【感想・ネタバレ】コンピュータが仕事を奪うのレビュー

あらすじ

あなたが今日している仕事は、明日になればコンピューターでもできる仕事かもしれない。社会はどう変わるのか、私たちはどうすればよいのか――。数学と情報学の視点から、誰も指摘しなかった未来を読み解く。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

<読んだ目的>
コンピュータに奪われない仕事へ移動するために
クライアント企業メンバーとの情報共有のために
営業・広報のアンビエント化の概念補強のために

<内容>
◆結論
①「なくなる仕事」と「なくならない仕事」、「コンピュータの下働き(低賃金。人間には簡単にできるがコンピュータにはできない仕事。クラウドソーシングによって貧しい国の雇用となる)」に別れる。
②データを蓄積した企業とそれをうまく利用した企業に有利な世界になる
③コンピュータと人間が得意分野を掛けあわせた新しい「生命体」は生まれないP.202

◆前提とする世界観
人間も天候も、運命の領域とランダムな領域の中間にあり、部分的に計算でき、部分的にサイコロが振られ、残りはその混合物で構成されている。

◆なくなる仕事:
コンピュータがコスト削減や精度向上(統計学、帰納による機械学習・チューニングテスト)につなげられる仕事。限られた探索空間で思考する仕事(しらみつぶし)。身体性が不可欠な一部の第三次産業の他は、第一次・第二次・第三次すべて消える可能性がある。ホワイトカラーは半分弱はなくなる。チェスだけでなく将棋や囲碁もいずれ敗れる。確定申告の数字の羅列から“脱税の疑い”のある書類を選別するベテラン税務署職。文字おこし(手書き、音声)。2~3年日本語を勉強した人レベルの翻訳業。
計算機が得意な分野(数学的帰納法)の知的活動は5~10年でなくなる。
パターン、マニュアル対応の仕事。

◆なくならない仕事:
相手を「観察」して「判断」して「対処」する仕事。医師・看護師・保育士・介護福祉士・俳優・接客業など。
「誰もが暗黙のうちに知ってるけど言語化(抽象化)されていない何か」を売る仕事。デジタル化されないのが望ましい。
発言者のニュアンスまで訳せる翻訳者(表情や仕草からのメッセージはコンピュータは読み取れないから)。

◆仕事を失わないためにすること:
コンピュータの得意分野に手を出さないこと。
近未来にコンピュータが人間の力を凌駕する分野が何かを論理的に把握すること。連想は禁物。ヘリコプターがあるならタケコプターもできるはず、はありえない。科学技術(数学)のトレンドを把握(人間の能力範疇のブラックボックスがアルゴリズム・数式化・モデル化された事実)し、ビジネスとの間のコミュニケーション・ギャップを埋める時間を短くすること。トレンドと人間凌駕分野の予想を立てるときに相関関係と因果関係を間違えないこと。
抽象化の能力向上(コミュニケーション能力、文脈理解、状況把握、洞察力など)。
抽象化した「思い」をプログラムにモデル化する能力(演繹法)。サンプルデータ等から変数間の関係を読み解く→変数間の関数を式で表現→変数に数値を入力して計算
※教育面
第二言語として数学が話せる能力を身につける。
コンピュータの不得意なことで、しかもその能力によって労働の価値に差異が生まれるタイプの能力を磨く。
コンピュータはインタフェースが向上するので使い方を覚えるのは簡単。時間を要さない。ネットワークに繋がって思考が中断されない環境(集中を阻害されない)を確保すること。
文化的多様性が極めて低い(空気読み過ぎ)日本だから、「ふつうはそうする、みんながしてる」というパターン認識で達成できない(帰納頼り)課題に意欲的に取り組む。「なぜそうなるか?」言語化する機会を増やす。計算と暗記のウエイト下げる。

◆コンピュータの強み・得意なこと:
演繹(三段論法)と帰納のどちらかを瞬時に選んで(または組み合わせ)問題解決を図ること。手順どおりの作業。大量データから傾向をつかむ。暗記と計算とパターン認識。
未来予測すること①規則的な運動は、微分方程式P.158②ランダムな動きは、ブラウン運動P.163③規則、不規則のどっちつかずの運動は、確率微分方程式P.166

◆コンピュータの弱み・不得意なこと:
人間でもどう解決したらいいかわからないこと。言語化され、数式化されないことには動けない。
事象から意味を抽出すること。抽象化。写真に写っているモノの判別(セマンティックギャップ)。五感(見る・聞く・感じるなど)を使った情報処理。
論理と言語を駆使して高度に思考し表現すること。
データマイニングにより「あなたは将来、中学英語で躓くでしょう」と忠告できても「だから☓●してください」という処方箋は出せない

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2019年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

コンピュータと人間の違いについての数学的な考察を行った本。演繹的思考と帰納的思考についての考察が中心。

以下は、自分の言葉でのまとめ
コンピュータは暗記と計算、過去のデータからの積み上げの帰納的判断は得意である。会話ロボットも確率的に高い受け答えを導いて行っている。しかし、ネコとイヌの違いをコンピュータが認識することは難しく、ロボットに「理想的な子育て」をせよ、と命令することもできない。なぜなら「ネコ」と「イヌ」の定義を人間が正確に言語化してプログラミングできないし、「理想的な子育て」という抽象的な事項についての完全な解をプログラミングすることもできないから。

暗黙知を言語化しないとコンピュータに判断させることはできない。つまり、暗黙知を言語化した時点からコンピュータを利用したイノベーションが生まれるのであり、言語化は人間にしかできない領域である。多くの単純作業、思考の必要のない決まった動きを行う仕事は、コンピュータがさらに奪ってしまう。人間の賃金より安く正確にできる場合においては。

抽象的な概念を論理的に考え、書いて話すことで言語化するところに、これからのホワイトカラーが生き残る道がある。

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2014年06月24日

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