
新井さんに教えてもらえたら面白そうだし。

私も脳を退化させないよう、検索に頼って自分が考える機会が減ったり、表面的な理解で終わらせていたり、漫然と仕事をしてしまって集中力を欠いている状況は改善しようと思う。

もう7年前の本なので、新しい本も読もう。

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2017年03月12日

Posted by ブクログ

コンピュータによって代替できない力をつけよう。暗記と帰納たけではなく、論理的に考える力。形式と意味の間を行き来して考える脳。集中力を保って自ら考える。

学校で教えられることは、手続き化されているわけだから、コンピュータにもできるわけだ。

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2014年11月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コンピュータと人間の違いについての数学的な考察を行った本。演繹的思考と帰納的思考についての考察が中心。

以下は、自分の言葉でのまとめ
コンピュータは暗記と計算、過去のデータからの積み上げの帰納的判断は得意である。会話ロボットも確率的に高い受け答えを導いて行っている。しかし、ネコとイヌの違いをコンピュータが認識することは難しく、ロボットに「理想的な子育て」をせよ、と命令することもできない。なぜなら「ネコ」と「イヌ」の定義を人間が正確に言語化してプログラミングできないし、「理想的な子育て」という抽象的な事項についての完全な解をプログラミングすることもできないから。

暗黙知を言語化しないとコンピュータに判断させることはできない。つまり、暗黙知を言語化した時点からコンピュータを利用したイノベーションが生まれるのであり、言語化は人間にしかできない領域である。多くの単純作業、思考の必要のない決まった動きを行う仕事は、コンピュータがさらに奪ってしまう。人間の賃金より安く正確にできる場合においては。

抽象的な概念を論理的に考え、書いて話すことで言語化するところに、これからのホワイトカラーが生き残る道がある。

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2014年06月24日

Posted by ブクログ

産業革命や機械化によって一次産業、二次産業に携わる人間は大きく変わった。インターネットの普及により国境を超えてホワイトカラーの仕事も変わる。知的単純、反復作業(調べる、訳する、答える)はもはや人間のやる仕事ではなくなっちゃう、って話だけど、作者が数学好きなので、何かと高校、中学数学と結びつける。これがなかなか面白い。意味ないと思われがちな数学がとても意味があり、数学をコンピュータが解けないため、数学的な思考をもてない人の仕事は奪われる。
帰納法、エンタン法。なつかしいぜ。

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2013年06月21日

Posted by ブクログ

「一を聞いて十を知る」(演繹)ことを諦め、「一テラを聞いて十を知る」(帰納)に転換しているコンピュータ。
その事実に驚く反面、確かにそんな気がしていたと思っていた気持ちもスッキリした。

また、ホワイトカラーや第三次産業でも人がいらなくなる日を示唆しており、そのためにはコンピュータで何ができて何ができないかを理解し、人間にしかできないことをしなければ生き残れないと述べている。
そして、コンピュータの理解には数学が必要であることお述べている。

さらには「人間が機械を使いこなすのではなく、機械が人間を下働きとして使いこなすようになる」ことも示唆しており、そのことに納得もできる反面、怖さも含まれた。

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2012年11月07日

Posted by ブクログ

科学エッセイという感じで読める本だが、内容はとても深い。
猫と犬を区別するには、何を比較したら良いか。毛は生えているし、目も口もある。人が見間違えることはないが、コンピュータはかつてうまく区別できなかった。それがなぜ区別できるようになったのか。帰納と演繹のうち、帰納はコンピュータが得意だが、演繹はできない。人間は演繹の部分を磨くべきだ。そのためには数学を第二の言語にすべきだ。とても明解な論理展開でわかりやすいないようである。
先日ビッグデータの専門家に、今困っていることはなにかと聞いたら、何を分析するかだと聞いた。手法も計算技術もあるらしいのだが、何をという部分がないのだそうだ。
答えは書いていないがヒントは書いてありそうな本デスね。おすすめです。

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2012年09月30日

Posted by ブクログ

想像していた本とは違ったけど、読んで良かった。暗記計算はコンピュータにはかなわない。改めて、論理的に考える特訓をせねばと感じた。

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2016年06月14日

購入済み

途中で断念しました。

思った以上に数学の話でした。途中で読むのが苦痛になり断念。私が未来、AIに仕事を奪われる側の人間である事だけは分かりました。

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2016年04月10日

Posted by ブクログ

【内容】
コンピュータの発展は目覚ましくいままでは人間にしかできないと思われていた分野にもコンピュータに進出しつつある。コスト削減や精度向上させるような仕事はコンピュータに、人間には文脈の理解、状況判断、モデルの構築、コミュニケーションといった分野が残る。そのためには数学力を磨く必要がある。
【得たもの?やってみること】
システムエンジニアやコンサルタントはモデル化や言語化をやる仕事なので大丈夫そう。

【感想】
なかなかよかった。自分のやっていることがまさに人間に残されそうな仕事と分かって安心した。
面白かったのは、郵便物の仕分けなど、コンピュータにとっては難しい仕事がコンピュータに処理させるため、コンピュータの下働きをさせられる仕事もあるということ、考えたことがなかった。

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2015年11月23日

Posted by ブクログ

この本のレビューを真面目に書いたのですが、更新を押さずにタブを消してしまい、記憶力がないので復元が出来ずにこんな事を書いている。そんな私は機械ではありません。

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2014年01月20日

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