海外小説 - 新潮社作品一覧

  • 憂鬱な10か月
    3.6
    誕生の日を待ちながら、母親のお腹のなかにいる「わたし」。その耳に届く、愛の囁き、ラジオの音、そして犯罪の気配――。胎内から窺い知る、まだ見ぬ外の世界。美しい母、詩を愛する父、父の強欲な弟が繰り広げる、まったく新しい『ハムレット』。サスペンスと鋭い洞察、苦い笑いに満ちた、英国の名匠による極上の最新作。
  • 幽霊たち(新潮文庫)
    3.9
    私立探偵ブルーは奇妙な依頼を受けた。変装した男ホワイトから、ブラックを見張るように、と。真向いの部屋から、ブルーは見張り続ける。だが、ブラックの日常に何の変化もない。彼は、ただ毎日何かを書き、読んでいるだけなのだ。ブルーは空想の世界に彷徨う。ブラックの正体やホワイトの目的を推理して。次第に、不安と焦燥と疑惑に駆られるブルー……。'80年代アメリカ文学の代表的作品!(解説・伊井直行/三浦雅士)
  • 幼年時代
    4.0
    10歳になったわたしは、父の領地で何不自由のない生活をしていたが、勉強のために、兄と一緒にモスクワで暮すことになった。最後の狩、母との別れ、都会での貴族的な生活、そして母の死――。みずみずしさ、屈託のなさ、愛への渇望、純粋な信仰心に満ちた、人生における最も美しい時代を描きながら、のちのトルストイ文学の特質をあますところなく備えもつ、自伝的処女中編である。
  • 四つの署名
    3.6
    ある日、ベーカー街を訪れた若く美しい婦人。父がインドの連隊から帰国したまま消息を断って十年になるが、この数年、きまった日に高価な真珠が送られてくるという……。ホームズ達が真珠の所有者を捜し当てた時、無限の富をもつこの男は殺され、そこには“四つの署名”が――インド王族秘蔵の宝石箱をめぐってテムズ河に繰り広げられる追跡劇! ホームズ物語の2作目にあたる長編。
  • リア王
    4.0
    老王リアは退位にあたり、三人の娘に領土を分配する決意を固め、三人のうちでもっとも孝心のあついものに最大の恩恵を与えることにした。二人の姉は巧みな甘言で父王を喜ばせるが、末娘コーディーリアの真実率直な言葉にリアは激怒し、コーディーリアを勘当の身として二人の姉にすべての権力、財産を譲ってしまう。老王リアの悲劇はこのとき始まった。四大悲劇のうちの一つ。
  • リチャード三世
    3.9
    身体に障害を負った野心家グロスター公リチャードは、兄のエドワード四世王が病に倒れると、王権を狙い、その明晰な知能と冷徹な論理で、次つぎに残忍な陰謀をくわだて、ついに王位につく──。魔性の君主リチャードを中心に、薔薇戦争終結へといたる権謀術数の暗部を描き、口を開いた人間性のおそろしい深淵に、劇詩人シェイクスピアが、真っ向からいどんだ傑作史劇である。
  • リルケ詩集
    4.1
    現代抒情詩の金字塔といわれる「オルフォイスへのソネット」をはじめ、二十世紀ドイツ最大の詩人リルケの独自の詩境を示す作品集。
  • 林檎の樹
    3.9
    銀婚式の日、妻と共に若い日の思い出の地を訪れた初老のアシャーストの胸に去来するものは、かつて月光を浴びて花咲く林檎の樹の下で愛を誓った、神秘的なまでに美しい、野性の乙女ミーガンのおもかげ、かえらぬ青春の日の悔いだった……。美しく花ひらいた林檎の樹(望んでも到達することはできない理想郷)の眩ゆさを、哀愁をこめて甘美に奏でたロマンの香り高い作品。
  • 林檎の樹(新潮文庫)
    4.0
    徒歩旅行の途中、果樹園のある農場に宿を求めたロンドンの学生アシャースト。彼はそこに暮らす可憐な少女、ミーガンに心を奪われる。月の夜、白い花を咲かせる林檎の樹の下でお互いの愛を確かめ合った二人は、結婚の約束をする。だが旅立ちの準備で町へ出たアシャーストを待っていた運命は――。自然の美と神秘、恋の陶酔と歓び、そして青春の残酷さが流麗な文章で綴られる永遠のラブストーリー。
  • 恋愛論
    4.0
    恋の猟人であった著者が、苦しい恋愛のさなかで書いた作品である。自らの豊富な体験にもとづいて、すべての恋愛を「情熱的恋愛」「趣味的恋愛」「肉体的恋愛」「虚栄恋愛」の四種類に分類し、恋の発生、男女における発生の違い、結晶作用、雷の一撃、羞恥心、嫉妬、闘争などのあらゆる様相をさまざまな興味ある挿話を加えて描きだし、各国、各時代の恋愛について語っている。
  • ロビンソン・クルーソー(新潮文庫)
    4.3
    一六三二年、英国に生れた船乗りロビンソンは、難破して絶海の孤島に漂着した。ここから二十八年に及ぶ無人島生活が始まった――。不屈の精神で鳥や亀を獲り、野生の山羊を飼い慣らしてバターやチーズを作り、パンまでこしらえてしまう。ところが驚天動地の事態が……。めげない男ロビンソンを通して人間の真の強さを描き、世界中に勇気と感動を与えてきた、冒険文学の金字塔。待望の新訳。
  • ロミオとジュリエット
    3.7
    モンタギュー家の一人息子ロミオは、キャプレット家の舞踏会に仮面をつけて忍びこんだが、この家の一人娘ジュリエットと一目で激しい恋に落ちてしまった。仇敵同士の両家に生れた二人が宿命的な出会いをし、月光の下で永遠の愛を誓い合ったのもつかのま、かなしい破局をむかえる話はあまりにも有名であり、現代でもなお広く翻訳翻案が行われている。文庫化されなかった福田恆存訳による、世界恋愛悲劇の代表的傑作の登場。
  • ワインズバーグ、オハイオ(新潮文庫)
    4.0
    オハイオ州の架空の町ワインズバーグ。そこは発展から取り残された寂しき人々が暮らすうらぶれた町。地元紙の若き記者ジョージ・ウィラードのもとには、住人の奇妙な噂話が次々と寄せられる。僕はこのままこの町にいていいのだろうか……。両大戦に翻弄された「失われた世代」の登場を先取りし、トウェイン的土着文学から脱却、ヘミングウェイらモダニズム文学への道を拓いた先駆的傑作。(解説・川本三郎)
  • 若きウェルテルの悩み
    3.9
    ゲーテ自身の絶望的な恋の体験を作品化した書簡体小説で、ウェルテルの名が、恋する純情多感な青年の代名詞となっている古典的名作である。許婚者のいる美貌の女性ロッテを恋したウェルテルは、遂げられぬ恋であることを知って苦悩の果てに自殺する……。多くの人々が通過する青春の危機を心理的に深く追究し、人間の生き方そのものを描いた点で時代の制約をこえる普遍性をもつ。

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  • 若き詩人への手紙・若き女性への手紙
    4.5
    「若き詩人への手紙」は、一人の青年が直面した生死、孤独、恋愛などの精神的な苦痛に対して、孤独の詩人リルケが深い共感にみちた助言を書き送ったもの。「若き女性への手紙」は、教養に富む若き女性が長い苛酷な生活に臆することなく大地を踏みしめて立つ日まで書き送った手紙の数々。その交響楽にも似た美しい人間性への共同作業は、我々にひそかな励ましと力を与えてくれる。
  • 別れの色彩
    3.6
    年齢を重ねた今だからわかる、あの日の別れへの後悔、そしてその本当の意味を――。男と女、親と子、友だち、隣人。『朗読者』で世界中の読者を魅了したドイツの人気作家が、「人生の秋」を迎えた自らの心象風景にも重ねて、さまざまな人々のあの日への思いを綴る。色調豊かな紅葉の山々を渡り歩くかのような味わいに包まれる短篇集。
  • わが思い出と冒険―コナン・ドイル自伝
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    シャーロック・ホームズ物語の作者、サー・アーサー・コナン・ドイルの自伝。エディンバラ大学を卒業して眼科医となったドイルは、27歳のとき「緋色の研究」を書き、以後、長編4、短編56のホームズもののほか、歴史小説、スポーツ小説なども執筆。その生い立ち、家庭、交友から、ボーア戦争への参加や晩年の心霊研究まで、本書はホームズ・ファンの興味をそそらずにはおかない。
  • ヴェニスの商人
    3.8
    ヴェニスの若き商人アントーニオーは、恋に悩む友人のために自分の胸の肉一ポンドを担保に悪徳高利貸しシャイロックから借金してしまう。ところが、彼の商船は 嵐でことごとく遭難し、財産の全てを失ってしまった。借金返済の当てのなくなった彼はいよいよ胸の肉を切りとらねばならなくなるのだが――。機知に富んだ胸のすく大逆転劇が時代を越えてさわやかな感動をよぶ名作喜劇。
  • 決定版カフカ短編集(新潮文庫)
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    この物語はまるで本物の誕生のように脂や粘液で蔽われてぼくのなかから生れてきた――。父親との対峙を描く「判決」、特殊な拷問器具に固執する士官の告白「流刑地にて」、檻の中での断食を見世物にする男の生涯を追う「断食芸人」。遺言で原稿の焼却を頼むほど自作への評価が厳しかったカフカだが、その中でも自己評価が高かったといえる15編を厳選。20世紀を代表する巨星カフカの決定版短編集。

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